【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)運転者が後方を確認するために車室内に設けられる車両用ルームミラーであって、
後方側を撮影するための後方撮像手段と、
車両の乗員側からの視線を遮って前記後方撮像手段を目立たなくする遮蔽手段と、
前記後方撮像手段の撮影方向を調整するための調整手段と、を備えている車両用ルームミラーとすると良い。
【0009】
この車両用ルームミラーは、視線を遮って前記後方撮像手段を目立たなくする遮蔽手段を備えている。後方撮像手段を目立たなくすれば、車両の乗員が後方撮像手段の存在に気付く可能性が低くなり、不快感が生じるおそれを抑制できる。
【0010】
車両用ルームミラーの場合、運転者の視点高さ等に応じて鏡面の向きが適宜調整される。仮に後方撮像手段の撮影方向が固定されていると、運転者によって撮影方向が変動してしまい目的の撮影画像を取得できなくなるおそれがある。本発明の車両用ルームミラーは後方撮像手段の撮影方向を調整するための調整手段を備えているため、運転者毎の鏡面の向き調整等に依存することなく目的の撮影画像を取得できる。
【0011】
しかも、鏡面の向きは、鏡面を介して運転者が真後ろを見ることができるよう運転者の方へ傾けるのが一般的である一方、撮影対象の方向に向けられる撮影方向については、鏡面の向きと異なる方向に設定される場合がある。そのため、特に、撮影対象となった乗員にとっては、鏡面の向きに対して撮影方向がずれていることが極めて容易に認識されて不快感を生じやすいという問題があるが、このようにすれば、このような車両用ルームミラー固有の問題を解決できる。
【0012】
このように、上記のような構成を採用すれば、乗員が感じるおそれがある不快感を抑制しながら後方側を撮影可能である。
【0013】
また上記のように構成すれば、乗員から気付かれるおそれを抑制しつつ、目的の撮影画像を取得できる。例えばリアウィンドウ等を通した車外を撮影する場合であれば、自分が撮られているのではないかという乗員側の無用な心配を抑制しながら、車両外部の画像を取得できる。例えば、車両の管理者等が運転者を撮影したい場合であれば、自分が撮られているという不快感を抑制しながら運転者の撮影画像を取得できる。
【0014】
遮蔽手段は、「視線を遮る」構成として、例えば、後方撮像手段の撮影方向を乗員が認識しにくくする構成とするとよく、特に後方撮像手段の撮影方向を乗員が認識できないようにする構成とするとよい。視線を遮る態様としては、例えば後方撮像手段の少なくとも一部が乗員から見えにくい態様とするとよく、望ましくは、後方撮像手段の全体が乗員から見えにくい態様とするとよい。特に見えにくい態様としては見えない態様とするとよい。遮蔽手段は、例えば、後方撮像手段の少なくとも一部を乗員から見えなくする手段とするとよく、望ましくは、後方撮像手段の撮影方向を乗員から認識できないように視線を遮る手段とするとよい。乗員としては特に後方撮像手段の撮影対象となる乗員とするとよい。
【0015】
また、例えば、遮蔽手段は、後方撮像手段の撮影方向を遮蔽する構成であって、遮蔽手段を介して遮蔽手段の先の映像を取得可能な構成とするとよい。例えば、遮蔽手段は後方撮像手段の撮影方向に設けた外部から認識しにくいスリットやスリット群として構成するとよい。また遮蔽手段は少なくとも撮影方向について透光性を有しかつ後方撮像手段を乗員から認識しにくくする手段とするとよい。例えば次の(2)のような構成とするとよい。
後方撮像手段は例えば少なくともルームミラーの鏡面よりも後ろ側を含む領域を撮影する構成とするとよい。後方撮像手段は、前方まで含んで撮影する構成としてもよいし、調整手段により前方のみを撮影できる状態へ調整可能な構成としてもよい。
【0016】
(2)遮蔽手段は、透光性を有する鏡面であって、車両用ルームミラーの鏡面の少なくとも一部を形成するハーフミラーによって構成され、
前記後方撮像手段は、該ハーフミラーを介して撮影する構成とすると良い。
【0017】
鏡面の少なくとも一部を形成する前記ハーフミラーを利用すれば、車両用ルームミラーの本来の機能を実現するための鏡面によって前記後方撮像手段を目立たなくでき、乗員に違和感を与えるおそれが少なくなる。また、例えば前記後方撮像手段を構成するための光学レンズ等を鏡面の外に配置する必要性を抑制できるため、車両用ルームミラーの大型化を回避でき、運転者の前方視認性を良好に維持できる。
【0018】
調整手段としては、後方撮像手段が特に左右方向に首振り可能となる構成とするとよい。また調整手段を目立たなくする調整手段用遮蔽手段も備える構成とするとよい。調整手段用遮蔽手段も遮蔽手段(以下撮像手段用遮蔽手段ともいう)と同様に構成するとよい。また調整手段は次の(3)のようにするとよい。
【0019】
(3)調整手段は、前記後方撮像手段の撮影方向を水平方向及び垂直方向に変更可能である構成とすると良い。
この場合には、目的の撮影画像を取得するために撮影方向を上下左右に変更できれば、例えば、運転者等の乗員を撮影したい場合にも、乗員の頭越しに車両後方を撮影したい場合にも、適切に対応可能となり、目的の撮影画像を簡単に取得できる。なお、調整手段は、車両用ルームミラーの筐体内部に取付けた構成とするとよい。すなわち特許文献1のように外部に取り付けるのではなく、車両用ルームミラーの筐体の内部に取り付けるとよい。
【0020】
車両用ルームミラーの方向が調整可能である場合には、車両用ルームミラーの上下方向と重力加速度の方向とにずれが生じるなど、車両用ルームミラーを基準とした座標軸と重力加速度の方向を基準とした座標軸とにずれが生じる。水平方向や垂直方向は車両用ルームミラーを基準とした座標軸に対して水平方向、垂直方向としてもよいが、特に重力加速度の方向を基準とした座標軸に対して水平方向、垂直方向とするとよい。このようにすれば車両用ルームミラーの向きによらず撮影対象の傾きを抑えた映像を撮影できる。重力加速度の方向を基準とした座標軸に対して水平方向、垂直方向とする構成としては、例えば一般的に車両用ルームミラーが重力加速度方向に対してどの程度ずれていることが多いかに基づいて、そのずれの角度分、予め調整可能な方向を設定するようにしてもよいが、特に調整手段は、所定の軸を中心に回転可能かつ当該回転によって後方撮像手段の撮影方向が変化する構成とすると良い。所定の軸としては、特に後方撮像手段の撮影方向を備えるとよい。このようにすれば、ルームミラーの調整による水平、垂直方向の変動を打ち消して、撮像された映像の垂直方向を重力方向と合わせることなども容易に可能となり、画面上で映像を確認した際に画面の四辺または水準線に対して映像が傾いていて見にくくなることを防止でき、映像の内容の評価を誤ったりする可能性を低くすることができる。
【0021】
(4)後方撮像手段は、凸球状の外周面を有する球状部を凹球状の内周面によって摺動可能に保持するボールジョイント機構を介在して車両用ルームミラーの本体側に保持されており、当該ボールジョイント機構を利用して前記撮影方向を調整可能である構成とすると良い。
【0022】
この場合には、比較的簡単な構成により撮影方向の変更機構を実現できる。さらに、ボールジョイント機構であれば、垂直方向に変更するための機構と、水平方向に変更するための機構と、の両方を同時に実現できるので、例えばそれぞれの機構を独立して設ける場合と比べて、小型化、低コストかを実現できる。例えば、撮像手段は撮影方向を含む一部を開口した球形状の筐体に入れ、当該筐体を車両用ルームミラーの筐体に入れて、撮像手段の撮影方向を調整出来る様に撮像手段を入れた筐体ごと動かせる様に取り付ける構成とするとよい。特に一種のボールジョイント的構造とするとよい。このようにすることで比較的自由に角度を変えることができる。特に、後方撮像手段はボールジョイントの内部に設けるとよい。
【0023】
撮影方向を変更するための操作部は、例えば、車両用ルームミラーの筐体の裏側(ミラーと反対面側)から調整可能に構成するとよい。一度後方撮像手段を所定の撮影方向を向くように鏡面と撮影方向との角度に調整したとしても、運転者の体格や座席の位置により車両用ルームミラーを再調整する必要があるので、それに合わせ鏡面に対する後方撮像手段の角度を調整した方が望ましい。また、使い方によっては、撮影方向は、後方正面を中心にするより車両用ルームミラーで死角になるのを補える様な角度にした方がよい場合もある。このように撮像手段の撮影方向の調整を車両用ルームミラーの裏側から行える様にすれば、運転者や同乗者に調整機構が見えず外観的によい。
【0024】
(5)前記撮影方向を変更するための操作部が側面に配設されている構成とすると良い。
前記操作部が背面側であると、乗員側から見えなくなるので撮影方向を変更する操作が難しくなるおそれがある。一方、前記操作部を前面側に設けようとすると車両用ルームミラーの大型化を招来し、前方視認性が損なわれるおそれがある。そこで、前記操作部を側面に設ける場合であれば、運転者等が手を伸ばして比較的容易に前記撮影方向を変更できると共に、車両用ルームミラーの大型化を回避して前方視認性を良好に維持できる。
【0025】
(6)運転者が後方を確認するために車室内に装備された既存のルームミラーの鏡面側に覆い被せて後付けで装着する車両用ルームミラーであって、
前記撮影方向を変更するための操作部が、車両用ルームミラーの背面のうち、既存のルームミラーへの装着時に当該既存のルームミラーに対面しない部分に設けられている構成とするとよい。
【0026】
既存のルームミラーに覆い被せる後付けタイプの車両用ルームミラーであっても、上記のように既存のルームミラーに対面しない部分に前記操作部を配置すれば、既存のルームミラーから取り外すことなく前記操作部の操作が可能となる、撮影方向を変更する必要が生じたとき、その都度、既存のルームミラーから取り外すことなく簡単に撮影方向を変更できる。
【0027】
(7)運転者が後方を確認するために車室内に装備された既存のルームミラーの鏡面側に覆い被せて後付けで装着する車両用ルームミラーであって、
前記撮影方向を変更するための操作部が、既存のルームミラーに対面する背面のうち、既存のルームミラーの外周側から操作可能な位置に設けられている構成とするとよい。
【0028】
既存のルームミラーに覆い被せる後付けタイプの車両用ルームミラーであっても、上記のように既存のルームミラーの外周側から操作可能な位置に前記操作部を配置すれば、既存のルームミラーから取り外すことなく前記操作部の操作が可能となる、撮影方向を変更する必要が生じたとき、その都度、既存のルームミラーから取り外すことなく簡単に撮影方向を変更できる。
【0029】
操作部は、例えば道具を用いて後方撮像手段の撮影方向を調整する構成としてもよい。例えばドライバ等の棒状の物体を差し込む孔を設けておき当該孔に当該物体を差し込んで調整する構成としてもよい。しかしながら特に指で撮影方向を調整する構成とするとよい。例えば、操作部には突起部を設け、当該突起部に指を当てて撮影方向を調整する構成とするとよい。特に後方撮像手段を収納する筐体の後方撮像手段のレンズ面と反対方向に突起を出し、車両用ルームミラーの筐体裏側に孔をあけ、孔から突起が触れられる様に構成し、突起を動かす事により後方撮像手段の撮影方向の角度調整を可能とする構成とするとよい。突起をつけておく事により、特別な道具なしに指先で比較的容易に角度調整できる。
【0030】
車両用ルームミラーの筐体内に撮像手段及び、撮像手段によって撮影された映像を録画する回路を入れ、その車両用ルームミラーを車両の既存ルームミラーにかぶせて取り付けられる構造を有する構成とするとよい。このようにすれば車両に後付けする場合、車両の既存ルームミラーを交換するより簡単に取付けられる。
車両の既存ルームミラーへ取り付ける車両用ルームミラーの構成においては、この後付けする車両用ルームミラーの筐体内に撮像手段を設ける一方、調整手段については、既存ルームミラーの外側に出る部分を備えるとよい。このようにすれば、取り付けた車両用ルームミラーをいちいち取り外すことなく調整できるようになる。
【0031】
(8)前記後方撮像手段が取得した撮影画像を記憶媒体に記憶させるための制御手段を有し、当該制御手段は、車両側から電源供給を受けている間、撮影時点が古い撮影画像を消去することで記憶領域を確保しながら新たな撮影画像を記憶させる動作を繰り返し実行する構成とするとよい。
この場合には、ルームミラー型のドライブレコーダを実現できる。ドライブレコーダとしての機能をルームミラーに具備させれば、運転者の視界を広く確保しながらドライブレコーダ機能を実現できるとともに、車両の乗員が後方撮像手段の存在に気付く可能性が低くなり、撮影されていることを意識しない状態の自然な姿の乗員の状態を記録できる。
【0032】
(9)車両の前方側の車外空間を撮影する前方撮像手段を備えている構成とするとよい。
この場合には、本発明の車両用ルームミラーとは別に前方用のカメラ等をフロントガラス等に設置することなく、前方側の撮影画像を取得できる。この車両用ルームミラーを利用すれば、煩雑な設置状況を招来するおそれ少なく、後方側の撮影画像と前方側の撮影画像との両方を取得できる。
【0033】
(10)車両用ルームミラーが備える鏡面の少なくとも一部が透光性を有する鏡面であるハーフミラーによって形成されていると共に、前記後方撮像手段は該ハーフミラーを介して撮影するように構成され、
ハーフミラーを介して撮影する後方撮像手段の撮影画像の明るさと、ハーフミラーを介在することなく撮影する前方撮像手段の撮影画像の明るさと、の差を抑制するための明るさ調整手段を備えている構成とするとよい。
【0034】
入射した光の一部を反射し一部を透過するという光学特性を有するハーフミラーを介して撮影した場合、撮影画像の明るさが損なわれる傾向にある。そのため、ハーフミラーを介在した前記後方撮像手段の撮影画像と、ハーフミラーを介在しない前記前方撮像手段の撮影画像との間には、明るさの差が生じる可能性が高い。前記明るさ調整手段を設ければ、明るさの差を抑制でき、例えば後方撮像手段による撮影画像と前方撮像手段による撮影画像とを並べて表示したり切り換え表示したときの違和感を抑制できる。
【0035】
(11)前記前方撮像手段による撮影方向を調整するための調整手段を備えている構成とするとよい。
この場合には、運転者による鏡面の調整方向に関わらず目的の前方方向を撮影できるようになる。
【0036】
(12)前記後方撮像手段と前記前方撮像手段との間で調整手段が共用されており、後方撮像手段の撮影方向と前方撮像手段の撮影方向とを連動させて変更可能である構成とするとよい。
【0037】
例えば前方撮像手段により車両の進行方向を撮影し、後方撮像手段により車両の進行方向に沿う後方を撮影する場合、前方撮像手段の撮影方向と後方撮像手段の撮影方向とは180度の逆向きとなる。前方撮像手段と後方撮像手段との間で前記調整手段を共用すれば、撮影方向を調整するための手間が少なくなる。このように、前方撮像手段の撮影方向と後方撮像手段の撮影方向とは予め設定された角度関係を保って調整手段により撮影方向を連動して変更可能に構成すると特によい。
【0038】
(13)画像情報を表示するための画像表示手段を設けると共に、前記後方撮像手段に対する前記画像表示手段の光の映り込みを抑制するための手段を備えている構成とするとよい。
画像表示手段が画像情報を表示する画面の光が前記後方撮像手段に映り込むと、品質の高い撮影画像を取得できなくなる。上記のように後方撮像手段に対する光の映り込みを抑制するための手段を設ければ、前記画像表示手段を設けた場合であっても前記後方撮像手段による撮影画像の劣化を未然に抑制できる。特に、後方撮像手段の撮影方向及び画像表示手段の表示方向はいずれも車室側を向く構成とすると顕著な効果を発揮する。
また、例えば、画像情報を表示するための画像表示手段を、後方撮像手段を内蔵したミラーの筐体の外部に設け、画像表示手段による光の映り込みを抑制した車両用ルームミラーとする構成とするとよい。特に、画像情報を表示するための画像表示手段を、後方撮像手段を内蔵したミラーの筐体の外部に設け、画像表示手段は折り畳み式の構造、またはスライド式で必要時に取り出せる構造でミラーの筐体に取付けられている構造の、画像表示手段による光の映り込みを抑制した車両用ルームミラーとするとよい。このようにすれば後方撮像手段によって撮影された映像を見たいときだけ画像表示手段で確認することができ、それ以外のときには画像表示手段を目立たない位置等にしまうことができる。また、画像情報を表示する外部の画像表示手段と、後方撮影用カメラを内蔵したルームミラーとの画像情報の伝送を無線通信により行う車両用ルームミラーとするとよく、外部の画像表示手段はスマートフォン(多機能型携帯電話)等とするとよく、無線通信は、例えばWi−Fiとして、例えばスマートフォンに後方撮像手段で撮像した映像を送信して、スマートフォンで受信した映像を表示する等によって行うとよい。
(14)前記後方撮像手段による撮像範囲の少なくとも一部を照らす照明手段と、車両の乗員側からの視線を遮って前記照明手段を目立たなくする照明遮蔽手段とを備える構成とするとよい。
後方撮像手段に高感度赤外カメラを用いれば照明手段は必要ない構成とすることができる。しかしながら、(14)のようにすれば、例えば一般的なカメラを用いたとしても、例えば夜間等、後方撮像手段での撮像のための十分な明るさがない状況であっても、照明手段によって照らされた範囲をより明瞭に撮像することが可能となる。例えば後方撮像手段が、車内を撮影する場合には、撮影範囲を車内の乗員の少なくとも一部が撮影されるよう設定するとよい。
照明手段は、例えば、目立たない様に人が視認しにくい光を発する手段を用いるとよい。特に後方撮像手段は可視光領域から赤外領域にかけて感度特性を有するものを用い、照明手段は、赤外LEDを用いるとよい。
照明遮蔽手段は、板状またはレンズ状の物とするとよい。特に照明手段の照射方向を覆う物とするとよい。照明手段が赤外光を発する構成とした場合には、赤外光を通すフィルター特性を持つ板状またはレンズ状の物で覆う構成とするとよい。
(15)前記照明遮蔽手段は、前記遮蔽手段とするとよい。遮蔽手段と照明遮蔽手段は同一の部材を兼用するとよく、特に、遮蔽手段と照明遮蔽手段は同一の部材とするとよい。
例えば、照明手段として赤外LEDを用い、遮蔽手段及び照明遮蔽手段は、同一部材のハーフミラーの内部に、後方撮像手段としてのカメラ等を一緒に入れるとよく、このようにすれば、外部から目立たず、照明と撮像がされていることを撮影の対象者等が認識しにくくなる。
(16)前記後方撮像手段によって撮像された映像に前記照明遮蔽手段による反射光が入射することを抑制する入射抑制手段を備えるとよい。
例えば、遮蔽手段と照明遮蔽手段は同一の部材を兼用し、例えば当該部材をハーフミラーとすると、照明手段の照明光が当該ハーフミラーによる反射光として後方撮像手段に入射してしまい撮像範囲の映像が、当該ハーフミラーによる反射光によって得られず正常な撮影ができないという問題が発生することを見出した。この問題は、特に(15)の構成を備える場合に顕著に発生する。
そこで、上記(16)のようにすれば、照明遮蔽手段による反射光により後方撮像手段の撮像範囲の映像が正常に撮影できる。
入射抑制手段は、照明遮蔽手段による反射光が入射することを抑制する構成であればどのような構成でもよいが、特に、照明手段から照明遮蔽手段の間の空間と、後方撮像手段から遮蔽手段の間の空間とを光学的に仕切る構造を備えるとよい。例えば両者の空間の間に遮蔽板等を設けるとよい。また両者の間の空間を照明遮蔽手段による反射光が入射しにくい距離以上に離す構造とするとよい。
(17)前記照明遮蔽手段は、前記遮蔽手段の外に配置するとよい。
特に、照明遮蔽手段は遮蔽手段とは別体として構成するとよい。
(18)前記照明遮蔽手段は、当該車両用ルームミラーが備える操作部、または、当該車両用ルームミラーが備える操作部に見えるダミー部材、の少なくともいずれか一方を備えるとよい。
このようにすれば、照明手段の存在を撮影対象の者などに特に認識されにくくなる。
上記(14)から(18)の構成例としては例えば次のようにするとよい。
1.照明用赤外LEDをミラーの外に配置し、ミラーと赤外LEDの間に仕切りを設ける。
2.赤外LEDをカモフラージュする為、赤外LEDの前に赤外光を通すフィルター特性を持つ板状またはレンズ状の物で覆う。
3.上記板状またはレンズ状の物と上記ミラーとの間に仕切りを設ける。
4.上記ミラーの外側に操作ボタンまたは操作ボタンのダミーを、赤外光を透過する樹脂等で作り、設け、ボタンの後ろから赤外光を発する様にする。
【0039】
(19)上記の調整手段にかえて、または、調整手段とともに、前記後方撮像手段を固定する固定手段を備える車両用ルームミラーとするとよい。
固定手段は、後方撮像手段を筐体に対して固定できる構造とするとよく、例えばカメラを備えた基板をネジ止め等で固定したりするとよい。
調整手段にかえて前記後方撮像手段を固定する固定手段を備える構成は、運転者が後方を確認するために車室内に設けられる車両用ルームミラーであって、後方側を撮影するための後方撮像手段と、車両の乗員側からの視線を遮って前記後方撮像手段を目立たなくする遮蔽手段と、を備えている車両用ルームミラーである。
例えば、上述した構成では、調整手段を備える構成としたが調整手段を備えず、撮像手段を車両用ルームミラーの筐体内に収納し、鏡面の法線方向(鏡面に対する垂直方向)に対して撮像手段の撮影方向(例えばカメラの光軸)をずらした角度で撮像手段を取付けた構成としてもよい。車両用ルームミラーは、運転者が後方を確認出来る様に鏡面の角度を調整する。その場合、鏡面の法線方向を撮影方向として後方撮像手段を取付けると、後方撮像手段は後方正面を向かない。このようにすれば、これを補正して後方正面も撮影することができる。
【0040】
例えば、上述した(1)から(19)の各々の項に記載の各構成要素は任意に組み合わせて機器を構成するとよい。特に、少なくとも(1)または(19)の構成要素のいずれかを備える構成とするとよい。より望ましくは、上述した(1)から(19)の各項に記載の構成要素の組み合わせを具備する構成とするとよく、各項に記載の構成を単独で構成することもできるが、特に(1)から(19)のいずれかの2以上の構成を組み合わせて機器を構成すると優れた効果を発揮する。特に(1)の構成を備える組み合わせとするとよい。
構成例としては例えば次のようにするとよい。
運転者が後方を確認するために車室内に設けられたルームミラーであって、
車の前方を撮影する第1の撮像手段と、
車室内及び後方を撮影する第2の撮像手段と
両方の撮像手段で撮影された画像を録画する録画手段を持ち、
少なくとも第2の撮像手段は前記ルームミラーの筐体内部に配置し、
乗員及びリアウインドからの車外の状況の両方を撮影出来る様に撮影画角及び
設置確度を設定し、
車両の乗員側からの視線を遮って前記第2の撮像手段を目立たなくする遮蔽手段と、
を備えている車両用ルームミラー。