特許第6643346号(P6643346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643346
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】固体撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/3745 20110101AFI20200130BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   H04N5/3745
   H01L27/146 A
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-542674(P2017-542674)
(86)(22)【出願日】2016年3月29日
(86)【国際出願番号】JP2016001812
(87)【国際公開番号】WO2017056346
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2019年1月10日
(31)【優先権主張番号】特願2015-190803(P2015-190803)
(32)【優先日】2015年9月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】515026362
【氏名又は名称】パナソニック・タワージャズセミコンダクター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田 真弘
(72)【発明者】
【氏名】大槻 浩久
【審査官】 橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0252437(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/119626(WO,A1)
【文献】 特開2012−217059(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0175685(US,A1)
【文献】 特開2011−133464(JP,A)
【文献】 特開2013−172210(JP,A)
【文献】 特開2008−103647(JP,A)
【文献】 特開2014−033054(JP,A)
【文献】 特開2013−084851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30−5/378
H01L 27/146
G01C 3/06
G01B 11/00
G01S 7/483
G01S 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に二次元配置された複数の画素を備えた固体撮像装置であって、
前記複数の画素の各々は、
各々光電変換により電荷を生成する2つのフォトダイオードと、
各々断面にて前記2つのフォトダイオードに挟まれた領域に互いに離して形成された第1及び第2のメモリ部と、
前記2つのフォトダイオードから前記第1のメモリ部へ電荷を読み出すための第1の読み出しゲートと、
前記2つのフォトダイオードから前記第2のメモリ部へ電荷を読み出すための第2の読み出しゲートとを有することを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の固体撮像装置において、
前記複数の画素は、前記半導体基板上にて千鳥状に配置されたことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の固体撮像装置において、
前記第1の読み出しゲートは、前記2つのフォトダイオードと前記第1のメモリ部とに跨がるように形成され、かつ、
前記第2の読み出しゲートは、前記2つのフォトダイオードと前記第2のメモリ部とに跨がるように形成されたことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の固体撮像装置において、
前記複数の画素の各々は、
前記第1及び第2のメモリ部に隣接してそれぞれ形成された第1及び第2のフローティングディフュージョン部と、
前記第1のメモリ部から前記第1のフローティングディフュージョン部へ電荷を転送するための第1の転送ゲートと、
前記第2のメモリ部から前記第2のフローティングディフュージョン部へ電荷を転送するための第2の転送ゲートと、
前記第1及び第2のフローティングディフュージョン部に共通に接続された増幅トランジスタとを更に有することを特徴とする固体撮像装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の固体撮像装置において、
前記2つのフォトダイオードは、前記第1及び第2のメモリ部の下部に延伸して配置されていることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の固体撮像装置において、
前記2つのフォトダイオードは、前記第1及び第2のメモリ部の下部を通じて互いに接続されていることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項7】
請求項2記載の固体撮像装置において、
前記複数の画素の各々は、
前記第1及び第2のメモリ部に隣接してそれぞれ形成された第1及び第2のフローティングディフュージョン部と、
前記第1のメモリ部から前記第1のフローティングディフュージョン部へ電荷を転送するための第1の転送ゲートと、
前記第2のメモリ部から前記第2のフローティングディフュージョン部へ電荷を転送するための第2の転送ゲートとを更に有し、
千鳥状に配置された前記複数の画素のうち互いに隣接する2つの画素の各々の前記第1又は第2のフローティングディフュージョン部に共通に接続された増幅トランジスタを更に備えたことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の固体撮像装置において、
前記複数の画素の各々は、
前記2つのフォトダイオードのうちの一方から前記第2のメモリ部への電荷の読み出しを妨げるようにポテンシャルバリアとして形成された第1のバリア部と、
前記2つのフォトダイオードのうちの他方から前記第1のメモリ部への電荷の読み出しを妨げるようにポテンシャルバリアとして形成された第2のバリア部とを更に有することを特徴とする固体撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離測定に利用できる固体撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、距離測定に光飛行時間(TOF:time of flight)法を採用した固体撮像装置が知られている。発光ダイオード(LED:light emitting diode)からパルス状の光が対象物に照射され、当該対象物からの反射光による画像を固体撮像装置で検出して、照射光に対する反射光の遅延時間をもとに距離情報を取得するものである。
【0003】
具体的には、例えば電荷振り分け方式と呼ばれる画素構造が採用される。これは、光電変換により電荷を生成する1つのフォトダイオードに複数の容量を接続し、LEDの発光に同期してフォトダイオードから異なるタイミングで各容量に電荷を読み出して分離蓄積し、各容量に蓄積された電荷の量をもとに対象物までの距離を計算するものである(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−89346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記電荷振り分け方式による従来の画素構造では、フォトダイオードが大きいため、フォトダイオードから電荷を読み出すための電界を効果的に形成することができなかった。また、フォトダイオードからの電荷移動距離が大きかった。したがって、TOFに対して十分に短い時間のうちにフォトダイオードから電荷を読み出すことが困難であった。
【0006】
本発明の目的は、固体撮像装置におけるフォトダイオードからの電荷の読み出し速度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、1つの画素を構成するフォトダイオードを複数の小フォトダイオードに分割し、その間に電荷蓄積のための複数のメモリ部を配置することとしたものである。
【0008】
本発明の1つの側面による固体撮像装置は、半導体基板上に二次元配置された複数の画素を備えた固体撮像装置であって、複数の画素の各々は、各々光電変換により電荷を生成する2つのフォトダイオードと、各々断面にて当該2つのフォトダイオードに挟まれた領域に互いに離して形成された第1及び第2のメモリ部と、当該2つのフォトダイオードから第1のメモリ部へ電荷を読み出すための第1の読み出しゲートと、当該2つのフォトダイオードから第2のメモリ部へ電荷を読み出すための第2の読み出しゲートとを有することを特徴とする。
【0009】
2つのフォトダイオードの各々で生成された電荷のうちの一部は、第1の読み出しゲートを駆動することにより、2つのフォトダイオードに挟まれた第1のメモリ部へ高速に読み出される。2つのフォトダイオードの各々で生成された電荷のうちの他の一部は、第1の読み出しゲートとは別のタイミングで第2の読み出しゲートを駆動することにより、2つのフォトダイオードに挟まれた第2のメモリ部へ高速に読み出される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、1つの画素を構成するフォトダイオードを複数の小フォトダイオードに分割し、その間に電荷蓄積のための複数のメモリ部を配置することとしたので、フォトダイオードからメモリ部への電荷移動距離が短縮される結果、固体撮像装置におけるフォトダイオードからの電荷の読み出し速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る固体撮像装置における画素構造を示す平面図である。
図2図1のII−II断面図である。
図3図1のIII−III断面図である。
図4図1のIV−IV断面図である。
図5図1の固体撮像装置中の1つの画素の回路図である。
図6図1の固体撮像装置における対象物までの距離測定の原理を説明するためのタイミング図である。
図7図1の固体撮像装置の動作を説明するためのタイミング図である。
図8図3の変形例を示す断面図である。
図9図3の他の変形例を示す断面図である。
図10図1の変形例を示す平面図である。
図11図1の他の変形例を示す平面図である。
図12図1の画素と図11の画素とを混在させた撮像領域の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る固体撮像装置における画素構造を示す平面図である。図1の固体撮像装置は、半導体基板上に二次元配置された複数の画素を備える。図1には、縦:横の寸法比がほぼ1:2の矩形に形成された1つの画素100と、その周辺に千鳥状に配置された他の画素とが示されている。当該他の画素も、図1に詳細を示した画素100と同様の形状及び構造を備えている。
【0013】
各画素100は、第1及び第2のフォトダイオードPD1,PD2と、第1及び第2のメモリ部MEM1,MEM2と、第1及び第2の読み出しゲートRG1,RG2と、オーバーフロードレインOFDと、第1及び第2のフローティングディフュージョン部FD1,FD2と、第1及び第2の転送ゲートTG1,TG2と、リセットトランジスタRSと、ソースフォロワ(増幅トランジスタ)SFとを有する。第1及び第2のフローティングディフュージョン部FD1,FD2と、リセットトランジスタRSのドレインと、ソースフォロワSFのゲートとは、メタル配線5により互いに接続されている。
【0014】
第1及び第2のフォトダイオードPD1,PD2は、各々光電変換により電荷を生成する素子であって、互いに離して形成されている。第1及び第2のメモリ部MEM1,MEM2は、各々断面にて第1及び第2のフォトダイオードPD1,PD2に挟まれた領域に、互いに離して形成されている。第1の読み出しゲートRG1は、第1及び第2のフォトダイオードPD1,PD2から第1のメモリ部MEM1へ電荷を読み出すように第1及び第2のフォトダイオードPD1,PD2と第1のメモリ部MEM1とに跨がるようにポリシリコン層で形成されたゲートである。第2の読み出しゲートRG2は、第1及び第2のフォトダイオードPD1,PD2から第2のメモリ部MEM2へ電荷を読み出すように第1及び第2のフォトダイオードPD1,PD2と第2のメモリ部MEM2とに跨がるようにポリシリコン層で形成されたゲートである。オーバーフロードレインOFDは、第1及び第2のフォトダイオードPD1,PD2から過剰電荷を排出するためのドレインであって、第1及び第2のフォトダイオードPD1,PD2の各々にて第1及び第2のメモリ部MEM1,MEM2とは反対側に設けられている。
【0015】
第1及び第2のフローティングディフュージョン部FD1,FD2は、第1及び第2のメモリ部MEM1,MEM2に隣接してそれぞれ形成されている。第1の転送ゲートTG1は、第1のメモリ部MEM1から第1のフローティングディフュージョン部FD1へ電荷を転送するためのポリシリコン層からなるゲートである。第2の転送ゲートTG2は、第2のメモリ部MEM2から第2のフローティングディフュージョン部FD2へ電荷を転送するためのポリシリコン層からなるゲートである。
【0016】
リセットトランジスタRSは、第1及び第2のフローティングディフュージョン部FD1,FD2の蓄積電荷をリセットするためのトランジスタである。ソースフォロワSFは、第1及び第2のフローティングディフュージョン部FD1,FD2の蓄積電荷に応じた電圧信号を出力するためのトランジスタである。図1中のPWは、n型の半導体基板に設けられたpウェルへのコンタクトを表している。
【0017】
図2は、図1のII−II断面図である。シリコンからなる半導体基板9の表面にて、STI(shallow trench isolation)からなる素子分離部10を挟んで第1及び第2のフォトダイオードPD1,PD2が形成されている。第1及び第2のフォトダイオードPD1,PD2の外側には、それぞれオーバーフロードレインOFDをなす拡散層が形成されている。半導体基板9の表面上には、各種ゲートをなすポリシリコン層11と、メタル配線層12とが順次形成されている。更に、図1では不図示のレンズ13が、第1及び第2のフォトダイオードPD1,PD2への効果的な集光のために設けられている。
【0018】
図3は、図1のIII−III断面図である。図3に示すように、第1のメモリ部MEM1は、断面にて第1のフォトダイオードPD1と第2のフォトダイオードPD2とに挟まれた領域に形成されている。第1の読み出しゲートRG1は、第1及び第2のフォトダイオードPD1,PD2と第1のメモリ部MEM1とに跨がるポリシリコン層11として形成されている。更に、第1のメモリ部MEM1への光の侵入を防ぐために、図1では不図示の遮光膜14が、例えばタングステン又はタングステンナイトライドを用いて、第1の読み出しゲートRG1の上面及び側面を覆うように形成されている。図3に示された2つの「FD」は、それぞれ隣接画素のフローティングディフュージョン部である。
【0019】
図4は、図1のIV−IV断面図である。半導体基板9の表面にて、STIからなる素子分離部10を挟んで第1及び第2のメモリ部MEM1,MEM2が形成されている。第1及び第2のフローティングディフュージョン部FD1,FD2は、第1及び第2のメモリ部MEM1,MEM2に隣接してそれぞれ形成されている。第1の転送ゲートTG1は、第1のメモリ部MEM1から第1のフローティングディフュージョン部FD1へ電荷を転送するためのポリシリコン層11からなるゲートである。第2の転送ゲートTG2は、第2のメモリ部MEM2から第2のフローティングディフュージョン部FD2へ電荷を転送するためのポリシリコン層11からなるゲートである。
【0020】
図5は、図1の固体撮像装置中の1つの画素100の回路図である。第1及び第2のフォトダイオードPD1,PD2は、それぞれオーバーフロードレインOFDを介して電源VDDに接続されている。また、第1及び第2のフォトダイオードPD1,PD2は、第1の読み出しゲートRG1を介して第1のメモリ部MEM1に、第2の読み出しゲートRG2を介して第2のメモリ部MEM2にそれぞれ接続されている。そして、第1のメモリ部MEM1は第1の転送ゲートTG1を介して第1のフローティングディフュージョン部FD1に、第2のメモリ部MEM2は第2の転送ゲートTG2を介して第2のフローティングディフュージョン部FD2にそれぞれ接続されている。ここで、前述のように第1及び第2のフローティングディフュージョン部FD1,FD2はメタル配線5により互いに接続されているので、図5では単一のフローティングディフュージョン部FD1/FD2として表示されている。このフローティングディフュージョン部FD1/FD2は、リセットトランジスタRSを介して電源VDDCに接続されるとともに、ソースフォロワSFのゲートにも接続されている。ソースフォロワSFは、電源VDDと信号線SIGとの間に介在したトランジスタである。
【0021】
図6は、図1の固体撮像装置における対象物までの距離測定の原理を説明するためのタイミング図である。ここでは、LEDからパルス状の光が照射される対象物までの距離をLとし、時刻t11から時刻t13までのLEDの点灯時間をTpとする。照射光が対象物で反射されて固体撮像装置へ戻ってくるまでに、光は速度c(=3.0×10m/s)で距離2Lだけ進む。したがって、照射光に対する受信光の遅延時間をΔtとすると、
L=c×(Δt/2) …(1)
が成り立つ。受信光は、時刻t11から時間Δtだけ経過した時刻t12に立ち上がり、時刻t13から時間Δtだけ経過した時刻t14に立ち下がる。したがって、第1及び第2のフォトダイオードPD1,PD2は、時刻t12から時刻t14までの間だけ光電変換により電荷を生成する。
【0022】
一方、第1の読み出しゲートRG1は時刻t11から時刻t13までの時間Tpだけ開かれ、第2の読み出しゲートRG2は時刻t13から始まる時間Tpだけ開かれる。ここで、第1の読み出しゲートRG1により第1のメモリ部MEM1に読み出された電荷の量をS1とし、第2の読み出しゲートRG2により第2のメモリ部MEM2に読み出された電荷の量をS2とすると、
Δt/Tp=S2/(S1+S2) …(2)
の関係が成立する。式(1)、(2)から、
L=(c×Tp)/2 × S2/(S1+S2) …(3)
が成り立つ。つまり、第1及び第2のメモリ部MEM1,MEM2に振り分けられた電荷の量S1,S2をもとに、対象物までの距離Lを求めることができる。
【0023】
図7は、図1の固体撮像装置の動作を説明するためのタイミング図である。時刻t0までをリセット期間T0とし、時刻t0から時刻t1までを信号蓄積期間T1とし、時刻t1から信号読み出し期間T2が始まるものとする。
【0024】
リセット期間T0では、オーバーフロードレインOFDはオフであり、第1及び第2の転送ゲートTG1,TG2はオンであり、電源VDDCはオンであり、リセットトランジスタRSはオンである。次に、LEDを点滅させるとともに、第1及び第2の読み出しゲートRG1,RG2を互い違いにパルス駆動する。このとき、第1及び第2のフォトダイオードPD1,PD2で生成された電荷は第1及び第2のメモリ部MEM1,MEM2に流れるが第1及び第2の転送ゲートTG1,TG2がオン状態のため、電荷は第1及び第2のメモリ部MEM1,MEM2に蓄積されずにリセットトランジスタRSを通して電源VDDに流れていく。
【0025】
次に、第1及び第2の転送ゲートTG1,TG2、電源VDDC、リセットトランジスタRSをいずれもオフにする。ここから信号蓄積期間T1が始まる。信号蓄積期間T1ではLEDが点滅しており、その反射光が第1及び第2のフォトダイオードPD1,PD2で光電変換される。このとき、第1及び第2の読み出しゲートRG1,RG2は互い違いにパルス駆動されているため、第1及び第2のフォトダイオードPD1,PD2で生成された電荷は、上述の遅延時間Δtの長さに応じて、第1のメモリ部MEM1と第2のメモリ部MEM2とに振り分けられる。この電荷振り分け動作は、好ましくは複数回繰り返される。その結果、第1及び第2のメモリ部MEM1,MEM2にそれぞれ所要の信号電荷S1,S2が蓄積される。
【0026】
次に、第1及び第2の読み出しゲートRG1,RG2のパルス駆動を止め、オーバーフロードレインOFDをオンにする。ここから信号読み出し期間T2が始まる。信号読み出し期間T2では、フローティングディフュージョン部FD1/FD2への選択的な電荷転送が第1及び第2の転送ゲートTG1,TG2の制御により達成される。つまり、第1の転送ゲートTG1を開くと第1のメモリ部MEM1の蓄積電荷がフローティングディフュージョン部FD1/FD2へ転送され、第2の転送ゲートTG2を開くと第2のメモリ部MEM2の蓄積電荷がフローティングディフュージョン部FD1/FD2へ転送されるのである。この信号読み出し期間T2における駆動の詳細な説明は省略する。
【0027】
以上のように、本実施形態によれば、1つの画素100を構成するフォトダイオードを2つの小フォトダイオードPD1,PD2に分割し、その間に電荷蓄積のための2つのメモリ部MEM1,MEM2を配置することとしたので、フォトダイオードPD1,PD2からメモリ部MEM1,MEM2への電荷移動距離が短縮される結果、フォトダイオードPD1,PD2からの電荷の読み出し速度が向上する。
【0028】
また、複数の画素の配置を千鳥状とすることで面積効率が向上するので、フォトダイオードPD1,PD2及びメモリ部MEM1,MEM2に大きい面積を確保することが可能となり、より多くの信号電荷を扱うことが可能となる。
【0029】
また、2つの転送ゲートTG1,TG2により選択的に信号電荷を転送される第1及び第2のフローティングディフュージョン部FD1,FD2をメタル配線5で接続し、信号出力のための増幅トランジスタであるソースフォロワSFを第1及び第2のフローティングディフュージョン部FD1,FD2に共通に接続することで、出力信号のばらつきを抑制することが可能となり、より精度の高い距離測定が可能となる。
【0030】
なお、本実施形態ではメモリ部MEM1,MEM2の上部全面にそれぞれ読み出しゲートRG1,RG2を配置しているが、フォトダイオードPD1,PD2とメモリ部MEM1,MEM2との境界にのみ読み出しゲートRG1,RG2を配置してもよい。
【0031】
また、素子分離部10にSTIを使用しているが、注入による素子分離を採用してもよい。また、半導体基板9はn型基板に限らず、p型基板でもよい。
【0032】
また、オンチップのカラーフィルタ層を、メタル配線層12の開口部へ埋め込む構造、あるいはメタル配線層12とレンズ13との間に有する構造、あるいはレンズ13の上部に有する構造としてもよい。
【0033】
図8は、図3の変形例を示す断面図である。図8に示すように、各フォトダイオードPD1,PD2がメモリ部MEM1,MEM2の下部に延伸して配置されていてもよい。このような構成とすることで、フォトダイオードPD1,PD2の面積をより大きく形成することが可能となる。
【0034】
図9は、図3の他の変形例を示す断面図である。図9の例では、2つのフォトダイオードPD1,PD2がメモリ部MEM1,MEM2の下部を通じて互いに接続されている。このような構成とすることで、フォトダイオードPD1,PD2の面積を更に大きく形成することが可能となる。
【0035】
図10は、図1の変形例を示す平面図である。図10の中央に示された画素200は、図1中の画素100と同様に、第1及び第2のフォトダイオードPD1,PD2と、第1及び第2のメモリ部MEM1,MEM2と、第1及び第2の読み出しゲートRG1,RG2と、オーバーフロードレインOFDと、第1及び第2のフローティングディフュージョン部FD1,FD2と、第1及び第2の転送ゲートTG1,TG2とを有する。図10では、当該画素200の第1のフローティングディフュージョン部FD1と、その周囲に千鳥状に配置された複数の画素のうち図面上で左上に隣接する画素の第1のフローティングディフュージョン部FD1と、リセットトランジスタRSのドレインと、ソースフォロワSFのゲートとが、メタル配線5により互いに接続されている。また、当該画素200の第2のフローティングディフュージョン部FD2と、その周囲に千鳥状に配置された複数の画素のうち図面上で左下に隣接する画素の第2のフローティングディフュージョン部FD2と、ソースフォロワSFのゲートとが、メタル配線6により互いに接続されている。
【0036】
図10の構成によれば、信号出力のための増幅トランジスタであるソースフォロワSFを互いに隣接する2つの画素の各々の第1又は第2のフローティングディフュージョン部FD1,FD2に共通に接続することで、例えば画素200の第1及び第2のフローティングディフュージョン部FD1,FD2の各々の蓄積電荷の信号を同時に出力することが可能となる。したがって、後段の演算回路にてデータ一時記憶のためのメモリを省略できるという効果がある。
【0037】
図11は、図1の他の変形例を示す平面図である。図11は、図1中の1つの画素100を互いに独立した2つの画素300に分割した例を示している。図11中のBAR1は、第1のフォトダイオードPD1から第2のメモリ部MEM2への電荷の読み出しを妨げるようにイオン注入によりポテンシャルバリアとして形成された第1のバリア部である。また、BAR2は、第2のフォトダイオードPD2から第1のメモリ部MEM1への電荷の読み出しを妨げるようにイオン注入によりポテンシャルバリアとして形成された第2のバリア部である。
【0038】
図11の構成によれば、第1のフォトダイオードPD1で光電変換により生成された電荷は第1及び第2のメモリ部MEM1,MEM2のうち第1のメモリ部MEM1のみへ、第2のフォトダイオードPD2で光電変換により生成された電荷は第1及び第2のメモリ部MEM1,MEM2のうち第2のメモリ部MEM2のみへそれぞれ読み出しが可能である。したがって、図11の画素300は、通常の画像を取得するための互いに独立した2つの画素として動作する。しかも、図1の画素100と図11の画素300とは、第1及び第2のバリア部BAR1,BAR2の有無のみで簡単に作り分けることができる。
【0039】
図12は、図1の画素100と図11の画素300とを混在させた撮像領域の例を示す平面図である。図12の撮像領域20は、行列状に二次元配置された複数の画素を備える。この撮像領域20のうち奇数番目の行R1,R3,R5は、通常の画像取得のための図11の画素300を並べて構成される。一方、偶数番目の行R2,R4,R6は、距離測定のための図1の画素100を並べて構成される。つまり、1つの半導体基板上に2種類の画素が混載されており、固体撮像装置の利用範囲が広がる。
【0040】
図1の画素100と図11の画素300との並びは、図12に示すような例に制限されるものではない。例えば、図1の画素100を多く配置することも、反対に図11の画素300を多く配置することも可能である。また、行毎に限らず、列毎に画素を作り分けることも可能である。更に、特殊な規則性を持って画素を並べることも可能であり、その配置は自由である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上説明してきたように、本発明に係る固体撮像装置は、フォトダイオードからの電荷の読み出し速度を向上させることができる効果を有し、距離測定に利用できる固体撮像装置として有用である。
【符号の説明】
【0042】
5,6 メタル配線
9 半導体基板
10 素子分離部
11 ポリシリコン層
12 メタル配線層
13 レンズ
14 遮光膜
20 撮像領域
100,200,300 画素
FD1,FD2 フローティングディフュージョン部
MEM1,MEM2 メモリ部
OFD オーバーフロードレイン
PD1,PD2 フォトダイオード
PW pウェル
RG1,RG2 (フォトダイオードからメモリ部への)読み出しゲート
RS リセットトランジスタ
SF ソースフォロワ(増幅トランジスタ)
SIG 信号線
TG1,TG2 (メモリ部からフローティングディフュージョン部への)転送ゲート
VDD,VDDC 電源
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11
図12