【文献】
三谷 弘美,激変! 自分と家族を守る正しい選び方 最強の ムダな 保険 保険に激動の新時代到来! 古い保険を圧倒する保険が続々,日経トレンディ No.419,日経BP社,2017年 7月 4日,54-57頁
【文献】
John HUETTER,Tractable photo-analyzing AI to assess vehicle damage for Mitchell,Repairer Driven News,2016年10月11日,"Unlike CCC7s system,…to the company.",,online/2019年6月14日検索,URL,https://web.archive.org/web/20161012143822/https://www.repairerdrivennews.com/2016/10/11/tractable-ceo-says-ai-will-assess-vehicle-damage-for-mitchell-company-specializes-in-ai-photo-analysis/
【文献】
Ted KWARTLER,How AI is changing the way we assess vehicle repair,Venture Beat,2017年 2月 4日,"Using AI technology…during a stressful,online/2019年6月14日検索,URL,https://web.archive.org/web/20170205043430/https:/venturebeat.com/2017/02/04/how-ai-is-changing-the-way-we-assess-vehicle-repair/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
画像に表示された車両の面に関する教師データを学習した学習済みモデルを用いて、事故車両を含む画像が入力された場合に、前記画像に表示された前記事故車両の面を判定する面判定部と、
前記面判定部が判定した面毎の車両部品に関する教師データを学習した学習済みモデルを使用して、前記面判定部が判定した前記画像における前記事故車両の車両部品を判定する部品判定部と、
車両部品の損傷状態に関する教師データを学習した学習済みモデルを用いて、前記部品判定部が判定した車両部品の損傷状態を判定する状態判定部と
を備える判定装置。
画像に表示された車両の面に関する教師データを学習した学習済みモデルを用いて、事故車両を含む画像が入力された場合に、前記画像に表示された前記事故車両の面をコンピュータに判定させる面判定段階と、
前記面判定段階で判定した面毎の車両部品に関する教師データを学習した学習済みモデルを使用して、前記面判定段階で判定した前記画像における前記事故車両の車両部品をコンピュータに判定させる部品判定段階と、
車両部品の損傷状態に関する教師データを学習した学習済みモデルを用いて、前記部品判定段階で判定した車両部品の損傷状態をコンピュータに判定させる状態判定段階と
を備える判定方法。
画像に表示された車両の面に関する教師データを学習した学習済みモデルを用いて、事故車両を含む画像が入力された場合に、前記画像に表示された前記事故車両の面を判定する面判定ステップと、
前記面判定ステップで判定した面毎の車両部品に関する教師データを学習した学習済みモデルを使用して、前記面判定ステップで判定した前記画像における前記事故車両の車両部品を判定する部品判定ステップと、
車両部品の損傷状態に関する教師データを学習した学習済みモデルを用いて、前記部品判定ステップで判定した車両部品の損傷状態を判定する状態判定ステップと
を電子計算機に実行させる判定プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
図1は、判定装置101の構成例を示すブロック図である。判定装置101は、面判定部110、部品判定部120、状態判定部130、修理費用算出部140、およびユーザインタフェイス部150を備える(以降、「ユーザインタフェイス部」は「UI部」と記載する)。また、判定装置101は、面判定部110、部品判定部120、状態判定部130、および修理費用算出部140の各々に対応する格納部111、121、131、141を備える。
【0012】
面判定部110は、格納部111から読み出された学習済みモデル112を用いて、処理装置151に形成される。ここで、学習済みモデル112は、後述する面を判定する判定処理を処理装置151に実行させるプログラムである。
【0013】
格納部111が格納する学習済みモデル112の生成については
図3、3を参照して後述する。面判定部110は、処理装置151に取得された事故車両の画像を判定して、当該画像に現れる車両の面が、前面、背面、および側面のいずれであるかを判定する。判定結果は、UI部150の表示装置152と、部品判定部120とに出力される。
【0014】
部品判定部120は、格納部121から読み出された学習済みモデル122を用いて、処理装置151に形成される。ここで、学習済みモデル122は、後述する車両部品を判定する判定処理を処理装置151に実行させるプログラムである。
【0015】
格納部121に格納する学習済みモデル122の生成については
図5を参照して後述する。部品判定部120は、面判定部110から取得した判定結果を参照しつつ、処理装置151が取得した画像を判定して、当該画像に現れる車両部品を判定する。判定結果は、UI部150の表示装置152と、状態判定部130との両方に出力される。
【0016】
状態判定部130は、格納部131から読み出された学習済みモデル132を用いて、処理装置151内に形成される。学習済みモデル132は、後述する車両部品を判定する判定処理を処理装置151に実行させるプログラムである。
【0017】
格納部131に格納する学習済みモデル132の生成については
図6を参照して後述する。状態判定部130は、部品判定部120から取得した判定結果を参照しつつ、処理装置151が取得した画像を判定して、画像に含まれる車両部品が事故により受けた損傷の状態を判定する。ここで、損傷の状態とは、例えば、損傷が生じている位置、損傷の大きさ等を含む。判定結果は、UI部150および修理費用算出部140の両方に出力される。
【0018】
修理費用算出部140は、格納部141およびUI部150にそれぞれ接続される。修理費用算出部140は、状態判定部130から取得した損傷車両の状態と、格納部141に格納された修理費用テーブル142の参照により、損傷の修理費用を算出する。修理費用テーブル142は、
図2に示す通り、車種毎の車両部品の各々と、車両部品の損傷程度とを、修理費用と関連付けて格納する。これにより、修理費用算出部140は、状態判定部130により判定された車両部品の損傷箇所と損傷の程度に関する情報を取得して、損傷箇所の修理に要する費用を算出する。
【0019】
修理費用算出部140が算出した修理費用の金額は、面判定部110、部品判定部120、および状態判定部130のいずれかに入力された事故車両の画像と共に、表示装置152においてユーザに提示される。これにより、判定装置101は、事故車両の修理に関する修理費用判定システムを形成する。
【0020】
なお、上記の例では、学習済みモデル112、122、132の各々は、四輪車の画像に基づいて生成される。このため、この学習済みモデル112、122、132を用いた修理費用算出部140は、専ら四輪車の修理費用を算出する。しかしながら、判定装置101による判定は、四輪車に限らず、あらゆる軸数または輪数の車両に関して適用できる。
【0021】
判定装置101において、UI部150は、表示装置152、キーボード153、およびポインティングデバイス154を有する。キーボード153およびポインティングデバイス154は、処理装置151に接続され、処理装置151にユーザの指示を入力する場合に操作される。
【0022】
表示装置152は、キーボード153およびポインティングデバイス154による操作に対するフィードバックをユーザに返す。また、表示装置152は、処理装置151が生成した画像、文字列等をユーザに向かって表示する。
【0023】
図3は、ニューラルネットワーク200の概念を説明する模式図である。ニューラルネットワーク200は、面判定部110、部品判定部120、および状態判定部130が使用する学習済みモデル112、122、132を生成する場合に使用できる機械学習の方法のひとつである。人の脳神経回路を模したニューラルネットワーク200は、例えば、処理装置151の作業領域に形成され、入力層201、隠れ層202、および出力層203を有する。
【0024】
入力層201は、隠れ層202に入力信号を受け渡す場合に、活性化関数による重みづけを調整する。次いで、隠れ層202の層数に応じて、重みづけの調整を繰り返した後、最終的な出力層203に受け渡された信号が出力される。出力層203は、例えば、予め用意された選択肢のいずれに入力信号が該当するかの確率を出力する。
【0025】
出力された確率は検証され、妥当な出力信号が出力されるまで重みづけの調整が繰り返さる。こうして、最終的に調整された重みづけされた活性化関数を具備したプログラムである学習済みモデル112、122、132が生成される。生成された学習済みモデル112、122、132は、格納部111、121、131に格納されて、面判定部110、部品判定部120、および状態判定部130から使用できる状態になる。これにより、判定装置101は、判定処理を実行できる状態になる。
【0026】
なお、説明を簡潔にする目的で、説明は単純なニューラルネットワーク200について説明したが、学習済みモデル112、122、132は、ニューラルネットワークの他、サポートベクターマシン、決定木、ベイジアンネットワーク、線形回帰、多変量解析、ロジスティック回帰分析、判定分析等の他の機械学習の手法でも生成できる。特に、後述するように、画像データを学習する場合には、畳み込みニューラルネットワークおよびそれを用いたR−CCN(Regions with CNN Features)を好適に使用できる。また、入力層201および出力層203のポート数、隠れ層202の層数等も特に制限はない。
【0027】
図4は、面判定部110が使用する学習済みモデル112を生成する場合に使用する教師データ210を例示する模式図である。教師データ210は、事故車両を撮影した多数の画像を含む。また、教師データ210が含む画像の各々は、その画像に現れる事故車両の面が、前面であるか、側面であるか、背面であるかを示す情報を、各画像に紐付けて保持する。
【0028】
上記のような教師データ210を学習して生成された学習済みモデル112は、損傷の有無にかかわらず、車両の映像を含む画像が入力された場合に、当該画像に現れる車両の面が、前面であるか、側面であるか、背面であるかを判定する。判定装置101は、判定処理の初期の段階で、入力された画像に現れた車両の面を判定することにより、後述する他の判定処理の判定精度を向上している。
【0029】
図5は、部品判定部120が使用する学習済みモデル122を生成する場合に使用する教師データ220を例示する模式図である。教師データ220は、事故車両を撮影した多数の画像と、当該画像に現れる車両の面に関する情報と、当該車両の面毎に含まれる複数の車両部品を判定する情報とを、画像毎に含む。
【0030】
上記のような教師データ220を学習して生成された学習済みモデル122は、損傷の有無にかかわらず,車両の映像を含む画像が入力された場合に、当該面に含まれる車両部品を判定する。この場合、面判定部110による判定結果により画像に表示されている車両の面が既に判定されているので、部品判定部120は、高い精度で車両部品を判定できる。
【0031】
例えば、面判定部110による判定結果が前面である場合は、車両部品を判定する場合に、ドア、テールランプ等の部品を判定結果の候補から予め除くことができる。また、前面にのみ現れる、ヘッドライト、フロントバンパ、グリル、フロントウインドウ等の車両部品を、高い確率で判定できる。
【0032】
図6は、状態判定部130が使用する学習済みモデル132を生成する場合に使用する教師データ230を例示する模式図である。教師データ230は、事故車両を撮影した多数の画像と、当該画像に現れる車両の損傷箇所および損傷の程度に関する情報とを画像毎に保持する。
【0033】
ここで、事故車両における損傷の状態は、例えば、取替、脱着、大、中、小、および無の6段階で判定してもよい。取替は、補修せずに車両部品を交換しなければならない程度の損傷を意味する。脱着は、その車両部品自体は損傷を受けていないものの、損傷を受けた車両部品の交換または修理のために車体から一旦はずさなければならず、修理をする場合に脱着の工賃が生じる車両部品であることを意味する。
【0034】
大、中、小は、例えば、想定される修理の工数に応じて分類される。フェンダ等の金属パネルを例にあげれば、例えば、切り接ぎ等の加工を伴う修理が必要になる損傷、板金加工後に塗装が必要になる損傷、板金加工のみで修理か完了する損傷という風に分類してもよい。なお、無は、部品としては判定されたものの、損傷を受けていないものを指す。
【0035】
上記のような教師データ230を学習して生成された学習済みモデル132は、車両の映像を含む画像が入力された場合に、当該画像に含まれる車両部品の損傷の有無と各損傷の程度とを判定する。この場合、車両部品判定部120による判定結果により、画像に表示されている車両部品が既に判定されているので、状態判定部130は、高い精度で車両部品の損傷状態を判定できる。
【0036】
図7は、上記のようにして生成された学習済みモデル112、122、132を実装した判定装置101を用いた判定処理の手順を示す流れ図である。また、
図8から
図17は、判定装置101の判定処理の段階毎に表示装置152に表示される表示画像301から310を示す。これらの図面と、
図7とを随時参照しつつ、判定装置101を用いた判定処理を説明する。判定装置101で判定処理を実行する場合は、まず、判定対象となる画像を指定する(ステップS101)。
【0037】
図8は、判定装置101において、判定対象となる画像を指定する場合に、表示装置152に表示される表示画像301を示す図である。表示画像301は、画像表示領域311と、複数のボタン320、330、340とを含む。なお、以降の記載において、表示画像301に表示された画像であるボタン320、330、340等をポインティングデバイス154の操作によりポインタで指定することを、「ボタン320、330、340を押す」と記載する。
【0038】
表示画像301において、ファイル参照のボタン320を押すと、処理装置151のファイラにより、事故車両の画像が格納されたディレクトリが画像ファイルのアイコンを含んで表示される。そこで、ユーザは、表示画像301上の案内に従って、判定処理の対象となるファイルのアイコンを画像表示領域311にドロップする。
【0039】
図9に示すように、判定装置101は、判定対象として指定された画像ファイルを認識すると、表示装置152の表示画像302において、当該画像ファイルのサムネイルを画像表示領域311に表示する(
図7:ステップS102)。これにより、ユーザは、指定した画像ファイルを確認できる。
【0040】
また、画像表示領域311に、判定を意図しない画像ファイルが指定されていた場合は、当該画像ファイルのサムネイルを指定した上で、取り消しのボタン340を押すことにより、当該画像ファイルへの指定を取り消すことができる。次に、表示画像302において判定開始のボタン330を押すと、面判定部110による面を判定する処理が開始される(
図7:ステップS103)。
【0041】
図10は、表示装置152の表示画像303を示す図である。表示画像303は、指定された複数の画像のうちの最初の画像に対する面の判定が実行された結果を表示する。ここで、画像表示領域311には、判定の対象となった事故車両の画像が表示される(
図7:ステップS104)。
【0042】
また、画像表示領域311の図中右側には、チェックボックス312、数値表示領域313、および文字列表示領域314が表示される。チェックボックス312は、画像表示領域311に表示された画像内に現れた車両が、当該車両の前面を表示している可能性が高いことを示すために、判定装置101がチェックマークを自動的に表示している。数値表示領域313に表示された数値は、面判定部110が判定した結果、画像に現れる車両の面が前面である蓋然性を表している。この表示画像303では、文字列表示領域314は、判定候補をすべて列挙している。
【0043】
なお、チェックボックス312に対するチェックマーク表示の要否は、数値表示領域313に表示される判定結果の数値に対して予め定めた閾値で判断してもよい。また、先閾値を定めた場合に、複数の項目にチェックマークを表示する場合があってもよいし、必ず最上位の項目のみにチェックマークを表示してもよい。
【0044】
また、文字列表示領域314を含む表示領域への表示項目数も、予め定めた閾値よりも高い数値を示したもののみを表示してもよいし、予め定めた数までの上位項目を表示させてもよい。上記の例では、表示項目の総数が少ないので、数値の多寡にかかわらず、すべての項目を常時表示するようにしているが、このような表示方法に限定されないことはもちろんである。
【0045】
表示画像303において、画像表示領域311に表示された事故車両の画像と、チェックボックス312、数値表示領域313、および文字列表示領域314に表示された判定結果とを見比べることにより、ユーザは、面判定部110による判定結果を評価できる。表示画像303を見て判定結果が妥当だと判断した場合、ユーザは、例えば、次画像のボタン352を押して、次の画像に対する面の判定を実行する。また、前画像のボタン351を押して、前の画像に戻ることもできる。
【0046】
また、表示画像303を見て面判定部110による判定が妥当ではないと判断した場合は、チェックボックス312のチェックをポインティングデバイス154により移動させて、判定結果を修正できる。このように、チェックボックス312は、面判定部110による判定結果を表示する表示部であると同時に、ユーザによる修正を受け付ける修正受付部でもある。面判定部110による判定結果をユーザが修正した場合、面判定部110は、ユーザによる修正を、学習済みモデル112に反映させて、学習の深度を深めてもよい。
【0047】
図11に示す表示画像304は、表示画像303において次画像のボタン352が押され、他の画像に対する面の判定が実行された結果を示す。表示画像304に示す判定結果では、画像表示領域311に表示された画像に、車両の側面と背面とがいずれも大きな割合で含まれている。このため、面判定部110は、背面と側面の両方について、チェックボックス312にチェックを入れている。
【0048】
この場合、ユーザは、いずれかのチェックをはずして、表示画像を側面または背面の画像として以降の判定処理を実行してもよい。また、側面と背面両方の画像として判定処理を継続してもよい。また更に、面判定部110に、前面、側面、および背面に加えて、斜め前、斜め後を判定の候補に加えてもよい。
【0049】
以降、次画像のボタン352を押す毎に、面判定部110による判定は繰り返される。また、表示画像304において判定継続のボタン360を押すことにより、判定処理を、部品の判定の段階に進めてもよい(
図7:ステップS105)。
【0050】
図12は、表示装置152の表示画像305を示す図である。表示画像305は、指定された複数の画像のうちの最初の画像に対する部品の判定が実行された結果を表示している。画像表示領域311には、判定の対象となった事故車両の画像が表示される(
図7:ステップS106)。
【0051】
表示画像305の文字列表示領域314には、面判定部110により判定された面に現れ得る車両部品のリストが表示され、数値表示領域313には、部品判定の確度が表示される。更に、判定の確度が高い車両部品のチェックボックス312には、部品判定部120による判定結果としてのチェックマークが自動的に表示されている。
【0052】
なお、チェックボックス312に対するチェックマーク表示の要否は、数値表示領域313に表示される判定結果の数値に対して予め定めた閾値で判断してもよい。また、先閾値を定めた場合に、複数の項目にチェックマークを表示する場合があってもよいし、必ず最上位の項目のみにチェックマークを表示してもよい。上記の例では、数値表示領域313に表示される判定結果の数値が、例えば50%以上のものにチェックマークを表示した。
【0053】
また、文字列表示領域314を含む表示領域への表示項目数も、予め定めた閾値よりも高い数値を示したもののみを表示してもよいし、予め定めた数までの上位項目を表示させてもよい。数値の多寡にかかわらず、すべての項目を常時表示するようにしてもよい。
【0054】
表示画像305において、画像表示領域311に表示された事故車両の画像と、チェックボックス312、数値表示領域313、および文字列表示領域314に表示された判定結果とを見比べることにより、ユーザは、部品判定部120による判定結果を評価できる。表示画像305を見て判定結果が妥当だと判断した場合、ユーザは、例えば、次画像のボタン352を押して、次の画像に対する車両部品の判定を実行する。
【0055】
また、表示画像305を見て部品判定部120による判定が妥当ではないと判断した場合は、チェックボックス312のチェックをポインティングデバイス154により移動させて、判定結果を修正できる。このように、チェックボックス312は、部品判定部120による判定結果を表示する表示部であると同時に、ユーザによる修正を受け付ける修正受付部でもある。部品判定部120による判定結果をユーザが修正した場合、部品判定部120は、ユーザによる修正を、学習済みモデル122に反映させて、学習の深度を深めてもよい。
【0056】
図13に示す他の表示画像306は、表示画像305において次画像のボタン352が押され、他の画像に対する車両部品の判定が実行された結果を示す。画像表示領域311に表示された画像は、車両の側面と背面とを含んでいるものの、図示の例では、背面の画像として取り扱われている。このため、判定された車両部品も、車両の背面に集中している。
【0057】
以降、次画像のボタン352を押す毎に、異なる画像に対して部品判定部120による判定が繰り返される。また、表示画像306において判定継続のボタン360を押すことにより、判定処理を、部品の判定の段階に進めてもよい(
図7:ステップS107)。
【0058】
図14は、表示装置152の他の表示画像307を示す図である。表示画像307は、指定された複数の画像のうちの最初の画像に対する状態の判定が実行された結果を表示している。画像表示領域311には、判定の対象となった事故車両の画像が表示される(
図7:ステップS108)。
【0059】
表示画像307の文字列表示領域314には、部品判定部120により判定された車両部品に生じている損傷の程度を示す段階が列挙されており、数値表示領域313には、先の段階に対する画像中の確度が表示される。更に、判定の確度が高い損傷段階のチェックボックス312には、状態判定部130による判定結果としてチェックマークが自動的に表示されている。なお、表示画像305、306では判定継続のボタン360が表示されていた位置には、表示画像307では修理費用算出の開始を指示するボタン370が表示されている。
【0060】
なお、チェックボックス312に対するチェックマーク表示の要否は、数値表示領域313に表示される判定結果の数値に対して予め定めた閾値で判断してもよい。また、先閾値を定めた場合に、複数の項目にチェックマークを表示する場合があってもよいし、必ず最上位の項目のみにチェックマークを表示してもよい。
【0061】
また、文字列表示領域314を含む表示領域への表示項目数も、予め定めた閾値よりも高い数値を示したもののみを表示してもよいし、予め定めた数までの上位項目を表示させてもよい。上記の例では、表示項目の総数が少ないので、数値の多寡にかかわらず、すべての項目を常時表示するようにしているが、このような表示方法に限定されないことはもちろんである。
【0062】
表示画像307において、画像表示領域311に表示された事故車両の画像と、チェックボックス312、数値表示領域313、および文字列表示領域314に表示された判定結果とを見比べることにより、ユーザは、状態判定部130による判定結果を評価できる。表示画像307を見て判定結果が妥当だと判断した場合、ユーザは、例えば、次画像のボタン352を押して、次の画像に対する状態の判定を実行する。
【0063】
また、表示画像307を見て状態判定部130による判定が妥当ではないと判断した場合は、チェックボックス312のチェックをポインティングデバイス154により移動させて、判定結果を修正できる。このように、チェックボックス312は、状態判定部130による判定結果を表示する表示部であると同時に、ユーザによる修正を受け付ける修正受付部でもある。状態判定部130による判定結果をユーザが修正した場合、状態判定部130は、ユーザによる修正を、学習済みモデル132に反映させて、学習の深度を深めてもよい。
【0064】
図15に示す表示画像308は、表示画像307において次画像のボタン352が押された場合の表示画像308を示す。表示画像307において次画像のボタン352が押された場合、表示画像308の画像表示領域には、
図13に示した表示画像306のように他の車両の画像を表示するのではなく、同じ車両の画像が表示されている。ただし、画像表示領域において表示されている注目部品を示す点線の円は、表示画像307の場合と異なる車両部品を示している。
【0065】
これは、表示画像307に損傷箇所として表示されたフロントバンパを修理する場合には、表示画像308で示されたフェンダの脱着が不可避であることを意味している。このように、チェックボックス312に表示されている通り、車両部品の状態が脱着であると判定された場合は、損傷を受けていない車両部品が表示装置152に表示される場合もある。なお、表示画像308において費用算出の開始を指示するボタン370を押すことにより、処理を修理費用算出の段階に進めてもよい(
図7:ステップS109)。
【0066】
図16は、表示装置152の他の表示画像309を示す図である。表示画像309は、指定された複数の画像のうちの最初の画像に対する修理費用の算出が実行された結果を表示している。画像表示領域311には、判定の対象となった事故車両の画像が表示される(
図7:ステップS110)。
【0067】
表示画像309の文字列表示領域314には、部品判定部120により判定された車両部品に生じている損傷を修理する場合の費用の金額が表示される。なお、表示画像305、306では費用算出の開始を指示するボタン370が表示されていた位置には、表示画像310では終了のボタン380が表示されている。
【0068】
表示画像309において、画像表示領域311に表示された事故車両の画像と、文字列表示領域314に表示された算出結果とを見比べることにより、ユーザは、当初指定した(
図7:ステップS101)画像に表示されていた事故車両の修理金額を知ることができる。ここまでのステップで、面判定部110、部品判定部120、および状態判定部130の判定結果を修正しながら処理を進めていたので、判定装置101による判定結果は妥当なものになっている。よって、予め定められた料金表を参照することにより、正確な修理費用の金額を算出して表示できる。
【0069】
図17に示す表示画像310は、表示画像309において次画像のボタン352が押され、他の画像に係る修理費用が表示されている。以降、次画像のボタン352を押す毎に、異なる画像に対しても修理費用が表示される。また、表示画像310において終了のボタン380を押すことにより、判定装置101による判定処理が終了する。
【0070】
図18は、
図7に示したステップS107における他の手順を示す流れ図である。図示の手順は、状態判定部130による状態の判定処理を、更に、損傷位置の判定ステップS201と、損傷程度の判定ステップS202との2段階に分ける。
【0071】
このため、判定装置101における状態判定部130に替えて、損傷位置判定部と、損傷程度判定部とを設けてもよい。この場合、損傷位置判定部は、損傷位置に関する情報を含む損傷車両の画像ファイルを教師データとして生成した学習済みモデルを備え、部品判定部120の判定結果を取得して判定処理を実行する。
【0072】
また、損傷程度判定部は、損傷程度に関する情報を含む損傷車両の画像ファイルを教師データとして生成した学習済みモデルを備え、損傷位置判定部の出力を取得して判定処理を実行する。これにより、最終的に出力される事故車両の損傷に関する判定の精度が一層向上される。
【0073】
ただし、例えばフロントウンドウのように、損傷を受けた箇所を修理して再使用することがあり得ない車両部品については、損傷の有無だけが判定されればよい。従って、上記のように損傷位置を判定する機能を有する判定装置101であっても、損傷位置の判定処理を省いてもよい。
【0074】
図19は、
図18に示したステップS107の更に異なる手順を示す流れ図である。図示の手順では、損傷位置の判定(ステップS201)の後に、判定された損傷位置を拡大画像に変換した後に、損傷程度の判定(ステップS202)を実行する。これにより、最終的な判定精度を更に向上できる。
【0075】
図20は、
図7に示したステップS107におけるまた他の手順を示す流れ図である。図示の手順では、ステップS107または
図18、18に示したステップS202における損傷程度の判定(ステップS107、202)を、更に2ステップに分けている。
【0076】
このため、判定装置101における状態判定部130に替えて、第1損傷程度判定部と、第2損傷程度判定部とを設けてもよい。この場合、第1損傷程度判定部は、例えば、2段階の損傷程度に関する情報を含む損傷車両の画像ファイルを教師データとして生成した学習済みモデルを備え、部品判定部120の判定結果を取得して、事故車両の損傷程度を2段階に判定する判定処理を実行する。
【0077】
また、第2損傷程度判定部は、第1損傷程度判定部における2段階のそれぞれについて、3段階に分けた損傷程度に関する情報を含む損傷車両の画像ファイルを教師データとして生成した学習済みモデルを備える。これにより、第2損傷程度判定部は、第1損傷程度判定部の出力を取得して、更に詳細な判定処理を実行する。これにより、最終的に出力される事故車両の損傷に関する判定の精度が向上される。
【0078】
事故車両の画像を含み、教師データ210、220、230として使用できる情報を有する500枚の画像データを用意した。
図1に示した判定装置101に、
図19および
図20に示した手順を追加した状態で、500枚の画像データのうち、450枚を教師データとして使用して、学習済みモデル112、122、132を生成させた。更に、学習済みモデル112、122、132を実装した状態で、判定装置101に、残り50枚の画像データを検証画像として判定させた。
【0079】
その結果、面判定部110における面の判定(ステップS103:
図7)について、判定結果の正答率は96%であった。また、部品判定部120における部品の判定(ステップS105:
図7)について、判定結果の正答率は95%に達した。更に、判定された車両部品の各々について、損傷部位を判定させたところ、判定結果の正答率は70%であった。また更に、判定された損傷箇所の各々について、損傷程度を判定させたところ、判定結果の正答率は75%であった。
【0080】
なお、比較のために、画像データと損傷状態との関連性においてのみを学習させた学習済みモデルを用意して、上記の50枚の画像データを判定させたところ、正答率を53%以上に向上させることができなかった。なお、判定装置101により自動で判定された結果は、既に説明した通り、各段階でユーザが修正することができる。よって、各段階でユーザが判定結果を修正することにより、判定装置101全体としての正当率は更に向上させることができる。
【0081】
また、ユーザによる修正結果を学習済みモデル112、122、132の各々に反映させることにより、判定装置101による判定の精度を向上させた場合、ユーザの介入なしに、判定の過程をすべて判定装置101に任せることも可能になる。
【0082】
図21は、判定システム102のブロック図である。判定システム102は、次に説明する部分を除くと、
図1に示した判定装置101と同じ構成を有する。よって、共通の構成要素には同じ参照番号を付して、重複する説明を省く。
【0083】
判定システム102は、UI部150を含む端末装置159と、それ以外の要素とが、ネットワーク400を介して接続されている点において、判定装置101と異なる構成を有する。また、判定システム102は、複数の端末装置159を備える点においても、判定装置101と異なる構成を有する。
【0084】
判定システム102は、複数の端末装置159と、単一の判定サーバ100とを含む。判定サーバ100は、面判定部110、部品判定部120、状態判定部130、および修理費用算出部140と、それらに付帯する格納部111、121、131、141とを有する。格納部111、121、131、141には、学習済みモデル112、122、132および修理費用テーブル142が格納されている。
【0085】
上記のような判定システム102は、判定サーバ100を複数の端末装置159で共有するので、全体としてリソースの規模を削減できる。また、判定サーバは、複数の端末装置159から判定結果の修正を受け付けるので、高い判定精度を達成できる。
【0086】
なお、上記の例では、専ら車両の画像データに基づいて判定を実行した。しかしながら、学習済みモデル112、122、132の生成の段階と、判定の段階のそれぞれにおいて、検出対象の車種、車型、型式、グレード等の情報を参照してもよい。
【0087】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明した。本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0088】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。