【文献】
Molecular Human Reproduction,2007年,Vol.13, No.9,p.675-683
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリペプチドが、グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸および脂質部分に結合体化されたアミノ酸から選択される1つまたは複数の修飾されたアミノ酸残基を含む、請求項1に記載の薬学的調製物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本開示の目的は、患者で赤血球レベルを高めるための代替組成物および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の概要)
一つには、本開示は、アクチビンアンタゴニストならびにActRIIaアンタゴニスト(総称として、「アクチビン−ActRIIaアンタゴニスト」)を用いて、赤血球およびヘモグロビンのレベルを高めることができることを実証する。一つには、本開示は、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストが、赤血球およびヘモグロビンのレベルを高めること、そのうえ骨密度を高めることができることを実証する。この二重効果は、貧血および骨減少の両方を有する患者、例えば多くのがん患者(貧血および骨減少は、腫瘍の結果または放射線治療もしくは化学療法の結果であり得る)、骨粗鬆症患者および腎不全患者で、特に有利である。詳細には、本開示は、可溶型のActRIIaがアクチビンのインヒビターとして作用すること、またインビボで投与された場合、赤血球レベルを高めることを実証する。可溶性ActRIIaはアクチビン拮抗以外の機構を通して赤血球レベルに影響を及ぼし得るが、それにもかかわらず、本開示は、アクチビン拮抗またはActRIIa拮抗、またはその両方に基づいて望ましい治療薬を選択することができることを実証する。そのような薬剤は、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストと総称される。したがって、特定の実施形態では、本開示は、患者で赤血球およびヘモグロビンのレベルを高めるため、ならびに処置を必要とする患者で赤血球またはヘモグロビンの低いレベルに関連する障害を処置するため、あるいは骨および赤血球への複合効果を得るために、例えば、アクチビン結合性ActRIIaポリペプチド、抗アクチビン抗体、抗ActRIIa抗体、アクチビン標的化またはActRIIa標的化小分子およびアプタマー、ならびにアクチビンまたはActRIIaの発現を減少させる核酸を含むアクチビン−ActRIIaアンタゴニストを用いる方法を提供する。参照により本明細書に援用される、米国特許出願第11/603,485号ならびに公開特許出願WO2008/100384およびWO/2007/062188に記載されているように、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストを用いて、骨成長を促進し、骨密度を高めることができる。本明細書に記載のように、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストの赤血球レベルに対する影響は、そのようなアンタゴニストの骨に対する影響よりも迅速であり、より低い用量で出現する。したがって、特定の実施形態では、本開示は、骨密度のかなりの増加を引き起こすことなく赤血球またはヘモグロビンのレベルを高めるために、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストを用いる方法を提供する。例えば、方法は、3%、5%、10%または15%未満の骨密度の増加を引き起こし得る。この選択的な影響は、例えば、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストのより低い用量、より低頻度の投与を用いることにより、またはより低い血清濃度を提供すると計算された用量および頻度でより短い血清半減期を有するアクチビン−ActRIIaアンタゴニストを用いて達成することができる。さらに、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストが骨成長および赤血球レベルの上昇の両方を促進すると想定すると、本開示は、特に、貧血および骨減少を特徴とする障害、例えば炎症性腸疾患、慢性関節リウマチ、多発性骨髄腫、がん関連およびがん治療関連の骨減少、ならびに末期腎疾患を含む多くの型の腎不全を有する患者で、骨成長を促進し、赤血球レベルを上昇させる方法を提供する。
【0010】
特定の態様では、本開示は、アクチビンに結合する、可溶性アクチビン結合性ActRIIaポリペプチドを含むポリペプチドを提供する。ActRIIaポリペプチドは、アクチビン結合性ActRIIaポリペプチドおよび薬学的に許容される担体を含む薬学的調製物として処方することができる。アクチビン結合性ActRIIaポリペプチドは、1マイクロモル未満または100、10もしくは1ナノモル未満のK
Dでアクチビンに結合することができる。任意選択で、アクチビン結合性ActRIIaポリペプチドは、GDF11および/またはGDF8と比較して、アクチビンに選択的に結合し、また任意選択で、GDF11および/またはGDF8よりも、アクチビンに対し少なくとも10倍、20倍または50倍低いK
Dで結合する。特定の作用機構に縛られることを望まないが、ActRIIa−FcにおけるGDF11/GDF8阻害を超えるアクチビン阻害へのこの選択性の程度が、一貫して測定可能な筋肉への影響を伴わない骨または赤血球生成への影響を説明すると予想される。多くの実施形態では、ActRIIaポリペプチドは、赤血球レベルに対する望ましい影響を達成する用量で、15%未満、10%未満または5%未満の筋肉増加を引き起こすものが選択される。他の実施形態では、筋肉に対する影響は許容範囲であり、除外する必要はない。サイズ排除クロマトグラフィーによって調査した場合、他のポリペプチド成分に関して、本組成物は少なくとも95%純粋であり得、任意選択で、本組成物は少なくとも98%純粋である。そのような調製物に用いられるアクチビン結合性ActRIIaポリペプチドは、本明細書に開示されるもののいずれか、例えば、配列番号2、3、7、12または13から選択されるアミノ酸配列を有する(すなわち、含む)ポリペプチド、または配列番号2、3、7、12または13から選択されるアミノ酸配列に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%または99%同じアミノ酸配列を有する(すなわち、含む)ポリペプチドであってよい。アクチビン結合性ActRIIaポリペプチドとしては、天然のActRIIaポリペプチドの機能的断片が挙げられ得、これは例えば、配列番号1〜3から選択される配列、または配列番号2の配列の少なくとも10、20または30個のアミノ酸を含み、C末端の10〜15個のアミノ酸(「テール」)を欠くものである。
【0011】
可溶性アクチビン結合性ActRIIaポリペプチドは、天然に存在するActRIIaポリペプチドと比較してアミノ酸配列に(例えば、リガンド結合性ドメインに)1つまたは複数の変化を含み得る。変化させられたActRIIaポリペプチドの例は、参照により本明細書に援用される、WO2006/012627のそれぞれ59〜60頁および55〜58頁において、また参照により本明細書に援用される米国特許出願第12/012,652号全体において提供される。アミノ酸配列の変化は、例えば、哺乳動物、昆虫または他の真核細胞で生成される場合はポリペプチドのグリコシル化を変化させることができ、あるいは、天然に存在するActRIIaポリペプチドと比較してポリペプチドのタンパク分解性切断を変化させることができる。
【0012】
アクチビン結合性ActRIIaポリペプチドは、1つのドメインとしての、ActRIIaポリペプチド(例えば、ActRIIaのリガンド結合性部分)、および改善された薬物動態、より簡単な精製、特定の組織へのターゲティングなどの望ましい特性を提供する、1つまたは複数の追加のドメインを有する融合タンパク質であってよい。例えば、融合タンパク質のドメインは、インビボ安定性、インビボ半減期、取込み/投与、組織内での局在化もしくは分布、タンパク質複合体の形成、融合タンパク質の多量体化および/または精製のうちの1つまたは複数を強化することができる。アクチビン結合性ActRIIa融合タンパク質は、免疫グロブリンFcドメイン(野生型または変異体)、または血清アルブミン、または改善された薬物動態、改善された溶解性、もしくは改善された安定性などの望ましい特性を提供する他のポリペプチド部分を含み得る。好ましい実施形態では、ActRIIa−Fc融合物は、Fcドメインと細胞外のActRIIaドメインとの間に位置する比較的構造化されていないリンカーを含む。この構造化されていないリンカーは、1、2、3、4もしくは5個のアミノ酸の人工配列、または二次構造を比較的含まない5個から15、20、30、50個のもしくは50個を超えるアミノ酸の長さの人工配列、または両方の混合物であってよい。リンカーはグリシンおよびプロリン残基に富むことができ、例えば、スレオニン/セリンおよびグリシンの単一の配列、またはスレオニン/セリンおよびグリシンの反復配列(例えば、TG
4(配列番号15)またはSG
4(配列番号16)シングレット(singlet)またはリピート)を含み得る。融合タンパク質は、精製配列、例えばエピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジン配列およびGST融合物を含み得る。任意選択で、可溶性ActRIIaポリペプチドは、グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、脂質部分に結合体化されたアミノ酸、および有機誘導体化剤に結合体化されたアミノ酸から選択される、1つまたは複数の修飾されたアミノ酸残基を含む。薬学的調製物は、骨障害を処置するために用いられる化合物または貧血を処置するために用いられる化合物などの、1つまたは複数の追加の化合物を含むこともできる。好ましくは、薬学的調製物には実質的に発熱物質が存在しない。一般に、患者における望ましくない免疫応答の可能性を低減するために、ActRIIaタンパク質の天然のグリコシル化を適切に媒介する哺乳動物細胞系でActRIIaタンパク質が発現されることが好ましい。ヒトおよびCHOの細胞系の使用は成功しており、他の一般的な哺乳動物発現系が有用であることも予想される。
【0013】
本明細書に記載のように、ActRIIa−Fcと称されるActRIIaタンパク質は、GDF8および/またはGDF11と比較してアクチビンへの選択的な結合性、高親和性リガンド結合性、ならびに動物モデルおよびヒト患者における2週間を超える血清半減期を含む、望ましい特性を有する。特定の実施形態では、本発明は、ActRIIa−Fcポリペプチド、ならびにそのようなポリペプチドおよび薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的調製物を提供する。
【0014】
特定の態様では、本開示は、可溶性アクチビン結合性ActRIIaポリペプチドをコードする核酸を提供する。単離されたポリヌクレオチドは、上記のような、可溶性アクチビン結合性ActRIIaポリペプチドのコード配列を含み得る。例えば、単離された核酸は、ActRIIaの細胞外ドメイン(例えば、リガンド結合性ドメイン)をコードする配列、ならびに、膜貫通ドメインもしくは細胞質ドメインの中に位置するか、または細胞外ドメインと膜貫通ドメインもしくは細胞質ドメインとの間に位置する終止コドンがなければ、ActRIIaの膜貫通ドメインおよび/または細胞質ドメインの一部またはすべてをコードする配列を含み得る。例えば、単離されたポリヌクレオチドは、配列番号4などの完全長ActRIIaポリヌクレオチド配列、またはActRIIaの細胞外ドメインに対応する、配列番号5の核酸配列を含む核酸などの、ActRIIaの部分切断バージョンを含み得る。単離されたポリヌクレオチドは、3’末端の少なくとも600ヌクレオチド前に、そうでなければ、ポリヌクレオチドの翻訳が、完全長ActRIIaの切断部分に任意選択で融合される細胞外ドメインを生成するように置かれる転写終止コドンをさらに含み得る。ActRIIaの好ましい核酸配列は、配列番号14である。本明細書で開示される核酸は、発現のためのプロモーターに作動可能に連結することができ、本開示は、そのような組換えポリヌクレオチドで形質転換された細胞を提供する。好ましくは、細胞はCHO細胞などの哺乳動物細胞である。
【0015】
特定の態様では、本開示は、可溶性アクチビン結合性ActRIIaポリペプチドを作製する方法を提供する。そのような方法は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはヒト細胞などの適する細胞で、本明細書で開示される核酸(例えば、配列番号4、5または14)のいずれかを発現させることを含み得る。そのような方法は、以下を含み得る:a)可溶性ActRIIaポリペプチドの発現に適する条件下で細胞を培養するステップであって、前記細胞が可溶性ActRIIa発現構築物で形質転換されるステップ、およびb)そのように発現された前記可溶性ActRIIaポリペプチドを回収するステップ。可溶性ActRIIaポリペプチドは、未精製画分か、部分的に精製された画分か、または高度に精製された画分として回収することができる。精製は、例えば以下のうちの1つ、2つまたは3つ以上を任意の順序で含む、一連の精製ステップによって達成することができる:プロテインAクロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー(例えば、Qセファロース)、疎水性相互作用クロマトグラフィー(例えば、フェニルセファロース)、サイズ排除クロマトグラフィーおよび陽イオン交換クロマトグラフィー。可溶性ActRIIaポリペプチドは、液体または固体(例えば、凍結乾燥)の形態で処方することができる。
【0016】
特定の態様では、本明細書で開示されるアクチビン−ActRIIaアンタゴニストは、被験体で赤血球生成を促進するか、または赤血球レベルを高める方法で用いることができる。特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において、低い赤血球数または低いヘモグロビンレベルに関連する障害(例えば、貧血)を処置する方法、あるいは赤血球生成を促進するための方法を提供する。方法は、それを必要とする被験体に、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストの有効量を投与することを含み得る。特定の実施形態では、本開示は、それを必要とする患者において、赤血球レベルおよび骨形成を増大させる方法を提供する。方法は、それを必要とする被験体に、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストの有効量を投与することを含み得る。特定の実施形態では、本開示は、齧歯動物において、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストが、主に脾臓に対する影響を通して赤血球前駆体細胞レベルを高めることを実証する。したがって、本開示は、脾臓からの赤血球の放出を増加させる方法であって、患者にアクチビン−ActRIIaアンタゴニストの有効量を投与することを含む方法を提供する。特定の態様では、本開示は、本明細書に記載の障害または病状の処置のための医薬を作製するための、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストの使用を提供する。
【0017】
特定の態様では、本開示は、赤血球の生成を刺激する薬剤を同定する方法を提供する。方法は、以下を含む:a)アクチビンまたはActRIIaポリペプチドのリガンド結合性ドメインに結合する試験剤を同定するステップ、およびb)赤血球、ヘモグロビンのレベルおよび/または赤血球前駆体のレベル(例えば、網状赤血球レベル)に対する薬剤の影響を評価するステップ。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
赤血球レベルを高めることを必要とする患者で赤血球レベルを高める方法であって、前記患者にアクチビン−ActRIIaアンタゴニストの有効量を1週間に1回から90日間に1回の範囲の投薬間隔で投与することを含む、方法。
(項目2)
前記投薬間隔が1週間に1回から60日間に1回の範囲である、項目1に記載の方法。
(項目3)
赤血球レベルおよび骨形成を高めることを必要とする患者で赤血球レベルおよび骨形成を高める方法であって、前記患者にアクチビン−ActRIIaアンタゴニストの有効量を投与することを含む、方法。
(項目4)
貧血を処置することを必要とする患者で貧血を処置する方法であって、前記患者にアクチビン−ActRIIaアンタゴニストの有効量を投与することを含む、方法。
(項目5)
脾臓からの赤血球の放出を増加させる方法であって、患者にアクチビン−ActRIIaアンタゴニストの有効量を投与することを含む、方法。
(項目6)
前記患者が骨髄の障害を有する、項目5に記載の方法。
(項目7)
患者で赤血球レベルを高める方法であって、アクチビンアンタゴニストおよびエリスロポイエチンアゴニストの有効量を投与することを含む、方法。
(項目8)
前記アクチビン−ActRIIaアンタゴニストが、アクチビンおよびActRIIaからなる群より選択される標的タンパク質に結合する抗体である、項目1から7のいずれかに記載の方法。
(項目9)
前記アクチビン−ActRIIaアンタゴニストがインヒビンまたはインヒビンの保存的改変体である、項目1から7のいずれかに記載の方法。
(項目10)
前記アクチビン−ActRIIaアンタゴニストが、アクチビンに結合して拮抗するフォリスタチンドメインを含むタンパク質である、項目1から7のいずれかに記載の方法。
(項目11)
前記アクチビン−ActRIIaアンタゴニストが、フォリスタチン、FLRGおよび上記の保存的改変体からなる群より選択されるタンパク質である、項目1から7のいずれかに記載の方法。
(項目12)
前記アクチビン−ActRIIaアンタゴニストが、
a)配列番号2と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
b)配列番号3と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、
c)配列番号2から選択される少なくとも50個の連続的なアミノ酸を含むポリペプチド、
d)配列番号7と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチド、およびe)配列番号5の相補体にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド
からなる群より選択されるActRIIaポリペプチドである、項目1から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記ポリペプチドが、以下の特性
i)少なくとも10
−7MのK
DでActRIIaリガンドに結合する、および
ii)細胞でActRIIaシグナル伝達を阻害する
の1つまたは複数を有する、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記ポリペプチドが、ActRIIaポリペプチドドメインに加えて、インビボ安定性、インビボ半減期、取込み/投与、組織局在化もしくは分布、タンパク質複合体の形成および/または精製の1つまたは複数を強化する1つまたは複数のポリペプチド部分を含む融合タンパク質である、項目12に記載の方法。
(項目15)
前記融合タンパク質が、免疫グロブリンFcドメインおよび血清アルブミンからなる群より選択されるポリペプチド部分を含む、項目12に記載の方法。
(項目16)
前記ポリペプチドが、グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、脂質部分に結合体化されたアミノ酸、および有機誘導体化剤に結合体化されたアミノ酸から選択される、1つまたは複数の修飾されたアミノ酸残基を含む、項目12に記載の方法。
(項目17)
前記ActRIIa−Fc融合タンパク質が、
a)配列番号3のアミノ酸配列、
b)配列番号2のアミノ酸配列、
c)配列番号7のアミノ酸配列
からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、項目12に記載の方法。
(項目18)
前記患者が低増殖性貧血を有する、項目4に記載の方法。
(項目19)
前記患者が腎臓疾患を有する、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記患者ががんを有する、項目18に記載の方法。
(項目21)
前記がんが、多発性骨髄腫および乳がんからなる群より選択される、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記患者が鉄欠乏患者である、項目18に記載の方法。
(項目23)
前記患者が骨髄の障害を有する、項目18に記載の方法。
(項目24)
前記患者が小球性貧血を有する、項目4に記載の方法。
(項目25)
前記患者が骨髄抑制療法で処置された患者である、項目4に記載の方法。
(項目26)
前記骨髄抑制療法が、放射線および化学療法からなる群より選択される、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記骨髄抑制療法が、アルキル化剤、代謝拮抗物質、細胞傷害抗生物質、キナーゼインヒビター、分裂抑制剤およびトポイソメラーゼインヒビターからなる群より選択される、項目25に記載の方法。
(項目28)
前記患者がタキサンで処置された患者である、項目25に記載の方法。
(項目29)
前記タキサンがパクリタキセルである、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記患者が貧血および骨減少を有する、項目3に記載の方法。
(項目31)
前記患者が、炎症性腸疾患、慢性関節リウマチ、多発性骨髄腫、固形腫瘍および腎臓障害からなる群より選択される障害を有する、項目3に記載の方法。
(項目32)
前記患者が末期の腎臓疾患を有する、項目3に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(発明の詳細な説明)
(1.概要)
形質転換増殖因子β(TGF−β)スーパーファミリーは、共通する配列エレメントおよび構造モチーフを共有する様々な増殖因子を含む。これらのタンパク質は、脊椎動物および無脊椎動物で、多種多様の細胞型に生物効果を発揮することが公知である。このスーパーファミリーのメンバーは、パターン形成および組織特異化における胚発生中に重要な機能を発揮し、脂質生成、筋形成、軟骨形成、心臓発生、造血、神経発生および上皮細胞分化を含む、様々な分化過程に影響することができる。ファミリーは、2つの一般的なブランチ、BMP/GDFブランチおよびTGF−β/アクチビン/BMP10ブランチに分けられ、そのメンバーは多様で、しばしば相補的な影響を有する。TGF−βファミリーのメンバーの活性を操作することによって、生物体でかなりの生理的変化を引き起こすことがしばしば可能である。例えば、ウシ品種のPiedmonteseおよびBelgian Blueは、筋肉量の顕著な増加を引き起こす、GDF8(ミオスタチンとも呼ばれる)遺伝子の機能喪失変異を有する。Grobetら、Nat Genet. 1997年、17巻(1号):71〜4頁。さらに、ヒトでは、GDF8の不活性対立遺伝子は、筋肉量の増加および、報告によると、特に優れた力に関連する。Schuelkeら、N Engl J Med 2004年、350巻:2682〜8頁。
【0020】
アクチビンは、TGF−βスーパーファミリーに属している二量体ポリペプチド増殖因子である。2つの緊密に関連するβサブユニット(それぞれβ
Aβ
A、β
Bβ
Bおよびβ
Aβ
B)のホモ/ヘテロダイマーである、3つの主要なアクチビン形態(A、BおよびAB)がある。ヒトゲノムは、主に肝臓で発現されるアクチビンCおよびアクチビンEもコードし、β
Cまたはβ
Eを含むヘテロダイマー形態も公知である。TGF−βスーパーファミリーにおいて、アクチビンは、卵巣および胎盤細胞でホルモン生成を刺激すること、ニューロン細胞の生存をサポートすること、細胞型に応じて正または負に細胞周期の進行に影響すること、および少なくとも両生類の胚で中胚葉分化を誘導することができる特異で多機能な因子である(DePaoloら、1991年、Proc Soc Ep Biol Med. 198巻:500〜512頁;Dysonら、1997年、Curr Biol. 7巻:81〜84頁;Woodruff、1998年、Biochem Pharmacol. 55巻:953〜963頁)。さらに、刺激されたヒト単球性白血病細胞から単離された赤芽球分化誘導因子(erythroid differentiation factor(EDF))は、アクチビンAと同一であることが見出された(Murataら、1988年、PNAS、85巻:2434頁)。アクチビンAは、骨髄で赤血球生成を促進することが示唆された。いくつかの組織では、アクチビンシグナル伝達は、その関連するヘテロダイマー、インヒビンによって拮抗される。例えば、下垂体からの卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出の間、アクチビンはFSHの分泌および合成を促進するが、インヒビンはFSHの分泌および合成を阻止する。アクチビン生物活性を調節することおよび/またはアクチビンに結合することができる他のタンパク質には、フォリスタチン(FS)、フォリスタチン関連のタンパク質(FSRP)およびα
2−マクログロブリンが含まれる。
【0021】
TGF−βシグナルは、I型およびII型のセリン/スレオニンキナーゼ受容体のヘテロマー複合体(これは、リガンド刺激後に下流のSmadタンパク質をリン酸化して活性化させる)によって媒介される(Massague、2000年、Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 1巻:169〜178頁)。これらのI型およびII型受容体は膜貫通タンパク質であり、システインリッチ領域を有するリガンド結合性細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび予測されるセリン/スレオニン特異性を有する細胞質ドメインで構成される。I型受容体はシグナル伝達に必須であり、II型受容体は、リガンド結合のため、およびI型受容体の発現のために必要とされる。I型およびII型アクチビン受容体はリガンド結合の後に安定した複合体を形成し、II型受容体によるI型受容体のリン酸化をもたらす。
【0022】
2つの関連するII型受容体(ActRII)、ActRIIaおよびActRIIbがアクチビンのためのII型受容体として同定されている(MathewsおよびVale、1991年、Cell 65巻:973〜982頁;Attisanoら、1992年、Cell 68巻:97〜108頁)。アクチビンの他に、ActRIIaおよびActRIIbは、BMP7、Nodal、GDF8およびGDF11を含む、他のいくつかのTGF−βファミリーのタンパク質と生化学的に相互作用することができる(Yamashitaら、1995年、J. Cell Biol. 130巻:217〜226頁;LeeおよびMcPherron、2001年、Proc. Natl. Acad. Sci. 98巻:9306〜9311頁;YeoおよびWhitman、2001年、Mol. Cell 7巻:949〜957頁;Ohら、2002年、Genes Dev. 16巻:2749〜54頁)。ALK4はアクチビン、特にアクチビンAのための主要なI型受容体であり、ALK−7は、同様にアクチビン、特にアクチビンBのための受容体の役目を果たし得る。
【0023】
本明細書で実証されるように、GDF8またはGDF11などの他のTGF−βファミリーメンバーと対照的にアクチビンAへの結合に実質的な優先を示す可溶性ActRIIaポリペプチド(sActRIIa)は、インビボで赤血球レベルを高めるために有効である。いかなる特定の機構に縛られることも望まないが、これらの試験で用いられる特定のsActRIIa構築物によって示される非常に強いアクチビン結合(ピコモルの解離定数)を考慮すれば、sActRIIaの効果は、主にアクチビンアンタゴニスト効果に起因すると予想される。機構を問わず、ActRIIa−アクチビンアンタゴニストが齧歯動物、サルおよびヒトで赤血球レベルを高めることは、本開示から明らかである。造血は、エリスロポイエチン、G−CSFおよび鉄のホメオスタシスを含む様々な因子によって調節される、複雑な過程である点に留意する必要がある。用語「赤血球レベルを高める」および「赤血球生成を促進する」は、臨床的に観察可能な測定基準、例えばヘマトクリット、赤血球数およびヘモグロビン測定値を指し、そのような変化が起こる機構に関して中立であるものとする。
【0024】
非ヒトの霊長類に関して本明細書で報告されるデータは、マウス、ラットおよびヒトでも同様に再現性があり、したがって、本開示は、齧歯動物からヒトまでの哺乳動物で赤血球生成を促進し、赤血球レベルを高めるためにActRIIaポリペプチドおよび他のアクチビン−ActRIIaアンタゴニストを用いる方法を提供する。アクチビン−ActRIIaアンタゴニストとしては、例えば、アクチビン結合性の可溶性ActRIIaポリペプチド、アクチビン(特にアクチビンAまたはBサブユニット、βAまたはβBとも呼ばれる)に結合してActRIIa結合を破壊する抗体、ActRIIaに結合してアクチビン結合を破壊する抗体、アクチビンまたはActRIIa結合性について選択される非抗体タンパク質(そのようなタンパク質の例ならびにその設計および選択の方法については、例えば、WO/2002/088171、WO/2006/055689およびWO/2002/032925を参照)、アクチビンまたはActRIIa結合性について選択され、Fcドメインにしばしば結合される無作為化ペプチドが挙げられる。アクチビンまたはActRIIa結合活性を有する2つの異なるタンパク質(または他の部分)、特にI型(例えば、可溶性I型アクチビン受容体)およびII型(例えば、可溶性II型アクチビン受容体)結合部位をそれぞれブロックするアクチビン結合剤は、二機能結合性分子を作製するために、一緒に連結してもよい。アクチビン−ActRIIaシグナル伝達軸を阻害する核酸アプタマー、小分子および他の作用物質は、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストとして含まれる。すべての組織でアクチビンと普遍的に拮抗するわけではないがインヒビン(すなわち、インヒビンアルファサブユニット)、フォリスタチン(例えば、フォリスタチン288およびフォリスタチン315)、FSRP、FLRG、アクチビンC、アルファ(2)−マクログロブリン、およびM108A(108位でメチオニンからアラニンに変化)変異体アクチビンAを含む、様々なタンパク質がアクチビン−ActRIIaアンタゴニスト活性を有する。一般に、アクチビンの代替形態、特にI型受容体結合ドメインに変化を有するものは、II型受容体に結合することができ、活性三元複合体を形成することができず、したがってアンタゴニストとして作用する。さらに、アクチビンA、B、CもしくはE、または特にActRIIa発現を阻害する、アンチセンス分子、siRNAまたはリボザイムなどの核酸は、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストとして用いることができる。用いられるアクチビン−ActRIIaアンタゴニストは、TGF−βファミリーの他のメンバーに対して、特にGDF8およびGDF11に関して、アクチビン媒介シグナル伝達の阻害に選択性を示し得る。
【0025】
本明細書で用いられる用語は、本発明との関連で、および各用語が用いられる特定の文脈において、当該分野でのそれらの通常の意味を一般に有する。本発明の組成物および方法、ならびにそれらを作製、使用する方法を記載することにおける追加の指針を技術者に提供するために、特定の用語は、明細書の下、または他の部分に記載される。用語の任意の使用の範囲または意味は、その用語が用いられる特定の文脈から明らかとなる。
【0026】
「約」および「およそ」は、測定の性質または精度が定められた測定量の許容される誤差の程度を一般に意味するものとする。一般的に、例示的な誤差の程度は、所与の値または値域の20パーセント(%)以内、好ましくは10%以内に、より好ましくは5%以内である。
【0027】
あるいは、特に生物系では、用語「約」および「およそ」は、所与の値の1桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内である値を意味することができる。本明細書で与えられる数量は、特に明記しない限り概算であり、明示されていない場合でも用語「約」または「およそ」を推量することができることを意味する。
【0028】
本発明の方法は、野生型配列と1つまたは複数の変異体(配列改変体)との比較を含め、配列を互いと比較するステップを含み得る。そのような比較は、例えば、当該分野で周知である配列アラインメントプログラムおよび/またはアルゴリズム(例えば、少し例を挙げれば、BLAST、FASTAおよびMEGALIGN)を用いるポリマー配列のアラインメントを一般に含む。変異が残基の挿入または欠失を含むようなアラインメントでは、配列のアラインメントは、その挿入または削除された残基を含まないポリマー配列に「ギャップ」(一般的にダッシュまたは「A」によって表される)を導入することを、当業者は容易に理解することができる。
【0029】
すべてのその文法の形およびつづりの変形形態において、「相同」は、「共通する進化的起源」を有する2つのタンパク質間の関係を指し、同じ生物種のスーパーファミリーからのタンパク質ならびに異なる生物種からの相同タンパク質を含む。そのようなタンパク質(およびそれらのコード核酸)は、同一性割合に関するものであろうが、または特定の残基もしくはモチーフおよび保存された位置の存在によるものであろうが、それらの配列類似性によって反映されるように、配列相同性を有する。
【0030】
用語「配列類似性」は、そのすべての文法の形において、共通する進化的起源を共有してもまたはしなくてもよい核酸またはアミノ酸配列の間での、同一性または対応性の程度を指す。
【0031】
しかし、一般的な使用、およびこの出願では、「高度に」などの副詞で修飾される場合、用語「相同」は配列類似性を指すことができ、共通する進化的起源に関するものでもまたは関するものでなくてもよい。
【0032】
(2.ActRIIaポリペプチド)
特定の態様では、本発明はActRIIaポリペプチドに関する。本明細書で用いるように、用語「ActRIIa」は、任意の種からのアクチビン受容体IIa型(ActRIIa)タンパク質のファミリー、および変異誘発または他の修飾によってそのようなActRIIaタンパク質から誘導される改変体を指す。本明細書でのActRIIaへの言及は、現在同定されている形態のいずれか1つへの言及であると理解される。ActRIIaファミリーのメンバーは一般に膜貫通タンパク質であり、システインリッチ領域を有するリガンド結合性細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび予測されるセリン/スレオニンキナーゼ活性を有する細胞質ドメインで構成される。
【0033】
用語「ActRIIaポリペプチド」は、ActRIIaファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチドを含むポリペプチド、ならびに、有用な活性を保持するその任意の改変体(変異体、断片、融合体およびペプチド模倣物(peptidomimetic)形態を含む)を含む。例えば、WO/2006/012627を参照。例えば、ActRIIaポリペプチドは、ActRIIaポリペプチドの配列と少なくとも約80%同一、および任意選択で少なくとも85%、90%、95%、97%、99%以上同一の配列を有する任意の公知のActRIIaの配列から誘導されるポリペプチドを含む。例えば、本発明のActRIIaポリペプチドは、ActRIIaタンパク質および/またはアクチビンに結合してその機能を阻害することができる。ActRIIaポリペプチドは、インビボで赤血球生成を促進する活性のために選択することができる。ActRIIaポリペプチドの例としては、ヒトActRIIa前駆体ポリペプチド(配列番号1)および可溶性ヒトActRIIaポリペプチド(例えば、配列番号2、3、7および12)が挙げられる。
【0034】
ヒトActRIIa前駆体タンパク質配列は、以下の通りである。
【0036】
【化2】
シグナルペプチドには、一本下線が引かれている。細胞外ドメインは太字体であり、潜在的N結合グリコシル化部位には二重下線が引かれている。
【0037】
ヒトActRIIaの可溶性(細胞外)の、プロセシングされたポリペプチド(processed polypeptide)配列は以下の通りである。
【0038】
【化3】
細胞外ドメインのC末端の「テール」には、下線が引かれている。「テール」が削除された配列(Δ15配列)は、以下の通りである。
【0039】
【化4】
ヒトActRIIa前駆体タンパク質をコードする核酸配列は、以下の通りである(Genbank登録NM_001616のヌクレオチド164〜1705)。
【0041】
【化6】
ヒトActRIIaの可溶性(細胞外)のポリペプチドをコードする核酸配列は、以下の通りである。
【0042】
【化7】
具体的な実施形態において、本発明は、可溶性ActRIIaポリペプチドに関する。本明細書に記載のように、用語「可溶性ActRIIaポリペプチド」は、ActRIIaタンパク質の細胞外ドメインを含むポリペプチドを一般に指す。本明細書で用いるように、用語「可溶性ActRIIaポリペプチド」は、任意の天然に存在するActRIIaタンパク質の細胞外ドメイン、ならびにその任意の改変体(変異体、断片およびペプチド模倣物形態を含む)を含む。アクチビン結合性ActRIIaポリペプチドは、例えばアクチビンAA、AB、BB、またはCもしくはEサブユニットを含む形態を含むアクチビンに結合する能力を保持するものである。任意選択で、アクチビン結合性ActRIIaポリペプチドは、1nM以下の解離定数でアクチビンAAに結合する。ActRIIaタンパク質の細胞外ドメインはアクチビンに結合し、生理学的条件では一般に可溶性であり、したがって可溶性アクチビン結合性ActRIIaポリペプチドと呼ぶことができる。可溶性アクチビン結合性ActRIIaポリペプチドの例としては、配列番号2、3、7、12および13に例示される可溶性ポリペプチドが挙げられる。配列番号7は、ActRIIa−hFcと呼ばれ、実施例でさらに記載される。可溶性アクチビン結合性ActRIIaポリペプチドの他の例は、ActRIIaタンパク質の細胞外ドメインに加えてシグナル配列、例えば、ミツバチメリチン(mellitin)リーダー配列(配列番号8)、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)リーダー(配列番号9)または天然のActRIIaリーダー(配列番号10)を含む。配列番号13で例示されるActRIIa−hFcポリペプチドは、TPAリーダーを用いる。
【0043】
活性ActRIIa改変体タンパク質の一般式は、配列番号2のアミノ酸12〜82をそれぞれ含むが、任意選択でそれぞれ1〜5位または3〜5位から始まり、110〜116位または110〜115位で終了し、リガンド結合ポケットに1、2、5、10または15個以下の保存的アミノ酸変化を含み、リガンド結合ポケットの40、53、55、74、79および/または82位に0、1または複数個の非保存的な変化を含むものである。そのようなタンパク質は、配列番号2のアミノ酸29〜109の配列に対して、80%、90%、95%または99%を超える配列同一性を保持するアミノ酸配列を含み得る。
【0044】
ActRIIaポリペプチドの機能的活性断片は、ActRIIaポリペプチドをコードする核酸の対応する断片から組換えで生成されたポリペプチドをスクリーニングすることによって得ることができる。さらに、従来のメリフィールド固相f−Mocまたはt−Boc化学などの当該分野の公知技術を用いて、断片を化学的に合成することができる。ActRIIaタンパク質またはアクチビンによって媒介されるシグナル伝達のアンタゴニスト(インヒビター)として機能することができるペプチジル断片を同定するために、断片を生成し(組換えまたは化学合成によって)、試験することができる。
【0045】
ActRIIaポリペプチドの機能的活性改変体は、ActRIIaポリペプチドをコードする対応する変異核酸から組換えで生成された修飾ポリペプチドのライブラリーをスクリーニングすることによって得ることができる。ActRIIaタンパク質またはアクチビンによって媒介されるシグナル伝達のアンタゴニスト(インヒビター)として機能することができるものを同定するために、改変体を生成し、試験することができる。特定の実施形態では、ActRIIaポリペプチドの機能的改変体は、配列番号2または3から選択されるアミノ酸配列に少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む。特定の場合では、機能的改変体は、配列番号2または3から選択されるアミノ酸配列に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0046】
機能的改変体は、治療効力または安定性(例えば、エクスビボの貯蔵期間およびインビボのタンパク分解への耐性)を高めることのような目的のために、ActRIIaポリペプチドの構造を修飾することによって生成することができる。そのような修飾ActRIIaポリペプチドは、アクチビン結合を保持するように選択される場合、天然に存在するActRIIaポリペプチドの機能的同等物とみなされる。修飾ActRIIaポリペプチドは、例えばアミノ酸の置換、欠失または付加によって生成することもできる。例えば、独立した、イソロイシンまたはバリンによるロイシンの置換、グルタミン酸によるアスパラギン酸の置換、セリンによるスレオニンの置換、または構造的に関連するアミノ酸によるアミノ酸の類似的置換(例えば、保存的変異)が、生じる分子の生物活性に大きな影響を及ぼさないと予想することは理にかなっている。保存的置換は、それらの側鎖が関係するアミノ酸のファミリーの中で起こるものである。ActRIIaポリペプチドのアミノ酸配列の変化が機能的相同体を生じるかどうかは、野生型ActRIIaポリペプチドに類似した方法によって、細胞内で応答を生成するための改変体ActRIIaポリペプチドの能力を評価することで容易に判定することができる。
【0047】
特定の実施形態では、本発明は、ポリペプチドのグリコシル化を変化させるために、ActRIIaポリペプチドの特定の変異を企図する。そのような変異は、O連結またはN連結グリコシル化部位などの、1つまたは複数のグリコシル化部位を導入または除去するために選択することができる。アスパラギン連結グリコシル化認識部位は、適当な細胞内グリコシル化酵素によって特異的に認識されるトリペプチド配列、アスパラギン−X−スレオニンまたはアスパラギン−X−セリン(式中、「X」は任意のアミノ酸である)を一般に含む。変化は、野生型ActRIIaポリペプチドの配列への1つまたは複数のセリンまたはスレオニン残基の付加またはそれらによる置換によって加えることもできる(O連結グリコシル化部位の場合)。グリコシル化認識部位の第一または第三のアミノ酸位置の1つまたは両方における様々なアミノ酸置換または欠失(および/または第二の位置のアミノ酸欠失)は、修飾トリペプチド配列で非グリコシル化をもたらす。ActRIIaポリペプチド上の炭水化物部分の数を増加させる別の手段は、ActRIIaポリペプチドへのグリコシドの化学的または酵素的結合によるものである。用いる結合様式によって、糖(複数可)は、(a)アルギニンおよびヒスチジン、(b)遊離のカルボキシル基、(c)システインのものなどの遊離のスルフヒドリル基、(d)セリン、スレオニンまたはヒドロキシプロリンのものなどの遊離のヒドロキシル基、(e)フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンのものなどの芳香族残基、あるいは(f)グルタミンのアミド基に結合されてもよい。ActRIIaポリペプチド上に存在する1つまたは複数の炭水化物部分の除去は、化学的および/または酵素的に達成することができる。化学的脱グリコシル化は、例えば、化合物トリフルオロメタンスルホン酸または同等の化合物へのActRIIaポリペプチドの曝露を含み得る。この処理は、連結糖(linking sugar)(N−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)を除くほとんどまたはすべての糖の切断をもたらすが、一方ではアミノ酸配列をそのままに残す。ActRIIaポリペプチド上の炭水化物部分の酵素切断は、Thotakuraら(1987年)Meth. Enzymol. 138巻:350頁に記載されているような、様々なエンドおよびエキソグリコシダーゼを用いて達成することができる。哺乳動物、酵母、昆虫および植物細胞は、ペプチドのアミノ酸配列が影響を及ぼし得る様々なグリコシル化パターンを導入することがすべてできるので、用いる発現系の種類によってActRIIaポリペプチドの配列を適宜調節することができる。一般に、ヒトに用いられるActRIIaタンパク質は、適切なグリコシル化を提供する哺乳動物細胞系、例えばHEK293またはCHO細胞系で発現させることができるが、他の哺乳動物の発現細胞系も同様に有用であると予想される。他の非哺乳動物細胞系を用いることができ(例えば、酵母、E.coli、昆虫細胞)、場合によっては、そのような細胞系は、発現タンパク質に哺乳動物型のグリコシル化パターンを付与する酵素を含むように操作されてもよい。
【0048】
本開示は、変異体、特にActRIIaポリペプチドの組合せ変異体のセット、ならびに短縮変異体を生成する方法をさらに企図する。組合せ変異体のプールは、機能的改変体配列を同定するために特に有用である。そのような組合せライブラリーをスクリーニングする目的は、例えば、アクチビンまたは他のリガンドに結合するActRIIaポリペプチド改変体を生成することであってもよい。様々なスクリーニングアッセイが以下に提供され、そのようなアッセイを用いて改変体を評価することができる。例えば、ActRIIaリガンドに結合する能力、ActRIIaポリペプチドへのActRIIaリガンドの結合を阻止する能力、またはActRIIaリガンドによって引き起こされるシグナル伝達を妨害する能力について、ActRIIaポリペプチド改変体をスクリーニングすることができる。
【0049】
ActRIIaポリペプチドまたはその改変体の活性は、細胞ベースのまたはインビボのアッセイで試験することもできる。例えば、造血に関与する遺伝子の発現に対するActRIIaポリペプチド改変体の効果を調べることができる。必要に応じて、これを1つまたは複数の組換えActRIIaリガンドタンパク質(例えば、アクチビン)の存在下で実施することができ、細胞は、ActRIIaポリペプチドおよび/またはその改変体、ならびに任意選択でActRIIaリガンドを生成するためにトランスフェクトさせられ得る。同様に、ActRIIaポリペプチドをマウスまたは他の動物に投与することができ、1つまたは複数の血液測定、例えばRBC数、ヘモグロビンまたは網状赤血球数を調べることができる。
【0050】
天然に存在するActRIIaポリペプチドと比較して選択的であるかまたは一般に増加した効力を有する、組合せにより誘導された改変体を生成することができる。同様に、変異誘発は、対応する野生型ActRIIaポリペプチドとは劇的に異なる細胞内半減期を有する改変体をもたらし得る。例えば、変化させられたタンパク質は、タンパク分解、または天然のActRIIaポリペプチドの破壊、さもなければ不活化をもたらす他の細胞過程に対して、より安定かまたはより不安定にすることができる。そのような改変体およびそれらをコードする遺伝子を用い、ActRIIaポリペプチドの半減期を調節することによって、ActRIIaポリペプチドレベルを変化させることができる。例えば、短い半減期はより一時的な生物効果をもたらすものであり得、誘導可能な発現系の一部の場合、細胞内の組換えActRIIaポリペプチドレベルのより厳格な制御を可能にすることができる。Fc融合タンパク質では、タンパク質の半減期を変化させるために、リンカー(存在する場合)および/またはFc部分に変異を起こさせることができる。
【0051】
組合せライブラリーは、潜在的ActRIIaポリペプチド配列の少なくとも一部をそれぞれ含む、ポリペプチドのライブラリーをコードする遺伝子の変性ライブラリーを経て生成することができる。例えば、潜在的ActRIIaポリペプチドヌクレオチド配列の変性セットが個々のポリペプチドとして、または、代わりにより大きな融合タンパク質のセットとして発現可能であるように(例えば、ファージディスプレイのために)、合成オリゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列に酵素的に連結することができる。
【0052】
潜在的相同体のライブラリーを変性オリゴヌクレオチド配列から生成することができる多くの方法がある。変性遺伝子配列の化学合成は自動DNA合成装置で実行することができ、次に発現のために合成遺伝子を適当なベクターに連結することができる。変性オリゴヌクレオチドの合成は、当該分野で周知である(例えば、Narang、SA(1983年)Tetrahedron 39巻:3頁;Itakuraら、(1981年)Recombinant DNA、Proc. 3rd Cleveland Sympos. Macromolecules、AG Walton編、Amsterdam:Elsevier 273〜289頁;Itakuraら、(1984年)Annu. Rev. Biochem. 53巻:323頁;Itakuraら、(1984年)Science 198巻:1056頁;Ikeら、(1983年)Nucleic Acid Res. 11巻:477頁を参照)。そのような技術は、他のタンパク質の誘導進化(directed evolution)で使用されている(例えば、Scottら、(1990年)Science 249巻:386〜390頁;Robertsら、(1992年)PNAS USA 89巻:2429〜2433頁;Devlinら、(1990年)Science 249巻:404〜406頁;Cwirlaら、(1990年)PNAS USA 87巻:6378〜6382頁;ならびに米国特許第5,223,409号、同第5,198,346号および同第5,096,815号を参照)。
【0053】
あるいは、組合せライブラリーを生成するために、他の形態の変異誘発を利用することができる。例えば、ActRIIaポリペプチド改変体は、例えば、アラニンスキャニング(scanning)変異誘発などを用いるスクリーニング(Rufら、(1994年)Biochemistry 33巻:1565〜1572頁;Wangら、(1994年)J. Biol. Chem. 269巻:3095〜3099頁;Balintら、(1993年)Gene 137巻:109〜118頁;Grodbergら、(1993年)Eur. J. Biochem. 218巻:597〜601頁;Nagashimaら、(1993年)J. Biol. Chem. 268巻:2888〜2892頁;Lowmanら、(1991年)Biochemistry 30巻:10832〜10838頁;およびCunninghamら、(1989年)Science 244巻:1081〜1085頁)によって、リンカースキャニング変異誘発(Gustinら、(1993年)Virology 193巻:653〜660頁;Brownら、(1992年)Mol. Cell Biol. 12巻:2644〜2652頁;McKnightら、(1982年)Science 232巻:316頁)によって、飽和変異誘発(Meyersら、(1986年)Science 232巻:613頁)によって、PCR変異誘発(Leungら、(1989年)Method Cell Mol Biol 1巻:11〜19頁)によって、または化学変異誘発などを含むランダム変異誘発(Millerら、(1992年)A Short Course in Bacterial Genetics、CSHL Press、Cold Spring Harbor、NYおよびGreenerら、(1994年)Strategies in Mol Biol 7巻:32〜34頁)によって、ライブラリーから生成および単離することができる。特に組合せの設定でのリンカースキャニング変異誘発は、ActRIIaポリペプチドの切断された(生体活性の)形態を同定するための魅力的な方法である。
【0054】
点変異および短縮によって作製された組合せライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするために、およびそれに関して、特定の特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリーをスクリーニングするために、広範囲にわたる技術が当分野で公知である。そのような技術は、ActRIIaポリペプチドの組合せ変異誘発によって生成される遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに一般に適応できる。大きな遺伝子ライブラリーのスクリーニングのために最も広く使われている技術は、複製可能な発現ベクターに遺伝子ライブラリーをクローニングするステップ、生じたベクターライブラリーで適当な細胞を形質転換するステップ、および所望の活性の検出が、産物が検出された遺伝子をコードするベクターの比較的簡単な単離を促進する条件の下で、組合せ遺伝子を発現させるステップを一般に含む。好ましいアッセイとしては、アクチビン結合アッセイおよびアクチビン媒介細胞シグナル伝達アッセイが挙げられる。
【0055】
特定の実施形態では、本発明のActRIIaポリペプチドは、ActRIIaポリペプチドに本来存在するいかなるものに加えて、翻訳後修飾をさらに含み得る。そのような修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化およびアシル化が含まれるが、これらに限定されない。その結果、修飾ActRIIaポリペプチドは、非アミノ酸エレメント、例えばポリエチレングリコール、脂質、多糖または単糖およびリン酸を含み得る。そのような非アミノ酸エレメントのActRIIaポリペプチドの機能に対する効果は、他のActRIIaポリペプチド改変体について本明細書に記載のように試験することができる。ActRIIaポリペプチドがActRIIaポリペプチドの新生形態を切断することによって細胞内で生成される場合、翻訳後プロセシングは、タンパク質の正しい折畳みおよび/または機能にとっても重要である可能性がある。種々の細胞(例えばCHO、HeLa、MDCK、293、WI38、NIH−3T3またはHEK293)は、そのような翻訳後活性のための特異的な細胞機構および特徴的な機構を有し、ActRIIaポリペプチドの正しい修飾およびプロセシングを保証するために選択することができる。
【0056】
特定の態様では、ActRIIaポリペプチドの機能的改変体または修飾形は、ActRIIaポリペプチドの少なくとも一部および1つまたは複数の融合ドメインを有する融合タンパク質を含む。そのような融合ドメインの周知の例には、ポリヒスチジン、Glu−Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン重鎖定常領域(Fc)、マルトース結合性タンパク質(MBP)またはヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。融合ドメインは、所望の特性を付与するように選択されてもよい。例えば、一部の融合ドメインは、アフィニティークロマトグラフィーによる融合タンパク質の単離のために特に有用である。アフィニティー精製のために、グルタチオン、アミラーゼおよびニッケルまたはコバルトと結合体化した樹脂などの、アフィニティークロマトグラフィーに関連するマトリックスが用いられる。そのようなマトリックスの多くは、Pharmacia GST精製システムおよび(HIS
6)融合パートナーと共に役立つQIAexpress
TMシステム(Qiagen)などの「キット」の形で入手可能である。別の例として、ActRIIaポリペプチドの検出を促進するように、融合ドメインを選択することができる。そのような検出ドメインの例には、通常特異的抗体が利用可能である短いペプチド配列である、様々な蛍光タンパク質(例えば、GFP)ならびに「エピトープタグ」が挙げられる。特異的モノクローナル抗体が容易に利用できる周知のエピトープタグには、FLAG、インフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)およびc−mycタグが挙げられる。場合によっては、融合ドメインは、例えば第Xa因子またはトロンビンのための、プロテアーゼ切断部位を有する。これは、関連プロテアーゼに融合タンパク質を部分的に消化させ、それによってそこから組換えタンパク質を解放させることを可能にする。その後、解放されたタンパク質は、以降のクロマトグラフ分離によって、融合ドメインから単離することができる。特定の好ましい実施形態では、ActRIIaポリペプチドは、インビボでActRIIaポリペプチドを安定させるドメイン(「スタビライザ」ドメイン)と融合させられる。「安定させる」は、破壊の減少、腎臓によるクリアランスの減少、または他の薬物動態学的影響によるものであるかを問わず、血清半減期を増加させるいかなるものも意味する。免疫グロブリンのFc部分との融合は、広範囲のタンパク質に対して望ましい薬物動態特性を付与することが公知である。免疫グロブリンからの定常ドメイン、特にIgG重鎖を、安定化ドメインとして用いることもできる。同様に、ヒト血清アルブミンへの融合は、望ましい特性を付与することができる。選択することができる他の型の融合ドメインには、多量体化(例えば、二量体化、四量体化)ドメインおよび機能的ドメイン(筋成長のさらなる刺激などの追加の生物学的機能を付与するもの)が挙げられる。
【0057】
具体的な例として、本発明は、Fcドメインに融合されたActRIIaの可溶性細胞外ドメインを含む融合タンパク質を提供する。IgG1 Fcドメインの例を、以下に示す(配列番号6)。
【0058】
【化8】
任意選択で、Fcドメインは、Asp−265、リジン322およびAsn−434などの残基に、1つまたは複数の変異を有する。特定の場合では、これらの変異の1つまたは複数(例えば、Asp−265変異)を有する変異体Fcドメインは、野生型Fcドメインと比較してFcγ受容体に結合する能力が低減している。他の場合では、これらの変異の1つまたは複数(例えば、Asn−434変異)を有する変異体Fcドメインは、野生型Fcドメインと比較してMHCクラスI関連のFc受容体(FcRN)に結合する能力が増大している。IgG2、IgG3およびIgG4からのFcドメインを、用いることもできる。
【0059】
所望の機能と一致する任意の方法で、融合タンパク質の種々のエレメントを配置することができるものと理解される。例えば、ActRIIaポリペプチドを異種のドメインのC末端に置くことができ、あるいは、異種のドメインをActRIIaポリペプチドのC末端に置くことができる。ActRIIaポリペプチドドメインおよび異種のドメインは、融合タンパク質内で隣接する必要はなく、追加のドメインまたはアミノ酸配列が、いずれかのドメインのC末端もしくはN末端に、またはドメイン間に含まれてもよい。
【0060】
特定の実施形態では、本発明のActRIIaaポリペプチドは、ActRIIaポリペプチドを安定させることができる1つまたは複数の修飾を含む。例えば、そのような修飾はActRIIaポリペプチドのインビトロの半減期を高め、ActRIIaポリペプチドの循環中の半減期を高め、またはActRIIaポリペプチドのタンパク分解を低減する。そのような安定化修飾には、融合タンパク質(例えば、ActRIIaポリペプチドおよびスタビライザドメインを含む融合タンパク質を含む)、グリコシル化部位の修飾(例えば、ActRIIaポリペプチドへのグリコシル化部位の付加を含む)、および炭水化物部分の修飾(例えば、ActRIIaポリペプチドからの炭水化物部分の除去を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で用いるように、用語「スタビライザドメイン」は、融合タンパク質の場合のように融合ドメイン(例えば、Fc)を指すだけでなく、炭水化物部分などの非タンパク質性(nonproteinaceous)修飾、またはポリエチレングリコールなどの非タンパク質性部分も含む。
【0061】
特定の実施形態では、本発明は、単離および/または精製された利用可能な形のActRIIaポリペプチドをもたらし、それらは他のタンパク質から単離されているか、そうでなければそれらを実質的に含まない。ActRIIaポリペプチドは、組換え核酸からの発現によって一般に生成される。
【0062】
(3.ActRIIaポリペプチドをコードする核酸)
特定の態様では、本発明は、本明細書で開示される断片、機能的改変体および融合タンパク質を含む、ActRIIaポリペプチドのいずれか(例えば、可溶性ActRIIaポリペプチド)をコードする単離された核酸および/または組換え体の核酸を提供する。例えば、配列番号4は天然に存在するヒトActRIIa前駆体ポリペプチドをコードし、配列番号5はActRIIaのプロセシングされた細胞外ドメインをコードする。対象核酸は、一本鎖でも二本鎖でもよい。そのような核酸は、DNA分子でもRNA分子でもよい。例えば、ActRIIaポリペプチドを作製する方法において、または直接的な治療薬(例えば、遺伝子治療手法で)として、これらの核酸を用いることができる。
【0063】
特定の態様では、ActRIIaポリペプチドをコードする対象核酸は、配列番号4または5の改変体である核酸を含むものとさらに理解される。
【0064】
特定の実施形態では、本発明は、配列番号4または5に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%同一である、単離されたかまたは組換え体の核酸配列を提供する。当業者は、配列番号4または5の相補体の核酸配列、および配列番号4または5の改変体も、本発明の範囲内であることを理解する。さらなる実施形態では、本発明の核酸配列は、単離されたもの、組換え体、および/もしくは異種のヌクレオチド配列と融合させられたものであり得、またはDNAライブラリー中にあり得る。
【0065】
他の実施形態では、本発明の核酸は、配列番号4または5で指定されるヌクレオチド配列、配列番号4または5の相補体の配列あるいはその断片と非常にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列、およびそのような核酸によってコードされるActRIIaポリペプチドも含む。上記のように、当業者は、DNAハイブリダイゼーションを促進する適当なストリンジェンシー条件が様々であってもよいことを容易に理解する。当業者は、DNAハイブリダイゼーションを促進する適当なストリンジェンシー条件が様々であってもよいことを容易に理解する。例えば、約45℃の6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でのハイブリダイゼーションと、それに続く50℃の2.0×SSCでの洗浄を実行することができた。例えば、洗浄ステップの塩濃度は、50℃の約2.0×SSCの低いストリンジェンシーから、50℃の約0.2×SSCの高いストリンジェンシーまで、選択することができる。さらに、洗浄ステップの温度は、約22℃の室温の低いストリンジェンシー条件から、約65℃の高いストリンジェンシー条件まで高くすることができる。温度および塩の両方を変えることができ、または他の変数を変更しつつ、温度もしくは塩濃度を一定に保持してもよい。一実施形態では、本発明は、室温の6×SSCの低いストリンジェンシー条件と、それに続く室温の2×SSCでの洗浄によってハイブリダイズする核酸を提供する。
【0066】
遺伝子コードの変性のために配列番号4または5に記載の核酸と異なる単離された核酸も、本発明の範囲内である。例えば、多くのアミノ酸は、複数のトリプレットによって指定される。同じアミノ酸を規定するコドン、またはシノニム(synonym)(例えば、CAUおよびCACは、ヒスチジンのシノニムである)は、タンパク質のアミノ酸配列に影響しない「サイレント」変異をもたらし得る。しかし、対象タンパク質のアミノ酸配列の変化をもたらすDNA配列多型が、哺乳動物の細胞に存在することが予想される。当業者は、天然の対立遺伝子の改変に起因する、特定のタンパク質をコードする核酸の1つまたは複数のヌクレオチド(ヌクレオチドの最高約3〜5%まで)におけるこれらの改変が、所与の種の個体に存在することがあることを理解する。任意およびすべてのそのようなヌクレオチド改変および生じるアミノ酸多型は、本発明の範囲内である。
【0067】
特定の実施形態では、本発明の組換え核酸は、発現構築物中で1つまたは複数の調節ヌクレオチド配列に作動可能に連結されてもよい。調節ヌクレオチド配列は、発現のために用いられる宿主細胞に一般に適当となる。様々な宿主細胞のための多種類の適当な発現ベクターおよび適する調節配列が、当該分野で公知である。一般に、前記1つまたは複数の調節ヌクレオチド配列には、それらに限定されないが、プロモーター配列、リーダーまたはシグナル配列、リボゾーム結合部位、転写開始および終止配列、翻訳開始および終止配列、ならびにエンハンサーまたはアクティベーター配列が挙げられる。当該分野で公知である構成的または誘導可能なプロモーターが、本発明によって企図される。プロモーターは、天然に存在するプロモーター、または複数のプロモーターのエレメントを組み合わせるハイブリッドプロモーターであってもよい。発現構築物は、プラスミドなどの、エピソーム上で細胞内に存在することができ、または発現構築物は染色体に挿入されてもよい。好ましい実施形態では、発現ベクターは、形質転換された宿主細胞の選択を可能にするために、選択可能なマーカー遺伝子を含む。選択可能なマーカー遺伝子は当該分野で周知であり、用いる宿主細胞によって異なる。
【0068】
本発明の特定の態様では、対象核酸は、ActRIIaポリペプチドをコードし、少なくとも1つの調節配列に作動可能に連結されているヌクレオチド配列を含む発現ベクターで提供される。調節配列は当該分野で認識されており、ActRIIaポリペプチドの発現を指示するように選択される。したがって、用語、調節配列には、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現調節エレメントが含まれる。例示的な調節配列は、Goeddel;Gene Expression Technology: Methods in Enzymology、Academic Press、San Diego、CA(1990年)に記載されている。例えば、DNA配列に作動可能に連結される場合に、DNA配列の発現を調節する多種多様の発現調節配列のいずれかをこれらのベクターにおいて用いて、ActRIIaポリペプチドをコードするDNA配列を発現させることができる。そのような有用な発現調節配列には、例えば、SV40の初期および後期のプロモーター、tetプロモーター、アデノウイルスもしくはサイトメガロウイルスの最初期のプロモーター、RSVプロモーター、lac系、trp系、TACもしくはTRC系、その発現がT7 RNAポリメラーゼよって指示されるT7プロモーター、ファージラムダの主オペレータおよびプロモーター領域、fdコートタンパク質の調節領域、3−ホスホグリセレートキナーゼもしくは他の解糖酵素のためのプロモーター、酸性ホスファターゼのプロモーター、例えばPho5、酵母α接合因子のプロモーター、バキュロウイルス系の多角体プロモーター、ならびに原核生物もしくは真核生物の細胞またはそれらのウイルスの遺伝子の発現を調節することが公知である他の配列、およびそれらの様々な組合せが挙げられる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択および/または発現されることが望まれるタンパク質の種類のような因子に依存することを理解すべきである。さらに、ベクターのコピー数、そのコピー数を調節する能力およびそのベクターによってコードされる任意の他のタンパク質、例えば抗生物質マーカーの発現も考慮するべきである。
【0069】
本発明の組換え核酸は、クローニングされた遺伝子またはその一部を、原核細胞、真核細胞(酵母、鳥類、昆虫または哺乳動物)またはその両方での発現に適するベクターに連結することによって生成することができる。組換えActRIIaポリペプチドの生成のための発現ビヒクルには、プラスミドおよび他のベクターが挙げられる。例えば、適するベクターには、E.coliなどの原核細胞での発現のための、pBR322由来のプラスミド、pEMBL由来のプラスミド、pEX由来のプラスミド、pBTac由来のプラスミドおよびpUC由来のプラスミドの型のプラスミドが挙げられる。
【0070】
一部の哺乳動物の発現ベクターは、細菌でベクターの増殖を促進する原核生物の配列、および真核生物の細胞で発現される1つまたは複数の真核生物の転写単位の両方を含む。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2−dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko−neoおよびpHyg由来のベクターが、真核細胞のトランスフェクションに適する哺乳動物の発現ベクターの例である。原核生物および真核生物の両方の細胞での複製および薬物耐性選択を促進するために、これらのベクターのいくつかは、pBR322などの細菌性プラスミドからの配列で修飾される。あるいは、ウシ乳頭腫ウイルス(BPV−1)またはエプスタイン‐バーウイルス(pHEBo、pREP由来およびp205)などのウイルスの誘導体を、真核細胞でのタンパク質の一時的発現のために用いることができる。他のウイルス(レトロウイルスを含む)発現系の例は、以下の遺伝子治療送達系の記載で見ることができる。プラスミドの調製において、および宿主生物体の形質転換において使用される様々な方法は、当該分野で周知である。原核生物および真核生物の両方の細胞に適する他の発現系、ならびに一般組換え手順については、Molecular Cloning A Laboratory Manual、第3版、Sambrook、FritschおよびManiatis編(Cold Spring Harbor Laboratory Press、2001年)を参照。場合によっては、バキュロウイルス発現系を用いて組換えポリペプチドを発現させることが、望ましいかもしれない。そのようなバキュロウイルス発現系の例には、pVL由来のベクター(例えばpVL1392、pVL1393およびpVL941)、pAcUW由来のベクター(pAcUW1など)およびpBlueBac由来のベクター(β−galを含むpBlueBac IIIなど)が挙げられる。
【0071】
好ましい実施形態では、ベクターは、Pcmv−Scriptベクター(Stratagene、La Jolla、Calif.)、pcDNA4ベクター(Invitrogen、Carlsbad、Calif.)およびpCI−neoベクター(Promega、Madison、Wisc.)など、CHO細胞での対象ActRIIaポリペプチドの生成のために設計される。明らかであるように、例えば、精製のために、融合タンパク質または改変体タンパク質を含むタンパク質を生成するために、培養で増殖させた細胞で対象ActRIIaポリペプチドの発現を引き起こすために、対象遺伝子構築物を用いることができる。
【0072】
本開示は、対象ActRIIaポリペプチドの1つまたは複数のコード配列(例えば、配列番号4または5)を含む組換え遺伝子でトランスフェクトされる宿主細胞にも関係する。宿主細胞は、任意の原核生物または真核生物の細胞であり得る。例えば、本発明のActRIIaポリペプチドは、E.coliなどの細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を用いる)、酵母または哺乳動物細胞で発現させることができる。他の適する宿主細胞は、当業者に公知である。
【0073】
したがって、本発明は、対象ActRIIaポリペプチドを生成する方法にさらに関係する。例えば、ActRIIaポリペプチドをコードする発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞は、ActRIIaポリペプチドの発現が起こるようにする適当な条件下で培養することができる。ActRIIaポリペプチドは、ActRIIaポリペプチドを含む細胞および培地の混合物から分泌させ、単離することができる。あるいは、ActRIIaポリペプチドを細胞質に、または膜画分に保持し、細胞を収集し、溶解させ、タンパク質を単離することができる。細胞培養物は、宿主細胞、培地および他の副産物を含む。細胞培養に適する培地は、当該分野において周知である。対象ActRIIaポリペプチドは、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、限外濾過、電気泳動、ActRIIaポリペプチドの特定のエピトープに特異的な抗体による免疫親和性精製、およびActRIIaポリペプチドに融合したドメインに結合する薬剤による親和性精製(例えば、ActRIIa−Fc融合物を精製するためにプロテインAカラムを用いることができる)を含む、タンパク質を精製するための当該分野で公知の技術を用いて、細胞培地、宿主細胞またはその両方から単離することができる。好ましい実施形態では、ActRIIaポリペプチドは、その精製を促進するドメインを含む融合タンパク質である。好ましい実施形態では、精製は、例えば、プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーおよび陽イオン交換クロマトグラフィーのうちの3つ以上を任意の順序で含む、一連のカラムクロマトグラフィーステップによって達成される。精製は、ウイルスの濾過および緩衝液交換で完了することができた。本明細書で実証されるように、ActRIIa−hFcタンパク質は、サイズ排除クロマトグラフィーによる測定で>98%の純度に、およびSDS PAGEによる測定で>95%の純度に精製された。このレベルの純度は、マウス、ラット、非ヒトの霊長類およびヒトで望ましい結果を達成するのに十分であった。
【0074】
別の実施形態では、組換えActRIIaポリペプチドの所望の部分のN末端のポリ−(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列などの、精製リーダー配列をコードする融合遺伝子は、Ni
2+金属樹脂を用いるアフィニティークロマトグラフィーによる、発現された融合タンパク質の精製を可能にすることができる。次に、エンテロキナーゼによる処理によってその後精製リーダー配列を除去し、精製されたActRIIaポリペプチドを提供することができる(例えば、Hochuliら、(1987年)J. Chromatography 411巻:177頁;およびJanknechtら、PNAS USA 88巻:8972頁を参照)。
【0075】
融合遺伝子を作製する技術は、周知である。本質的には、連結のための平滑末端または粘着末端、適当な末端を提供する制限酵素消化、必要に応じて粘着末端のフィルイン(filling−in)、望ましくない連結を回避するためのアルカリホスファターゼ処理および酵素連結を使用する従来の技術に従って、異なるポリペプチド配列をコードする様々なDNA断片の連結を実施する。別の実施形態では、自動DNA合成装置を含む従来の技術によって、融合遺伝子を合成することができる。あるいは、2つの連続的な遺伝子断片の間で相補的オーバーハング(overhang)を生成するアンカープライマーを用いて、遺伝子断片のPCR増幅を実行し、その後アニールさせてキメラ遺伝子配列を生成することができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編、John Wiley & Sons:1992年参照)。
【0076】
(4.代替のアクチビンおよびActRIIaアンタゴニスト)
本明細書に示すデータは、赤血球またはヘモグロビンのレベルを高めるために、アクチビン−ActRIIaシグナル伝達のアンタゴニストを用いることができることを実証する。可溶性ActRIIaポリペプチド、特にActRIIa−Fcが好ましいアンタゴニストであるが、ならびにそのようなアンタゴニストはアクチビン拮抗以外の機構を通して赤血球レベルに影響を及ぼし得るが(例えば、アクチビン阻害は、おそらくTGF−βスーパーファミリーの他のメンバーを含む多様な分子の活性を阻害する薬剤の傾向の指標であり得、そのような総体的な阻害は造血に対して所望の効果をもたらし得る)、ActRIIaの生成を阻害する抗アクチビン(例えば、アクチビンβ
A、β
B、β
Cおよびβ
E)抗体、抗ActRIIa抗体、アンチセンス、RNAiまたはリボザイム核酸、およびアクチビンまたはActRIIaの他のインヒビター、特にアクチビン−ActRIIa結合を破壊するものを含む、他の型のアクチビン−ActRIIaアンタゴニストが有用であると予想される。
【0077】
ActRIIaポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIaポリペプチド)と特異的に反応性であり、ActRIIaポリペプチドと競合的にリガンドに結合するか、そうでなければActRIIa媒介シグナル伝達を阻害する抗体を、ActRIIaポリペプチド活性のアンタゴニストとして用いることができる。同様に、アクチビンβ
A、β
B、β
Cもしくはβ
Eポリペプチドまたはその任意のヘテロダイマーと特異的に反応性であり、ActRIIa結合を破壊する抗体を、アンタゴニストとして用いることができる。
【0078】
ActRIIaポリペプチドまたはアクチビンポリペプチドから誘導される免疫原を用いることにより、抗タンパク質/抗ペプチド抗血清またはモノクローナル抗体を、標準のプロトコルによって作製することができる(例えば、Antibodies: A Laboratory Manual、HarlowおよびLane編(Cold Spring Harbor Press:1988年)を参照)。アクチビンまたはActRIIaポリペプチドの免疫原性形態、抗体応答を引き出し得る抗原性断片、または融合タンパク質で、哺乳動物、例えばマウス、ハムスターまたはウサギを免疫化することができる。タンパク質またはペプチドに免疫原性を与えるための技術には、担体への結合体化または当該分野で周知である他の技術が含まれる。ActRIIaまたはアクチビンポリペプチドの免疫原性部分は、アジュバントの存在下で投与することができる。免疫化の進捗は、血漿または血清中の抗体力価の検出によってモニターすることができる。標準のELISAまたは他のイムノアッセイを、抗体レベルを評価するために、抗原として免疫原を使用して、用いることができる。
【0079】
アクチビンまたはActRIIaポリペプチドの抗原性調製物による動物の免疫化の後に、抗血清を得ること、および所望により、血清からポリクローナル抗体を単離することができる。モノクローナル抗体を生成するために、抗体産生細胞(リンパ球)を免疫化された動物から収集し、標準の体細胞性細胞融合手順によって骨髄腫細胞などの不死化細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を生成することができる。そのような技術は当該分野では周知であって、その例には、例えば、ハイブリドーマ技術(もともとは、KohlerおよびMilstein、(1975年)Nature、256巻:495〜497頁によって開発された)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbarら、(1983年)Immunology Today、4巻:72頁)、およびヒトモノクローナル抗体を生成するためのEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、(1985年)Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss, Inc.、77〜96頁)が挙げられる。アクチビンまたはActRIIaポリペプチドと特異的に反応性である抗体の生成についてハイブリドーマ細胞を免疫化学的にスクリーニングすること、およびそのようなハイブリドーマ細胞を含む培養物からモノクローナル抗体を単離することができる。
【0080】
本明細書で用いるように、用語「抗体」は、例えば任意のアイソタイプ(IgG、IgA、IgM、IgEなど)の完全抗体を含むものとし、選択された抗原と反応性である免疫グロブリンの断片またはドメインを含む。抗体は従来の技術を用いて断片化することができ、断片は、有用性および/または目的の特異的エピトープとの相互作用についてスクリーニングすることができる。したがって、この用語は、特定のタンパク質と選択的に反応することができる抗体分子のタンパク分解的に切断されたか、または組換えで調製された部分のセグメントを含む。そのようなタンパク分解性および/または組換え断片の非限定的な例には、Fab、F(ab’)2、Fab’、Fv、ならびにV[L]ドメインおよび/またはV[H]ドメイン(ペプチドリンカーによって連結される)を含む単鎖抗体(scFv)が挙げられる。scFvは、共有結合または非共有結合的に連結させて、2つ以上の結合部位を有する抗体を形成することができる。抗体という用語には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、または他の精製された抗体調製物および組換え抗体も含まれる。用語「組換え抗体」は、分子生物学の技術を用いて構築された核酸から発現される、単鎖抗体から生成されたヒト化抗体または完全なヒト抗体などの、抗体または免疫グロブリンの抗原結合ドメインを意味する。単一のドメインおよび単鎖抗体も、用語「組換え抗体」に含まれる。
【0081】
特定の実施形態では、本発明の抗体はモノクローナル抗体であり、特定の実施形態では、本発明は新規抗体を生成する利用可能な方法をもたらす。例えば、ActRIIaポリペプチドまたはアクチビンポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を生成する方法は、検出可能な免疫応答を刺激するために有効な抗原ポリペプチドを含む免疫原性組成物の量をマウスに投与すること、抗体産生細胞(例えば、脾臓由来の細胞)をマウスから得ること、抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させて抗体産生ハイブリドーマを得ること、および抗体産生ハイブリドーマを試験して、抗原に特異的に結合するモノクローナル(monocolonal)抗体を生成するハイブリドーマを同定することを含み得る。得られたならば、ハイブリドーマは細胞培養において、任意選択でハイブリドーマ由来の細胞が、抗原に特異的に結合するモノクローナル抗体を生成する培養条件で、増殖させることができる。モノクローナル抗体は、細胞培養から精製することができる。
【0082】
抗体に関連して用いられる形容詞「と特異的に反応性」は、当該分野で一般に理解されるように、抗体が目的の抗原(例えば、アクチビンまたはActRIIaポリペプチド)と目的ではない他の抗原との間で十分に選択的であり、抗体が、最低限、特定の種類の生体試料中での目的の抗原の存在を検出するために有用であることを意味するものとする。治療適用などの本抗体を使用する特定の方法では、結合におけるより高い程度の特異性が望ましいことがある。モノクローナル抗体は、一般に、所望の抗原と交差反応ポリペプチドとを効果的に区別する、より大きな傾向(ポリクローナル抗体と比較して)を有する。抗体:抗原相互作用の特異性に影響する1つの特徴は、抗原に対する抗体の親和性である。所望の特異性は様々な親和性の範囲で到達することができるが、一般に好ましい抗体は、約10
−6、10
−7、10
−8、10
−9M以下の親和性(解離定数)を有する。
【0083】
さらに、望ましい抗体を同定するために抗体をスクリーニングするために用いられる技術は、得られる抗体の特性に影響することができる。例えば、抗体が溶液中の抗原への結合のために用いられる場合、溶液結合性試験が望ましいことがあり得る。特に望ましい抗体を同定するために、抗体と抗原との間の相互作用を試験するのに、様々な異なる技術が利用可能である。そのような技術には、ELISA、表面プラズモン共鳴結合アッセイ(例えば、Biacore
TM結合アッセイ、Biacore AB、Uppsala、Sweden)、サンドイッチアッセイ(例えば、IGEN International,Inc.、Gaithersburg、Marylandの常磁性ビーズシステム)、ウェスタンブロット、免疫沈降アッセイおよび免疫組織化学が挙げられる。
【0084】
アクチビンまたはActRIIaアンタゴニストである核酸化合物のカテゴリーの例には、アンチセンス核酸、RNAi構築物および触媒性核酸構築物が挙げられる。核酸化合物は一本鎖または二本鎖であってもよい。二本鎖化合物は、鎖のどちらか一方が一本鎖である、オーバーハングまたは非相補的な領域を含むこともできる。一本鎖化合物は、自己相補的な領域を含み得、これは、化合物が、二重らせん構造の領域を有する、いわゆる「ヘアピン」または「ステムループ」構造を形成することを意味する。核酸化合物は、完全長ActRIIa核酸配列またはアクチビンβ
A、β
B、β
Cまたはβ
E核酸配列の1000個以下、500個以下、250個以下、100個以下、または50、35、25、22、20、18または15個以下のヌクレオチドからなる領域に相補的なヌクレオチド配列を含み得る。相補性領域は、好ましくは少なくとも8個のヌクレオチド、任意選択で約18〜35個のヌクレオチドである。相補性領域は、イントロン中、標的転写産物のコード配列または非コード配列中、例えばコード配列部分中であり得る。一般に、核酸化合物は、長さが約8〜約500個のヌクレオチドまたは塩基対を有し、任意選択で、長さが約14〜約50個のヌクレオチドである。核酸は、DNA(特にアンチセンスとして用いる)、RNAまたはRNA:DNAハイブリッドであり得る。任意の1つの鎖は、DNAおよびRNAの混合物、ならびにDNAまたはRNAのいずれにも容易に分類することができない修飾形態を含み得る。同様に、二本鎖化合物は、DNA:DNA、DNA:RNAまたはRNA:RNAであってもよく、任意の1本の鎖は、DNAおよびRNAの混合物、ならびにDNAまたはRNAのいずれにも容易に分類することができない修飾形態を含むこともできる。核酸化合物は、骨格(ヌクレオチド間結合を含む天然核酸の糖−リン酸部分)または塩基部分(天然核酸のプリンまたはピリミジン部分)への1つまたは複数の修飾を含む、様々な修飾のいずれかを含み得る。アンチセンス核酸化合物は、好ましくは長さが約15〜約30個のヌクレオチドを有し、血清中、細胞中、または化合物がおそらく送達される場所、例えば経口送達化合物の場合は胃、および吸入化合物の場合は肺での安定性などの特性を改善するために、1つまたは複数の修飾をしばしば含む。RNAi構築物の場合、標的転写物に相補的な鎖は、一般にRNAまたはその修飾形態である。他の鎖は、RNA、DNAまたは任意の他の改変形態であり得る。二本鎖か一本鎖の「ヘアピン」RNAi構築物の2重部分は、それがダイサー(Dicer)基質の役目を果たす限り、長さが一般に18〜40個のヌクレオチド、および任意選択で、長さが約21〜23個のヌクレオチドを有する。触媒的または酵素的核酸は、リボザイムまたはDNA酵素であってもよく、修飾形を含むこともできる。核酸化合物は、生理学的条件下およびナンセンスまたはセンス制御がほとんどまたは全く影響しない濃度で細胞と接触させた場合、標的の発現を約50%、75%、90%以上阻害することができる。核酸化合物の影響を試験するための好ましい濃度は、1、5および10マイクロモル濃度である。核酸化合物は、例えば赤血球レベルへの影響について試験することもできる。
【0085】
特定の実施形態では、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストは、アクチビン生物活性に拮抗し、および/またはアクチビンに結合するフォリスタチンポリペプチドであってもよい。用語「フォリスタチンポリペプチド」は、任意の天然に存在するフォリスタチンポリペプチドを含むポリペプチド、ならびに有用な活性を保持するその任意の改変体(変異体、断片、融合体およびペプチド模倣物を含む)を含み、さらにフォリスタチンの任意の機能的単量体または多量体を含む。アクチビン結合特性を保持するフォリスタチンポリペプチドの改変体は、フォリスタチンとアクチビンとの相互作用に関する過去の研究に基づいて同定することができる。例えば、WO2008/030367は、アクチビン結合に重要であることが示されている特異的フォリスタチンドメイン(「FSD」)を開示する。配列番号19〜21で以下に示すように、N末端フォリスタチンドメイン(「FSND」配列番号19)、FSD2(配列番号20)およびより小さい程度のFSD1(配列番号21)は、アクチビン結合に重要なフォリスタチン中の例示的なドメインを表す。さらに、ポリペプチドライブラリーの作製および試験方法は、ActRIIaポリペプチドとの関連で上に記載され、そのような方法は、フォリスタチン改変体の作製および試験にも関係する。フォリスタチンポリペプチドには、フォリスタチンポリペプチドの配列と少なくとも約80%同一、および任意選択で少なくとも85%、90%、95%、97%、99%以上同一の配列を有する任意の公知のフォリスタチンの配列から誘導されるポリペプチドが含まれる。例えば、WO2005/025601に記載されるように、フォリスタチンポリペプチドの例には、ヒトフォリスタチン前駆体ポリペプチド(配列番号17)の成熟したフォリスタチンポリペプチドまたはより短いアイソフォームまたは他の改変体が含まれる。
【0086】
ヒトフォリスタチン前駆体ポリペプチドのアイソフォームFST344は、以下の通りである。
【0087】
【化9】
シグナルペプチドには、一本の下線が引かれている。太字体の最後の27個の残基は、下のより短いフォリスタチンアイソフォームFST317(NP_006341)と比較した、追加のアミノ酸を表す。
【0088】
ヒトフォリスタチン前駆体ポリペプチドのアイソフォームFST317は、以下の通りである。
【0090】
【化11】
シグナルペプチドには、一本の下線が引かれている。
【0091】
N末端フォリスタチンドメイン(FSND)配列は、以下の通りである。
【0092】
【化12】
FSD1およびFSD2配列は、以下の通りである。
【0093】
【化13】
他の実施形態では、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストは、アクチビン生物活性に拮抗し、および/またはアクチビンに結合するフォリスタチン様関連遺伝子(FLRG)であってもよい。用語「FLRGポリペプチド」には、FLRGの任意の天然に存在するポリペプチドを含むポリペプチド、ならびに、有用な活性を保持するその任意の改変体(変異体、断片、融合体およびペプチド模倣物を含む)が含まれる。アクチビン結合特性を保持するFLRGポリペプチドの改変体は、FLRGとアクチビンとの相互作用を試験する常用の方法を用いて同定することができる。例えば、米国特許第6,537,966号を参照。さらに、ポリペプチドライブラリーの作製および試験方法は、ActRIIaポリペプチドとの関連で上に記載され、そのような方法は、FLRG改変体の作製および試験にも関係する。FLRGポリペプチドには、FLRGポリペプチドの配列と少なくとも約80%同一、および任意選択で少なくとも85%、90%、95%、97%、99%以上同一の配列を有する任意の公知のFLRGの配列から誘導されるポリペプチドが含まれる。
【0094】
ヒトFLRG前駆体ポリペプチドは、以下の通りである。
【0095】
【化14】
シグナルペプチドには、一本の下線が引かれている。
【0096】
特定の実施形態では、フォリスタチンポリペプチドおよびFLRGポリペプチドの機能的改変体または修飾形には、フォリスタチンポリペプチドまたはFLRGポリペプチドの少なくとも一部および1つまたは複数の融合ドメイン、例えばポリペプチドの単離、検出、安定化または多量体化を促進するドメインなどを有する融合タンパク質が含まれる。適する融合ドメインは、ActRIIaポリペプチドに関して上で詳細に論じられている。一実施形態では、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストは、Fcドメインに融合されたフォリスタチン(follistaton)ポリペプチドのアクチビン結合部分を含む融合タンパク質である。別の実施形態では、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストは、Fcドメインに融合されたFLRGポリペプチドのアクチビン結合部分を含む融合タンパク質である。フォリスタチンおよびFLRGは、ピコモルの範囲のアクチビンA親和性を有することが文献で、およびFLRGに関して出願人によって示され、このことは、これらの作用物質が、ActRIIa−Fcと類似した程度にアクチビンAシグナル伝達を阻害することを示す。
【0097】
(5.スクリーニングアッセイ)
特定の態様では、本発明は、アクチビン−ActRIIaシグナル伝達経路のアゴニストまたはアンタゴニストである化合物(薬剤)を同定するための、ActRIIaポリペプチドおよびアクチビンポリペプチドの使用に関する。このスクリーニングを通して同定される化合物を試験して、インビボまたはインビトロで赤血球、ヘモグロビンおよび/または網状赤血球レベルを調節するそれらの能力を評価することができる。これらの化合物は、例えば、動物モデルにおいて試験することができる。
【0098】
アクチビンおよびActRIIaシグナル伝達を標的にすることによって、赤血球またはヘモグロビンレベルを高めるための治療薬をスクリーニングする多数の手法がある。特定の実施形態では、化合物のハイスループットスクリーニングを実施して、選択された細胞系に及ぼすアクチビンまたはActRIIa媒介の影響をかき乱す薬剤を同定することができる。特定の実施形態では、アクチビンへのActRIIaポリペプチドの結合を特異的に阻害または低減する化合物をスクリーニングおよび同定するために、アッセイが実施される。あるいは、アクチビンへのActRIIaポリペプチドの結合を高める化合物を同定するために、アッセイを用いることができる。さらなる実施形態では、化合物は、アクチビンまたはActRIIaポリペプチドと相互作用するそれらの能力によって同定され得る。
【0099】
本開示を考慮すると、様々なアッセイフォーマットが十分であるが、本明細書で明示的に記載されていないものでも当業者によって理解される。本明細書で記載されるように、本発明の試験化合物(薬剤)は、任意の組合せ化学的方法によって作製することができる。あるいは、対象化合物は、インビボまたはインビトロで合成される、天然に存在する生体分子であってもよい。組織増殖の調節因子として作用するそれらの能力について試験される化合物(薬剤)は、例えば、細菌、酵母、植物または他の生物体によって生成することができる(例えば、天然の産物)か、化学的に生成することができる(例えば、ペプチド模倣物を含む小分子)か、または組換えで生成することができる。本発明によって企図される試験化合物には、非ペプチジル有機分子、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣物、糖、ホルモンおよび核酸分子が挙げられる。具体的な実施形態において、試験薬剤は、分子量が約2,000ダルトン未満の小有機分子である。
【0100】
本発明の試験化合物は、単一の別々の実体として提供することができ、または組合せ化学によって作製されるようなより複雑なライブラリーにおいて提供することができる。これらのライブラリーは、例えば、アルコール、ハロゲン化アルキル、アミン、アミド、エステル、アルデヒド、エーテルおよび他のクラスの有機化合物を含み得る。試験系への試験化合物の提示は、特に最初のスクリーニング工程では、単離形態においてでも、または化合物の混合物としてでもよい。任意選択で、化合物は他の化合物によって任意選択で誘導体化されてもよく、化合物の単離を促進する誘導体化する基を有することができる。誘導体化する基の非限定的な例には、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、緑色蛍光タンパク質、同位体、ポリヒスチジン、磁気ビーズ、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、光活性化可能(photoactivatible)架橋剤またはそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0101】
化合物および天然抽出物のライブラリーを試験する多くの薬物スクリーニングプログラムでは、所与の期間内に調査される化合物数を最大にするために、ハイスループットアッセイが望ましい。精製または部分精製(semi−purified)されたタンパク質で得ることができるような、無細胞系で実施されるアッセイは、アッセイを、試験化合物によって媒介される分子標的の変化の速やかな発生および比較的簡単な検出を可能にするように作ることができるという点で、「一次」スクリーニングとしてしばしば好ましい。さらに、試験化合物の細胞毒性または生物学的利用能の影響は、インビトロの系では一般に無視することができ、アッセイは、代わりに、ActRIIaポリペプチドとアクチビンとの間の結合親和性の変化において明らかになり得る、分子標的に対する薬物の効果に主に集中する。
【0102】
単に例示するだけであるが、本発明の例示的なスクリーニングアッセイでは、目的の化合物を、通常アクチビンに結合することができる単離および精製されたActRIIaポリペプチドと接触させる。化合物およびActRIIaポリペプチドの混合物に、次にActRIIaリガンドを含む組成物が加えられる。ActRIIa/アクチビン複合体の検出および定量化は、ActRIIaポリペプチドとアクチビンとの間の複合体の形成を阻害すること(または強化すること)における、化合物の効力を判定するための手段を提供する。試験化合物の様々な濃度を用いて得られるデータから用量反応曲線を生成することによって、化合物の効力を評価することができる。さらに、比較のためのベースラインを提供するために、対照アッセイを実施することもできる。例えば、対照アッセイでは、単離および精製されたアクチビンは、ActRIIaポリペプチドを含む組成物に加えられ、ActRIIa/アクチビン複合体の形成は試験化合物の不在下で数量化される。一般に、反応物を混ぜることができる順序は変更することができ、同時に混合することができることが理解される。さらに、精製されたタンパク質の代わりに、細胞の抽出物および溶解物を用いて、適する無細胞アッセイ系を提供することができる。
【0103】
ActRIIaポリペプチドとアクチビンとの間の複合体形成は、様々な技術によって検出することができる。例えば、複合体の形成の調節は、例えば、放射標識(例えば、
32P、
35S、
14Cまたは
3H)されたか、蛍光標識(例えば、FITC)されたか、または酵素標識されたActRIIaポリペプチドまたはアクチビンなどの検出可能に標識されたタンパク質を用いて、イムノアッセイまたはクロマトグラフィー検出によって数量化することができる。
【0104】
特定の実施形態では、本発明は、ActRIIaポリペプチドとその結合性タンパク質との間の相互作用の程度を直接または間接に測定することにおける、蛍光偏光アッセイおよび蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)アッセイの使用を企図する。さらに、光導波路(PCT公開WO96/26432および米国特許第5,677,196号)、表面プラズモン共鳴(SPR)、表面電荷センサーおよび表面力センサーに基づくものなどの他の検出様式が、本発明の多くの実施形態に適合する。
【0105】
さらに、本発明は、ActRIIaポリペプチドとその結合性タンパク質との間の相互作用を破壊または強化する薬剤を同定するための、「ツーハイブリッドアッセイ」としても公知の相互作用トラップアッセイの使用を企図する。例えば、米国特許第5,283,317号、Zervosら(1993年)Cell 72巻:223〜232頁、Maduraら(1993年)J Biol Chem 268巻:12046〜12054頁、Bartelら(1993年)Biotechniques 14巻:920〜924頁およびIwabuchiら(1993年)Oncogene 8巻:1693〜1696頁を参照。具体的な実施形態において、本発明は、ActRIIaポリペプチドとその結合性タンパク質との間の相互作用を解離させる化合物(例えば、小分子またはペプチド)を同定するための、逆ツーハイブリッド系の使用を企図する。例えば、VidalおよびLegrain、(1999年)Nucleic Acids Res 27巻:919〜29頁、VidalおよびLegrain、(1999年)Trends Biotechnol 17巻:374〜81頁ならびに米国特許第5,525,490号、同第5,955,280号および同第5,965,368号を参照。
【0106】
特定の実施形態では、対象化合物は、本発明のActRIIaまたはアクチビンポリペプチドと相互作用するそれらの能力によって同定される。化合物とActRIIaまたはアクチビンポリペプチドとの間の相互作用は、共有結合または非共有結合でもよい。例えば、そのような相互作用は、光架橋、放射標識リガンド結合およびアフィニティークロマトグラフィーを含む、インビトロの生化学方法を用いてタンパク質レベルで同定することができる(Jakoby WBら、1974年、Methods in Enzymology 46巻:1頁)。特定の場合では、アクチビンまたはActRIIaポリペプチドに結合する化合物を検出するアッセイなどの、ある機構に基づくアッセイで化合物をスクリーニングすることができる。これは、固相または液相の結合事象を含み得る。あるいは、アクチビンまたはActRIIaポリペプチドをコードする遺伝子は、リポーター系(例えば、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼまたは緑色蛍光タンパク質)と共に細胞にトランスフェクトさせることができ、任意選択でハイスループットスクリーニングによって、またはライブラリーの個々のメンバーを用いてライブラリーに対してスクリーニングすることができる。他の機構に基づく結合性アッセイ、例えば自由エネルギーの変化を検出する結合アッセイを用いることができる。結合性アッセイは、標的を、ウェル、ビーズまたはチップに固定するか、または固定化抗体によって捕捉するか、またはキャピラリー電気泳動によって分離して実施することができる。通常、比色または蛍光または表面プラズモン共鳴を用いて、結合した化合物を検出することができる。
【0107】
(6.例示的な治療用途)
特定の実施形態では、本発明のアクチビン−ActRIIaアンタゴニスト(例えば、ActRIIaポリペプチド)を用いて、齧歯動物および霊長類、特にヒト患者などの哺乳動物で、赤血球レベルを高めることができる。特定の実施形態では、本発明は、それを必要とする個体で、ActRIIaポリペプチドなどのアクチビン−ActRIIaアンタゴニストの治療的有効量を個体に投与することによって貧血を処置または予防する方法を提供する。特定の実施形態では、本発明は、アクチビン−ActRIIaアンタゴニスト、特にActRIIaポリペプチドの治療的有効量を個体に投与することによって、個体で赤血球生成を促進する方法を提供する。これらの方法を、哺乳動物、特にヒトの治療的および予防的処置のために用いることができる。
【0108】
本明細書で用いるように、障害または病状を「予防する」治療物は、統計的試料で、無処置の対照試料と比較して処置された試料において障害または病状の出現を減少させるか、または無処置の対照試料と比較して障害または病状の1つまたは複数の症状の開始を遅らせるかまたはその重症度を低減させる化合物を指す。本明細書で用いる用語「処置する」は、指定された病状の予防、または確立された場合における病状の改善もしくは除去を含む。いずれの場合も、医師または他の医療提供者によって下される診断、および治療薬の投与の意図する結果において、予防または処置を識別することができる。
【0109】
本明細書に示すように、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストを用いて、健康個体において赤血球、ヘモグロビンまたは網状赤血球レベルを高めることができ、そのようなアンタゴニストは、選択された患者集団で用いることができる。適当な患者集団の例には、貧血患者などの望ましくない低い赤血球またはヘモグロビンレベルを有するもの、および相当な血量減少をもたらす可能性のある大きな手術または他の処置を受けようとしている患者などの、望ましくない低い赤血球またはヘモグロビンレベルを起こす危険があるものが挙げられる。一実施形態では、十分な赤血球レベルを有する患者は、赤血球レベルを高めるためにアクチビン−ActRIIaアンタゴニストで処置され、次に、輸血で後に使用するために血液が引き抜かれ、保存される。
【0110】
実施例に記載のように、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストは、脾性赤血球生成の活性化によって、赤血球生成を刺激することができる。この新規機構は、これらのアンタゴニストが、エリスロポイエチンアゴニスト(例えば、Epogen、Procrit、Aranesp、Epo模倣体、Epo受容体アゴニストなど)などの他の貧血処置と相乗的に働くであろうことを示す。
【0111】
本明細書で開示されるアクチビン−ActRIIaアンタゴニスト、特にActRIIa−Fcタンパク質は、貧血患者で赤血球レベルを高めるために用いることができる。ヒトでヘモグロビンレベルを観察する場合、個体での変動が考慮されるが、適切な年齢および性カテゴリーの正常値未満のレベルは、貧血を示し得る。例えば、12g/dlのヘモグロビンレベルが、一般成人集団では正常下限値と一般にみなされる。考えられる原因には、血液喪失、栄養欠乏、医薬品反応、骨髄の様々な問題および多くの疾患が含まれる。より詳細には、貧血は、例えば慢性腎不全、骨髄異形成症候群(欠失5qMDSを含む)、骨髄線維症、慢性関節リウマチ、骨髄移植を含む、様々な障害に関連している。貧血は、以下の病状にも関連し得る:固形腫瘍(例えば乳がん、肺がん、結腸がん);リンパ系の腫瘍(例えば慢性リンパ球白血病、非ホジキンおよびホジキンリンパ腫);造血系の腫瘍(例えば白血病、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫);放射線療法;化学療法(例えば白金含有レジメン);それらに限定されないが、慢性関節リウマチ、他の炎症性関節炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、急性または慢性の皮膚疾患(例えば乾癬)、炎症性腸疾患(例えばクローン病および潰瘍性大腸炎)を含む炎症性および自己免疫疾患;特発性または先天性の病状を含む急性または慢性の腎疾患または不全症;急性または慢性の肝疾患;急性または慢性の出血;赤血球の輸血が患者の同種異系抗体または自己抗体のために、および/または宗教上の理由(例えば一部のエホバの証人)のために不可能な状況;感染症(例えばマラリア、骨髄炎);例えば鎌状赤血球症、サラセミアを含むヘモグロビン異常症;薬物使用または乱用、例えばアルコール乱用;輸血を回避する任意の原因による貧血を有する小児患者;ならびに、循環過負荷に対する懸念のために輸血を受けることができない、貧血を伴なう基礎心肺疾患を有する高齢患者または患者。
【0112】
アクチビン−ActRIIaアンタゴニスト(例えば、ActRIIaポリペプチド)は、一般的にRBC形態の変化をほとんど伴なわない、低増殖性骨髄の貧血の処置に適当である。低増殖性貧血(hypoproliferative anemia)には、以下のものが含まれる:1)慢性疾患の貧血、2)腎臓疾患の貧血、および3)代謝低下状態に関連する貧血。これらの型の各々では、内因性のエリスロポイエチンレベルは、観察される貧血の程度に対して不適切に低い。他の低増殖性貧血には、以下のものが含まれる:4)早期の鉄欠乏貧血、および5)骨髄損傷に起因する貧血。これらの型では、内因性のエリスロポイエチンレベルは、観察される貧血の程度に対して適切に上昇している。
【0113】
最も一般的な型は慢性疾患の貧血であり、それは炎症、感染、組織損傷およびがんなどの病状を包含し、骨髄での低いエリスロポイエチンレベルおよびエリスロポイエチンへの不十分な応答の両方によって識別される(Adamson、2008年、Harrison’s Principles of Internal Medicine、第17版;McGraw Hill、New York、628〜634頁)。多くの因子が、がん関連の貧血に寄与し得る。いくつかは、疾患過程それ自体、および炎症性サイトカイン、例えばインターロイキン1、インターフェロンγおよび腫瘍壊死因子の生成に関連する(Bronら、2001年、Semin Oncol 28巻(補遺8号):1〜6頁)。その影響の中で、炎症は重要な鉄調節ペプチドのヘプシジンを誘導し、それによってマクロファージからの鉄の輸送を阻害し、一般に赤血球生成のための鉄の利用可能性を制限する(Ganz、2007年、J Am Soc Nephrol 18巻:394〜400頁)。様々な経路を通しての血液喪失も、がん関連の貧血に寄与し得る。がん進行による貧血の有病率は、前立腺がんでの5%から多発性骨髄腫での90%まで、がん型によって変動する。がん関連の貧血は、疲労および生活の質の低下、処置効力の低下ならびに死亡率の増加を含む、重大な結果を患者にもたらす。
【0114】
慢性腎臓疾患は、腎機能障害の程度によって重症度が変動する、低増殖性貧血に関連する。そのような貧血は、主に、エリスロポイエチンの不十分な生成および赤血球の生存の低下による。慢性腎臓疾患は、透析または腎移植が患者生存のために必要とされる末期(5期)疾患まで、数年または数十年にわたって徐々に通常進行する。貧血はしばしばこの過程の初期に発生し、疾患の進行に伴い悪化する。腎臓疾患の貧血の臨床上の結果は十分に記載されており、その例には、左心室肥大の発達、認知機能障害、生活の質の低下、および免疫機能の変化が挙げられる(Levinら、1999年、Am J Kidney Dis 27巻:347〜354頁;Nissenson、1992年、Am J Kidney Dis 20巻(補遺1号):21〜24頁;Revickiら、1995年、Am J Kidney Dis 25巻:548〜554頁;Gafterら、1994年、Kidney Int 45巻:224〜231頁)。慢性腎臓疾患のマウスモデル(下記の実施例を参照)で出願人によって実証されるように、ActRIIaポリペプチド、または他のアクチビン−ActRIIaアンタゴニストは、腎臓疾患の貧血を処置するために用いることができる。
【0115】
低代謝速度をもたらす多くの病状は、軽度から中等度の低増殖性貧血をもたらし得る。内分泌欠乏状態は、そのような病状の1つである。例えば、貧血は、アジソン病、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、または去勢されたかもしくはエストロゲンで処置された男性で起こることがある。軽度から中等度の貧血は、特に高齢者で一般的な状態である、食事からのタンパク質摂取の低下で起こることもある。最後に、貧血は、ほとんどあらゆる原因から生じる慢性肝疾患の患者で発症し得る(Adamson、2008年、Harrison’s Principles of Internal Medicine、第17版;McGraw Hill、New York、628〜634頁)。
【0116】
鉄欠乏性貧血は、中間段階として負の鉄バランスおよび鉄欠乏赤血球生成を含む、鉄欠乏増加の段階的進行の最終段階である。妊娠、不十分な食事、腸の吸収不良、急性または慢性の炎症および急性または慢性の血液喪失などの状態で例示されるように、鉄欠乏は、鉄要求の増加、鉄摂取の減少または鉄損失の増加から起こり得る。この型の軽度から中等度の貧血では、骨髄は低増殖性のままであり、RBC形態はほとんど正常である。しかし、軽度の貧血でさえ、多少の小球性淡色性RBCを生じることがあり、重度の鉄欠乏貧血への移行には、骨髄の過剰増殖およびますます増加する小球性および淡色性のRBCが付随する(Adamson、2008年、Harrison’s Principles of Internal Medicine、第17版;McGraw Hill、New York、628〜634頁)。鉄欠乏性貧血のための適当な療法は、その原因および重症度によって決まり、経口用鉄調製物、非経口鉄処方物およびRBC輸血が主要な従来の選択肢である。ActRIIaポリペプチドまたは他のアクチビン−ActRIaIアンタゴニストは、慢性鉄欠乏性貧血を処置するために単独で(下記の実施例の臨床試験患者を参照)、または特に多因子起源の貧血を処置するために従来の治療手法と一緒に、用い得る。
【0117】
低増殖性貧血は、炎症、感染またはがん進行の二次的な機能不全の代わりに、骨髄の一次機能不全または不全症から生じ得る。顕著な例は、がん化学療法薬またはがん放射線療法に起因する骨髄抑制である。臨床試験の広範な精査は、軽度の貧血が化学療法の後に100%の患者で起こり得、より重度の貧血はそのような患者の最高80%で起こり得ることを見出した(Groopmanら、1999年、J Natl Cancer Inst 91巻:1616〜1634頁)。骨髄抑制薬には、以下のものが含まれる:1)ナイトロジェンマスタード(例えば、メルファラン)およびニトロソウレア(例えば、ストレプトゾシン)などのアルキル化剤;2)葉酸拮抗薬(例えば、メトトレキセート)、プリン類似体(例えば、チオグアニン)およびピリミジン類似体(例えば、ゲムシタビン)などの代謝拮抗物質;3)アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン)などの細胞傷害抗生物質;4)キナーゼインヒビター(例えば、ゲフィチニブ);5)タキサン(例えば、パクリタキセル)およびビンカアルカロイド(例えば、ビノレルビン)などの分裂抑制剤;6)モノクローナル抗体(例えば、リツキシマブ);ならびに7)トポイソメラーゼインヒビター(例えば、トポテカンおよびエトポシド)。化学療法誘発貧血のマウスモデル(下記の実施例を参照)で実証されるように、ActRIIaポリペプチド、または他のアクチビン−ActRIIaアンタゴニストは、化学療法剤および/または放射線療法に起因する貧血を処置するために用いることができる。
【0118】
アクチビン−ActRIIaアンタゴニスト(例えば、ActRIIaポリペプチド)は、小型(小球性)、特大(大赤血球性)、奇形または異常な色(淡色性)のRBCを一部特徴とする、無秩序なRBC成熟の貧血の処置にも適当である。
【0119】
目標のヘモグロビンレベル、通常約10g/dl〜約12.5g/dl、一般的に約11.0g/dlに患者を回復させることを意図する投薬レジメンで患者を処置することができる(Jacobsら(2000年)Nephrol Dial Transplant 15巻、15〜19頁も参照)が、より低い目標レベルは、より少ない心血管副作用または他の副作用をもたらし得る。あるいは、ヘマトクリットレベル(細胞によって占められる血液試料の量の割合)を、赤血球の状態のための尺度として用いることができる。健康な個体のヘマトクリットレベルは、成人男性で41〜51%、成人女性で35〜45%の範囲である。目標ヘマトクリットレベルは、通常約30〜33%である。さらに、ヘモグロビン/ヘマトクリットレベルは、人によって異なる。したがって、最適には、目標ヘモグロビン/ヘマトクリットレベルは、各患者のために個別化することができる。
【0120】
本明細書で開示されるアクチビン−ActRIIaアンタゴニストの赤血球レベルに対する迅速な影響は、これらの薬剤がEpoと異なる機構によって作用することを示す。したがって、これらのアンタゴニストは、Epoにあまりよく応答しない患者で赤血球およびヘモグロビンレベルを高めるために有用である可能性がある。例えば、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストは、Epoの通常用量〜増加用量(>300IU/kg/週)を投与することが目標レベルまでのヘモグロビンレベルの増加をもたらさない患者に有益であるかもしれない。Epo応答が不十分な患者は、あらゆる種類の貧血で見られるが、より多い数の不応答者が、がん患者および末期腎疾患患者で特に高頻度で観察されている。Epoへの不十分な応答は、構成的(すなわち、Epoによる最初の処置の際に観察される)または後天的(例えば、Epoによる反復処置の際に観察される)のいずれかであり得る。
【0121】
アクチビン−ActRIIaアンタゴニストは、Epoの悪影響に感受性である患者を処置するために用いることもできる。Epoの主たる悪影響は、ヘマトクリットまたはヘモグロビンレベルの過剰な増加、および赤血球増加である。高いヘマトクリットレベルは、高血圧症(より詳細には高血圧症の悪化)および血管性血栓症をもたらし得る。報告されている、そのいくつかは高血圧症に関するEpoの他の悪影響は、頭痛、インフルエンザ様症候群、シャントの閉塞、心筋梗塞、ならびに血栓症、高血圧性脳症および赤血球生成不全による脳痙攣である(Singibarti、(1994年)J. Clin Investig 72巻(補遺6号)、S36〜S43頁;Horlら(2000年)Nephrol Dial Transplant 15巻(補遺4号)、51〜56頁;Delantyら(1997年)Neurology 49巻、686〜689頁;Bunn(2002年)N Engl J Med 346巻(7号)、522〜523頁)。
【0122】
参照により本明細書に援用される、米国特許出願第11/603,485号ならびに公開特許出願WO2008/100384およびWO/2007/062188に記載されているように、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストを用いて、骨成長を促進し、骨密度を高めることができる。したがって、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストは、骨減少および貧血に関連する障害を有する患者に特に役立つことができる。例には、腎疾患(特に慢性腎臓疾患および末期腎臓疾患)、骨粗鬆症、がんおよびがん処置(特に上で指摘される骨髄抑制療法、およびWO2008/100384およびWO/2007/062188に論じられている抗エストロゲン)、ならびに炎症性腸疾患および慢性関節リウマチなどの炎症性障害が挙げられる。
(7.薬学的組成物)
特定の実施形態では、本発明のアクチビン−ActRIIaアンタゴニスト(例えば、ActRIIaポリペプチド)は、薬学的に許容される担体と共に処方される。例えば、ActRIIaポリペプチドは、単独で、または薬学的処方物(治療組成物)の成分として投与することができる。対象化合物は、ヒトまたは獣医学の薬で使用するための、任意の便利な方法における投与のために処方することができる。
【0123】
特定の実施形態では、本発明の治療法は、組成物を全身に、またはインプラントもしくはデバイスとして局所的に投与することを含む。投与されるとき、本発明に用いられる治療組成物は、当然発熱物質を含まない、生理的に許容される形態である。上に述べた組成物に任意選択で含まれてもよい、アクチビン−ActRIIaアンタゴニスト以外の治療的に有用な薬剤を、本発明の方法において対象化合物(例えば、ActRIIaポリペプチド)と同時に、または連続的に投与することができる。
【0124】
一般的に、アクチビン−ActRIIaアンタゴニストは、非経口的に投与される。非経口投与に適する薬学的組成物は、1つまたは複数のActRIIaポリペプチドを、1つまたは複数の薬学的に許容される無菌の等張性の水溶液もしくは非水性の溶液、分散物、懸濁物または乳剤、または使用直前に無菌の注射可能な溶液もしくは分散物に再構成することができる無菌粉末と一緒に含むことができ、それらは、抗酸化剤、緩衝液、静菌薬、処方物を予定レシピエントの血液または懸濁剤もしくは増粘剤と等張性にする溶質を含み得る。本発明の薬学的組成物で使用することができる好適な水性および非水性の担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適する混合物、オリーブ油などの植物油、ならびにオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング物質の使用によって、分散物の場合には必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0125】
さらに、組成物はカプセル化すること、または標的組織部位(例えば、骨髄)へ送達するための形で注入することができる。特定の実施形態では、本発明の組成物は、標的組織部位(例えば、骨髄)に1つまたは複数の治療化合物(例えば、ActRIIaポリペプチド)を送達できるマトリックス含み得、これは増殖中の組織に対し構造を提供し、最適には、体内に再吸収させることができる。例えば、マトリックスは、ActRIIaポリペプチドの放出を遅くすることができる。そのようなマトリックスは、他の移植用医療用途のために現在使用されている材料で形成することができる。
【0126】
マトリックス材料の選択は、生体適合性、生物分解性、機械的特性、見かけ上の様相および界面特性に基づく。対象組成物の特定の用途が、適当な処方物を規定する。組成物のための可能性のあるマトリックスは、生物分解性であり、化学的に定義された硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸およびポリ無水物であり得る。他の可能性のある材料は、骨または皮膚コラーゲンなど、生物分解性で、生物学的に十分定義されている。さらなるマトリックスは、純粋なタンパク質または細胞外マトリックス成分で構成される。他の可能性のあるマトリックスは、焼結ヒドロキシアパタイト、バイオガラス、アルミン酸塩または他のセラミックなど、非生物分解性であり、化学的に定義されている。マトリックスは、ポリ乳酸およびヒドロキシアパタイトまたはコラーゲンおよびリン酸三カルシウムなど、上述の型の材料のいずれかの組合せで構成されてもよい。バイオセラミックスは、カルシウム−アルミン酸−リン酸などの組成物において、および孔径、粒径、粒子形状および生物分解性を変化させるプロセシングで変化させることができる。
【0127】
特定の実施形態では、本発明の方法は、例えばカプセル、カシェ剤、ピル、錠剤、ロゼンジ(風味をつけた基材、通常スクロースおよびアカシアもしくはトラガカントを用いる)、粉末、顆粒の形で経口的に、または水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁物として、または水中油もしくは油中水形液体乳剤として、またはエリキシルもしくはシロップとして、またはトローチ(不活性基材、例えばゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアを用いる)として、および/または洗口剤などとして投与することができ、それぞれは有効成分として剤の所定量を含む。薬剤は、ボーラス、舐剤またはペーストとして投与することもできる。
【0128】
経口投与のための固体投薬形態(カプセル、錠剤、ピル、糖衣錠、粉末、顆粒など)では、本発明の1つまたは複数の治療化合物は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの1つまたは複数の薬学的に許容される担体と、および/または以下のいずれかと混合されてもよい:(1)デンプン、乳糖、スクロース、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸などの充填剤または増量剤;(2)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシアなどの結合剤;(3)グリセロールなどの湿潤剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、ポテトまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(5)パラフィンなどの溶液抑制剤(retarding agent);(6)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;(7)例えばセチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなどの加湿剤;(8)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収材;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物などの潤滑剤;ならびに(10)着色剤。カプセル、錠剤およびピルの場合、薬学的組成物は、緩衝剤を含むこともできる。類似した種類の固体組成物を、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを用いて、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル内の充填剤として使用することもできる。
【0129】
経口投与のための液体投薬形態には、薬学的に許容される乳剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁物、シロップ剤およびエリキシルが挙げられる。有効成分に加えて、液体投薬形態は、当該分野で通常用いられる不活性の希釈剤、例えば水もしくは他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(詳細には、綿実、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、キャスターおよびゴマの油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、およびそれらの混合物を含み得る。不活性希釈剤のほかに、経口組成物は、加湿剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、矯味矯臭薬、着色剤、芳香剤および保存剤などのアジュバントを含むこともできる。
【0130】
懸濁物は、活性化合物に加えて、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステルなどの懸濁剤、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガカント、およびそれらの混合物を含み得る。
【0131】
本発明の組成物は、保存剤、加湿剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントを含むこともできる。微生物の作用の予防は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを入れることによって保証することができる。等張剤、例えば糖、塩化ナトリウムなどを組成物に入れることも望ましいかもしれない。さらに、注射可能な薬学的形態の長期吸収は、吸収を遅らせる剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの組入れによってもたらされ得る。
【0132】
投薬レジメンは、本発明の対象化合物(例えば、ActRIIaポリペプチド)の作用を修飾する様々な因子を考慮して、主治医によって決定されるものと理解される。様々な因子には、患者の赤血球数、ヘモグロビンレベルまたは他の診断評価、所望の目標赤血球数、患者の年齢、性別および食事、低下した赤血球レベルに寄与している可能性のある任意の疾患の重症度、投与の時間ならびに他の臨床上の因子が含まれるが、これらに限定されない。最終組成物への他の公知の増殖因子の添加も、投薬に影響を及ぼし得る。進捗は、赤血球およびヘモグロビンレベルの定期評価、ならびに網状赤血球レベルおよび造血過程の他の指標の評価によってモニターすることができる。
【0133】
霊長類およびヒトの実験は、赤血球レベルに対するActRIIa−Fcの影響が、その化合物が、少なくとも約20〜30日間、約100ng/ml以上の血清濃度を達成するのに十分な間隔および量で投薬される場合に検出可能なことを実証した。少なくとも20〜30日間、200ng/ml、500ng/ml、1000ng/ml以上の血清レベルを得るための投薬を、用いることもできる。骨影響は、約200ng/mlの血清レベルで観察することができ、実質的な影響が、少なくとも約20〜30日間にわたる、約1000ng/ml以上から始まる。したがって、骨にはほとんど影響を及ぼさずに赤血球に対する影響を達成することが望ましい場合、投薬スキームを、約20〜30日間にわたって約100〜1000ng/mlの血清濃度を送達するように設計することができる。ヒトでは、0.1mg/kg以上の単一用量で200ng/mlの血清レベルを達成することができ、0.3mg/kg以上の単一用量で1000ng/mlの血清レベルを達成することができる。分子の観察された血清半減期は約20〜30日間であり、ほとんどのFc融合タンパク質より実質的に長く、したがって、例えば毎週または隔週に約0.05〜0.5mg/kgで投薬することによって持続した有効血清レベルを達成することができ、またはより高い用量をより長い投薬間隔で用いてもよい。例えば、0.1〜1mg/kgの用量を、毎月または隔月に用いてもよい。
【0134】
特定の実施形態では、本発明は、ActRIIaポリペプチドのインビボ生成のための遺伝子治療も提供する。そのような療法は、上記のような障害を有する細胞または組織へのActRIIaポリヌクレオチド配列の導入によってその治療効果を達成する。ActRIIaポリヌクレオチド配列の送達は、キメラウイルスなどの組換え発現ベクターまたはコロイド分散系を用いて達成することができる。対標的リポソームの使用が、ActRIIaポリヌクレオチド配列の治療的送達のために好ましい。
【0135】
本明細書で教示されるような遺伝子治療のために利用することができる様々なウイルスベクターには、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニア、またはレトロウイルスなどのRNAウイルスが挙げられる。レトロウイルスベクターは、マウスまたは鳥類のレトロウイルスの誘導体であってもよい。単一の外来遺伝子を挿入することができるレトロウイルスベクターの例には、それらに限定されないが、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウスの乳腺癌ウイルス(MuMTV)およびラウス肉腫ウイルス(RSV)が挙げられる。多数の追加のレトロウイルスベクターは、複数の遺伝子を組み入れることができる。形質導入された細胞を同定および生成することができるように、これらのベクターのすべては、選択可能なマーカーの遺伝子を導入することまたは組み入れることができる。レトロウイルスベクターは、例えば、糖、糖脂質またはタンパク質を結合させることによって、標的特異的にすることができる。好ましいターゲティングは、抗体を用いることによって達成される。当業者は、ActRIIaポリヌクレオチドを含むレトロウイルスベクターの標的特異的送達を可能にするために、特異的ポリヌクレオチド配列をレトロウイルスゲノムに挿入すること、またはウイルスのエンベロープに結合させることができることを認識する。
【0136】
あるいは、従来のリン酸カルシウムトランスフェクションによって、組織培養細胞に、レトロウイルス構造遺伝子gag、polおよびenvをコードするプラスミドを直接トランスフェクトすることができる。次にこれらの細胞に、目的の遺伝子を含むベクタープラスミドをトランスフェクトする。生じた細胞は、培地にレトロウイルスベクターを放出する。
【0137】
ActRIIaポリヌクレオチドの別の対標的送達系は、コロイド分散系である。コロイド分散系には、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、ならびに水中油型乳剤、ミセル、混合ミセルおよびリポソームを含む脂質ベースの系が挙げられる。本発明の好ましいコロイド系は、リポソームである。リポソームは、インビトロおよびインビボでの送達ビヒクルとして有用である人工膜小胞である。RNA、DNAおよびインタクトなビリオンを水性の内部に封入し、生物学的に活性な形で細胞に送達することができる(例えば、Fraleyら、Trends Biochem. Sci.、6巻:77頁、1981年を参照)。リポソームビヒクルを用いる効率的な遺伝子導入のための方法は、当該分野で公知である。例えば、Manninoら、Biotechniques、6巻:682頁、1988年を参照。リポソームの組成物は、通常リン脂質の組合せであり、通常ステロイド、特にコレステロールと組み合わされる。他のリン脂質または他の脂質を用いることもできる。リポソームの物理特性は、pH、イオン強度および二価陽イオンの存在によって左右される。
【0138】
リポソーム生成に有用な脂質の例には、ホスファチジル化合物、例えばホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシドおよびガングリオシドが挙げられる。例示的なリン脂質には、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンおよびジステアロイルホスファチジルコリンが挙げられる。リポソームのターゲティングは、例えば、器官特異性、細胞特異性およびオルガネラ特異性に基づくことも可能であり、当該分野で公知である。
【実施例】
【0139】
(例示)
目下、本発明を一般的に記載しており、本発明は、下記の実施例を参照することによってより容易に理解され、下記の実施例は、単に特定の実施形態および本発明の実施形態を例示するために含まれ、本発明を限定するものではない。
【0140】
(実施例1:ActRIIa−Fc融合タンパク質)
本出願人らは、間に最小限のリンカーを用いてヒトまたはマウスのFcドメインに融合させたヒトActRIIaの細胞外ドメインを有する可溶性ActRIIa融合タンパク質を構築した。この構築物を、それぞれ、ActRIIa−hFcおよびActRIIa−mFcと称する。
【0141】
CHO細胞系から精製したActRIIa−hFcを下記に示す(配列番号7)。
【0142】
【化15】
【0143】
【化16】
ActRIIa−hFcタンパク質およびActRIIa−mFcタンパク質を、CHO細胞系で発現させた。3種の異なるリーダー配列を検討した。
【0144】
【化17】
選択した型はTPAリーダーを利用し、下記のプロセシングされていないアミノ酸配列を有する。
【0145】
【化18】
このポリペプチドは、下記の核酸配列によってコードされる。
【0146】
【化19】
【0147】
【化20】
ActRIIa−hFcおよびActRIIa−mFcはどちらも、組換え発現への適用性が著しく高かった。
図1に示されているように、このタンパク質を、単一の、明確に定義されたタンパク質ピークとして精製した。N末端の配列決定により、単一の配列ILGRSTQE(配列番号11)が明らかになった。精製は、一連のカラムクロマトグラフィーステップによって実現することができ、例えば、下記の3つ以上を任意の順番で含む:プロテインAクロマトグラフィー、Qセファロースクロマトグラフィー、フェニルセファロースクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、および陽イオン交換クロマトグラフィー。精製は、ウイルスを濾過し緩衝液を交換することで完了することができる。ActRIIa−hFcタンパク質は、サイズ排除クロマトグラフィーによる決定で>98%、およびSDS PAGEによる決定で>95%の純度まで精製した。
【0148】
ActRIIa−hFcおよびActRIIa−mFcは、リガンド、特にアクチビンAに対して高い親和性を示した。GDF−11またはアクチビンA(「ActA」)を、標準のアミンカップリング手順を使用してBiacore CM5チップ上に固定化した。このシステム上にActRIIa−hFcおよびActRIIa−mFcタンパク質をローディングし、結合を測定した。ActRIIa−hFcは解離定数(K
D)5×10
−12でアクチビンに結合し、このタンパク質はK
D9.96×10
−9でGDF11に結合した。
図2を参照。ActRIIa−mFcの挙動も同様であった。
【0149】
ActRIIa−hFcは、薬物動態の試験において非常に安定であった。ラットにActRIIa−hFcタンパク質を1mg/kg、3mg/kgまたは10mg/kgで投薬し、24時間目、48時間目、72時間目、144時間目および168時間目において、このタンパク質の血漿レベルを測定した。別途の試験では、ラットに1mg/kg、10mg/kgまたは30mg/kgを投薬した。ラットでは、ActRIIa−hFcの血清半減期は11〜14日であり、2週間後のこの薬物の循環レベルは実に高かった(1mg/kg、10mg/kgまたは30mg/kgの初回投与に対してそれぞれ、11μg/ml、110μg/mlまたは304μg/mlであった)。カニクイザルでは、血漿半減期は実質的に14日より長く、この薬物の循環レベルは、初回投与1mg/kg、10mg/kgまたは30mg/kgに対してそれぞれ、25μg/ml、304μg/mlまたは1440μg/mlであった。ヒトにおける予備的な結果から、血清半減期は約20〜30日の間であることが示唆される。
【0150】
(実施例2:ActRIIa−hFcタンパク質の特徴付け)
ActRIIa−hFc融合タンパク質を、配列番号9の組織プラスミノーゲンリーダー配列を使用して、pAID4ベクター(SV40 ori/エンハンサー、CMVプロモーター)から、安定にトランスフェクトしたCHO−DUKX BI1細胞において発現させた。実施例1で前述の通りに精製したこのタンパク質は配列番号7の配列を有した。Fc部分は、配列番号7に示されているように、ヒトIgG1のFc配列である。シアル酸分析によって、このタンパク質が、平均すると、ActRIIa−hFc融合タンパク質の分子当たり約1.5〜2.5モルのシアル酸を含有することが示された。
【0151】
この精製タンパク質は、試験したすべての動物において、ヒト患者における半減期25〜32日を含め、著しく長い血清半減期を示した(下記の実施例6を参照)。さらに、このCHO細胞は、アクチビンBリガンドに対して、ヒト293細胞で発現されるActRIIa−hFc融合タンパク質について報告されているよりも高い親和性を有する物質を発現した(del Reら、J Biol Chem. 2004年12月17日、279巻(51号):53126〜35頁)。さらに、tPaリーダー配列を使用すると、他のリーダー配列よりも多量の産生がもたらされ、天然リーダーを用いて発現されたActRIIa−Fcとは異なり、高純度のN末端配列がもたらされた。天然リーダー配列を使用することにより、それぞれが異なるN末端配列を有する2つの主要なActRIIa−Fc種がもたらされた。
【0152】
(実施例3.ActRIIa−hFcは非ヒトの霊長類において赤血球レベルを増加させる)
この試験では、それぞれ雄性カニクイザル5頭および雌性カニクイザル5頭の4つの群を使用し、群当たり性別当たり3頭について、29日目に終了するようにスケジュール設定し、群当たり性別当たり2頭について、57日目に終了するようにスケジュール設定した。各動物に、ビヒクル(第1群)または1mg/kg、10mg/kg、もしくは30mg/kgの用量のActRIIa−Fc(それぞれ、第2群、第3群および第4群)を、1日目、8日目、15日目および22日目に静脈内(IV)注射によって投与した。投与量を3mL/kgで維持した。最初の投与の2日前、および最初の投与の15日後、29日後および57日後(残りの2頭の動物について)に赤血球レベルの種々の尺度について査定した。
【0153】
ActRIIa−hFcによって、雄および雌について、この試験のすべての用量レベルおよびあらゆる時点において、平均赤血球パラメーター(赤血球数[RBC]、ヘモグロビン[HGB]、およびヘマトクリット[HCT])の統計学的に有意な増加が引き起こされ、網状赤血球の絶対数および相対数(ARTC;RTC)の上昇が伴った。
図3〜6を参照。
【0154】
各処置群について、ベースラインの処置群の平均と比較して統計学的有意性を計算した。
【0155】
とりわけ、赤血球数およびヘモグロビンレベルの増加が、エリスロポイエチンで報告されている効果とおおよそ同等の大きさである。これらの効果の開始は、エリスロポイエチンによるよりもActRIIa−Fcによる方が迅速である。
【0156】
ラットおよびマウスでも同様の結果が観察された。
【0157】
(実施例4.ActRIIa−hFcは、ヒト患者において赤血球レベルおよび骨形成のマーカーを増加させる)
実施例1に記載のActRIIa−hFc融合タンパク質を、主に、閉経後の健康な女性におけるこのタンパク質の安全性を評価するために行った、無作為化した二重盲検のプラセボ対照試験においてヒト患者に投与した。48人の被験体を6つのコホートに無作為化してActRIIa−hFcまたはプラセボいずれかの単回投与を受けさせた(活性5:プラセボ1)。用量レベルは静脈内(IV)では0.01〜3.0mg/kgの範囲であり、皮下(SC)では0.03〜0.1mg/kgの範囲であった。すべての被験体を120日間追跡した。薬物動態(PK)分析に加え、ActRIIa−hFcの生物活性についても、骨形成および骨吸収の生化学マーカーならびにFSHレベルを測定することによって査定した。
【0158】
潜在的な変化を探るために、試験の過程を通してすべての被験体についてヘモグロビンおよびRBCの数を詳細に試験し、ベースラインのレベルと比較した。血小板数を、対照と同時間にわたって比較した。血小板数について、ベースライン値からの経時的な臨床的に有意な変化はなかった。
【0159】
ActRIIa−hFcのPK分析は、用量に線形的なプロファイル、およびおよそ25〜32日の平均半減期を示した。ActRIIa−hFcについての曲線下面積(AUC)は用量に線形的に相関し、SC投薬後の吸収は本質的に完全であった(
図7および8を参照)。これらのデータは、SCにより、薬物の等価な生物学的利用能および血清半減期がもたらされる一方で、IV投薬の最初の数日に付きものである血清薬物濃度の急上昇が避けられるので、SCが望ましい投薬手法であることを示している(
図8を参照)。
【0160】
ActRIIa−hFcは、同化作用の骨成長のマーカーである骨特異的アルカリホスファターゼ(BAP)の血清レベルの迅速な、持続的用量依存的増加、ならびに骨吸収のマーカーであるI型コラーゲンC末端テロペプチドレベルおよび酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ5bレベルの用量依存的減少を引き起こした。P1NPなどの他のマーカーは、決定的でない結果を示した。BAPレベルは、薬物の最高投与量でほぼ飽和した効果を示し、これは、この同化作用の骨のバイオマーカーに対する効果の最大半量が、0.3mg/kg(最大3mg/kgまでに及ぶ増加を伴う)の投与量で実現し得ることを示している。薬物のAUCに対する薬力学的効果の関係として計算し、EC50は51,465(日*ng/ml)であった。
図9を参照。これらの骨のバイオマーカーの変化は、試験した最高用量レベルでおよそ120日間持続した。アクチビンの阻害と一貫した血清FSHレベルも用量依存的に減少した。
【0161】
全体的にみて、試験の最初の週にわたって、IVかSCのいずれかを受けた0.01mg/kgおよび0.03mg/kgの群において、試験静脈切開に関連する可能性が高い、薬物に関連しない非常にわずかなヘモグロビンの低下があった。0.1mg/kgのSCおよびIVのヘモグロビンの結果は、8〜15日までは安定であったか、またはささやかな増加を示した。0.3mg/kgIVの用量レベルでは、HGBレベルが明らかに増加し、これは早ければ2日目で見られ、15〜29日目でピークに達する場合が多く、プラセボ被験体では見られなかった。1.0mg/kgIV用量および3.0mg/kgIV用量では、単回投与に応答して、RBC数およびヘマトクリットの増加とともに、1g/dlを超えるヘモグロビンの平均増加を観察した。これらの血液学的パラメーターは、投薬の約60日後にピークに達し、120日目までに実質的に減少した。これは、赤血球レベルを増加させる目的での投薬は、120日未満の間隔で(すなわち、ベースラインに戻る前に)行うとより有効である可能性があり、90日以下または60日以下の投薬間隔が望ましい可能性があることを示している。血液学的な変化の要約については
図10〜13を参照。
【0162】
全体的にみると、ActRIIa−hFcは、赤血球数および網状赤血球数に対する用量依存的な効果、ならびに骨形成のマーカーに対する用量依存的な効果を示した。
【0163】
(実施例5.ActRIIa−hFcを用いた貧血患者の処置)
ActRIIa−hFcを、0.1mg/kg、0.3mg/kgおよび1.0mg/kgの用量レベルで、30日ごとの投薬で複数回投与して患者を処置するための臨床試験を設計した。この治験において、正常で健康な患者はヘモグロビンおよびヘマトクリットの増加を示し、これは、場合によっては、ヘモグロビンおよびヘマトクリットが正常範囲を超えて上昇したことを除いて、実施例4で報告した第I相臨床治験において見られた増加と一致した。ヘモグロビンがおよそ7.5である貧血患者も、1mg/kgレベルで2回の投薬を受け、その結果、2カ月後のヘモグロビンレベルはおよそ10.5になった。患者の貧血は小球性貧血であり、慢性的な鉄欠乏によって引き起こされると考えられた。
【0164】
(実施例6.ActRIIa−mFcは、マウスにおいて、脾臓の赤血球放出を刺激することによって赤血球レベルを増加させる)
この試験では、骨髄および脾臓内の造血前駆細胞の頻度に対するActRIIa−mFcのインビボ投与の効果を分析した。マウスの1群に、対照としてPBSを注射し、マウスの第2群に、10mg/kgのActRIIa−mFcを2用量を投与し、両群を8日後に屠殺した。末梢血を使用して完全血球計算を行い、大腿および脾臓を使用してインビトロ試験管内腫瘍細胞感受性試験を行って、各器官内のリンパ球前駆細胞、赤血球前駆細胞および骨髄系前駆細胞の含量を査定した。末梢血では、化合物で処置されたマウスにおいて赤血球およびヘモグロビンの含量量に有意な増加が見られた。大腿では、対照と処置群との間で、有核細胞数または前駆細胞含量に差異はなかった。脾臓では、化合物で処置した群は、赤血球溶解前の有核細胞数、および皿当たりの成熟赤血球前駆細胞(CFU−E)コロニー数、脾臓当たりの頻度および全前駆細胞数で、統計学的に有意な増加を経験した。さらに、脾臓当たりの骨髄系前駆細胞(CFU−GM)、未成熟赤血球前駆細胞(BFU−E)の数および全前駆細胞数の増加が見られた。
【0165】
(動物)
6〜8週齢の雌性BDF1マウス16匹を試験に使用した。マウス8匹について、1日目および3日目に10mg/kgの用量の試験化合物ActRIIa−mFcを皮下注射し、マウス8匹について、対照ビヒクルのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)をマウス当たり100μLの量で皮下注射した。すべてのマウスを、最初の注射の8日後に、関連する動物の取り扱いに関するガイドライン(Animal Care Guidelines)に従って屠殺した。個々の動物からの末梢血(PB)試料を心臓穿刺によって採取し、完全血球計算および鑑別(CBC/Diff)に使用した。各マウスから大腿および脾臓を収集した。
【0166】
(行った試験)
(CBC/Diff計算)
心臓穿刺によって各マウスからPBを採取し、適切なマイクロティナ(microtainer)管内に置いた。試料を、CellDyn3500カウンターで分析するためにCLVに送った。
【0167】
(試験管内腫瘍細胞感受性試験)
骨髄系列、赤血球系列およびリンパ球系列のクローン原性前駆細胞を、下記のインビトロのメチルセルロースベース培地系を使用して査定した。
【0168】
(成熟赤血球前駆細胞)
成熟赤血球系列のクローン原性前駆細胞(CFU−E)を、組換えヒト(rh)エリスロポイエチン(3U/mL)を含有するメチルセルロースベース培地MethoCultTM3334中で培養した。
【0169】
(リンパ球前駆細胞(projenitor))
リンパ球系列のクローン原性前駆細胞(CFU−pre−B)を、rhインターロイキン7(10ng/mL)を含有するメチルセルロースベース培地MethoCult(登録商標)3630中で培養した。
【0170】
(骨髄系前駆細胞および未成熟赤血球前駆細胞)
顆粒球−単球系列のクローン原性前駆細胞(CFU−GM)、赤血球系列のクローン原性前駆細胞(BFU−E)および多能性系列のクローン原性前駆細胞(CFU−GEMM)を、組換えマウス(rm)幹細胞因子(50ng/mL)、rhインターロイキン6(10ng/mL)、rmインターロイキン3(10ng/mL)およびrhエリスロポイエチン(3U/mL)を含有するメチルセルロースベース培地MethoCultTM3434中で培養した。
【0171】
(方法)
マウスの大腿および脾臓を、標準のプロトコルによって処理した。簡単に述べると、21ゲージの針および1ccの注射器を使用して2%のウシ胎仔血清を含有するイスコフ改変ダルベッコ培地(Iscove’s Modified Dulbecco’s Media)(IMDM2%FBS)で大腿腔を洗い流すことによって骨髄を得た。70μMのフィルターを通して脾臓を粉砕し、そのフィルターをIMDM2%FBSですすぐことによって脾臓細胞を得た。次いで、Neubauer計算チャンバーを使用して単一の細胞懸濁物について3%氷酢酸中での有核細胞の計算を行って、器官当たりの全細胞を算出することができるようにした。次いで、混入した赤血球を除去するために、全脾臓細胞を3倍量の塩化アンモニウム溶解緩衝液で希釈し、氷上で10分間インキュベートした。次いで細胞を洗浄し、IMDM2%FBSに再懸濁させ、第2の細胞計算を行って溶解後の細胞の細胞濃度を決定した。
【0172】
細胞ストックを作製し、各メチルセルロースベース培地の処方物に加えて、各培地処方物中の各組織について最適なプレーティング(plating)濃度を得た。骨髄細胞を、成熟赤血球前駆細胞を査定するためにMethoCultTM3334中、皿当たり細胞1×10
5個をプレーティングし、リンパ球前駆細胞を査定するためにMethoCultTM3630中、皿当たり細胞2×10
5個をプレーティングし、未成熟赤血球前駆細胞および骨髄系前駆細胞を査定するためにMethoCultTM3434中、皿当たり細胞3×10
4個をプレーティングした。脾臓細胞を、成熟赤血球前駆細胞を査定するためにMethoCultTM3334中、皿当たり細胞4×10
5個をプレーティングし、リンパ球前駆細胞を査定するためにMethoCultTM3630中、皿当たり細胞4×10
5個をプレーティングし、未成熟赤血球前駆細胞および骨髄系前駆細胞を査定するためにMethoCultTM3434中、皿当たり細胞2×10
5個をプレーティングした。3連の皿にプレーティングした培養物を、37℃、5%CO2で、訓練された職員によってコロニーの列挙および評価が行われるまでインキュベートした。成熟赤血球前駆細胞を2日間培養し、リンパ球前駆細胞を7日間培養し、成熟赤血球前駆細胞および骨髄系前駆細胞を12日間培養した。
【0173】
(分析)
試験管内腫瘍細胞感受性試験の3連の培養物ならびに全データセットについての対照群および処置群について平均+/−1標準偏差を計算した。
【0174】
各組織におけるコロニー形成細胞(CFC)の頻度を下記の通り計算した:
皿当たりのプレーティングされた細胞
皿当たりのスコア化した平均CFC
大腿または脾臓当たりの全CFCを下記の通り計算した:
スコア化された全CFC×大腿または脾臓当たりの有核細胞数(RBC溶解の後)
培養された有核細胞の数
標準のt検定を行って、PBS対照マウスと化合物で処置したマウスとの間で、細胞または造血前駆細胞の平均数に差異があるかどうかを査定した。コロニーの列挙の潜在的な主観性のために、0.01未満のp値を有意であるとみなす。各群についての平均値(+/−SD)を下記の表に示す。
【0175】
【表1】
マウスをActRIIa−mFcで処置した結果、多くの血液学的パラメーターが有意に増加した。末梢血では、化合物で処置したマウスにおいて赤血球およびヘモグロビンの含量量に有意な増加が見られた。大腿では、対照群と処置群との間で、有核細胞数または前駆細胞含量に差異はなかった。脾臓では、化合物で処置した群は、赤血球溶解前の有核細胞数および皿当たりの成熟赤血球前駆細胞(CFU−E)コロニー数、脾臓当たりの頻度および全前駆細胞数に統計学的に有意な増加を経験した。さらに、脾臓当たりの骨髄系前駆細胞(CFU−GM)、未成熟赤血球前駆細胞(BFU−E)の数および全前駆細胞数の増加が見られた。
【0176】
(実施例7.代替ActRIIa−Fcタンパク質)
本明細書に記載の方法によって使用することができる種々のActRIIa改変体が、その全体が参照により本明細書に援用されるWO2006/012627として公表された国際特許出願に記載されている(例えば、55〜58頁を参照)。代替の構築物は、C末端テイルの欠失を有し得る(ActRIIaの細胞外ドメインの最後の15アミノ酸)。そのような構築物についての配列は、下記に示す(Fc部分に下線)(配列番号12)。
【0177】
【化21】
(実施例8:マウスにおける化学療法誘発性貧血に対するActRIIA−mFcの効果)
本出願人らは、マウスにおける化学療法誘発性貧血に対するActRIIA−mFcの効果について調査した。2つの試験のうち第1の試験では、6週齢の雌性C57BL/6マウスに、化学療法剤パクリタキセル(20mg/kg、i.p.)を単回投与する3日前に、ActRIIA−mFc(10mg/kg、s.c.)またはビヒクル(リン酸緩衝生理食塩水)を単回投与して処置した。血液試料を、化学療法の前、次いでパクリタキセルの3日後、7日後および14日後に採取した(時点当たりコホート当たりn=6)。ActRIIA−mFcは、そうでなければパクリタキセル後に観察されたヘマトクリットレベルの減退を防止し(
図15)、ヘモグロビン濃度およびRBC数について同様の効果を観察した。第2の試験では、6週齢の雌性C57BL/6マウスに、パクリタキセル(20mg/kg、単回投与、i.p.)前から、異なる投薬回数のActRIIA−mFc(10mg/kg、s.c.)、またはビヒクル(PBS)を与え、3日または4日の間隔で継続した。血液試料を、パクリタキセルの3日後、7日後および14日後に採取した(時点当たりコホート当たりn=8)。14日目に、ActRIIA−mFc処置で、ヘマトクリットレベルが投薬回数の関数として漸次増加した(
図16)。したがって、ActRIIA−mFcにより、化学療法誘発性貧血を和らげるかまたは予防するために十分に赤血球生成を刺激することができる。
【0178】
(実施例9:慢性腎臓疾患のマウスモデルにおける貧血に対するActRIIA−mFcの効果)
本出願人らは、慢性腎臓疾患のモデルとしてマウスにおいて腎摘出誘発性貧血に対するActRIIA−mFcの効果を調査した。2つの試験のうち第1の試験では、雌性C57BL/6マウスに、全腎臓量のおよそ6分の5を除去する部分的な外科的腎摘出術を行ってエリスロポイエチンの産生を低下させた。マウスに、腎欠損をさらに促進するために高脂肪食を用いた4週間の回復期間を与え、次いでActRIIA−mFc(10mg/kg、s.c.)またはビヒクル(PBS)で週2回、全部で8週間処置した。血液試料を、投薬の開始前、処置の4週間後、および処置の8週間後に採取した(時点当たりコホート当たりn=8)。対照マウスが8週間の処置期間にわたってヘマトクリットレベルの減退を示した一方、ActRIIA−mFc処置により、4週間目において低下が予防され、8週間目においても有益な傾向がもたらされた(
図17)。より長い回復期間(2カ月)および標準食を使用したことが主に異なる第2の試験においても、ActRIIA−mFc処置による対照を超えた同様の利点を観察した。したがって、ActRIIA−mFcにより、慢性腎臓疾患のモデルにおいて貧血を予防するかまたは和らげるために十分な赤血球生成を刺激することができる。
【0179】
総合すると、これらの発見は、可溶性ActRIIA−Fc融合タンパク質を、赤血球の循環レベルを増加させるため、そしてそれによって、がんおよび腎臓疾患などの慢性疾患、ならびに可能性のある他の炎症性疾患または感染症によって生じる低増殖性貧血を処置するために、TGFファミリーリガンドによるシグナル伝達のアンタゴニストとして使用することができることを示している。ヒト患者の貧血に対するACE−011の効果は、一般には、齧歯類における中程度の効果と比較して堅調であることに留意されたい。
【0180】
(参照による援用)
本明細書で言及したすべての出版物および特許は、個々の出版物または特許がそれぞれ、具体的かつ個別に、参照により援用されると示されたかのように、本明細書にその全体が参照により援用される。
【0181】
主題についての特定の実施形態を考察したが、上記の詳述は例示的であって限定的なものではない。本明細書および下記の特許請求の範囲を吟味すると、当業者には多くの変形が明らかになる。本発明の全範囲は、特許請求の範囲を、その等価物の全範囲と一緒に参照すること、および本明細書をそのような変形と一緒に参照することによって決定されるべきである。