(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記繊維フィラメントの表面をコーティングする段階において、前記繊維フィラメントの表面は、0.03μm〜5.5μmの厚みでコーティングされる、請求項1に記載の繊維強化樹脂複合材の製造方法。
前記繊維フィラメントの表面をコーティングする段階において、前記含浸樹脂エマルジョンは、30゜〜150゜の噴射角度で噴射される、請求項1に記載の繊維強化樹脂複合材の製造方法。
前記繊維ストランドを形成する段階の前に、前記表面がコーティングされた繊維フィラメントに再び含浸樹脂エマルジョンを噴射して、これの表面をコーティングする段階をもう1回行うか、又は数回さらに繰り返して行う段階;をさらに含む、請求項1に記載の繊維強化樹脂複合材の製造方法。
前記繊維フィラメントの表面をコーティングする段階において、前記含浸樹脂エマルジョンは、集束剤を含まないか、又は集束剤をさらに含む、請求項1に記載の繊維強化樹脂複合材の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、添付の図面を参考して、本発明の実施例について、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳説する。本発明は、異なる形態に具現することができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0028】
本発明を明確に説明するため説明と関係ない部分は省略しており、全明細書における同一または類似の構成要素に対しては、同じ参照符号を付する。
【0029】
図面において、複数の層及び領域を明確に表現するため厚みを拡大して示した。また、図面において、説明の便宜のため一部の層及び領域の厚みを誇張して示した。
【0030】
図1は、本発明の一具現例による繊維強化樹脂複合材の製造方法の工程流れ図を概略的に示す。
【0031】
前記製造方法は、繊維フィラメントを紡糸する段階(S1);前記紡糸される繊維フィラメントに含浸樹脂エマルジョンを噴射して、前記繊維フィラメントの表面をコーティングする段階(S2);及び前記表面がコーティングされた繊維フィラメントをバンドリング(bundling)して繊維ストランドを形成する段階(S3);を含む。
【0032】
普通、繊維ストランド又は繊維束は、バインダー又は集束剤によって集束されており、含浸工程を行う時に樹脂がこれらの間へ浸透または含浸しにくく、そのため、繊維ストランド又は繊維束の外部面上に樹脂層を比較的に厚く形成して繊維強化樹脂複合材を製造するしかないが、この場合、繊維の分散性などを考慮すると、このような繊維強化樹脂複合材内に含まれる繊維の含量を一定程度水準以上に増加させることができない。
【0033】
このため、最近、繊維ストランド又は繊維束を開繊または広幅化した後に樹脂を含浸させる方法によって含浸工程の効率を増加する方法が用いられており、具体的には、繊維ストランド又は繊維束を形成する時に使用される集束剤などの含量が高いほど、開繊または広幅化しにくいため、これの含量を最小化することで、これらをより幅広く開繊または広幅化しようとする研究を続けている。
【0034】
しかし、このように、開繊または広幅化して含浸させる方法だけでは、含浸工程の効率が足りず、繊維強化樹脂複合材内に含まれる繊維の含量を所望の水準に増加し難い問題がある。
【0035】
さらに、前述した開繊または広幅化して含浸させる方法を利用する繊維強化樹脂複合材の製造工程は、繊維フィラメントをバンドリングして繊維ストランド又は繊維束を形成する工程;及びこれを再び開繊または広幅化した後に液状の含浸樹脂を含有した含浸槽に通すか浸漬する工程;を必ず伴っており、全体的には、製造工程が2段階に二元化して分離されることによって、時間及び費用が一層かかり、生産効率及び経済性が低下する。
【0036】
このため、本発明の一具現例では、前記製造方法によって繊維ストランドを形成する前である、繊維フィラメントを紡糸する過程において、含浸樹脂エマルジョンを噴射して、前記繊維フィラメントの表面をコーティングし、次いで、前記表面がコーティングされた繊維フィラメントをバンドリングして繊維ストランドを形成する。
【0037】
それによって、前記製造方法によって形成される繊維ストランドは、前記繊維フィラメントの間に前記含浸樹脂が十分に含浸されるため、前記繊維ストランド内における繊維がさらに高い含量含まれる利点がある。
【0038】
また、前記製造方法では、集束された繊維ストランドを再び開繊または広幅化した後に別の樹脂含浸槽などに通すか浸漬する段階を省略してもよく、それによって、全体的に製造工程が単一化されることで、生産効率及び経済性が効果的に向上する。
【0039】
前記製造方法において、繊維フィラメントを紡糸することができる。前記繊維フィラメントの紡糸は、この技術分野で公知された繊維紡糸機を用いて紡糸してもよいし、例えば、ブッシング(bushing)などを用いて紡糸してもよいが、これに制限されるものではない。
【0040】
前記繊維フィラメントは例えば、約400m/min〜約700m/minの紡糸速度で紡糸してもよい。
【0041】
前記範囲内の紡糸速度で紡糸することで、前記繊維フィラメントの直径を好適に調節することができるとともに、前記繊維フィラメントの断糸発生を防止して、作業性を向上させることができる。
【0042】
また、前記繊維フィラメントは、断面直径が例えば、約10μm〜約30μmであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0043】
また、前記繊維フィラメントは、有機繊維、無機繊維、又はこれら全てを含んでいてもよいし、具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ナイロン繊維、天然繊維、玄武岩繊維(basalt fiber)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも1つを含む材質であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0044】
前記製造方法において、前記紡糸される繊維フィラメントに含浸樹脂エマルジョンを噴射して、前記繊維フィラメントの表面をコーティングしてもよい。また、前記表面がコーティングされた繊維フィラメントをバンドリングして繊維ストランドを形成してもよい。
【0045】
このように、前記繊維フィラメントをバンドリングする前に含浸樹脂エマルジョンで表面をコーティングすることによって、前記繊維ストランドを形成した後、これを再び開繊するか広幅化して、液状の含浸樹脂を含有した別の含浸槽などに通すか浸漬する工程を追加して適用する必要がない。
【0046】
また、従来の繊維ストランドの間に含浸樹脂が浸透しにくく、含浸工程の効率が非常に低かったこととは違って、前記製造方法によれば、前記繊維ストランド内における前記含浸樹脂が繊維フィラメントの間に十分に、且つ均一な水準で存在し、それによって、前記繊維ストランドは、繊維をさらに高い含量含んでいてもよい。
【0047】
一具現例において、前記繊維ストランドを形成する段階の前に、前記表面がコーティングされた繊維フィラメントに再び含浸樹脂エマルジョンを噴射して、これの表面をコーティングする段階をもう1回行うか、又は数回さらに繰り返して行う段階;をさらに含んでいてもよい。
【0048】
それによって、前記繊維ストランドの間に含浸される含浸樹脂の含量を発明の目的及び用途によって好適に増加することができるため、前記繊維ストランドの物性を容易に調節することができ、さらに多様な用途に適用することができる。
【0049】
例えば、前記表面がコーティングされた繊維フィラメントに再び含浸樹脂エマルジョンを噴射して、これの表面をコーティングする段階を総2回〜5回さらに繰り返して行ってもよい。
【0050】
前記範囲内の回数で繰り返して行うことで、前記繊維ストランド内における前記含浸樹脂の含量を好適に増加させるとともに、相対的に前記繊維の含量を依然として高い水準に維持することができる。
【0051】
前記含浸樹脂エマルジョンは、含浸樹脂を含み、前記含浸樹脂は、熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。
【0052】
前記熱可塑性樹脂は例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエテル樹脂、ポリプロピレン−ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリブチレンテレフタラート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ナイロン樹脂、ポリエテルイミド樹脂、及びこれらの組み合わせを含む群から選択された少なくとも1つを含んでいてもよいが、これに限定されない。
【0053】
また、前記熱可塑性樹脂は例えば、粒子状に形成されて、熱可塑性樹脂の粒子であってもよいし、前記熱可塑性樹脂の粒子の平均粒度は、約100nm〜約100μmであってもよい。
【0054】
前記範囲内の平均粒度を有することで、前記熱可塑性樹脂の粒子の大きさが好適に調節されて、優れたコーティング性を具現することができ、それによって、製品の物性をさらに均一な水準で形成し、信頼性を向上させることができる。
【0055】
前記繊維フィラメントの表面をコーティングするに利用する前記含浸樹脂エマルジョンは、例えば、前記含浸樹脂を約1.75重量%〜約7.0重量%含んでいてもよいが、これに制限されるものではない。
【0056】
前記範囲内の含量で含むことによって、前記繊維フィラメントの表面に前記含浸樹脂を十分にコーティングさせながらも、前記含浸樹脂エマルジョンの粘度を好適に調節して噴射装置から容易に噴射することができる。
【0057】
前記含浸樹脂エマルジョンの粘度は、約25℃で約300cP〜約10,000cPであってもよい。前記範囲内の粘度を有することで、前記繊維フィラメントの表面に十分にコーティングされながら、噴射装置から容易に噴射される。
【0058】
また、前記繊維フィラメントの表面をコーティングする段階において、前記噴射される含浸樹脂エマルジョンの温度は、例えば、約5℃〜約50℃であってもよい。
【0059】
前記含浸樹脂エマルジョンは例えば、希釈剤、カップリング剤、界面活性剤、帯電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも1つをさらに含んでいてもよい。
【0060】
前記希釈剤は例えば、水であってもよいが、これに制限されない。
【0061】
前記繊維フィラメントの表面をコーティングする段階において、前記含浸樹脂エマルジョンは、集束剤を含まないか、又は集束剤をさらに含んでいてもよい。
【0062】
一具現例において、前記繊維フィラメントの表面にコーティングされる含浸樹脂は、所定の粘度を有しているため、別途集束剤を処理しなくても、前記繊維フィラメントをバンドリングすることができる。
【0063】
具体的には、前記繊維フィラメントをバンドリングする過程において、これを集束剤で処理する別の集束工程を適用する必要がなく、前記表面がコーティングされた繊維フィラメントを容易にバンドリングして、前記繊維ストランドを形成してもよい。
【0064】
また、発明の目的及び用途によって、前記含浸樹脂エマルジョンは、前記集束剤をさらに含んでいてもよいし、このとき、含まれる集束剤の含量は、低含量に限らず、低含量から高含量までより広い範囲内で好適に選択して含んでいてもよい。
【0065】
前記集束剤の含量を増加させるほど、作業過程において、繊維フィラメントが飛散するか絡み合う傾向が減少し、繊維材料の損失を防止しながらも作業環境を向上させることができる。
【0066】
前記集束剤は例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−N’−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、及びこれらの加水分解物を含む群から選択された少なくとも1つを含んでいてもよいが、これに制限されるものではない
【0067】
前記含浸樹脂エマルジョンの噴射方法は、この技術分野で公知された噴射装置を用いて行うことができ、例えば、噴射ノズルを備えた噴射装置を用いて噴射してもよいが、特に限定されるものではない。
【0068】
また、前記繊維フィラメントの表面をコーティングする段階において、前記含浸樹脂エマルジョンは、約30゜〜約150゜の噴射角度で噴射されて、具体的には、約80゜〜約120゜の噴射角度で噴射されてもよい。
【0069】
前記噴射角度は、
図3のように示すことができ、例えば、噴射ノズルから噴射される噴射液の描くパターンが広くなる角度を意味し、いわゆる噴霧角とも言える。
【0070】
前記範囲の噴射角度(θ)で噴射されることで、前記繊維フィラメントの表面をコーティングする時に冷却効果を向上させながら、噴射ノズルが詰まることを防止して、噴射装置の寿命をさらに延長することができる。
【0071】
具体的には、前記噴射角度が約30゜未満である場合、前記含浸樹脂エマルジョンが固まる現象が発生して、コーティング性が著しく低下し、約150゜を超える場合、冷却効率が著しく低下する問題がある。
【0072】
一具現例において、前記繊維フィラメントの表面をコーティングする段階において、前記繊維フィラメントの表面は、約0.03μm〜約5.5μmの厚みでコーティングされてもよいし、具体的には、約0.10μm〜約2.0μmの厚みでコーティングされてもよい。
【0073】
前記範囲内の厚みでコーティングされることで、前記繊維ストランド内における前記含浸樹脂が前記繊維フィラメントの間に足りる含量で存在することになり、優れた含浸効率を具現することで、繊維を高含量含み、また、前記繊維フィラメントが均一な間隔で離隔して存在するため、繊維の分散性も向上する。
【0074】
前述したように、表面がコーティングされた繊維フィラメントをバンドリング(bundling)して繊維ストランドを形成することができ、それによって、前記繊維ストランドは、含浸樹脂及び前記含浸樹脂内に存在する繊維フィラメントを含むように形成される。
【0075】
また、前記含浸樹脂内に存在する繊維フィラメント間の離隔距離は、例えば、約0.06μm〜約11μmとなるように形成してもよいし、具体的には、約0.20μm〜約4.0μmとなるように形成してもよい。前記離隔距離とは、隣り合う繊維フィラメントが相互離れた平均距離または平均間隔を意味する。
【0076】
前記範囲内の離隔距離になるように形成することで、前記繊維ストランド内における前記含浸樹脂が繊維フィラメントの間に十分に、且つ均一な水準で存在するため、繊維を相対的に高い含量含み、また、繊維の分散性も向上する。
【0077】
また、前記繊維ストランドを形成する段階において、前記繊維ストランドは、これに含まれた前記含浸樹脂対前記繊維フィラメントの重量比が約1:3.7〜約1:998となるように形成されてもよい。
【0078】
前記範囲内の重量比になるように形成することで、前記含浸樹脂が前記繊維フィラメントの間に十分に存在することになり、前述したように、含浸効率を効果的に向上させることができる。
【0079】
また、前記繊維ストランドは、これに含まれた繊維フィラメントの含量が例えば、約79重量%〜約99.8%となるように形成されて、具体的には、約92.3重量%〜約99.8重量%となるように形成されてもよい。
【0080】
前記範囲内の高い水準の含量で前記繊維フィラメントを含むように形成することで、前記繊維強化樹脂複合材によって形成された成形品は、これの物性をより広い範囲で好適に調節することができ、優れた生産効率及び経済性を具現することができる。
【0081】
前記繊維ストランド1つ当たりバンドリングされた繊維フィラメントは、500個〜6,000個であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0082】
前記製造方法において、前記繊維ストランドを巻き取って整理し、連続繊維強化樹脂複合材として利用するか、又は、前記繊維ストランドを切断して長繊維強化樹脂複合材に形成する段階;をさらに含む。
【0083】
すなわち、前記繊維ストランドをそのまま連続繊維強化樹脂複合材として利用することができ、この場合、所定のボビン(bobbin)に巻き取って整理して保管した後、発明の目的及び用途によって好適な長さに利用することができる。また、前記繊維ストランドを前記連続繊維強化樹脂複合材として利用する場合に比べて、より短い長さに切断して長繊維強化樹脂複合材に形成することもできる。
【0084】
前記長繊維強化樹脂複合材は、ペレット状であってもよい。
【0085】
前記繊維ストランドを切断して、前記長繊維強化樹脂複合材に形成する場合、約3mm〜約100mmの長さとなるように切断してもよく、それによって、前記繊維強化樹脂複合材内に含まれた長繊維フィラメントの長さを好適に調節することができる。
【0086】
前記長繊維強化樹脂複合材に含まれた前記長繊維強化フィラメントの長さは、例えば、約0.5mm〜約30mmとなるように形成してもよい。前記範囲内の長さとなるように製造することで、前記繊維強化樹脂複合材の機械的、熱的物性を好適に調節することができる。
【0087】
図2は、本発明の他の具現例による繊維強化樹脂複合材100の断面図を概略的に示す。
【0088】
本発明の他の具現例において、前記製造方法によって製造されて、含浸樹脂110内に存在する繊維フィラメント120間の離隔距離(d)が約0.06μm〜約11μmである繊維ストランドを含む繊維強化樹脂複合材100を提供する。前記離隔距離(d)は、具体的には約0.20μm〜約4.0μmであってもよい。
【0089】
前記範囲内の離隔距離(d)で存在することで、前記繊維ストランド内における前記含浸樹脂110が繊維フィラメント120の間に十分に、且つ均一な水準で存在するため、繊維を相対的に高い含量含むことができ、また、繊維の分散性も向上させることができる。また、それによって、これから製造される成形品の物性をより広い範囲で好適に調節することができ、優れた生産効率及び経済性を具現することができる。
【0090】
具体的には、前記離隔距離(d)が約0.06μm未満である場合、前記繊維フィラメント120の表面のコーティングが十分に行われず、含浸樹脂110の含浸程度が低下しながら作業過程において繊維が飛散する場合があり、前記離隔距離(d)が約11μmを超える場合には繊維の含量が相対的に低くなりすぎる問題がある。
【0091】
前記含浸樹脂110及び前記繊維フィラメント120は、一具現例において前述したとおりである。
【0092】
前記繊維強化樹脂複合材100内において、前記含浸樹脂110対前記繊維フィラメント120の重量比は、約1:3.7〜約1:998であってもよい。前記範囲内の重量比を有することで、前記含浸樹脂110が前記繊維フィラメント120の間に十分に存在することになり、前述したように、含浸効率を効果的に向上させることができる。
【0093】
また、前記繊維強化樹脂複合材100内において、前記繊維フィラメント120の含量は、例えば、約79重量%〜約99.8%であってもよく、具体的には、約92.3重量%〜約99.8重量%であってもよい。
【0094】
前記範囲内の高い水準の含量で前記繊維フィラメント120を含むことで、前記繊維強化樹脂複合材100によって形成された成形品は、これの物性をより広い範囲で好適に調節することができ、優れた生産効率及び経済性を具現することができる。
【0095】
前記繊維強化樹脂複合材100は、集束剤を含まないか、又は集束剤をさらに含んでいてもよい。前記集束剤は、一具現例において前述したとおりである。
【0096】
このように、前記繊維強化樹脂複合材100は、発明の目的及び用途によって前記集束剤の含有有無及びこの含量を好適に調節することができ、このとき、含まれる集束剤の含量は、低含量に限らず、低含量から高含量までより広い範囲内で好適に選択して含んでいてもよい。
【0097】
前記集束剤の含量を増加するほど、作業過程における繊維フィラメント120が飛散するか絡み合う傾向が減少し、繊維材料の損失を防止しながらも作業環境を向上させることができる。
【0098】
前記繊維強化樹脂複合材100は、前記繊維ストランドを巻き取って整理した連続繊維強化樹脂複合材であるか、又は前記繊維ストランドを切断して形成した長繊維強化樹脂複合材であってもよい。
【0099】
すなわち、前記繊維ストランドをそのまま連続繊維強化樹脂複合材として利用することができ、この場合、所定のボビンに巻き取って整理して保管した後、発明の目的及び用途によって好適な長さに利用することができる。また、前記繊維ストランドを前記連続繊維強化樹脂複合材として利用する場合に比べて、より短い長さに切断して、長繊維強化樹脂複合材に形成してもよい。
【0100】
前記繊維強化樹脂複合材100が前記長繊維強化樹脂複合材である場合、約3mm〜約100mmの長さを有してもよい。それによって、前記繊維強化樹脂複合材内に含まれた長繊維フィラメントの長さを好適に調節することができる。
【0101】
前記長繊維強化樹脂複合材に含まれた前記長繊維強化フィラメントの長さは、例えば、約0.5mm〜約30mmであってもよい。前記範囲内の長さを有することで、前記繊維強化樹脂複合材の機械的、熱的物性を好適に調節することができる。
【0102】
また、前記長繊維強化樹脂複合材は、ペレット状であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0103】
前記繊維強化樹脂複合材100は例えば、自動車内外装材用、家電製品の内外装材用、建築内外装材用、又はその他産業分野における多様な用途に適用される。
【0104】
本発明のさらに他の具現例において、前記繊維強化樹脂複合材が射出成形して製造された成形品を提供する。
【0105】
前述したように、前記繊維強化樹脂複合材は、前記繊維フィラメントの間に前記含浸樹脂が十分に含浸されるため、繊維をさらに高い含量含む利点があり、それによって、前記繊維強化樹脂複合材から製造された成形品は、これの物性をより広い範囲で好適に調節することができ、優れた生産効率及び経済性を具現することができる。
【0106】
また、前記成形品は、前記繊維強化樹脂複合材に熱可塑性樹脂の混合した混合物が射出成形して製造されてもよいし、例えば、前記繊維強化樹脂複合材及び前記熱可塑性樹脂の混合した混合組成物が射出成形して製造されてもよい。
【0107】
例えば、所定の射出成形機に前記繊維強化樹脂複合材及び熱可塑性樹脂ペレットを投入する場合、これらが前記射出成形機内で溶融混合して、混合組成物を形成しながら、前記混合組成物が射出成形して前記成形品を製造する。
【0108】
前記熱可塑性樹脂は、一具現例において、前記含浸樹脂に対して前述した熱可塑性樹脂の種類を用いてもよいが、これに限定されるものではない。
【0109】
このように、前記繊維強化樹脂複合材に熱可塑性樹脂の混合した混合物を射出成形して成形品を製造する場合、混合する熱可塑性樹脂の含量を好適に調節することで、前記成形品の引張り強度及び衝撃強度などの物性を比較的に低い範囲から高い範囲までより広い範囲で、発明の目的及び用途によって好適に調節することができ、また、それによって、さらに多様な用途に利用することができる。
【0110】
また、前記混合物を射出成形して成形品を大量に製造する場合、生産効率及び経済性がさらに向上する。
【0111】
具体的には、前記繊維強化樹脂複合材が繊維を高含量含むことによって、前記成形品を大量に製造する場合、全体的に消耗する前記繊維強化樹脂複合材の含量を減らしながら、前記熱可塑性樹脂の含量を増加することができ、このとき、前記熱可塑性樹脂は、前記繊維強化樹脂複合材に比べて、製造工程がさらに単純であり費用も少なくかかるため、結果として、費用及び時間がさらに節減されて、優れた生産効率及び経済性を具現することができる。
【0112】
例えば、前記成形品は、前記繊維強化樹脂複合材100重量部に対し、前記熱可塑性樹脂約6重量部〜約1895重量部がさらに混合した混合物を射出成形して製造することができる。
【0113】
それによって、前記混合物が射出成形して製造された前記成形品は、引張り強度が例えば、約40MPa〜約175MPaであってもよいし、衝撃強度が例えば、約5
kg・cm/cm〜約35
kg・cm/cmであってもよい。
【0114】
このように、比較的に低い範囲から高い範囲までより広い範囲で、前記成形品の物性をさらに容易に調節することができるため、発明の目的及び用途によって、さらに多様な用途に適用することができる。
【0115】
以下では、本発明の具体的な実施例を提示する。但し、下記に記載した実施例は、本発明を具体的に例示するか説明するためのものに過ぎず、これをもって本発明が制限されてはならない。
【0116】
実施例
[実施例1]
含浸樹脂として重量平均分子量70,000であるポリプロピレン樹脂、及び重量平均分子量20,000であるポリプロピレン樹脂を1:1で混合したポリプロピレン樹脂3.0重量%、加水分解したγ−アミノプロピルトリエトキシシラン2.0重量%及び水を混合して、含浸樹脂エマルジョンを準備しており、前記含浸樹脂エマルジョンの粘度は25℃で6,000cPであった。
【0117】
ガラス繊維フィラメントを紡糸装置を用いて600m/minの紡糸速度で紡糸しながら、前記紡糸されるガラス繊維フィラメントに前記含浸樹脂エマルジョンを噴射装置を用いて110°角度で噴射することで、前記ガラス繊維フィラメントの表面を約1.82μmの厚みでコーティングした。
【0118】
次いで、前記表面がコーティングされたガラス繊維フィラメントをバンドリングすることで、ガラス繊維ストランドを形成しており、前記ガラス繊維ストランドを10mmの長さに切断して、繊維強化樹脂複合材を製造した。
【0119】
前記繊維強化樹脂複合材において、全体的に前記ガラス繊維フィラメントは、前記含浸樹脂内において、3.62μmの離隔距離で相互離隔して存在しており、前記ガラス繊維フィラメントの含量は93.0重量%であり、前記含浸樹脂の含量は4.2重量%で、前記加水分解したγ−アミノプロピルトリエトキシシランの含量は2.8重量%であった。
【0120】
[実施例2] (実施例1に比べてガラス繊維の含量がさらに高い場合)
含浸樹脂として重量平均分子量70,000であるポリプロピレン樹脂、及び重量平均分子量20,000であるポリプロピレン樹脂を1:1で混合したポリプロピレン樹脂5.0重量%、加水分解したγ−アミノプロピルトリエトキシシラン3.3重量%及び水を混合して、含浸樹脂エマルジョンを準備しており、前記含浸樹脂エマルジョンの粘度は、25℃で7,000cPであった。
【0121】
ガラス繊維フィラメントを紡糸装置を用いて600m/minの紡糸速度で紡糸しながら、前記紡糸されるガラス繊維フィラメントに前記含浸樹脂エマルジョンを噴射装置を用いて110°角度で噴射することで、前記ガラス繊維フィラメントの表面を約0.25μmの厚みでコーティングした。
【0122】
次いで、前記表面がコーティングされたガラス繊維フィラメントをバンドリングすることで、ガラス繊維ストランドを形成しており、前記ガラス繊維ストランドを10mmの長さに切断して、繊維強化樹脂複合材を製造した。
【0123】
前記繊維強化樹脂複合材において、前記ガラス繊維フィラメントは、前記含浸樹脂内において、0.5μmの離隔距離で相互離隔して存在しており、前記ガラス繊維フィラメントの含量は99.0重量%であり、前記含浸樹脂の含量は0.6重量%で、前記加水分解したγ−アミノプロピルトリエトキシシランの含量は0.4重量%であった。
【0124】
[比較例1](繊維ストランドを開繊するか広幅化して、別の含浸槽などに通すか浸漬する工程を適用した場合)
【0125】
前記実施例1において使用したものと同じガラス繊維フィラメントを紡糸する過程において、これの表面を含浸樹脂エマルジョンでコーティングせず、紡糸されたガラス繊維フィラメントを集束剤として加水分解したγ−アミノプロピルトリエトキシシランで処理して集束することで、ガラス繊維ストランドを形成した。
【0126】
また、水を混合せず、含浸樹脂として重量平均分子量70,000であるポリプロピレン樹脂、及び重量平均分子量20,000であるポリプロピレン樹脂を1:1で混合したポリプロピレン樹脂100重量%を230℃の温度で熱処理して、液状の含浸樹脂を準備した。
【0127】
次いで、前記ガラス繊維ストランドで熱処理を行いながら、ローラーを用いて圧力を適用し、前記ガラス繊維ストランドの幅が約5倍となるように開繊した。
【0128】
また、前記開繊したガラス繊維ストランドを前記液状の含浸樹脂が満たされた含浸槽に通して、次いで、冷却及び乾燥過程を経て得た結果物を10mmの長さに切断して、繊維強化樹脂複合材を製造しており、具体的には、前記含浸槽の排出ノズル(outlet nozzle)の直径は2.0mmであった。
【0129】
前記繊維強化樹脂複合材において、前記ガラス繊維フィラメントが互いに一部接した状態で存在するため、これらの離隔距離を測定することができなかったし、前記ガラス繊維フィラメントの含量は78重量%であり、前記含浸樹脂の含量は22重量%であった。
【0130】
[比較例2]
含浸槽の排出ノズルの直径を1.5mmにしたことを除いては、比較例1と同じ条件及び方法によって繊維強化樹脂複合材を製造した。
【0131】
前記繊維強化樹脂複合材において、前記ガラス繊維フィラメントが互いに一部接した状態で存在するため、これらの離隔距離を測定することができなかったし、前記ガラス繊維フィラメントの含量は90重量%であり、前記含浸樹脂の含量は10重量%であった。
【0132】
評価
前記実施例1、2及び前記比較例1、2によるそれぞれの繊維強化樹脂複合材の複数の物性を評価して下表1に記載した。
【0133】
また、射出成型機(LSエムトロン、LGE220II)内において、前記実施例1、2及び前記比較例1、2によるそれぞれの繊維強化樹脂複合材及びポリプロピレン樹脂ペレット(GSカルテックス、H550)をそれぞれ好適に混合して、結果としてガラス繊維の含量が60重量%である混合組成物を形成し、これを射出成形することで、シート状の成形品をそれぞれ製作して、次いで、これらの複数の物性を評価して下表1に共に記載した。
【0134】
[実験例1:隔離距離]
測定方法:前記実施例1、2及び前記比較例1、2によるそれぞれの繊維強化樹脂複合材の断面を走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)(EDX社、×8000)を用いて撮影した後、ガラス繊維フィラメント間の距離を測定した。
【0135】
[実験例2:作業性]
測定方法:前記実施例1、2によるそれぞれの繊維強化樹脂複合材の製造工程において、ガラス繊維ストランドを切断する間、前記ガラス繊維フィラメントが飛散する程度を肉眼で観察して作業性を評価した。
【0136】
また、前記比較例1、2によるそれぞれの繊維強化樹脂複合材の製造工程では、開繊したガラス繊維ストランドを前記液状の含浸樹脂内に通した後、冷却及び乾燥過程を経て得た結果物を10mmの長さに切断する間、前記ガラス繊維フィラメントが飛散する程度を肉眼で観察して作業性を評価した。
【0137】
具体的には、前記ガラス繊維フィラメントの飛散する程度がひどい場合を作業性に劣ると評価して「×」に表示しており、前記ガラス繊維フィラメントがほとんど飛散しない場合を作業性に優れると評価して「○」に表示しており、これらの中間水準に該当する場合を作業性が普通であると評価して「△」に表示した。
【0138】
[実験例3:ペレットの外観]
測定方法:ペレット状に製造された前記実施例1、2及び前記比較例1、2によるそれぞれの繊維強化樹脂複合材の外観の形状を肉眼で観察してペレットの外観を評価した。
【0139】
具体的には、それぞれの切断過程において、本来の柱状をそのまま維持しながら、繊維フィラメントが外部にさらされない場合をペレットの外観に優れると評価して「○」に表示しており、本来の柱状を維持できないか、繊維フィラメントが外部にさらされて飛散する場合をペレットの外観に劣ると評価して「X」に表示した。
【0140】
[実験例4:引張り強度]
測定方法:前記実施例1、2及び前記比較例1、2によるそれぞれの繊維強化樹脂複合材で成形したそれぞれのシートに対し、ASTM D638の条件に従って引張り強度測定機(ZwickRoell、Z010)を用いて測定した。
【0141】
[実験例5:衝撃強度]
測定方法:前記実施例1、2及び前記比較例1、2によるそれぞれの繊維強化樹脂複合材で成形したそれぞれのシートに対し、ASTM D
256の条件に従って衝撃強度測定機(ZwickRoell、HIT25P)を用いて測定した。
【0143】
前記表1に示したように、実施例1及び2による繊維強化樹脂複合材は、繊維ストランドを形成する前である、繊維フィラメントを紡糸する過程において、含浸樹脂エマルジョンを噴射して、前記繊維フィラメントの表面をコーティングする工程に従って製造されて、ここに含まれたガラス繊維フィラメントが十分に離隔して存在しており、ガラス繊維フィラメントをさらに高い含量含むとともに、ペレットの外観及び作業性に優れた。
【0144】
それによって、前記実施例1及び2による繊維強化樹脂複合材は、繊維ストランドに対する樹脂の含浸効率が効果的に向上し、優れた生産効率及び経済性を具現することができながら、これの製造工程が単一化されて時間及び費用をさらに節減することを確かに予想することができる。また、前記実施例1及び2による繊維強化樹脂複合材から形成した各シートの引張り強度または衝撃強度が比較的に高く測定されて、前記ガラス繊維フィラメントの分散性に優れることを確認することができる。
【0145】
一方、比較例1による繊維強化樹脂複合材は、別の含浸槽などに通すか浸漬する工程に従って製造されて、ここに含まれたガラス繊維フィラメントが一部接した状態で存在するため、離隔距離を測定することができなかったし、また、ガラス繊維フィラメントの含量が低かった。
【0146】
それによって、前記比較例1による繊維強化樹脂複合材は、繊維ストランドに対する樹脂の含浸効率が低くて、生産効率及び経済性に劣り、これの製造工程が二元化されて時間及び費用がさらにかかることを確かに予想することができる。また、前記比較例1による繊維強化樹脂複合材から形成したシートの引張り強度または衝撃強度が比較的に低く測定されて、前記ガラス繊維フィラメントの分散性が低いことを確認することができる。
【0147】
また、比較例2による繊維強化樹脂複合材も別の含浸槽などに通すか浸漬する工程に従って製造したが、含浸槽に備えた排出ノズルの直径を非常に小さく調節することで、ここに含まれたガラス繊維フィラメントの含量を90%形成することはできたが、ペレットの外観及び作業性に著しく劣れており、通常の製品として生産または利用し難い水準であった。
【0148】
さらに、前記比較例1による繊維強化樹脂複合材から形成したシートは、ガラス繊維フィラメントが固まるか凝集する現象が大きく発生して、引張り強度や衝撃強度を測定する時に容易に壊れて、これら物性を測定することができなかった。