(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光学部品は、前記デリバリファイバの前記射出端と前記コリメートレンズとの間に配置されたガラス板であり、前記ガラス板の面が、前記コリメート光と直交する方向に対して、0度を超えて90度未満の角度を有するように配置されており、
前記ガラス板のレーザ光の入射面に、前記不要光を減衰させる反射コートが施されている
請求項1に記載の加工ヘッド。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、各実施形態の加工ヘッドについて、添付図面を参照して説明する。各実施形態の加工ヘッドにおいて、同一部品には同一符号を付し、共通する部分の説明を省略することがある。
【0014】
<第1実施形態>
図1において、ファイバレーザ発振器10は、例えば、レーザ出力2kWで、波長1080nmのレーザ光を射出する。ファイバレーザ発振器10は、1060nm〜1080nmのレーザ光を射出すればよい。デリバリファイバ12は、ファイバレーザ発振器10より射出されたレーザ光を加工ヘッド20へと伝送する。デリバリファイバ12のレーザ光の射出端にはエンドキャップ12eが設けられている。デリバリファイバ12のエンドキャップ12eが加工ヘッド20と接続されている。加工ヘッド20の内部には、コリメートレンズ21と集束レンズ22とがこの順で設けられている。
【0015】
ファイバレーザ発振器10は、概略的に、
図2に示すように構成される。
図2において、複数のレーザダイオード101は、所定の波長のレーザ光を射出する。レーザダイオード101の数は3個に限定されない。図示していない励起光コンバイナは、複数のレーザダイオード101より射出されたレーザ光を光結合させる。
【0016】
励起光コンバイナより射出されたレーザ光は、高反射ファイバブラッググレーティング102(以下、FBG102)と、低反射ファイバブラッググレーティング104(以下、FBG104)との間に設けられたアクティブファイバ103に入射される。アクティブファイバ103は、コアに希土類の元素が添加された光ファイバである。希土類の元素としては、Yb(イッテルビウム)、Er(エルビウム)、Nd(ネオジム)、Ho(ホルミウム)等が用いられ、典型的には、Ybが用いられる。
【0017】
アクティブファイバ103がYb添加ファイバであれば、レーザダイオード101は典型的には波長915nmまたは976nmのレーザ光を射出する。
【0018】
アクティブファイバ103に入射されたレーザ光はYbに吸収され、そのYbがレーザ光を吸収する現象によって反転分布が生じてレーザ光が放出される。アクティブファイバ103から放出されたレーザ光がFBG102とFBG104との間で往復を繰り返し、FBG104からは、レーザダイオード101が射出するレーザ光の波長とは異なる波長1080nmのレーザ光が射出される。FBG104より射出されたレーザ光は、図示していないビームカップラ等を介してデリバリファイバ12へと供給される。
【0019】
図1に戻り、デリバリファイバ12より射出された発散光であるレーザ光はコリメートレンズ21に入射される。但し、デリバリファイバ12の射出端より射出され、加工ヘッド20に入射されるレーザ光のうち、中心光は発散角0度で進行してコリメートレンズ21へと入射する。コリメートレンズ21は、発散光を平行光(コリメート光)に変換する。コリメートレンズ21より射出された平行光であるレーザ光は集束レンズ22に入射する。集束レンズ22は、入射されたレーザ光を集束してレーザビームを加工対象物である板金Wに照射する。
【0020】
図3に示すように、デリバリファイバ12より射出されたレーザ光には、デリバリファイバ12内で発生した誘導ラマン散乱に基づく不要光Lsrsを含む。例えば、不要光Lsrsは中心波長1150nmを有する。
【0021】
図1に示すように、コリメートレンズ21のレーザ光の入射面には反射コート210が施されている。
図4に示すように、反射コート210は、例えば、波長1100nm以下では反射率がほぼ0であって、波長1100nmを超えるとほぼ全反射の反射率を有する特性を有する。換言すれば、コリメートレンズ21のレーザ光の入射面には、波長1100nm以下では透過率がほぼ100%であって、波長1100nmを超えると透過率がほぼ0であるコートが施されている。
【0022】
反射コート210は、アクティブファイバ103がゲインを有する波長のうち、ファイバレーザ発振器10の発振波長以外の波長の光を減衰するのがよい。
【0023】
コリメートレンズ21に一点鎖線の矢印線で示すように不要光Lsrsが入射すると、不要光Lsrsは反射コート210で反射して減衰する。
【0024】
このとき、不要光Lsrsは反射コート210で反射して発散し、デリバリファイバ12側へと向かう不要光Lsrsは、大方、デリバリファイバ12の射出端よりデリバリファイバ12内へと入射しないものの、デリバリファイバ12内へと入射する光量を完全にゼロとすることは困難である。
【0025】
不要光Lsrsが反射コート210で反射してデリバリファイバ12内へと入射する光量が、射出端より射出されたレーザ光の光量と比較して−50dB以下であれば、デリバリファイバ12内に入射する不要光に起因する不具合はほぼ発生しないことが確認されている。そこで、反射コート210は、デリバリファイバ12内へと入射する不要光Lsrsの光量が射出端より射出されたレーザ光の光量と比較して−50dB以下となるように、不要光Lsrsを減衰させればよい。
【0026】
反射した不要光Lsrがデリバリファイバ12内へと入射する光量は、デリバリファイバ12の射出端とコリメートレンズ21との距離、射出端の径、及びその他の各種の条件に応じて変化する。このような各種の条件に応じてデリバリファイバ12内へと入射する不要光Lsrの光量が変化したとしても、反射コート210がレーザ光の光量と比較して−50dB以下の光量となるように不要光Lsrsを減衰させればよい。
【0027】
以上のようにして、第1実施形態によれば、デリバリファイバ12内で発生した誘導ラマン散乱に基づく不要光Lsrsがデリバリファイバ12またはファイバレーザ発振器10へと戻ることによる不具合の発生を低減させることができる。第1実施形態によれば、コリメートレンズ21及び集束レンズ22とは別の、不要光Lsrsを減衰させるための光学素子を設ける必要がないので、安価に構成することができる。
【0028】
図1において、コリメートレンズ21と集束レンズ22との間にベンドミラーを設けて、レーザ光の進行方向を90度曲げて、板金Wに照射するように構成されていてもよい。コリメートレンズ21は、入射面が平面である平凸レンズであってもよい。コリメートレンズ21が平凸レンズである場合には、平面である入射面に反射コート210が施される。
【0029】
<第2実施形態>
図5において、加工ヘッド20の内部には、ガラス板23、コリメートレンズ21、集束レンズ22がこの順で設けられている。即ち、ガラス板23は、加工ヘッド20へのレーザ光の入射端とコリメートレンズ21との間に配置されている。ファイバレーザ発振器10は、
図2に示すように構成される。
【0030】
ガラス板23は、ガラス板23の面が、加工ヘッド20に入射されるレーザ光のうち、発散角0度の中心光が進行する方向と直交する方向に対して、0度を超えて90度未満の角度を有するように配置されている。ガラス板23は、中心光が進行する方向と直交する方向に対してわずかな傾斜を有するように、例えば10度未満の傾斜角で傾けられているのがよい。ガラス板23のレーザ光の入射面には、反射コート210と同様の反射率の特性を有する反射コート230が施されている。
【0031】
第1実施形態と同様に、ガラス板23に一点鎖線の矢印線で示すように不要光Lsrsが入射すると、不要光Lsrsは反射コート230で反射して減衰する。不要光Lsrsは反射コート230で反射して発散し、しかもガラス板23が傾けられているため、デリバリファイバ12側へと向かう不要光Lsrsは、大方、デリバリファイバ12の射出端よりデリバリファイバ12内へと入射しない。しかしながら、第1実施形態と同様、デリバリファイバ12内へと入射する光量を完全にゼロとすることは困難である。
【0032】
第2実施形態においても、反射コート230は、デリバリファイバ12内へと入射する不要光Lsrsの光量が射出端より射出されたレーザ光の光量と比較して−50dB以下となるように、不要光Lsrsを減衰させればよい。
【0033】
第2実施形態においても、反射した不要光Lsrsがデリバリファイバ12内へと入射する光量は、デリバリファイバ12の射出端とガラス板23との距離、射出端の径、及びその他の各種の条件に応じて変化する。このような各種の条件に応じてデリバリファイバ12内へと入射する不要光Lsrsの光量が変化したとしても、反射コート230がレーザ光の光量と比較して−50dB以下の光量となるように不要光Lsrsを減衰させればよい。
【0034】
以上のようにして、第2実施形態によれば、不要光Lsrsがデリバリファイバ12またはファイバレーザ発振器10へと戻ることによる不具合の発生を低減させることができる。
【0035】
図5において、コリメートレンズ21と集束レンズ22との間にベンドミラーを設けて、レーザ光の進行方向を90度曲げて、板金Wに照射するように構成されていてもよい。第2実施形態においても、コリメートレンズ21は平凸レンズであってもよい。
【0036】
第2実施形態の変形例として、
図6に示すように、デリバリファイバ12のエンドキャップ12eと、ガラス板23を内部に有する不要光反射ユニット23Uとを一体化した構成としてもよい。
図5においては、ガラス板23は加工ヘッド20の内部に設けられている。
図6に示す変形例では、不要光反射ユニット23Uは、ファイバレーザ発振器10及びデリバリファイバ12を含むレーザ光供給装置の一部として構成される。
【0037】
<第3実施形態>
図7において、加工ヘッド20の内部には、コリメートレンズ21、ガラス板24、集束レンズ22がこの順で設けられている。ファイバレーザ発振器10は、
図2に示すように構成される。コリメートレンズ21より射出されたレーザ光はガラス板24を透過して集束レンズ22に入射する。集束レンズ22は、入射されたレーザ光を集束してレーザビームを板金Wに照射する。
【0038】
一点鎖線の矢印線で示すように、板金Wで発生した熱輻射光が不要光として加工ヘッド20の内部へと進行し、集束レンズ22を透過してガラス板24へと向かう。ガラス板24の集束レンズ22側の面(レーザ光の射出面)には、波長1060nm〜1100nmを透過し、波長1030nm〜1060nm及び1100nm〜1150nmを反射する反射コート240が施されている。
【0039】
図8において、実線は波長とレーザ光量との関係、一点鎖線は反射コート240によるレーザ光の透過率を示している。ほぼ波長1060nm〜1100nmに分布するレーザ光以外の光が反射コート240によって減衰(望ましくは遮断)される。反射コート240は、アクティブファイバ103がゲインを有する波長のうち、ファイバレーザ発振器10の発振波長以外の波長の光を減衰するのがよい。
【0040】
ガラス板24は、ガラス板24の面がコリメート光の進行方向と直交する方向に対して、0度を超えて90度未満の角度を有するように配置されている。ガラス板24は、コリメート光の進行方向と直交する方向に対してわずかな傾斜を有するように、例えば10度未満の傾斜角で傾けられているのがよい。
【0041】
図9は、ガラス板24の角度と透過波長の中心値との関係の一例を示している。ガラス板24の角度とは、ガラス板24の面の垂線とレーザ光の進行方向とがなす角度である。
図9より分かるように、ガラス板24の角度によって透過波長の中心値が変化する。反射コート240を透過させようとする波長に応じて、ガラス板24の角度を設定すればよい。
【0042】
ファイバレーザ発振器10が波長1080nmのレーザ光を射出するとき、ガラス板24の角度は
図9より7.4度とすればよいことが分かる。
【0043】
図7に示すように、不要光がガラス板24に到達すると、反射コート240は不要光の上記の波長の範囲を反射する。板金Wで発生してデリバリファイバ12側へと向かう不要光は減衰する。板金Wで発生した不要光は反射コート240で反射されるため、大方、デリバリファイバ12の射出端よりデリバリファイバ12内へと入射しないものの、デリバリファイバ12内へと入射する光量を完全にゼロとすることは困難である。
【0044】
反射コート240は、不要光が射出端よりデリバリファイバ12内へと入射する光量が、射出端より射出されたレーザ光の光量と比較して−50dB以下となるように、不要光を減衰させればよい。
【0045】
以上のようにして、第3実施形態によれば、板金Wで発生した不要光がデリバリファイバ12またはファイバレーザ発振器10へと入射することによる不具合の発生を低減させることができる。
【0046】
図7において、コリメートレンズ21と集束レンズ22との間にベンドミラーを設けて、レーザ光の進行方向を90度曲げて、板金Wに照射するように構成されていてもよい。第3実施形態においても、コリメートレンズ21は平凸レンズであってもよい。
【0047】
<第4実施形態>
図10において、ファイバレーザ発振器10は、例えば、レーザ出力100Wで波長1064nmのレーザ光を射出する。
【0048】
図10におけるファイバレーザ発振器10は、概略的に、
図11に示すように構成される。
図11において、シード光レーザダイオード105は、シード光としてのレーザ光を射出する。シード光の波長は1064nmである。シード光レーザダイオード105の代わりにシード光を射出するファイバレーザが設けられていてもよい。シード光レーザダイオード105より射出されたレーザ光は、アクティブファイバ103に入射される。
【0049】
アクティブファイバ103より射出するレーザ光は、励起用レーザダイオード106及び107が射出するレーザ光によって増幅される。励起用レーザダイオード106及び107が射出するレーザ光の波長は例えば976nmである。
図11に示すファイバレーザ発振器10は1パスのファイバアンプとして構成されており、レーザ光はアクティブファイバ103の入射側と射出側との間で往復しない。
【0050】
図10において、集束レンズ22のレーザ光の射出面には、波長1084nm〜1150nmの光を反射する反射コート220が施されている。板金Wで発生した熱輻射光が不要光として集束レンズ22に到達すると、反射コート220は不要光の上記の波長の範囲を反射する。板金Wで発生してデリバリファイバ12側へと向かう不要光は減衰する。
【0051】
図12において、実線は波長とレーザ光量との関係、一点鎖線は反射コート220によるレーザ光の透過率を示している。ほぼ波長1044nm〜1084nmに分布するレーザ光より高波長の光が反射コート220によって減衰される。反射コート220は、アクティブファイバ103がゲインを有する波長のうち、ファイバレーザ発振器10の発振波長以外の波長の光を減衰するのがよい。
【0052】
3000Kよりも低温側では、板金Wで発生する熱輻射光の波長は、ファイバレーザ発振器10の発振波長である約1μmよりも長波長成分が主である。よって、
図12に示すように、ファイバレーザ発振器10の発振波長よりも長波長側の光のみを減衰することで十分効果的である。ファイバレーザ発振器10の発振波長よりも長波長側の光のみを減衰することが効果的であるのは、第4実施形態に限らず、第1〜3実施形態と、後述する第5及び第6実施形態でも同様である。
【0053】
第4実施形態においても、反射コート220は、不要光が射出端よりデリバリファイバ12内へと入射する光量が、射出端より射出されたレーザ光の光量と比較して−50dB以下となるように、不要光を減衰させればよい。第4実施形態によれば、板金Wで発生した不要光がデリバリファイバ12またはファイバレーザ発振器10へと入射することによる不具合の発生を低減させることができる。
【0054】
図10においては、集束レンズ22のレーザ光の射出面に反射コート220を施しているが、コリメートレンズ21側の面であるレーザ光の入射面に反射コートを施してもよい。集束レンズ22の両面に反射コートを施してもよい。コリメートレンズ21のレーザ光の射出面に反射コートを施してもよく、コリメートレンズ21のレーザ光の入射面に反射コートを施してもよい。コリメートレンズ21の両面に反射コートを施してもよい。ここでの反射コートとは、板金Wで発生した不要光を反射する反射コートである。
【0055】
即ち、コリメートレンズ21及び集束レンズ22の合計4面のうちの、少なくとも1面に反射コートを施せばよい。複数のレンズのうちの1つのレンズのみに反射コートを施すとすると、
図10に示す、集束レンズ22の射出面に反射コート220を施すのが最も効果的である。反射コートを施したレンズの製造のしやすさという点を考慮すると、焦点距離が長い平面に近い方のレンズに反射コートを施すのがよい。平面に近いレンズに反射コートを施す方が反射コートを施しやすい。
【0056】
第4実施形態の構成においては、第3実施形態の構成におけるガラス板24のように、コリメートレンズ21及び集束レンズ22とは別の光学素子を設ける必要がないので、安価に構成することができる。
【0057】
図10においても、コリメートレンズ21と集束レンズ22との間にベンドミラーを設けて、レーザ光の進行方向を90度曲げて、板金Wに照射するように構成されていてもよい。第4実施形態においても、コリメートレンズ21は平凸レンズであってもよい。
【0058】
<第5実施形態>
図13において、窒素等のアシストガスが供給される供給口201が設けられている位置よりもレーザ光の進行方向前側の位置には、ガラス板よりなる保護ガラス25が設けられている。保護ガラス25のレーザ光の射出面には、一点鎖線の矢印線で示す不要光を反射する反射コート250が施されている。保護ガラス25のレーザ光の射出面に加えて、またはその代わりに、レーザ光の入射面に反射コートを施してもよい。ここでの反射コートとは、板金Wで発生した不要光を反射する反射コートである。
【0059】
保護ガラス25も、コリメート光が進行する方向と直交する方向に対して、0度を超えて90度未満の角度を有するように配置されている方が好ましい。
【0060】
なお、
図1、
図5、
図7、及び
図10に示す構成においてもアシストガスが供給される供給口及び保護ガラスを備えるが、それらの図示は省略されている。
【0061】
第5実施形態においても、反射コート250は、不要光が射出端よりデリバリファイバ12内へと入射する光量が、射出端より射出されたレーザ光の光量と比較して−50dB以下となるように、不要光を減衰させればよい。第5実施形態によれば、板金Wで発生した不要光がデリバリファイバ12またはファイバレーザ発振器10へと入射することによる不具合の発生を低減させることができる。
【0062】
<第6実施形態>
図14において、コリメートレンズ21を射出したレーザ光はベンドミラー26で進行方向が90度曲げられて、集束レンズ22に入射する。集束レンズ22は入射されたレーザ光を集束したレーザビームを板金Wに照射する。ベンドミラー26はダイクロイックミラーで構成されている。
【0063】
ベンドミラー26の一点鎖線の矢印線で示す不要光が入射する面には、ファイバレーザ発振器10の発振波長以外の波長の光を透過させる透過コート260が施されている。透過コート260は、不要光を減衰させる。
【0064】
第6実施形態においても、透過コート260は、不要光が射出端よりデリバリファイバ12内へと入射する光量が、射出端より射出されたレーザ光の光量と比較して−50dB以下となるように、不要光を減衰させればよい。第6実施形態によれば、板金Wで発生した不要光がデリバリファイバ12またはファイバレーザ発振器10へと入射することによる不具合の発生を低減させることができる。
【0065】
図1、
図5、
図7、
図10、
図13、
図14に記載のように、以上説明した第1〜第6実施形態の加工ヘッド20は、コリメートレンズ21と集束レンズ22との間でレーザ光は集束することなく伝送されている。仮に、加工ヘッド20が、内部でレーザ光が焦点を結ぶように集束するように構成されていれば、アパーチャを設けることによって不要光をある程度減衰させることも可能である。
【0066】
第1〜第6実施形態の加工ヘッド20においては、コリメートレンズ21と集束レンズ22との間でレーザ光が集束しないように構成されているので、アパーチャを設けることによって不要光を減衰させることはできない。よって、加工ヘッド20の内部に設けられている光学部品に、デリバリファイバ12側から板金W側へと向かう不要光Lsrsを減衰させる反射コート(210または230)を施す構成が有効である。または、加工ヘッド20の内部に設けられている光学部品に、板金W側からデリバリファイバ12側へと向かう不要光を減衰させる反射コート(220、240、または250)または透過コート(260)を施す構成が有効である。
【0067】
第1または第2実施形態によるデリバリファイバ12側から板金W側へと向かう不要光Lsrsを減衰させる構成と、第3〜第6実施形態による板金W側からデリバリファイバ12側へと向かう不要光を減衰させる構成とを組み合わせてもよい。このようにすれば、デリバリファイバ12またはファイバレーザ発振器10へと戻る不要光をさらに減衰させることができるので好ましい。
【0068】
ファイバレーザ発振器10が波長1080nmのレーザ光を射出する場合を例とすると、
図15Aに示すように、ピークのパワーに対する相対パワーが−40dBでは、レーザ光の波長は±20nm程度まで分布している。
図15Bは波長1100nm以上を減衰(遮断)した状態を示している。レーザ光のパワーにはほとんど損失がなく、ファイバレーザ発振器10の発振波長以外の波長の光を減衰しても、板金Wの加工にはほとんど影響を与えない。
【0069】
図16Aは、不要光を減衰しない状態の、加工ヘッド20より射出されるレーザ光の出力の変化の状態を示している。
図16A及び
図16Bの横軸は時間、縦軸はレーザ出力の相対値である。加工ヘッド20の内部で不要光を減衰しないと、レーザ光の出力は安定しないことが分かる。
図16Bは、第1〜第6実施形態のように不要光Lsrsまたは板金で発生した不要光を減衰したときの、加工ヘッド20より射出されるレーザ光の出力の変化の状態を示している。加工ヘッド20の内部で不要光Lsrsまたは板金Wで発生した不要光を減衰することにより、レーザ光の出力が安定化することが分かる。
【0070】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。減衰させようとする波長の光を反射する反射コートを施す光学部品は、コリメートレンズ21、集束レンズ22、これらとは別体のガラス板23、24または保護ガラス25に限定されない。加工ヘッド20の内部に、レーザ光を回転させるウィービングガラスが設けられている場合には、ウィービングガラスに不要光Lsrsまたは板金Wで発生した不要光を反射する反射コートを施してもよい。
【0071】
レーザ加工機による加工対象物の加工は切断に限定されず、溶接、マーキング等の任意の加工でよい。