(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643248
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】歯科用口腔シールド装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61C 5/90 20170101AFI20200130BHJP
A61C 19/00 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
A61C5/90
A61C19/00 A
【請求項の数】22
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-560861(P2016-560861)
(86)(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公表番号】特表2017-506565(P2017-506565A)
(43)【公表日】2017年3月9日
(86)【国際出願番号】US2014071444
(87)【国際公開番号】WO2015095676
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年12月15日
(31)【優先権主張番号】14/137,188
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516181804
【氏名又は名称】アーマー・デンタル・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シェリー・ルペンスキー
【審査官】
村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第04112934(US,A)
【文献】
米国特許第05890899(US,A)
【文献】
特開平10−066707(JP,A)
【文献】
特開2010−269034(JP,A)
【文献】
特開2001−178750(JP,A)
【文献】
特開2010−137050(JP,A)
【文献】
韓国登録特許第10−0829244(KR,B1)
【文献】
米国特許第05490780(US,A)
【文献】
米国特許第05407353(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 5/90
A61C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の口内において口腔手術または抜歯から回復する領域を保護するための口腔シールド装置であって、
起伏のある表面を形成する適合可能な成形本体であって、前記患者の口内にある場合に、前記成形本体が回転することができるハンドルの端部をその中に受容し且つ確実に保持するように適合された閉口ソケットを有する、成形本体と、
前記成形本体から同じ長さだけ延在する、一対の同様に形成されたウィングであって、前記一対のウィングが保護されるべき領域に隣接するヒトの歯肉の頬側及び舌側に亘って適用されるように寸法決めされ且つ構成され、それによって、第1のウィングが前記ヒトの前記頬側にのみ配置され、且つ第2のウィングが前記ヒトの歯肉の前記舌側にのみ配置される、一対のウィングと、
を備える、口腔シールド装置。
【請求項2】
前記成形本体の前記起伏のある表面は、使用中に前記領域に最も近くなるように、前記成形本体の下面に配置されることを特徴とする請求項1に記載の口腔シールド装置。
【請求項3】
前記起伏のある表面は、凹部状、凹面状、弓状、アーチ状、及び半球状のうちの少なくとも1つである、請求項2に記載の口腔シールド装置。
【請求項4】
前記一対のウィングの各ウィングは、前記成形本体の前記下面上において前記起伏のある表面に最も近い前記成形本体から延在する、請求項2に記載の口腔シールド装置。
【請求項5】
前記起伏のある表面は、使用中に前記領域と空気交換を単に可能にするための空気孔を形成する、請求項1に記載の口腔シールド装置。
【請求項6】
前記一対のウィングは、使用の際に、互いに対向するように構成され且つ配置される、請求項1に記載の口腔シールド装置。
【請求項7】
前記一対のウィングのそれぞれは、略平坦である、請求項1に記載の口腔シールド装置。
【請求項8】
前記口腔シールド装置は、低いデュロメータの熱可塑性物質、生体適合性材料、シリコーン、織物、ポリマー、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから製造される、請求項1に記載の口腔シールド装置。
【請求項9】
隣接する歯を収容するために構成され、且つ配置された少なくとも1つのディテントをさらに備える、請求項1に記載の口腔シールド装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのディテントは少なくとも一対のディテントを含み、前記一対のディテントの各ディテントは、個別の歯を収容するために適合される、請求項9に記載の口腔シールド装置。
【請求項11】
前記成形本体に取り付けるように構成され、且つ配置されたコネクタをその遠位端部に有する細長いハンドルをさらに備える、請求項1に記載の口腔シールド装置。
【請求項12】
前記コネクタは、前記成形本体に形成された前記閉口ソケットと結合するように適合された突起を備える、請求項11に記載の口腔シールド装置。
【請求項13】
患者の口内において口腔手術または抜歯から回復する領域を保護するための口腔シールドシステムであって、
回転可能な口腔シールド装置であって、起伏のある表面及び閉口ソケットを形成する成形本体と、前記成形本体から延在している一対のウィングと、を含んでいる回転可能な口腔シールド装置と、
前記閉口ソケットと結合され、且つ前記閉口ソケット内に確実に保持されたコネクタをその遠位端部に有する細長いハンドルであって、前記ハンドルの把持部分に対して前記回転可能な口腔シールド装置を再位置付けすることを可能にするために、6自由度で塑性変形可能である屈曲可能な部分を含み、前記患者の口内で使用される場合に、前記回転可能な口腔シールド装置が回転されることができる軸を有する、細長いハンドルと、
を備える、口腔シールドシステム。
【請求項14】
患者の口内において口腔手術または抜歯から回復する領域を保護するための口腔シールドシステムであって、
口腔シールド装置であって、起伏のある表面を形成する成形本体、及び前記成形本体から延在している一対のウィングを含んでいる口腔シールド装置と、
前記口腔シールド装置に取り付けられ、確実に保持された細長いハンドルであって、前記ハンドルの把持部分に対して前記口腔シールド装置を再位置付けすること、かつ回転させることを可能にするために、6自由度で塑性変形可能である屈曲可能な部分を含み、前記患者の口内で使用される場合に、前記口腔シールド装置が回転されることができる軸を有する、細長いハンドルと、
を備える、口腔シールドシステム。
【請求項15】
前記成形本体の前記起伏のある表面は、使用中に前記領域に最も近くなるように前記成形本体の下面に配置される、請求項13または14に記載の口腔シールドシステム。
【請求項16】
前記起伏のある表面は、凹部状、凹面状、弓状、アーチ状、及び半球状のうちの少なくとも1つである、請求項13または14に記載の口腔シールドシステム。
【請求項17】
前記一対のウィングの各ウィングは、前記成形本体の前記下面上において前記起伏のある表面に最も近い前記成形本体から延在する、請求項13または14に記載の口腔シールドシステム。
【請求項18】
前記屈曲可能な部分は、グースネックの向きを提供するために塑性変形可能である、請求項13または14に記載の口腔シールドシステム。
【請求項19】
前記口腔シールド装置は、低いデュロメータの熱可塑性物質、生体適合性材料、シリコーン、織物、ポリマー、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから製造される、請求項13または14に記載の口腔シールドシステム。
【請求項20】
前記口腔シールド装置は、隣接する歯を収容するために構成され、且つ配置された少なくとも1つのディテントをさらに含む、請求項13または14に記載の口腔シールドシステム。
【請求項21】
前記少なくとも1つのディテントは少なくとも一対のディテントを含み、前記一対のディテントの各ディテントは、個別の歯を収容するために適合される、請求項20に記載の口腔シールドシステム。
【請求項22】
前記コネクタは、前記閉口ソケット内に形成された少なくとも1つのリングと結合された少なくとも1つの溝を形成する突起を備える、請求項13に記載の口腔シールドシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2013年12月2日に出願された「Dental Oral Shield and System」と表題の米国非仮出願第14/137,188号の優先権を主張しており、この出願の内容全体は、その全体を参照することによって本願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
口腔手術後に使用するための口腔装置及びシステム、より具体的には 抜歯後歯槽骨炎(dry socket)を防ぐのに役立つ口腔シールドは、手術後の回復中に痛みを減少させ、口腔衛生を改善する。
【0003】
最も成功し、且つ痛みの少ない口腔手術、例えば抜歯、インプラント、骨グラフト、硬組織手術、軟組織手術、歯肉手術等でさえ、患者がその手術から回復する間、数日又は数週間の不快感が続く場合がある。歴史的に、患者には、鎮痛剤及び何枚かのガーゼパッドが提供され、それらの回復に一人で対処する状態を引き越す。5%〜8%の患者は、歯槽骨炎、つまり「抜歯後歯槽骨炎」で苦しんでおり、8%〜15%の患者は、歯医者へ再度の訪問を必要とする軽感染に発達する。この問題は、手術後の状態における引き続きの口腔衛生の必要性、例えば、彼らの歯を磨くこと及びデンタルフロスで掃除することの必要性に集中している。実際に、引き続きの良好な口腔衛生は、口内の細菌を減少させ、全体的な回復プロセスを助け、腫れの潜在的な可能性を減少させる。反対に、不定期に口腔衛生を行うこと又は全く口腔衛生を行っていないことは、手術後の感染症の可能性を増大させる。しかしながら、日常的な口腔衛生を適切に且つ注意深く行う場合でさえ、最近手術又は抜歯を受けた領域と接触することは、耐え難いほどの痛みを伴う場合があり、歯ブラシの剛毛又は歯ブラシのハンドルがそれらの領域と接触した場合に、その結果として、患者が口内手術後の衛生を保っていく機会を減少させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
その結果、インプラント、抜歯、骨グラフト等の部位を保護するためにバリアとして作用する口腔装置が必要である。より具体的には、例えば彼らの歯を磨くこと及びデンタルフロスで掃除することなどの口腔衛生活動中に、それらの部位との不注意な接触を避けるそのような口腔バリア装置が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様において、患者の口内においてある領域を保護するための口腔シールド装置が開示される。様々な実施形態において、口腔シールド装置は、低いデュロメータの熱可塑性物質、生体適合性材料、シリコーン、織物、ポリマー、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから製造される。
【0006】
いくつかの実施形態において、口腔シールド装置は、起伏のある表面、例えば凹面状、弓状、アーチ状、又は半球状の表面を形成する成形本体と、前記成形本体から延在する一対のウィングと、を含む。実施形態の一の変形例において、使用中に、成形本体の起伏のある表面は、抜歯領域に最も近くなるように、前記成形本体の下面に配置されている。さらに、一対のウィングの各ウィングは、成形本体の下面に起伏のある表面に最も近い成形本体から延在する。他の変形例において、起伏のある表面は、成形本体の貫通する孔を形成する。他の変形例において、一対のウィングは、使用時に互いに対向するように構成され、且つ配置されてもよく、一対のウィングのそれぞれは、略平坦であってもよい。
【0007】
他の実施形態において、口腔シールド装置は少なくとも1つのディテント又は表面を含み、当該ディテント又は表面は、隣接する歯の間で収容されるように構成され、且つ配置される。実施形態の変形例において、少なくとも1つのディテントは一対のディテント又は表面を含み、当該一対のディテント又は表面は個別の歯に解放可能に取り付けるように適合される。
【0008】
他の実施形態において、口腔シールド装置は、成形本体に解放可能に取り付けるように構成され、且つ配置されるコネクタをその遠位端部に有する細長いハンドルを含んでもよい。実施形態の変形例において、コネクタは、成形本体に配置された突起と結合するように適合された孔を形成し、又は代替的には、コネクタは、成形本体に形成された孔又は成形本体内に形成された孔と結合するように適合された突起を含む。
【0009】
第2の態様において、患者の口内においてある領域を保護するための口腔シールドシステムが開示される。いくつかの実施形態において、口腔シールドシステムは、口腔シールド装置と、口腔シールド装置に取り付けられたコネクタをその遠位端部に有する細長いハンドルとを含む。口腔シールド装置は、起伏のある表面、例えば凹面状、弓状、アーチ状、又は半球状の表面を形成する成形本体と、成形本体から延在する一対のウィングと、を含んでもよい。実施形態の一の変形例において、使用中に、成形本体の起伏のある表面は、抜歯領域に最も近くなるように、成形本体の下面に配置される。さらに、一対のウィングの各ウィングは、成形本体上において起伏のある表面に最も近い成形本体から延在する。他の変形例において、起伏のある表面は、成形本体を貫通する孔を形成する。他の変形例において、一対のウィングは、使用時に互いに対向するように構成され、且つ配置され、一対のウィングのそれぞれは略平坦であってもよい。
【0010】
他の実施形態において、口腔シールド装置は少なくとも1つのディテント又は表面を含み、当該ディテント又は表面は、隣接する歯の間で収容されるように構成され、且つ配置される。実施形態の変形例において、少なくとも1つのディテントは、一対のディテントを含む。
【0011】
実施形態の変形例において、コネクタは、成形本体に配置された突起と結合するように適合された孔を形成し、又は代替的には、コネクタは、成形本体に形成された孔と結合するように適合された突起を備える。
【0012】
さらなる他の実施形態において、細長いハンドルは、回転及び6自由度を提供することできる可撓性部分を含む。いくつかの実施形態のうちの1つの変形例において、可撓性部分は、「グースネック」の向きを提供するように回転されることができる。
【0013】
第3の態様において、患者の口内においんてある領域を保護する方法が開示される。いくつかの実施形態において、その方法は、起伏のある表面を形成する成形本体及び前記成形本体から延在する一対のウィングを有する口腔シールド装置を提供するステップと、患者の口内においてある領域に亘って口腔シールド装置を位置付けるステップと、を含む。実施形態の変形例において、口腔シールドを提供するステップは、前記領域と接触しないように、前記領域からある距離で成形本体を保持するようにその起伏のある表面が構成され、且つ配置される、成形本体を提供するステップを含んでいてもよい。
【0014】
図面において、同様の参照符号は一般的に、複数の図面を通じて同じ部品又は同様の部品について参照している。さらに、図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、その代わりに、本願発明の原理を説明するために強調されている。以下の説明において、本願発明の様々な実施形態は、以下の概略的な図面を参照して記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本願発明による、口腔シールドシステムの実施形態の等角図である。
【
図5】延性のあるワイヤ及び可撓性カバーが屈曲される、
図1の実施形態の等角図である。
【
図6】
図1の口腔シールドの成形本体の実施形態の詳細図である。
【
図7】
図5に示されるように、延性のあるワイヤ及び可撓性カバーが屈曲される、口腔シールドシステムの断面側面図である。
【
図8】
図7に示されるように、口腔シールド装置の成形本体及び一対のウィングの拡大詳細図である。
【
図9】抜歯部位及び智歯の抜歯部位を示すヒトの口の例示的な図である。
【
図10】本願発明による、抜歯部位における口腔シールド装置及びシステムの実施形態を使用する方法の実施形態を示す図である。
【
図11】本願発明の一の実施形態による、回転範囲を示す口腔シールド装置の端面図である。
【
図12】本願発明の一の実施形態による、屈曲範囲を示す細長いハンドルの側面図である。
【
図13】口腔シールド装置に形成された一対の歯ディテントの例示的な実施形態を示す図である。
【
図14】口腔シールド装置と、2つの隣接する歯の間で抜歯部位に対する一対の歯ディテントとを挿入する方法の実施形態を示す図である。
【
図15】本願発明による、智歯の抜歯部位において口腔シールド装置を使用する方法の実施形態を示す図である。
【
図16】本願発明による、智歯の抜歯への適用のための口腔シールドシステムの実施形態の等角図である。
【
図17】本願発明による、智歯の抜歯への適用のための口腔シールドシステムの実施形態の正面図である。
【
図18】本願発明による、智歯の抜歯への適用のための口腔シールドシステムの実施形態の側面図である。
【
図19】本願発明による、智歯の抜歯への適用のための口腔シールドシステムの実施形態の背面図である。
【
図20】本願発明による、2つの隣接する歯の間の抜歯部位における適用のための口腔シールド装置の成形本体の起伏のある表面及び一対のウィングの一の実施形態の例示的な底面図である。
【
図21】本願発明による、2つの隣接する歯の間の抜歯部位における適用のための口腔シールド装置の成形本体の起伏のある表面及び一対のウィングの例示的な実施形態の側面図である。
【
図22】本願発明による、2つの隣接する歯の間の抜歯部位における適用のための口腔シールド装置の保持ソケットの例示的な実施形態の上面図である。
【
図23】本願発明による、
図22の口腔シールド装置の保持ソケットの実施形態の断面詳細側面図である。
【
図24】本願発明による、智歯の抜歯部位における適用のための口腔シールド装置の保持ソケットの例示的な実施形態の上面図である。
【
図25】本願発明による、智歯の抜歯部位における適用のための口腔シールド装置の成形本体の起伏のある表面及び一対のウィングの例示的な実施形態の側面図である。
【
図26】本願発明による、智歯の抜歯部位における適用のための口腔シールド装置の成形本体の起伏のある表面及び一対のウィングの例示的な実施形態の底面図である。
【
図27】本願発明による、
図24の口腔シールド装置の保持ソケットの実施形態の断面詳細側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜
図4を参照すると、手術後の使用のための口腔シールドシステム1の実施形態が示される。この口腔シールドシステム1は、例えば、歯ブラシで磨くこと及びデンタルフロスで掃除することなどの定期的な日常の口腔衛生活動中に、一時的に使用されるように構成され、且つ配置される。いくつかの実施形態において、具現化されたシステム1は、細長いハンドル6と、口腔シールド装置4とを含むように構成されてもよい。
【0017】
細長いハンドル6は、近位端部21と遠位端部31とを有する細長い部分を含むように構成され、且つ配置されてもよい。ハンドル6は、歯ブラシのハンドルのような形状であってもよく、可撓性であり、且つ屈曲可能である一の材料又は複数の材料から製造されてもよい。ハンドル6は、高いデュロメータの熱可塑性物質などの硬質プラスチックから鋳造されてもよく、又は成形されてもよい。しかし、快適さ及び使用の容易さのために、手による把持機能を改善するように、側面把持部8及び/又は型式把持部7を含んでもよい。その目的のために、及び把持をさらに改善するために、側面把持部8及び型式把持部7は、低いデュロメータの熱可塑性物質から鋳造されてもよく、又は成形されてもよい。任意選択的に、子供たちのために、ハンドル6又は型式把持部7は、より小さなサイズで鋳造されてもよく、アニメの登場人物、お気に入りの人形、又は漫画本のスーパーヒーローを含んでもよい。年長児又は若者のためのより大きなハンドルは、例えば野球のバット、ラクロスのスティック、及びホッケーのスティックなどスポーツアイテムとして鋳造されることができ、且つ/又は、フットボール、サッカーボール、ベースボールなどを含むことができる。
【0018】
ハンドル6の遠位端部31は、可撓性を有し且つ塑性変形可能な部分5と、シールド保持アセンブリ9と、を含むように構成されてもよい。シールド保持アセンブリ9は、細長いハンドル6を口腔シールド装置4に、例えば口腔シールド装置4の可撓性部分5に解放可能に接続するための機構を提供する。可撓性部分5は、使用者がハンドル6に対する口腔シールド装置4の向き、姿勢、及び距離を変更することができるように構成され、且つ配置される。例えば、
図5及び
図7に示されるように、可撓性部分5を屈曲することによって、細長いハンドル6の可撓性部分5の「ピッチ」は調節されてもよい。
図12に示されるように、細長いハンドル6の「ヨー」は、例えば可撓性部分5を屈曲することによって、調節されてもよい。ピッチ及びヨーの調節は一般的に、名目上の真っ直ぐな位置から±90度以上まで及んでもよい。可撓性部分5の特に有益な向きは、例えば
図7において示されるように、「グースネック」の外観を提供する。
【0019】
図5及び
図7に示されるように、細長いハンドル6の遠位端部31における可撓性部分5は、例えば金属又は合金からなる、細長く、可撓性を有するロッド又はワイヤ10を含んでもよい。このロッド又はワイヤ10は、第1の端部において、細長いハンドル6に、例えば細長いハンドル6の遠位端部31内に形成される孔11(
図7)内に、例えばきつい締まりばめ等によって、摩擦で又は接着によって取り付けられてもよい。代替的には、ハンドル6は、積極的な保持を提供するように、ワイヤ10の細長い端部に亘って形成されることができる。可撓性のカバー部分又はスリーブ(参照符号5で示される)は、可撓性ワイヤ又はロッド10をカバーするために提供されてもよく、例えば、歯科用構造との接触を防止するために、水による損傷から可撓性ロッド又はワイヤ10を保護するために、且つ、システム1の外観を改善するために提供されてもよい。
図6及び
図8を参照すると、可撓性ロッド又はワイヤ10の第2の端部は、例えばきつい締まりばめによって、シールド保持器9に摩擦で取り付けられてもよく、例えば保持ワイヤ孔12内に、シールド保持器9に接着して取り付けられてもよい。代替的には、保持器9は、ワイヤ10の細長い端部に亘って形成されることができる。以下に詳細に記載されるように、シールド保持器9は、口腔シールド装置4をハンドル6に解放可能に取り付けるために、口腔シールド装置4のシールド保持ソケット13と結合するように適合される。その結果として、口腔シールド装置4は容易に変更されてもよく、又は容易に置換されてもよく、細長いハンドル6を捨てることなく処理されてもよい。有利には、口腔シールド装置4は、使用者が口腔シールド装置4の「ロール」、例えば360度の完全な回転を調節することを可能にするために、シールド保持器9内で可撓性ロッド又はワイヤ10の軸に関して回転されてもよい。それ故に、空間内での口腔シールド装置4の位置及び向きは、調節の範囲内で無限に変更可能であり、空間内で可撓性部分5の回転及び/又は並進移動を介してハンドル6に対して6自由度の口腔シールド装置4の位置付けを提供する。
【0020】
図7及び
図8に示されたシールド保持アセンブリ9が略円筒形状である端部分を含むけれども、このことは図示の目的のみのために行われている。当業者は、シールド保持アセンブリ9の端部分の形状が、実際的に任意の形状と仮定することができ、図示された形状が任意の方法で本願発明を限定するものとして解釈されるべきではないことを認識することができる。シールド保持アセンブリ9の端部分の図示された実施形態は、少なくとも1つの溝27を有する円筒形状突起又は略円筒形状突起を含む。溝(複数の溝)27は、口腔シールド装置4のシールド保持ソケット13の内壁内に形成されることができる1つまたは複数のディテントリング28と結合するように構成され、且つ配置される。
【0021】
代替的には、他の実施形態において、保持部分は、細長いハンドル6の遠位端部31でシールド保持ソケットが組み込まれることができるとともに、口腔シールド装置4内に組み込まれることができる。それによって、口腔シールド装置4は、細長いハンドル6のシールド保持ソケット内に保持されるというよりむしろ、逆である。上述したように、細長いハンドル6内に組み込まれたシールド保持ソケットは、口腔シールド装置4の保持部分を捕獲し解放可能に保持するように構成され、且つ配置されてもよい。さらなる他の実施形態において、保持部分と保持ソケットとの接合面は、ワイヤ10とハンドル6との間で位置付けることができる。それらのすべての実施形態において、任意の適切な結合接続部は、口腔シールド装置4が使用中にハンドル6に沿って確実に保持され、且つ不注意に解放されない限り、採用されることができる。
【0022】
口腔シールド装置4は、以下に議論されるように、除去を必要とする前に、例えば数時間、数日などの長時間患者の口内における抜歯部位上で適用を可能にする材料から設計されてもよい。長期間の適用のために、孔35(
図8)は、抜歯部位14及び15と空気交換を可能にするために、成形本体20を通じて組み込まれてもよい。
【0023】
図20〜
図27を参照すると、口腔シールド装置4の2つの実施形態の様々な図面が示される。口腔シールド装置4は射出成形されたプラスチック、例えば低いデュロメータの熱可塑性エラストマ、他のポリマー、織物、シリコーン、又は歯科用産業において一般的に使用される生体適合性の他の単一の材料又は複合の材料から製造されてもよい。口腔シールド装置4の起伏のある底面32の湾曲は、特定の用途に応じて異なっていてもよい。当業者は、口腔シールド装置4の表面が保護される領域14及び15と接触する状態を維持するのを促す、曲率半径及びアーク長を選択することによって口腔シールド装置4を設計してもよい。さらに、口腔シールド装置4の起伏のある底面32の成形は、歯肉面に対する静水接着(hydrostatic adhesion)を避けるように構成されてもよい。口腔シールド装置4の寸法は、様々な年齢の患者にとって快適な使用を提供するために、且つ異なるサイズの抜歯部位を保護するために、変更されてもよい。口腔シールド装置4は一般的に消耗品であるが、マウスウォッシュ、クロルヘキシジンリンスなどの抗菌性のリンスに浸されてもよく、それらが再利用されてもよい。
【0024】
口腔シールド装置4は、成形本体20と一対の対向するウィング又はフラップ29とを含むように構成され、且つ配置されてもよい。成形本体20は、起伏のある表面(contoured surface)32、例えば、凹部状、凹面状、弓状、アーチ状、半球状等を有する形状を提供するように構成されてもよいのに対して、ウィング又はフラップ29は同様の形状又は平坦形状或いは略平坦形状であってもよい。例えば、成形本体20の起伏のある表面32は、成形本体20の下面に設けられてもよく、これらの表面は、カバーされるべき且つ保護されるべき抜歯部位又は手術部位に最も近い表面である。ウィング又はフラップ29は、成形本体20の下面上において起伏のある表面32に最も近い成形本体20から延在してもよい。成形本体20は、上記のシールド保持ソケット13を含むように適合されてもよい。任意選択的に、通気孔35又は他の孔或いはレリーフは口腔シールド装置4の成形本体20を通じて設けられてもよい。通気孔35の一の目的は、口腔シールド装置4の適用後に形成されることができる真空、つまり、陰圧を壊すためである。通気孔35の他の目的は、影響を与える領域内への空気の提供を可能にすることであり、例えば抜歯部位と空気交換を可能にすることである。
【0025】
ウィング又はフラップ29は、シールド保持ソケット13から実質的に離れて成形本体20から下向きに延在するように設計されてもよい。ウィング又はフラップ29は、ソケット又は影響を与える領域、つまり抜歯部位に隣接する歯肉の舌側及び頬側に適用されるように構成され、且つ配置される。ウィング又はフラップ29は、互いに対向するように構成され、且つ使用時に互いに向けて付勢されてもよい。ウィング又はフラップ29の長さは、歯ブラシの剛毛が下部の血栓を引き起こさないこと、又は過度の痛み及び不快感を患者に与えないことを確実にするために、例えば歯肉の頬側及び舌側上で、抜歯部位を完全にカバーするのに十分長くなるべきである。例えば、起伏のある表面32の底部の内側半径に対する接線から測定された各ウィング又はフラップの長さは一般的に、2mm〜6mmであってもよい。しかしながら、いくつかの用途において、ウィング又はフラップの長さは、2mmより短くてもよく、又は6mmより長くてもよい。実施形態の様々な変形例において、起伏のある表面32はアーチ状の部分を形成しており、そのアーチ状の部分は、口腔シールド装置4の成形本体20と、そのアーチ状の部分が及んでおり、且つカバーする影響を与える領域との間で任意の接触を最小にするために構成され、且つ配置される。それ故に、ウィング又はフラップ29は、それ故に歯肉は、口腔シールド装置4を支持し、すべりばめ(snug fit)を提供する。
【0026】
テクスチャリングは、起伏のある表面32に追加されてもよく、とりわけ、歯肉と接触する全表面積を減少させ、且つ圧力レリーフ溝を提供する一様ではない表面を提供してもよい。標準的な商業的テクスチャリングが使用されてもよく、約0.004インチの深さであるランダムパターン模様付を含む、ミネソタ州アルベールビルのモールドテック社によって製造された例えばMT−11260が使用されてもよい。しかしながら、当業者は、商業的に入手可能な様々な種類のテクスチャー又は商業用テクスチャーが、起伏のある表面32とともに追加されることができ、又は含まれることができることを実現する。起伏のある表面32に対する例示的なテクスチャリングは、
図20、21、及び23に示される。
【0027】
口腔シールド装置4の特徴は、特定の用途のために変更されてもよい。例えば、
図9を参照すると、一の用途は、智歯(親しらず)の抜歯部位14(
図15)であってもよいのに対して、他の用途は、2つの歯の間の抜歯部位15であってもよい(
図10)。通常の間隙範囲は、約4ミリメートル〜約11ミリメートルであってもよい。
図13及び
図14並びに
図20〜
図23はそれぞれ、2つの歯17の間の抜歯部位15で使用するための口腔シールドシステム1及び口腔シールド装置4の例示的な実施形態を示す。それに対して、
図16〜
図19並びに
図24〜27はそれぞれ、智歯の抜歯部位14で使用するための口腔シールドシステム1及び口腔シールド装置4の例示的な実施形態を示す。前者にとって、一対の歯ディテント16は、成形本体20の両側に設けられてもよい。典型的な歯17の咬合面26の斜視図から示されるように、例えば凹面状、弓状、又は半球状等であってもよい各歯ディテント16は、抜歯部位15の両側の第1の歯17の近心及び第2の歯17の遠心22を収容するように構成される。
【0028】
図16〜19及び
図24〜27に示される智歯の抜歯シールド19のために、単一の歯ディテント16は、成形本体20の他方の側上の延在したスカート30と反対側の、成形本体20の一方の側上に設けられてもよい。歯ディテント16は凹面状、弓状、及び半球状等であってもよく、抜歯部位14の前に最後の歯の近心を収容するように構成される。一の隣接する歯のみが存在するので、延在したスカート30、つまり長いスカート30は、シールド配置の安定性を高めてより広い領域を保護するように設けられる。
【0029】
口腔シールドシステム1の細長いハンドル6及び口腔シールド装置4のある実施形態が記載されているが、例えば個人的な口腔衛生の実施中に口腔シールドシステム1を使用する方法が次いで記載されている。
図10は、抜歯部位14が一対の歯17の間にある場合に、歯ブラシ2と組み合わせて、システム1の使用の例示的な実施形態を示す。
図15は、智歯の抜歯部位14である場合に歯ブラシ2と組み合わせてシステム1の使用の例示的な実施形態を示す。口腔シールド装置4を彼女の口3内に挿入する前に、使用者は、口腔シールド装置4を所望される位置に、つまり抜歯部位15又は智歯の抜歯部位14に最も近い位置に位置付けるのを容易にするために、口腔シールドシステム1の可撓性部分5を屈曲してもよく、又はそうでなければ調節してもよい。
【0030】
好ましくは、使用者は、成形本体20、より具体的には、起伏のある表面32を中心に据えてもよい。それによって、対向するフラップ又はウィング29のうちの一方が使用者の歯肉(歯肉)18の舌側に位置付けられており、その他方が使用者の歯肉18の頬側に位置付けられる。口腔シールド装置4が場合によっては所定の位置に対して降下される又は上昇されるので、歯ディテント16のそれぞれは隣接する歯17の遠心22又は近心23を収容する。歯ディテント16と成形本体20の起伏のある表面32との間の距離は、口腔シールド装置4が血栓又は露出した骨と接触するのを防ぐように寸法決めされ、且つ構成される。このような接触は多くの不快感の原因となり、他の合併症を引き起こす可能性がある。ウィング又はフラップ29は、側部から抜歯部位を密封するように歯肉18に沿って延在する。
【0031】
抜歯部位14又は15が口腔シールド装置4によって覆われると、使用者は彼女の歯ブラシ2を挿入し、彼女が通常行っているように歯を磨き始める。ウィング又はフラップ29と成形本体20とは抜歯部位14又は15を覆い、歯ブラシ2が回復段階を妨害するのを妨げる。このことは、不快感や痛みが起きるのを防ぎ、抜歯部位14又は15が感染する可能性を避ける。
【0032】
本願発明の様々な実施形態に関する前述の説明は、図示及び説明の目的のために提供される。網羅的であることを意図するものではなく、又は特許請求の範囲における主題を開示された詳細な形態に限定するように意図するものでもない。多くの変更及び変形は、当業者には明らかであろう。
【0033】
例えば、ハンドルは事実上、ハンドルの全長に至るまで塑性変形可能であってもよく、又は、全く塑性変形可能ではなくてもよい。後者の場合において、ハンドルは略剛体のグースネック及び他の非線形構成を含んでもよい。代替的には、又は追加的には、シールド保持アセンブリは、ハンドルに対するシールド保持アセンブリのさらなる調節機能を可能にする、ボールソケット型の接続又は多軸スイベル型の接続であってもよい。ある実施形態において、口腔シールド装置は、シールド保持アセンブリの必要性を排除して、ハンドルと一体的に製造されてもよい。他の実施形態において、口腔シールド装置がシールド保持アセンブリによってハンドルに取り付けられると、その組み合わせは、分離できないアセンブリを形成することができる。
【0034】
複数の実施形態は、本願発明の原理及びその実際の用途を最も良く記載するために選択され、且つ記載されている。それによって、当業者は、特許請求の範囲の主題、様々な実施形態、及び、熟慮された特定の使用に適した様々な変形例を理解することができる。本願明細書に開示された構造、方法、及び材料についての全ての組み合わせ及び変更は、本願発明の一部及び全ての同等物であるように考慮される。本願発明の技術的範囲は以下の特許請求の範囲により規定されるべきであり、且つ特定の実施形態に限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0035】
1 口腔シールドシステム
2 歯ブラシ
3 口
4 口腔シールド装置
5 可撓性部分
6 ハンドル
7 型式把持部
8 側面把持部
9 シールド保持器、保持アセンブリ
10 ワイヤ、ロッド
11 孔
12 保持ワイヤ孔
13 シールド保持ソケット
14 領域、智歯の抜歯部位
15 抜歯部位
16 歯ディテント
17 歯
18 歯肉
19 抜歯シールド
20 成形本体
21 近位端部
22 遠心
23 近心
26 咬合面
27 溝
28 ディテントリング
29 フラップ、ウィング
30 スカート
31 遠位端部
32 起伏のある表面(底面)
35 通気孔、孔