【実施例】
【0079】
<製造例1>テンプレート製造
(1)Template_BAの製造
Bacillus anthracisの病原菌遺伝子
配列に基づいてBacillus anthracisに特異 的なテンプレート(Template_BA)、即ち、Bacillus anthracisに特異的に結合する テンプレート(Template_BA)(
配列番号10)を製造した(Integrated DNA Technology, San Jose,CA, USA)。Template_BAは次のように標的遺伝子(Bacillus anthracisの病原菌遺伝子)と相補的に結合する結合部位、即ち病原菌の相補的部位(Pathogen complementary site)(20mer、白地に濃い字)、ダンベル形態を形成するためのテンプレート内の相補的な結合部位、即ち、テンプレート内の相補的な領域(21merx2、総42mer、イタリック体)、前記プライマーに相補的に結合する結合部位、即ち、プライマー固定化領域(Primer immobilization region)(37mer)で構成され、そのうち、プライマーに相補的に結合する結合部位をイタリック体にアンダーラインして示した。
【0080】
5’/5Phos/TTT GAA ATG GAG AAA ATC GAA GTA CTC AGC GTA AGT TTA GAG GTA GCA TGC TAG TAT CGA CGT ACG TAC CAA CTT ACG CTG AGT ACT TCG ATTTGA GCG-3’
【0081】
(2)Template_Eの製造
エボラウイルスの病原菌遺伝子
配列に基づいてエボラウイルスsに特異的なテンプレート(Template_E)、即ち、Ebola virusに特異的に結合するテンプレート(Template_E)
(
配列番号11)を製造した。Template_Eは標的遺伝子(Ebola virusの病原菌遺伝子)と相補的に結合する結合部位、即ち病原菌の相補的部位(Pathogen complementary site)(25mer、白地に濃い字)、ダンベル形態を形成するためのテンプレート内の相補的な結合部位、即ち、テンプレート内の相補的な領域(21merx2、総42mer、イタリック体)、前記プライマーに相補的に結合する結合部位、即ち、プライマー固定化領域(Primer immobilization region)(37mer)で構成され、そのうち、プライマーに相補的に結合する結合部位をイタリック体にアンダーラインして示した。
【0082】
5’/5Phos/GA CGC ACG CGA ATC GAA GTA CTC AGC GTA AGT TTA GAG GTA GCA TGC TAG TAT CGA CGT ACG TAC CAA CTT ACG CTG A GT ACT TCG ATT AAC GAG AAA TCG CAC-3’
【0083】
<実施例1>標的遺伝子検出用微細流動装置
本発明の標的遺伝子検出用微細流動装置の構成の一具体例を
図1乃至3を参照して説明する。
【0084】
図1を参照すると、本発明の標的遺伝子検出用微細流動装置は、基板100;基板の上に形成された試料溶液が外部から流入する流入口101;流入口と連結されて流入した試料溶液を収容する第1流路102;第1流路と連結された第2流路103;第2流路と連結された排出口104を含む。前記第2流路103は第1流路と連結されて2つ以上(例えば、3個に)に分岐できる。
図3を参照すると、本発明の標的遺伝子検出用微細流動装置は、前記第2流路上に固定されたプライマー;及び前記プライマーに相補的に結合されたテンプレートを含む。
図2を参照すると、前記テンプレートは標的遺伝子と相補的に結合する結合部位(例えば、complementary to pathogen)、前記プライマーに相補的に結合する 結合部位(Primer binding region)、ダンベル形態を形成するためのテンプレート内の相補的な結合部位(dumbbel shape template)を含む。また、前記標的遺伝子と相補的に結合する結合部位はテンプレートの両末端に分離されて形成され、前記プライマーに相補的に結合する結合部位は分離されて形成された前記ダンベル形態を形成するためのテンプレート内の相補的な結合部位の間に形成される。即ち、
図2のAに示すように、前記テンプレートの線形構造は‘第1標的遺伝子結合部位’−‘第1テンプレート内の相補的な結合部位’−‘プライマー結合部’−‘第2テンプレート内の相補的な結合部位’−‘第2標的遺伝子結合部位’構造である。
図12のAに示すように、前記第2流路上に固定されたプライマーに、前記テンプレートのプライマー結合部が相補的に結合した状態にあるようになる。
【0085】
第2流路上にプライマーの固定を容易にするために第2流路はプライマーと互いに結合できる官能基を有するようにコーティングできる。前記プライマーやはり第2流路上の官能基と結合できる官能基を有するように変形できる。
【0086】
<実施例2>標的遺伝子検出用微細流動装置(病原菌遺伝子検出用装置)の製造
実施例2−1.単一標的遺伝子検出用微細流動装置の製造方法{単一病原菌(Bacillus anthracis)遺伝子検出用微細流動装置の製造方法}
ステップ1:微細流動装置を提供するステップ
本発明の一実施例に標的遺伝子検出用微細流動装置(病原菌遺伝子検出用装置を製造する微細流動装置{1III3in1uncoated Microscopy Chamber(ibidi)}を 準備した。本発明の微細流動装置は、基板100;基板の上に形成された試料溶液が外部から流入する流入口101;流入口と連結されて流入した試料溶液を収容する第1流路102;第1流路と連結された第2流路103;第2流路と連結された排出口104を含む(
図1参照)。前記第2流路103は第1流路と連結されて2つ以上(例えば、3個に)に分岐できる。
【0087】
ステップ2:微細流動装置の第2流路をコーティングするステップ
5−ヒドロキシドーパミン塩酸(5-hydroxydopamine HCl)(Sigma Ald rich)を1mg/mlで10mM Tris buffer(1M UltraPure 1M Tris-HCl pH 8.0/Invitrogen)に溶かした。その後、pHを8に合せてコーティング用組成物を製造した。前記コーティング用組成物で装置(1III3in1uncoated Microscopy Cham ber(ibidi))の第2流路を詰めた。2時間後、DDW(Water Purification System/LABOGENE)で洗浄(washing)した。
【0088】
ステップ3:前記コーティングされた第2流路上にテンプレートと結合できるプライマーを固定化する(結合させる)ステップ
プライマーにはPrimer-5SS-polyA9(BIONEER)(
配列番号9)を使用した。
前記プライマー100pmolと5M DTT(DL-Dithiothreitol/Sigma Al drich)を準備した後、100pmolプライマーに5M DTT5μLを加えた後、 総50μLになるようにDDW(Water Purification System/LABOGENE)を追加 した。プライマーの二硫化結合(disulfide bond)を切るために(broken)DTT 処理を4時間の間進行後、3Kアミコンチューブ(amicon tube)(Amicon Ultra Centrifugal Filters 3K / MILLIPORE)を用いて反応後に残っているDTTを除去 した(eppendorf Centrifuge 5415R)(132,000rpm、4℃、25分で1 回遠心分離の以後40μLDDWを入れて、また132,000rpm、4℃、25分で遠心分離してDTTをきれいに除去するために総2回遠心分離した)。DTTを除去して残った溶液を3個の分岐を有する各々の第2流路(channel)103に5μL(1番流路;
図1の第2流路の左側分岐)、5μL(2番流路;
図1の第2流路の中間の分岐)、5μL(3番流路;
図1の第2流路の右側分岐)の順に入れて2時間待った後、DDW(Water Purification System/LABOGENE)洗浄(washing) した。
【0089】
ステップ4:標的遺伝子と相補的に結合する結合部位、前記プライマーに相補的に結合する結合部位、ダンベル形態を形成するためのテンプレート内の相補的な結合部位を含むテンプレートを前記プライマーに結合させるステップ(プライマー−テンプレート結合ステップ)
図1を参照すると、各々の排出口104を通じて第2流路103にテンプレートを加えて分岐されている第2流路103上に固定されたプライマーと各々のテンプレートを結合させて固定できるようにした。対照群(Negative Control) はテンプレートを加えないものを使用した。具体的に、3個の分岐を有する第2流路のうち、2番流路(
図1の第2流路の中間の分岐)にはBacillus anthracisに対するテンプレート(Template_B_A)(
配列番号10)を加え、1番流路及び3番流路は対照群(Negative Control)にした。具体的に、100Template _B_A 0.2μL(=20pmole)に1X PBS(lifetechnoligies社による gibco)を詰めて5μLになるようにした後、2番流路に入れて、1番流路及び3番流路は1X PBS(lifetechnoligies社によるgibco)6μLで詰めた。2時間放置した 後、DDW(Water Purification System/LABOGENE)洗浄した。
【0090】
実施例2−2.2以上の標的遺伝子検出用微細流動装置の製造方法{2以上の病原菌(Bacillus anthracis及びEbola virus)遺伝子検出用微細流動装置の製造 方法}
ステップ1:微細流動装置を提供するステップ
本発明の一実施例に標的遺伝子検出用微細流動装置(病原菌遺伝子検出用装置を製造する微細流動装置{1III3in1uncoated Microscopy Chamber(ibidi)}を 準備した。本発明の微細流動装置は、基板100;基板の上に形成された試料溶液が外部から流入する流入口101;流入口と連結されて流入した試料溶液を収容する第1流路102;第1流路と連結された第2流路103;第2流路と連結された排出口104を含む(
図1参照)。前記第2流路103は第1流路と連結されて2つ以上(例えば、3個に)に分岐できる。
【0091】
ステップ2:微細流動装置の第2流路をコーティングするステップ
5−ヒドロキシドーパミン塩酸(5-hydroxydopamine HCl)(Sigma Ald rich)を1mg/mlで10mM Tris buffer(1M UltraPure 1M Tris-HCl pH 8.0/Invitrogen)に溶かした。その後、pHを8に合せてコーティング用組成物を製造した。前記コーティング用組成物で装置(1III3in1uncoated Microscopy Cham ber(ibidi))の第2流路を詰めた。2時間後、DDW(Water Purification Syste m/LABOGENE)で洗浄(washing)した。
【0092】
ステップ3:前記コーティングされた第2流路上にテンプレートと結合できるプライマーを固定化する(結合させる)ステップ
プライマーにはPrimer-5SS-polyA9(BIONEER)(
配列番号9)を使用した。
前記プライマー100pmolと5M DTT(DL-Dithiothreitol/Sigma Aldrich)を準備した後、100pmolプライマーに5M DTT 5μLを加えた後 、総50μLになるようにDDW(Water Purification System/LABOGENE)を追加した。プライマーの二硫化結合(disulfide bond)を切るために(broken)DTT処理を4時間の間進行後、3Kアミコンチューブ(amicon tube)(Amicon Ultra Centrifugal Filters 3K/MILLIPRORE)を用いて反応後に残っているDTTを除去した(eppendorf Centrifuge 5415R)(132,000rpm、4℃、25分で1 回遠心分離の以後、40μLDDWを入れて、また132,000rpm、4℃、25分で遠心分離してDTTをきれいに除去するために総2回遠心分離した)。DTTを除去して残った溶液を3個の分岐を有する各々の第2流路(channel)103に5μL(1番流路;
図1の第2流路の左側分岐)、5μL(2番流路;
図1の第2流路の中間の分岐)、5μL(3番流路;
図1の第2流路の右側分岐)の順に入れて2時間待った後、DDW(Water Purification System/LABOGENE)洗浄(washing) した。
これにより微細流動装置の第2流路上にはプライマーが固定化できる(
図3のA参照)。
【0093】
ステップ4:標的遺伝子と相補的に結合する結合部位、前記プライマーに相補的に結合する結合部位、ダンベル形態を形成するためのテンプレート内の相補的な結合部位を含むテンプレートを前記プライマーに結合させるステップ(プライマー−テンプレート結合ステップ)
図1を参照すると、各々の排出口104を通じて第2流路103にテンプレートを加えて分岐されている第2流路103上に固定されたプライマーと各々のテンプレートを結合させて固定できるようにした。対照群(Negative Control)はテンプレートを加えないことを使用した。具体的に、3個の分岐を有する第2流路のうち、2番流路(
図1の第2流路の中間の分岐)にはEbola virusに対 するテンプレート(Template_E)を加え、3番流路(
図1の第2流路の左側分岐)にはBacillus anthracisに対するテンプレート(Template_B_A)を加え、1番流路 は対照群(Negative Control)にした。具体的に、100Template_E(
配列番号11)0.24μL(=24pmole)に1X PBS(lifetechnoligies社によるgibco)を詰めて6μLになるようにした後、3番流路に入れた。100Template_B_A(
配列番号10)0.2μL(=20pmole)に1X PBS(lifetechnoligies社によるgibco)を詰めて5μLになるようにした後、2番流路に入れて、3番流路は1X PBS(lifetechnoligies社によるgibco)6μLで詰めた。1時間放置した後、DDW(Water Purification System/LABOGENE)洗浄した。
これによって、前記第2流路上に固定化されたプライマーとテンプレートが結合できる(
図3のB参照)。各々の第2流路の分岐上に固定化されたプライマーに特定の病原菌の遺伝子が認識できる互いに異なるテンプレートが結合されることができ、これを通じて一回に多数の標的遺伝子が検出できるようにする。
【0094】
<実施例3>標的遺伝子検出用微細流動装置を用いて標的遺伝子を検出する方法
標的遺伝子の検出原理 標的遺伝子検出用微細流動装置を用いて標的遺伝子を検出する方法の原理は、標的遺伝子(例えば、病原菌遺伝子)の存在時のみにネッキ(nick)が消えた閉じた型(closed form)のダンベル型(dumbbel shape)テンプレートがライゲーション(ligation)され、次いで回転環増幅(Rolling circle amplification)(RCA)により増幅されて自家組立(self assembly)された精巧な構造体のパーティクルを形成することを基礎とする(
図2参照)。
【0095】
図12は、
図3B〜
図3Dの過程をより具体的な模式図で示したものである。即ち、
図12Aは本発明の標的遺伝子検出用微細流動装置の第2流路上に固定されたプライマーにテンプレートが結合されている形態を示す。前記標的遺伝子検出用微細流動装置の第2流路内に流れて入った試料に標的病原菌遺伝子が存在すれば、前記標的病原菌遺伝子は前記テンプレートの第1標的遺伝子結合部位と第2標的遺伝子結合部位に同時に結合するようになる(
図12B、
図2B)。この際、第1標的遺伝子結合部位と第2標的遺伝子結合部位の両末端が互いに近くなって、その間に小さな隙間、即ちネッキ(nick)のみ存在するようになる。これと同時に、第1テンプレート内の相補的な結合部位と第2テンプレート内の相補的な結合部位やはり互いに近くなって、相補的な結合を形成するようになる。前記ネッキ(nick)は隣接した5´末端と3´末端とを連結する酵素であるリガーゼにより互いに連結されて、前記テンプレートは完全に閉じた形態(closed form)となってダンベル形態になる(
図12C、
図2C)。
【0096】
等温核酸重合酵素は、前記閉じた形態の標的遺伝子検出用テンプレートを鋳型としてdNTPが消尽される前まで核酸を無限反復して複製する回転環増幅((Rolling Circle Replication;RCA)を行う(
図12D及び
図2D参照)。複製された部分は標的遺伝子検出用テンプレートから落ちるため、標的遺伝子検出用テンプレートの
配列が反復して存在する線形(linear)核酸が生成される。この線形核酸に存在する第1標的遺伝子結合部位と第2標的遺伝子結合部位の各々が標的遺伝子と結合し、回転環増幅反応が起こって、長くて、凝集した核酸塊りが生成され、これは第2流路のコーティングと共に凝集して大きいハイドロゲル塊りを形成する。形成されたハイドロゲル塊りが第2流路内に存在し、その第2流路に連結された排出口を塞ぐことを観察することができる。
【0097】
実施例3−1.単一標的遺伝子検出用微細流動装置を用いた標的遺伝子を検出する方法{単一標的遺伝子検出用微細流動装置を用いた単一標的病原菌(Bacillus anthracis)遺伝子を検出する方法}
ステップ1:実施例2−1による単一標的遺伝子検出用微細流動装置{単一病原菌(Bacillus anthracis)遺伝子検出用微細流動装置}を提供するステップ
単一標的遺伝子検出用微細流動装置を提供(準備)した。具体的に、実施例2−1により単一標的遺伝子検出用微細流動装置{単一病原菌(Bacillus anthracis)遺伝子検出用微細流動装置}を提供した。
【0098】
ステップ2:第1流路に試料溶液を流入させるステップ
(1)試料溶液準備
Bacillus anthracisの病原菌遺伝子
配列に基づいて試料(Pathogen_BA)(
配列番号12)をBioneer(HPLC Purification)から注文して準備した。1X PBS内のPathogen_ B_A 100で試料溶液を準備した。
【0099】
以下の<表4>は実施例3で使用したBacillus anthracisのテンプレート及び病原菌
配列を示す。
【0100】
【表4】
【0101】
(2)第1流路に(1)で準備した試料溶液を流入させるステップ
(1)で準備した試料溶液60μLを単一標的遺伝子検出用微細流動装置の流入口を通じて第1流路に流入させた。単一標的遺伝子検出用微細流動装置の第1流路に流入した試料溶液は毛細管現象により第1流路を経て第2流路に移動した。2時間放置した後、DDW(Water Purification System/LABOGENE)洗浄した。
【0102】
ステップ3:前記試料溶液に含まれた単一標的遺伝子{単一病原菌(Bacillus anthracis)遺伝子}とテンプレートのライゲーションステップ;
第1流路に流入した試料溶液は毛細管現象により第2流路に流れた。
次に、単一標的遺伝子検出用微細流動装置の第2流路に2X T7リガーゼ (ligase)30μL、T7リガーゼ5μL、100mM DTT 0.2μL、DDW(Water Purification System/LABOGENE)24.8μLで単一標的遺伝子検出用微細 流動装置の第2流路を詰めた。装置の中の水分が蒸発することを防止するために、パラフィルムで封入したプラスチック容器の中に入れて試料溶液と反応させた。プラスチックの中は水に浸したチリ紙と25℃の水で詰めた。その後、撹拌培養器(shaking incubator)(VS−8480(VISION SCIENNTIFIC CO))無撹拌 (non-shaking)、25℃で3時間の間反応させた。
【0103】
ステップ4:前記ライゲーションされた遺伝子産物の増幅ステップ(Rolling Circle Amplification)
【0104】
その後、25mM dNTP 2μL、10X T7 ligase reaction buffer (Biolabs)6μL、phi29 polymerase(10unit/μL)50μL、pyrophos phatase 1μL、100mM DTT 1μLで単一標的遺伝子検出用微細流動装置の第2流路内を詰めた。単一標的遺伝子検出用微細流動装置の第2流路内の水分が蒸発することを防止するために、パラフィルムで封入したプラスチック容器中に入れて反応させた。プラスチックの中は水に浸したチリ紙と30℃水で詰めた。その後、撹拌培養器(shaking incubator)(VS−8480(VISION SCIENNTIFIC CO))無撹拌(non-shaking)、30℃、3時間条件で進行した。
【0105】
ステップ5:前記増幅された標的遺伝子産物の検出ステップ(標的遺伝子検出確認)
検出用組成物にGel red(GelRedTM/Biotium)1:1000希釈水(DDW(Water Purification System/LABOGENE)で希釈)50μLを流入口を通じて入れてあげた。Gel red(GelRedTM/Biotium)1:200希釈水は第1流路を経て 第2流路に流れた。Gel red(GelRedTM/Biotium)の希釈倍数は普通1:10000に希釈して使用するが、肉眼で色を見るために調節するものであり、これに制限されるものではない。
図9のaを参照すると、2番流路で赤く見えるものはDNA membraneであり、Gel redのような染色試薬を検出用組成物にして前記増幅された標的遺伝子産物の検出が可能であることが分かった。また、
図9のbのように、Imager(Gel DocTM EZ(Bio-rad))で見ると、単一標的遺伝子検出用微細流動装置内の2番流路で流れが塞がったことが容易に分かった。これを通じて本発明の単一標的遺伝子検出用微細流動装置を使用してThermo cyclerのような装置を使用せず、特別な温度変化を与えなくても温和な温度条件、例えば30℃の温度条件で単一標的遺伝子、例えば、単一病原菌(Bacillus anthracis)遺伝子の検出が肉眼で可能であることを確認した。
【0106】
実施例3−2.2以上の標的遺伝子検出用微細流動装置を用いた標的遺伝子を検出する方法{2以上の標的遺伝子検出用微細流動装置を用いた単一標的病原菌(Bacillus anthracis及びEbola virus)遺伝子を検出する方法}
ステップ1:実施例2−2による2以上の標的遺伝子検出用微細流動装置{2以上の病原菌(Bacillus anthracis及びEbola virus)遺伝子検出用微細流動装置}を提供するステップ
2以上の標的遺伝子検出用微細流動装置を提供(準備)した。具体的に、実施例2−2により2以上の標的遺伝子検出用微細流動装置{2以上の病原菌(Bacillus anthracis及びEbola virus)遺伝子検出用微細流動装置}を提供した。
【0107】
ステップ2:第1流路に試料溶液を流入させるステップ
(1)試料溶液準備
Bacillus anthracisの病原菌遺伝子
配列に基づいて試料(Pathogen_BA)(
配列番号12)をBioneer(HPLC Purification)から注文して準備した。1X PBS内のPathogen_ B_A 100で試料溶液を準備した。
【0108】
(2)試料準備
Bacillus anthracis及びEbola virusの病原菌遺伝子
配列に基づいて試料 {(Pathogen_BA)(
配列番号12)及びPathogen_E(
配列番号13)}を各々Bioneer(HPLC Purification)から注文して準備した。1X PBS内のPathogen_ B_A 100で試料溶液を準備した。また、1X PBS内のPathogen_E 100で試料溶液 を準備した。
【0109】
以下の<表5>は実施例2で使用したBacillus anthracis及びEbola virus のテンプレート及び病原菌
配列を示す。
【0110】
【表5】
【0111】
(2)第1流路に(1)で準備した試料溶液を流入させるステップ
(1)で準備した試料溶液60μLを単一標的遺伝子検出用微細流動装置の流入口を通じて第1流路に流入させた。単一標的遺伝子検出用微細流動装置の第1流路に流入した試料溶液は第1流路を経て第2流路に移動した。第2流路の 2番流路及び3番流路はTemplate_Eの総20μLのうちの5μL及びTemplate_B_Aの総20μLのうちの5μLを入れてあげた。2時間放置した後、DDW(Water Purification System/LABOGENE)洗浄した。
【0112】
ステップ3:前記試料溶液に含まれた2以上の標的遺伝子{2以上の病原菌(Bacillus anthracis及びEbola virus遺伝子)とテンプレートライゲーションステップ;
単一標的遺伝子検出用微細流動装置の第2流路に2X T7リガーゼ(ligase) 30μL、T7 ligase 5μL、100mM DTT 0.2μL、DDW(Water Purifica tion System/LABOGENE)24.8μLで単一標的遺伝子検出用微細流動装置の第2流路を詰めた。装置内の水分が蒸発することを防止するためにパラフィルムで封入したプラスチック容器内に入れて反応させた。プラスチックの中は水に浸したチリ紙と25℃の水で詰めた。その後、撹拌培養器(shaking incubator)(VS−84 80(VISION SCIENNTIFIC CO))無撹拌(non-shaking)、25℃で3時間の間反応させた。
これによって試料に存在する標的遺伝子(病原菌の遺伝子)が特定テンプレートと相補的結合して環形テンプレートを形成することができる(
図3のC参照)。
【0113】
ステップ4:前記ライゲーションされた遺伝子産物の増幅ステップ(Rolling Circle Amplification)
<方法1>
その後、25mM dNTP 2μL、10X T7 ligase reaction buffer (Biolabs)6μL、phi29 polymerase(10unit/μL)50μL、 pyro phosphatase 1μL、100mM DTT 1μLで2以上の標的遺伝子検出用微細流動 装置の第2流路内のを詰めた。2以上の標的遺伝子検出用微細流動装置の第2流路内の水分が蒸発することを防止するためにパラフィルムで封入したプラスチック容器内に入れて反応させた。プラスチックの中は水に浸したチリ紙と30℃の水で詰めた。その後、撹拌培養器(shaking incubator)(VS−8480(VISION SCIE NNTIFIC CO))無撹拌(non-shaking)、30℃、3時間条件で進行した。
【0114】
<方法2>
その後、25mM dNTP 2μL、0.4mM Biotin-14-dCPT 1μL、10 X T7 ligase reaction buffer(Biolabs)2μL、Phi29 polymerase(500 unit/μL)5μL、Pyrophosphatase 1μL、100mM DTT 0.8μL、DDW 6.2μLで2以上の標的遺伝子検出用微細流動装置の第2流路内を詰めた。2以上の標的遺伝子検出用微細流動装置の第2流路内の水分が蒸発することを防止するためにパラフィルムで封入したプラスチック容器内に入れて反応させた。プラスチックの中は水に浸したチリ紙と30℃の水で詰めた。その後、shaking incubator(VS−8480(VISION SCIENNTIFIC CO))non-shaking、30℃、3時間反応条件で反応させた。
【0115】
前記方法1または方法2により回転環増幅(rolling circle amplification)を通じて標的遺伝子(核酸)が増幅できる(
図3のD参照)。
【0116】
ステップ5:前記増幅された標的遺伝子産物の検出ステップ(標的遺伝子検出確認)
凝集した単一鎖形態の回転環増幅された遺伝子産物(
図3のE参照)が微細流動装置の第2流路の各々の分岐を選択的に塞ぐことができ、これによって遺伝子の検出が可能である。微細流動装置の第2流路に検出用組成物を入れてあげる場合、検出をより容易にすることもできる(
図3のF参照)。
【0117】
<ステップ4の方法1と関連した検出方法>
検出用組成物にGel red(GelRedTM/Biotium)1:1000希釈水(DDW(Water Purification System/LABOGENE)で希釈)50μLを流入口を通じて入れてあげた。Gel red(Gel RedTM/Biotium)1:80希釈水は第1流路を経て第2流路に流れた。
図10のbのようにImager(Gel DocTM EZ(Bio-rad))で見ると、2以上の標的遺伝子検出用微細流動装置内の2番流路及び3番流路で流れが塞がったことが容易に分かった。これを通じて本発明の2以上の標的遺伝子検出用微細流動装置を使用してThermo cyclerのような装置を使用せず、特別な温度変化を与えなくても温和な温度条件、例えば30℃の温度条件で2以上の標的遺伝子、例えば、2以上の病原菌(Bacillus anthracis及びEbola virus)遺伝子の同時検出が肉眼で可能であることを確認した。
【0118】
<ステップ4の方法2と関連した検出方法>
検出用組成物にStreptavidinビードを使用した。具体的に、Streptavidin Fluoresbrite YG Microspheres 2.0 Micro 1:20希釈水(DDW(Water Puri fication System/LABOGENE)で希釈)50μLを流入口を通じて入れてあげた。
図11のように、RCA産物による空気層により塞がるか、またはRCA産物のビオチンとストレプタビジン(streptavidin)が反応して、さらに凝集したRCA産物により2以上の標的遺伝子検出用微細流動装置内の2番、3番流路で流れが塞がったことが容易に分かった。これを通じて本発明の2以上の標的遺伝子検出用 微細流動装置を使用してThermo cyclerのような装置を使用せず、特別な温度変化を与えなくても温和な温度条件、例えば30℃の温度条件で2以上の標的遺伝子、例えば、2以上の病原菌(Bacillus anthracis及びEbola virus)遺伝子の同時検出が肉眼で可能であることを確認した。
【0119】
<実験例1>各ステップの電気泳動(electrophoresis)結果確認
前記製造例1で製造したTemplate_BAと病原菌(Pathogen)との結合及びライゲーションを電気泳動結果で確認するための実験を進行した。前記実験例1では製造例1のテンプレートと病原菌に対する反応の有無を確認するためにチューブ(tube)で簡易に実験した。また、さまざまな反応条件をテストするために熱循環 器(Thermo cycler)を使用した。これと共に、前記製造例1で製造したTemplate_Eと 病原菌(Pathogen)との結合及びライゲーションを電気泳動結果で確認するための実験を進行した。チューブでの実験では、テンプレートをプライマーに固定させ ないので、各々のPathogen 3’ 末端、即ち、病原菌遺伝子3'の末端にPhosphateを付けなかった。
【0120】
(1)アニーリング(Annealing)ステップの確認
100 Bacillus anthracisに対するテンプレート(Template_BA)(
配列 番号10)をDEPC(Sigma-Aldrich)を溶媒に使用して1Template_BAで希釈した。チューブ(Tube)にDDW(Water Purification System/LABOGENE) 3.2μL、10X PBS pH7.4(lifetechnoligies社によるgibco)1μL、 40mM MgCl
2(Sigma-Aldrich)5μLを順次に入れて1Template_BA 0.8μL(即ち、0.8pmole)を入れた。その後、Thermo cycler(Bio-rad T100TM)で95℃→4℃に1時間の間温度を低めた。
その後、ローディング染料(loading dye)(Gel Loading Dye Blue 6X / Biolabs)2μLを入れて15%PAGE in IX Tris-borate-EDTA(TBE)バッファに 電気泳動した後(150V、45分)、ゲルレッド(Gel red)(GelRedTM/Biotiu m)で染色し、Gel DocTM EZ(Bio-rad)で電気泳動結果を確認した。
前記Template_BAの代わりにTemplate_E(
配列番号11)を使用するのを除いて同一な方式によりアニーリング(Annealing)ステップの確認実験を遂行した。
【0121】
(2)混成化(Hybridization)ステップの確認
試料のBacillus anthracis(Pathogen_BA Not PhosP)(
配列番号14)と テンプレートの混成化を確認するために次の実験を行った。まず、チューブ(Tube)にDDW(Water Purification System/LABOGENE)2μL、10X PBS pH7.4(lifetechnoligies社によるgibco)1μL、40mM MgCl
2(Sigma-Al drich)5μLを順次に入れて10Pathogen_BA_Not Phospと10Template_B_Aを各 々1μLずつ入れた。その後、Thermo cycler(Bio-rad T100TM)で95℃→4℃に1 時間の間温度を低めた。
その後、総10μLのうち、1μL(即ち、0.8pmole)を1X PB S 9μLで詰めた後、ローディング染料(loading dye)(Gel Loading Dye Blue 6X/ Biolabs)2μLを入れて15% PAGE in IX Tris-borate-EDTA(TBE)バッファに 電気泳動した後(150V、45分)、Gel red(GelRedTM/Biotium)で染色し、 Gel DocTM EZ(Bio-rad)で電気泳動結果を確認した。
前記Template_BA(
配列番号10)の代わりにTemplate_E(
配列番号11)を使用し、Pathogen_BA_Not PhosP(
配列番号14)の代わりにTemplate_E_ Not PhosP(
配列番号15)を使用することを除いて、同一な方式により混成化 (Hybridization)ステップの確認を遂行した。
【0122】
(3)ライゲーション(Ligation)ステップの確認
チューブ(Tube)にDDW(Water Purification System/LABOGENE) 2.4μL、2X T7ligase reaction buffer(Biolabs)10μL、100Pathogen_ BA_Not PhosP(
配列番号14)1.6μL、100Template_BA(
配列番号10) 0.8μLを順次に入れて、Thermo cycler(Bio-rad T100TM)で95℃→4℃に5 分間温度を低めた。その後、100mM DTT{Epicenter RepliPHI Phi29試薬セ ット(0.1μL/μL)}0.2μLとT7リガーゼ(Biolabs)5μLを入れてあげた。その後、Thermo cycler(Bio-rad T100TM)で25℃13時間→65℃20分→ 10℃に維持した。結果的に、4ライゲーション生成物(ligation product)20μLが作られた。ライゲーション生成物0.8pmoleにローディング染料(loading dye)(Gel Loading Dye Blue 6X / Biolabs)2μLを入れて、15%PAGE in 1X Tris-borate-EDTA(TBE)バッファに電気泳動した後(150V、45分)、Gel red(GelRedTM/Biotium)で染色し、Gel DocTM EZ(Bio-rad)で電気泳動結果 を確認した。
前記Template_BA(
配列番号10)の代わりにTemplate_E(
配列番号11)を使用し、Pathogen_BA_Not PhosP(
配列番号14)の代わりにTemplate_E_ Not PhosP(
配列番号15)を使用することを除いて、同一な方式により混成化 (Hybridization)ステップの確認を遂行した。
【0123】
(4)回転環増幅(Rolling circle amplification)
チューブ(Tube)にDDW(Water Purification System/LABOGENE) 7.2μL、10X T7 ligase reaction buffer(Biolabs)2μL{Epicenter Repli PHI Phi29試薬セット(0.1μL/μL)}の順に入れてライゲーションステップで 作った4ライゲーション生成物(ligation product)2μL(8pmole)を入れ た。その後、25mM dNTP {Epicenter RepliPHI Phi29試薬セット(0.1μL/μL)}2μL入れて100mM DTT{Epicenter RepliPHI Phi29試薬セット (0.1μL/μL)}0.8μL、Pyrophosphatase(100U/ml Biolabs)1μL、Phi29 polymerase{Epicenter RepliPHI Phi29試薬セット(0.1μL/μL)}5μLを順次に入れた。その後、Thermo cycler(Bio-rad T100TM)で30℃15時間→ 65℃10分→4℃に維持した。
【0124】
(5)電気泳動結果確認
DNAラダー(Quick-Load LMW Ladder/Biolabs)を基準とし、前記 テンプレート(Template_BA)(
配列番号10)、病原菌(Pathogen_BA_Not PhosP)(
配列番号14)、及び前記(1)〜(3)ステップで得た生成物を各々0.8pmoleずつローディングして電気泳動した結果を
図4に示した。
図4を参照すると、テンプレート(Template)は、普通、線形(linear form)、即ち、線形テンプレート(Linear template)として存在するが(
図4のa参照)、前記テンプレートは自家組立できる条件下でダンベル形態を形成するためのテンプレート内の相補的な結合部位間の相補的な結合することによって、アニーリング(annealing)されて自家組立された形態(Self-assembled form)、自家組立されたテンプレート(Self-assembled template)が作られることを確認することができた(
図4のb参照)。自家組立された形態のテンプレート内の標的遺伝子と相補的に結合する結合部位と標的遺伝子、例えば病原菌(Pathogen)遺伝子が結合すれば、ネッキ(nick)が消えた閉じた型(closed form)のダンベル形態のテンプレート(Dumbbell-sahped template)が形成されてライゲーション(ligation)されることを確認することができた(
図4のc参照)。次に、ライゲーション生成物の回転環増幅(Rolling circle amplification)(RCA)が起こることを確認することができた。
【0125】
<実験例2>RCA生成物のSEMイメージ確認
(1)Bacillus anthracis確認
前記製造例1で製造したTemplate_B_Aを使用して実験例1の(4)の方法により収得したRCA生成物20μLに2M MgCl
22μLを入れて徐冷(Slow cooling)(1時間に亘って95℃→4℃)したところ、約1mm程度の白いDNA球(DNA ball)が生じた。ガラスウェア(glassware)(MARIENFELD)にDNA球(DNA ball)を載置し、24時間乾燥した後、mica(Pelco Mica sheets、Ted Pella Corp.)に結合させてSEM(Tm3030 tabletop microscope/Hitachi High-Tech)写真を撮った。
図5のように精巧な単一鎖のDNA塊りが形成されることを確認することができる。
【0126】
(2)Ebola virus確認
前記製造例1で製造したTemplate_Eを使用して実験例1の(3)の方法により収得したRCA生成物20μLに5M NH
4OAc 40(SIGMA-Aldrich)を入れて100%のEtOH 500で詰めた後、20分間冷凍した。その後、遠心分離 (10,000rpm、20分、4℃)し、上層液を取って40残して、30分間超音波処理(BRANSON5510)した。ガラスに載置し、24時間乾燥させた後、mica (Pelco Mica sheets、Ted Pella Corp.)に結合させてS EM(Tm3030 tabletop microscope/Hitachi High-Tech)写真を撮った。
図6のように増幅された遺伝子産物の凝集した鎖の塊りが形成されることを確認することができた。
【0127】
<実験例3> 回転環増幅された遺伝子産物のハイドロゲル形成確認
実験例1の回転環増幅(Rolling circle amplification;RCA)反応により得た増幅された遺伝子産物がハイドロゲルを形成するかを確認するための実験を遂行した。病原菌にはBacillus anthracis(Pathogen_BA Not Phosp、
配列番号14)及びEbola virus(Pathogen_E Not Phosp、
配列番号15)を使用した。
前記実験例3では製造例1のテンプレートと病原菌に対する反応有無を確認するためにチューブ(tube)で簡易に実験した。また、さまざまな反応条件をテストするために熱循環器(Thermo cycler)を使用した。
ハイドロゲル形成による粘度測定のためにチューブ(tube)とピペットチップ(pipette tip)を用いて粘度測定及び回転粘度計測定を遂行した。
【0128】
(1)チューブ(tube)及びピペットチップ(pipette tip)を用いた粘度測定
チューブをチューブの長軸を中心に90度角度に傾けた後、反応液体(実験例1の(4)回転環増幅の産物を含んだ溶液)の流れ性を測定した。60秒間流れ性が確認されない場合、標的遺伝子、例えば、Pathogen遺伝子(Template_BAまたはTemplate_E)検出が確認されることを示す。
また、ピペットチップ(pipette tip)を用いて反応液体(実験例1の(4)回転環増幅の産物を含んだ溶液)を持ち上げる時(吸い上げる時)の粘性変化によって反応液体(実験例1の(4)回転環増幅の産物を含んだ溶液)がピペットチップの表面に沿って吸い上げるようになることで、水のような粘性の場合にはチップに沿って吸い上げるものがないが、粘度が増加するほどチップの内に物質が吸い上げて、戻る性質が増加することを確認した(
図7のa参照)。
前記製造例1で製造したTemplate_BAまたはTemplate_Eを用いた回転環増幅反応で全て60秒間ほとんど流れ性を表さない粘性を有するようになって、標的遺伝子、例えば、Pathogen遺伝子(Template_BAまたはTemplate_E)の検出が可能であることが分かった。また、Template_BAより病原菌に相補的な長さがより長いTemplate_Eを用いた時、より粘度があるハイドロゲルが形成されることを確認した。
【0129】
(2)回転粘度計測定
前記製造例1で製造したTemplate_Eを用いて実験例1に開示された回転環増幅(Rolling circle amplification;RCA)反応により得た増幅された遺伝子産物 に対する粘度変化を回転粘度計を用いて測定した。反応液体(実験例1の(4)回転環増幅の産物を含んだ溶液)の粘性変化増加及びstorage modulus(G’)値とloss modulus(G’’)値の割合を測定し、これを
図7のbに示した(x軸:Frequence(Hz)、y軸:Pascal(Pa))。ハイドロゲル形成による粘性変化増加から標的遺伝子、例えば、Ebola virusの検出が可能であることが分かった。
【0130】
<実験例4>標的遺伝子検出用微細流動装置の第2流路をコーティングすることに伴う効果確認
実施例3−1の方法による標的遺伝子検出用微細流動装置を用いて標的遺伝子を検出する方法を遂行した後、第2流路の形態を原子探針顕微鏡(AFM)(NX−10、Park System)で調べた。ステップ2の工程を遂行しないこと(5−ヒドロキシドーパミン塩酸で第2流路をコーティングする過程無しで)を除外し、実施例2−1の単一標的遺伝子検出用微細流動装置の製造方法により製造した単一標的遺伝子検出用微細流動装置を使用して標的遺伝子を検出する方法(実施例3−1の方法)を遂行した後、第2流路の形態を原子探針顕微鏡(AFM)(NX−10、Park System)で調べた。
その結果、5−ヒドロキシドーパミン塩酸を用いたコーティングするステップ(5−ヒドロキシドーパミン塩酸で前処理するステップ)無しでプライマーを固定させた場合(
図8のa)は、基板の表面に付着されたプライマーがほとんど存在しなくて標的遺伝子検出用微細流動装置の第2流路上で増幅が起こらなかった。一方、5−ヒドロキシドーパミン塩酸を用いたコーティングするステップ(5−ヒドロキシドーパミン塩酸で前処理するステップ)を遂行し、プライマーを固定させた後、標的遺伝子(核酸)を増幅させた場合(
図8のb)には、標的遺伝子検出用微細流動装置の第2流路上で核酸の増幅が優れるに起こることが分かった。これを通じて5−ヒドロキシドーパミン塩酸がDNAプライマーを標的遺伝子検出用微細流動装置の第2流路に効果的に固定化できることが分かった。
これを通じて5−ヒドロキシドーパミン塩酸で標的遺伝子検出用微細流動装置の第2流路をコーティングする場合、チオール(thiol)基を含有しているプライマーと反応してプライマーが標的遺伝子検出用微細流動装置の第2流路上に効果的に固定されるので、以後の工程により核酸の増幅が増加できることが分かる。
【0131】
<実験例5>標的遺伝子検出用微細流動装置を用いたメルス(MERS)ウイルス検出
(1)標的メルス(MERS)遺伝子検出用微細流動装置の製造
実施例2のステップ1及びステップ2で記述したように、
図1のように基板上に流入口、第1流路、3個の第2流路、及び各々の第2流路の端部に排出口が形成された装置を準備した。実施例2では、5−ヒドロキシドーパミン塩酸を第2流路内に注入して第2流路内をコーティングしたが、本実験例ではビニル基を蒸気蒸着方式によりプラスチック材質の第2流路にコーティングした。実施例2と同一な方法によりコーティングすることも可能である。その後、DDWで洗浄した。
次に、実施例2のステップ3のように、Primer-5SS-polyA9(BIONEER)(
配列番号9)プライマーとDTTの混合液を流入口に注入した。DTTによってプライマーに存在するチオール基が露出し、露出したチオール基が第2流路上のビニルコーティング(または、5−ヒドロキシドーパミン塩酸コーティング)に結合された。その後、DDWで洗浄した。
次に、前記3個の第2流路上に固定されたプライマーに互いに異なるテンプレート100を0.2μL(=20pmole)が1X PBS(lifetechnoligies社の gibco)に希釈した溶液を注入して、プライマーに各テンプレートが結合されるようにした。
具体的に、上面視して、左側の第2流路には製造例1(1)のTemplate_BA(Bacillus anthracisに対するテンプレート、
配列番号10)を結合させた。前記第2流路は陰性対照群(Negative Control;NC)であって、微細流動装置に注入された試料内にメルスウイルスが含まれていても前記テンプレートと何らの反応を起こさないので、回転環増幅反応が起こらない。
中央の第2流路にはメルスウイルス(MERS−CoV)に対するテンプレートを結合させた。中央の第2流路は試料群(Sample)であって、微細流動装置に 注入された試料内にメルス遺伝子が存在する場合のみに回転環増幅が起こるようになる。一方、前記メルスウイルスに対するテンプレートの
配列は、次の通りである。
【0132】
テンプレートMERS
5’/5Phos/AGG GCA CAT CTC CGA ATC GAA GTA CTC AGC GTA AGT TTA GAG GTA GCA TGC
TAG TAT CGA CGT ACG TAC CAA CTT ACG CTG AGT ACT TCG ATT ATA CCC-3’
【0133】
前記テンプレートMERS
配列で、標的メルスコロナウイルス遺伝子に相補的な部分を白地に濃い字で、テンプレート内の互いに相補的な部分をイタリック体で、プライマーに相補的に結合する部分をイタリック体にアンダーラインして表示した。
上面視して、右側の第2流路には第2流路上に固定されたプライマーに前記のようなメルスウイルスに対するテンプレートを結合させ、前記テンプレートに結合する標的メルス遺伝子を添加して、常に回転環増幅が起こるようにした。左側の第2流路を陽性対照群(Positive Control;PC)とした。
【0134】
(2)標的メルス(MERS)遺伝子の検出
次に、前記メルスウイルスに対するテンプレートに結合するメルスウイルス遺伝子を含む試料を前記(1)で製造された微細流動装置の流入口に注入した。その後、ライゲーションが25℃で夜通し起こるようにし、回転環増幅は25℃で4時間の間起こるようにした。一方、ライゲーション時間及び回転環増幅時間は状況によって調節できる。例えば、結果を蛍光で確認する場合、ライゲーション時間及び回転環増幅時間が遥かに縮めることも可能であり、例えば2時間の間ライゲーションが起こるようにし、2時間の間回転環増幅が起こるようにした後、観察することができる。
実験例5のように、陰性対照群、試料群、陽性対照群の3個の第2流路を有する微細流動装置で起こる過程の模式図を
図13に示した。
【0135】
結果は
図14に示した。
図14で、右側の陰性対照群の第2流路では排出口が塞がらなくて試料が流れて出て、中央の試料群の第2流路及び左側の陽性対照群の第2流路では回転環増幅が起こって、ハイドロゲル塊りが形成され、排出口を塞ぐことが観察される。