特許第6643537号(P6643537)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643537
(24)【登録日】2020年1月9日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】弾球遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20200130BHJP
【FI】
   A63F7/02 315A
   A63F7/02 316A
   A63F7/02 320
【請求項の数】1
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-3576(P2016-3576)
(22)【出願日】2016年1月12日
(65)【公開番号】特開2017-64371(P2017-64371A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年12月17日
(31)【優先権主張番号】特願2015-196497(P2015-196497)
(32)【優先日】2015年10月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395018239
【氏名又は名称】株式会社高尾
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(74)【代理人】
【識別番号】100067596
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 求馬
(72)【発明者】
【氏名】川西 邦昌
【審査官】 平井 隼人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−235017(JP,A)
【文献】 特開2011−235016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が常時入球可能な第1の始動口と、
普通図柄の抽選結果に応じて遊技球の入球が困難な状態、又は入球容易な状態に切替え可能な第2の始動口と、
前記第1の始動口への入球に起因して抽出された乱数値を第1の保留記憶として記憶する一方、前記第2の始動口への入球に起因して抽出された乱数値を第2の保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
前記第1の保留記憶に応じて第1の特別図柄の当否判定を実行し、前記第2の保留記憶に応じて第2の特別図柄の当否判定を行う当否判定手段と、
前記当否判定に伴い変動する前記第1の特別図柄及び前記第2の特別図柄の変動時間を選択するための変動テーブルを設定する変動テーブル設定手段と、
少なくとも前記第2の特別図柄の当否判定の結果が小当りとなることで小当り遊技を実施する小当り遊技実施手段と、
少なくとも前記小当り遊技を実施したときに開閉作動する大入賞装置と、
該大入賞装置内に設けられた特定領域と、
前記第1の特別図柄又は前記第2の特別図柄の当否判定の結果が大当りのとき、又は前記小当り遊技で前記特定領域へ遊技球が入球することにより役物当りとなったときに賞球の獲得に有利な大当り遊技を実施する大当り遊技実施手段と、
前記大当り遊技の終了後に、前記第2の始動口へ遊技球を入球させるのに有利な特典遊技を実施可能とする特典遊技実施手段と、
前記特典遊技の実施回数を制限する特典制限手段と、を具備し、
遊技球が流下する遊技領域として、遊技球を第1の発射強度で発射したときに遊技球が流下可能な遊技領域と、前記第1の発射強度よりも強い第2の発射強度で発射したときに遊技球が流下可能な遊技領域とに分けられ、
少なくとも前記第2の発射強度で発射された遊技球が流下可能な遊技領域には、遊技球が入球することにより前記普通図柄の抽選の起因となる作動口と、前記第2の始動口及び前記大入賞装置とが設置され、
前記大当り遊技実施手段は、前記第2の特別図柄の当否判定に起因する前記小当り遊技に移行すると所定の確率で前記役物当りが生起するように構成され、
前記変動テーブル設定手段は、
前記第2の特別図柄の当否判定に起因する大当り遊技終了後に実施された前記特典遊技にて用いられる専用の変動テーブルとして、第1の変動テーブルと、該第1の変動テーブルよりも平均変動時間が長時間とされた第2の変動テーブルとを備え、
前記第2の特別図柄の保留記憶数に応じて前記第1の変動テーブル又は前記第2の変動テーブルのいずれかを選択することを特徴とする弾球遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、始動口への入球に起因して当否判定を行い、判定が小当り時に特定領域へ入球することにより大当り遊技への移行を可能とする弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遊技性の多様化が進み、従来の弾球遊技機(パチンコ機)には、始動口への入球に起因して特別図柄の変動を伴う当否判定を行い、判定結果が大当りであれば大入賞口を長時間開放可能な大当り遊技を実施する「第1種」の遊技性と、判定結果が小当りであればVゾーン(特定領域)を備えた大入賞口を短時間開放可能な小当り遊技を実施し、前記Vゾーンへの入球により大当り遊技を実施する「第2種」の遊技性とを兼ね備えた混合機タイプのものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種のパチンコ機には、第1の特別図柄及び第2の特別図柄と、これらに対応する2種類の始動口とを備え、かつ第2の特別図柄の始動口は普通電動役物により開閉可能で、第2の特別図柄での小当り判定の可能性が高い構成である。通常遊技状態では第1の特別図柄の判定で図柄変動による前記「第1種」の大当り(図柄当り)となることを目指す。そして大当り遊技を経て普通電動役物の開放延長が付与された遊技状態になると第2の特別図柄での当否判定が主となり、第2の特別図柄で小当りが発生すると特定領域を備えた大入賞口が開放するので、特定領域への入球を狙って前記「第2種」の大当り(役物当り)を目指す構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−050608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで従来の混合機タイプのパチンコ機では、図柄変動による大当りを狙う第1の特別図柄では、始動口への入球に起因して抽出された当否判定用の乱数値を所定の個数を保留記憶として記憶するが、役物当りによる大当りを狙う第2の特別図柄では保留記憶を貯めない構成である。これは、第2の特別図柄の保留記憶を貯めると、前記開放延長遊技が終了した後でも貯められた第2の特別図柄の保留記憶の当否判定で役物当りが発生する可能性が高くなり、賞球の出球率等が設計値から著しく逸脱するおそれがあるためである。
しかしながら、遊技者にしてみれば、第1の特別図柄では保留記憶が貯められるのに、第2の特別図柄は保留記憶が貯められないことに違和感があったし、また設けたら設けたで保留記憶を活用した遊技性が考えられていなかった。
そこで本発明は上記事情に鑑み、賞球の出球率等が設計値を逸脱せず、かつ制御内容及び遊技性を複雑にすることなく第2の特別図柄の保留記憶を貯めることができ、もって遊技者の違和感を払拭し、遊技に集中させることができ面白みが増す遊技機を実現することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
遊技球が常時入球可能な第1の始動口と、
普通図柄の抽選結果に応じて遊技球の入球が困難な状態、又は入球容易な状態に切替え可能な第2の始動口と、
前記第1の始動口への入球に起因して抽出された乱数値を第1の保留記憶として記憶する一方、前記第2の始動口への入球に起因して抽出された乱数値を第2の保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
前記第1の保留記憶に応じて第1の特別図柄の当否判定を実行し、前記第2の保留記憶に応じて第2の特別図柄の当否判定を行う当否判定手段と、
前記当否判定に伴い変動する前記第1の特別図柄及び前記第2の特別図柄の変動時間を選択するための変動テーブルを設定する変動テーブル設定手段と、
少なくとも前記第2の特別図柄の当否判定の結果が小当りとなることで小当り遊技を実施する小当り遊技実施手段と、
少なくとも前記小当り遊技を実施したときに開閉作動する大入賞装置と、
該大入賞装置内に設けられた特定領域と、
前記第1の特別図柄又は前記第2の特別図柄の当否判定の結果が大当りのとき、又は前記小当り遊技で前記特定領域へ遊技球が入球することにより役物当りとなったときに賞球の獲得に有利な大当り遊技を実施する大当り遊技実施手段と、
前記大当り遊技の終了後に、前記第2の始動口へ遊技球を入球させるのに有利な特典遊技を実施可能とする特典遊技実施手段と、
前記特典遊技の実施回数を制限する特典制限手段と、を具備し、
遊技球が流下する遊技領域として、遊技球を第1の発射強度で発射したときに遊技球が流下可能な遊技領域と、前記第1の発射強度よりも強い第2の発射強度で発射したときに遊技球が流下可能な遊技領域とに分けられ、
少なくとも前記第2の発射強度で発射された遊技球が流下可能な遊技領域には、遊技球が入球することにより前記普通図柄の抽選の起因となる作動口と、前記第2の始動口及び前記大入賞装置とが設置され、
前記大当り遊技実施手段は、前記第2の特別図柄の当否判定に起因する前記小当り遊技に移行すると所定の確率で前記役物当りが生起するように構成され、
前記変動テーブル設定手段は、
前記第2の特別図柄の当否判定に起因する大当り遊技終了後に実施された前記特典遊技にて用いられる専用の変動テーブルとして、第1の変動テーブルと、該第1の変動テーブルよりも平均変動時間が長時間とされた第2の変動テーブルとを備え、
前記第2の特別図柄の保留記憶数に応じて前記第1の変動テーブル又は前記第2の変動テーブルのいずれかを選択することを特徴とする。
前記特典遊技とは、普通図柄の抽選結果に応じて第2の始動口を入球困難な状態又は入球可能若しくは入球容易な状態に切替えるように開閉動作する普通電動役物の開放時間を延長する開放延長機能と、普通図柄の抽選に伴う普通図柄の変動時間を短縮する時短機能とが機能する遊技状態が望ましい。
前記特典遊技制限手段は、特別図柄の変動回数により特典遊技を制限するようになし、第1の特別図柄の当否判定に起因する大当り遊技終了後に実施された特典遊技と、第2の特別図柄の当否判定に起因する大当り遊技終了後に実施された特典遊技とで制限回数を相違させることが望ましく、前者に比べて後者の制限回数を例えば1回など極めて少なくすることが望ましい。
前記大当り遊技実施手段は、第2の特別図柄の小当り遊技から役物当りが生起する前記所定の確率として、記憶可能な最大保留記憶数に対して1回起きる確率とすることが望ましい。
第1の変動テーブル及び第2の変動テーブルは、各々、図柄変動時間の異なる複数の変動時間を備え、それらの中からひとつの変動時間が選択される構成が望ましい。そして、第1の変動テーブルの変動時間の平均時間よりも、第2の変動テーブルの変動時間の平均時間を長くしてある。これに限らず、各変動テーブルはひとつの変動時間のみで構成し、第1の変動テーブルの変動時間よりも、第2の変動テーブルの変動時間の変動時間を長くしてもよい。
尚、第1の特別図柄の当否判定に起因する大当り遊技終了後に実施された特典遊技にて用いる該特典遊技専用の変動テーブルを設け、通常の遊技と区別するようにしてもよい。
【0007】
この発明によれば、第2の特別図柄の保留記憶を行うようにし、第2の特別図柄の当否判定による大当り遊技後の特典遊技状態における特別図柄の変動時間を、第2の特別図柄の保留記憶数に応じて変化させるようにしたので、保留記憶数によって役物当りの発生率が変化するため、第2の特別図柄の当否判定による大当り遊技後の特典遊技状態で、第2の始動口にいくつ入球させられるかで遊技者を一喜一憂させることができる。
例えば、第2の特別図柄の当否判定による大当り遊技後、特典遊技状態の開始時に、第2の特別図柄の保留記憶数が0〜1個の場合に変動時間の短い第1の変動テーブルが選択されると、第2の始動口への入球が少ない状態で特典遊技が終了するため、保留記憶が貯めづらく第2の特別図柄の抽選回数が少なくなる。抽選回数が少ないとそれだけ役物当りの可能性が低くなる。一方、保留記憶数が2個以上の場合に変動時間の長い第2の変動テーブルが選択されると、第2の始動口への入球が比較的多い状態で特典遊技が終了するため、保留記憶が貯まり第2の特別図柄の抽選回数が多くなる。抽選回数が多いとそれだけ役物当りの可能性が高くなる。
尚、遊技球の流下タイミング次第では、不利な(変動時間が短い)変動時間でも第2の始動口に複数入賞する可能性があり、一旦保留記憶数が2〜3個(この場合、保留記憶のシフト処理後なので保留記憶数が上限の4個であることはまず有り得ない)になれば有利な(変動時間が長い)変動時間になり、第2の特別図柄の当否判定回数が増えて役物当りの可能性が高くなる、という遊技性を成立させることもできる。
従って、従来構造のような保留記憶に関する遊技者の違和感を払拭することができ、かつ、いかに第2の特別図柄の保留記憶を貯めて大当り遊技を連荘させることができるか否かに遊技者の関心を持たせ、遊技に集中させることで遊技の面白みを高めることができるとともに、保留記憶の発生数は遊技球の不規則な挙動の結果によるため運の要素があり、遊技球を用いるパチンコ遊技機特有の遊技性とすることができる。
また、前記特典遊技制限手段による特典遊技の実施回数制限と、前記大当り遊技実施手段により第2の特別図柄の小当り遊技からの役物当りが所定の確率で生起するように管理されるので、賞球の出球率等が設計値から逸脱せずに済む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明を適用した実施形態の弾球遊技機の正面図である。
図2】前記弾球遊技機の遊技盤の正面図である。
図3】前記遊技盤に設けられた大入賞装置の作動説明図である。
図4】前記弾球遊技機の背面図である。
図5】前記弾球遊技機の電気ブロック図である。
図6】前記弾球遊技機の遊技仕様の説明図である。
図7】前記弾球遊技機の主制御装置で実行されるメインルーチンの制御内容を示すフローチャートである。
図8】前記主制御装置で実行される始動入賞処理の制御内容を示すフローチャートである。
図9】前記主制御装置で実行される特別図柄の当否判定処理の制御内容を示す第1のフローチャートである。
図10】前記当否判定処理の制御内容を示す第2のフローチャートである。
図11】前記当否判定処理の制御内容を示す第3のフローチャートである。
図12】前記当否判定処理の制御内容を示す第4のフローチャートである。
図13】前記当否判定処理の制御内容を示す第5のフローチャートである。
図14】前記主制御装置で実行される変動テーブ決定処理の制御内容を示すフローチャートである。
図15】前記弾球遊技機の変動テーブルに関する説明図である。
図16】前記主制御装置で実行される特別遊技処理の制御内容を示す第1のフローチャートである。
図17】前記特別遊技処理の制御内容を示す第2のフローチャートである。
図18】前記特別遊技処理の制御内容を示す第3のフローチャートである。
図19】前記特別遊技処理の制御内容を示す第4のフローチャートである。
図20】前記特別遊技処理の制御内容を示す第5のフローチャートである。
図21】前記特別遊技処理の制御内容を示す第6のフローチャートである。
図22】前記弾球遊技機の時短遊技状態での第2特図始動口への入球に関する第1のタイミングチャートである。
図23】前記第2特図始動口への入球に関する第2のタイミングチャートである。
図24】前記第2特図始動口への入球に関する第3のタイミングチャートである。
図25】前記弾球遊技機の演出図柄表示装置で実行される時短遊技状態の演出表示態様の説明図である。
図26】本発明を適用した他の実施形態の弾球遊技機の変動テーブルに関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を適用した実施形態の弾球遊技機たるパチンコ機を説明する。図1に示すように、パチンコ機1は、縦長の固定外郭保持枠をなす外枠10にて構成の各部を保持する構造である。外枠10には、左側の上下の位置に設けたヒンジ101を介して、板ガラス110が嵌め込まれた前枠(ガラス枠)11及び図略の内枠が開閉可能に設けられている。なお、これら前枠11及び前記内枠はシリンダ錠18により外枠10に閉鎖ロックされ、シリンダ錠18に所定の鍵を挿入し、鍵を時計回りに操作して前記内枠を開放するようになし、反時計まわりの操作により前枠11を開放する。
前枠11の板ガラス110の奥には前記内枠に保持された遊技盤2(図2)が設けられている。
【0014】
前枠11の上部の左右両側位置にはそれぞれスピーカ112が設置してあり、これらにより遊技音が出力され、遊技の趣向を向上させる。また前枠11には遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ113の他、遊技の異常を報知するLED類が設けられている。
【0015】
前枠11の下半部には遊技球貯留皿である上皿12と下皿13とが一体に形成されている。下皿13の右側には発射ハンドル14が設けられ、該発射ハンドル14を時計回りに操作することにより発射装置が作動して、上皿12から供給された遊技球が遊技盤2に向けて発射される。また上皿12には賞球が払い出される。
下皿13は上皿12から溢れた賞球を受ける構成で、球抜きレバーの操作により下皿13に貯まった遊技球を遊技店に備えられた別箱(ドル箱)に移すことができる。
【0016】
本パチンコ機1は所謂CR機であって、プリペイドカードの読み書きを行うプリペイドカードユニット(CRユニット)CRが隣接されている。パチンコ機1には上皿12の右側に貸出ボタン171、精算ボタン172及び精算表示装置173が設けられている。また上皿12の中央位置には遊技者が操作可能な演出ボタン15と、その外周を囲むようにジョグダイヤル16が設置されている。
【0017】
図2は、本パチンコ機の遊技盤2の正面図である。遊技盤2には外レール201と内レール202とによって囲まれた略円形の遊技領域20が形成されている。遊技領域20には図示しない風車や多数の遊技釘が植設されている。
遊技領域20の中央部にはセンターケース200が配置されている。センターケース200は中央に演出図柄表示装置21(全体の図示は省略)のLCDパネルが設けられている。またセンターケース200には、周知のものと同様にワープ入口、ワープ樋、ステージなどが設けられている。
【0018】
遊技領域20は、センターケース200により左右に分けられ、遊技球を弱めの第1の発射強度で発射したときに遊技球が流下可能な左側の遊技領域と、前記第1の発射強度よりも強い第2の発射強度で発射したときに遊技球が流下可能な右側の遊技領域とに分けられ、センターケース200の左右両側の遊技領域にはそれぞれ遊技球が流下可能な流下路が設けられている。
遊技球をセンターケース200の左側の流下路へ流下させるには発射ハンドル14を操作して遊技球を弱めに発射する「左打ち」を行う。これにより、センターケース200の左側面に設けられたワープ入口よりワープ樋を通して、センターケース200の中央直下位置に設けられた第1特図始動口23Aへの入球を狙える。第1特図始動口23Aは、常時、遊技球の入球が可能で、入球により第1特別図柄(以下、単に第1特図という)の抽選(当否判定)が実行される。
【0019】
一方、遊技球をセンターケース200の右側の流下路へ流下させるには発射ハンドル14を操作して遊技球を強く発射する「右打ち」を行う。右側の流下路には、常時、遊技球が通過可能に設けられた作動ゲート22、普通電動役物にて開閉可能に設けられた第2特図始動口23B、第1大入賞装置24A、及び第2大入賞口24Bが設置されている。
【0020】
作動ゲート22は遊技球の通過により普通図柄(以下、単に普図という)の抽選が実行される起因となるゲートである。
第2特図始動口23Bは普通電動役物(普電役物)の開放時にのみ入球可能である。普電役物は、遊技球が作動ゲート22を通過したことに起因して実行される普図の抽選で当りとなると所定時間開放する。第2特図始動口23Bは入球により第2特別図柄(以下、単に第2特図という)の抽選(当否判定)が実行される起因となる入球口である。
【0021】
第1大入賞装置24Aは第1特図又は第2特図の当否判定により小当り遊技に移行すると開閉可能となる入賞口である。図3に示すように、第1大入賞装置24Aは上端部が扉により開閉可能とされた大入賞口240が設けられ、開放時に遊技球が入賞(入球)可能である。大入賞口240へ入球した遊技球は大入賞口240の中央から取り込まれトンネル状に形成された送出口241より装置内へ送られる。
【0022】
第1大入賞装置24Aの内部には中央下部に、遊技球が入球することにより小当り遊技から大当り遊技(役物当り)へ発展可能とする特定領域25が設けられている。また、特定領域25の上方位置には前記送出口241との間に、特定領域25を閉鎖或いは開放するシャッター26が設けられている。シャッター26は左右一対の開閉体を合掌状につき合わせて特定領域25を閉鎖する一方、左右に開いて特定領域25を開放する。尚、シャッター26は小当り遊技中に、一定の開閉動作を繰り返すように作動させることが望ましい。
送出口241から送り出された遊技球は、シャッター26が開放していれば特定領域25へ入球することとなり、シャッター26が閉鎖していればシャッター26の左右両側に設けられた左右一対の取込み口242,242から遊技盤内に取り込まれて第1大入賞装置24Aから排出される。
尚、第1大入賞装置24Aへ入球した遊技球は、大入賞口240に設けられた球検出センサ(第1カウントSW506、図5参照)により検出され入賞球としてカウントされる。また、前記特定領域25へ入球した遊技球及び前記各取込み口242へ取り込まれた遊技球と前記カウントを照合して大入賞装置24A内に残存している遊技球の有無を確認する構成である。
【0023】
図2に戻って、遊技領域20の前記右側の流下路に設けられた第2大入賞口24Bは、第1特図及び第2特図の大当り(図柄当り)、前記役物当りによる大当り遊技で開放可能なものである。
一方、遊技領域20の前記左側の流下路には、通常、入球が可能な複数の普通入賞口27が配置してある。また遊技領域20の中央下端部で盤面最下部にはアウト口203が設けられている。
遊技盤2の右下部にはレール201の外部の遊技領域20外に表示部が設けられ、これには第1特図が変動表示される第1特図表示装置28A、第2特図が変動表示される第2特図表示装置28B、第1特図の保留記憶が表示される第1特図保留数表示装置281、第2特図の保留記憶が表示される第2特図保留数表示装置282、前記普図が変動表示される普図表示装置29、及び普図の保留記憶が表示される普図保留数表示装置291が配設されている。
【0024】
図4に示すように、パチンコ機1の裏側は、前記遊技盤2を脱着可能に取付ける内枠30が収納されている。内枠30は、前記前枠11と同様に、一方の側縁(図3の右側)の上下位置が前記外枠10にヒンジ結合され開閉可能に設置されている。内枠30には、遊技球流下通路が形成されており、上方(上流)から球タンク31、タンクレール32、払出ユニット33が設けられ、払出ユニット33の中には払出装置が設けられている。この構成により、遊技盤2の入賞口に遊技球が入賞すれば球タンク31からタンクレール32を介して所定個数の遊技球(賞球)が払出ユニット33により払出球流下通路を通り前記上皿12に払い出される。また、本実施形態では前記賞球を払い出す払出ユニット33により前記貸出ボタン171の操作で払い出される貸球も払い出す構成としてある。
【0025】
パチンコ機1の裏側には、主制御装置40、払出制御装置41、サブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43、発射制御装置44、電源基板45が設けられている。
主制御装置40、サブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43は遊技盤2に設けられ、払出制御装置41、発射制御装置44、電源基板45は内枠30に設けられている。図4では発射制御装置44が描かれていないが、払出制御装置41の下に設けてある。
【0026】
また、球タンク31の右側には、外部接続端子板38が設けてあり、外部接続端子板38により、遊技状態や遊技結果を示す信号が図示しないホールコンピュータへ送られる。尚、従来はホールコンピュータへ信号を送信するための外部接続端子板には、盤用(遊技盤側から出力される信号をホールコンピュータへ出力するため)の端子と枠側(外枠10、前枠11、内枠30から出力される信号をホールコンピュータへ出力するため)の端子の2種類を用いているが、本実施形態では、ひとつの外部接続端子板38を介して遊技状態や遊技結果を示す信号をホールコンピュータへ送信する。
【0027】
図5は本パチンコ機の電気的構成を示すもので、遊技の制御を司る主制御装置40を中心に、サブ制御装置として払出制御装置41、サブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43を具備する構成である。主制御装置40、払出制御装置41、サブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43においては、何れもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備え、これら制御装置は何れもCPUにより、2ms周期又は4ms周期の割り込み信号に起因してROMに搭載しているメインルーチン及びサブルーチンからなるプログラムが開始され、各種の制御が実行される。
発射制御装置44にはCPU、ROM、RAM等が設けられていない。しかしこれに限るわけではなく、発射制御装置44にCPU、ROM、RAM等を設けてもよい。
【0028】
主制御装置40は、裏配線中継端子板530及び外部接続端子板38を介して遊技施設のホールコンピュータ500と電気的に接続される。また主制御装置40には、裏配線中継端子板530や遊技盤中継端子板531を介して、前枠(ガラス枠)及び内枠が閉鎖しているか否か検出するガラス枠開放SW(スイッチ)501、内枠開放SW502、第1特図始動口23Aへの入球を検出する第1特図始動口SW503、第2特図始動口23Bへの入球を検出する第2特図始動口SW504、作動ゲート22への入球を検出する普図作動SW505、第1大入賞装置24Aへの入球を検出する第1カウントSW506、第2大入賞口24Bへの入球を検出する第2カウントSW507、特定領域25への入球を検出する特定領域SW508、及び普通入賞口27への入球を検出する一般入賞口SW509等の検出信号が入力される。
【0029】
また主制御装置40は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成し、払出制御装置41や、演出中継端子板532を介してサブ統合制御装置42、演出図柄制御装置43へ向けてのコマンドの出力や、図柄表示装置中継端子板533を介して前記の第1特図表示装置28A、第2特図表示装置28B、普図表示装置29、第1特図保留数表示装置281、第2特図保留数表示装置282、及び普図保留数表示装置291等の表示制御を行う。
【0030】
更に主制御装置40は、遊技盤中継端子板531を介して、第1大入賞口SOL(ソレノイド)510、第2大入賞口SOL511、シャッターSOL512及び普電役物SOL513が接続されている。
また主制御装置40は、第1大入賞口SOL510を制御して第1大入賞装置24Aの大入賞口240を開閉作動せしめ、第2大入賞口SOL511を制御して第2大入賞口24Bを開閉作動せしめ、シャッターSOL512を制御して特定領域25を開閉作動せしめ、更に普電役物SOL513を制御して第2特図始動口23Bの普電役物の開閉作動せしめる。
主制御装置40からの出力信号は試験信号端子にも出力される他、図柄変動や大当り等の管理用の信号が外部接続端子板38を経てホールコンピュータ500に送られる。
主制御装置40と払出制御装置41とは双方向通信が可能である。
【0031】
払出制御装置41は、裏配線中継端子板530や払出中継端子板534を介して球タンクが空状態になったことを検出する球切れSW520、遊技球が払い出されたことを検出する払出SW522、遊技球貯留皿が満杯状態になったことを検出する満杯SW523等の検出信号が入力される。また主制御装置40から送られてくるコマンドに応じて払出モータ521を稼働させて遊技球を払い出させる。更に、CRユニット端子板535を介してCRユニットCRと電気的に接続され、精算表示装置173を介して球貸及び精算SW171,172による貸出要求、精算要求の操作信号を受け付け、CRユニットCRとデータを送受し、貸出要求信号に応じて払出モータ521を稼働させて貸球を払い出させ、CRユニットCRに挿入されているプリペイドカードの残高表示を制御する。
【0032】
発射制御装置44は、発射停止SW524、発射ハンドル14に遊技者が接触(操作)していることを検出するタッチSW525等の検出信号が入力される。払出制御装置41を介して主制御装置40から送られてくるコマンド(タッチSW525の信号や遊技状況を反映している)、発射ハンドル14の回動信号及び発射停止SW524の信号に基づいて発射モータ526を制御して遊技球を発射及び停止させる。
【0033】
サブ統合制御装置42には、音量調節SW、演出ボタン15やジョグダイヤル16の操作信号が入力される。
そしてサブ統合制御装置42は、スピーカ112を駆動して音声を出力することや、各種LEDや各種ランプ113等の点灯、消灯等を制御する。更に演出図柄制御装置43へキャラクタなどを表示する擬似演出や第1特図又は第2特図の擬似図柄の表示態様のコマンドを送信する。
【0034】
演出図柄制御装置43は、LCDパネルユニットや付属ユニットと共に演出図柄表示装置21を構成している。演出図柄制御装置43は、サブ統合制御装置42から送られてくるコマンドに応じて演出図柄表示装置21のLCDパネルの表示を制御する。
【0035】
次にパチンコ機1の作動を説明する。
パチンコ機1は、第1特図始動口23Aへの入球に起因して第1特図の当否判定が実行され、第2特図始動口23Bへの入球に起因して第2特図の当否判定が実行される。当否判定に応じて第1特図表示装置28A又は第2特図表示装置28Bと演出図柄表示装置21の図柄変動を開始する。その後、第1又は第2特図表示装置28A,28Bに第1又は第2特図の確定図柄を、演出図柄表示装置21に第1又は第2特図に対応する擬似演出図柄を確定表示して第1又は第2特図の当否判定の結果を報知する。
判定結果が大当り(図柄当り)となると、条件装置が作動することによって役物連続作動装置が作動して第2大入賞口24Bが賞球の獲得に有利な所定の態様で開放される大当り遊技(特別遊技)が実行される。
【0036】
一方、第1又は第2特図の当否判定の結果が小当りでは、特別電動役物のみが作動し、これを起因に第1大入賞装置24Aの大入賞口240が大当り遊技の第2大入賞口24Bよりも開放回数、開放時間が不利な態様で開放される小当り遊技が実行される。このとき、第1大入賞装置24Aの特定領域25へ遊技球が入球することにより前記条件装置が作動し、これにより役物連続作動装置が作動して大当り(役物当り)へ昇格(発展)可能とし、第2大入賞口24Bを開閉する大当たり遊技を実行可能とする基本構成を有する。尚、大入賞口が1つの構成で、前記第1大入賞口24A、第2大入賞口24Bの役割を果たす構成でもよい。
【0037】
大当り遊技終了後には、大当りや小当りとなった特図の当り図柄等に応じて、第2特図始動口23Bへ遊技球を入球させるのに有利な特典遊技として、普通電動役物たる第2特図始動口23Bの開放時間を延長する(開放延長機能)とともに普図の平均変動時間を短くする時短機能が付与される時短遊技(又は開放延長遊技)に移行することが可能な構成である。
図6(a)は本パチンコ機1の遊技仕様を示し、大当り確率は第1特図及び第2特図ともに「199分の1」とされ、小当り確率は第1特図が「199分の2」で、第2特図が「199分の198」とされている。
時短遊技を制限するための時短(開放延長)の回数(制限回数)は、第1特図の当否判定に起因する大当り遊技終了後の時短遊技の場合は「100回」(図柄変動回数)又は次回の大当りが生起するまでとされている。尚、小当りでは、小当り遊技終了後に、小当りが生起した時点の時短回数から時短遊技が継続される。
一方、第2特図の当否判定に起因する大当り遊技終了後の時短遊技では極めて短い「1回」(図柄変動回数)とされている。
そして通常遊技状態からの大当り遊技の終了後に時短遊技に移行する確率(時短確率)は、第1特図が「50%」とされ、第2特図では「75%」とされている。
【0038】
大当り遊技は、第1特図、第2特図ともに前記図柄当りでは第2大入賞口24Bの「28秒」間の開放が「16ラウンド」(16回)行われる遊技が実施され、この場合の大当り出球は約「2000個」とされている。
一方、役物当りでは第2大入賞口24Bの「28秒」間の開放が「4ラウンド」(4回)行われる遊技が実施され、この場合の大当り出球は約「500個」とされている。
【0039】
小当りから役物当りに発展する確率は、第1特図が「16分の1」とされ、第2特図では「4分の1」とされている。
また小当り遊技の第1大入賞装置24Aの開放時間は、第1特図及び第2特図ともに約「2秒」とされている。
【0040】
図6(b)に示すように、普図の当選確率(普図確率)は、通常遊技状態、時短遊技状態に拘わらず「1.6分の1」とされている。
そして、通常遊技状態における普図の変動時間は約20秒に設定され、普電役物の開放時間は約「0.3秒」とされている。これに対して、時短遊技状態における普図の変動時間は約「1秒」に設定され、普電役物の開放時間は約「1秒」とされている。従って、通常遊技では、普電役物の開放時間が非常に短いので第2特図の図柄変動は望めず、前記「左打ち」にて第1特図の大当り(図柄当り)を狙うこととなる。
第1特図の大当りが生起し、その大当り遊技終了後に時短遊技状態となると、前記「右打ち」を行い、第2特図の小当りを経た大当り(役物当り)を狙う。更には第2特図の保留記憶を行うようにし、第2特図の小当り発生時に第2特図の保留記憶を貯め、第2特図の小当りを経た大当り(役物当り)の連荘を狙うことが可能な構成である。
【0041】
以下、作動の詳細を主制御装置40で実行されるプログラム処理に基づいて説明する。
図7は主制御装置40で実行される「メインルーチン」のフローチャートを示し、「メインルーチン」は本処理(S100〜S110,S115)と残余処理(S111)とで構成され、2ms又は4ms周期の割り込み信号に起因して開始され、最初に正常割り込みか否かを判断する(S100)。この判断はRAMの特定アドレスに特定の数値が書き込まれているか否かに基づいて行われ、ここで否定判断(S100:no)なら初期設定(S115)を実行する。前述の正常割り込みか否かを判断するための数値は、この初期設定の一環としてRAMに書き込まれる。
【0042】
正常割り込みなら(S100:yes)、初期値乱数更新処理(S101)、第1又は第2特図の当否判定用の乱数値である大当り決定用乱数(乱数カウンタ)の更新処理(S102)、第1又は第2特図の大当り図柄決定用乱数(乱数カウンタ)の更新処理(S103)、普図の当り決定用乱数(乱数カウンタ)の更新処理(S104)、第1又は第2特図のリーチに関するリーチ判定用乱数(乱数カウンタ)の更新処理(S105)、第1又は第2特図の変動パターン(変動時間)に関する変動パターン決定用乱数(乱数カウンタ)の更新処理(S106)、入賞確認処理(S107)、当否判定処理(S108)、各出力処理(S109)、不正監視処理(S110)を行って、次に割り込み信号が入力されるまでの残余時間内には初期乱数更新処理(S111)をループ処理する。
【0043】
次に、本発明に関わりの深い入賞確認処理(S107)、当否判定処理(S108)及び各出力処理(S109)の一部のサブルーチンについて説明する。
図8に示す「特図始動入賞確認処理」は、第1特図始動口23A、第2特図始動口23Bに遊技球が入球したときに抽出される当否乱数等の種々の乱数値を、保留記憶として主制御装置40に格納(記憶)する。そして各特図始動口23A,23Bへの入球に起因する各種コマンドをサブ統合制御装置42に送信する処理となる。以後、第1特図始動口23Aに遊技球が入球したときに格納される第1特図の保留記憶を第1保留記憶、第2特図始動口23Bに遊技球が入球したときに格納される第2特図の保留記憶を第2保留記憶とする。尚、本実施形態における記憶可能な保留記憶数は第1保留記憶数、第2保留記憶数ともに4個である。
【0044】
本「特図始動入賞確認処理」は、先ず、S200の処理において第1特図始動口SW503により第1特図始動口23Aへの入球を検出したか否かを判定する。入球が無ければ(S200:no)、S204の処理に移行する。入球が有れば(S200:yes)、S201の処理において主制御装置40に格納されている第1保留記憶が満杯(=4個)か否か確認する。満杯であれば(S201:yes)、S204に進み、満杯でなければ(S201:no)、S202の処理において第1特図の大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を抽出し、抽出された各種の乱数の値を第1保留記憶として記憶し、第1保留記憶数を示す第1保留記憶カウンタに1を加算する(特許請求の範囲に記載の保留記憶手段に相当)。
続くS203の処理で加算した第1保留記憶カウンタの値を示す第1保留数指示コマンドをサブ統合制御装置42に送信する。
【0045】
次に、S204の処理では、第2特図始動口SW504により第2特図始動口23Bへの入球を検出したか否かを判定する。入球が無ければ(S204:no)、リターンする。入球が有れば(S204:yes)、S205の処理において主制御装置40に格納されている第2保留記憶が満杯(=4個)か否かを確認する。満杯であれば(S205:yes)、リターンし、満杯でなければ(S205:no)、S206の処理において第2特図の大当り決定用乱数、大当り図柄決定用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン決定用乱数等を抽出し、抽出された各種の乱数の値を第2保留記憶として記憶し、第2保留記憶数を示す第2保留記憶カウンタに1を加算する(特許請求の範囲に記載の保留記憶手段に相当)。
続くS207の処理で加算した第2保留記憶カウンタの値を示す第2保留数指示コマンドをサブ統合制御装置42に送信する。
【0046】
次に図9乃至図13に基づいて第1特図又は第2特図の当否判定を実行する「特図当否判定処理」を説明する。尚、以降の説明において、第1特図又は第2特図を区別する必要がある場合を除き、両者を同等と見做して単に「特図」という。
図9に示すように、「特図当否判定処理」は、先ず、S300の処理において条件装置が未作動であるか否かを確認して大当り遊技中であるか否かを確認する。条件装置が作動中(S300:no)であればリターンする。
条件装置が未作動で大当り遊技中でなければ(S300:yes)、S301の処理において特図の変動が停止中か否かを確認する。変動停止中であれば(S301:yes)、S302の処理において特図の確定図柄が未表示であるか否かを確認する。
尚、第1大入賞装置24A内に遊技球がない状態であるときにこの「当否判定処理」を実行するように、特図の変動時間、小当り遊技の開始インターバル、終了インターバルなどを、大入賞口への入賞から排出までに要する時間以上の時間となるように設定している。
【0047】
前記S302の処理で確定図柄が未表示中であれば(S302:yes)、S303の処理において第1特図又は第2特図の保留記憶があるか否かを確認する。
第1特図又は第2特図の保留記憶があれば(S303:yes)、S304の処理において保留記憶のシフト処理を行う。該シフト処理により保留記憶のうち最も古い保留記憶が当否判定の対象となる。この場合、第1特図の保留記憶よりも第2特図の保留記憶を優先的に当否判定することが望ましい。
第1特図又は第2特図の保留記憶がいずれもなければ(S303:no)、リターンする。
【0048】
S305の処理では、当否判定用テーブルと前記当否判定の対象となる保留記憶の大当り決定用乱数の値とを対比して当否判定を行い、当否判定が大当り(図柄当り)であるか否かの確認を行う。大当りであれば(S305:yes)、S306の処理にて前記当否判定の対象となる保留記憶の大当り図柄決定用乱数の値に基づいて大当り図柄を決定し、S307の処理において大当り時の特図の変動パターン(変動時間)を決定する。
【0049】
前記変動パターンは、図14に示す「変動テーブル決定処理」(特許請求の範囲に記載の変動テーブル設定手段に相当)により現在の遊技状態(時短状態、通常状態)及び第2特図の保留記憶数に応じて変動テーブルが決められ、決定された変動テーブルから変動パターン決定用乱数の値に応じて決められる。
処理の説明に先立って、変動テーブルを説明する。図15(a)(b)に示すように、変動テーブルとして、「変動テーブルA」、「変動テーブルB」、「変動テーブルC」の3種類を備える。
「変動テーブルA」は第1特図による大当り遊技終了後に時短遊技となったとき、及び通常遊技状態のときに選択されるもので、複数種類の変動パターンを有し、これらの平均変動時間は「3秒」とされている。従って「変動テーブルA」から決定された変動パターンによる変動中には第2特図の保留記憶が貯まり難い。
「変動テーブルB」(特許請求の範囲に記載の第1の変動テーブルに相当)、「変動テーブルC」(特許請求の範囲に記載の第1の変動テーブルに相当)は第2特図による大当り遊技終了後の時短遊技で選択され、且つ第2特図の保留記憶数に応じて決定される。「変動テーブルB」は複数種類の変動パターンを有し、これらの平均変動時間は「2秒」とされ、「変動テーブルB」から決定された変動パターンによる変動中には第2特図の保留記憶が貯まり難い。一方、「変動テーブルC」は複数種類の変動パターンを有し、これらの平均変動時間は「変動テーブルB」のそれよりも長時間の「8秒」とされ、「変動テーブルC」から決定された変動パターンによる変動中には第2特図の保留記憶が貯まりやすい。
尚、各「変動テーブルA、B、C」はそれぞれ、複数種類の変動パターンを備え、これらの中からひとつの変動パターンを選択する構成に限らず、テーブル内に単一の変動パターンを備える構成でもよい。
【0050】
図14に示すように「変動テーブル決定処理」は、先ずS400の処理において、後述の維持フラグが「1」であるか否かを確認し、維持フラグが「1」でなければ(S400no)、S401の処理において第2特図の大当り遊技終了後に付与された時短であるか否かを確認する。第2特図の大当り遊技後の時短であれば(S401:yes)、S402の処理において第2特図の保留記憶数が予め設定された所定の記憶数以上であるか否かを確認する。本実施形態では前記所定の記憶数を「2個」(図15(c)参照)としている。
【0051】
前記第2特図の保留記憶数が予め設定された所定の記憶数以上であれば(S402:yes)、S403の処理において、変動テーブルとして「変動テーブルC」が選択される。続くS404の処理において、一旦「変動テーブルC」が選択されると、この選択を継続するための維持フラグに「1」をセットする。このように維持フラグを「1」とすることでフラグが「1」の間は、前記S400の処理で肯定判定され(S400:yes)、前記S403の処理にジャンプして「変動テーブルC」が選択される。尚、維持フラグは、小当り遊技で特定領域25への入球がなく、役物当りが生起しないときにリセットされ、「変動テーブルC」の選択継続が解除される。
一方、前記S402の処理で保留記憶数が予め設定された所定の記憶数にみたなければ(S402:no)、S405の処理において「変動テーブルB」が選択される。
また前記S401の処理において、第2特図の大当り遊技後の時短でなく、第1特図の大当り遊技後の時短遊技、又は通常遊技であれば(S401:yes)、S406の処理において「変動テーブルA」が選択される。
前記S404乃至S406の何れかの処理の後、リターンする。
【0052】
図9に戻って、S308の大当り内容設定処理において、前記大当り図柄決定用乱数の値に基づいて大当り遊技(特別遊技)の内容(第2大入賞口24Bの開放パターン、オープニング演出時間、エンディング演出時間等)及び大当り遊技終了後の遊技状態等の設定を行う。
その後、S309の処理において前記当否判定結果を示すデータ(大当り、小当り、ハズレの種類、リーチの有り無し、変動時間など)を含んだ特図変動開始コマンドをサブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43に出力するとともに、第1特図表示装置28A又は第2特図表示装置28Bにおいて第1特図又は第2特図を変動表示させる処理を行う。該S309の処理後、リターンする。
【0053】
前記S305の処理で大当りでなければ(S305:no)、図10に示すように、S310の処理において前記大当り判定用乱数の値が前記当否判定用テーブルの小当りの当り値と一致していたか否かを判定する。小当りであれば(S310:yes)、S311の処理にて前記保留記憶の図柄決定用乱数の値に基づいて小当り図柄を決定する。尚、S305,S310の処理は特許請求の範囲に記載の「当否判定手段」に相当する。
【0054】
続くS312の変動パターン決定処理では、前記S307の処理と同様に前記「変動テーブル決定処理」により変動テーブルが決められ、決定された変動テーブルから前記変動パターン決定用乱数の値に応じて特図の小当り用の変動パターンを決定する。
【0055】
次に、S313の小当り内容設定処理において、前記大当り図柄決定用乱数の値に基づいて小当り遊技の内容(第1大入賞装置24Aの開放パターン、オープニング演出時間、エンディング演出時間等)及び小当り遊技終了後の遊技状態等の設定を行う。更に遊技状態、例えば特定領域への入球率に合わせた小当り遊技時間を設定する。その後、前記S309へ移行して変動開始コマンド送信処理を行う。
【0056】
S305及びS310の処理で大当りでも小当りでもなければ(S305、S310:no)、当否判定はハズレとなって、S314の処理にてハズレ図柄を決定した後にS315の処理で、前記S307,S312と同様にハズレの特図の変動パターンを決定する。その後、前記S309へ移行してこの処理を行う。
【0057】
前記図9の前記S301の処理で特図の変動が停止中でなければ(S301:no)、図11に示すように、S320の処理に移行して、特図の変動時間が経過したか確認する。変動時間が経していなければ(S320:no)、リターンする。
一方、変動時間が経過したことを確認すると(S320:yes)、S321の処理においてサブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43に図柄停止コマンドを送信する。
続くS322の処理において図柄が大当り図柄であることが確認できれば(S322:yes)、S323の処理において第1特図表示装置28A又は第2特図表示装置28Bに大当り図柄を確定表示させる処理を行う。
【0058】
続いてS324の処理において条件装置の作動を開始させ、S325の処理において役物連続作動装置の作動を開始させる。条件装置は大当り遊技で役物連続作動装置の作動に必要な装置であり、役物連続作動装置は特別電動役物を連続して作動させる装置である。
その後、S326の処理において時短フラグが「1」(時短中)であることが確認できれば(S326:yes)、S327の処理において時短フラグを「0」にリセットする。そしてS328の処理において大当りフラグに「1」をセットする。尚、前記S326の処理で時短フラグが「1」でなくても(S326:no)S328の処理において大当りフラグに「1」をセットする。その後、リターンする。
【0059】
前記S322の処理において図柄が大当り図柄であることが確認できなければ(S322:no)、S330の処理において図柄が小当り図柄であるか否かを確認する。小当り図柄であることが確認できれば(S330:yes)、S331の処理において第1特図表示装置28A又は第2特図表示装置28Bに小当り図柄を確定表示させる処理を行う。
その後、S332の処理において時短フラグが「1」(時短中)であることが確認できれば(S332:yes)、S333の処理において時短フラグを「0」にリセットする。更にS334の処理において時短遊技の付与回数を制限する時短カウンタのカウント値を記憶する。これにより小当り遊技終了後に時短を、小当り発生時の時短回数から継続させる。そしてS335の処理において小当りフラグに「1」をセットする。尚、前記S331の処理で時短フラグが「1」でなくても(S331:no)、S335の処理において小当りフラグに「1」をセットする。その後、リターンする。
【0060】
前記S322及び前記S330の処理で大当り図柄でも小当り図柄でもなければ(S322、S330:no)、ハズレ図柄であるので、図12に示すように、S340の処理において第1特図表示装置28A又は第2特図表示装置28Bにハズレ図柄を確定表示させる処理を行う。
【0061】
続くS341の処理において時短フラグが「1」であるか否かを確認し(時短中であるか否か)、時短フラグが「1」であれば(S341:yes)、S342の処理にて前記時短カウンタを減算し、続くS343の処理において減算したカウント値が「0」であるか否かを確認する。カウント値が「0」であれば(S343:yes)、時短が終了となり、S344の処理において時短フラグを「0」にリセットする。その後、リターンする。尚、前記S342乃至S344の処理は特許請求の範囲に記載の特典制限手段に相当する。
【0062】
前記図9のS302の処理で確定図柄表示中のときは(S302:no)、図13に示すように、S350の処理において確定図柄の表示時間が経過したことを確認すると(S350:yes)、S351の確定図柄表示終了処理において第1特図表示装置28A又は第2特図表示装置28Bの確定図柄表示の終了、サブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43へ確定図柄表示の終了に関するコマンドを送信し、リターンする。
【0063】
次に図16乃至図21に基づいて、主制御装置40で処理され、大当り遊技及び小当り遊技を実施する「遊技処理」を説明する。図16に示すように、「遊技処理」は先ず、S500の処理において前記大当りフラグが「0」であるか否かを確認する。大当りフラグが「0」であれば(S500:yes)、大当りでないので、S501の処理において前記小当りフラグが「0」であるか否かを確認する。小当りフラグが「0」であれば(S500:yes)、大当りでも小当りでもないのでリターンする。
【0064】
前記S501の処理で小当りフラグが「0」でなければ(S501:no)、S502の処理において小当り開始演出中であるか否かを確認する。小当り演出中であれば(S502:yes)、S503の処理において小当り開始演出時間が経過したかを確認し、時間の経過が確認できれば(S503:yes)、続くS504の第1大入賞口開放処理において、第1大入賞装置24Aの大入賞口240を前記S313(当否判定処理、図10)で設定された態様で開放せしめる。続くS505の処理において第1大入賞装置24Aの特定領域25への入球検出を有効とする。
【0065】
前記S502の処理において小当り開始演出中でなければ(S502:no)、S506の処理において第1大入賞装置24Aが開放中であるか否かを確認する。第1大入賞装置24Aが開放中でなければ(S506:no)、S507の処理において前記特定領域25が有効であるか否かを確認する。特定領域25が有効でなければ(S507:no)、S508の処理において小当り終了演出中であるか否かを確認し、小当り終了演出中であれば(S508:yes)、S509の処理において小当り終了演出終了時間であるか否かを確認する。演出終了時間であれば(S509:yes)、続くS510の処理において前記小当りフラグを「0」にリセットして小当り遊技を終了する。更にS511の処理において前記時短フラグに「1」をセットし、小当り遊技終了後に時短を継続させる。尚、この処理では前記S334の処理で記憶された時短カウンタの記憶を時短回数に設定する。その後、リターンする。
【0066】
前記S508の処理において小当り終了演出中でなければ(S508:no)、S512の処理において小当り開始演出処理を行ない、これにより小当り開始コマンドをサブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43へ送信する(特許請求の範囲に記載の小当り遊技実施手段に相当)。その後、リターンする。
【0067】
前記S506の処理において第1大入賞装置24Aが開放中であれば(S506:yes)、図17に示すように、S520の処理において第1大入賞装置24Aへの入球数が規定数である10個に達したか否かを確認する。規定数に達したことを確認すれば(S520:yes)、S522の処理において第1大入賞装置24Aを閉鎖する。
一方、規定数に達していなければ(S520:no)、S521の処理において第1大入賞装置24Aの開放時間が終了したか否かを確認する。
【0068】
該S521の処理において第1大入賞装置24Aの開放時間が終了していない(S521:no)、又は前記図16の前記S507の処理において特定領域25が有効であれば(S507:yes)、図18に示すようにS530の処理において特定領域25への入球(入賞)があるか否かを確認する。
【0069】
前記S530の処理において特定領域25への入球があれば(S530:yes)、S531の処理及びS532の処理において条件装置の作動を開始させ、役物連続作動装置の作動を開始させる。
続くS533の処理において第1大入賞装置24Aが開放中であることが確認されれば(S533:yes)、S534の処理において第1大入賞装置24Aを閉鎖し、更にS535の処理において特定領域25を無効化する。
その後、S536の処理において役物大当り開始演出の設定を行ない、これによりサブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43へ役物大当り開始コマンドを送信する。そしてS537の処理において小当りフラグを「0」にリセットするとともに、S538の処理において大当りフラグに「1」をセットする。これにより小当りから大当り(役物当り)へ移行する。またここでは前記時短フラグを「0」にリセットして時短遊技を終了させる。その後、リターンする。
【0070】
前記S530の処理において特定領域25への入球がなければ(S530:no)、S539の処理において特定領域25有効期間が終了したか否かを確認し、有効期間が終了であれば(S539:yes)、S540の処理において小当り終了演出の設定を行ない、これによりサブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43へ小当り終了コマンドを送信する。続くS541の処理において前記維持フラグを「0」にリセットする。その後、リターンする。
【0071】
前記図16の前記S500の処理において大当りフラグが「0」でなければ(S500:no)、図19に示すように、S550の処理において第2大入賞口24Bが開放中であるか否かを確認する。開放中でなければ(S550:no)、S551の処理において大当りのインターバル中であるか否かを確認する。
【0072】
前記S551の処理においてインターバル中でなければ(S551:no)、S552の処理において大当り終了演出中であるか否かを確認し、終了演出中でなければ(S552:no)、S553の処理において大当り開始演出中であるか否かを確認する。
大当り開始演出中であれば(S553:yes)、S554の処理において大当り開始演出時間が経過したか否かを確認し、演出時間の経過を確認できれば(S554:yes)、S555の処理において第2大入賞口24Bを開放する。その後、リターンする。
【0073】
前記S553の処理において大当り開始演出中でなければ(S553:no)、S556の処理において大当り開始演出処理を行ない、これにより大当り開始コマンドをサブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43へ送信する(特許請求の範囲に記載の大当り遊技実施手段に相当)。その後、リターンする。
【0074】
前記S551の処理で大当りのインターバル中であれば(S551:yes)、S557の処理においてインターバル終了時間であるか否かを確認し、インターバル終了時間であれば(S557:yes)、S558の処理において第2大入賞口24Bを開放する。その後、リターンする。
【0075】
前記S550の処理におい第2大入賞口24Bが開放中であれば(S550:yes)、図20に示すように、S560の処理において第2大入賞口24Bへの入球数が規定数である10個に達したか否かを確認する。規定数に達したことを確認すれば(S560:yes)、S562の処理において第2大入賞口24Bを閉鎖する。
一方、規定数に達していなければ(S560:no)、S561の処理において第2大入賞口24Bの開放時間が終了したか否かを確認する。開放時間の終了を確認すれば(S561:yes)、第2大入賞口24Bを閉鎖する(S562)。
【0076】
続くS563の処理において大当りの最終ラウンドが終了したか否かを確認する。最終ラウンドの終了であれば(S563:yes)、S564の処理において大当り終了演出処理を行ない、これにより大当り終了コマンドをサブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43へ送信する。その後、リターンする。
一方、最終ラウンドの終了でなければ(S563:no)、S565の処理において開放間インターバル(大当りインターバル)処理を行ない、これにより大当りインターバルコマンドをサブ統合制御装置42及び演出図柄制御装置43へ送信する。その後、リターンする。
【0077】
前記図19の前記S554の処理において大当り終了演出中であれば(S564:yes)、図21に示すように、S570の処理において大当り終了演出時間が経過したか否かを確認し、演出時間の経過を確認できれば(S570:yes)、S571の処理において前記条件装置を停止する。そしてS572の処理において前記役物連続作動装置を停止する。
【0078】
続くS573の処理において、大当り遊技終了後に時短を付与するか否かを確認する。
時短を付与する場合には(S573:yes)、S574の処理において前記時短フラグに「1」をセットし、更にS575の処理において大当り遊技終了後の遊技状態を設定するようになし、第1特図の大当り遊技終了後に時短を付与する場合には時短カウンタに制限回数である「100」を、第2特図の大当り遊技終了後に時短を付与する場合には時短カウンタに制限回数である「1」を設定する(特許請求の範囲に記載の特典遊技実施手段に相当)。そしてS576の処理において大当りフラグを「0」にリセットして大当り遊技を終了する。
尚、図略ではあるが、小当り遊技の終了後には、前記S334の処理の時短カウンタの値が制限回数に達していなければ時短遊技が付与される。前記時短カウンタの値が制限回数であれば時短遊技が終了する(特許請求の範囲に記載の特典制限手段に相当)。
【0079】
このように構成された本パチンコ機1は、通常遊技状態では、第2特図始動口23Bへの入球が望めず、第1特図始動口23Aを狙って第1特図の大当り(図柄当り)を目指すこととなる。
第1特図の大当りが生起し、その後に遊技状態が時短遊技状態となると、第2特図始動口を狙って第2特図の小当りを目指す。
時短遊技状態では、前記「右打ち」遊技により遊技球が作動ゲート22を通過し、普図の抽選及び普図の保留記憶が貯まる可能性が高い。そして普図の抽選により普電役物が開放すると第2特図始動口23Bへの入球が可能となる。
【0080】
図22のタイミングチャートに示すように、第1特図の大当り遊技の後に遊技状態が時短遊技状態(開放延長機能作動)となり(ア)、且つ第1特図の保留記憶がない場合、「右打ち」遊技により遊技球が作動ゲート22(普図始動口)を通過(入球)すると(イ)、普図の抽選が行われ、これに伴い普図の変動が行われる。この場合、普図の当選確率は高いので概ね当選することとなり、普電役物が開放される(ウ)。
当該普電役物の開放(ウ)中に第2特図始動口23Bへの入球(エ)があると、これに起因して第2特図の当否判定が行われ、第2特図の図柄変動(オ)が実行される。この場合、変動パターンは前記「変動テーブルA」から選択され、変動時間は「3秒」とされる。
時短遊技(ア)中の第2特図の当否判定では高確率で小当りとなるので小当り遊技が実施される(カ)。前記図柄変動(オ)の終了とともに時短遊技(ア)から通常の遊技状態(開放延長非作動)に戻る。
【0081】
時短遊技(ア)中は「右打ち」により作動ゲート22へ遊技球が連続して入球することとなる。前記作動ゲート2への入球(イ)に続く新たな作動ゲート2への入球(キ)に起因する普電役物の開放(ク)は前記特図の変動(オ)中に実施されることになるから、開放延長機能作動時の開放動作が選択され、該普電役物の開放(ク)による新たな第2特図始動口23Bへの入球(ケ)により第2特図の保留記憶がなされる。
そして、前記小当り遊技(カ)の終了後、新たな第2特図始動口23Bへの入球(ケ)に起因する第2特図の図柄変動(コ)及び小当り遊技(サ)が実施される。尚、特図変動と小当り時の大入賞口の開放時間は、開放延長機能作動時と非作動時で同一の時間で説明したが、遊技状態の違いによって異ならせること好適である。明確に遊技状態の違いを表すことができ、遊技者も遊技状態の変化を体感し易くなる。
【0082】
このように、第1特図の大当り遊技終了後の時短遊技状態における「変動テーブルA」による第2特図の変動では、変動時間が「3秒」であることから、特図の1変動あたり、普図の変動時間(1秒)と普電役物の開放時間(1秒)を考慮して、第2特図の変動の起因となるものの他に1個程度の第2特図保留記憶が可能であり、タイミングが良ければ2回程度の小当り遊技(カ)、(サ)を獲得することができる。このように「変動テーブルA」では第2特図の保留記憶は貯まりにくい状態と言える。ただし、遊技球の動きによっては普電役物の1秒開放でも複数個入球することがあり、一気に保留記憶が貯まる可能性はある状況となっている。
尚、なぜ第1特図による大当りで時短遊技が開始された時だけ時短回数100回と「変動テーブルA」を設定するかについては、時短遊技開始時に第1特図の保留記憶が残っている可能性が高く、本来は「変動テーブルB」、「変動テーブルC」で行なっている時短1回での遊技性を提供したくてもできないためである。このようにすれば、第1特図での小当りの当選確率が低いこともあり、時短100回中に第1特図の保留は消化され、第2特図の保留のみになれば小当りが高確率で発生するため、ほぼ確実に役物当りが発生することになる。その後は第1特図の保留のない状態で「変動テーブルB」と「変動テーブルC」で本発明特有の遊技性を享受することができる。
そして、これら小当り遊技で特定領域25への入球(シ)により役物当りの大当り遊技(ス)が実施される。大当り遊技終了後に時短遊技が付与されると、第2特図の大当り遊技終了後の時短遊技とされ、大当り終了後の特図の変動時には第2特図保留記憶数に応じて前記「変動テーブルB」又は前記「変動テーブルC」が選択されることとなる。
【0083】
次に、図23により第2特図の大当り遊技終了後の時短遊技(セ)状態における「変動テーブルB」による第2特図の変動時のタイムチャートを説明する。尚、図例では時短遊技開始時に第2特図の保留記憶がある場合を示す。
この場合、時短遊技(セ)の開始とともに、前記第2特図の保留記憶により第2特図の変動(ソ)が開始される。該変動(ソ)の変動時間は「2秒」であり、変動終了により時短遊技(セ)が終了し、小当り遊技(タ)が実施される。
【0084】
前記時短遊技(セ)中、普図の作動ゲート22は2個程度の入球が可能であるが、最初の作動ゲート22への入球(チ)に起因する普電役物の開放(ツ)はギリギリ開放延長機能作動状態での開放(開放時間1秒)となっている。これが非作動時の開放ならば0.3秒の開放となり、入球が極めて困難になる。尚、普図、普電役物の場合、普図の変動開始時と当選による普電役物開放の時とで遊技状態が変わっている場合がある。そのため、普図の変動開始時と、普電役物開放時にその時の遊技状態を参照し、遊技状態に合わせた動作が選択される構成となっている。この例では、前記普電役物の開放(ツ)時の第2特図始動口への入球(テ)により新たな第2特図の保留記憶がなされる。
一方、時短遊技(セ)の2度目の作動ゲート22への入球は通常遊技の抽選となり(変動時間20秒)、変動後に普電役物が開放しても極短時間(変動時間0.3秒)のため、第2特図の保留記憶を増やすことは困難である。
このように、第2特図の大当り遊技終了後の時短遊技状態における「変動テーブルB」による第2特図の変動では、変動の起因となるものの他に1個程度の第2特図保留記憶が可能であり、2回程度の小当り遊技(タ)、(ト)を獲得することができる。ただし、遊技球の不規則な挙動による面が大きいため、全く入球しない時もあれば一気に複数個入球する場合もある。
そして、これら小当り遊技で特定領域25への入球により役物当りの大当り遊技が実施される。
【0085】
次に、図24により第2特図の大当り遊技終了後の時短遊技(ナ)状態における「変動テーブルC」による第2特図の変動時のタイムチャートを説明する。尚、図例では時短遊技開始時に第2特図の保留記憶がある場合を示す。
この場合、時短遊技(ナ)の開始とともに、前記第2特図の保留記憶により第2特図の変動(ニ)が開始される。該変動(ニ)の変動時間は「8秒」であり、変動終了により時短遊技(ナ)が終了し、小当り遊技(ヌ)が実施される。
【0086】
前記時短遊技(ナ)中、普図の作動ゲート22は多数の入球が可能であるが、本実施形態では普図の保留記憶可能数は4個であるため、(ネ)、(ノ)、(ハ)、(ム)までが有効に検出されることになる。保留記憶数が4個の状態で普図の作動ゲート22を通過しても保留記憶はされないため、図では示されない。
その上で(ネ)、(ノ)、(ハ)に起因する普電役物の開放(ヒ)、(フ)、(ヘ)時の第2特図始動口23Bへの入球(ホ)、(マ)、(ミ)による3個の保留記憶がなされた状況を示す。
尚、前記時短遊技(ナ)中の作動ゲート22への4個目の入球(ム)では、これに起因する普電役物の開放(メ)が時短遊技(ナ)終了後のとなり、開放時間が約0.3秒で第2特図始動口23Bへの入球が困難になってしまっている。
【0087】
このように、第2特図の大当り遊技終了後の時短遊技状態における「変動テーブルB」による第2特図の変動では、変動の起因となるものの他に3個程度の第2特図保留記憶が可能であり、前記小当り遊技(ヌ)の他、第2特図始動口23Bへの入球(ホ)に起因する小当り遊技(モ)、第2特図始動口23Bへの入球(マ)に起因する小当り遊技(ヤ)及び入球(ミ)に起因する小当り遊技(図略)の4回の小当り遊技を獲得することができる。この場合、役物当り発生率は「4分の1」に設定されており、高き確率で役物当りの大当り遊技が実施される。よって「変動テーブルC」の選択時には、小当り遊技を多く獲得できる分、「変動テーブルB」の選択時よりも大当り(役物当り)遊技の連荘の可能性が高まることとなる。
【0088】
次に図25により演出図柄表示装置21にて実施される時短遊技状態の特図の変動に伴う演出表示を説明する。尚、演出表示は、第1特図の大当り遊技終了後の時短遊技で「変動テーブルA」が選択された場合に実施される「第1演出モード」、第2特図の大当り遊技終了後の時短遊技で「変動テーブルB」が選択された場合の「第2演出モード」、及び第2特図の大当り遊技終了後の時短遊技で「変動テーブルC」が選択された場合の「第3演出モード」が設けられている。尚、前記「第2演出モード」及び「第3演出モード」は特許請求の範囲に記載の「特典遊技演出態様」に相当するもので、また「第3演出モード」は「専用の特典遊技演出態様」に相当するものである。
【0089】
図25(a)に示す「第1演出モード」では、演出図柄表示装置21の表示画面の左上端に時短遊技の残り回数700が表示され、表示画面の中央上半部に「達吉チャンス挑戦!」といった第1コメント表示701を行うとともに、表示画面の下半部にメインキャラクタである「熊の達吉」が「V」をつかもうとする演出動画702を表示して、第2特図の保留記憶を増やすように促す。
【0090】
図25(b)に示す「第2演出モード」では、真顔の「熊の達吉」703を表示するとともに、表示画面の中央上半部に「達吉チャンス!」といった第2コメント表示704を行い、且つ「熊の達吉」が「V」をつかもうとする第2の演出動画705を表示することにより、第2特図の保留記憶を増やすように促す。保留記憶が貯まることにより右下端には第2特図の保留記憶の数量を示す保留表示706を表示する。尚、「熊の達吉」が真顔であるのは「変動テーブルC」と比較して不利な「変動テーブルB」であるため、不利な状態であることを示している。
【0091】
図25(c)に示す「第3演出モード」では、笑顔の「熊の達吉」703を表示するとともに、表示画面の中央上半部に「達吉RUSH!」といった第3コメント表示707を行い、且つ前記第2の演出動画705を表示することにより、変動時間が長く、第2特図の保留記憶を貯めることができ、大当り遊技の連荘を目指すように促す。「熊の達吉」が笑顔であるのは「変動テーブルB」と比較して有利な「変動テーブルC」であるため、有利な状態であることを示している。
尚、図25(a)、(b)、(c)に示す何れの演出モードにおいても、表示画面の1部に、第2特図に対応する3桁の数字等からなる擬似演出図柄を変動後に確定表示するようにしてもよい。
【0092】
本パチンコ機1は、第1特図の当否判定に起因する大当り遊技終了後の時短遊技及び第2特図の当否判定に起因する大当り遊技終了後の時短遊技で第2特図の保留記憶が「0〜1個」のときは第2特図の変動時間が短時間とされ、且つ第2特図の当否判定に起因する大当り遊技終了後の時短遊技の実施は1回に制限されるので、第2特図の保留される記憶数が増やしづらい状態となり、第2特図の保留記憶が貯まらず、役物当りの発生率とも相まって役物当りの回数が管理できるので、賞球の出球率等を設計値から逸脱させずに済む。尚、通常の遊技状態では普電役物を開放させることが困難で、第2の特別図柄の保留記憶はされない。
第2特図の当否判定に起因する大当り遊技終了後の時短遊技で第2特図の保留記憶が「2個以上」のときは第2特図の変動時間が前記第2の特図の保留される記憶数が増やしづらい状態での変動時間よりも長い時間にしたので、第2特図の保留記憶を増やす時間を設けることができ、保留記憶が増えることで小当り遊技から発展した役物当りによる大当り遊技を連荘させるチャンスが得られる。即ち第2特図の保留記憶を貯めることで大当り遊技の連荘が可能となり、遊技者の関心を第2特図の保留記憶に集めることができる。
尚、遊技球の流下タイミング次第では、変動時間が短い不利な変動パターン時でも第2の始動口23Bに複数入賞する可能性があり、一旦保留記憶数が2〜3個になれば変動時間が長い有利な変動パターンになり、第2特図の当否判定回数が増えて役物当りの可能性が高くなる、という遊技球の予測不可能な挙動が遊技の展開を左右するというパチンコ遊技機特有の遊技性を発揮させることができる。
また、一度、第2特図の保留記憶数が「2個以上」になれば、あとは大当りが連荘している間は最も有利な状態(変動テーブルCが選択された状態)で遊技することができ、遊技の面白みを向上することができる。しかし、小当りからの役物当りは「4分の1」の確率で生起するようにしたので、確率に応じて特定領域への入球がなければ大当りの連荘が終了する。
このように本実施形態のパチンコ機1は、従来構造のような第2特図の保留記憶に関する遊技者の違和感を払拭することができ、かつ如何に多くの第2特図の保留記憶を記憶させて大当り遊技を連荘させることができるか否かに遊技者の関心を持たせ、遊技に集中させることで遊技の面白みを増すことができる。
【0093】
本実施形態のパチンコ機では、第2特図の当否判定に起因する大当り遊技終了後の時短遊技で第2特図の保留記憶が「0〜1個」の(少ない)ときは第2特図の変動時間を短時間とし、第2特図の保留記憶が「2個以上」の(多い)ときは第2特図の変動時間を長時間としたが、これに限らず、他の実施形態のパチンコ機として、保留記憶が少ない時の変動時間を長くし、保留記憶の多い時の変動時間を短くしてもよい。
例えば、図26に示すように、第2特図の当否判定に起因する大当り遊技終了後の時短遊技で第2特図の保留記憶が少ないときの「変動テーブルB」の平均変動時間は「8秒」とし、第2特図の当否判定に起因する大当り遊技終了後の時短遊技で第2特図の保留記憶が多いときの「変動テーブルC」の平均変動時間は「3秒」としてもよい。
【0094】
また本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できることは勿論である。例えば、第1特図の大当り遊技終了後の時短遊技の制限回数(時短回数)、第2特図の大当り遊技終了後の時短遊技の制限回数(時短回数)、第1特図の役物当り発生確率及び第2特図の役物当り発生確率などは、前記設定値に限らず変更してもよい。
更に、本発明は、パチンコ機台内に所定数の遊技球が封入され、封入された遊技球を遊技盤の遊技領域に向けて発射するとともに、発射された遊技球を回収し、回収した遊技球を再度発射することで内部の所定数の遊技球を循環的に使用して遊技を行う封入式パチンコ機に適用してもよい。
【符号の説明】
【0095】
2 遊技盤
20 遊技領域
21 演出図柄表示装置(演出表示装置)
22 作動ゲート(作動口)
23A 第1特図始動口(第1の始動口)
23B 第2特図始動口(第2の始動口)
24A 第1大入賞装置(大入賞装置)
25 特定領域
40 主制御装置(保留記憶手段、当否判定手段、変動テーブル設定手段、小当り遊技実施手段、大当り遊技実施手段、特典遊技実施手段、特典制限手段)
42 サブ統合制御装置(サブ制御装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図11
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