特許第6643698号(P6643698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643698
(24)【登録日】2020年1月9日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】樹脂部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 39/10 20060101AFI20200130BHJP
   B29C 51/10 20060101ALI20200130BHJP
   B29C 44/06 20060101ALI20200130BHJP
   B29C 44/18 20060101ALI20200130BHJP
   B32B 3/26 20060101ALI20200130BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20200130BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20200130BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20200130BHJP
【FI】
   B29C39/10
   B29C51/10
   B29C44/06
   B29C44/18
   B32B3/26 A
   B32B5/18
   B29K105:04
   B29L9:00
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-194779(P2015-194779)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-65150(P2017-65150A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年6月1日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】玉田 輝雄
【審査官】 池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−107588(JP,A)
【文献】 特開2008−247003(JP,A)
【文献】 特開2003−164315(JP,A)
【文献】 特開2010−052389(JP,A)
【文献】 特開2013−104267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 39/00−39/44
B29C 44/00−44/60
B32B 3/26−3/30
B32B 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂部品の製造方法であって、
前記樹脂部品は、中空部を有する樹脂成形体を備え、
前記中空部は、前記樹脂成形体に設けられた仕切り部によって複数の空間に分割されており、
前記複数の空間は、充填空間と非充填空間を備え、
前記充填空間に発泡用原料を注入して発泡させて樹脂発泡体を形成する工程を備え
前記樹脂成形体は、前記中空部を隔てて重ねた表壁と裏壁と、前記中空部を囲む周壁を備え、
前記仕切り部は、前記裏壁と前記表壁の一方を他方に向かって突出させて形成され、
前記充填空間は、前記周壁に接しており、
前記発泡用原料は、前記周壁を通じて注入される、方法。
【請求項2】
前記充填空間での前記樹脂発泡体の充填率は、前記非充填空間よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記充填空間と前記非充填空間は、交互に並ぶように配置される、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記樹脂成形体内に補強材を備え、
前記補強材は、前記樹脂発泡体によって固定される、請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記樹脂成形体内において互いに離間されて配置される複数の補強材を備え、
前記樹脂発泡体は、前記複数の補強材を橋渡しするように設けられる、請求項1〜請求項4の何れか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記樹脂部品は、使用時に別の部材に当接される複数の当接部を備え、
前記樹脂発泡体は、前記複数の当接部を橋渡しするように設けられる、請求項1〜請求項5の何れか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記複数の空間は、通気孔を通じて互いに連通されている、請求項1〜請求項の何れか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のデッキボードなどの樹脂部品は、中空部を有する樹脂パネルによって形成される場合がある。特許文献1には、このような樹脂パネルの強度を向上させるために、液状の発泡用原料を中空部内に注入し、中空部内で発泡用原料を発泡させて樹脂発泡体を形成しているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5406498号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、中空部内に発泡体を形成することによって強度は向上するものの、樹脂パネルの重量が増大してしまうという問題がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、樹脂部品の重量の増大を抑制しつつ樹脂部品に必要な強度を付与することができる樹脂部品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、中空部を有する樹脂成形体を備え、前記中空部の一部に樹脂発泡体が充填されている、樹脂部品が提供される。
【0007】
本発明者は、前述の目的を達成するために、種々検討を重ねてきた。その結果、樹脂成形体の中空部の一部に樹脂発泡体を充填することによって、樹脂部品の重量の増大を抑制しつつ樹脂部品に必要な強度を付与することができることを見出し、本発明の完成に到った。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記中空部は、前記樹脂成形体に設けられた仕切り部によって複数の空間に分割されており、前記複数の空間は、充填空間と非充填空間を備え、前記充填空間での前記樹脂発泡体の充填率は、前記非充填空間よりも大きい。
好ましくは、前記充填空間と前記非充填空間は、交互に並ぶように配置される。
好ましくは、前記樹脂成形体内に補強材を備え、前記補強材は、前記樹脂発泡体によって固定される。
好ましくは、前記樹脂成形体内において互いに離間されて配置される複数の補強材を備え、前記樹脂発泡体は、前記複数の補強材を橋渡しするように設けられる。
好ましくは、前記樹脂成形体は、前記中空部を隔てて重ねた表壁と裏壁とを備え、前記仕切り部は、前記裏壁と前記表壁の一方を他方に向かって突出させて形成される。
好ましくは、前記樹脂部品は、使用時に別の部材に当接される複数の当接部を備え、前記樹脂発泡体は、前記複数の当接部を橋渡しするように設けられる。
好ましくは、前記複数の空間は、通気孔を通じて互いに連通されている。
本発明の別の観点によれば、上記記載の樹脂部品の製造方法であって、前記中空部の一部に発泡用原料を注入して発泡させて樹脂発泡体を形成する工程を備える、樹脂部品の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態の樹脂成形体1の構成を示し、(a)は平面図、(b)はA−A断面図、(c)はB−B断面図、(d)はC−C断面図である。
図2】本発明の第1実施形態の樹脂成形体1の充填空間2aに樹脂発泡体13が充填されて得られた樹脂部品が部材11上に2辺受けされている状態を示し、(a)は平面図、(b)はA−A断面図、(c)はB−B断面図、(d)はC−C断面図である。(a),(d)では、当接部9a,9bは、図示の便宜上、当接部を含み且つ当接部よりもわずかに広い領域を一点鎖線で囲んで図示している。
図3】樹脂成形体1の製造工程を示し、(a)は型締め前の状態を示し、(b)は型締め後の状態を示す。
図4】本発明の第1実施形態の樹脂成形体1の変形例1を示し、図1(b)に対応するA−A断面図である。
図5】本発明の第1実施形態の樹脂成形体1の変形例2を示し、図1(d)に対応するC−C断面図である。
図6】本発明の第1実施形態の樹脂成形体1の変形例3を示し、図1(c)に対応するB−B断面図である。
図7】本発明の第2実施形態の樹脂成形体1の充填空間2aに樹脂発泡体13が充填されて得られた樹脂部品が部材11上に4点受けされている状態を示し、(a)は平面図、(b)はA−A断面図、(c)はB−B断面図、(d)はC−C断面図である。(a),(d)では、当接部9a〜9dは、図示の便宜上、当接部を含み且つ当接部よりもわずかに広い領域を一点鎖線で囲んで図示している。
図8】本発明の第2実施形態の変形例1の樹脂成形体1の充填空間2aに樹脂発泡体13が充填されて得られた樹脂部品が部材11上に1辺2点受けされている状態を示し、図7(d)に対応するC−C断面図である。当接部9a〜9cは、図示の便宜上、当接部を含み且つ当接部よりもわずかに広い領域を一点鎖線で囲んで図示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態を説明する。
1.第1実施形態
図1図2に示すように、本発明の第1実施形態の樹脂部品は、自動車のデッキボードのような略長方形状の樹脂パネルであり、中空部2を有する樹脂成形体1を備え、中空部2の一部に樹脂発泡体13が充填されている。樹脂成形体1は、中空部2を隔てて重ねた表壁7と裏壁9とを備える。中空部2の周囲は、周壁8で囲まれている。表壁7は略フラットであり、裏壁9には、裏壁9を表壁7に向かって突出させて形成された長方形状のリブ3が設けられている。リブ3の先端において表壁7と裏壁9は溶着されている。
【0011】
中空部2は、リブ3によって複数の空間に分割されているので、リブ3が中空部2を複数の空間に分割する仕切り部として機能する。複数の空間には、充填空間2aと非充填空間2bが含まれており、充填空間2aでの樹脂発泡体13の充填率は、非充填空間2bでの樹脂発泡体13の充填率よりも大きい。充填率とは、所定の空間内で樹脂発泡体13が占める体積の割合である。充填空間2aが樹脂発泡体13で完全に充填されると充填率は100%となり、非充填空間2bに樹脂発泡体13が全く充填されない場合、充填率は0%となる。充填空間2aの充填率は、60%以上が好ましく、70,80,90,95,又は99%以上がさらに好ましい。非充填空間2bの充填率は、50%以下が好ましく、40,30,20,10,5,又は1%以下がさらに好ましい。中空部2の充填率は、10〜90%が好ましく、具体的には例えば、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0012】
充填空間2aと非充填空間2bは交互に並ぶように配置されている。一対の充填空間2aが樹脂成形体1の長手方向Lの両端に設けられており、一対の充填空間2aの間に非充填空間2bが配置されている。充填空間2aと非充填空間2bの間は通気孔5を通じて互いに連通されている。通気孔5は、リブ3と周壁8の間に設けられている。
【0013】
図1(d)中の矢印Xで示すように、充填空間2a内にノズルを挿入して充填空間2a内に発泡用原料を注入すると、充填空間2a内で発泡用原料が発泡して充填空間2a内に樹脂発泡体13が形成される。充填空間2a内に注入する発泡用原料の種類は特に限定されず、充填空間2a内で発泡した後に固化して樹脂発泡体13を形成可能な任意の原料が利用可能である。発泡用原料の一例は、2液混合による化学反応型ポリウレタン発泡を行う原料である。ポリウレタン発泡の発泡倍率は特に限定されないが、80倍以下が好ましく、40倍以下又は20倍以下がさらに好ましい。この発泡倍率が大きすぎると、樹脂発泡体13を充填空間2aに充填したことによる強度向上が不満足になりやすいからである。発泡倍率の下限は特に限定されないが、例えば、5倍又は10倍である。
【0014】
充填空間2a内に発泡用原料を注入する前は、充填空間2a内には気体が含まれているが、発泡用原料が発泡するにつれて充填空間2a内の気体が通気孔5を通じて非充填空間2bに移動するので、充填空間2a内の気体によって発泡用原料の発泡が妨げられることがない。このため、充填空間2a内の空気を抜くための通気孔を樹脂成形体1の外面に設ける必要がなく、樹脂成形体1の美観が向上する。また、通気孔5は、発泡用原料の移動を抑制するサイズに形成されているので、発泡用原料は、充填空間2aから非充填空間2bにはほとんど移動しない。
【0015】
本実施形態では、図2に示すように、樹脂成形体1の裏壁9の対向する2辺の当接部9a,9bが部材11に当接して、樹脂成形体1が部材11上に支持される(2辺受けされる)ことが想定されている。この場合、図2(c)の矢印Fで示すように樹脂成形体1に荷重が加わると当接部9a,9bを支点として樹脂成形体1の短手方向Sの中央部が沈むように樹脂成形体1が湾曲変形されやすい。しかし、本実施形態では、図2(c),(d)に示すように、2辺の当接部9a,9bを橋渡しするように樹脂発泡体13が設けられているので、樹脂成形体1の強度が高められて樹脂成形体1の変形が抑制される。さらに、本実施形態では、2辺の当接部9a,9bを橋渡しするようにリブ3が設けられているので、樹脂成形体1の変形が一層抑制される。
【0016】
また、樹脂成形体1は、長手方向Lの中央部よりも、長手方向Lの端部近傍で変形が起こりやすい。従って、樹脂成形体1の長手方向Lの端部近傍に充填空間2aを配置して充填空間2a内に樹脂発泡体13を充填することによって、樹脂発泡体13の充填量を減らしつつ必要な強度を確保することが可能になる。これによって、樹脂部品の製造コストの低減及び軽量化が可能になる。
【0017】
次に、本実施形態の樹脂部品の製造方法について説明する。
まず、図3(a)に示すように、樹脂成形体1の形状に応じた一対の金型21,22を用意し、溶融樹脂シート(パリソン)23,24を金型21,22側から吸引することにより、溶融樹脂シート23,24を金型21,22に密着させる。
【0018】
次に、図3(b)に示すように、金型21,22を型締めし、溶融樹脂シート23,24で挟み込む。金型21,22には、金型21,22の内部に形成されるキャビティを取り囲むようにピンチオフ部21b,22bが設けられており、溶融樹脂シート23,24がピンチオフ部21b,22bによって挟まれて潰される。溶融樹脂シート23,24のうちキャビティの外側にある部分がバリ26となり、ピンチオフ部21b,22bによって挟まれた部分がバリ26の切り取り線となる。型締め後には、キャビティ内にエアーの吹き込みを行っても行わなくてもよい。
【0019】
次に、金型21,22を開いて成形品を取り出し、ピンチオフ部21b,22bによって成形品に形成された切り取り線でバリ26を切断して除去する。以上の工程で、図1に示す樹脂成形体1が形成される。なお、樹脂成形体1は、円筒状のパリソンを用いて形成してもよい。
【0020】
次に、樹脂成形体1の充填空間2a内に発泡用原料を注入すると、充填空間2a内で液状樹脂が発泡して充填空間2a内に樹脂発泡体13が形成されることによって、本実施形態の樹脂部品が得られる。
【0021】
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・上記実施形態では、裏壁9が表壁7に向かって凹まされて形成されたリブ(所謂、スリットリブ)3が仕切り部として機能しているが、図4に示すように、裏壁9が凹まないように形成されたインナーリブ3aを仕切り部として機能させることもできる。また、図5に示すように、多数の点リブ3bを仕切り部として機能させてもよい。この場合、隣接する2つの点リブ3bの間の隙間が通気孔5となる。点リブ3bの断面形状は、円、楕円、多角形(正方形、長方形、六角形など)などの何れであってもよい。何れのリブも、表壁7と裏壁9の一方を他方に向かって突出させることによって形成することができる。
・上記実施形態では、リブ3と周壁8の間に通気孔5が設けられているが、図6に示すように、リブ3と表壁7の間に通気孔5を設けてもよい。
・表壁7と裏壁9の間に別の部材(例:補強材)を配置して仕切り部として機能させてもよい。
・通気孔5を設けずに、充填空間2aと非充填空間2bを仕切ってもよい。この場合、充填空間2aと樹脂成形体1の外部を連通する通気孔を設けることが好ましい。
・充填空間2aの数は、1つであっても3つ以上であってもよい。
【0022】
2.第2実施形態
次に、図7を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の樹脂部品は、第1実施形態に類似しており、樹脂成形体1内に補強材15が配置されている点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0023】
本実施形態では、樹脂成形体1内に複数の補強材15が互いに離間されて配置されている。本実施形態では、リブ3と周壁8の間の隙間が第1実施形態よりも大きく、この隙間に補強材15が配置されている。通気孔5は、補強材15とリブ3の間と、補強材15と周壁8の間に設けられる。補強材15は、樹脂成形体1の長手方向Lに沿って配置されている。補強材15は、細長い形状を有しており、その断面形状はH型である。補強材15の断面形状は特に限定されず、円、楕円、多角形(六角形、正方形、長方形など)などであってもよい。補強材15は、棒状であってもよく、筒状であってもよい。補強材15の材質は特に限定されず、金属や硬質のプラスチックなどで形成可能である。補強材15は、充填空間2aと非充填空間2bの両方に渡って設けられている。
【0024】
補強材15の一部を充填空間2a内に配置した状態で充填空間2a内に発泡用原料を注入して充填空間2a内に樹脂発泡体13を充填すると、充填空間2a内で補強材15が樹脂発泡体13によって固定される。このため、補強材15が樹脂成形体1内で移動することによる異音の発生が抑制される。また、複数の補強材15が樹脂発泡体13で橋渡しされることによって樹脂発泡体13の変形が一層抑制される。
【0025】
本実施形態では、図7に示すように、樹脂成形体1の裏壁9の4隅の当接部9a〜9dが部材11に当接して、樹脂成形体1が部材11上に支持される(4点受けされる)ことが想定されている。この場合、図7(c)の矢印Fに荷重が加わると当接部9c,9dを支点として樹脂成形体1の短手方向Sの中央部が沈むように湾曲変形されやすく、図7(b)の矢印Gで示すように荷重が加わると当接部9a,9cを支点として樹脂成形体1の長手方向Lの中央部が沈むように湾曲変形されやすい。しかし、本実施形態では、図7(a)〜(d)に示すように、樹脂成形体1の長手方向Lに延びるように且つ当接部9aと9c及び当接部9bと9dをそれぞれ橋渡しするように補強材15が配置されており、且つ複数の補強材15を橋渡しするように樹脂発泡体13が設けられているので、樹脂成形体1の強度が高められて樹脂成形体1の変形が抑制される。
【0026】
次に、本実施形態の樹脂部品の製造方法について説明する。
まず、第1実施形態と同様に、図3(a)に示すように、樹脂成形体1の形状に応じた一対の金型21,22を用意し、溶融樹脂シート(パリソン)23,24を金型21,22側から吸引することにより、溶融樹脂シート23,24を金型21,22に密着させる。
【0027】
次に、溶融樹脂シート23,24の一方に補強材15を貼り付けた後に、第1実施形態と同様に、金型21,22を型締めして樹脂成形体1を形成する。
【0028】
次に、第1実施形態と同様に、樹脂成形体1の充填空間2a内に発泡用原料を注入すると、充填空間2a内で液状樹脂が発泡して充填空間2a内に樹脂発泡体13が形成されることによって、本実施形態の樹脂部品が得られる。
【0029】
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・補強材15は、樹脂成形体1を形成した後に、樹脂成形体1内に挿入してもよい。この場合、補強材15の挿入後に充填空間2a内に発泡用原料を注入して充填空間2a内に樹脂成形体13を充填することによって、補強材15を樹脂発泡体13で固定することができる。
図8に示すように、樹脂成形体1が1辺(当接部9a)及び2点(当接部9b,9c)受けされる場合には、当接部9aの側には補強材15は不要であり、当接部9b,9cを橋渡しするように補強材15を配置すればよい。
【符号の説明】
【0030】
1:樹脂成形体、2:中空部、2a:充填空間、2b:非充填空間、3:リブ、5:通気孔、7:表壁、8:周壁、9:裏壁、11:部材、13:樹脂発泡体、15:補強材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8