特許第6643386号(P6643386)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6643386電子的に整流される直流モータ及び電子的に整流される直流モータを組み立てる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643386
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】電子的に整流される直流モータ及び電子的に整流される直流モータを組み立てる方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/28 20060101AFI20200130BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20200130BHJP
   H02K 1/18 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   H02K1/28 A
   H02K15/02 K
   H02K15/02 A
   H02K1/18 A
   H02K1/18 B
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-73143(P2018-73143)
(22)【出願日】2018年4月5日
(65)【公開番号】特開2018-183042(P2018-183042A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2018年4月24日
(31)【優先権主張番号】10 2017 205 847.1
(32)【優先日】2017年4月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517385069
【氏名又は名称】ビューラー モーター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100119987
【弁理士】
【氏名又は名称】伊坪 公一
(72)【発明者】
【氏名】クリスティーネ ブロッカーホフ
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−115666(JP,A)
【文献】 特開2006−121807(JP,A)
【文献】 特開2010−028885(JP,A)
【文献】 特開2005−261158(JP,A)
【文献】 特開平09−252557(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/28
H02K 1/18
H02K 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ薄板パケット(3)とカップ形状のハウジング(4)を有する、巻き線を備えたステータ(2)と、ステータ薄板パケット(3)の内部に収容される永久磁石ロータ(5)とを有する電子的に整流される直流モータ(1)であって、前記永久磁石ロータが軸(6)、プラスチックハブ(7)及び磁化された永久磁石(8)を有し、永久磁石(8)がプラスチックハブ(7)によって軸(6)と結合されており、かつプラスチックハブ(7)が永久磁石(8)を越えて径方向に張り出すガイド(9)を有し、ステータ薄板パケット(3)が積層された個別薄板(12)からなり、かつ、ロータ収容部(43)として用いられる中央の切り欠きを有し、個別薄板(12)に面取りされた内側エッジ(13)が設けられており、前記内側エッジが、カップ形状のハウジング(4)の取り付け開口部(25)を向いて、ハウジング(4)のカップ底(10)とは逆を向いており、終端薄板後の第1の部分において、舌片(26)を有する個別薄板(12)と舌片のない個別薄板が互いに連続し、第2の部分内では、少なくとも2つの互いに連続する、舌片を有する個別薄板(12)が、舌片なしの個別薄板と交代する、電子的に整流される直流モータ。
【請求項2】
カップ形状のハウジング(4)が、一方で、閉鎖されたカップ底(10)を、他方では取り付け開口部(25)を有しており、ガイド(9)が、永久磁石ロータ(5)のカップ底(10)に近い端部(11)に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の電子的に整流される直流モータ。
【請求項3】
径方向に張り出すガイド(9)が、ステータ薄板パケット(3)の内径の半分よりも小さい径方向の延びを有している、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子的に整流される直流モータ。
【請求項4】
ガイド(9)が、リング状の形状を有している、ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の電子的に整流される直流モータ。
【請求項5】
ガイド(9)がカップ底(10)へ向かって導入斜面(14)を有している、ことを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の電子的に整流される直流モータ。
【請求項6】
プラスチックハブ(7)が、一次成形プロセスによって、永久磁石(8)及び軸(6)と相対回動不能に相補形状で結合される、ことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の電子的に整流される直流モータ。
【請求項7】
同じ個別薄板(12)がその外周に、カップ形状のハウジング(4)の取り付け開口部(25)とは逆を向き、かつカップ底(10)へ向いた、面取りされた外側エッジ(48)を有している、ことを特徴とする請求項に記載の電子的に整流される直流モータ。
【請求項8】
ステータ薄板パケット(3)が様々な薄板カットからなり、多数の個別薄板(12)が1つの角度領域内に突出する舌片(26)を有しており、前記舌片によってステータ薄板パケット(3)がハウジング(4)内に挟持されており、かつ多数の他の個別薄板が同一角度領域内に切り抜きを有している、ことを特徴とする請求項に記載の電子的に整流される直流モータ。
【請求項9】
複数の個別薄板が、舌片も切り抜きも有していない、ことを特徴とする請求項に記載の電子的に整流される直流モータ。
【請求項10】
ハウジング(4)と終端薄板(49)の間にできる限り小さい間隙が残っている、ことを特徴とする請求項に記載の電子的に整流される直流モータ。
【請求項11】
ステータ薄板パケット(3)に絶縁部(27)が連続し、前記絶縁部が削り屑用の収容ポケット(35)を有している、ことを特徴とする請求項1から10の少なくとも1項に記載の電子的に整流される直流モータ。
【請求項12】
収容ポケット(35)のシール端縁(47)が、ハウジング(4)に添接する、ことを特徴とする請求項11に記載の電子的に整流される直流モータ。
【請求項13】
ステータ薄板パケット(3)とカップ形状のハウジング(4)を有する、巻き線を備えたステータ(2)とステータ薄板パケット(3)の内部に収容される永久磁石ロータ(5)を有し、前記永久磁石ロータが軸(6)、プラスチックハブ(7)及び磁化された永久磁石(8)を有し、永久磁石(8)がプラスチックハブ(7)によって軸(6)と結合され、ステータ薄板パケット(3)が積層された個別薄板(12)からなり、かつ、ロータ収容部(43)として用いられる中央の切り欠きを有し、個別薄板(12)に面取りされた内側エッジ(13)が設けられており、前記内側エッジが、カップ形状のハウジング(4)の取り付け開口部(25)を向いて、ハウジング(4)のカップ底(10)とは逆を向いており、終端薄板後の第1の部分において、舌片(26)を有する個別薄板(12)と舌片のない個別薄板が互いに連続し、第2の部分内では、少なくとも2つの互いに連続する、舌片を有する個別薄板(12)が、舌片なしの個別薄板と交代する、電子的に整流される直流モータ(1)を形成する方法において、以下の方法ステップ:
a)ローレットを有する軸(6)を準備し、
b)連動幾何学配置を有する永久磁石(8)を準備し、
c)軸(6)と永久磁石(8)を射出成形工具のキャビディ内へ挿入し、
d)導入斜面(14)を有するガイド(9)を形成しながら、キャビティの残留している中空室内へ熱可塑性のプラスチック材料を噴射し、
e)射出成形機から永久磁石ロータ(5)を取り外し、
f)磁化装置内で永久磁石(8)を磁化し、
g)軸(6)上にハウジング軸受を引き嵌め、
h)ハウジング(4)を準備し、
i)あらかじめ組み立てられたステータ(2)を準備し、
j)ハウジング(4)内へステータ(2)を圧入し、
k)磁化された永久磁石ロータ(5)をガイド(9)によって前もってロータ収容部(43)内へ接合し、かつハウジング軸受(20)をハウジング(4)内へ接合する、
ことを特徴とする電子的に整流される直流モータを形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータ薄板パケット(3)とカップ形状のハウジング(4)を有する、巻き線を備えたステータ(2)と、ステータ薄板パケット(3)内に収容されている、永久磁石ロータ(5)を有する電子的に整流される直流モータ(1)に関するものであって、その永久磁石ロータは軸(6)、プラスチックハブ(7)及び磁化された永久磁石(8)を有している。
【背景技術】
【0002】
この種の直流モータは、広く普及しており、様々な分野で使用される。それらは、乾燥した領域又は湿った領域内で使用することができ、その場合にそれらは液体で満たされ、あるいは外部から液体にさらされる。たとえば、この種の直流モータは、オイルポンプ用の駆動装置として用いられる。密閉要請が高い場合には、これらのモータはしばしばカップ形状のハウジングを有している。というのは、それによって密閉すべきインターフェイスの数が少なくなるからである。電子的に整流される直流モータにおいて使用される永久磁石ロータは、しばしば最終的に組み立てられた状態で磁化される。そかしその場合に、永久磁石ロータの磁化は、通常、ステータ幾何学配置によってネガティブな影響を受ける。永久磁石ロータのよりよい磁化とそれに伴って直流モータの最適な効率を達成するために、永久磁石ロータは、好ましくは組み立て前に磁化装置内で磁化される。その場合に問題となるのは、接合プロセスの際に永久磁石ロータとステータとの間に作用する、かなりの径方向力である。径方向力は、永久磁石ロータの、特にステータ薄板パケットにおける永久磁石の、衝突及び/又は削れをもたらすことがある。その場合に削り屑が生じ、それが軸受特性、軸受寿命、摩耗特性などに、ネガティブに作用する。また、永久磁石のコーティングも損傷されることがある。これらがまた、寿命を低下させて、磁気材料の腐食によりモータの機能性に影響をあたえる。
【0003】
ステータ内への直流モータの非接触の取り付けを保証するためには、直流モータとステータを同じように堅固に収容して、定められたように接合する、複雑な接合装置が必要である。その場合には前もって組み立てたロータを装置の軸部分内へ収容しなければならない。多くの適用において、この軸部分は顧客インターフェイスを形成し、あるいは有しており、それが、接合工具内へ収容する場合に損傷されることがある。さらにこの装置は、各ロータタイプのために個別に形成され、それによって経済的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の課題は、磁気コーティングを損傷せず、削れをもたらすことがなく、軸部分における顧客インターフェイスの損傷をもたらすことなしに、前もって磁化された永久磁石ロータをカップ形状のモータハウジング内へ挿入する、簡単な経済的可能性を見いだすことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴又は請求項7の方法特徴によって解決される。永久磁石は、プラスチックハブによって軸と結合されている。これは、永久磁石を固定する1つの可能性である。プラスチックハブは、さらに、永久磁石を越えて径方向に張り出すガイドの付加機能を有している。このガイドは、永久磁石のコーティングを損傷することなしに、ガイドの領域内で永久磁石ロータをステータと接触させることを許す。というのは、このコーティングはステータ薄板パケットに対して小さい間隔を維持しているからである。この解決は、簡単な経済的やり方で実現可能であり、かつ軸端部における顧客インターフェイスを損傷することなしに、永久磁石ロータを接合することを許す。
【0006】
本発明の展開が、下位請求項において詳細に説明される。カップ形状のハウジングは、一方では、閉鎖されたカップ底を有し、他方では取り付け開口部を有している。ガイドは、永久磁石ロータの、カップ底に近い端部に配置されている。それによって、ガイドがまずステータ薄板パケットのロータ切り欠き内へ導入されて、永久磁石がそれに続くことが、保証されている。
【0007】
好ましくは、径方向に張り出すガイドは、ステータ薄板パケットの内径の半分よりも小さい径方向の延びを有している。この設計によって、永久磁石ロータが強制摩耗なしでステータ内へ接合できることが、保証されている。
【0008】
好ましくはガイドは、リング状の形状を有している。このようにして、永久磁石ロータは、永久磁石又はそのコーティングを損なうことなしに、各任意の径方向に磁気的に引っ張ることができる。
【0009】
さらに、導入斜面が設けられており、その導入斜面は接合方向に対して15°から30°、好ましくは20°である。導入斜面は、接合プロセスの際にステータ軸とロータ軸の間のアライメント許容誤差を増大させる。
【0010】
本発明の展開によれば、プラスチックハブは一次変形プロセスによって永久磁石及び軸と相対回動不能に形状結合される。そのために永久磁石には引っ込みが設けられており、その中へプラスチックハブの突出部が嵌入する。軸にはローレットが設けられている。プラスチック材料としてポリアミドが設けられている。
【0011】
材料堆積を回避するために、軸と永久磁石の間に切り欠きが設けられており、その切り欠きがスポークによって中断されている。
【0012】
ステータ薄板パケットは、積層された個別薄板からなり、その個別薄板は、カップ形状のハウジングの取り付け開口部へ向いた第1の薄板側の端縁に、面取りされた内側エッジを有している。面取りされた内側エッジは、打ち抜き工程(剪断)に由来し、それにおいて薄板材料は、一方の側においては通常薄板平面内へ引き込まれ、反対側においてはこの薄板平面から引き出される。薄板の方向付けは、通常、面取りされた外側エッジを有するステータ薄板パケットが先にカップハウジング内へ接合されるように、選択される。通常、この場合には、内側エッジも同様にかつ方向付けされて面取りされ、もしくは稜線を有している。本発明は、ロータ収容部を穴開けする際の打ち抜き方向が、ステータ外径を切り抜く際の打ち抜き方向に対して非平行であることによって、削り作用の増大を回避する。
【0013】
許容誤差の理由から、そしてカップハウジングにおける薄板パケットの削り作用をさらに減少させるために、ステータは径方向に張り出す舌片を介して固定される。ハウジング内のステータの取り付けを容易にするために、終端部分には舌片は設けられていない。その次の部分には、1つおきの薄板だけに、そして次の部分においてはそれぞれ2つの連続する薄板に舌片が設けられており、それら2つの薄板が舌片のない薄板によって分離されている。このステータ形成は、深絞りされたハウジングのわずかに円錐状の内側輪郭を補償するための、補償措置として用いられる。舌片のない薄板は、簡単な変位(曲がり)を許し、それによって削る作用が減少される。各舌片後に隙間を備えた個別薄板の比較的緩い配置を有する部分は、ハウジングの比較的小さい内径を有する部分のために設けられており、個別薄板のより密で、より硬い配置を有する部分は、より大きい内径を有する領域のために設けられている。
【0014】
特にハウジングにおいて終端薄板が削られることによって、削り屑が生じた場合に、この削り屑は、片方又は両方の巻き線絶縁部内の収容ポケットによって捕捉される。舌片によって削られる他の削り屑は、通常、舌片の間の間隙内に引っかかったままとなる。
【0015】
他の解決は、ステータ薄板パケット(3)とカップ形状のハウジング(4)を有する、巻き線を備えたステータ(2)とステータ薄板パケット(3)の内部に収容された永久磁石ロータ(5)を有し、その永久磁石ロータが軸(6)、プラスチックハブ(7)及び磁化された永久磁石(8)を有し、その場合に永久磁石(8)がプラスチックハブ(7)によって軸(6)と結合されている、電子的に整流される直流モータ(1)を形成する方法にあり、かつこの方法は、以下のステップ:
a)ローレットを有する軸(6)を準備し、
b)連動幾何学配置を有する永久磁石(8)を準備し、
c)軸(6)と永久磁石(8)を射出成形工具のキャビディ内へ挿入し、
d)導入斜面(14)を有するガイド(9)を形成しながら、キャビティの残留している中空室内へ熱可塑性のプラスチック材料を噴射し、
e)射出成形機から永久磁石ロータ(5)を取り外し、
f)磁化装置内で永久磁石(8)を磁化し、
g)軸(6)上にハウジング軸受(20)を引き嵌め、
h)ハウジング(4)を準備し、
i)あらかじめ組み立てられたステータ(2)を準備し、
j)個別薄板(12)の面取りされた側をもって、ハウジング(4)内へステータ(2)を圧入し、
k)磁化された永久磁石ロータ(5)をガイド(9)によって先にステータ切り欠き内へ接合し、かつハウジング軸受(20)をハウジング(4)内へ接合する、
ことを、特徴としている。
【0016】
完全に組み立てるためには、他の中間ステップ又は最終組立ステップが必要であるが、それらは本発明の対象ではない。
【0017】
本発明の実施例を、以下で図面を用いて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ステータ及び永久磁石ロータを示す断面図である。
図2】永久磁石ロータを示す分解斜視図である。
図3】ステータの部分断面図である。
図4】永久磁石ロータの断面図である。
図5】永久磁石ロータの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
注:添字(a、b)を有する参照符号及び添字を持たない参照符号は、図面と図面説明において名前の等しい事物を示している。その場合にそれは他の実施形態、従来技術における使用であり、かつ/又は詳細は変形例である。請求項、明細書導入部、参照符号リスト及び要約は、簡単にするために、添字なしの参照符号のみを有している。
【0020】
図1は、ステータ2及び永久磁石ロータ5と軸受シールド36とからなるアッセンブリの断面図を示している。ステータ2は、カップ形状のハウジング4、ハウジング軸受20及び個別薄板12からなるステータ薄板パケット3を有しており、その個別薄板は面取りされたエッジ13と稜線28を有している。面取りされたエッジは、打ち抜きプロセスにおいて形成される。ロータ収容部43を穴開けする際の打ち抜き方向は、個別薄板12の外周44を打ち抜く際の打ち抜き方向とは逆である。それによってステータ薄板パケット3も、ロータ5も最適に取り付けることができる。外周44において舌片26が径方向に張り出している。面取りされたエッジ13と稜線28及びその方向付けをよりはっきりと認識することができるようにするために、ステータ2は簡単に示されており(巻き線、巻き線絶縁部及び接点なしで)、個別薄板は誇張した寸法にされている。ステータ薄板パケットの方向付けは、接合すべき永久磁石ロータ5の接合方向が個別薄板12の面取りされた側を向くように、選択されている。ステータ薄板パケットの両端部の終端薄板49は、舌片を有しておらず、ハウジング4とできるだけ小さい間隙を形成する。ハウジング4は、円筒状の領域29とカップ底10を有しており、そのカップ底が軸受収容部30によって軸方向に延長されている。永久磁石ロータ5は、顧客インターフェイスとして用いられる平坦部23を備えた軸6、プラスチックハブ7、永久磁石8及びガイド斜面14(図3を参照)を備えたガイド9を有しており、その場合にガイド9はカップ底10を向いて永久磁石ロータ5の第1の端部11に配置されている。ガイド9の直径は、永久磁石8の直径よりも大きいので、永久磁石8がステータ薄板パケット3と接触することは不可能である。ハウジング軸受20は、カップ底10へ向いた軸端部31上に力結合で締めつけ固定されている。ハウジング軸受20として玉軸受が用いられ、そのアウターリングは、
ステータ2が取り付けられるとすぐに、カップハウジング4、特に軸受収容部30とスライド嵌めされる。ばねディスク41によって、玉軸受があそびなしで取り付け可能となる。軸受シールド36は、Oリング37の形状のシールを有しており、そのシールが溝38内へ挿入されている。Oリングは、組み立てられた状態においてハウジングフランジ42に添接する。さらに、軸受シールド36内に軸受シールド軸受39が収容されており、それがベリリウムクリップディスク40によって固定されている。
【0021】
図2は、軸6、プラスチックハブ7及び永久磁石8を有する永久磁石ロータ5を分解斜視図で示している。軸6は、顧客インターフェイスとしての扁平部23、案内する軸端部31及びローレット15を有しており、そのローレットによってプラスチックハブが軸6上に相対回動不能かつ軸方向固定で一次成形可能である。プラスチックハブ7は、磁石収容領域32、ガイド9、保持リング21、突出部19、切り欠き16、スポーク24、切り抜き17及び軸切り欠き22を有している。磁石収容領域32は、保持リング21とガイド9によって軸方向に画成されている。切り欠き16は、軸切り欠き22と磁石収容領域32との間に配置されており、スポーク24によって互いに分離されている。切り欠きは、まず第1に、材料堆積を回避するために用いられる。永久磁石8は、ここではプラスチック結合された永久磁石リングとして形成されており、その永久磁石リングには、プラスチックハブ7の突出部と対応する引っ込み18が設けられている。磁石収容部32の外側輪郭と永久磁石8の内側輪郭は、多角形として形成されており、それによって付加的な回動防止が形成される。
【0022】
図3は、ステータ薄板パケット3と個別薄板12とを有するステータ2(ハウジングなし)の部分断面を示しており、その個別薄板は部分的に径方向に張り出す舌片26を有している。通常、舌片26を有する個別薄板12に、舌片のない個別薄板が続いている。ある領域内では、それぞれ舌片を有する2つの薄板が互いに連続し、かつ舌片のない薄板によって舌片を有する他の薄板から分離される。始端領域33と終端領域34における終端薄板49は、舌片を有していない。これらの領域では薄板直径は、ハウジング内径よりも小さいので、取り付け開口部25(図1を参照)内への簡単な接合が可能である。それにもかかわらず、終端薄板49とハウジング4の間の間隙は、薄板パケットの内部の少なくとも大きめの削り屑を回避するために、できる限り小さく選択されている。さらに、絶縁部27a、27bが示されており、それらはステータ巻き線を収容して、それをステータ薄板パケット3に対して電気的に絶縁するために用いられる。絶縁部27aは、ハウジング内にステータ薄板パケット3を取り付ける際に生じる削り屑を収容して、保持しておくために、収容ポケット35を有している。矢印は、ハウジング内へ接合する際のステータ薄板パケット3の接合方向を示唆している。第1の絶縁部27aが、まず、ハウジング内へ進入し、それに続いてステータ薄板パケット3の始端領域33、緩く積層された第1の領域45、密に積層された第2の領域46、終端領域34そして最後に第2の絶縁部27bが進入する。緩く積層された領域45内では、舌片26を有する個別薄板12aと舌片のない個別薄板12bが互いに交代する。密に積層された第2の領域46内ではそれぞれ隣接する2つの、舌片26を有する個別薄板12aと舌片なしの個別薄板12bが互いに交代する。その理由は、ハウジングのわずかな円錐形状と、先行する第1の領域45の個別薄板による削り取りの可能性である。第1の領域45内の舌片26は、ハウジング直径が狭くなることに基づいて、第2の領域46内の舌片26よりも激しく変形されなければならない。第1の絶縁部は、シール端縁47を有しており、それがハウジングに添接する。
【0023】
図4は、軸6、扁平部23、案内する軸端部31、ローレット15、プラスチックハブ7、切り欠き16、スポーク24、保持リング21、永久磁石ロータ5の第1の端部のガイド9及び、射出成形工具内に永久磁石8を定められたように収容するための切り欠き17を有する永久磁石ロータ5を正面で示している。詳細Aは、ガイド斜面(14)を有するガイド9を拡大して示しており、そのガイド斜面は接合方向(軸平行の方向)に対して角度α、20°傾斜している。
【0024】
図5は、案内する軸端部31、プラスチックハブ7、切り欠き16、スポーク24、ガイド9、ガイド斜面14及び切り抜き17を有する、永久磁石ロータ5の正面(側面)を示している。図示される例においては、3つの切り欠き16と6つの切り抜き17が設けられている。
【符号の説明】
【0025】
1 直流モータ
2 ステータ
3 ステータ薄板パケット
4 ハウジング
5 永久磁石ロータ
6 軸
7 プラスチックハブ
8 永久磁石
9 ガイド
10 カップ底
11 第1の端部
12 個別薄板
13 面取りされたエッジ
14 導入斜面
15 ローレット
16 切り欠き
17 切り抜き
18 引っ込み
19 突出部
20 ハウジング軸受
21 保持リング
22 軸切り欠き
23 平坦部
24 スポーク
25 取り付け開口部
26 舌片
27 絶縁部
28 稜線
29 円筒状の領域
30 軸受収容部
31 案内する軸端部
32 磁石収容領域
33 始端領域
34 終端領域
35 収容ポケット
36 軸受シールド
37 Oリング
38 溝
39 軸受シールド軸受
40 ベリリウムクリップディスク
41 ばねディスク
42 ハウジングフランジ
43 ロータ収容部
44 外周
45 第1の領域
46 第2の領域
47 シール端縁
48 外側エッジ
49 終端薄板
図1
図2
図3
図4
図5