(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0036] 以下の詳細な説明では、開示するシステムおよび方法の様々な特徴および動作を添付の図を参照して説明する。本明細書で説明する例示的なシステムおよび方法実施形態は、制限することを意図していない。開示するシステムおよび方法のある態様は、多岐にわたる異なる構成で配置および組み合わせることができ、その全てが本明細書で企図されることが容易に理解され得る。
【0011】
I.概要
[0037] 本出願は、位置、力、および/またはトルクを測定するための装置および技術に関連する実施態様を開示する。1つのタイプの力およびトルクセンサーは、光を粘弾性ドームの反射内表面に投影し得、粘弾性ドームは外力を受けると変形し得る。粘弾性ドームの変形は、反射内表面上に投影された光の反射パターンを変化させ得る。この変形の特性を感知することにより、センサーは、粘弾性ドームに印加された力を推定し得る。しかし、かかる変形ベースの力感知の精度は、その表面への力の印加によって生じた応力を被る粘弾性材料の性能に依存する。
【0012】
[0038] 粘弾性材料は、ヒステリシスおよびクリープ(creep)の影響を受けやすい。従って、粘弾性材料に対する力の印加と、その力によって引き起こされる結果として生じた変形との間に時間遅延が存在し得る。その上、粘弾性材料は、経時的に永久的に変形し得、変形に基づく力センサーは、それらが使用されるにつれて次第に不正確になり得る。
【0013】
[0039] 本明細書で開示する実施態様は、粘弾性変形ではなく、反射表面の平行移動に基づく力およびトルクの感知を伴う。いくつかの場合には、反射表面は、粘弾性材料のヒステリシスおよびクリープ制限を取り除くか、または著しく軽減する、弾性またはばね要素(例えば、非粘弾性フレキシャ(flexure))に連結され得る。非粘弾性フレキシャを備えた平行移動ベースの力およびトルクセンサーは、より迅速な力感知を可能にし得、連続使用を通して信頼性および精度をより良く維持し得る。
【0014】
[0040] 感知装置例は、発光体、湾曲した反射器、および3つ以上の光検出器を含む。発光体は、湾曲した反射器に向かって光を投影し得、湾曲した反射器は次いで、その反射した光の一部を3つ以上の光検出器に向かって反射し得る。各光検出器は、その光検出器への入射光の照度を測定し得る。測定された照度に基づいて、湾曲した反射器の位置および/または湾曲した反射器に対して印加された力のベクトルが決定され得る。
【0015】
[0041] 本明細書で説明するように、「照度(illuminance)」は、表面に入射する総光束を指し得る。光検出器は、感光性領域を含み得、感光性領域は、その感光性領域への入射光の照度を比例した電流、電圧、静電容量、または充電に変換する。発光体−発光ダイオード、レーザー、または他の光源など−は、照度の総量を放出し得、それは、「照度発散度(illuminance exitance)」と呼ばれ得る。照度発散度の量は、湾曲した反射器に向けられて、それに入射し得る。湾曲した反射器は、その入射光の一部を1つ以上の光検出器の感光性領域に向かって反射し得る。
【0016】
[0042] 各光検出器によって測定される照度は、湾曲した反射器の位置に依存する。湾曲した反射器が発光体に対して移動すると、光検出器に向かって反射された光の分布(本明細書では「照度分布」とも呼ばれる)が変化する。光検出器は、発光体に対して複数の位置で照度値を捕捉し得、それらから照度分布が推測または推定され得る。
【0017】
[0043] 湾曲した反射器は、プラットフォーム、板、プレート、または他の物体などの、可動構造の表面に取り付けられるか、または他の方法で連結され得る。可動構造に対して力が印加されると、それは、1つ以上の自由度で平行移動し得、湾曲した反射器を静止位置から変位させる。この平行移動は、光検出器によって測定される照度分布を変化させ得る。この照度分布(および/または照度分布における変化)に基づいて、湾曲した反射器の位置が決定され得る。いくつかの場合には、力ベクトル−可動構造に印加された力の大きさおよび方向を表す−は、湾曲した反射器の位置に基づいて決定され得る。可動構造は、非粘弾性材料から成り得、本明細書では「剛構造」とも呼ばれ得、非粘弾性材料から成り得る。非弾性材料は、剛性であって、一般に、外力(少なくとも閾値量の力を下回る力の大きさの範囲内)を受けた場合にその形状を保持する、任意の材料−プラスチック、金属、および他の非粘弾性材料など−であり得る。
【0018】
[0044] いくつかの実施態様では、「湾曲した」反射器は、多面反射物体であり得、そのファセットは集合的に凸状または凹状形状を形成する。一例として、湾曲した反射器は、ミラーボールの一部に類似し得、そのファセットはおおよそ球体の形状を形成する。他の多角形状も、球体、卵形、球形、または球状形状と同様の方法で光を反射および分布するために使用され得る。形状は実施態様の間で、および/または製造制限に起因して変わり得ることを理解すべきである。
【0019】
[0045] いくつかの感知装置は、可動構造に連結された1つ以上のばね要素(例えば、フレキシャ)を含み得る。これらの実施態様では、湾曲した反射器の静止位置(本明細書では「基準位置」とも呼ばれ得る)は、ばね要素が平衡状態にある場合の湾曲した反射器の位置であり得る。可動構造に力が印加されると、その力の大きさおよび方向に比例して、ばね要素が拡張および/または収縮し得る。従って、湾曲した反射器が移動する程度は、ばね要素の特性ならびに、発光体、光検出器、および湾曲した反射器の特定の配置に基づいて、力の方向および大きさに対応し得る。
【0020】
[0046] いくつかの実施態様では、モデルが、照度分布を湾曲した反射器の変位ベクトルと相関させ得る。モデルは、発光体、光検出器、および可動面の寸法および配置を組み込み得る。モデルは、可動面に連結されたばね要素に関する情報(例えば、それらの要素のばね定数)も含み得る。かかるモデルは、コンピューティング装置が、光検出器で測定された照度に基づいて、湾曲した反射器の位置を計算または推定するのを可能にし得る。モデルは、コンピューティング装置が、湾曲した反射器の推定された位置およびばね要素の既知の特性に基づいて、可動構造に対して印加された力のベクトルを決定するのも可能にし得る。
【0021】
[0047] いくつかの実施態様では、本明細書で説明するものなどの感知装置は、その特定の感知装置の挙動をモデル化するために、一連の制御試験を受け得る。これらの試験は、本明細書では「較正(calibration)」と呼ばれ得る。較正中、特定の感知装置は、既知の力(既知の方向および既知の大きさをもつ)を受け得、光検出器によって測定された照度値が記録され得る。照度値のセットを既知の力と相関させるこのステップは、様々な大きさおよび方向の既知の力に対して繰り返され得る。
【0022】
[0048] かかる較正プロセスは、較正データを生成し得、較正データは、湾曲した反射器の位置、可動構造に印加された力のベクトル、および/または可動構造に印加されたトルクのベクトルを決定するための基礎となり得る。例えば、コンピューティング装置は、測定された照度値および較正データセットに基づいて、力ベクトルを概算または推定するために、線形回帰(または他のタイプの回帰)分析を採用し得る。別の例として、較正データは、コンピューティング装置が、湾曲した反射器の変位ベクトルに基づいて力および/またはトルクベクトルを決定できるようにする変換行列を生成するために使用され得る。
【0023】
[0049] いくつかの実施態様では、回帰分析(例えば、最小二乗アプローチを使用)は、較正データに基づいて変換行列を決定することを伴う。変換行列は、照度値を、位置もしくは変位値、力値、またはトルク値に変換するために使用され得る。一旦、変換行列または複数の行列が決定されると、それらはメモリ内に格納されて、センサーの作動中に使用され得る。言い換えれば、動作中に位置、力、および/またはトルクを決定することは、1つ以上の予め決定された変換行列を適用することを伴い得る。
【0024】
[0050] 線形回帰を使用して変換行列を決定することは、力およびトルクセンサーをモデル化するための1つの技術例である。他の実施形態では、統計モデル、機械学習ツール、ニューラルネットワーク、および他の非線形モデルが、照度値(例えば、光検出器電圧に基づく)と、力およびトルクセンサーにおける力またはトルク値との間の関係をモデル化するために使用され得る。較正中に収集されたデータは、かかる機械学習モデルを訓練するために使用され得る。例えば、較正は、照度値を捕捉すること、およびそれらに既知の力またはトルク値でラベルを付けることを伴い得る。ラベル付けされた照度値は、力およびトルクセンサーのモデルを開発するために機械学習ツールに提供され得る。一旦、決定されると、モデルは格納されて、センサーに対して印加された力および/またはトルクの値を推定するために、センサーの作動中に使用され得る。
【0025】
[0051] 本明細書で説明する感知装置は、プロセッサおよびメモリ装置を備えたコンピューティング装置を含み得る。メモリ装置は、モデルおよび/または較正データを、プログラム命令および他の情報と共に、その中に格納し得る。プロセッサは、可動面に印加された力のベクトルを決定または推定するために、照度測定値を光検出器から受信して、それらをモデルおよび/または他の計算もしくは数学的プロセスに適用し得る。
【0026】
[0052] いくつかの実施態様では、感知装置は、可動構造に連結された複数の湾曲した反射器、複数の発光体、および光検出器の複数のクラスタを含み得る。静止時には(例えば、可動構造が力を受けていない場合)、各湾曲した反射器は、それぞれの発光体および光検出器のそれぞれのクラスタに対応し得る。しかし、可動構造が力を受けると、可動構造は1つ以上の空間次元において(例えば、x軸、y軸、およびz軸に沿って)平行移動し得、また、1つ以上の角度寸法において回転(例えば、ロール、ピッチ、およびヨー回転)もし得る。可動構造が平行移動するが、回転しない場合、各湾曲した反射器のそのそれぞれの発光体に対する相対位置は、各湾曲した反射器に対して同じであり得る。しかし、可動構造が回転する(例えば、ロール、ピッチ、および/またはヨー回転する)場合、各湾曲した反射器のそのそれぞれの発光体に対する相対位置は、各湾曲した反射器に対して異なり得る。従って、可動構造の角変位は、光検出器の各クラスタに対して異なる照度分布を生じ得る。
【0027】
[0053] かかる実施態様では、照度分布のセット(例えば、光検出器の各クラスタに対する分布)は、トルクベクトルに対応して、可動構造に印加された力(複数可)によって生じたトルクの大きさおよび方向を表し得る。例えば、下向きの力が可動構造の縁部に印加されると、可動構造はロールまたはピッチ回転し得る。横向きの力(または横方向成分をもつ力)が可動構造に印加されると、可動構造はヨー回転し得る。モデル−感知装置の既知の構成に基づくか、または較正データに基づくかのいずれか−は、照度分布のセット(または照度測定値のセット)をトルクベクトルと相関させ得る。複数の湾曲した反射器、発光体、および光検出器のクラスタを備えた感知装置に対する較正プロセスは、感知装置に既知のトルクを受けさせて、光検出器のクラスタからの照度測定値を捕捉し得る。この実施態様では、感知装置は、力および/またはトルクを6つの自由度(DOF)で測定し得る。
【0028】
[0054] 本明細書で説明する力およびトルク感知装置は、様々な用途で使用され得る。例えば、それらは、ロボットの指または他のロボットの付属肢内に組み込まれて、その器用さおよび感覚能力を改善し得る。ロボットは、その指を使って物体を掴むことを要求する、細心の注意を要するタスクを実行するように制御または指示され得る。本出願の高精度で高速感知の力およびトルクセンサーは、ロボットが把持力を正確に感知できるようにして、それらの把持力における変化にロボットが迅速に対応できるようにするために使用され得る。この情報を使用すると、ロボットは精密な動作を実行して所望のタスクを達成することが可能であり得る。
【0029】
II.ロボットシステム例
[0055]
図1は、本明細書で説明する実施態様に関連して使用され得るロボットシステムの構成例を示す。ロボットシステム100は、ロボットアーム、異なるタイプのロボットマニピュレータであり得るか、またはいくつかの異なる形を取り得る。追加として、ロボットシステム100は、とりわけ、ロボット装置、ロボットマニピュレータ、またはロボットとも呼ばれ得る。
【0030】
[0056] ロボットシステム100は、プロセッサ(複数可)102、データ記憶104、プログラム命令106、コントローラ108、センサー(複数可)110、電源(複数可)112、アクチュエータ(複数可)114、および可動構成要素(複数可)116を含むことが示されている。ロボットシステム100は、本発明の範囲から逸脱することなく、追加の構成要素を含み、かつ/または1つ以上の構成要素が取り除かれ得るので、ロボットシステム100は、例示のためにだけ示されていることに留意されたい。さらに、ロボットシステム100の様々な構成要素は、任意の方法で接続され得ることに留意されたい。
【0031】
[0057] プロセッサ(複数可)102は、汎用プロセッサまたは専用プロセッサ(例えば、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路など)であり得る。プロセッサ(複数可)102は、データ記憶104内に格納されて、本明細書で説明するロボットシステム100の機能を提供するために実行可能である、コンピュータ可読プログラム命令106を実行するように構成できる。例えば、プログラム命令106は、コントローラ108の機能を提供するために実行可能であり得、コントローラ108は、アクチュエータ114に1つ以上の可動構成要素(複数可)116の運動を引き起こすことを指示するように構成され得る。
【0032】
[0058] データ記憶104は、プロセッサ(複数可)102によって読み取ることができるか、またはアクセスできる1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体を含むか、またはその形を取り得る。1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体は、光、磁気、有機もしくは他のメモリまたはディスク記憶などの、揮発性および/または不揮発性記憶構成要素を含むことができ、全体または一部において、プロセッサ(複数可)102に統合できる。いくつかの実施形態では、データ記憶104は、単一の物理装置(例えば、1つの光、磁気、有機もしくは他のメモリまたはディスク記憶装置)を使用して実装でき、他方、他の実施形態では、データ記憶104は、2つ以上の物理装置を使用して実装できる。さらに、コンピュータ可読プログラム命令106に加えて、データ記憶104は、他の可能性の中で、診断データなどの追加データを含み得る。
【0033】
[0059] ロボットシステム100は、他の可能性の中で、力センサー、近接センサー、動きセンサー、負荷センサー、位置センサー、タッチセンサー、深度センサー、超音波距離センサー、および赤外線センサーなどの、1つ以上のセンサー(複数可)110を含み得る。センサー(複数可)110は、センサーデータをプロセッサ(複数可)102に提供して、ロボットシステム100の環境との適切な相互作用を可能にし得る。追加として、センサーデータは、以下でさらに説明するように、フィードバックを提供するための様々な要因の評価において使用され得る。さらに、ロボットシステム100は、ロボットシステム100の様々な構成要素に電力を提供するように構成された1つ以上の電源(複数可)112も含み得る。例えば、ガソリンエンジンまたは電池などの、任意のタイプの電源が使用され得る。
【0034】
[0060] ロボットシステム100は、1つ以上のアクチュエータ(複数可)114も含み得る。アクチュエータは、機械的な動きを導入するために使用され得る機構である。具体的には、アクチュエータは、貯蔵されたエネルギーを1つ以上の構成要素の動きに変換するように構成され得る。アクチュエータに動力を供給するために様々な機構が使用され得る。例えば、アクチュエータは、他の可能性の中で、化学物質、圧縮空気、または電気によって動力供給され得る。いくつかの場合には、アクチュエータは、回転形式の動きを伴うシステムにおいて使用され得る回転式アクチュエータ(例えば、ロボットシステム100における接合部(joint))であり得る。他の場合には、アクチュエータは、直線運動を伴うシステムにおいて使用され得る線形アクチュエータであり得る。
【0035】
[0061] いずれの場合でも、アクチュエータ(複数可)114は、ロボットシステム100の様々な可動構成要素(複数可)116の動きを引き起こし得る。可動構成要素(複数可)116は、とりわけ、ロボットアーム、脚、および/またはハンドなどの付属肢を含み得る。可動構成要素(複数可)116は、とりわけ、可動基部、車輪、および/またはエンドエフェクタも含み得る。
【0036】
[0062] いくつかの実施態様では、コンピューティングシステム(図示せず)が、ロボットシステム100に結合され得、ユーザーからの入力を、グラフィカルユーザーインタフェース経由などで、受信するように構成され得る。このコンピューティングシステムは、ロボットシステム100内に組み込まれ得るか、またはロボットシステム100と(有線または無線)通信可能な外部コンピューティングシステムであり得る。そのため、ロボットシステム100は、他の可能性の中で、グラフィカルユーザーインタフェースでのユーザー入力に基づいて、および/またはロボットシステム100上でのボタンの押下(または触覚入力)によって受信されたユーザー入力に基づいてなど、情報および命令を受信し得る。
【0037】
[0063] ロボットシステム100は、様々な形を取り得る。説明のため、
図2は、ロボットアーム例200を示す。図のように、ロボットアーム200は、基部202を含み、基部202は固定基部であり得るか、または可動基部であり得る。可動基部の場合、基部202は、可動構成要素(複数可)116の1つとして考えられ得、アクチュエータ(複数可)114の1つ以上によって動力供給される、車輪(図示せず)を含み得、それは、ロボットアーム200全体の可動性を可能にする。
【0038】
[0064] 追加として、ロボットアーム200は、各々がアクチュエータ(複数可)114の1つ以上に連結された接合部204A〜204Fを含む。接合部204A〜204F内のアクチュエータは、付属肢206A〜206Fおよび/またはエンドエフェクタ208など、様々な可動構成要素(複数可)116の動きを引き起こすように動作し得る。例えば、接合部204F内のアクチュエータは、付属肢206Fおよびエンドエフェクタ208の動きを引き起こし得る(すなわち、エンドエフェクタ208は付属肢206Fに連結されているため)。さらに、エンドエフェクタ208は、様々な形を取り得、様々な部品を含み得る。一例では、エンドエフェクタ208は、本明細書に示すような指グリッパ、または吸着グリッパなどの異なるタイプのグリッパなどの、グリッパの形を取り得る。別の例では、エンドエフェクタ208は、ドリルまたはブラシなどのツールの形を取り得る。さらに別の例では、エンドエフェクタは、力センサー、位置センサー、および/または近接センサーなどのセンサーを含み得る。他の例も可能であり得る。
【0039】
[0065] 一実施態様例では、ロボットアーム200などの、ロボットシステム100は、教示モードで動作可能であり得る。具体的には、教示モードは、ユーザーがロボットアーム200と物理的にやり取りして、ロボットアーム200を、様々な動きの実行および記録へと導くことができるようにする、ロボットアーム200の動作モードであり得る。教示モードでは、特定のタスクの実行方法に関してロボットシステムに教示することを意図する教示入力に基づいて、外力がロボットシステム100に(例えば、ユーザーによって)印加される。ロボットアーム200は、このようにして、ユーザーからの命令および指導に基づいて特定のタスクを実行する方法に関するデータを取得し得る。かかるデータは、他の可能性の中で、可動構成要素(複数可)116の複数の構成、接合部位置データ、速度データ、加速データ、トルクデータ、力データ、および電力データに関連し得る。
【0040】
[0066] 例えば、教示モード中、ユーザーは、ロボットアーム200の任意の部分を掴んで、ロボットアーム200を物理的に動かすことによって外力を与え得る。具体的には、ユーザーは、ロボットアーム200を、物体を掴み、次いでその物体を第1の位置から第2の位置へ動かすように導き得る。ユーザーがロボットアーム200を教示モード中に導くと、システムはその動きに関連したデータを取得および記録し得、それによりロボットアーム200は、自律動作中の将来に(例えば、ロボットアーム200が教示モード外で独力で動作する場合)、そのタスクを独力で実行するように構成され得る。しかし、外力は、他の可能性の中で、他の物体、機械、および/またはロボットシステムによるなど、物理的ワークスペース内の他のエンティティによっても印加され得ることに留意されたい。
【0041】
[0067]
図3は、エンドエフェクタ320を備えたロボットアーム例300を示す。エンドエフェクタは、可動構造、湾曲した反射器、発光体、光検出器、および/または本明細書で説明する任意の他の構成要素を含む、本明細書で説明するような力およびトルクセンサーの要素を含み得る。エンドエフェクタ320は、それに接触して物体が掴まれる基部として機能する把持プラットフォームを含み得る。
【0042】
[0068] いくつかのロボットアームは、1つ以上の力およびトルクセンサーを含み得、それは、ロボット指または把持プラットフォーム内に埋め込まれ得る。動作中、ロボットアーム300は、力およびトルクセンサーが埋め込まれた2つ以上のロボット指および/または把持プラットフォームの間に物体を配置し得る。ロボットアーム300は、ロボット指および/または把持プラットフォームを一緒に動かして物体を掴み得る。物体は、力およびトルクセンサーに押し付けられ得、力およびトルクセンサーは、その物体を掴むことによって生じた力の量およびその力の方向を測定し得る。測定された力ベクトルは、制御システムに提供され得、制御システムは、ロボットアーム300に、把持を調整させるか、または別の方法でその動作を変更させ得る。
【0043】
[0069] いくつかのロボット付属肢またはマニピュレータは、アームとグリッパとの間に位置付けられた手首を含み得る。本出願の力およびトルクセンサーは、手首内に組み込まれ得、それによりグリッパに対して印加された力およびトルクがセンサーによって測定される。言い換えれば、力およびトルクセンサーは、把持プラットフォームとロボットアームとの間の連結に配置され得る。他の構成も可能である。
【0044】
[0070] ロボット指、把持プラットフォーム、ならびに力およびトルクセンサーの形状、サイズ、および相対配置は、特定の実施態様に応じて異なり得ることに留意されたい。ロボットアーム300は、触覚センサーを含むロボットアームの一構成例を示す。
【0045】
III.力センサー例
[0071] 以下の説明では、感知装置の3つの異なる図を示す。感知装置例は、x−y平面において略同一平面上にあり、基部構造に取り付けられている、発光体(複数可)および光検出器を含む。感知装置例は、可動構造ならびに、z軸に沿って発光体(複数可)および光検出器に面している、その可動構造の表面上に取り付けられた湾曲した反射器(複数可)も含む。可動構造および基部構造は静止時には略平行である。
【0046】
[0072] 動作中、発光体は、光を湾曲した反射器に向かってz方向に投影し得る。放出された光は、照明角度を有し得、そのため、投影された光は、z方向に進むにつれて広がる。その放出された光の一部または全部は、湾曲した反射器に入射し得、湾曲した反射器は、その光の一部または全部を光検出器に向かって反射し得る。反射した光の一部は、光検出器(または光検出器の感光性領域)に到着し得るが、その反射した光の他の部分は、光検出器の非感光性領域、発光体、基部構造、可動構造、または別の構成要素もしくは領域に到着し得る。このように、発光体によって放出された総光束(輝度発散度)のある割合が、光検出器に入射し得る(光検出器の感光性領域での照度)。
【0047】
[0073] 可動構造が平行移動および/または回転すると、湾曲した反射器の位置(x方向、y方向、および/またはz方向における)および配向が、静止位置(例えば、可動構造が外部応力を受けていない場合の湾曲した反射器の基準位置)に対して変化する。湾曲した反射器のこの平行移動および/または回転は、光検出器の各々によって測定される照度を変化させ得る。
図4A〜
図4C、
図5A〜
図5C、および
図6A〜
図6Cは、湾曲した反射器を動かすことによって生じる照度分布における変化例を示す。
【0048】
[0074]
図4A、
図5A、および
図6Aに示す上からの図には、点線の円および太線の円が示されている。点線の円は、湾曲した反射器が基準位置にある場合の湾曲した反射器の「フットプリント」を表す。太線の円は、湾曲した反射器が変更された位置にある場合の湾曲した反射器のフットプリントを表す。(点線の円のサイズに関して)より大きな太線の円は、湾曲した反射器がz方向に光検出器に近づいていることを表し、他方、より小さい太線の円は、湾曲した反射器がz方向に光検出器から遠ざかっていることを表す。
【0049】
[0075]
図4B〜
図4C、
図5B〜
図5C、および
図6B〜
図6Cに示す側面図および斜視図は、基準位置または静止位置における物体(例えば、可動構造)の位置を表す。可動構造におけるか、または可動構造近くの太い矢印は、可動構造に印加された合力のベクトルを表す。合力のベクトルは、合力ベクトルを形成するために結合する2つ以上の別個の力の組合せを表し得ることに留意すべきである。追加として、力ベクトルは、可動構造と接触する別個の物体によって経験された力を表し、そのためその物体によって経験された力が可動構造に伝達され得る。
【0050】
[0076] 示された感知装置のいくつかは、可動構造を直接、基部構造に弾性的に連結するばね要素を示している。この直接連結は、例示を目的としてのみ示されており、ばね要素は、図に示されていない他の構造に連結され得る。追加として、ばね要素は、別個の要素ではない可能性があり、フレキシャなどの、単一のばね要素であり得る。
【0051】
[0077] 追加として、図は、矩形の可動構造および基部構造を有する力センサーを示している。しかし、湾曲した反射器、発光体、および/または光検出器がその上に取り付けられている構造は、本出願の範囲から逸脱することなく、様々な形および幾何形状を取り得る。
【0052】
[0078] 次の説明は、本出願の実施態様例を説明するのに役立つ概念図であることを理解すべきである。図面に明示的に示されているもの以外の他の構成、配置、寸法、および構成要素の組合せが、本出願の力およびトルクセンサーを実装するために使用され得る。図面は、例示目的のために提供されており、原寸に比例していることもあれば、比例していないこともある。
【0053】
A.静止時におけるセンサー
[0079]
図4Aは、静止時における力センサーの側面
図400を示し、
図4Bは、静止時における力センサーの上からの
図450を示し、
図4Cは、静止時における力センサーの斜視
図460を示す。本明細書で説明するように、「静止時(at rest)」は、いかなる外部応力も受けていない力センサーを指し、そのため可動構造410(および湾曲した反射器412)は平衡位置にある。
【0054】
[0080] 力センサーは、相互に略平行に配置された可動構造410および基部構造420を含む。湾曲した反射器412は、基部構造420に面している可動構造410の表面に固定されている。基部構造420は、湾曲した反射器412とz方向に略位置合わせされている発光体422を含み、そのため湾曲した反射器は、上から眺めた場合に発光体と重なり合う。基部構造420は、発光体422に隣接した光検出器424A、424B、424C、および424Dも含む。動作中、発光体422は、光を湾曲した反射器に向かって正のz方向に投影し、湾曲した反射器は、その投影された光(またはその反射した光の少なくとも一部)を光検出器424A〜Dに向かって照度分布426で反射する。力センサーは、可動構造410および基部構造420を弾性的に連結するばね要素430も含む。静止時には、可動構造410と基部構造420との間にz方向変位440がある。
【0055】
[0081] 可動構造410は、任意の剛性物体(例えば、非粘弾性材料から成る)であり得る。可動構造410は、金属またはプラスチックを含む、様々な剛性材料から成り得る。いくつかの実施態様では、可動構造410は、2つ以上の別個の構成要素から成り得る。基部構造420から見て外方に向いている可動構造410の表面は環境にさらされ得、物体との相互作用のため、および/または力を受けるためのインタフェースとして機能し得る。可動構造410または可動構造410の表面は、無反射であり得るか、そうでなければ低レベルの反射率を有し得、そのため、それはその表面への入射光の大部分を吸収する。かかる無反射材料またはコーティングは、湾曲した反射器412からの直接反射ではない光検出器への入射光を防ぐか、またはその量を減らすために使用され得る。
【0056】
[0082] 湾曲した反射器412は、反射材料から成るか、または別の方法で反射性物質でコーティングされている非平面状の表面をもつ任意の物体であり得る。例えば、湾曲した反射器は、反射性金属の湾曲した部品であり得る。別の例として、湾曲した反射器は、反射塗料または顔料でコーティングしたプラスチックの湾曲した部品であり得る。湾曲した反射器は、任意のレベルの反射率(湾曲した反射器によって反射された入射光の割合)を有し得ることに留意されたい。いくつかの実施態様では、湾曲した反射器412は、可動構造とは別個の物体で、締め具、接着剤、または他の固定手段を使用して可動構造410に取り付けられ得る。他の実施態様では、湾曲した反射器412は、可動構造410の突起部または陥凹(indentation)であり得、そのため可動構造410および湾曲した反射器412は、単一の材料から作られる。湾曲した反射器412は、凸状、凹状、またはその何らかの組合せ(例えば、ディンプル面)であり得る。
【0057】
[0083] 基部構造420は、発光体422および光検出器424A〜Dがその上に取り付けられているか、または固定されている表面をもつ任意の剛性物体であり得る。いくつかの実施態様では、基部構造420は、発光体422、光検出器424A〜D、電源、接地、集積回路、プロセッサ、コントローラ、および/または他の可能な構成要素など、様々な構成要素の間に導電結合を提供するプリント回路基板(PCB)であり得る。基部構造はまた、湾曲した反射器412からの直接反射ではない光検出器への入射光を防ぐか、またはその量を減らすために、無反射性物質から成り得るか、または無反射性物質でコーティングされ得る。
【0058】
[0084] 発光体422は、湾曲した反射器に向かって光を投影する任意の光源であり得る。いくつかの実施態様では、発光体422は、特定の波長(または狭帯域内の波長)の光を、特定の照明角度で放出するように動作可能な発光ダイオード(LED)である。発光体422は、発光体422に供給される電圧および/または電流の量に比例した輝度(具体的には、照度発散度)を有する光を放出し得る。発光体422によって放出された光の波長(複数可)は、光検出器424A〜Dが感知できる光の波長(複数可)に対応し得る。例えば、発光体422は、特定の帯域内の赤外光の光を放出し得、光検出器424A〜Dは、その同じ(または略同じ)帯域内の赤外光の光の照度を測定するように動作可能であり得る。発光体422の照度発散度は、発光体422が古くなるにつれて経時的に低下し得る。
【0059】
[0085] 光検出器424A〜Dは、感光性領域への入射光を電圧、電流、静電容量、または充電に変換できる任意の種類の光学センサーであり得る。いくつかの実施態様では、光検出器424A〜Dは、光検出器への入射光の照度に比例した大きさで電流を生じるフォトダイオードまたはフォトトランジスタであり得る。光検出器424A〜Dは、ある帯域の波長の外側の光を減衰させるか、または遮断するための光学フィルタを含み得る。光検出器424A〜Dは、レンズおよび機械的支持構造など、他の構成要素も含み得る。光検出器424A〜Dは、「+」パターンで配置され得、それにより光検出器424Aおよび424Bが1つの軸(図では、y軸)を形成し、光検出器424Cおよび424Dが別の軸(図では、x軸)を形成する。このように配置される場合、光検出器424A〜Dは、照度値を、正および負のxおよびy方向で測定する。
【0060】
[0086] いくつかの実施態様では、湾曲した反射器のx位置およびy位置を決定するために、3つの光検出器が、4番目の光検出器を要求することなく(3つの光検出器が同一線上にない限り)、使用され得ることに留意されたい。一例として、3つの光検出器は三角形に配置されて、発光体422が3つの光検出器によって画定された領域内に設置され得る。本明細書で説明する例では、発光体を取り囲んでいる4つの光検出器が示されているが、湾曲した反射器の位置を3つの自由度(例えば、x軸、y軸、およびz軸)で決定するためには3つの光検出器で十分であることを理解すべきである。
【0061】
[0087] 静止時に、照度分布426は、光検出器424A〜Dの各々が湾曲した反射器412に反射した光のそれぞれの部分によって完全に照射されるようになっている。これは、
図4Aにおいて光検出器424Aおよび424Bの全体にわたって延出する点線の矢印として示されている。照度のこの表現は、例示目的のために提供されており、完全に照射された領域は必ずしも特定の照度レベルに対応しない可能性がある。照度分布は、他の考えられる要因の中で、発光体422によって提供される照射の角度範囲、発光体422の総照度発散度、湾曲した反射器412の反射率、湾曲した反射器412の幾何形状、および湾曲した反射器412の位置を含む、様々な要因によって影響され得ることを理解すべきである。
【0062】
[0088] ばね要素430は、少なくとも可動構造410に連結されている任意の弾性物体であり得る。ばね要素430は、可動構造410を基部構造420と弾性的に連結し得るか、または可動構造410を、図に明示的に示されていない別の固定構造に弾性的に連結し得る。例えば、基部構造420は、筐体にしっかりと固定され得、可動構造410は、ばね要素430によって筐体に弾性的に連結され得る。ばね要素430は、フレキシャなど、弾性的に拡張および/または収縮できる任意の物体であり得る。フレキシャは、例えば、ばね(または減衰されたばね(damped spring))と同様に挙動するプリーツ層(pleated layer)を持つ半剛体材料であり得る。
【0063】
B.下向きの力を受けたセンサー
[0089]
図5A、
図5B、および
図5Cは、それぞれ、下向きの力を受けた力センサーの側面
図500、上からの
図550、および斜視
図560を示す。この例では、「下向き」は、負のz方向における合力を指す。次の例に関して、合力は、可動構造510の中心に印加され、そのため可動構造510は、回転することなく、負のz方向に平行移動する。
【0064】
[0090] この例では、合力ベクトル502を有する力が、可動構造510に対して印加されて、それをその静止位置410(点線の矩形によって示されるとおり)から平行移動させる。この力は、ばね要素430を、その静止長440から圧縮長540まで圧縮する。結果として、湾曲した反射器412と発光体422との間のz方向距離が減少する。
【0065】
[0091] 湾曲した反射器512と発光体422との間のz方向距離を減少させることにより、照度分布は分布426から分布526へ変化する。結果として、湾曲した反射器412に反射して、光検出器424Aおよび424Bに入射した光の一部だけが、光検出器の一区画に到着する。従って、光検出器424Aおよび424Bにおいて測定された照度は、分布426の測定された照度とは異なり得る。湾曲した反射器412に反射した光の残りの部分は、基部構造420および/または発光体422に入射し(かつ、それによって部分的または完全に吸収され)得る。図示していないが、光検出器424Cおよび424Dにおける照度は、光検出器424Aおよび424Bと同様に影響を受け得ることに留意されたい。
【0066】
[0092] 光検出器424A〜Dによって測定された照度値に基づいて、湾曲した反射器412(または可動構造410、それらはしっかりと連結されているので)の基準位置(例えば、湾曲した反射器412の静止位置)に対する位置が決定され得る。基準位置から平行移動された位置への位置におけるこの変化は、変位ベクトルとして表され得、それは、変位の方向および変位の大きさ(距離)を含む。
【0067】
[0093] 湾曲した反射器の変位ベクトルを決定することは、測定された照度値をコンピューティング装置に提供することを伴い得、コンピューティング装置は、それらの照度に関して動作を実行して位置を決定する。例えば、コンピューティング装置は、力センサーのモデルをその上に含み得、それは、照度分布と変位ベクトルとの間の関係を含む。測定された照度は、照度分布(一般に、光が光検出器に反射する方法)のサンプル測定を表し得る。次いで、測定された照度がモデルに提供され得、変位ベクトル(変位の推定された方向および大きさを示す)が出力として提供され得る。この変位出力は次いで、出力として他のコンピューティング装置、制御システムに提供されるか、または可動構造510に対して印加された力のベクトルを決定するための基礎となり得る。
【0068】
[0094] 決定された変位ベクトル(この例では、負のz方向におけるベクトル)に基づいて、コンピューティング装置または他の処理装置は、可動構造に対して印加された負のz方向の力のベクトル502を決定し得る。力センサーのモデルは、変位ベクトルを力ベクトルと相関させ、それにより推定された変位ベクトルを対応する力ベクトルを出力するモデルに提供し得る。変位と力との間のこの関係は、ばね要素430の既知の特性に基づいて決定され得る。例えば、負のz方向における特定の大きさの一定力は、ばね要素430のばね定数に基づいて既知の平衡長に達するまで、ばねを圧縮する。
【0069】
[0095] 変位と力との間の関係は、較正データに基づいても決定され得る。例えば、較正シーケンスでは、湾曲した反射器を既知の方向に既知の距離だけ平行移動し得、試験装置に対して印加された(平行移動に抵抗する)力が測定され得る。代替として、較正シーケンスでは、既知の方向および大きさの力を可動構造410に印加して、光検出器424A〜Dにおける照度を測定し得る。このように、いくつかの実施態様では、変位を明示的に決定する中間ステップが省略され得、力ベクトルは照度測定にだけ基づいて推定または決定され得る。
【0070】
C.横向きの力を受けたセンサー
[0096]
図6A、
図6B、および
図6Cは、それぞれ、横向きの力を受けた力センサーの側面
図600、上からの
図650、および斜視
図660を示す。この例では、「横向き」は、負のy方向における合力を指す。しかし、「横向き」は、x軸に沿った、および/またはy軸に沿った、任意の力または力成分を指し得る。次の例に関して、合力は、可動構造510の正のx方向縁部の中心に印加され、そのため可動構造510は、回転することなく、負のx方向に平行移動する。
【0071】
[0097] この例では、合力ベクトル602を有する力が、可動構造610に対して印加されて、それをその静止位置410(点線の矩形によって示されるとおり)から平行移動させる。この力は、ばね要素430を、その静止長440から拡張長まで拡張させる。結果として、湾曲した反射器412と発光体422との間のx方向距離が、ゼロから距離642まで増加する。
【0072】
[0098] 湾曲した反射器を負のx方向に距離642だけ移動させることにより、照度分布は分布426から分布626へ変化する。結果として、著しく少ない光が湾曲した反射器412に反射して光検出器424Aに入射するが、光検出器424Bは、湾曲した反射器412に反射した光によって完全に照射され続ける。従って、光検出器424Aで測定される照度はゼロ(または略ゼロ)まで減少し得るが、光検出器424Bにおける照度は同じままであり得る(または、湾曲した反射器が光の大部分を光検出器424Bに集中させるかどうかに応じて、場合により増加する)。湾曲した反射器412に反射した光の残りの部分は、基部構造420および/または可動構造610に入射し(かつ、それによって部分的または完全に吸収され)得る。
図6Aには示していないが、光検出器424Cおよび424Dにおける照度も影響を受け得ることに留意されたい。
【0073】
[0099] 光検出器424A〜Dによって測定された照度値に基づいて、湾曲した反射器412の位置−または、より具体的には、負のx方向における距離642を表す変位ベクトル−湾曲した反射器412(または可動構造410、それらはしっかりと連結されているので)の基準位置(例えば、湾曲した反射器412の静止位置)に対する位置が決定され得る。追加として、決定された変位ベクトル(この例では、負のz方向におけるベクトル)に基づいて、コンピューティング装置または他の処理装置が、可動構造に印加された負のx方向の力のベクトル602を決定し得る。
【0074】
[0100] 前述の例では、可動構造を回転させなかった合力が一方向に印加されたことに留意されたい。言い換えれば、力は、正味トルクを生じない角度および方向で印加され、正味トルクは、いくらかの角度変位によって可動構造を回転させ得た。以下の例では、力とトルクの両方を測定可能(例えば、6つのDOFにおける力測定)な力およびトルクセンサー構成を説明する。
【0075】
IV.力およびトルクセンサー例
A.静止時におけるセンサー
[0101]
図7A、
図7B、および
図7Cは、それぞれ、静止時における力およびトルクセンサーの側面
図700、上からの
図750、および斜視
図760を示す。力およびトルクセンサーは、可動構造710に固定された3つの湾曲した反射器712、714、および716を、基部構造720に固定された3つの光学センサー組立体722、724、および726と共に含む。各光学センサー組立体は、光検出器クラスタおよび発光体を含む。
【0076】
[0102] 力およびトルクセンサーは、前述した力センサーと類似し得る。可動構造710は、前述の可動構造410と類似し得るか、または同じであり得る。各湾曲した反射器712、714、および716は、前述の湾曲した反射器412と類似し得るか、または同じであり得る。基部構造720は、前述の基部構造420と類似し得るか、または同じであり得る。各発光体は、前述の発光体422と類似し得るか、または同じであり得る。光検出器クラスタ内の各光検出器は、前述の光検出器424A〜Dと類似し得るか、または同じであり得る。次の図には示されていないが、力およびトルクセンサーは、前述のばね要素430に類似したばね要素も含み得る。
【0077】
[0103] 静止時に、各湾曲した反射器は、前述の湾曲した反射器412および発光体422の静止時位置合わせと同様に、それぞれの光学センサー組立体と略位置合わせされ得る。
【0078】
[0104] 以下では説明されていないが、可動構造710に対して印加された何らかの力は、可動構造710を平行移動させ得る。回転のないかかる平行移動運動は、湾曲した反射器712、714、および716の各々を、同じ方向に同じ量だけ変位させる。結果として、変位および力は、力センサーに関して前述したのと同様の方法で決定され得る。いくつかの実施態様では、可動構造710にトルクを生じない力が可動構造710に対して印加されると決定することは、湾曲した反射器の各々に対する変位を決定すること、およびそれらの変位ベクトルを比較することを伴う。湾曲した反射器の各々に対する変位ベクトルが同じ(または略同じ)である場合、センターはゼロのトルク値を出力し得る。
【0079】
[0105] トルクは、回転軸に接する成分をもつ1つ以上の力の結果として、可動構造710で経験され得るか、または力のモーメント(例えば、合力成分のない「純粋な」モーメント)として経験され得ることに留意されたい。トルク値は、特定の座標系に関連し得、それは様々な方法で定義できる。例えば、座標系は、原点が、3つの湾曲した反射器の重心に置かれるように定義され得、z軸は可動構造710の表面に対して垂直であり、x軸およびy軸は可動構造710の表面と同一平面上にある。この例では、x軸およびy軸はいくつかの方法で配向でき(すなわち、z軸の周りを回転する)、例えば、x軸およびy軸が90度回転する場合、x方向の力として以前に決定された力は、現在、y方向の力と考えられ得る。従って、力ベクトルの方向は特定の座標系に関連し得る。
【0080】
[0106] トルクは、可動構造710に何らかの軸の周りを回転させ得る。座標系は様々な方法で定義され得るので、トルク値は特定の座標系に関連して定義され得る。例えば、トルクは、特定の座標系の配向に応じて、可動構造710を、ピッチ、ロール、またはその何らかの組合せで回転させ得る。1つの座標系では、力はその原点を通って印加されて、その座標系の軸と位置合わせされ得るが、異なる座標系における同じ力は、原点からある程度の距離で、および/または異なる座標系の軸に対して何らかの角度で印加され得る。従って、1つの座標系においてトルクを生じない「純粋な力」は、別の座標系においてトルクを生じ得る。その結果、力またはトルク値の任意の決定は、特定の座標系に関連し得る。
【0081】
[0107] 力およびトルクセンサーに対する変位および力の決定は、力センサーに対する変位および力の決定に類似しているので、その説明は以下で省略される。しかし、力およびトルクセンサーは、可動構造710でトルクを誘発しない力ベクトルを決定するために使用され得ることを理解すべきである。
【0082】
B.下向きの力を受ける
[0108]
図8A、
図8B、および
図8Cは、それぞれ、下向きの力802を受けた力およびトルクセンサーの側面
図800、上からの
図850、および斜視
図860を示す。この例では、下向きの力802は、可動構造810の負のx方向縁部で印加された負のz方向の力である。力802を可動構造810に対して印加すると、可動構造がy軸の周りを回転する(本明細書では「ロール回転」)。従って、可動構造810は、静止位置710に関して傾斜している。
【0083】
[0109] 回転の結果として、湾曲した反射器812は光学センサー組立体722に(z方向に)近づき、湾曲した反射器814は光学センサー組立体724に(z方向に)もっと少ない量だけ近づき、湾曲した反射器816は光学センサー組立体726にさらに少ない量だけ近づく。z方向変位におけるこの差は、
図8Bに示されており、湾曲した反射器812に対するフットプリントは最大の半径を有し、(湾曲した反射器812、814、および816に対するフットプリントに比べて)湾曲した反射器816に対するフットプリントは最小の半径を有する。
【0084】
[0110] 湾曲した反射器812、814、および816の各々に対するz方向変位は異なっているので、回転した可動構造810は、各光学センサー組立体で測定される照度分布に異なって影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、湾曲した反射器812、814、および816の各々に対する変位ベクトル(またはそれぞれの基準位置に関する空間的位置)は、それぞれの照度分布に基づいて決定される。それらの変位ベクトルに基づいて、可動構造810の回転の程度(例えば、角度変位)が決定できる。
【0085】
[0111] 本明細書で説明するように、可動構造の角度変位は、可動構造の基準配向に関する回転配向を表し得る。基準配向は、可動構造が静止時にある間の、可動構造の角度位置であり得る。可動構造の回転配向は、力を受けた場合の可動構造の角度位置であり得る。角度変位は、大きさと方向を有するとして表され得る。方向は、可動構造がその周りを回転する軸を指定し得、他方、大きさは、可動構造のその軸の周りの回転を(例えば、弧度または度で)指定し得る。
【0086】
[0112] 湾曲した反射器812、814、および816に対する変位ベクトル(または推定された角度変位)に基づいて、可動構造に印加された力によって生じるトルクが決定できる。いくつかの実施態様では、トルクベクトルは明示的に決定されない可能性があり、代わりに、力ベクトルおよびそれが可動構造810に印加される位置が決定され得る。力およびトルクセンサーは、力ベクトルおよびその印加位置を出力し得、それらから別個の処理装置がトルクベクトルを決定し得る。
【0087】
[0113] 他の実施態様では、トルクベクトルは、湾曲した反射器の変位ベクトルのセットとトルクベクトルとの間の関係に基づいて決定され得る。代替として、トルクベクトルは、角度変位値とトルクベクトルとの間の関係に基づいて決定され得る。実施態様に関わらず、力ベクトルおよび/またはトルクベクトルを、測定された照度分布のセット、変位ベクトルのセット、および/または角度変位値に基づいて推定または決定するために、モデルまたは較正データが使用され得る。
【0088】
[0114]
図9A、
図9B、および
図9Cは、それぞれ、下向きの力902を受けた力およびトルクセンサーの側面
図900、上からの
図950、および斜視
図960を示す。この例では、下向きの力902は、可動構造910の負のy方向縁部で印加された負のz方向の力である。力902を可動構造910に対して印加すると、可動構造がx軸の周りを回転する(本明細書では「ピッチ回転」)。
【0089】
[0115] 前述の例と同様に、ピッチ回転した可動構造910は、反射器912、914、および916の不均一な変位に起因して、光学センサー組立体722、724、および726に対する照度分布を不均一に変化させ得る。変位ベクトル、角度変位値、力ベクトル、および/またはトルクベクトルのセットは、前述と同様の方法で決定され得る。
【0090】
[0116] 下向きの力902は、
図9Bでは「X」がその中心を通る円として示されている。図に示すように、「X」をもつ円は、「ページの中へ」方向を表し、
図9Bでは、これは負のz方向である。同様に、図に示すように、その中心に点がある円は、「ページの外へ」方向を表し、
図9Bには示されていないが、これは正のz方向であり得る。
【0091】
C.横向きの力を受ける
[0117]
図10A、
図10B、および
図10Cは、それぞれ、横向きの力1002を受けた力およびトルクセンサーの側面
図1000、上からの
図1050、および斜視
図1060を示す。この例では、横向きの力1002が可動構造1010の縁部に印加され、それにより可動構造1010がz軸の周りを回転する(本明細書では「ヨー回転」)。従って、可動構造1010は、静止位置710に関して回転する。
【0092】
[0118] 回転の結果として、湾曲した反射器1012は負のx方向および正のy方向に移動し、湾曲した反射器1014は正のx方向および負のy方向に移動し、湾曲した反射器1016は負のx方向および負のy方向に移動する。集合的に、湾曲した反射器1012、1014、および1016は、上から見ると、それらの重心の周りを時計回り方向に(
図10Bに示すように)回転する。
【0093】
[0119] 湾曲した反射器1012、1014、および1016の各々は異なる方向に異なる量だけ平行移動するので、光学センサー組立体722、724、および726によって測定される照度分布は各々、相互に異なる。これらの照度分布から、湾曲した反射器1012、1014、および1016の各々に対する変位、角度変位(例えば、ヨー回転の角度)、ならびに可動構造1010によって経験されるトルクのベクトルが決定され得る。
【0094】
[0120] 製造ばらつきおよび他の原因の欠陥に起因して、たとえ反射器がそれらの対応する発光体およびレシーバークラスタに対して同じ位置にあっても、各光学センサー組立体によって測定される照度は相互に異なり得ることに留意されたい。
【0095】
V.位置感知
[0121] 本明細書で開示するセンサー構成、構成要素配置、および感知技術は変位センサーを実装するために使用され得る。いくつかの用途では、湾曲した反射器の変位ベクトルを決定することは、感度の高い変位測定を提供するために使用され得る。例えば、コントローラ(例えば、ジョイスティック)は、変位における小さな変化を測定し得、それは、コンピュータプログラムまたはゲームへの入力として役立ち得る。本明細書で開示する技術および構成は、力およびトルクも測定することもあれば、測定しないこともある位置センサーを実装するために使用され得ることを理解すべきである。
【0096】
[0122] 本明細書で説明するいくつかのセンサーは、変位を1つ以上の自由度(DOF)で測定および出力するように構成され得る。いくつかの変位DOFは、平行移動変位(すなわち、平行移動位置における変化)であり得るが、他方、他の変位DOFは、角度変位(すなわち、配向または角度位置における変化)であり得る。いくつかの実施態様では、センサーは、1つ以上の平行移動変位DOFおよび1つ以上の角度変位DOF(例えば、一例として、x方向変位、z方向変位、およびロール)を測定するように構成され得る。平行移動DOFおよび角度DOFの任意の組合せが、特定の力およびトルクセンサー内の光検出器、発光体、ならびに湾曲した反射器の数および配置に応じて、測定され得る。
【0097】
[0123] 同様に、本明細書で説明するいくつかのセンサーは、力を1つ以上の自由度(DOF)で測定および出力するように構成され得る。いくつかの力DOFは、平行移動力(例えば、x方向、y方向、z方向)であり得るが、他方、他の力DOFは、回転誘発トルク(例えば、ヨー、ピッチ、ロール)であり得る。本明細書で説明するように、力DOFは、力またはトルクのいずれかであり得る。従って、力を1つ以上のDOFで測定するように構成されたセンサーは、力、トルク、またはそれらの何らかの組合せを測定し得る。
【0098】
[0124] 単一の湾曲した反射器を備えたセンサーは、変位および/または力を3つのDOF−すなわち、x方向、y方向、z方向、ロール、ピッチ、およびヨーの任意の組合せ−で測定するように動作可能であり得る。いくつかのセンサー用途は、変位および/または力をDOFの特定のセットで測定することを伴い得、そのため6DOFセンサーは要求されない。特定のDOFが分かっている場合、特定のセンサーの構成要素は、変位および/または力をそれら特定のDOFで測定するように配置され得る。このようにして、特定用途センサーを実装するために使用される構成要素の数が削減され得る。いくつかの場合、1つ以上のDOFを無視することは測定されたDOFの精度の向上にも役立ち得る。
【0099】
VI.力およびトルクセンサーの較正
[0125] 特定の力およびトルクセンサーは、様々な方法でモデル化され得る。一例として、力およびトルクセンサーの寸法、構成要素のレイアウト、構成要素の配向、および構成要素の特性は、他の測定値(例えば、光検出器によって測定された照度)に基づいて、処理装置がいくつかの特性(例えば、力ベクトル)を推測するのを可能にする幾何学的および数学的関係を提供する。例えば、構成要素のレイアウトが分かっていて、反射特性および湾曲した反射器の形状が分かっていて、かつ発光体の照度発散度が分かっている場合、測定された照度がモデルに適用されて、湾曲した反射器の基準位置に関する位置を推測し得る。さらに、ばね要素(例えば、フレキシャ)の寸法および特性が分かっている場合、変位ベクトルは力ベクトルと相関され得る。
【0100】
[0126] しかし、製造上の欠陥およびモデル化における潜在的な誤りに起因して、かかるモデルは、特定の力およびトルクセンサーの所与の照度分布に対して変位および/または力ベクトルを正確に反映しない可能性がある。例えば、発光体および光検出器は、はんだ接続部における相違に起因して完全には正しい方向に置かれていない可能性があり得る。別の例として、湾曲した反射器は、完全には取り付けられていない可能性があるか、または湾曲した反射器の反射率に影響を及ぼす欠陥を含み得る。さらに別の例として、ばね要素の欠陥は、湾曲した反射器の平衡位置が発光体と完全には位置合わせされないようにし得る。
【0101】
[0127] 従って、いくつかの実施態様では、構築された力およびトルクセンサーは、試験装置内で一連の力および/またはトルクを受け得、光検出器で測定された照度と相関され得る。試験装置は、既知の力を既知の方向で印加して、それらの値を表または他のデータ記憶要素内の測定された照度と相関させ得る。一旦、試験が完了して較正データが収集されると、測定された照度、変位ベクトル、力ベクトル、および/またはトルクベクトルのセット間の関数または関係を導出するために数理解析が採用され得る。
【0102】
[0128] いくつかの実施態様では、測定された照度と力ベクトルとの間の関係は、較正データに関して線形回帰(または他の回帰)を実行することによって決定され得る。このようにして、測定された照度と力ベクトルのセットの間に連続(または半連続)関数またはマッピングが導出され得る。回帰分析は、任意の2つのパラメータまたはパラメータのセットの間に、それら2つのパラメータまたはパラメータのセット間の関係を生成するために適用され得る。
【0103】
[0129] いくつかの実施態様では、較正データは、変位ベクトルから力ベクトルを決定するため、および/または回転ベクトルからトルクベクトルを決定するために、変換行列を計算するための基礎となり得る。
【0104】
[0130] いくつかの実施態様では、発光体の照度(すなわち、輝度発散度)を測定する追加の光検出器が力およびトルクセンサー内に含まれ得る。発光体が古くなるにつれて、発光体の輝度が低下し得る。結果として、力およびトルクセンサーの精度が経時的に悪化し得る。追加の光検出器(本明細書では「較正」または「基準」光検出器とも呼ばれ得る)は、湾曲した反射器および可動構造の位置に関わらず、同じ照度を測定する力およびトルクセンサー内の位置に据えられ得る。従って、較正光検出器は、光検出器の輝度を示す照度を測定し得る。
【0105】
[0131] いくつかの実施態様では、較正光検出器は、動作中に、発光体の輝度を表す照度(本明細書では、「較正照度」)を測定し得る。較正照度は、発光体が経時的に輝度において低下している程度を決定するために、基準照度に対して比較され得る。この比較に基づいて、発光体輝度の低下を吸収するために、変位、力、および/またはトルクベクトルの大きさを調整する量を示すスケーリング係数が決定され得る。いくつかの実施態様では、スケーリングは、光検出器で測定された電圧に適用され得るが、後続の変換は調整された光検出器電圧に基づいて実行される。
【0106】
VII.力決定方法例
[0132]
図11Aは、一実施態様例に従って、力センサーの可動構造に印加された力のベクトルを決定するための動作1100の流れ図である。
図11Aに示す動作1100は、コンピューティング装置または制御システムによって使用できる実施態様を提示する。動作1100は、ブロック1102〜1100によって示されるように1つ以上の動作を含み得る。ブロックは、順番に示されているが、これらのブロックは、並行して、および/または本明細書で説明するものとは異なる順序でも実行され得る。また、指示された実施態様に基づいて、様々なブロックがもっと少ないブロックに結合され、追加のブロックに分けられ、かつ/または除去され得る。
【0107】
[0133] 加えて、本明細書で開示する動作1100および他の動作は、1つの可能な実施態様の機能を示す。これに関して、各ブロックは、プログラムコードのモジュール、セグメント、または部分を表し得、それは、特定の論理演算またはステップを実装するためにプロセッサまたはコンピューティング装置によって実行可能な1つ以上の命令を含む。プログラムコードは、例えば、ディスクまたはハードドライブ内に含まれる記憶装置などの、任意のタイプのコンピュータ可読媒体上に格納され得る。コンピュータ可読媒体は、持続性コンピュータ可読媒体、例えば、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュおよび/またはランダムアクセスメモリ(RAM)のような短期間、データを格納するコンピュータ可読媒体など、を含み得る。コンピュータ可読媒体は、例えば、読取り専用メモリ(ROM)、光または磁気ディスク、および読取り専用コンパクトディスク(CD−ROM)のような、二次または永続的長期記憶装置などの、持続性媒体も含み得る。コンピュータ可読媒体は、例えば、コンピュータ可読記憶媒体、または有形的記憶装置と考えられ得る。
【0108】
[0134] 追加として、
図11Aに示す1つ以上のブロックは、特定の論理演算を実行するように配線されている回路を表し得る。
【0109】
[0135] 以下の説明では、ブロック1102〜1110は、制御装置によって実行される。制御装置は、力およびトルクセンサーの構成要素を作動させて、光検出器などの感知装置から測定値を読み取り、その測定値を処理して、かつ/またはメモリもしくは記憶装置内に格納されたデータに関して数学的、計算的、もしくはプログラム的動作を実行できる、任意の装置もしくは装置の組合せであり得る。追加として、制御装置は、プログラム命令、メモリ、または記憶装置内に格納された、モデルまたは較正データなどの、情報を取得し得、その情報を、測定値に関して動作を実行するための基礎として使用し得る。制御装置は多くの形を取り得、任意の数のプロセッサ、キャッシュ、メモリ装置、記憶装置、集積回路、および/または他の回路構成要素(例えば、特定用途向け集積回路、増幅器など)を含み得ることを理解すべきである。
【0110】
A.発光体に湾曲した反射器に向かって光を投影させる
[0136] ブロック1102で、制御装置は、剛構造に力が印加されると、発光体に、剛構造の表面に固定された湾曲した反射器に向かって光を投影させる。発光体に光を投影させることは、発光体を電源に接続することによってそれにエネルギー供給することを伴い得る。例えば、発光体がLEDである場合、発光体に光を投影させることは、スイッチ(例えば、トランジスタ)を動作して電流を電源からLEDの端子に導通するのを開始することを伴い得る。
【0111】
[0137] いくつかの実施態様では、発光体は、剛構造に力が印加されているかどうかに関わらず、動作中、連続して投影し得る。他の実施態様では、発光体は、剛構造に力が作用し始めると、放出を開始し得る。例えば、力およびトルクセンサーは、剛構造の位置における変化を感知する加速度計を含み得る。この変化を感知すると、制御装置は、電流を発光体に導通し始めて、それを作動させ得る。
【0112】
B.光検出器への入射光の照度を測定する
[0138] ブロック1104で、制御装置は、それぞれ3つ以上の光検出器への入射光の3つ以上の照度を測定する。光検出器は、入射光を、その入射光の強度(すなわち、照度)に比例した電圧、電流、または充電に変換し得る。制御装置は、電圧、電流、または充電レベルをデジタル値に変換するために回路構成要素をその上に含み得、次いでデジタル値をローカルのメモリまたはキャッシュ内に格納する。例えば、制御装置は、光検出器からアナログ出力を受信して、制御装置のプロセッサに、光検出器出力信号の値を表すデジタル値を提供する、アナログ/デジタル変換器(ADC)を含み得る。制御装置は、測定値をメモリ(例えば、揮発性メモリまたは不揮発性記憶媒体)内に格納し得る。
【0113】
C.照度に基づいて変位ベクトルを決定する
[0139] ブロック1106で、制御装置は、3つ以上の照度に基づいて、湾曲した反射器の位置の基準位置からの変化を表す変位ベクトルを決定する。いくつかの実施態様では、基準位置は、予め決定されて、制御装置のメモリ内またはプログラム命令内に格納され得る。制御装置は、湾曲した反射器の基準位置に対する位置を決定し得る。ブロック1106は、前述のとおり、測定された照度を、較正データから導出されたモデルまたは関係に提供することを伴い得る。変位ベクトルは、変位の方向およびその変位の距離を含み得る。変位ベクトルは、変位ベクトル成分の1つ以上の自由度(例えば、x方向、y方向、および/またはz方向)における組合せであり得る。
【0114】
D.変位ベクトルに基づいて力ベクトルを決定する
[0140] ブロック1108で、制御装置は、変位ベクトルに基づいて、力の大きさおよび力の方向を表す力ベクトルを決定する。前述のとおり、変位ベクトルに基づいて力ベクトルを決定することは、変位ベクトルを、モデル、関係、または変換行列への入力として提供することを伴い得る。
【0115】
[0141] いくつかの実施態様では、角度変位を決定することは、剛構造に印加されたトルクなしで、剛構造の配向を示す基準座標系を取得することを伴い得る。力およびトルクセンサーは次いで、負荷座標系(loaded coordinate system)を決定し得、それは、剛構造がそれに対して印加された力を経験する場合の剛構造の配向を表す。剛構造の配向は、剛構造に連結された3つ以上の湾曲した反射器の空間位置によって画定される平面の配向であり得る。次いで、制御装置は、基準座標系と負荷座標系との間の比較に基づいて、角度変位を決定し得る。
【0116】
[0142] いくつかの実施態様では、制御装置は、変位ベクトルを決定する中間ステップを実行することなく、照度測定値に基づいて力ベクトルを決定し得ることに留意されたい。例えば、較正データは複数の照度測定値をそれぞれ複数の力ベクトルと相関させ得る。この較正データから、コンピューティング装置(例えば、制御装置)は、照度測定値と力ベクトルとの間の関係を導出するために回帰分析(例えば、線形回帰)を実行し得る。次いで、制御装置は、照度測定値を関係への入力として提供し得、関係は力ベクトルを出力する。
【0117】
E.力ベクトルを示す出力信号を提供する
[0143] ブロック1110で、制御装置は、決定された力ベクトルを示す出力信号を提供する。力およびトルクセンサーは、ロボットアームまたは付属肢などの、ロボットシステム内に組み込まれ得る。力およびトルクセンサーは、力ベクトルおよび/またはトルクベクトルを測定し得、それらは次いで出力信号(例えば、デジタルデータを保持する電気信号)としてシステムの他の装置に提供され得る。例えば、力およびトルクベクトル測定値は、ロボットの制御システムに提供され得、それは次いで、ロボットの挙動の態様を変更する(例えば、ロボットアームまたはロボット指の握力を調整する)か、または別の方法でロボットのアクチュエータを作動させ得る。
【0118】
[0144] 他の場合には、出力信号は、力ベクトルおよび/またはトルクベクトルを記録して、それらをメモリ装置内にある期間にわたって格納し得るデータ収集システムまたは他の装置に提供され得る。記録された測定値はディスプレイ装置上で見られ得るか、またはコンピューティング装置によって処理され得る。
【0119】
VIII.トルク決定方法例
[0145]
図11Bは、一実施態様例に従って、力センサーの可動構造に印加された力のベクトルを決定するための動作1150の流れ図である。
図11に示す動作1150は、コンピューティング装置または制御システムによって使用できる実施態様を提示する。動作1100は、ブロック1152〜1158によって示されるように1つ以上の動作を含み得る。ブロックは、順番に示されているが、これらのブロックは、並行して、および/または本明細書で説明するものとは異なる順序でも実行され得る。また、指示された実施態様に基づいて、様々なブロックがもっと少ないブロックに結合され、追加のブロックに分けられ、かつ/または除去され得る。
【0120】
[0146] 加えて、本明細書で開示する動作1150および他の動作は、1つの可能な実施態様の機能を示す。これに関して、各ブロックは、プログラムコードのモジュール、セグメント、または部分を表し得、それは、特定の論理演算またはステップを実装するためにプロセッサまたはコンピューティング装置によって実行可能な1つ以上の命令を含む。プログラムコードは、例えば、ディスクまたはハードドライブ内に含まれる記憶装置などの、任意のタイプのコンピュータ可読媒体上に格納され得る。コンピュータ可読媒体は、持続性コンピュータ可読媒体、例えば、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュおよび/またはランダムアクセスメモリ(RAM)のような短期間、データを格納するコンピュータ可読媒体など、を含み得る。コンピュータ可読媒体は、例えば、読取り専用メモリ(ROM)、光または磁気ディスク、および読取り専用コンパクトディスク(CD−ROM)のような、二次または永続的長期記憶装置などの、持続性媒体も含み得る。コンピュータ可読媒体は、例えば、コンピュータ可読記憶媒体、または有形的記憶装置と考えられ得る。
【0121】
[0147] 追加として、
図11Bに示す1つ以上のブロックは、特定の論理演算を実行するように配線されている回路を表し得る。
【0122】
[0148] 以下の説明では、ブロック1152〜1158は、制御装置によって実行される。制御装置は、力およびトルクセンサーの構成要素を作動させて、光検出器などの感知装置から測定値を読み取り、その測定値を処理して、かつ/またはメモリもしくは記憶装置内に格納されたデータに関して数学的、計算的、もしくはプログラム的動作を実行できる、任意の装置もしくは装置の組合せであり得る。追加として、制御装置は、プログラム命令、メモリ、または記憶装置内に格納された、モデルまたは較正データなどの、情報を取得し得、その情報を、測定値に関して動作を実行するための基礎として使用し得る。制御装置は多くの形を取り得、任意の数のプロセッサ、キャッシュ、メモリ装置、記憶装置、集積回路、および/または他の回路構成要素(例えば、特定用途向け集積回路、増幅器など)を含み得ることを理解すべきである。
【0123】
[0149] 制御装置は、剛構造、その剛構造の表面に固定された複数の湾曲した反射器、複数の光検出器クラスタ、および複数の発光体を含む、力およびトルクセンサー内に統合され得る。各光検出器クラスタは、「照度分布」と総称される、照度測定値のセットを捕捉し得る。力およびトルクセンサーは、
図7A〜
図7Cに示す力およびトルクセンサーに類似して構成され得る。
【0124】
A.複数の照度分布を測定する
[0150] ブロック1152で、制御装置は、複数の光検出器クラスタの各光検出器クラスタに対して、光検出器クラスタ内の光検出器にわたって照度分布を測定する。各光検出器クラスタは、3つ以上の光検出器を含み得、その各々は、その光検出器の感光性領域によって画定された領域で照度を測定し得る。光検出器クラスタによって捕捉された照度測定値のセットは、まとめて、照度分布と呼ばれ得る。
【0125】
B.測定された照度分布に基づいて角度変位を決定する
[0151] ブロック1154で、制御装置は、測定された照度分布に基づいて、剛構造の基準配向に関して回転配向を表す角度変位を決定する。剛構造は、外力を受けていない場合(または、剛構造に印加された力が剛構造を回転させない場合)、基準配向にあり得る。剛構造がトルクを受けると、それは回転して、回転配向(例えば、基準配向と比較して異なる角度位置)に移行し得る。角度変位−剛構造がその周りを回転する軸および回転の程度(例えば、弧度または度で)を含む−は、基準配向および回転配向に基づいて決定され得る。
【0126】
[0152] 3つ以上の湾曲した反射器の空間的位置は、平面または座標系を画定し得、それは、角度変位が決定される基準となり得る。基準平面または基準座標系は、予め決定されるか、または制御装置のメモリ上に格納され得て、剛構造の静止時における配向を表す。剛構造を回転されるトルクを剛構造が受けると、湾曲した反射器はそれらの静止位置から異なる空間的位置に移行し得る。湾曲した反射器がこれらの異なる空間的位置にある場合、回転平面または回転座標系(本明細書では「負荷」座標系とも呼ばれる)が決定され得る。基準平面または基準座標系を回転平面または回転座標系と比較することにより、制御システムは剛構造の角度変位を決定し得る。
【0127】
C.角度変位に基づいてトルクベクトルを決定する
[0153] ブロック1156で、制御装置は、角度変位に基づいて、トルクの大きさおよびトルクの方向を表すトルクベクトルを決定する。前述のとおり、角度変位に基づいてトルクベクトルを決定することは、変位ベクトルを、モデル、関係、または変換行列への入力として提供することを含み得る。
【0128】
[0154] いくつかの実施態様では、制御装置は、剛構造の角度変位を決定する中間ステップを実行することなく、測定された照度分布に基づいてトルクベクトルを決定し得ることに留意されたい。例えば、較正データは複数の照度分布測定値をそれぞれ複数のトルクベクトルと相関させ得る。この較正データから、コンピューティング装置(例えば、制御装置)は、照度測定値と力ベクトルとの間の関係を導出するために回帰分析(例えば、線形回帰)を実行し得る。次いで、制御装置は、測定された照度分布を関係への入力として提供し得、関係はトルクベクトルを出力する。
【0129】
D.トルクベクトルを示す出力信号を提供する
[0155] ブロック1158で、制御装置は、決定されたトルクベクトルを示す出力信号を提供する。力およびトルクセンサーは、ロボットアームまたは付属肢などの、ロボットシステム内に組み込まれ得る。力およびトルクセンサーは、力ベクトルおよび/またはトルクベクトルを測定し得、それらは次いで出力信号(例えば、デジタルデータを保持する電気信号)としてシステムの他の装置に提供され得る。例えば、力およびトルクベクトル測定値は、ロボットの制御システムに提供され得、それは次いで、ロボットの挙動の態様を変更する(例えば、ロボットアームまたはロボット指の握力を調整する)か、または別の方法でロボットのアクチュエータを作動させ得る。
【0130】
[0156] 他の場合には、出力信号は、力ベクトルおよび/またはトルクベクトルを記録して、それらをメモリ装置内にある期間にわたって格納し得るデータ収集システムまたは他の装置に提供され得る。記録された測定値はディスプレイ装置上で見られ得るか、またはコンピューティング装置によって処理され得る。
【0131】
IX.コンピュータ可読媒体例
[0157]
図12は、本明細書で説明する少なくともいくつかの実施態様に従って構成されたコンピュータ可読媒体例を示す。実施態様例では、システム例は、1つ以上のプロセッサ、1つ以上の形式のメモリ、1つ以上の入力装置/インタフェース、1つ以上の出力装置/インタフェース、および1つ以上のプロセッサによって実行される場合にロボット装置に、前述した、様々な動作、タスク、機能などを実行させる機械可読命令を含むことができる。
【0132】
[0158] 前述のとおり、開示する手順は、機械可読フォーマットでコンピュータ可読記憶媒体上、または他の媒体もしくは製品上でコード化されたコンピュータプログラム命令によって実装できる。
図12は、本明細書で開示する少なくともいくつかの実施態様に従って配置された、コンピューティング装置上でコンピュータプロセスを実行するためのコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品の概念部分を示す概略図である。
【0133】
[0159] いくつかの実施態様では、コンピュータプログラム製品例1200は、1つ以上のプロセッサによって実行される場合に、
図1〜
図11に関して前述した機能または機能の一部を提供し得る、1つ以上のプログラム命令1202を含み得る。いくつかの例では、コンピュータプログラム製品1200は、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、メモリなどであるが、それらに限定されない、コンピュータ可読媒体1204を含み得る。いくつかの実施態様では、コンピュータプログラム製品1200は、例えば、メモリ、読取り/書込み(R/W)CD、R/W DVDなどであるが、それらに限定されない、コンピュータ記録可能媒体1206を含み得る。
【0134】
[0160] 1つ以上のプログラム命令1202は、例えば、コンピュータ実行可能および/または論理実装命令にできる。いくつかの例では、コンピューティング装置は、コンピュータ可読媒体1204および/またはコンピュータ記録可能媒体1206によってコンピューティング装置に伝達されたプログラム命令1202に応答して、様々な動作、または動作を提供するように構成される。他の例では、コンピューティング装置は、ロボット装置に連結された装置と通信する外部装置にできる。
【0135】
[0161] コンピュータ可読媒体1204は、複数のデータ記憶要素の間で分散することもでき、それらは、相互にリモートに配置できる。格納された命令の一部または全部を実行するコンピューティング装置は、外部コンピュータ、または、とりわけ、スマートフォン、タブレット装置、パーソナルコンピュータ、ロボット、もしくはウェアラブルデバイスなどの、モバイルコンピューティングプラットフォームにできる。代替として、格納された命令の一部または全部を実行するコンピューティング装置は、サーバーなどの、リモートに配置されたコンピュータシステムにできる。例えば、コンピュータプログラム製品1200は、
図1〜
図11を参照して説明する動作を実装できる。
【0136】
X.結論
[0162] 本明細書で説明する配置は、例示のみを目的としていることを理解すべきである。そのため、当業者は、他の配置および他の要素(例えば、機械、インタフェース、動作、順序、および動作のグループ化など)が代わりに使用でき、いくつかの要素は所望の結果に従って完全に省略され得ることが理解されよう。さらに、説明する要素の多くは、個別もしくは分散構成要素として、または他の構成要素と共に、任意の適切な組合わせおよび位置で実装され得る機能エンティティであるか、または独立構造として記述される他の構造要素が統合され得る。
【0137】
[0163] 本明細書では様々な態様および実施態様が説明されているが、他の態様および実施態様が当業者には明らかであろう。本明細書で説明する様々な態様および実施態様は、例示目的であり、制限することは意図しておらず、真の範囲は、以下の請求項によって、かかる請求項が権利を与えられる同等物の完全な範囲と共に、示されている。本明細書で使用する用語は特定の実施態様のみを説明することを目的としており、制限することを意図していないことも理解されたい。