特許第6643500号(P6643500)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6643500ブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置の電磁クラッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643500
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】ブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置の電磁クラッチ
(51)【国際特許分類】
   F16D 27/115 20060101AFI20200130BHJP
   F16D 43/12 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   F16D27/115 Z
   F16D43/12
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-552153(P2018-552153)
(86)(22)【出願日】2017年5月22日
(65)【公表番号】特表2019-511689(P2019-511689A)
(43)【公表日】2019年4月25日
(86)【国際出願番号】CN2017085318
(87)【国際公開番号】WO2018126593
(87)【国際公開日】20180712
【審査請求日】2018年10月10日
(31)【優先権主張番号】201710015009.3
(32)【優先日】2017年1月9日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518274146
【氏名又は名称】山東理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曲 金玉
(72)【発明者】
【氏名】任 ▲伝▼波
(72)【発明者】
【氏名】高 松
(72)【発明者】
【氏名】邵 金菊
(72)【発明者】
【氏名】王 吉▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】周 英超
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 卓文
(72)【発明者】
【氏名】米 家杉
(72)【発明者】
【氏名】穆 虎
(72)【発明者】
【氏名】滕 政哲
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 天▲ミァオ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呂▼ 娜娜
(72)【発明者】
【氏名】郭 政斌
【審査官】 日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−93857(JP,A)
【文献】 特公昭44−3123(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 27/00,27/112,27/115
43/10,43/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸(11)と、出力軸(21)と、出力軸接続プレート(21P)と、ブラシレス電磁石(1WT)と、ブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置(10)と、を含み、
前記ブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置(10)は、押しプレッシャープレート(10c)と、従動スプラインドハブ(10d)と、ドライブバイワイヤによるドライブプレート(10g)と、予圧スプリング(10i)と、遠心ボールアームの空心ホイールディスク(10j)と、遠心ボールアームピン(10k)と、遠心ボールアーム(10l)と、遠心ボール(10m)と、透磁性動力伝達板(10q)と、遠心ボールソケット(10r)と、主動軸(10Z)と、を含み、
前記主動軸(10Z)の一端は、前記入力軸(11)の一端に固定して接続し、前記遠心ボールアームの空心ホイールディスク(10j)は、軸受けを介して前記主動軸(10Z)の中間軸頸に支持して取り付けられ、前記遠心ボールアームの空心ホイールディスク(10j)は、前記入力軸(11)に近接する一端の外円周面には、遠心ボールアームの空心ホイールディスクの外スプライン溝(10ja)が設けられており、前記ドライブバイワイヤによるドライブプレート(10g)は、そのドライブプレート(10g)に形成された内スプライン溝により前記遠心ボールアームの空心ホイールディスクの外スプライン溝(10ja)に嵌着され、前記予圧スプリング(10i)は、前記遠心ボールアームの空心ホイールディスクの外スプライン溝(10ja)の末端と前記ドライブバイワイヤによるドライブプレート(10g)の内側端面との間に設けられており、前記ドライブバイワイヤによるドライブプレート(10g)は、前記入力軸(11)に近接する一端面には、摩擦駆動端面(10ga)が設けられており、前記遠心ボールアームの空心ホイールディスク(10j)は、前記入力軸(11)から離れる他端には、周向に沿って均一に分布される複数の遠心ボールアーム用の支持台が設けられており、それぞれの前記遠心ボールアーム用の支持台には前記遠心ボールアームピン(10k)が固定して取り付けられており、前記遠心ボールアーム(10l)の一端は、その一端側に形成された支持孔を介して前記遠心ボールアームピン(10k)の中間軸頸に揺動可能に嵌着され、前記遠心ボールアーム(10l)は、前記遠心ボールアームピン(10k)周りに回動自在であり、前記遠心ボールアーム(10l)の他端には前記遠心ボールソケット(10r)が設けられ、それぞれの前記遠心ボールソケット(10r)には前記遠心ボール(10m)が取り付けられ、それぞれの前記遠心ボール(10m)は、前記遠心ボールソケット(10r)に自由に転がることができ、
前記押しプレッシャープレート(10c)の一端面は、平滑面(10ca)であり、それぞれの前記遠心ボール(10m)は、前記押しプレッシャープレート(10c)の前記平滑面(10ca)に当接し、前記押しプレッシャープレート(10c)の外円周面には、外スプライン溝が設けられ、前記押しプレッシャープレート(10c)の外スプライン溝と前記従動スプラインドハブ(10d)の内スプライン溝は、軸方向に摺動接合し、前記従動スプラインドハブ(10d)の前記入力軸(11)から離れる一端面は、前記出力軸接続プレート(21P)に固定して接続し、前記出力軸接続プレート(21P)は、前記出力軸(21)に固定して取り付けられており、
前記透磁性動力伝達板(10q)は、透磁性動力伝達板の中心インナーハブ(10qa)の支持孔を介して前記主動軸(10Z)の軸頸に固定して取り付けられ、前記透磁性動力伝達板(10q)には、透磁性動力伝達板の外板(10qb)が設けられており、前記透磁性動力伝達板の外板(10qb)は、前記摩擦駆動端面(10ga)に近接する一端面が、前記予圧スプリング(10i)の作用で前記摩擦駆動端面(10ga)と一定のエアギャップを維持し、前記透磁性動力伝達板の外板(10qb)の他端面と前記ブラシレス電磁石(1WT)の磁極端面(1WTa)は、常に、一定のエアギャップを維持し、
前記ブラシレス電磁石(1WT)の電磁コイルに通電しない状態において、前記予圧スプリング(10i)の弾力作用で、前記ドライブバイワイヤによるドライブプレート(10g)とクラッチケースに固定されたブレーキプレート(10f)とを接合させ、前記ドライブバイワイヤによるドライブプレート(10g)とブレーキプレート(10f)とが接合した後の両者間の摩擦力により、前記ドライブバイワイヤによるドライブプレート(10g)及び前記遠心ボールアームの空心ホイールディスク(10j)の回転が規制され、遠心ボールアーム用リターンスプリング(10p)の捩り作用で、前記遠心ボールアーム(10l)を、前記遠心ボール(10m)と共に径方向内側へ戻すことにより、前記ブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置(10)が前記従動スプラインドハブ(10d)に動力を伝達しない分離状態となり、
前記ブラシレス電磁石(1WT)の前記電磁コイルに通電した状態において、前記ブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置(10)は動作し、前記ブラシレス電磁石(1WT)による電磁吸引力が、前記透磁性動力伝達板(10q)を経って前記ドライブバイワイヤによるドライブプレート(10g)に伝達し、前記ドライブバイワイヤによるドライブプレート(10g)が、前記予圧スプリング(10i)の弾力作用を克服して前記ブラシレス電磁石(1WT)方向へ移動して、前記ドライブバイワイヤによるドライブプレート(10g)の前記摩擦駆動端面(10ga)と前記透磁性動力伝達板(10q)の一端面とを接合させ、両者が接合することにより発生した摩擦力の作用で、前記遠心ボールアームの空心ホイールディスク(10j)を回転させ、前記遠心ボールアームの空心ホイールディスク(10j)によって、前記遠心ボールアーム(10l)を回転させると共に、遠心力の作用で、前記遠心ボールアーム(10l)が、前記遠心ボールアームピン(10k)を中心として径方向外側へ広がり、前記遠心ボールソケット(10r)が設けられる一端が、前記遠心ボール(10m)を駆動して前記押しプレッシャープレート(10c)の前記平滑面(10ca)に沿って径方向外側で円周運動させることにより前記遠心ボールアーム(10l)と前記遠心ボール(10m)に遠心力を発生させ、当該遠心力の前記遠心ボールアームの空心ホイールディスク(10j)の中心軸方向に沿う分力が、前記押しプレッシャープレート(10c)を、推進して前記遠心ボールアームの空心ホイールディスク(10j)から離れて軸方向に移動させ、前記押しプレッシャープレート(10c)を、それぞれの外スプライン溝付きの鋼板(10b)とそれぞれの内スプライン溝付きの摩擦板(10a)とを相互に押し締め、それぞれの前記外スプライン溝付きの鋼板(10b)とそれぞれの前記内スプライン溝付きの摩擦板(10a)との間の摩擦力により、前記従動スプラインドハブ(10d)が前記入力軸(11)と同期して回転する接合状態となる、ことを特徴とするブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置の電磁クラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチに関し、より正確的には、ブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置の電磁クラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電磁クラッチは、摩擦板式電磁クラッチ、つめ電磁クラッチ、磁気粉末クラッチ、滑り電磁クラッチなどに分かれている。摩擦板式電磁クラッチは、接合するとき、電磁コイルの通電による電磁力で主動摩擦板と従動摩擦板を押し締めることにより発生した摩擦力でトルクを伝達し、大きなトルクを伝達するとき、必ず、入力ディスク及び従動ディスクの径方向のサイズを増大し、電磁コイルの通電電流を増加し、主動摩擦板及び従動摩擦板の枚数を増加する必要があり、そのため、体積が大きく、回転速度が遅く、電力消耗が大きい欠点がある。つめ電磁クラッチは、伝送トルクが大きく、接合するとき回転速度差が低く要求され、電力消耗が大きいという欠陥がある。磁気粉末クラッチは、応答が速く、電流の大きさに応じて精度の微調整を実現したが、電力消耗が大きく、滑りが大きいときに温度が上昇し、コストが高いなどの欠点がある。滑り電磁クラッチは、作動するとき、駆動部分と従動部分は、ある回転速度差があるだけでトルクを伝達し、かつロータにおける渦流が熱を生じ、当該熱と回転速度差には正比例の関係がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来の電磁クラッチの不足を克服し、伝達トルクが大きく、回転速度が速く、電力消耗が少なく、構成が新規であるブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置の電磁クラッチを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は下記の技術案により実現される。
【0005】
ブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置の電磁クラッチは、入力軸と、出力軸と、出力軸接続プレートと、ブラシレス電磁石とを含む。
【0006】
ブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置の電磁クラッチは、ブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置をさらに含む。
【0007】
前記ブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置は、押しプレッシャープレートと、従動スプラインドハブと、ドライブバイワイヤによるドライブプレートと、予圧スプリングと、遠心ボールアームの空心ホイールディスクと、遠心ボールアームピンと、遠心ボールアームと、遠心ボールと、透磁性動力伝達板と、遠心ボールソケットと、主動軸とを含む。
【0008】
前記主動軸の一端は、入力軸の一端に固定して接続している。前記遠心ボールアームの空心ホイールディスクは、軸受けを介して主動軸の中間軸頸に支持して取り付けられ、前記遠心ボールアームの空心ホイールディスクは、入力軸に近接する一端の外円周面には、遠心ボールアームの空心ホイールディスクの外スプライン溝が設けられている。前記ドライブバイワイヤによるドライブプレートは、その内スプライン溝により遠心ボールアームの空心ホイールディスクの外スプライン溝に嵌着され、前記予圧スプリングは、遠心ボールアームの空心ホイールディスクの外スプライン溝の末端とドライブバイワイヤによるドライブプレートの内側端面との間に設けられている。前記ドライブバイワイヤによるドライブプレートは、入力軸に近接する一端面には、さらに、摩擦駆動端面が設けられている。前記遠心ボールアームの空心ホイールディスクは、入力軸から離れる他端には、周向に均一に分布される複数の遠心ボールアーム用の支持台が設けられており、それぞれの前記遠心ボールアーム用の支持台には遠心ボールアームピンが固定して取り付けられている。前記遠心ボールアームの一端は、その滑らかな支持孔を介して遠心ボールアームピンの中間軸頸に嵌着され、前記遠心ボールアームは、遠心ボールアームピン周りに回動自在である。前記遠心ボールアームの他端には遠心ボールソケットが設けられ、それぞれの前記遠心ボールソケットには遠心ボールが取り付けられ、それぞれの前記遠心ボールは、遠心ボールソケットに自由に転がることができる。
【0009】
前記押しプレッシャープレートの一端面は、平滑面である。それぞれの前記遠心ボールは、押しプレッシャープレートの平滑面に当接している。前記押しプレッシャープレートの外円周面には、さらに、外スプライン溝が設けられ、前記押しプレッシャープレートの外スプライン溝と従動スプラインドハブの内スプライン溝は、軸方向に摺動接合している。前記従動スプラインドハブの入力軸から離れる一端面は、出力軸接続プレートに固定して接続し、前記出力軸接続プレートは、出力軸に固定して取り付けられている。
【0010】
前記透磁性動力伝達板は、透磁性動力伝達板の中心インナーハブの支持孔を介して主動軸の軸頸に固定して取り付けられている。前記透磁性動力伝達板には透磁性動力伝達板の外板が設けられており、前記透磁性動力伝達板の外板は、摩擦駆動端面に近接する一端面が、予圧スプリングの作用で摩擦駆動端面と一定のエアギャップを維持し、前記透磁性動力伝達板の外板の他端面とブラシレス電磁石の磁極端面は、常に、一定のエアギャップを維持する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、既存技術に比べて、以下のメリットを有する。
本発明に係るブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置の電磁クラッチは、快速運転するとき、それぞれの遠心ボールアームと遠心ボールは、遠心力を発生し、それぞれの遠心ボールアームと遠心ボールは、遠心力の作用で、遠心ボールアームピン周りに押しプレッシャープレートの平滑面に沿って外へ円周運動し、上記遠心力の遠心ボールアームの空心ホイールディスクの中心軸方向に沿う分力は、押しプレッシャープレートを推進してそれぞれの外スプライン溝付きの鋼板とそれぞれの内スプライン溝付きの摩擦板とを相互に押し締め、クラッチの接合を実現し、クラッチ接合が安定であり、衝撃なく、快速運転に適合し、伝達トルクが大きく、ブラシレス電磁石を採用することにより、その作動寿命を向上させることに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施例に係るブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置の電磁クラッチの構成模式図である。
図2図2は、本発明の実施例に係るブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置の電磁クラッチの通電接合状態の構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例における図面を結び合わせて、本発明の実施例における技術案を詳しく説明する。明らかに、説明した実施例は、本発明の一部の実施例のみであり、すべての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者は、進歩性に値する労働をしない前提で取得したすべての他の実施例は、いずれも、本発明の保護しようとする範囲に含まれる。
【0014】
図1に示すように、本発明に係るブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置の電磁クラッチは、入力軸11、出力軸21、出力軸接続プレート21P、ブラシレス電磁石1WT、ブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置10を含む。
【0015】
ブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置10は、内スプライン溝付きの摩擦板10a、外スプライン溝付きの鋼板10b、押しプレッシャープレート10c、従動スプラインドハブ10d、従動スプラインドハブのエンドカバー10e、ブレーキプレート10f、ドライブバイワイヤによるドライブプレート10g、予圧スプリング10i、遠心ボールアームの空心ホイールディスク10j、遠心ボールアームピン10k、遠心ボールアーム10l、遠心ボール10m、遠心ボールアーム用リターンスプリング10p、透磁性動力伝達板10q、遠心ボールソケット10r、主動軸10Zを含む。
【0016】
内スプライン溝付きの摩擦板10aは、その内スプライン溝により主動軸10Zの外スプライン溝に嵌着される。主動軸10Zの一端は、スプラインにより入力軸11に固定して接続し、他端は、軸受けを介して出力軸21の前部軸頸に接続している。遠心ボールアームの空心ホイールディスク10jは、軸受けを介して主動軸10Zの中間軸頸に支持して取り付けられ、遠心ボールアームの空心ホイールディスク10jは、入力軸11に近接する一端の外円周面には、遠心ボールアームの空心ホイールディスクの外スプライン溝10jaが設けられ、ドライブバイワイヤによるドライブプレート10gは、その内スプライン溝により遠心ボールアームの空心ホイールディスクの外スプライン溝10jaに嵌着されている。遠心ボールアームの空心ホイールディスク10jは、入力軸11から離れる他端には、周向に沿って均一に分布される複数の遠心ボールアーム用の支持台が設けられており、それぞれの遠心ボールアーム用の支持台には遠心ボールアームピン10kが固定して取り付けられている。遠心ボールアーム10lの一端は、その滑らかな支持孔を介して遠心ボールアームピン10kの中間軸頸に嵌着され、遠心ボールアーム10lは、遠心ボールアームピン10k周りに回動自在であり、遠心ボールアーム10lの他端には遠心ボールソケット10rが設けられ、それぞれの遠心ボールソケット10rには遠心ボール10mが取り付けられ、それぞれの遠心ボール10mは、遠心ボールソケット10rに自由に転がることができる。押しプレッシャープレート10cの一端面は、平滑面10caであり、押しプレッシャープレート10cの他端面は、粗い摩擦面であり、それぞれの遠心ボール10mは、押しプレッシャープレート10cの平滑面10caに当接している。押しプレッシャープレート10cの外円周面には、さらに、外スプライン溝が設けられ、押しプレッシャープレート10cの外スプライン溝と従動スプラインドハブ10dの内スプライン溝は、軸方向に摺動接合している。従動スプラインドハブ10dの入力軸11に近接する一端は、ボルトを介して従動スプラインドハブのエンドカバー10eに固定して接続し、入力軸11から離れる一端は、出力軸接続プレート21Pに固定して接続し、外スプライン溝付きの鋼板10bは、その外スプライン溝により従動スプラインドハブ10dの内スプライン溝に嵌着される。出力軸接続プレート21Pは、出力軸21に固定して取り付けられている。ブレーキプレート10f及びブラシレス電磁石1WTは、いずれも、非透磁材料によりクラッチケースに固定して取り付けられ、ドライブバイワイヤによるドライブプレート10gは、ブレーキプレート10fとブラシレス電磁石1WTとの間に位置している。ドライブバイワイヤによるドライブプレート10gは、入力軸11に近接する一端面には、さらに、摩擦駆動端面10gaが設けられている。透磁性動力伝達板10qは、透磁性動力伝達板の中心インナーハブ10qaの支持孔を介して主動軸10Zの軸頸に固定して取り付けられている。透磁性動力伝達板10qには透磁性動力伝達板の外板10qbが設けられており、透磁性動力伝達板の外板10qbは、摩擦駆動端面10gaに近接する一端面が、予圧スプリング10iの作用で摩擦駆動端面10gaと一定のエアギャップを維持し、透磁性動力伝達板の外板10qbの他端面とブラシレス電磁石1WTの磁極端面1WTaは、常に、一定のエアギャップを維持している。
【0017】
以下、図1及び図2を参照しながら、本発明の実施例に係るブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置の電磁クラッチの作動原理を説明する。
【0018】
ブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置の電磁クラッチが分離状態にあるとき、図1に示すように、電磁コイルが通電せず、予圧スプリング10iの弾力作用で、ドライブバイワイヤによるドライブプレート10gとブレーキプレート10fとを接合させ、ブレーキプレート10fは、クラッチケースに固定され、そのため、ドライブバイワイヤによるドライブプレート10gとブレーキプレート10fとが接合した後の両者間の摩擦力により、ドライブバイワイヤによるドライブプレート10gと遠心ボールアームの空心ホイールディスク10jとの回転速度は、零である。遠心ボールアーム用リターンスプリング10pの捩り作用で、遠心ボールアーム10lは、遠心ボール10mと共に内へ戻し、このようにして、ブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置10は、動力を伝達しなく、クラッチが分離状態にある。
【0019】
ブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置の電磁クラッチが接合するとき、図2に示すように、電磁コイルは通電し、ブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置10は動作し、ブラシレス電磁石1WTの電磁コイルが通電された後、ブラシレス電磁石1WTによる電磁吸引力は、透磁性動力伝達板10qを経ってドライブバイワイヤによるドライブプレート10gに伝達し、それにより、ドライブバイワイヤによるドライブプレート10gは、予圧スプリング10iの弾力作用を克服してブラシレス電磁石1WT方向へ移動して、ドライブバイワイヤによるドライブプレート10gの摩擦駆動端面10gaと透磁性動力伝達板10qの一端面とを接合させ、両者が接合することにより発生した摩擦力の作用で、遠心ボールアームの空心ホイールディスク10jを回転させ、遠心ボールアームの空心ホイールディスク10jは、各遠心ボールアーム10lを回転させると共に、遠心力の作用で、各遠心ボールアーム10lは、遠心ボールアームピン10k周りに外へ広がり、それにより遠心ボールソケット10rが設けられる一端は、遠心ボール10mを駆動して押しプレッシャープレート10cの平滑面10caに沿って外へ円周運動させ、それにより遠心ボールアーム10lと遠心ボール10mに遠心力を発生させ、当該遠心力の遠心ボールアームの空心ホイールディスク10jの中心軸方向に沿う分力は、押しプレッシャープレート10cを推進して遠心ボールアームの空心ホイールディスク10jから離れて軸方向移動させる。それにより、押しプレッシャープレート10cは、それぞれの外スプライン溝付きの鋼板10bとそれぞれの内スプライン溝付きの摩擦板10aとを相互に押し締め、それぞれの外スプライン溝付きの鋼板10bとそれぞれの内スプライン溝付きの摩擦板10aとの間の摩擦力により、従動スプラインドハブ10dが入力軸11と同期回転し、それによりクラッチの接合を完了する。
【0020】
以上、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳しく説明したが、本発明は、上記実施形態に限定しない。当業者の知識範囲に、本発明の要旨を逸脱しない前提で各種の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0021】
1WT ブラシレス電磁石
1WTa 磁極端面
11 入力軸
21 出力軸
21P 出力軸接続プレート
10 ブラシレスのドライブバイワイヤによる遠心ボールアーム接合装置
10a 内スプライン溝付きの摩擦板
10b 外スプライン溝付きの鋼板
10c 押しプレッシャープレート
10ca 平滑面
10d 従動スプラインドハブ
10e 従動スプラインドハブのエンドカバー
10f ブレーキプレート
10g ドライブバイワイヤによるドライブプレート
10ga 摩擦駆動端面
10i 予圧スプリング
10j 遠心ボールアームの空心ホイールディスク
10ja 遠心ボールアームの空心ホイールディスクの外スプライン溝
10k 遠心ボールアームピン
10l 遠心ボールアーム
10m 遠心ボール
10p 遠心ボールアーム用リターンスプリング
10q 透磁性動力伝達板
10qa 透磁性動力伝達板の中心インナーハブ
10qb 透磁性動力伝達板の外板
10r 遠心ボールソケット
10Z 主動軸
図1
図2