【実施例】
【0025】
図1に本発明の第一の態様を示す。
【0026】
なお、以下の説明においては、電流は電流値を、電圧は電圧値を、インピーダンスはインピーダンス値を、また抵抗は抵抗値を含み得るものとし、当業者の技術常識にしたがって、解釈されるものとする。また、半導体のスイッチング素子のゲートドライブ電源については、特記しない限り通常の絶縁電源を用いているので、詳細は省略する。
【0027】
モータ制御装置C
ont1は、整流回路(直流供給部)S
DCと、正側の母線ML
+と負側の母線ML
−からなる母線MLと、平滑コンデンサ(コンデンサ)C
1と、半導体スイッチング素子TR
1〜TR
6により構成されるインバータと、絶縁抵抗算出部3
1とから構成される。
【0028】
モータ制御装置C
ont1は、電力供給をオフすることができる電磁接触器(第1スイッチ)MSを介して三相交流電源(第1電源部)S
1から供給される三相交流電圧を整流回路(直流供給部)S
DCにより全波整流して直流電圧を母線MLに出力する。
【0029】
出力された直流電圧は、母線MLの正側の母線ML
+と負側の母線ML
−との間に接続された平滑コンデンサ(コンデンサ)C
1、C
2により平滑化される。
【0030】
平滑化された母線ML
+、ML
−に供給されている直流電圧は、正側の母線ML
+と負側の母線ML
−との間に接続された半導体スイッチング素子TR
1〜TR
6により構成されるインバータに供給され、母線ML
+、ML
−に供給された直流を逆変換した交流によりモータ1が駆動される。
【0031】
モータ制御装置C
ont2は、正側の母線ML
+と負側の母線ML
−からなる母線MLと、平滑コンデンサ(コンデンサ)C
2と、半導体スイッチング素子TR
7〜TR
12により構成されるインバータと、絶縁抵抗算出部3
2とから構成される。
【0032】
モータ制御装置C
ont2は、モータ制御装置C
ont1とともに整流回路S
DCからの直流電圧が供給され、半導体スイッチング素子TR
7〜TR
12により構成されるインバータにより母線MLに供給された直流を交流に逆変換してモータ2を駆動するように構成されている。
【0033】
この態様は、モータ1とモータ2がそれぞれ別の軸を駆動するように構成された2軸駆動に適用される構成を示している。
【0034】
モータ制御装置1の絶縁抵抗算出部3
1は、母線MLのうちの負側母線ML
−とアースEの間に設けられた直流電源(第2電源部)S
2と、スイッチSW
0(第1スイッチ)と、負側母線ML
−とモータ1の巻線Lに接続された電流検出抵抗R
1と、電流検出抵抗R
1の電圧から電流を検出するとともに、絶縁抵抗の検出動作を制御し、また、絶縁抵抗値を演算する検出制御部(電流検出部)4
1とから構成されている。
【0035】
モータ制御装置2の絶縁抵抗算出部3
2は、母線MLのうちの負側母線ML
−とモータ2の巻線Lに接続された電流検出抵抗R
2、電流検出抵抗R
2の電圧から電流を検出し、また、絶縁抵抗値を演算する検出制御部(電流検出部)4
2から構成されている。
【0036】
電流検出抵抗R
1、R
2はそれぞれの軸のモータ1、2のU相、V相、W相の各相のうちの1相の巻線Lのみに接続すればよく、モータ1、2の巻線Lの抵抗は非常に小さいため、いずれの相でも検出が可能である。
【0037】
直流電源S
2は、平滑コンデンサC
1、C
2の電圧より低い電圧の範囲で、できるだけ高い電圧の電源を、アースE側の電位が負側母線ML
−より高い状態になるようにして用いる。また、計測に必要な程度で微小な電流容量の電源を用いている。
【0038】
平滑コンデンサC
1、C
2の電圧より直流電源S
2の電圧を低く設定するのは、計測時にモータ1、2の絶縁抵抗R
m1、R
m2からインバータ部の上アーム(正側)の半導体スイッチング素子TR
1〜TR
3、TR
7〜TR
9のフリーホイールダイオードD
fを通して平滑コンデンサC
1、C
2を充電する方向に電流が流れて、絶縁抵抗R
m1、R
m2の検出精度が低下するのを防ぐためである。
【0039】
通常のモータ制御時は、スイッチSW
0はオフのまま電磁接触器MSをオンとし、インバータにより各軸のモータ制御が行われる。絶縁抵抗検出時は、モータ制御装置C
ont1、C
ont2を以下のとおり作動させる。
【0040】
全軸のモータ制御動作を停止させ、半導体スイッチング素子TR
1〜TR
12をオフにし、電磁接触器MSを遮断する。そして、インバータの直流電圧V
PNと電流検出抵抗R
1の電圧V
R1A、電流検出抵抗R
2の電圧V
R2Aを計測する。
【0041】
平滑コンデンサC
1、C
2の電圧がインバータを構成する半導体スイッチング素子TR
1〜TR
12に印加されているので、インバータの直流電圧V
PNは、実質的に平滑コンデンサC
1、C
2の電圧に等しい。かかる電圧により、半導体スイッチング素子TR
1からTR
4に電流が流れ、また、電流検出抵抗R
1に電流が流れる。同様に半導体スイッチング素子TR
7からTR
10に電流が流れ、また、電流検出抵抗R
2に電流が流れる。
【0042】
正側の半導体スイッチング素子TR
1からTR
4へと流れる電流及びTR
7からTR
10へと流れる電流は、半導体スイッチング素子の漏れ電流である。全ての相に同様に漏れ電流が流れるが、電流検出抵抗R
1、R
2が接続されている一相に着目することによりモータの絶縁抵抗を求めることができる。
【0043】
TR
1、TR
4の半導体スイッチング素子の等価漏れ抵抗をそれぞれR
tr1とし、また、TR
7、TR
10の半導体スイッチング素子の等価漏れ抵抗をそれぞれR
tr2とすると以下の式(1)、(2)が成り立つ。
【0044】
(V
PN−V
R1A)/R
tr1=V
R1A/R
tr1+V
R1A/R
1 ・・・(1)
(V
PN−V
R2A)/R
tr2=V
R2A/R
tr2+V
R2A/R
2 ・・・(2)
【0045】
次にスイッチSW
0をオンにして、負側母線ML
−に対してアースEに直流電源S
2の電圧V
DCを印加し、電流検出抵抗R
1の電圧V
R1Bおよび電流検出抵抗R
2の電圧V
R2Bを計測する。
【0046】
モータ1に絶縁劣化がある場合は、直流電源S
2の電圧がモータの絶縁抵抗R
m1を通して半導体スイッチング素子TR
4に印加され、電流検出抵抗R
1と半導体スイッチング素子TR
4に電流が流れる。
【0047】
同様にモータ2に絶縁劣化がある場合は、直流電源S
2の電圧がモータの絶縁抵抗R
m2を通して半導体スイッチング素子TR
10に印加され、電流検出抵抗R
2と半導体スイッチング素子TR
10に電流が流れる。
【0048】
また、平滑コンデンサC
1、C
2の電圧、すなわちインバータの直流電圧V
PNが半導体スイッチング素子TR
1、TR
4に印加された状態のため、半導体スイッチング素子TR
1からTR
4へと電流が流れ、また、電流検出抵抗R
1にも電流が流れる。
【0049】
同様に、半導体スイッチング素子TR
7からTR
10へと電流が流れ、また、電流検出抵抗R
2にも電流が流れる。
【0050】
これらの半導体スイッチング素子TR
1からTR
4へと流れる電流及びTR
7からTR
10へと流れる電流は、これらの半導体スイッチング素子の漏れ電流である。しかし、これら半導体スイッチング素子の漏れ電流は、一般にモータの絶縁抵抗の低下により流れる電流と比較すると小さいので、平滑コンデンサの電圧C
1、C
2はほとんど低下しないと想定することができる。
【0051】
この時、以下の式(3)、(4)が成り立つ。
【0052】
(V
PN−V
R1B)/R
tr1+(V
DC−V
R1B)/R
m1=V
R1B/R
tr1+V
R1B/R
1・・・(3)
(V
PN−V
R2B)/R
tr2+(V
DC−V
R2B)/R
m2=V
R2B/R
tr2+V
R2B/R
2・・・(4)
【0053】
モータ1の絶縁抵抗R
m1は、前記式(1)と式(3)の連立方程式を解くことにより、以下の式で求めることができる。
【0054】
R
m1=R
1(V
DC−V
R1B)(V
PN−2V
R1A)/{(V
R1B−V
R1A)V
PN}・・・(5)
【0055】
また、モータ2の絶縁抵抗R
m2は、前記式(2)と式(4)の連立方程式を解くことにより、以下の式で求めることができる。
【0056】
R
m2=R
2(V
DC−V
R2B)(V
PN−2V
R2A)/{(V
R2B−V
R2A)V
PN}・・・(6)
【0057】
これらの演算は、検出制御部4
1、4
2で行われている。なお、電流検出抵抗R
1、R
2の電圧V
R1A、V
R2Aの検出は、それぞれ1回ずつ検出することにより絶縁抵抗値R
m1、R
m2を算出することができることはいうまでもないが、両電圧V
R1A、V
R2Aのいずれか一方又は両方を複数回測定し、測定した電圧の各種平均値を採用しても差支えない。
【0058】
このような各種平均値を用いた場合には、ノイズ等により生じる異常値の影響を軽減できることのほか、より精度の高い絶縁抵抗値R
m1、R
m2を得ることができる。
【0059】
そして、算出した絶縁抵抗値R
m1、R
m2をユーザ装置に情報として伝達する。絶縁抵抗値R
m1、R
m2の伝達は、いかなる手段に依っても良く、有線送信でも、無線送信でも差支えない。
【0060】
絶縁抵抗値R
m1、R
m2を知得したユーザは、かかる絶縁抵抗値が低い場合に絶縁抵抗の劣化が生じていると判断し、モータを交換するなど、予め、モータが地絡してシステムダウンすることを予測し、そのような不都合の発生を防止することができる。
【0061】
絶縁抵抗が劣化しているか否かの判断は、実験や経験的に知られている値と比較することや、正常製品を用いて最初にモータ制御装置を設置した時に測定し、記録又は記憶させた初期値と比較することや、安全基準その他の設定値と比較することなど、適宜の判断手段を用いることができる。
【0062】
モータ1、2の絶縁抵抗R
m1、R
m2が非常に小さく、半導体スイッチング素子TR
1〜TR
12の負側の半導体スイッチング素子TR
4〜TR
6、TR
10〜TR
12が短絡破損しているような場合は、直流電源S
2からモータ1、2の絶縁劣化部を通して負側の半導体スイッチング素子TR
4〜TR
6、TR
10〜TR
12に電流が流れるが、直流電源S
2の電流容量は、平滑コンデンサC
1、C
2と比較すると非常に小さくすることができるため、流れる電流を僅かなものにとどめることができる。
【0063】
したがって、負側の半導体スイッチング素子TR
4〜TR
6、TR
10〜TR
12の2次破損や、さらなるモータ1、2の絶縁劣化を生じさせるおそれはない。
【0064】
前記態様では、2つのモータ1、2を使用する2軸のモータ制御装置における本発明の態様について説明したが、1軸あるいは3軸以上の場合においても、同様に本発明を適用することが可能である。前記態様がそうであるように、3軸以上の場合であっても、直流電源S
2は1軸にのみに設ければ足りる。
【0065】
前記態様では、第1電源部として三相交流電源S
1を用いているが、第1電源部としては、三相交流電源ではなく、単相交流電源を用いても良い。また、前記態様では、直流供給部として整流回路を用いているが、PWMコンバータなどの電源に回生できる回路でも良い。その場合には、PWMコンバータを停止させて計測する。
【0066】
また、第1電源部として、交流電源の代わりにバッテリなどの直流電源を用いても良い。また、電磁接触器を用いなくとも良く、スイッチを用いても良い。また、バッテリを装着するとそのことによりバッテリからモータ制御装置に電力が供給される場合には、バッテリ装着時に電気的に接続される接点や端子自体を第1スイッチとみなし得る。
【0067】
第1電源としてバッテリなどの直流電源を用いた場合であって、直流電源自体が接地されていない場合には、原理的に第1スイッチは不要となる。その場合には、直流電源の電圧、平滑コンデンサの電圧及び半導体スイッチング素子からなるインバータに供給される直流電圧は、ほぼ同じとなる。
【0068】
さらに、前記態様では、モータ制御装置C
ont1、C
ont2として、半導体スイッチング素子からなる三相インバータを用いているが、単相モータを駆動する場合には単相インバータを用いても良い。なお、インバータ方式は、前記態様のものに限定されるものではなく、フルブリッジであってもハーフブリッジであっても良い。
【0069】
次に、本発明の第2の態様として、ブートストラップ電源を用いた態様を示す。
【0070】
図2に示すとおり、この態様は、インバータの正側の半導体スイッチング素子TR
1〜TR
3、TR
7〜TR
9のゲートドライブ電源がブートストラップ電源Bで構成されている場合に適用したものである。
【0071】
モータ制御装置C
ont1の正側の半導体スイッチング素子TR
1〜TR
3のゲートドライブ電源として用いられるブートストラップ電源Bは、負側の半導体スイッチング素子TR
4〜TR
6用に設けられたゲートドライブ電源(第3電源部)S
3に、抵抗R
b、ダイオードD
b、コンデンサC
bを用いて正側の半導体スイッチング素子TR
1〜TR
3のゲートドライブ電源を構成したものである。
【0072】
負側の半導体スイッチング素子TR
4〜TR
6のオン、オフのスイッチングにより、負側の半導体スイッチング素子用のゲートドライブ電源S
3から、抵抗R
b、ダイオードD
bを通してコンデンサC
bがチャージされて、正側の半導体スイッチング素子TR
1〜TR
3のゲートを駆動するゲートドライブ電源Bとなる。
【0073】
また、モータ制御装置C
ont2も同様に構成されており、負側の半導体スイッチング素子TR
10〜TR
12用に設けられたゲートドライブ電源S
3に、抵抗R
b、ダイオードD
b、コンデンサC
bを用いて正側の半導体スイッチング素子TR
7〜TR
9のゲートドライブ電源を構成している。ゲートドライブ電源の作動は前記モータ制御装置C
ont1の場合と同様である。
【0074】
この態様においては、モータ制御装置C
ont1において、正側の半導体スイッチング素子TR
1〜TR
3のゲートドライブ電源として用いられるブートストラップ電源Bと、そこに電源を提供する負側の半導体スイッチング素子TR
4〜TR
6用に設けられたゲートドライブ電源S
3との間に、電源を遮断するスイッチSW
1を介在させて設けている。
【0075】
同様に、モータ制御装置C
ont2において、正側の半導体スイッチング素子TR
7〜TR
9のゲートドライブ電源として用いられるブートストラップ電源Bと、そこに電源を提供する負側の半導体スイッチング素子TR
10〜TR
12用に設けられたゲートドライブ電源S
3との間に、電源を遮断するスイッチSW
2を介在させて設けている。
【0076】
通常のモータ制御時は、スイッチSW
0はオフ、SW
1、SW
2はオンのまま、電磁接触器MSをオンにし、半導体スイッチング素子TR
1〜TR
12から構成されるインバータにより各軸のモータ1、2が駆動される。
【0077】
絶縁抵抗検出時は、全軸のモータ制御動作を停止させ、半導体スイッチング素子TR
1〜TR
12をオフにし、電磁接触器MSを遮断し、スイッチSW
1、SW
2をオフにする。そして、平滑コンデンサCの電圧に等しいインバータの直流電圧V
PNと、電流検出抵抗R
1の電圧V
R1A及び電流検出抵抗R
2の電圧V
R2Aとを計測する。
【0078】
平滑コンデンサCの電圧がインバータを構成する半導体スイッチング素子TR
1〜TR
12に印加されているため、半導体スイッチング素子TR
1からTR
4に電流が流れ、また、電流検出抵抗R
1に電流が流れる。同様に半導体スイッチング素子TR
7からTR
10に電流が流れ、また、電流検出抵抗R
2に電流が流れる。
【0079】
半導体スイッチング素子TR
1からTR
4に流れ、また、半導体スイッチング素子TR
7からTR
10に流れる電流は、それらの半導体スイッチング素子の漏れ電流である。
【0080】
スイッチSW
1、SW
2をオフにしているため、負側の半導体スイッチング素子TR
4〜TR
6及びTR
10〜TR
12用のゲートドライブ電源S
3からブートストラップ電源Bの抵抗R
b、ダイオードD
b、コンデンサC
bを通して絶縁抵抗検出用の電流検出抵抗R
1、R
2に電流が流れることはない。
【0081】
次にスイッチSW
0をオンにして、負側母線ML
−に対してアースEに直流電源S
2の電圧V
DCを印加し、電流検出抵抗R
1の電圧V
R1B及び電流検出抵抗R
2の電圧V
R2Bを計測する。
【0082】
モータ1に絶縁劣化がある場合は、直流電源S
2の電圧V
DCがモータの絶縁抵抗R
m1を通して負側の半導体スイッチング素子TR
4に印加され、電流検出抵抗R
1と負側の半導体スイッチング素子TR
4に電流が流れる。
【0083】
同様にモータ2に絶縁劣化がある場合は、直流電源S
2の電圧V
DCがモータの絶縁抵抗R
m2を通して負側の半導体スイッチング素子TR
10に印加され、電流検出抵抗R
2と負側の半導体スイッチング素子TR
10に電流が流れる。
【0084】
また、平滑コンデンサCの電圧V
PNが半導体スイッチング素子TR
1〜TR
12に印加された状態のため、半導体スイッチング素子TR
1からTR
4へと電流が流れるとともに、電流検出抵抗R
1にも電流が流れる。同様に半導体スイッチング素子TR
7からTR
10へと電流が流れるとともに、電流検出抵抗R
2にも電流が流れる。
【0085】
これらの半導体スイッチング素子TR
1からTR
4へと流れる電流及びTR
7からTR
10へと流れる電流は、それらの半導体スイッチング素子の漏れ電流である。
【0086】
しかし、半導体スイッチング素子TR
1からTR
4への漏れ電流及びTR
7からTR
10への漏れ電流は、モータの絶縁抵抗R
m1、R
m2の低下により流れる電流と比較すると小さいので、平滑コンデンサCの電圧はほとんど低下しない。これらの計測結果から、前記の本発明の態様1と同様に、前記式(5)、式(6)から、モータ1、2の絶縁抵抗R
m1、R
m2を求めることができる。
【0087】
なお、スイッチSW
1、SW
2は、三相を同時にオン・オフする位置に挿入しているが、いずれかの相にスイッチSW
1、SW
2を挿入できるようにゲートドライブ電源を構成しても良い。
【0088】
また、この態様では、モータ制御装置C
ont1、C
ont2ともブートストラップ電源Bの場合を示しているが、モータ制御装置C
ont2がブートストラップ電源Bで、モータ制御装置C
ont1のゲート電源が通常の絶縁電源である場合なども、スイッチSW
1が不要になるだけで、同様に検出することが可能となる。
【0089】
続いて、本発明の第3の態様として、高耐圧IC駆動電源を用いた態様を示す。
【0090】
図3に示すとおり、この態様は、本発明をインバータの正側の半導体スイッチング素子TR
1〜TR
3及びTR
7〜TR
9のゲート制御信号を高耐圧ICで伝送する場合に適用したものである。
【0091】
通常のモータ制御時は、スイッチSW
0はオフ、SW
1、SW
2はオンのまま電磁接触器MSをオンにし、スイッチング素子TR
1〜TR
12から構成されるインバータにより各軸のモータ1、2の駆動が行われる。
【0092】
絶縁抵抗検出時は、全軸のモータ制御動作を停止させ、半導体スイッチング素子TR
1〜TR
12をオフにし、電磁接触器MSを遮断し、スイッチSW
1、SW
2をオフにする。そして、平滑コンデンサCの電圧に等しいインバータの直流電圧V
PNと電流検出抵抗R
1の電圧V
R1A、電流検出抵抗R
2の電圧V
R2Aを計測する。
【0093】
平滑コンデンサCの電圧がインバータを構成する半導体スイッチング素子TR
1〜TR
12に印加されているため、半導体スイッチング素子TR
1からTR
4に電流が流れ、また、電流検出抵抗R
1に電流が流れる。
【0094】
同様に半導体スイッチング素子TR
7からTR
10に電流が流れ、また、電流検出抵抗R
2に電流が流れる。半導体スイッチング素子TR
1からTR
4に流れる電流及びTR
7からTR
10に流れる電流は、それらの半導体スイッチング素子の漏れ電流である。
【0095】
スイッチSW
1、SW
2をオフにしているため、負側の半導体スイッチング素子TR
4〜TR
6及びTR
10〜TR
12用のゲートドライブ電源S
3から高耐圧ICの電源を通して絶縁抵抗検出用の電流検出抵抗R
1、R
2に電流が流れることはない。
【0096】
次にスイッチSW
0をオンにして、負側母線ML
−に対してアースEに直流電源S
2の電圧V
DCを印加し、電流検出抵抗R
1の電圧V
R1B及び電流検出抵抗R
2の電圧V
R2Bを計測する。
【0097】
これらの計測結果から、前記本発明の第1及び第2の態様と同様に、前記式(5)、式(6)式により、モータ1、モータ2の絶縁抵抗R
m1、R
m2を求めることができる。
【0098】
なお、スイッチSW
1、SW
2は、三相を同時にオン・オフする位置に挿入しているが、いずれかの相にスイッチSW
1、SW
2を挿入できるように高耐圧ICへのゲートドライブ電源を構成しても良い。
【0099】
ブートストラップ電源と高耐圧ICの両方を組み合わせて使用している場合も、前記態様2、3と同様に、スイッチSW
1、SW
2を設けて、ブートストラップ電源と高耐圧ICの両方へのゲートドライブ電源Bからの接続経路を遮断してモータ1、2の絶縁抵抗R
m1、R
m2を検出できる。
【0100】
もちろん、ゲートドライブ電源として通常の絶縁電源を用いたものを組み合わせて使用してもよい。
【0101】
以上、本発明の態様について縷々説明したが、本発明の技術的範囲は、これまでの説明において具体的に明示したものに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項によって包含される態様はすべて含まれるものである。また、個々の用語や説明は、その技術的範囲を限定するものとして解釈されるものではない。