(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の3Dプリンタ及び前記第2の3Dプリンタの印刷方式は、それぞれ熱溶融積層(Fused Filament Fabrication,FFF)方式、ステレオリソグラフィ(Stereolithography,SLA)方式、レーザー焼結(Selective Laser Sintering,SLS)方式又は結合剤噴射(3DP)方式であることを特徴とする請求項1に記載の統合型3D印刷システム。
前記複数の構成ツールのそれぞれは、キューを有し、特性に対応する前記複数のサブオブジェクトを前記キューに一時的に格納して前記複数のサブオブジェクトをスケジューリングし、このスケジュールに基づいて前記複数のサブオブジェクトに対して前記スライス処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の統合型3D印刷システム。
前記複数の構成ツールのそれぞれは、前記スライス処理を実行するためのスライスプログラムを有し、当該スライスプログラムは、接続された3Dプリンタの前記印刷方式に対応することを特徴とする請求項4に記載の統合型3D印刷システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好ましい実施例を図面に基づいて以下に説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る3D印刷システムを示す概略図である。同図を参照すると、本発明に係る統合型3D印刷システム(以下、「印刷システム」と略称する)1は、編集された3Dオブジェクト(例えば、
図3に示す3Dオブジェクト50)を処理して、3Dオブジェクトに含まれる複数のパーツを分類し、複数台の種類の異なる3Dプリンタによりこれらのパーツをそれぞれ印刷する。
【0012】
本発明の技術的効果の一つは、複数台の種類の異なる3Dプリンタにより性質の異なるオブジェクトのパーツをそれぞれ印刷し、これらのオブジェクトのパーツをユーザーが必要とする3Dモデルになるように組み合わせることにより、3Dモデルに複数の強度、性質又は機能を同時に持たせることである。
【0013】
図1に示すように、印刷システム1は、主としてプレゼンテーション層2と、コネクション層3と、物理層4とを含む。プレゼンテーション層2は、主として印刷する3Dオブジェクトの表示、編集、識別、分離、特性の指定や分類等の前処理に用いられる。コネクション層3は、プレゼンテーション層2により前処理された3Dオブジェクトを受信し、3Dオブジェクトにおける分離された各オブジェクトのパーツに対してスライス処理をそれぞれ行い、対応する3Dプリンタに転送して印刷させる。物理層4は、印刷方式の異なる複数の3Dプリンタ(例えば、
図1に示す第1のプリンタ41、第2のプリンタ42〜第nプリンタ43の印刷方式がそれぞれ異なる)、各3Dプリンタは、コネクション層3により対応するデータを受信し、それぞれの印刷プロセスを開始する。
【0014】
一実施形態において、印刷システム1は、サーバーと、印刷方式の異なる複数の3Dプリンタとを含む。プレゼンテーション層2及びコネクション層3は、サーバーにより実現され、物理層4は、複数の3Dプリンタにより実現される。即ち、本実施形態において、印刷システム1は、サーバーにより印刷する3Dオブジェクトの表示、編集、識別、分離、特性指定、分類及びスライス処理を行い、処理したデータを対応する3Dプリンタにそれぞれ転送し、最後にタイプの異なる3Dプリンタによりそれぞれ印刷する。サーバーは、クラウドサーバーやパーソナルコンピュータ等であってもよく、限定されない。
【0015】
以下、より具体的な実施例について詳しく説明する。
プレゼンテーション層2は、3Dファイル5をインポートし、3Dファイル5内の3Dオブジェクトを開くために用いられる。本実施形態において、3Dオブジェクトは、複数の分離可能なサブオブジェクトから構成される。プレゼンテーション層2は、3Dオブジェクトから複数のサブオブジェクトを分離し、各サブオブジェクトの指定された特性を取得し、その特性に応じて各サブオブジェクトに対して特性分類処理を行う。
【0016】
第1の実施例において、ユーザーは、描画ソフトウェアで3Dオブジェクトを編集する際に、複数のサブオブジェクトをそれぞれ描画し、描画した複数のサブオブジェクトによって3Dオブジェクトを構築して3Dファイル5として保存してもよい。このようにして、プレゼンテーション層2は、3Dファイル5をインポートして3Dオブジェクトを開くと、3Dオブジェクトからユーザーによって編集された複数のサブオブジェクトを直接分離することができる。
【0017】
具体的に、上記の第1の実施例において、プレゼンテーション層2は、マンマシンインタフェースを提供してコンピュータ装置の表示画面(図示せず)に表示することができる。マンマシンインタフェースは、ユーザーの外部操作を受信して、3Dオブジェクトから複数のサブオブジェクトを分離することが可能である。
【0018】
第2の実施例において、プレゼンテーション層2は、開いた3Dオブジェクトに対して直接的に画像認識を行い、識別結果に基づいて3Dオブジェクトを分割して、3Dオブジェクトから複数のサブオブジェクトを自動的に分離してもよい。例えば、3Dオブジェクトがカップである場合、プレゼンテーション層2は、カップに対して画像認識を行った後、カップを自動的に分割し、カップ本体、取っ手及び蓋の3つのサブオブジェクトに分割してもよい。
【0019】
第3の実施例において、プレゼンテーション層2は、3Dオブジェクトから複数のサブオブジェクトを分離した後、マンマシンインタフェースを介してユーザーの外部操作を受信して、ユーザーにより各サブオブジェクトの特性をそれぞれ指定してもよい。これにより、プレゼンテーション層2は、ユーザーによって指定された特性に応じて、各サブオブジェクトに対して特性分類処理を行うことができる。
【0020】
第4の実施例において、ユーザーは、描画ソフトウェアで3Dオブジェクトを編集する際に、各サブオブジェクトの特性をそれぞれ指定してもよい。このようにして、プレゼンテーション層2が3Dオブジェクトを開き、3Dオブジェクトから複数のサブオブジェクトを分離した後に、複数のサブオブジェクトの指定された特性を直接得ることができる。
【0021】
第5の実施例において、プレゼンテーション層2は、3Dオブジェクトから複数のサブオブジェクトを分離した後、各サブオブジェクトに対して画像認識を行って、各オブジェクトのオブジェクト名(例えば、上記のカップ本体、取っ手及び蓋)を識別し、これらのオブジェクト名に基づいて各サブオブジェクトの特性を自動的に指定してもよい。
【0022】
本発明において、特性は、例えば、3Dプリンタに用いられる材料や3Dプリンタの印刷方式であってもよいが、特に限定されない。
【0023】
具体的に、材料としては、例えば、ポリ乳酸(Polylactic Acid, PLA)、ポリプロピレン(Polypropylene, PP)、熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomer, TPE)、金属(Metals)、石膏パウダー(Gypsum Powder)、感光性樹脂(Photosensitive Resin)等が挙げられる。また、異なる材料が異なる3Dプリンタに適用される。言い換えると、複数のサブオブジェクトがそれぞれ異なる材料に指定された場合、これらのサブオブジェクトは、物理層4内の異なる3Dプリンタによってそれぞれ印刷されることで、印刷された複数のオブジェクトモデルは、それぞれ異なる強度、性質又は機能を有することができる。
【0024】
印刷方式は、物理層4における3Dプリンタの3D印刷技術を指し、例えば、熱溶融積層(Fused Filament Fabrication,FFF)方式、ステレオリソグラフィ(Stereolithography,SLA)方式、レーザー焼結(Selective Laser Sintering,SLS)方式又は結合剤噴射(3DP)方式等が挙げられるが、これらに限定されない。換言すれば、1つのサブオブジェクトが1つの特定の印刷方式として指定された場合、このサブオブジェクトは、物理層4内の対応する印刷方式の3Dプリンタによって印刷されることになる。
【0025】
印刷システム1におけるコネクション層3は、プレゼンテーション層2に接続され、それぞれ異なる特性に対応する複数の構成ツール(configuration tool)を含む。
図1の実施形態において、複数の構成ツールは、第1の構成ツール31、第2の構成ツール32、及び第nの構成ツール33によって例示される(即ち、多くともn個の構成ツールを有する)。ただし、複数の構成ツール31〜33の数は、
図1に示すものに限定されず、実際の要求(例えば、上記の特性の数や3Dプリンタの印刷方式の数)に応じて設定されてもよい。
【0026】
プレゼンテーション層2は、3Dオブジェクトから複数のサブオブジェクトを分離し、各サブオブジェクトの特定された特性を得て、各サブオブジェクトに対して特性分類処理を行った後、コネクション層3は、構成ツール31〜33を介してプレゼンテーション層2から、特性に対応するサブオブジェクトをそれぞれ受信することができる。例えば、第1の構成ツール31は、ポリプロピレン材料に対応する場合、プレゼンテーション層2から指定された特性がポリプロピレン材料である1つ又は複数のサブオブジェクトを受信ことができる。例えば、第2の構成ツール32は、レーザー焼結構成に対応する場合、プレゼンテーション層2から指定された特性がレーザー焼結方式である1つ又は複数のサブオブジェクトを受信することができる(以下同様)。
【0027】
コネクション層3において、構成ツール31〜33のそれぞれは、受信したサブオブジェクトに対してスライス処理を行って、対応するスライスデータを生成することが可能である。なお、構成ツール31〜33のそれぞれは、主に、対応する印刷方式を有する3Dプリンタに接続される。そして、構成ツール31〜33のそれぞれは、対応する特性に関連するスライス処理を行い、接続された3Dプリンタに必要なスライスデータを生成する。
【0028】
例えば、第1の構成ツール31が熱溶融積層方式に対応する場合、第1の構成ツール31は、物理層4内の熱溶融積層方式の3Dプリンタに接続され、サブオブジェクトに対してスライス処理を行った後、熱溶融積層方式の3Dプリンタに必要なG−Codeファイルフォーマット(G−Code file format)のスライスデータを生成するようになる。例えば、第2の構成ツール32がステレオリソグラフィ方式に対応する場合、第2の構成ツール32は、物理層4内のステレオリソグラフィ方式の3Dプリンタに接続され、サブオブジェクトに対してスライス処理を行った後、ステレオリソグラフィ方式の3Dプリンタに必要な画像ファイルフォーマット(Image file format)のスライスデータが生成することになる。
【0029】
物理層4内の複数のプリンタは、それぞれ異なる印刷方式の3Dプリンタであり、コネクション層3内の対応する特性を有する構成ツール31〜33にそれぞれ接続される。
図1の実施形態において、複数の3Dプリンタは、第1のプリンタ41、第2のプリンタ42〜第nのプリンタ43(即ち、多くともn個のプリンタを有する)によって例示される。ただし、複数のプリンタ41〜43の数は、
図1に示すものに限定されず、実際の要求(例えば、上記の特性の数や構成ツール31〜33の数)に応じて設定されてもよい。
【0030】
構成ツール31〜33がスライスデータをそれぞれ生成した後、物理層4内の3Dプリンタ41〜43は、コネクション層3から対応する特性のスライスデータをそれぞれ受信して、印刷プロセスをそれぞれ行う。これにより、3Dプリンタ41〜43のそれぞれは、対応する材料を用いて必要な強度、性質又は機能を有するオブジェクトモデルを印刷することができる。
【0031】
図2は、本発明の第1の実施例に係る3D印刷方法のフローチャートである。同図を併せて参照すると、本発明に係る統合型3D印刷方法(以下、「印刷方法」と略称する)は、主に
図1に示す印刷システム1に適用される。
【0032】
図2に示すように、印刷を行う際に印刷システム1のプレゼンテーション層2により3Dファイル5をインポートし(ステップS10)、プレゼンテーション層2により3Dファイル5内の3Dオブジェクトを開く(ステップS12)。上述したように、3Dオブジェクトは、主に複数の分離可能なサブオブジェクトから構成される。
【0033】
次に、プレゼンテーション層2は、3Dオブジェクトから複数のサブオブジェクトを分離し、各サブオブジェクトの指定された特性を取得する(ステップS14)。具体的に、上記の複数のサブオブジェクトは、ユーザーにより描画段階でそれぞれ描画しておき、ステップS14においてプレゼンテーション層2のマンマシンインタフェースによりユーザーの外部操作を受信して分離してもよく、或いは、プレゼンテーション層2によりステップS14において3Dオブジェクトをアルゴリズムによって分析し、複数のサブオブジェクトを自動的に分離してもよい。
【0034】
また、上記の特性は、ユーザーにより描画段階で指定しておき、ステップS14においてプレゼンテーション層2のマンマシンインタフェースを介してユーザーの外部操作を受信して指定してもよく、或いは、ステップS14においてプレゼンテーション層2により各サブオブジェクトをアルゴリズムによって分析して自動的に指定してもよい(例えば、各サブオブジェクトのオブジェクト名を識別し、オブジェクト名に基づいて各サブオブジェクトの特性を自動的に指定する)。
【0035】
一実施形態において、特性は、3Dプリンタに用いられる材料や3Dプリンタの印刷方式であってもよいが、特に限定されない。
【0036】
ステップS14の後、プレゼンテーション層2は、各サブオブジェクトの特性に基づいて、各サブオブジェクトに対して特性分類処理を行い(ステップS16)、分類した各サブオブジェクトをコネクション層3にそれぞれ送信する。具体的に、ステップS16において、プレゼンテーション層2は、分類結果に基づいて各サブオブジェクトをコネクション層3内の対応する特性を有する構成ツール31〜33にそれぞれ送信する。
【0037】
コネクション層3は、複数の構成ツール31〜33を介して、特性に対応する1つ又は複数のサブオブジェクトをそれぞれ受信する(ステップS18)。例えば、プレゼンテーション層2が特性分類処理を完了した後、第1の特性に対応する構成ツールは、プレゼンテーション層2から第1のカテゴリに分類された(即ち、第1の特性に指定された)1つ又は複数のサブオブジェクトを受信し、第2の特性に対応する構成ツールは、プレゼンテーション層2から第2のカテゴリに分類された(即ち、第2の特性に指定された)1つ又は複数のサブオブジェクトを受信することができる(以下同様)。そして、構成ツール31〜33のそれぞれは、受信したサブオブジェクトに対してスライス処理を行い、対応するスライスデータを生成することができる。
【0038】
具体的には、構成ツール31〜33のそれぞれは、キューを有する。例えば、
図1に示すように、第1の構成ツール31は第1のキュー311を有し、第2の構成ツール32は第2のキュー321を有し、第nの構成ツール33は第nのキュー331を有する。各カテゴリには、複数のサブオブジェクトが同時に含まれることがある。そのため、本実施形態において、構成ツール31〜33のそれぞれは、複数のサブオブジェクトをスケジューリングするために、受信した複数のサブオブジェクトをキューに一時的に格納する(ステップS20)。そして、構成ツール31〜33のそれぞれは、スケジュールに基づいて、キュー内の複数のサブオブジェクトに対してスライス処理を行う(ステップS22)。
【0039】
より具体的に、構成ツール31〜33のそれぞれは、キュー内の1番目のサブオブジェクトに対してスライス処理を行い、対応するスライスデータを生成し、次に、物理層4内の対応する印刷方式に属する3Dプリンタにスライスデータを転送する(ステップS24)。これにより、物理層4内の各3Dプリンタは、特性に対応するスライスデータを受信し、印刷プロセスを行う(ステップS26)。
【0040】
ステップS26の後、印刷システム1は、3Dオブジェクトの印刷が完了したか否かを判定する(ステップS28)。具体的に、印刷システム1は、構成ツール31〜33のキュー内の全てのサブオブジェクトが処理されたか否かを判定する。印刷システム1は、いずれかのキュー内に未処理のサブオブジェクトがある場合、再びステップS22〜ステップS26を実行するようにコネクション層3及び物理層4を制御して、スケジュールに基づいてキュー内の次のサブオブジェクトを取得し、サブオブジェクトに対してスライス処理を行い、対応するスライスデータを生成し、スライスデータを対応する3Dプリンタに送信して印刷させる。
【0041】
印刷システム1は、ステップS28においてキュー内の全てのサブオブジェクトが処理されたと判定した場合、3Dオブジェクトの全てのサブオブジェクトが印刷されたことを意味するため、印刷プロセスを終了する。
【0042】
それぞれ本発明の第1の実施形態に係るプレゼンテーション層及び印刷のスケジュールを示す概略図である
図3及び
図4を併せて参照する。
【0043】
図3の実施形態において、プレゼンテーション層2は、3Dファイル5をインポートし、3Dファイル5内の3Dオブジェクト50を開く(
図3には、車で例示される)。図に示すように、3Dオブジェクト50は、複数の分離可能なサブオブジェクトから構成される。これらのサブオブジェクトは、1番目のサブオブジェクト51(屋根)、2番目のサブオブジェクト52(窓)、3番目のサブオブジェクト53(ドア)、4番目のサブオブジェクト54(バンパー)、5番目のサブオブジェクト55(アンテナ)、6番目のサブオブジェクト56(タイヤ)、7番目のサブオブジェクト57(車輪フレーム)を含む。ただし、これは具体的な実施例に過ぎず、複数のサブオブジェクトの数や項目は、実際にインポートされた3Dファイル5によって決定されるものであり、
図3に示すものに限定されない。
【0044】
上述したように、ユーザーは、コンピュータ装置を用いて3Dオブジェクト50を描画するときに、各サブオブジェクト51〜57の特性を直接指定してもよい。また、ユーザーは、印刷システム1のプレゼンテーション層2を介して3Dオブジェクト50を開いた後、マンマシンインタフェースを操作することで、サブオブジェクト51〜57の特性をそれぞれ指定してもよい。
【0045】
一実施形態において、マンマシンインタフェースは、メニュー又はスクロールバー(図示せず)を介して物理層4が対応可能な複数の特性を表示してもよい。ユーザーは、表示された複数の特性のうちの1つを選択することによって、1つのサブオブジェクトの特性を指定してもよい。他の実施形態において、マンマシンインタフェースは、物理層4が対応可能な複数の特性を
図3に示すようなフォームとして表示し、ユーザーによる入力、選択、又はドラッグにより、指定する特性の対応するフィールドにサブオブジェクト51〜57をそれぞれ記入してもよい。
【0046】
図3に示すフィールドには、1番目のサブオブジェクト51、3番目のサブオブジェクト53及び7番目のサブオブジェクト57が第1の特性(例えば、FFF)として指定され、2番目のサブオブジェクト52は、第2の特性(例えば、SLA)として指定され、4番目のサブオブジェクト54及び5番目のサブオブジェクト55は、第3の特性(例えば、SLS)として指定され、第6のサブオブジェクト56は、第4の特性(例えば、3DP)として指定される。
【0047】
上述したように、本発明の技術的特徴の1つは、ユーザーは、描画ソフトウェア又は印刷システム1のプレゼンテーション層2を介して、サブオブジェクトのアイデンティティ(例えば、
図3に示す3番目のサブオブジェクト53がドアであり、4番目のサブオブジェクト54がバンパーである)を確認し、このサブオブジェクトのアイデンティティ、用途、必要な強度又は性質に応じて、適切な特性を指定することができる(例えば、SLA方式の3Dプリンタでドアを製造し、SLS方式の3Dプリンタでバンパーを製造する)。このようにして、完成した最終的な3Dモデル(即ち、複数の3Dプリンタによって製造された複数のオブジェクトモデルからなる3Dモデル)をより多様化することができる。
【0048】
図4を再び参照する。上述したように、コネクション層3の各構成ツールは、1つのキュー(
図4には、キューA301、キューB302、キューC303及びキューD304で例示される)をそれぞれ有する。プレゼンテーション層2は、各サブオブジェクトの指定された特性を取得し、特性分類処理を完了した後、分類結果に基づいて各サブオブジェクトをコネクション層3内の対応する構成ツールにそれぞれ送信する。各構成ツールは、受信した1つ又は複数のサブオブジェクトをキュー301〜304にそれぞれ格納して、各サブオブジェクトをスケジューリングする。
【0049】
図4の実施形態において、キューA301が
図3に示す第1の特性に対応しているので、構成ツールは、1番目のサブオブジェクト51、3番目のサブオブジェクト53及び7番目のサブオブジェクト57をスケジューリングするためにキューA301に一時的に格納する。キューB302が
図3に示す第2の特性に対応しているので、構成ツールは、2番目のサブオブジェクト52をスケジューリングするためにキューB302に一時的に格納する。キューC303が
図3に示す第3の特性に対応しているので、構成ツールは、4番目のサブオブジェクト54及び5番目のサブオブジェクト55をスケジューリングするためにキューC303に一時的に格納する。キューD304が
図3に示す第4の特性に対応しているので、構成ツールは、6番目のサブオブジェクト56をスケジューリングするためにキューD304に一時的に格納する。本発明は、複数のキューによって特性の異なるサブオブジェクトをスケジューリングすることで、複数台の印刷方式の異なる3Dプリンタの印刷プロセスを効果的に制御し、複数台の3Dプリンタの印刷作業をよりスムーズに行うことができる。
【0050】
図1に示すように、コネクション層3の構成ツール31〜33のそれぞれは、スライス処理を行うためのスライスプログラムをさらに有する(
図1には、第1のスライスプログラム312、第2のスライスプログラム322〜第nのスライスプログラム332で例示される)。各スライスプログラムは、対応するキューからサブオブジェクトを取得し、サブオブジェクトに対してスライス処理を行って、対応するスライスデータを生成する。
【0051】
なお、各スライスプログラムは、接続された3Dプリンタの印刷方式にそれぞれ対応し、その印刷方式に対応するスライス処理を行い、その印刷方式が対応可能なスライスデータを生成する。
【0052】
各構成ツールは、スライスプログラムによりスライスデータを生成した後、スケジュールに基づいてスライスされたデータを物理層4内の対応する3Dプリンタに転送して、各プリンタにより対応するオブジェクトモデルをそれぞれ印刷する。
図4の実施形態において、物理層4は、キューA301に対応するプリンタA401、キューB302に対応するプリンタB402、キューC303に対応するプリンタC403、及びキューD304に対応するプリンタD404を含む。つまり、プリンタA401は、キューA301内の1番目のサブオブジェクト51、3番目のサブオブジェクト53及び7番目のサブオブジェクト57を印刷するために用いられ、プリンタB402は、キューB302内の2番目のサブオブジェクト52を印刷するために用いられ、プリンタC403は、キューC303内の4番目のサブオブジェクト54及び5番目のサブオブジェクト55を印刷するために用いられ、プリンタD404は、キューD304内の6番目のサブオブジェクト56を印刷するために用いられる。
【0053】
ただし、以上は具体的な実施例に過ぎず、ユーザーは、所望のオブジェクトモデルの態様に応じて、3Dプリンタの数や種類を増減させることができ、
図4に示すものに限定されない。
【0054】
図1に示すように、構成ツール31〜33のそれぞれは、接続された3Dプリンタを駆動するためのデバイスドライバ(device driver,以下、「ドライバ」と略称する)をさらに有する(
図1の実施形態には、第1のドライバ313、第2のドライバ323〜第nのドライバ333で例示される)。各構成ツールは、スライスデータを接続された3Dプリンタに転送する際に、主に内蔵ドライバにより3Dプリンタを駆動して、3Dプリンタに受信したスライスデータに基づいて印刷プロセスを実行させる。
【0055】
同実施形態において、スライスプログラムとドライバとを単一のプログラムに統合して、同時にスライス処理を行い、対応する3Dプリンタを駆動してもよい。
【0056】
図1及び
図4の実施形態において、各構成ツールは、異なる特性にそれぞれ対応し、対応する印刷方式に属する3Dプリンタにのみ接続される。ただし、他の実施形態において、構成ツールは、同じ印刷方式に属する複数台の3Dプリンタに同時に接続されてもよい。
【0057】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る印刷のスケジュールを示す概略図である。
図5に示すように、1つの構成ツール(例えば、構成ツールA)は、上記のキューA301を含み、同じ印刷方式の複数台のプリンタA401に同時に接続されてもよい。本実施形態において、構成ツールAには、複数のドライバ(図示せず)が内蔵されてもよい。複数のドライバは、構成ツールAが接続された複数台のプリンタA401に対応し、複数台のプリンタA401をそれぞれ駆動するために用いられる。
【0058】
図5の実施形態において、構成ツールAが3台のプリンタA401に同時に接続されている場合、構成ツールAは、同時にスライスプログラムにより1番目のサブオブジェクト51、3番目のサブオブジェクト53及び7番目のサブオブジェクト57に対してスライス処理を行い、スライスデータを3台のプリンタA401にそれぞれ送信することが可能である。このようにして、印刷システム1は、3台のプリンタA401により、同じ特性を有する1番目のサブオブジェクト51、3番目のサブオブジェクト53及び7番目のサブオブジェクト57を同期印刷することにより、全体の印刷速度を向上させることができる。
【0059】
本発明の印刷システム及び印刷方法によれば、ユーザーが印刷する完全な3Dオブジェクトを分解、分類、別々に印刷することができるので、印刷された3Dモデルは、同時に異なる強度、性質や機能を有することができる。その結果、3D印刷の実用性を大幅に向上させることができる。
【0060】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る3D印刷システムを示す概略図である。本発明の第2の実施形態において、印刷システム1は、主にローカル又はクラウドのサーバー6と、印刷方式の異なる複数台の3Dプリンタ41〜43とによって構成される。
図6に示すように、サーバー6は、第1の実施形態におけるプレゼンテーション層2及びコネクション層3をそれぞれ実現するためのグラフィカルユーザインタフェース(Graphical User Interface,以下、「GUI」と略称する)61、処理ユニット62、及び接続ポート63とを主に備える。複数台の3Dプリンタ41〜43は、第1の実施形態における物理層4を実現するために用いられる。
【0061】
以下、本発明の第2の実施形態について具体的に説明する。
本実施形態において、サーバー6は、GUI61を介して編集された3Dファイル5をインポートして、3Dファイル5内の3Dオブジェクトを開いて表示する。上述したように、3Dオブジェクトは、複数の分離可能なサブオブジェクトから構成される。GUI61は、3Dオブジェクトから複数のサブオブジェクトを自動的に、又はユーザーの操作に基づいて分離し、各サブオブジェクトの指定された特性をそれぞれ取得することができる。これにより、GUI61は、特性に応じて、各サブオブジェクトに対して上述したような特性分類処理を行うことができる。
【0062】
本実施形態において、処理ユニット62は、GUI61に接続される。他の実施形態において、GUI61は、処理ユニット62によって直接に作成され提供されてもよいが、特に限定されない。
【0063】
本実施形態において、処理ユニット62は、コネクション層3の複数の構成ツールをソフトウェア又はハードウェアで構築し、各構成ツールは、異なる特性に対応する(第1の構成ツールは第1の特性に対応し、第2の構成ツールは第2番の特性に対応する。以下同様)。GUI61(プレゼンテーション層2に相当する)が3Dオブジェクトに対して特性分類処理を行った後、処理ユニット62(第1部分のコネクション層3に対応する)は、各構成ツールを介してGUI61から特性に対応するサブオブジェクトをそれぞれ受信することができる。これにより、処理ユニット62は、各構成ツールを介して、受信したサブオブジェクトに対してスライス処理を行い、さらに対応するスライスデータを生成することができる。
【0064】
本実施形態において、接続ポート63は、処理ユニット62に接続され、処理ユニット62と共にコネクション層3を実現する。具体的に、サーバー6は、接続ポート63(第2部分のコネクション層3に相当する)を介して複数の3Dプリンタ41〜43に接続されることで、処理ユニット62内の各構成ツールは、対応する印刷方式を有する3Dプリンタにそれぞれ割り当てられる。ここで、処理ユニット62内の各構成ツールは、対応する特性に関連するスライス処理をそれぞれ実行し、接続された3Dプリンタに必要なスライスデータを生成する。
【0065】
複数の3Dプリンタ41〜43は、接続ポート63(例えば、USB、IEEE等)を介して処理ユニット62内の対応する特性を有する構成ツールにそれぞれ接続される。各構成ツールがそれぞれスライスデータを生成した後、3Dプリンタ41〜43のそれぞれは、接続ポート63を介して特性に対応するスライスデータを受信して印刷プロセスを行うことができる。これにより、3Dプリンタ41〜43のそれぞれは、対応する材料を用いて、必要な強度、性質又は機能を有するオブジェクトモデルを印刷することができる。
【0066】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明にあっては種々の変形が可能であって、かかる変形は、特許請求の範囲内に含まれる変形である限り本発明の技術的範囲に含まれる。