特許第6643549号(P6643549)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6643549
(24)【登録日】2020年1月9日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】ゲーム装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/00 20060101AFI20200130BHJP
【FI】
   A63F9/00 508H
   A63F9/00 508C
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-193588(P2018-193588)
(22)【出願日】2018年10月12日
【審査請求日】2018年12月26日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年2月8日 株式会社コナミアミューズメント ウェブサイト(KONAMI特設サイト)「マーブルフィーバー」 紹介サイト(URL:https://www.konami.com/amusement/event/jaepo/title_mf.html)に掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年2月8日〜11日 JAEPO(JAPAN AMUSEMENT EXPO) 2018 幕張メッセにて展示
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年3月12日 プレスリリース(マーブルを使った新感覚プッシャー型メダルゲーム『MARBLE FEVER』順次稼働開始!)として、株式会社コナミアミューズメント ウェブサイト(URL:https://www.konami.com/amusement/corporate/ja/news/release/20180312/?cm_sp=01−_−release−_−20180312)に掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年2月16日,3月12日 株式会社コナミアミューズメント ウェブサイト 「マーブルフィーバー」 商品サイト (プレサイト:https://www.konami.com/amusement/productc/am_marble_fever/ 本サイト :https://p.eagate.573.jp/game/marblefever/1st/p/top/index.html?_REDIRECT=0)にて掲載
(73)【特許権者】
【識別番号】000169477
【氏名又は名称】株式会社コナミアミューズメント
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【弁理士】
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100128598
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 聖一
(74)【代理人】
【識別番号】100121108
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】高橋 悦史
(72)【発明者】
【氏名】吉野 高広
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 謙
【審査官】 宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−005039(JP,A)
【文献】 特開2003−135839(JP,A)
【文献】 特開2010−227363(JP,A)
【文献】 特開2006−296708(JP,A)
【文献】 kodomoyo,"[メダルゲーム]MARBLE FEVER 高音質 ロケテストバージョン (2)[JAPAN ARCADE]",YouTube,日本,YouTube,LLC,2017年 9月24日,1分28秒後,1分37秒後,4分10秒後等(p.1-5),[2019年3月25日検索],URL,https://www.youtube.com/watch?v=3a8TarHFLTg
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/00
G07F 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブルと、
前記テーブルの面上で往復するプッシャー部と、
姿勢によらず転動可能な遊技体を、前記プッシャー部の上面に投入可能な投入部と、
前記プッシャー部の往復の動作に同期して所定の時間間隔で前記プッシャー部に振動を生じさせる振動部と
を具備するゲーム装置。
【請求項2】
テーブルと、
前記テーブルの面上で往復するプッシャー部と、
姿勢によらず転動可能な遊技体を、前記プッシャー部の上面に投入可能な投入部と、
前記プッシャー部の往復の動力を用いて前記プッシャー部に振動を生じさせる振動部と
を具備するゲーム装置。
【請求項3】
前記振動部は、前記プッシャー部に設けられる第1部材と、前記テーブルに設けられる第2部材と、を含み、前記第1部材と前記第2部材とが前記プッシャー部の往復の途中で接触することにより、前記プッシャー部に振動を生じさせる
請求項に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記第1部材は、前記プッシャー部の往復に伴って前記テーブルの面上を転動する車輪であり、
前記第2部材は、前記車輪の軌道の途中に前記テーブルの面から突出して設けられ、
前記車輪が前記プッシャー部の往復の途中で前記第2部材を乗り上げる
請求項に記載のゲーム装置。
【請求項5】
テーブルと、
前記テーブルの面上で往復するプッシャー部と、
姿勢によらず転動可能な遊技体を、前記プッシャー部の上面に投入可能な投入部と、
前記プッシャー部に振動を生じさせる振動部と、
前記プッシャー部に設けられ、前記プッシャー部の上面から落下する前記遊技体を一時的に滞留させた後に前記テーブルの上面へ落下させる滞留部材と、
前記滞留部材に滞留する前記遊技体に前記プッシャー部の往復に伴って接触する突き部材と
を具備するゲーム装置。
【請求項6】
前記突き部材は、前記テーブルの上面に対して離間して配置される
請求項に記載のゲーム装置。
【請求項7】
テーブルと、
前記テーブルの面上で往復するプッシャー部と、
姿勢によらず転動可能な遊技体を、前記プッシャー部の上面に投入可能な投入部と、
前記プッシャー部に振動を生じさせる振動部と、
前記プッシャー部の前方に突出して設けられ、前記テーブルの上面上の前記遊技体の下に前記プッシャー部の往復に伴って滑り込む突出部と
を具備するゲーム装置。
【請求項8】
前記突出部は、先端に向かうに従い低くなるように傾斜する上面を有する
請求項に記載のゲーム装置。
【請求項9】
前記振動部は、前記プッシャー部の往復の方向とは異なる方向成分を有する振動を前記プッシャー部に生じさせる
請求項1から請求項8の何れかに記載のゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平板状のテーブルの面上でプッシャーテーブルを反復的に往復させるプッシャーゲームが従来から提案されている。テーブルの面上に載置された多数の円板状の遊技体(トークンコイン)がプッシャーテーブルにより押圧されることで徐々に移動して、テーブルの前端から落下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−110525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のプッシャーゲームに利用されるトークンコイン(メダル)を例えば球体等の遊技体に変更することが想定される。しかし、球体等の遊技体は、一般に、メダルのような円板状の遊技体に比べて、複数の遊技体同士が均衡した力で接触して流動性を低下させる現象、すなわちブリッジ現象が生じやすい。このため、球体等の遊技体を単に使用しても、遊技体を徐々に移動させてテーブルの端部から落下させるというプッシャーゲームの興趣性を維持できないという課題がある。以上の事情を考慮して、本発明の好適な態様は、任意の方向に転動可能な遊技体を利用した構成でも、プッシャーゲームの興趣性を維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明の好適な態様に係るゲーム装置は、テーブルと、前記テーブルの面上で往復するプッシャー部と、姿勢によらず転動可能な遊技体を、前記プッシャー部の上面に投入可能な投入部と、前記プッシャー部に振動を生じさせる振動部とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の好適な形態に係るゲーム装置の斜視図である。
図2】実施形態のゲーム装置を上方からみた平面図である。
図3図2におけるIII−III線の断面図である。
図4】ゲームフィールドに遊技体が配置された状態にあるゲーム装置の斜視図である。
図5】落下口の内部構造を示す図である。
図6】プッシャー部を模式的に示す平面図である。
図7図6に示す振動部の側面図である。
図8】突き部材および突出部の側面図である。
図9】変形例における振動部の構成を示す平面図である。
図10】変形例における振動部の構成を示す平面図である。
図11】変形例における振動部の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で参照する各図面では、各要素の寸法および縮尺を実際の製品とは便宜的に相違させている場合がある。また、以下に説明する形態は本発明の好適な具体例であり、本発明の範囲は以下の形態に限定されない。
【0008】
<ゲーム装置>
図1は、本発明の好適な態様に係るゲーム装置1の構成を示す斜視図である。ゲーム装置1は、遊技者が遊技するための機器であり、ゲームセンターおよびカジノ等の娯楽施設、または、ショッピングセンター等の商業施設に設置される。なお、ゲーム装置1は、カジノにおいて利用される場合には、ゲーミングマシンと呼ばれることもある。また、ゲーム装置1は、店舗に設置される業務用の機器である必要はなく、例えば家庭用または個人用の機器としても実現される。
【0009】
図1に例示される通り、本実施形態のゲーム装置1は、操作パネル10とゲームフィールドFとを具備する。操作パネル10は、遊技者による操作を受付ける入力機器である。ゲームフィールドFは、遊技者にプッシャーゲームを提供するための機構が設置された空間である。
【0010】
図1に例示される通り、本実施形態の操作パネル10は、操作部11Lと操作部11Rと読取部13と払出部14とを具備する。操作部11Lおよび操作部11Rの各々は、操作子112と操作子113と投入口114とを含んで構成される。操作子112および操作子113は、遊技者が押下する操作ボタンである。投入口114は、遊技者がトークンコイン(メダル)を投入可能な開口である。ここで、トークンコインは、店舗が遊技者に貸出す遊技媒体であってもよいし、硬貨等でもよい。
【0011】
読取部13は、遊技者が保有するクレジットの情報が記憶されたカードに対して非接触で各種の情報の読出および書込を実行する。クレジットは、ゲームに利用可能な仮想的な遊技価値である。クレジットは、例えばゲームでの利用に限定される価値のほか、現実の遊技価値(例えば金銭)に交換可能な価値でもよい。具体的には、カジノのゲーミングマシンとしてゲーム装置1が使用される場合には、現実の遊技価値(例えば紙幣または硬貨等の金銭)とクレジットとは相互に交換される。また、クレジットの数量に比例する枚数のトークンコインまたはチケットに変換可能な場合もある。なお、カード自体にクレジットの情報が記憶されている必要は必ずしもない。例えば、通信網を介してゲーム装置1と通信可能なサーバ装置にクレジットの情報を記憶してもよい。具体的には、遊技者またはカードに付与された識別情報(例えばカードID)に対応付けてクレジットの情報が記憶される。読取部13がカードから取得した識別情報に対応するクレジットの情報を、ゲーム装置1はサーバ装置から取得する。
【0012】
払出部14は、遊技者がトークンコインの払出を指示するための操作子である。遊技者が払出部14を操作すると、払出口(図示略)に所定数のトークンコインが排出される。なお、払出部14の操作を契機として、カードに記憶されたクレジットの数量をトークンコインの枚数に応じて加算してもよい。また、通信網を介してゲーム装置1が通信可能なサーバ装置に記憶されたクレジットの数量を加算してもよい。
【0013】
図2は、ゲームフィールドFを上方からみた平面図であり、図3は、図2におけるIII−III線の断面図である。なお、図2以降の各図面では、操作パネル10の図示を便宜的に省略した。図2および図3に例示される通り、以下の説明では、ゲームフィールドFの左右方向をX方向と表記し、前後方向をY方向と表記する。X方向の正側が遊技者からみて右側であり、X方向の負側が遊技者からみて左側である。また、Y方向の正側が前方(遊技者からみて手前側)であり、Y方向の負側が後方(遊技者からみて奥側)である。X-Y平面は、水平面に相当する。
【0014】
図1および図2に例示される通り、ゲームフィールドFには、フレーム部20とテーブル30とプッシャー部40と投入部50Lおよび投入部50Rとが設置される。フレーム部20は、ゲーム装置1の各要素を支持する構造体であり、側壁部21Lと側壁部21Rと前壁部23と後壁部24とを含んで構成される。側壁部21Lおよび側壁部21Rは、相互に対向するようにゲームフィールドFの左右に設置される。テーブル30およびプッシャー部40は、側壁部21Lと側壁部21Rとの間に設置される。前壁部23は、テーブル30におけるY方向の正側の周縁である前縁E2から離間した位置でX方向に延在する部材である。すなわち、テーブル30の前縁E2と前壁部23との間にはX方向に長尺な開口(以下「落下口」という)Qが形成される。後壁部24は、プッシャー部40の上面(以下「第1面」という)S1に対向するX方向に長尺な部材である。
【0015】
テーブル30は、略水平に設置された平板状の部材である。例えばアクリル樹脂等の光透過性の樹脂材料でテーブル30は形成される。図3に例示される通り、テーブル30の上面は、往復面S0と第2面S2とに区画される。往復面S0は、水平面(X-Y平面)に略平行な平面である。第2面S2は、往復面S0からみてY方向の正側に位置する領域である。
【0016】
プッシャー部40は、テーブル30の面上で往復する立体的な構造体(プッシャーテーブル)である。プッシャー部40は、移動テーブルまたは往復運動部とも換言される。具体的には、プッシャー部40は、図3に例示される通り、往復面S0の面上でY方向に沿って反復的に往復する。プッシャー部40が往復する方向をY方向と定義し、水平面内でY方向に直交する方向をX方向と定義してもよい。
【0017】
投入部50Lおよび投入部50Rは、プッシャー部40の第1面S1に向けて遊技体Bを投入可能な機構である。投入部50Lは、図1に例示される通り、プッシャー部40の中心よりも左側からX方向の正側に向けて遊技体Bを第1面S1に投入する。投入部50Rは、プッシャー部40の中心よりも右側からX方向の負側に向けて遊技体Bを第1面S1に投入する。図1に例示される通り、本実施形態の遊技体Bは球体(ボール)である。したがって、例えばプッシャー部40の第1面S1またはテーブル30の第2面S2の面上で遊技体Bは転動可能である。遊技体Bは、例えばアクリル樹脂またはガラス等の光透過性の材料で形成される。
【0018】
投入部50Lおよび投入部50Rの各々が遊技体Bを投入する方向および時点は可変である。遊技者は、図1の操作パネル10における操作部11Lの操作子112を操作することで投入部50Lによる遊技体Bの投入の方向を変更可能である。具体的には、投入部50Lの投入の方向は、操作子112が押下された状態では所定の範囲内で反復的に変化し、操作子112の押下が解除された時点の方向に確定する。投入部50Rについても同様であり、遊技者は、操作パネル10における操作部11Rの操作子112を操作することで投入部50Rによる投入方向を変更可能である。また、操作パネル10における操作部11Lの操作子113が操作されると投入部50Lから遊技体Bが投入され、操作部11Rの操作子113が操作されると投入部50Rから遊技体Bが投入される。なお、投入部50Lおよび投入部50Rの一方のみを設置してもよい。
【0019】
図4は、図1のゲームフィールドFに遊技体Bが配置された状態を例示する斜視図である。図4に例示される通り、実際の遊技の場面では、第1面S1および第2面S2に多数の遊技体Bが敷き詰められる。投入部50Lおよび投入部50Rから第1面S1に投入された複数の遊技体Bは、プッシャー部40が後方(Y方向の負側)に移動しているときに後壁部24により押圧される。複数の遊技体Bが後壁部24により押圧されることで順次に移動し、プッシャー部40におけるY方向の正側の周縁である前縁E1の近傍に位置する余剰の遊技体Bが、第1面S1からテーブル30の第2面S2に落下する。第2面S2上の複数の遊技体Bは、前方に移動するプッシャー部40により押圧されることで順次に移動し、テーブル30の前縁E2の近傍に位置する余剰の遊技体Bが第2面S2から落下口Qに落下する。
【0020】
図1および図2に例示される通り、落下口Qには、遊技体Bを検出する検出器60が設置される。検出器60が検出した遊技体Bの個数に応じた報酬が遊技者に付与される。例えば、遊技体Bの個数に応じた数値が報酬として遊技者のクレジットの数量に加算される。なお、落下口Qに落下した遊技体Bの個数に応じた数量のトークンコインを払出口(図示略)から報酬として排出してもよい。
【0021】
図1および図2に例示される通り、落下口Qには、前述の検出器60のほか、振分部材28が配置される。ここで、振分部材28は、例えば、ステンレス鋼等の金属で構成される板部材を折り曲げ加工した部材である。振分部材28は、前壁部23およびテーブル30のうちの少なくとも一方にネジ止め等より固定される。振分部材28は、第2面S2から落下口Qへ落下する遊技体Bを落下口Qの中心よりもX方向の正側または負側に振り分ける。このため、遊技体Bが落下口Qの内部の一箇所に短時間に集中することが低減される。この結果、落下口Qの内部で遊技体Bがブリッジ現象により凝集することを低減する。なお、本明細書においてブリッジ現象とは、複数の遊技体B同士が均衡した力で接触して流動性を低下させる現象のことをいう。以下では、ブリッジ現象が生じた状態をブリッジ状態ともいう。
【0022】
図5は、落下口Qの内部構造を示す図である。図5に例示される通り、落下口Qには、検出器60の入口601に遊技体Bを案内する案内路29Lおよび29Rが配置される。案内路29Lは、入口601に対してX方向の負側の位置に配置され、入口601に向かって傾斜する。このため、前縁E2の中央よりもX方向の負側の領域から落下する遊技体Bが案内路29Lによって入口601に案内される。一方、案内路29Rは、入口601に対してX方向の正側の位置に配置され、入口601に向かって傾斜する。このため、前縁E2の中央よりもX方向の正側の領域から落下する遊技体Bが案内路29Rによって入口601に案内される。ここで、振分部材28は、検出器60の入口601に対して鉛直方向上方の位置に配置される。このため、前縁E2から落下する遊技体Bが検出器60の入口601に直接的に導入されることが防止される。ここで、振分部材28は、例えば、平面視で入口601を包含する大きさである。振分部材28のX方向に沿う長さは、例えば、入口601のX方向に沿う長さに対して、1倍以上2倍以下程度である。
【0023】
図5に例示される通り、振分部材28は、2つの上面281Lおよび281Rを有する。上面281Lは、振分部材28の中心よりもX方向の負側の領域に設けられ、X方向の負側に向かって傾斜する。このため、上面281Lの上に落下した遊技体Bは前述の案内路29Lの上面に導かれる。一方、上面281Rは、振分部材28の中心よりもX方向の正側の領域に設けられ、X方向の正側に向かって傾斜する。このため、上面281Rの上に落下した遊技体Bは前述の案内路29Rの上面に導かれる。以上のように、振分部材28は、前縁E2から落下した遊技体Bを落下口Qの中心よりもX方向の正側または負側に振り分ける。振分部材28によって振り分けられた遊技体Bは、前述のように案内路29Lまたは29Rによって検出器60の入口601に順次導かれる。このため、入口601において遊技体Bのブリッジ現象が発生することを低減できる。なお、図5の例示では、振分部材28は、X方向で対称な形状をなすが、非対称な形状でもよい。
【0024】
水平面Hに対する案内路29Lおよび29Rのそれぞれの傾斜角度θ1は、特に限定されないが、例えば、5°以上30°以下の範囲内であることが好ましい。この範囲内に傾斜角度θ1を設定することにより、案内路29L、29Rおよび入口601での遊技体Bのブリッジ現象の発生が効果的に低減される。これに対し、傾斜角度θ1が小さすぎると、案内路29Lおよび29Rの面上で遊技体Bが滞留しやすく、案内路29Lおよび29Rの面上で遊技体Bのブリッジ現象が生じやすくなる傾向を示す。一方、傾斜角度θ1が大きすぎると、入口601に短時間に多数の遊技体Bが導入されやすく、入口601または検出器60の内部で遊技体Bのブリッジ現象が生じやすくなる傾向を示す。
【0025】
前述の傾斜角度θ1と同様の観点から、水平面Hに対する振分部材28の上面281Lおよび281Rのそれぞれの傾斜角度θ2は、特に限定されないが、例えば、5°以上30°以下の範囲内であることが好ましい。この範囲内に傾斜角度θ1を設定することにより、上面281L、281Rおよび入口601での遊技体Bのブリッジ現象の発生が効果的に低減される。なお、傾斜角度θ1およびθ2は、互いに等しくても異なってもよい。
【0026】
図3に例示される通り、テーブル30の下方には発光部61が設置される。発光部61は、テーブル30を照明する光源であり、例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光素子を含んで構成される。前述の通り、遊技体Bおよびテーブル30は光透過性であるから、発光部61からの出射光はテーブル30を通過し、遊技体Bを通過しながら適度に散乱して遊技者に視認される。また、プッシャー部40の上方には発光部62が設置される。発光部62は、プッシャー部40の第1面S1を照明する光源であり、例えばLED等の発光素子を含んで構成される。発光部62からの出射光は、遊技体Bを通過しながら適度に散乱して遊技者に視認される。以上の説明から理解される通り、第1面S1および第2面S2上の複数の遊技体Bを電飾に利用した意匠的な演出が実現される。なお、仮にプッシャー部40の内部に発光部62を設置した場合、発光部62がプッシャー部40とともに移動するから、往復範囲内の何れの地点にプッシャー部40が位置する状態でも発光部62に電力を供給するための仕組みが必要である。これに対し、本実施形態では、プッシャー部40の外部に発光部62が固定されるから、プッシャー部40の位置に関わらず、簡便な構成により発光部62に定常的に電力を供給できるという利点がある。
【0027】
図1から図3に例示される通り、テーブル30には第1規制部31が設置される。第1規制部31は、テーブル30の前縁E2に沿って第2面S2から突出する部材である。具体的には、第1規制部31は、前縁E2の全体にわたりX方向(すなわちプッシャー部40が往復するY方向に交差する方向)に沿って直線状に延在する。ここで、第1規制部31は、Y方向の正側が高くなるように水平面Hに対して傾斜する。このため、第2面S2における前縁E2から落下口Qに多数の遊技体Bが自由に落下することが第1規制部31により抑制される。したがって、転動可能な球状の遊技体Bを利用した構成にも関わらず、遊技体Bを徐々に移動させてテーブル30から落下させることができる。
【0028】
図1に例示される通り、側壁部21Lには、テーブル30におけるX方向の負側の周縁である側縁ELに沿う長尺状の開口部26Lが形成される。同様に、側壁部21Rには、テーブル30におけるX方向の正側の周縁である側縁ERに沿う長尺状の開口部26Rが形成される。第2面S2上の複数の遊技体Bがプッシャー部40により押圧されると、側縁ELの近傍に位置する余剰の遊技体Bは、X方向の負側に移動することで開口部26Lを通過してテーブル30から落下する(いわゆる親落ち(アウトゾーン))。同様に、側縁ERの近傍に位置する余剰の遊技体Bは、X方向の正側に移動することで開口部26Rを通過してテーブル30から落下する。開口部26Lまたは開口部26Rを通過してテーブル30から落下した遊技体Bは、ゲーム装置1の内部に貯留される。すなわち、遊技体Bが落下口Qに落下した場合には遊技者に報酬が付与されるのに対し、開口部26Lまたは開口部26Rを通過して遊技体Bが落下してもプレイヤに報酬は付与されない。なお、図4に例示される通り、開口部26Lおよび開口部26Rの近傍は、実際には遮蔽板27で被覆され、遊技者は視認できない。なお、側縁ELおよび側縁ERに沿ってテーブル30に形成された切欠部から遊技体Bを落下(親落ち)させてもよい。切欠部は、遊技体Bの直径を上回る横幅の開口である。切欠部を形成した構成では、開口部26Lおよび開口部26Rを省略してもよい。
【0029】
図1および図2に例示される通り、側縁ELに沿って第2面S2から突出する第2規制部32Lがテーブル30に設置される。第2規制部32Lは、開口部26Lの全長にわたり延在する長尺状の部材である。第2規制部32Lは、X方向の負側ほど高くなるように水平面Hに対して傾斜する。このため、第2面S2の側縁ELから多数の遊技体Bが開口部26Lを通過して落下すること(親落ち)が第2規制部32Lにより抑制される。
【0030】
同様に、側縁ERに沿って第2面S2から突出する第2規制部32Rがテーブル30に設置される。第2規制部32Rは、開口部26Rの全長にわたり延在する長尺状の部材である。第2規制部32Rは、X方向の正側ほど高くなるように水平面Hに対して傾斜する。このため、第2面S2の側縁ERから多数の遊技体Bが開口部26Rを通過して落下することが第2規制部32Rにより抑制される。
【0031】
図2および図3に例示される通り、本実施形態におけるプッシャー部40には第3規制部41が設置される。第3規制部41は、プッシャー部40の前縁E1に沿って第1面S1から突出する部材である。具体的には、第3規制部41は、前縁E1の全体にわたりX方向(すなわちプッシャー部40が往復するY方向に交差する方向)に沿って延在する。第3規制部41は、Y方向の正側が高くなるように水平面Hに対して傾斜する。このため、第1面S1の前縁E1から多数の遊技体Bが自由に落下することが第3規制部41により抑制される。
【0032】
図2に例示される通り、プッシャー部40の第1面S1には、Y方向(すなわちプッシャー部40の往復の方向)に沿う複数の溝部42が形成される。このため、投入部50Lまたは投入部50RからX方向に投入される遊技体Bがプッシャー部40の反対側の端部まで自由に到達することが抑制される。複数の溝部42は、略等間隔でX方向に配列する。X方向に隣合う2本の溝部42の間隔は遊技体Bの直径を下回り、各溝部42の深さは遊技体Bの直径を下回る。なお、図9においては曲面状(断面波状)の溝部42を例示したが、溝部42の形状は適宜に変更される。例えば、複数の平面を組合わせた形状(例えば蛇腹状)の溝部42を第1面S1に形成してもよい。また、各溝部42の間隔を、X方向の位置に応じて相違させてもよい。
【0033】
プッシャー部40は、図3に例示される通り、以上に説明した第1面S1のほか、傾斜面Saと押圧面Sbとを含んで構成される。押圧面Sbは、テーブル30の往復面S0に対して略垂直に起立した壁面である。第2面S2上の遊技体Bは、プッシャー部40の往復とともに押圧面SbによりY方向に押圧される。なお、押圧面Sbが往復面S0に対して傾斜してもよい。
【0034】
傾斜面Saは、プッシャー部40の第1面S1に対して前方側に傾斜する外装面である。具体的には、傾斜面Saは、Y方向の正側ほど低くなるように第1面S1に対して傾斜する。図2および図3に例示される通り、プッシャー部40の傾斜面Saには、当該傾斜面Saから突出する複数の突起部43が形成される。各突起部43は、例えば円柱または角柱等の柱体、あるいは円錐または角錐等の錐体(または錐台)である。複数の突起部43は、相互に間隔をあけて傾斜面Saに分散的に配置される。相互に隣合う2個の突起部43は遊技体Bの直径を上回る。したがって、第1面S1から第3規制部41を乗り越えて傾斜面Saに落下した遊技体Bは、各突起部43に衝突しながら各突起部43の間を不規則に移動し、傾斜面Saの最下端(すなわち傾斜面Saと押圧面Sbとの境界)からテーブル30の第2面S2に落下する。すなわち、複数の突起部43は、傾斜面Sa上における遊技体Bの直線的な移動を抑制する。
【0035】
プッシャー部40の押圧面Sb(すなわち前面)には複数の滞留部材44が設置される。図2に例示される通り、各滞留部材44は、凹部441と案内路442とが上面に形成された構造体である。凹部441は、遊技体Bが円滑に移動可能な曲面状(例えば球面状または円筒状)の窪みである。案内路442は、凹部441の前方側に形成されて当該凹部441に連通する窪み(具体的にはY方向に沿う溝状の経路)である。
【0036】
傾斜面Saのうち各滞留部材44の直上以外の位置から落下した遊技体Bは、滞留部材44に接触することなくテーブル30の第2面S2に直接的に落下する。他方、傾斜面Saのうち各滞留部材44の直上から落下した遊技体Bは、第2面S2に直接的に落下する前に滞留部材44の凹部441に受止められる。滞留部材44の凹部441に落下した遊技体Bは、図2に破線で図示される通り、凹部441の曲面に沿って反復的に左右に揺動しながら前方側(案内路442側)に徐々に移動し、凹部441の端部から案内路442を通過して滞留部材44から落下する。以上の説明から理解される通り、滞留部材44は、プッシャー部40の第1面S1および傾斜面Saから落下した遊技体Bを滞留させる。
【0037】
図1図2および図3に例示される通り、プッシャー部40の押圧面Sb(すなわち前面)には、各滞留部材44に対して下側の部分に、前方に突出する突出部45が配置される。図3に例示される通り、突出部45は、板状をなす部材であり、プッシャー部40に接着剤またはネジ止め等により固定される。突出部45は、前方側が低くなるように第2面S2に対して傾斜して配置される。また、突出部45は、例えば、アクリル樹脂等の光透過性の樹脂材料で構成される。このため、遊技者から突出部45が視認し難く、突き部材72がゲーム装置1の意匠性を損なうことが防止される。また、発光部61からの出射光が突出部45を通過するから、前述の意匠的な演出が維持される。
【0038】
プッシャー部40が前方に移動すると、突出部45は、第2面S2上の遊技体Bの下に滑り込むか、または、第2面S2上の遊技体Bを突いて動かす。このため、滞留部材44に対して下側における遊技体Bのブリッジ現象の発生を低減できる。
【0039】
図6は、プッシャー部40を模式的に示す平面図である。図6に例示される通り、プッシャー部40は、車輪45L、45R、46Lおよび46Rを有する。車輪45Lおよび45Rは、プッシャー部40に設けられる第1部材の一例である。車輪45Lおよび45Rは、プッシャー部40の前方側の部分に設けられる前輪である。車輪46Lおよび46Rは、プッシャー部40の後方側の部分に設けられる後輪である。車輪45L、45R、46Lおよび46Rは、それぞれ、プッシャー部40の往復に伴って第2面S2の上を転動する。なお、車輪45L、45R、46Lおよび46Rは、それぞれ、プッシャー部40を往復させる駆動力が伝達される駆動輪でもよいし、プッシャー部40の往復に伴って従動する従動輪でもよい。また、プッシャー部40から第2面S2への荷重は、車輪45L、45R、46Lおよび46Rで受けてもよいし、他の構造体で受けてもよい。
【0040】
図6に例示される通り、第2面S2の上には、車輪45Lおよび45Rの軌道の途中に、上方に突出する1対の凸部33Lおよび33Rが配置される。凸部33Lおよび33Rは、テーブル30に設けられる第2部材の一例である。凸部33Lおよび33Rは、それぞれ、板状の部材である。本実施形態では、凸部33Lおよび33Rは、互いに同一の形状および大きさである。また、凸部33Lおよび33RのY方向での位置は、一致する。ここで、車輪45Lおよび凸部33Lは、プッシャー部40に振動を生じさせる振動部80Lを構成する。同様に、車輪45Rおよび凸部33Rは、プッシャー部40に振動を生じさせる振動部80Rを構成する。凸部33Lおよび33Rは、例えばアクリル樹脂等の光透過性の樹脂材料で構成される。このため、前述の発光部61からの出射光が凸部33を通過するから、前述の意匠的な演出が維持される。なお、凸部33Lおよび33Rの構成材料は、光透過性の樹脂材料に限定されず、意匠的な演出の態様によっては、光透過性を有しなくてもよく、例えば、金属材料等であってもよい。また、凸部33Lおよび33Rは、テーブル30と一体でも別体でもよい。別体である場合、凸部33Lおよび33Rは、テーブル30に対して粘着剤、接着剤またはネジ止め等により固定される。また、凸部33Lおよび33Rは、X方向に延在する長尺状の部材として一体で構成されてもよい。
【0041】
図7は、図6に示す振動部80Lの側面図である。図7では、振動部80Lを代表的に図示する。なお、振動部80Rは、振動部80Lと同様である。図7に例示される通り、凸部33Lは、鉛直方向およびY方向の双方に沿う平面で切断したとき、矩形の断面を有する。凸部33Lの高さh1は、プッシャー部40の往復に伴って車輪45Lが乗り上げることが可能な程度に設定される。このため、車輪45Lが凸部33Lに乗り上げることにより、プッシャー部40に振動が生じる。この振動は、主に、X方向およびY方向に直交する方向、すなわち第2面S2の法線方向の振動である。このようにプッシャー部40の往復の方向であるY方向とは異なる方向の振動をプッシャー部40に生じさせることにより、プッシャー部40の面上での遊技体Bのブリッジ現象の発生を低減できる。本実施形態では、前述のように、凸部33Lおよび33RのY方向での位置が一致するため、車輪45Lが凸部33Lに乗り上げるタイミングと、車輪45Rが凸部33Rに乗り上げるタイミングとが同時である。したがって、振動部80Lおよび80Rがプッシャー部40に同時に振動を生じさせる。このため、プッシャー部40に生じる振動のX方向およびY方向に直交する方向成分を大きくしやすいという利点がある。なお、振動部80Lおよび80Rのうちの一方を省略しても、プッシャー部40の面上での遊技体Bのブリッジ現象の発生を低減できる。この場合、プッシャー部40に生じる振動がX方向成分をも有し、当該X方向成分もブリッジ現象の発生の低減に寄与する。なお、凸部33Lおよび33Rに代えて、または、凸部33Lおよび33Rに加えて、第2面S2における車輪45Lおよび45Rの軌道の途中に凹部を設けても、プッシャー部40に振動を生じさせることが可能である。
【0042】
高さh1は、例えば、車輪45Lまたは45Rの高さすなわち直径Dに対して、1/50倍以上1/5倍以下の範囲内であることが好ましく、1/30倍以上1/10倍以下の範囲内であることがより好ましく、1/20倍以上1/10倍以下の範囲内であることがさらに好ましい。この範囲内に高さh1を設定することにより、凸部33Lおよび33Rに対する車輪45Lまたは45Rの乗り上げによってプッシャー部40に適度な振動を生じさせることができる。
【0043】
図2および図3に例示される通り、側壁部21Lと側壁部21Rとの間には架設体70が設置される。架設体70は、側壁部21Lから側壁部21RまでX方向に直線状に延在する長尺状の板状部材である。架設体70は、遊技体Bの直径を上回る間隔だけテーブル30の第2面S2から離間した高さに設置される。具体的には、架設体70は、Y方向からみてプッシャー部40の押圧面Sbに重なる。
【0044】
図1から図3に例示される通り、相異なる滞留部材44に対応する複数(3個)の通過孔71が架設体70に形成される。各通過孔71は、遊技体Bの直径を上回る内径に形成された略円形の貫通孔である。したがって、遊技体Bは、通過孔71を通過可能である。任意の1個の滞留部材44に対応する通過孔71は、当該滞留部材44に対応するX方向の位置に設置される。具体的には、滞留部材44における案内路442のX方向の位置と、当該滞留部材44に対応する通過孔71の中心のX方向の位置とは略一致する。
【0045】
複数の滞留部材44はプッシャー部40と一体でY方向に往復するのに対し、架設体70のY方向の位置は固定である。すなわち、各滞留部材44は架設体70に対して反復的に接近および離間する。プッシャー部40が往復の範囲内の最も前方側に移動した状態(すなわち、滞留部材44が架設体70に最接近した状態)では、図3に例示される通り、各滞留部材44の案内路442の直下に通過孔71が位置する。したがって、プッシャー部40が架設体70に充分に接近した時点(すなわち往復範囲の前端の近傍に位置する時点)で滞留部材44の案内路442から遊技体Bが落下した場合には、当該遊技体Bは通過孔71を通過してからテーブル30の第2面S2に落下する。他方、プッシャー部40が架設体70から離間した時点で滞留部材44の案内路442から落下した遊技体Bは、通過孔71を通過することなくテーブル30の第2面S2に落下する。すなわち、滞留部材44から遊技体Bが落下した時点におけるプッシャー部40のY方向の位置に応じて、遊技体Bが通過孔71を通過するか否かが変化する。
【0046】
各通過孔71の内周面には、遊技体Bの通過を検出するための検出器(図示略)が設置される。検出器(チェッカー)が遊技体Bの通過を検出すると、スロットゲーム等の抽選処理が実行され、当該抽選処理での当選を条件として遊技者に報酬が付与される。抽選処理の結果に応じて、第1面S1または第2面S2に所定数の遊技体Bを投入してもよい。また、抽選処理での当選を条件として、通常の遊技体Bよりも大径の遊技体(大玉)を第1面S1または第2面S2に投入してもよい。以上の説明から理解される通り、第1面S1から落下した遊技体Bが通過孔71を通過することを目標として遊技者が遊技体Bの投入(操作子の操作)の時点を調整するという興趣性が実現される。
【0047】
図1図2図3および図4に例示される通り、各架設体70には、突き部材72が配置される。図3に例示される通り、突き部材72は、架設体70のY方向の正側の端に接着剤またはネジ止め等により固定される。突き部材72は、X方向からみたとき、架設体70から上方に延びてからY方向の負側に屈曲して延びる形状をなす。図1図2および図4に例示される通り、突き部材72は、鉛直方向およびY方向の双方に平行に配置される板状をなす。このため、遊技者からみた突き部材72の大きさを小さくでき、突き部材72がゲーム装置1の意匠性を損なうことが防止される。また、突き部材72は、例えば、アクリル樹脂等の光透過性の樹脂材料で構成される。このため、遊技者から突き部材72が視認し難く、この点でも、突き部材72がゲーム装置1の意匠性を損なうことが防止される。
【0048】
図8は、突き部材72および突出部45の側面図である。図8に例示される通り、プッシャー部40が前方に移動すると、突き部材72の先端は、滞留部材44の案内路442を通じて凹部441へ進入する。このため、滞留部材44上に遊技体Bのブリッジ状態B1の発生を低減でき、また、発生したブリッジ状態B1も解消できる。このとき、前述のように、突出部45が第2面S2上の遊技体Bの下に滑り込む。このため、滞留部材44に対して下側における遊技体Bのブリッジ状態B2の発生を低減でき、また、発生したブリッジ状態B2も解消できる。
【0049】
<変形例>
以上に例示した形態は多様に変形される。前述の形態に適用され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合してもよい。
【0050】
(1)前述の形態では、車輪45Lおよび45Rが凸部33Lおよび33Rに乗り上げる振動部80Lおよび80Rを例示したが、振動部80Lおよび80Rは、前述の形態に限定されない。例えば、図9に例示される通り、車輪45Lおよび45Rが凸部33Aを乗り上げるだけでなく乗り越える振動部80Aを用いてもよい。この場合、前述の形態に比べて、部品点数を同等にしつつ、プッシャー部40に一往復あたりに与える振動の数を増やすことができる。
【0051】
(2)前述の形態では、車輪45Lが凸部33Lに乗り上げるタイミングと、車輪45Rが凸部33Rに乗り上げるタイミングとが同時である場合を例示したが、これらのタイミングは、前述の形態に限定されない。例えば、図10に例示される通り、車輪45Lが凸部33Bに乗り上げるタイミングと、車輪45Rが凸部33Bに乗り上げるタイミングとが異なる振動部80Bを用いてもよい。この場合、プッシャー部40に生じる振動がX方向成分をも有し、当該X方向成分もブリッジ現象の発生の低減に寄与する。なお、図10は、車輪45Lおよび45Rが凸部33Bを乗り越える場合を例示する。
【0052】
(3)前述の形態では、凸部33Lおよび33Rの断面形状が矩形である場合を例示したが、当該断面形状は、前述の形態に限定されない。例えば、図11に例示される通り、傾斜した後方側の壁面331および前方側の332を有する凸部33Cを用いて振動部80Cを構成してもよい。図11の例示では、壁面331および332は、それぞれ、凹状に湾曲した形状をなす。この場合、車輪45Lが凸部33Cを乗り越えやすくしつつ、その乗り越え時にプッシャー部40に振動を生じさせることができる。
【0053】
(4)前述の各形態では、プッシャー部40の往復の動力を用いてプッシャー部40を振動させる場合を例示したが、前述の形態に限定されない。例えば、プッシャー部40の往復の動力とは別途の駆動源で駆動するバイブレータ機構をプッシャー部40に配置してもよい。
【0054】
(5)前述の各形態では、遊技体Bとして球体を例示したが、遊技体Bの形態は以上の例示に限定されない。例えば多面体(典型的には正多面体または半正多面体)状の遊技体B、または多面体の角部を丸めた立体形状の遊技体Bを利用してもよい。以上の説明から理解される通り、遊技体Bは、姿勢によらず転動可能な立体である。トークンコイン(例えばメダルまたは硬貨)等の円板は、円弧状の周面が接地した姿勢では転動するが、平面状の表面または裏面が接地した姿勢では転動しないから、「姿勢によらず転動可能な立体」には該当しない。「姿勢によらず転動可能な立体」の典型例は、全周面が曲面である立体(典型的には球体)であるが、部分的に平面である立体も「姿勢によらず転動可能な立体」に該当し得る。
【0055】
(6)前述の形態で例示した第1規制部31,第2規制部32(32L,32R),第3規制部41,溝部42,突起部43および滞留部材44は、遊技体Bの移動量(または運動量)を抑制するための要素(抑制部)として包括的に表現される。抑制部として以上に例示した複数の要素のうち任意の1以上の要素は省略され得る。また、抑制部の具体的な態様は、前述の各形態での例示に限定されない。例えば、テーブル30の表面(第2面S2)に設置された凹凸部を抑制部として利用してもよい。凹凸部は、テーブル30の第2面S2から突起する凸部、および第2面S2に対して窪んだ凹部の少なくとも一方を含んで構成される。なお、テーブル30の表面(第2面S2)のうち所定の範囲に凹凸部を限定的に設置することで、遊技体Bの移動量を抑制する範囲を制限してもよい。例えば、テーブル30の前縁E2から所定の範囲内に凹凸部を設置してもよい。
【0056】
[付記]
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。なお、各態様の理解を容易にするために、以下では、図面の参照符号を便宜的に括弧書で付記するが、本発明を図示の態様に限定する趣旨ではない。
【0057】
[付記1]
本発明の好適な態様に係るゲーム装置(1)は、テーブル(30)と、前記テーブル(30)の面上で往復するプッシャー部(40)と、姿勢によらず転動可能な遊技体(B)を、前記プッシャー部(40)の上面に投入可能な投入部(50L,50R)と、前記プッシャー部(40)に振動を生じさせる振動部(80L,80R,80A,80B,80C)とを具備する。以上の構成によれば、プッシャー部(40)に生じる振動により、プッシャー部(40)の上面で遊技体(B)のブリッジ状態が生じても、そのブリッジ状態を解消することができる。
【0058】
「振動」は、プッシャー部(40)の往復とは不連続な動きであり、例えば、プッシャー部(40)の往復とは異なる方向の変位、速度変化等による動きを含む概念である。
【0059】
[付記2]
付記1の好適例において、前記振動部(80L,80R,80A,80B,80C)は、前記プッシャー部(40)の往復の方向とは異なる方向成分を有する振動を前記プッシャー部(40)に生じさせる。以上の構成によれば、プッシャー部(40)の往復とは経連続な動きを生じさせやすい。この結果、遊技体(B)のブリッジ状態の解消も容易となる。
【0060】
[付記3]
付記1または付記2の好適例において、前記振動部(80L,80R,80A,80B,80C)は、所定の時間間隔で前記プッシャー部(40)に振動を生じさせる。以上の構成によれば、プッシャー部(40)が振動しない期間を設けることができる。当該期間では、プッシャー部(40)の振動によりテーブル(30)またはプッシャー部(40)の面上の遊技体(B)の挙動が変化することはない。このため、プッシャーゲームの興趣性を維持することが容易である。また、プッシャー部(40)の振動の振幅を大きくして、遊技体(B)のブリッジ状態を容易に解消できる。
【0061】
[付記4]
付記3の好適例において、前記振動部(80L,80R,80A,80B,80C)は、前記プッシャー部(40)の往復の動作に同期して前記プッシャー部(40)に振動を生じさせる。以上の構成によれば、プッシャーゲームの興趣性を維持することが容易である。
【0062】
[付記5]
付記1から付記4の何れかの好適例において、前記振動部(80L,80R,80A,80B,80C)は、前記プッシャー部(40)の往復の動力を用いて前記プッシャー部(40)に振動を生じさせる。以上の構成によれば、プッシャー部(40)の往復の動力とは別途駆動源を設ける場合に比べて、装置構成が簡単となる。
【0063】
「プッシャー部(40)の往復の動力を用いて」とは、プッシャー部(40)の往復させる駆動源からの力を直接的または間接的に用いることを意味し、例えば、プッシャー部(40)の往復の動作パターンを制御することでプッシャー部(40)を振動させる場合も含む概念である。
【0064】
[付記6]
付記5の好適例において、前記振動部(80L,80R,80A,80B,80C)は、前記プッシャー部(40)に設けられる第1部材(45L,45R)と、前記テーブル(30)に設けられる第2部材(33L,33R,33A,33B,33C)と、を含み、前記第1部材(45L,45R)と前記第2部材(33L,33R,33A,33B,33C)とが前記プッシャー部(40)の往復の途中で接触することにより、前記プッシャー部(40)に振動を生じさせる。以上の構成によれば、プッシャー部(40)の往復の動力を用いてプッシャー部(40)に振動を生じさせることができる。
【0065】
第1部材(45L,45R)は、プッシャー部(40)と別体であっても一体であってもよい。また、第2部材(33L,33R,33A,33B,33C)は、テーブル(30)と別体であっても一体であってもよい。
【0066】
[付記7]
付記6の好適例において、前記第1部材(45L,45R)は、前記プッシャー部(40)の往復に伴って前記テーブル(30)の面上を転動する車輪であり、前記第2部材(33L,33R,33A,33B,33C)は、前記車輪の軌道の途中に前記テーブル(30)の面から突出して設けられ、前記車輪が前記プッシャー部(40)の往復の途中で前記第2部材(33L,33R,33A,33B,33C)を乗り上げる。以上の構成によれば、第1部材(45L,45R)が転動しながら第2部材(33L,33R,33A,33B,33C)に乗り上げて接触するので、第1部材(45L,45R)と第2部材(33L,33R,33A,33B,33C)との接触による損傷が生じ難い。
【0067】
[付記8]
付記1から付記7の何れかの好適例において、前記プッシャー部(40)に設けられ、前記プッシャー部(40)の上面から落下する前記遊技体(B)を一時的に滞留させた後に前記テーブル(30)の上面へ落下させる滞留部材(44)と、前記滞留部材(44)に滞留する前記遊技体(B)に前記プッシャー部(40)の往復に伴って接触する突き部材(72)とを具備する。以上の構成によれば、滞留部材(44)で遊技体(B)のブリッジ状態が生じても、そのブリッジ状態を解消できる。
【0068】
[付記9]
付記8の好適例において、前記突き部材(72)は、前記テーブル(30)の上面に対して離間して配置される。以上の構成によれば、突き部材(72)がテーブル(30)上の遊技体(B)の挙動に影響を与えることを防止できる。
【0069】
[付記10]
付記1から付記9の何れかの好適例において、前記プッシャー部(40)の前方に突出して設けられ、前記テーブル(30)の上面上の前記遊技体(B)の下に前記プッシャー部(40)の往復に伴って滑り込む突出部(45)を具備する。以上の構成によれば、テーブル(30)の上面上の遊技体(B)がプッシャー部(40)の往復に伴って突出部(45)により突かれたり持ち上げられたりする。このため、テーブル(30)の上面上で遊技体(B)のブリッジ状態が生じても、そのブリッジ状態を解消できる。
【0070】
[付記11]
付記10の好適例において、前記突出部(45)は、先端に向かうに従い低くなるように傾斜する上面を有する。以上の構成によれば、突出部(45)が遊技体(B)の下に滑り込みやすくなる。また、ブリッジ状態の遊技体(B)の下に突出部(45)が滑り込んだときに、そのブリッジ状態が解消されやすい。
【符号の説明】
【0071】
1…ゲーム装置、28…振分部材、30…テーブル、31…第1規制部、32…第2規制部、32L…第2規制部、32R…第2規制部、33A…凸部、33B…凸部、33C…凸部、33L…凸部、33R…凸部、40…プッシャー部、44…滞留部材、45…突出部、45L…車輪、45R…車輪、50L…投入部、50R…投入部、72…突き部材、80A…振動部、80B…振動部、80C…振動部、80L…振動部、80R…振動部、B…遊技体。
【要約】
【課題】任意の方向に転動可能な遊技体を利用した構成でも、プッシャーゲームの興趣性を維持する。
【解決手段】ゲーム装置は、テーブル30と、テーブル30の面上で往復するプッシャー部40と、姿勢によらず転動可能な遊技体Bを、プッシャー部40の上面に投入可能な投入部と、プッシャー部40に振動を生じさせる振動部50Lとを具備する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11