特許第6643560号(P6643560)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643560
(24)【登録日】2020年1月9日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】デジタル・アナログコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H03M 1/68 20060101AFI20200130BHJP
   H03M 1/80 20060101ALI20200130BHJP
   H03M 1/76 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   H03M1/68
   H03M1/80
   H03M1/76
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-566979(P2016-566979)
(86)(22)【出願日】2014年5月6日
(65)【公表番号】特表2017-515419(P2017-515419A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】CN2014076838
(87)【国際公開番号】WO2015168854
(87)【国際公開日】20151112
【審査請求日】2017年5月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ゾーフェイ ジャン
(72)【発明者】
【氏名】アンジョー スー
(72)【発明者】
【氏名】ハオ モン
(72)【発明者】
【氏名】シェングアン ウェン
(72)【発明者】
【氏名】シュエン ワン
【審査官】 猪瀬 隆広
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−041824(JP,A)
【文献】 特開2006−100318(JP,A)
【文献】 特表2006−526306(JP,A)
【文献】 特開2001−244816(JP,A)
【文献】 特開平08−125536(JP,A)
【文献】 米国特許第05739782(US,A)
【文献】 米国特許第05617091(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0240278(US,A1)
【文献】 米国特許第06201491(US,B1)
【文献】 中国特許出願公開第101207385(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 1/00− 1/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル・アナログコンバータであって、
第1の基準入力と、第1の基準出力と、デジタル信号に接続され得る第1のデジタル入力と、アナログ出力とを有する第1のデジタル・アナログアレイと、
第2のデジタル・アナログアレイであって、
第2のデジタル入力と、
第1の電圧源に接続され得る第2の基準入力と、
前記第1の基準入力に結合される第2の基準出力と、
前記第2のデジタル入力における信号により制御され、少なくとも第1のスイッチと第2のスイッチとを含む複数のスイッチであって、各スイッチが第1の端子と第2の端子とを有し、各スイッチの前記第1の端子が前記第2の基準入力に結合される、前記複数のスイッチと、
前記スイッチの前記第2の端子と前記第2の基準出力との間に接続され、第1のレジスタと少なくとも2つの他のレジスタとを含む複数のレジスタであって、前記第1のレジスタが前記第1のスイッチの第2の端子と前記第2の基準出力との間に接続される唯一のレジスタであり、前記第1のレジスタが第1の端子と第2の端子とを含み、前記第1のレジスタの第1の端子が前記第1のスイッチの第2の端子のみに直接に接続され、前記第1のレジスタの第2の端子が前記第2の基準出力に接続され、前記少なくとも2つの他のレジスタが前記第2のスイッチの第2の端子と前記第2の基準出力との間に接続される、前記複数のレジスタと、
を含む、前記第2のデジタル・アナログアレイと、
第3のデジタル・アナログアレイであって、
第3のデジタル入力と、
前記第1の基準出力に結合される第3の基準入力と、
第2の電圧源に接続され得る第3の基準出力と、
前記第3のデジタル入力における信号により制御され、少なくとも第1のスイッチと第2のスイッチとを含む複数のスイッチであって、各スイッチが第1の端子と第2の端子とを有し、各スイッチの第1の端子が前記第3の基準出力に結合される、複数のスイッチと、
前記スイッチの第2の端子と前記第3の基準入力との間に接続され、第1のレジスタと少なくとも2つの他のレジスタとを含む複数のレジスタであって、前記第1のレジスタが前記第1のスイッチの第2の端子と前記第3の基準入力との間に接続される唯一のレジスタであり、前記第1のレジスタが第1の端子と第2の端子とを有し、前記第1のレジスタの第1の端子が前記第1のスイッチの第2の端子のみに直接に接続され、前記第1のレジスタの第2の端子が前記第3の基準入力に接続され、前記少なくとも2つの他のレジスタが前記第2のスイッチの第2の端子と前記第3の基準入力との間に並列に接続される、前記複数のレジスタと、
を含む、前記第3のデジタル・アナログアレイと、
を含
前記第2のデジタル・アナログアレイの複数のレジスタの各々と前記第3のデジタル・アナログアレイの複数のレジスタの各々とが同じ抵抗値Rを有し、
前記第2及び第3のデジタル・アナログアレイが、前記アナログ出力にオフセット電圧を印加するために、前記Rよりも小さい抵抗値をそれぞれ提供する、デジタル・アナログコンバータ。
【請求項2】
請求項1に記載のデジタル・アナログコンバータであって、
前記第2のデジタル・アナログアレイにより提供される抵抗値と前記第3のデジタル・アナログアレイにより提供される抵抗値との和がRである、デジタル・アナログコンバータ。
【請求項3】
請求項1に記載のデジタル・アナログコンバータであって、
前記第2のデジタル・アナログアレイの複数のレジスタが第1のネットワークを形成するように配され、前記第3のデジタル・アナログアレイの複数のレジスタが第2のネットワークを形成するように配され、前記第1のネットワークが前記第2のネットワークのミラーイメージである、デジタル・アナログコンバータ。
【請求項4】
請求項1に記載のデジタル・アナログコンバータであって、
前記第3のデジタル・アナログアレイの複数のスイッチが、前記第3の基準入力と前記第3の基準出力との間に接続される第3のスイッチをに含み、前記第3のスイッチが閉じられるときに前記第3のスイッチが前記第3の基準入力を前記第3の基準出力に短絡する、デジタル・アナログコンバータ。
【請求項5】
請求項1に記載のデジタル・アナログコンバータであって、
前記第2のデジタル・アナログアレイが、前記第2の基準入力と前記第2の基準出力との間に複数の抵抗値を設定し、抵抗値の数が前記デジタル信号の最下位ビットの数に対応する、デジタル・アナログコンバータ。
【請求項6】
請求項1に記載のデジタル・アナログコンバータであって、
前記第2のデジタル・アナログアレイにより4つの異なる抵抗値が設定され得、抵抗値の間の差が実質的に同じであり、
前記第3のデジタル・アナログアレイにより4つの異なる抵抗値が設定され得、抵抗値の間の差が実質的に同じである、デジタル・アナログコンバータ。
【請求項7】
請求項6に記載のデジタル・アナログコンバータであって、
前記第2のデジタル・アナログアレイが4つのスイッチを有し、前記第3のデジタル・アナログアレイが5つのスイッチを有する、デジタル・アナログコンバータ。
【請求項8】
請求項6に記載のデジタル・アナログコンバータであって、
前記第2のデジタル・アナログアレイの複数のレジスタが3つのレジスタを更に含み、前記第2のデジタル・アナログアレイの複数のスイッチが第3のスイッチを更に含み、前記3つのレジスタが、前記第3のスイッチの第2の端子と前記第2の基準出力との間に直列に接続される、デジタル・アナログコンバータ。
【請求項9】
請求項1に記載のデジタル・アナログコンバータであって、
前記第2のデジタル・アナログアレイにより8つの異なる抵抗値が設定され得、抵抗値の間の差が実質的に同じであり、
前記第3のデジタル・アナログアレイにより8つの異なる抵抗値が設定され得、抵抗値の間の差が実質的に同じである、デジタル・アナログコンバータ。
【請求項10】
請求項9に記載のデジタル・アナログコンバータであって、
前記第3のデジタル・アナログアレイの複数のスイッチが、前記第3の基準入力と前記第3の基準出力との間に接続される第3のスイッチをに含む、デジタル・アナログコンバータ。
【請求項11】
請求項9に記載のデジタル・アナログコンバータであって、
前記第3のデジタル・アナログアレイの複数のレジスタが、前記第3の基準入力と前記第3のデジタル・アナログアレイの複数のスイッチの1つのスイッチとの間に並列に接続される3つのレジスタを更に含む、デジタル・アナログコンバータ。
【請求項12】
請求項9に記載のデジタル・アナログコンバータであって、
前記第3のデジタル・アナログアレイの複数のレジスタが、前記第3の基準入力と前記第3のデジタル・アナログアレイの複数のスイッチの1つのスイッチとの間に並列に接続される4つのレジスタを更に含む、デジタル・アナログコンバータ。
【請求項13】
請求項9に記載のデジタル・アナログコンバータであって、
前記第3のデジタル・アナログアレイの複数のレジスタが、前記第3の基準入力と前記第3のデジタル・アナログアレイの複数のスイッチの1つのスイッチとの間に直列に接続される7つのレジスタを更に含む、デジタル・アナログコンバータ。
【請求項14】
請求項13に記載のデジタル・アナログコンバータであって、
前記第3のデジタル・アナログアレイの複数のスイッチの別のスイッチが、前記7つのレジスタのうちの2つの接合と前記第3の基準出力との間に接続される、デジタル・アナログコンバータ。
【請求項15】
請求項1に記載のデジタル・アナログコンバータであって、
前記第3のデジタル・アナログアレイが、前記第2のデジタル・アナログアレイより多くのスイッチを有する、デジタル・アナログコンバータ。
【請求項16】
請求項1に記載のデジタル・アナログコンバータであって、
前記第3のデジタル・アナログアレイが、前記第2のデジタル・アナログアレイより1つ多いスイッチを有する、デジタル・アナログコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
デジタル・アナログコンバータ(DAC)は、デジタル信号又は数をアナログ電圧に変換する。幾つかの実施例において、デジタルプロセッサが、バイナリ数などの数のストリームをDACに出力する。DACは、こういった数をアナログ信号に変換する。例えば、デジタルオーディオにおいて、オーディオ信号がデジタル電子機器を用いて処理されるが、こういったデジタル信号は、ユーザーにより読み取られるべくアナログ信号に変換される必要がある。
【0002】
DACへの入力信号は、離散値を有するデジタル信号であるため、DACにより出力されるアナログ信号は、電圧レベルの離散数を有する。例えば、4ビットDACは、16個の異なる値の入力を受け取ることが可能であり得、これは、DACにより出力される16個の離散電圧レベルに対応する。DACには、DACへのバイアス電圧を調節することにより出力電圧を微調整するものがある。これらの微調整メカニズムは、多くのレジスタ及びスイッチの利用を必要とし、その結果、DAC上の大きな面積を用いる。これらはまた、こういったレジスタに関連付けられる寄生容量に起因して、DACに一層遅い速度を被らせる。
【発明の概要】
【0003】
デジタル・アナログコンバータが、第1及び第2のデジタル・アナログアレイを有する。第1のデジタル・アナログアレイは、基準入力、基準出力、デジタル信号に接続され得る第1のデジタル入力、及びアナログ出力を有する。第2のデジタル・アナログアレイは、基準入力、第1のデジタル・アナログアレイの基準入力に結合される基準出力、基準入力に結合される複数のスイッチ、及びスイッチと基準出力との間に結合される複数のレジスタを含む。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】デジタル・アナログコンバータの一実施例のブロック図である。
【0005】
図2図1の第1のDACアレイの一実施例の概略図である。
【0006】
図3】3ビット解像度を有する図1の第2のDACアレイ及び第3のDACアレイの実施例の概略図である。
【0007】
図4】3ビット解像度を有する図1の第2のDACアレイ及び第3のDACアレイの別の実施例の概略図である。
【0008】
図5】2ビット解像度を有する図1の第2のDACアレイ及び第3のDACアレイの別の実施例の概略図である。
【0009】
図6】2ビット解像度を有する図1の第2のDACアレイ及び第3のDACアレイの別の実施例の概略図である。
【0010】
図7】2ビット解像度を有する図1の第2のDACアレイ及び第3のDACアレイの別の実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
従来のデジタル・アナログコンバータ(DAC)より小さな面積を用いるDACが本明細書において説明される。DACは、デジタル信号又は数をアナログ電圧に変換する。例えば、バイナリ数がDACに入力される。DACは、バイナリ数を復号し、バイナリ数の電圧表現を出力する。幾つかのDACが、DACにアナログ出力を微調整させ得るモジュールを有する。複数のアレイ102を有するDAC100の一実施例のブロック図である図1が参照される。アレイ102は、個別に、第1のDACアレイ106、第2のDACアレイ108、及び第3のDACアレイ110と称される。第2のDACアレイ108は頂部アレイ108と称されることもあり、第3のDACアレイ110は底部アレイ110と称されることもある。幾つかの実施例において、第1のDACアレイ106は粗DACアレイと称され、第2及び第3のDACアレイ108、110は細アレイと称される。
【0012】
第1のDACアレイ106は、第1のデジタル入力114と称されることもあるデジタル入力114を有する。デジタル入力114は、出力116で出力されるアナログ信号に変換されるべきデジタル信号に結合されるか又は結合され得る。第1のDACアレイ106は、基準入力120及び基準出力122を有し、これらは、それぞれ、第1の基準入力120及び第1の基準出力122と称されることもある。これ以降に更に詳細に説明するように、第1の基準入力120及び第1の基準出力122は、第1のDACアレイ106により出力されるアナログ電圧値を微調整する。微調整は、以下に説明するようにオフセット電圧を用いて第1のDACアレイ106をバイアスすることによって達成される。
【0013】
第2のDACアレイ108は、電圧基準入力126及び電圧基準出力128を有し、これらは、それぞれ、第2の電圧基準入力126及び第2の電圧基準出力128と称されることもある。図1の実施例において、第2の電圧基準入力126は、DC電圧である電圧基準VREFに接続される。第2の基準出力128は、第1のDACアレイ106の基準入力120に接続される。第2のDACアレイ108はまた、第2のデジタル入力130と称されることもあるデジタル入力130を有する。第2のデジタル入力130は、これ以降に更に詳細に説明するように、デジタル信号に結合され得るか又はデジタル信号に結合される。要約すると、第2のデジタル入力130により入力されるデジタル信号は、第1のデジタル入力114上のデジタル信号の最下位ビット又は低位のビットである。第2のデジタル入力130は、基準入力120においてオフセット電圧を生成するために第2のDACアレイ108により用いられ、また、アナログ出力の値を微調整するために用いられる。
【0014】
第3のDACアレイ110は、基準入力134及び基準出力136を有し、これらは、それぞれ、第3の基準入力134及び第3の基準出力136と称されることもある。基準入力134は、第1のDACアレイ106の基準出力122に接続される。基準出力136は、第2の基準電圧に結合されるか又は第2の基準電圧に結合され得、第2の基準電圧は、図1の実施例において、電圧基準VREFに基準されるように接地される。第3のDACアレイ110は、第3のデジタル入力140と称されることもあるデジタル入力140を有する。第3のデジタル入力140は、これ以降に更に詳細に説明するようにデジタル信号に結合されるか又は結合され得る。要約すると、第3のDACアレイ110は、第1のDACアレイ106により出力されるアナログ信号の値を微調整するために第2のDACアレイ108と共に働く。第2のDACアレイ108と同様、第3のデジタル入力140により入力されるデジタル信号は、第1のデジタル入力114上のデジタル信号の最下位ビット又は低位のビットである。
【0015】
図1のDAC100の実施例の概略図である図2が参照される。図2の概略図において、第1のDACアレイ106が従来のデジタル・アナログコンバータとして示され、第2のDACアレイ108及び第3のDACアレイ110がブロックとして示される。デジタル信号は、部分的に、A0〜A5の入力信号により示されるような入力である。一層高次のビットA2〜A5が、図2の実施例において電界効果トランジスタ(FET)である複数のスイッチ154を動作させるためにデジタル信号におけるビットをデコードするデコーダ200及び202に入力される。図2の実施例において、デコーダ200及び202は2×4デコーダである。デジタル信号の最下位ビットがデコーダ208に入力され、デコーダ208は、図1の実施例において3×8デコーダである。他の実施例において他のデコーダが用いられ得る。例えば、2×4デコーダが用いられ得る。デコーダ208は、第2のDACアレイ108及び第3のDACアレイ110を動作させるためにデジタル信号の最下位ビットをデコードする。図2において説明される実施例において、デコーダ208は、第2のDACアレイ108及び第3のDACアレイ110により生成される総計8つの異なる細電圧を表し得る3ビットを出力する。幾つかの実施例において、DAC100は、補間を提供し得るバッファ230を有する。
【0016】
図3は、第1のDACアレイ106を表すブロックと共に、第2のDACアレイ108及び第3のDACアレイ110の実施例の概略図を示す。第2のDACアレイ108及び第3のDACアレイ110は、離散抵抗値を提供するためにネットワークにおけるレジスタを含み、第2のDACアレイ108のレジスタネットワークは、第3のDACアレイ110におけるネットワークのレジスタの反転又はミラーイメージである。第2のDACアレイ108及び第3のDACアレイ110を制御するために最下位ビットが用いられるため、下記の詳細な説明により明らかになるように、アレイ108及び110の密な微調整のための8つの離散抵抗値がある可能性がある。他の実施例において、異なる数のあり得る離散抵抗値を生成するために異なる数の最下位ビットが用いられ得る。
【0017】
第2のDACアレイ108はネットワーク300を含む。ネットワーク300は、参照符号A〜Gにより示される8つのスイッチ302と、スイッチ303とを含む。スイッチ302は、レジスタ304を基準入力126に接続し、基準入力126は、それらを基準電圧VREFに接続する。本明細書に記載の実施例において、レジスタ304は全て、Rとして示される同じ値を有する。スイッチ303は、常にオンであり、レジスタR3が基準入力126と基準出力128との間に接続されるように、ワイヤ又はトレースなどの導体により代替され得る。スイッチA〜Gは、基準入力126と基準出力128との間の抵抗値を設定する。図3に示すように、基準入力126と基準出力128との間の抵抗は、少なくとも部分的に、第1のDACアレイ106の基準入力120への電圧を制御する。抵抗値は、Rの8分の1の増分であり、図2のデコーダ208により出力される3ビットがその後に続く。
【0018】
レジスタはそれらが関連付けられるスイッチにより参照される。例えば、スイッチAは、レジスタR1及びR2に関連付けられる。従って、スイッチAが閉じられるとき、入力基準126と出力基準128との間の抵抗は、レジスタR1〜R3の並列抵抗であり、R3はスイッチ303に関連付けられる。表306は、増分抵抗値を達成するためのスイッチ設定についての表を提供する。表306において示されるスイッチを閉じることにより、Rの8分の1の増分抵抗値が達成される。
【0019】
第3のDACアレイ110は、第2のDACアレイ108のレジスタ及びスイッチネットワーク300に実質的に類似するレジスタ及びスイッチネットワーク308を有する。第3のDACアレイ110のレジスタ及びスイッチネットワーク308は、第2のDACアレイ108のレジスタ及びスイッチネットワーク300の反転又はミラーイメージと称されることもある。図3に示すように、第3のDACアレイ110は、複数のレジスタ310及びスイッチ312を有する。スイッチ312は、スイッチA〜H、及び常にオンであるスイッチ320として示される。スイッチ320は、図3に示すFETではなく、レジスタR4が常に基準入力134と基準出力136との間に接続されるように、ワイヤ又はトレースなどの導体で置き換えられてもよい。
【0020】
第3のDACアレイ110は、レジスタ310が基準入力134に接続されるか又はその他方式で結合され、スイッチ312が基準出力136に接続されるか又はその他方式で結合されるように構成される。レジスタ310及びスイッチ312のネットワーク308は、ネットワーク300の反転又はミラーイメージであるように構成される。ネットワーク308のスイッチング及び抵抗構成は、表の310により図示するように、ゼロから7/8Rの抵抗値を提供する。この構成は、ネットワーク308のスイッチ320が基準入力134と基準出力136との間に接続され、そのライン内に接続されるレジスタがないため、ネットワーク300の構成とは僅かに異なる。従って、スイッチ320が閉じられると、基準入力134は基準出力136に短絡され、基準入力134と基準出力136との間の電圧降下はない。
【0021】
第2のDACアレイ108及び第3のDACアレイ110の構成を説明してきたので、それらのオペレーションをこれから説明する。上述のように、第2及び第3のDACアレイ108及び110は、可変抵抗値を有し、従って、第1のDACアレイ106上の基準入力120と基準出力122との間の電圧降下を調節することができる。電圧降下を調節することにより、アナログ出力における電圧が増大又は減少され得る。本明細書に記載の実施例において、第2のDACアレイ108と第3のDACアレイ110との間の累積的抵抗がRの値に維持される。
【0022】
DAC100のオペレーションの一例として、LSBは、第1のアレイ106のアナログ出力の電圧が実質的に上昇するか又は実質的な正のオフセットを有する必要があることを示している。図2のデコーダ208は、第2のDACアレイ108及び第3のDACアレイ110両方に出力されるべきデジタル信号を生成する。第2のDACアレイ108に送られるデジタル信号は、その抵抗を低くし得る。本明細書に記載される例において、第2のDACアレイ108の抵抗は、(1/8)Rまで低下する必要があり、これは、表の306により図示するようにスイッチA、C、及びEを閉じることによって達成される。同様に、第3のDACアレイ110の抵抗は(7/8)Rのその最大量まで増大し得、これは、表の310により図示するようにスイッチHを閉じることによって達成される。そのため、アナログ出力電圧は、第1のアレイ106の1LSB電圧の7/8シフトアップされる。第1のDACアレイ108と第2のDACアレイ110との間の累積的抵抗はRのままである。従って、実質的なオフセットが、第1のアレイ106の1LSB電圧内で達成される。他のオフセットが要求されるように、スイッチ300及び312のその他の構成が設定され得る。
【0023】
幾つかの実施例において、正又は負のオフセットがアナログ出力の電圧に印加され得る。これらの実施例において、DAC100は通常、各々R/2である第2のDACアレイ108及び第3のDACアレイ110の抵抗値で設定される。図3の実施例において、この通常状態は、第2のDACアレイ108におけるスイッチCをオンにすること及び第3のDACアレイ110におけるスイッチDをオンにすることにより達成される。正のオフセットが必要とされる場合、第2のDACアレイ108における抵抗が低減され、第3のDACアレイ110における抵抗が増大される。一方、負のオフセットが必要とされる場合、第2のDACアレイ108における抵抗が増大され、第3のDACアレイ110における抵抗が低減される。
【0024】
第2のDACアレイ108及び第3のDACアレイ110の別の実施例を図4に示す。第2のDACアレイ108は、レジスタ402及びスイッチ404のネットワーク400を有する。図4の実施例において、スイッチA〜Iとして称する9個のスイッチがある。スイッチ404は、基準入力126と基準出力128との間の抵抗値をもたらすため表404に従って設定される。第2のDACアレイ108は9個のスイッチを用いるので、(1/8)Rの値で増分する抵抗値を得るようにスイッチ404を動作させるために9個のビットが必要とされる。図4の実施例において、全てのレジスタ402は同じ値を有し、この値はRと称される。
【0025】
第3のDACアレイ110は、第2のDACアレイ108のネットワーク400に類似するレジスタ412及びスイッチ414のネットワーク410を有する。ネットワーク410は、ネットワーク400の反転又はネットワーク400のミラーイメージであると称される。第2のDACアレイ108のスイッチ404は、基準入力126に接続されるか又は結合され、第3のDACアレイ110のスイッチ414は基準出力136に接続されるか又は結合される。同様に、第2のDACアレイ108のレジスタ402は、基準出力128に接続されるか又は結合され、第3のDACアレイ110のレジスタ412は、基準入力134に接続されるか又は結合される。一つの例外はスイッチJであり、これは、基準入力134と基準出力136との間に接続される。
【0026】
図3及び図4のDACアレイ108、110は、基準入力126、134と基準出力128、136との間に8つの抵抗値を提供する。抵抗値は抵抗値Rの8分の1の増分である。抵抗値の数は、8の値に対応する3ビットを有する図2のデコーダ208により生成されるデジタル信号に対応する。他の実施例において、一層大きい数又は一層小さい数のビットが用いられる。
【0027】
基準入力126、134と基準出力128、136との間の4つの異なる抵抗値の可能性を提供するネットワーク500及び502の実施例が示されている図5を参照する。2ビットに対応する4つの異なる抵抗値が、図2のデコーダ208により生成される。ネットワーク500は、基準入力126とレジスタ512との間に接続される4つのスイッチ510を有する。レジスタ512は、直接的に又は他のレジスタとの直列接続により、基準出力128に接続される。ネットワーク502は、レジスタ522と基準出力136との間に接続される4つのスイッチ520を用いる。ネットワーク502における付加的なスイッチ524は、それが閉じられると、基準入力134を基準出力136に短絡する。ネットワーク500は、ネットワーク502のミラーイメージであると称される。
【0028】
図6は、基準入力126、134と基準出力128、136との間の4つの異なる抵抗値の可能性を提供するネットワーク600及び602のその他の実施例を示す。4つの異なる抵抗値は、図2のデコーダ208により生成される2ビットに対応する。ネットワーク600は、基準入力126とレジスタ612との間に接続される4つのスイッチ610を有する。レジスタ612は、直接的に又は他のレジスタとの直列接続により、基準出力128に接続される。ネットワーク602は、レジスタ622と基準出力136との間に接続される4つのスイッチ620を用いる。ネットワーク602における付加的なスイッチ624は、それが閉じられると、入力基準134を出力基準136に短絡する。ネットワーク600はネットワーク602のミラーイメージであると称されることもある。
【0029】
図7は、基準入力126、134と基準出力128、136との間の4つの異なる抵抗値の可能性を提供するネットワーク700及び702の更に他の実施例を示す。図5及び図6のネットワークと同様、4つの異なる抵抗値は、図2のデコーダ208により生成される2ビットに対応する。ネットワーク700は、基準入力126とレジスタ712との間に接続される4つのスイッチ710を有する。レジスタ712は、直接的に又は他のレジスタとの直列接続により、基準出力128に接続される。ネットワーク702は、レジスタ722と基準出力136との間に接続される4つのスイッチ720を用いる。ネットワーク602における付加的なスイッチ724は、それが閉じられると、基準入力134を基準出力136に短絡する。ネットワーク700は、ネットワーク702のミラーイメージであると称される。
【0030】
第2のDACアレイ108及び第3のDACアレイ110の実施例を説明したので、その他の実施例をこれから説明する。上述の実施例は、第2のDACアレイ108及び第3のDACアレイ110におけるネットワークのミラーイメージを用いる。幾つかの実施例において、ミラーイメージは必要とされない。例えば、ネットワーク600が第2のDACアレイ108において用いられ得、ネットワーク702が第3のDACアレイ110において用いられ得る。この実施例は、異なるネットワークパターンに対応する異なるビットを出力するために、図2のデコーダ208を必要とする。
【0031】
上記で開示された第2のDACアレイ108におけるネットワークは全て、基準入力126と基準出力128との間に接続される最小抵抗を有する。例えば、最小抵抗はR/8又はR/4であり得る。この最小抵抗は、電圧VREFが、第1のDACアレイ106の入力基準に直に印加されないようにし、これにより、アナログ信号の飽和の可能性が低減される。
【0032】
上記で開示された第3のDACアレイ110におけるネットワークは全て、基準入力134を短絡させ得るか又は基準出力136に直接的に接続させ得るスイッチを有する。基準出力136が接地される実施例において、このスイッチは、第1のDACアレイ106の基準出力122に対して接地基準を効果的に提供する。
【0033】
上述のネットワークの多くでは、従来のレジスタネットワークに比べて、用いられるレジスタが約4分の1のみである。その結果、ネットワークにより用いられる面積が、従来のネットワークのサイズの4分の1のみとなる。レジスタの数の低減は、異なるレジスタ間の直列及び並列接続によって達成される。上述のネットワークの全てにおいて、並列に接続されるレジスタに接続される少なくとも一つのスイッチがあり、並列レジスタは、基準出力128又は基準入力134のいずれかに接続されることに留意されたい。また、各ネットワークが、基準出力128又は基準入力134のいずれかに接続される単一レジスタに接続されるスイッチを有する。
【0034】
例示的な現在好ましい実施例が本明細書において詳細に説明されたが、発明の概念が、その他の方式で様々に具現化され得及び用いられ得ること、及び添付の特許請求の範囲が、従来技術により制限される場合を除きこのような変形を含むように解釈されることが意図されることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7