(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0011】
(はじめに)
近年、タブレット型の端末装置は、ユーザが容易に持ち運びできるように小型及び薄型になっている。そのため、タブレット本体は、外部インターフェース等の拡張機能を内蔵せず、クレードルやドッキングステーション等の拡張装置にその機能を持たせ、端末装置を拡張装置に接続して拡張装置が有する機能を端末装置にて利用することが行われている。タブレット本体とクレードルの接続方法についてはコネクタ接続、有線接続、無線接続などがある。以下では、タブレット本体とクレードルの接続方法がコネクタ接続の場合のシステムについて説明する。
【0012】
[システムの全体構成]
本実施形態に係るタブレット本体とクレードルとの連結(ドッキング)が可能なシステムの一例について、
図1を参照しながら説明する。本システムは、台となるクレードル20にタブレット本体10をドッキングさせることにより、タブレット本体10はクレードル20が有する電源供給機能や拡張機能を使用できるようになっている。
【0013】
図1(a)は、タブレット本体10をクレードル20にドッキングさせた状態の正面図であり、
図1(b)は、その背面図である。ユーザがクレードル20に設けられたイジェクトボタン21を押すと、タブレット本体10をクレードル20から外すことができる。タブレット本体10とクレードル20とが正しく接続できているときLED27は点灯し、タブレット本体10をクレードル20から外したときLED27は消灯する。
【0014】
図1(c)は、タブレット本体10をクレードル20にドッキングするときのクレードル20の状態を示し、
図1(d)は、タブレット本体10をクレードル20から外すときのクレードル20の状態を示す。クレードル20には、イジェクトボタン21、メカスイッチ22、フック23及びフォトインタラプタ24を含むロック機構30が備わっており、それぞれが連動して動くようになっている。なお、説明の便宜のため、
図1(c)及び
図1(d)にはタブレット本体10は示していない。
【0015】
タブレット本体10をクレードル20に連結させるために近づけると、
図1(c)の矢印に示すように、初めにメカスイッチ22がタブレット本体10により押下される。メカスイッチ22が押下されると、フック23が図の右方向にスライドし、クレードル20に設置されたタブレット本体10が溝にはまることで、その連結部をロックすることができる。また、同時にイジェクトボタン21が元の状態に戻る。
【0016】
反対にタブレット本体10をクレードル20から外すときには、
図1(d)の矢印に示すように、イジェクトボタン21が押され、フック23が左方向にスライドし、ロックが解除される。また、同時にメカスイッチ22が元の状態に戻る。その状態でタブレット本体10を持ち上げると、タブレット本体10をクレードル20から取り外すことができる。なお、本実施形態では、クレードル20側に設けられた接続端子3a、3bがタブレット本体10側の連結部の接点に差し込まれることで、クレードル20とタブレット本体10とが電気的に接続される。しかしながら、連結部の構成はこれに限らず、タブレット本体10側に接続端子を設け、クレードル20側に接続端子が差し込まれる接点を設けてもよい。なお、クレードル20側のドックコネクタ2と接続端子3a、3bとを含めて連結部3ともいう。また、両端の接続端子3bとそれ以外の接続端子3aとクレードル20側のドックコネクタ2とを総称して連結部3ともいう。
【0017】
クレードル20側のドックコネクタ2は、ドッキング時にタブレット本体10側のドックコネクタに接続される。このようなコネクタ接続のクレードルの課題として接続端子の劣化が挙げられる。例えば、国際公開番号WO2016/031073に開示されているように、確実にタブレット本体とクレードルが接続された状態(以下、「ドック」と呼ぶ。)を確認した後、ドックコネクタに通電するといった技術がある。この技術ではドックコネクタの両端の接続端子の電圧をマイコンで監視し、正常な電圧範囲になったときに、コネクタを通電させるという処理をマイコンが行っている。この技術を用いることで、タブレット本体が斜めに接続されていた場合の当該接続端子の発熱燃損を防ぐことができるというメリットがある。また、ドック時に接続端子に通電していないため、端子間でのスパークも防ぐことができる。
【0018】
しかし、この技術ではタブレット本体とクレードルを取り外す際(以下、「アンドック」と呼ぶ。)については、接続端子に通電した状態でタブレット本体がクレードルから取り外される。タブレット本体やクレードルに搭載されているマイコンは物理的に取り外されるまで、アンドック状態になったということを検知できないためである。そのため、取り外し時にコネクタの接続端子間でスパークなどが発生する可能性があり、また接続端子に負荷がかかることにより、接続端子の劣化が早くなるということが懸念される。
【0019】
また、この技術では、ユーザはタブレット本体を起動せずに、クレードルだけでドック状態になっているかどうかを簡単に知る手段がない。例えばユーザがドックしたと思っていても、接触不良やロック機構が半ロック状態などにより、完全にはドック状態になっていない場合や、例えば接続端子が中途半端にドックされている状態のときに、ユーザが完全にドックされていないことを気づき難い。
【0020】
そのため、ユーザは、ドック状態を確認するためにタブレット本体を起動し、OS(Operating System)上でアプリケーションを使用してドック状態を確認する必要があった。特にタブレット本体とクレードルのドックコネクタが接触しているにもかかわらず、クレードルのフックが完全にロックされていない状態でユーザが使用する場合、ユーザは完全にロックされていないことに気がつかない。このような場合に、ユーザがタブレット本体又はクレードルを少し動かしたりするとタブレット本体がクレードルから外れてしまい、HDD(Hard Drive Disk)やUSB(Universal Serial Bus)メモリなどのストレージのアクセス中に接続が途切れる恐れがある。
【0021】
そこで、本実施形態では、タブレット本体10とクレードル20との連結を外す際に、ドックコネクタへの通電により生じるダメージを防止するシステムを提供する。そのために、本実施形態では、フォトインタラプタ24をクレードル20の基板に実装し、メカスイッチ22の押下及びイジェクトボタンの押下に合わせてフォトインタラプタ24の出力が変化するようにする。
【0022】
図2にクレードル20内部のロック機構30の動作の一例を示し、
図3にフォトインタラプタ24の内部構成の一例を示す。ロック機構30では、フック23の動きと同期して金属板23bがスライドするような構造となっている。具体的には、
図2(a)に示す初期位置から、メカスイッチ22が押下されると、
図2(b)に示すように、金属板23bがフック23とともに図の右方向に移動し、金属板23bの先端部の遮光板23aが、フォトインタラプタ24の遮光位置まで動く。イジェクトボタン21が押下されると、
図2(c)に示すように、金属板23bがフック23とともに図の左方向に移動し、金属板23bの先端部の遮光板23aが、フォトインタラプタ24の遮光位置から退避する。
【0023】
図3に示すように、本実施形態では、フォトインタラプタ24は透過型を用いる。フォトインタラプタ24の内部の回路は、LED24aとフォトトランジスタ24bを有する。遮光板23aは、LED24aの光を遮断する。なお、遮光板23aに限らず、遮光板23aの替わりにLED24aの光を遮ることができる材質を使用することができる。
【0024】
遮光板23aがある場合、発光したLED24aの光がフォトトランジスタ24bのベースに入光されず、フォトトランジスタ24bはオフ状態になる。一方、遮光板23aがない場合、LED24aの光がフォトトランジスタ24bに入光され、フォトトランジスタ24bはオン状態になる。
【0025】
図2において、遮光板23aがフォトインタラプタ24を遮光するとき又は遮光しないとき、言い換えると、フックがロック状態になっているとき又はロック状態になっていないときで出力が変化するということを利用して、本実施形態では、接続端子3a,3bへの通電及び通電の遮断が制御される。また、通電の遮断と同時にタブレット側のマイコンに電源の遮断を通知する。これにより、ドックコネクタへの通電により生じる接続端子の劣化を防止する。
【0026】
なお、本実施形態では、構造の制約上およびフック23の位置精度を上げるため、フォトインタラプタ24を一例として用いる。しかしながら、フック23のスライド幅が大きくできるような構造ではフォトインタラプタ24の替わりに磁気センサやメカスイッチを用いたり、フォトインタラプタ24とともにこれらの構造を用いたりすることが可能である。
図4(a)に磁気センサ124と磁石125による構成の一例を示し、
図4(b)にメカスイッチ224と構造物225による構成の一例を示す。いずれもフック23のスライドと同期して磁石125および構造物225がスライドする。
【0027】
図4(a)では、磁石125の移動により磁気センサ124が検出する磁場の大きさが変化する。磁気センサ124が検出する磁場が所定値よりも大きくなると、ドック状態であると判定され、それ以外の場合にはアンドック状態であると判定される。これにより、ドックとアンドックを判別することができる。
【0028】
図4(b)では、構造物225の移動によりメカスイッチ224がオン又はオフされる。メカスイッチ224がオンされるとドック状態であると判定され、メカスイッチ224がオフされるとアンドック状態であると判定される。これにより、ドックとアンドックを判別することができる。
【0029】
かかる構成によれば、クレードル20は、タブレット本体10をドックしたときにスイッチをオンするメカスイッチ22、ロックをかけるフック23を有する。また、クレードル20は、フック23と同期してスライドする金属板23b、ロックを解除するためのイジェクトボタン21を有する。また、タブレット本体10にはフック23の受け口が形成され、タブレット本体10をクレードル20に載置したときにロックできる構造を持っている。
【0030】
タブレット本体10とクレードル20がドックされた状態から、タブレット本体10を取り外す場合、ユーザはイジェクトボタン21を押す。これにより、タブレット本体10をロックしているフック23がスライドするのと同期して金属板23bがスライドする(アンロック)。フォトインタラプタ24では光が検出され、これによりフォトインタラプタ24の出力が変化する。フォトインタラプタ24の出力は、ハードウェアスイッチ(以下、「HWスイッチ」と呼ぶ。)及びクレードルマイコンで検出される。HWスイッチをオフするハードウェア制御(以下、「HW制御」と呼ぶ。)により接続端子3a、3bへの電力供給が停止される。クレードルマイコンは、タブレットマイコンにアンドック状態を通知する。
【0031】
アンドックの手順は、上記のHW制御と、マイコンでアプリケーションを動作させる(以下、「SW制御」と呼ぶ。)ことにより、接続端子への電力供給がされていない状態で、タブレット本体10をクレードル20から取り外すことができる。これにより、ドックコネクタへの通電により生じる接続端子の劣化を防止することができる。以下では、本実施形態に係るタブレット本体10とクレードル20のハードウェア構成、機能構成、を説明した後、上記手順のアンドック処理についてより詳しく説明する。
【0032】
[ハードウェア構成]
本実施形態に係るタブレット本体10とクレードル20のハードウェア構成の一例について、
図5を参照しながら説明する。
【0033】
タブレット本体10は、タブレット型の端末に限らず、PC(Personal Computer)、スマートフォン、ビデオカメラ、デジタルカメラ、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯電話、携帯用音楽再生装置、携帯用映像処理装置、携帯用ゲーム機器、HMD(Head Mount Display)等のウェアラブル表示デバイスであってもよい。
【0034】
クレードル20は、外部インターフェース等の拡張機能を有し、タブレット本体10の機能を拡張する拡張装置であってもよい。しかしながら、クレードル20は、拡張装置に限らず、タブレット本体10と連結可能な端末装置であり得る。
(タブレット本体)
タブレット本体10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、タッチパネル14、液晶ディスプレイ15、タブレットマイコン16、HDD(Hard Disk Drive)17、磁気(MR:Magneto Resistive)センサ124、電源ボタン回路18、電源回路19、ACコネクタC1及びドックコネクタ1を有する。CPU11、ROM12、RAM13、タッチパネル14、液晶ディスプレイ15、タブレットマイコン16、HDD17、電源ボタン回路18、電源回路19及びドックコネクタ1は、接続バスBによって接続されている。磁気センサ124は、タブレットマイコン16に接続されている。
【0035】
CPU11は、各種プログラム及び各種データが記憶されたHDD17からRAM13の作業領域に所定のプログラムを書き込み、プログラムを実行させてタブレット本体10の制御を行う。
【0036】
HDD17は、各種プログラム及び各種データを読み書き自在に記録媒体に格納する。HDD17には、オペレーティングシステム(OS:Operating System)等が格納される。HDD17の替わりに、例えば、ネットワーク上のコンピュータ群であるクラウドシステムの記憶装置に前記プログラムや各種テーブルを格納してもよい。また、HDD17に替えて、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)が用いられ得る。また、例えば、CD(Compact Disc)ドライブ装置、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ装置、Blu-ray(登録商標) Disc(BD)ドライブ装置が用いられ得る。また、NAS(Network Attached Storage)あるいはSAN(Storage Area Network)を用いてもよい。
【0037】
タッチパネル14は、ユーザによるタッチ操作を受け付ける。タッチパネル14によるタッチの検出方式は、ユーザのタッチ操作を検出できればどのような方式であってもよい。タッチパネル14によるタッチの検出方式には、例えば、マトリックス・スイッチ方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式あるいは静電容量方式が適用可能である。
【0038】
液晶ディスプレイ15には、CPU11で処理されるデータやROM12やRAM13に記憶されるデータが出力される。液晶ディスプレイ15は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)である。液晶ディスプレイ15は、PDP(Plasma Display Panel)、EL(Electroluminescence)パネル、有機ELパネルであってもよい。
【0039】
タブレットマイコン16は、マイクロコントローラである。タブレットマイコン16は、各種処理プログラムに基づき演算処理を実行する演算回路、及び前記各種処理プログラム、各種テーブル等を記憶する記憶装置を含む。タブレットマイコン16は、
図5に示す両端の接続端子3bの電圧値を取得することで、タブレット本体10とクレードル20との接続状態を判断する。また、タブレットマイコン16は、ドックコネクタ1、2を介してクレードル20側のクレードルマイコン26と通信を行うことで、接続状態に関する情報の通知や取得を可能とする。ドックコネクタ1、2は、一の端末装置と他の端末装置と連結可能な連結部の一例である。
【0040】
磁気センサ124は、磁場により電気抵抗が変化する磁気抵抗素子を利用したセンサである。磁気センサ124は、クレードル20に設けられた磁石125からの磁場を検出することでタブレット本体10とクレードル20との接近を検出する。磁気センサ124及び磁石125は設けられなくてもよい。
【0041】
ドックコネクタ1がクレードル20のドックコネクタ2と電気的に接続されることで、タブレット本体10とクレードル20とが通信可能な状態となる。ドックコネクタ1は、表面が平面に形成され、ドックコネクタ2が備える複数の接続端子3a、3bが接触する複数の接点を備えている。接続端子3a、3bは、タブレット本体10とクレードル20との通信や、タブレット本体10及びクレードル20の一方から他方への電力供給に使用される。
【0042】
タブレットマイコン16は、クレードル20側の接続端子3bの電圧値を取得する。接続端子3bにかかる電圧は、クレードルマイコン26に電力が供給されている場合およびクレードルマイコン26に電力が供給されていない場合のそれぞれにおいて、相異なる一定範囲に収まるように調整されている。
【0043】
タブレット本体10に設けられた電源ボタンが押下されると、電源ボタンがオンされたことが、電源ボタン回路18を介してタブレットマイコン16に伝えられ、AC(Alternating Current)コネクタC1に接続されたAC(Alternating Current)アダプタから電源回路19を介して各部に電力が供給される。ACコネクタC1には、ACアダプタ以外にバッテリが接続され、バッテリから電力を供給してもよい。
(クレードル)
クレードル20は、外部ディスプレイインターフェース(I/F:Interface)25、クレードルマイコン26、LED27、USBインターフェース(I/F)32、LAN(Local Area Network)インターフェース(I/F)33、電源回路29、磁石125、ロック機構30、スイッチ機構31、ACコネクタC2及びドックコネクタ2を備える。外部ディスプレイI/F25、USB I/F32、LAN I/F33、クレードルマイコン26、電源回路29及びドックコネクタ2は、接続バスBによって接続されている。LED27は、クレードルマイコン26に接続されている。
【0044】
外部ディスプレイI/F25、USB I/F32及びLAN I/F33は、外部装置とのインターフェースである。外部ディスプレイI/F25、USB I/F32及びLAN I/F33に接続された外部装置は、クレードル20と接続されたタブレット本体10から利用可能である。
【0045】
スイッチ機構31は、ACアダプタに接続されるACコネクタC2とドックコネクタ2とをつなぐ電源系に設けられている。スイッチ機構31は、SWスイッチ31aとHWスイッチ31bとを有している。SWスイッチ31aは、クレードルマイコン26に接続されている。HWスイッチ31bは、ロック機構30内のフォトインタラプタ24に接続されている。ACコネクタC2には、ACアダプタ以外にバッテリが接続され、バッテリから電力を供給してもよい。
【0046】
ドックコネクタ2は、タブレット本体10のドックコネクタ1と接続されることで、タブレット本体10とクレードル20とを電気的に接続し、両者間における通信や電力の授受を可能とする。クレードル20のドックコネクタ2は、ドックコネクタ1の複数の接点に対応する複数の接続端子3a、3bを有する。接続端子3a、3bは、上下方向に進退自在となっている。接続端子3a、3bは、ドックコネクタ1との接触により押圧されることで、下方へ沈み込む。これに対し、ドックコネクタ1との接触が開放されると、ばねの付勢力(復元力)によって上方へ突出するようになっている。接続端子3a、3bがドックコネクタ1の接点と接触することで、タブレット本体10とクレードル20とは電気的に接続される。接続端子3a、3bは、ドックコネクタ1の対応する接点との接触を通じてデータ通信や電力授受のために使用される。両端の接続端子3bにかかる電圧は、タブレットマイコン16に電力が供給されている場合およびタブレットマイコン16に電力が供給されていない場合のそれぞれにおいて、相異なる一定の検出電圧1及び検出電圧2の範囲に収まるように調整されている。
【0047】
クレードルマイコン26は、マイクロコントローラである。クレードルマイコン26は、ドック及びアンドック処理プログラム、ドック及びアンドック時に行われる判定処理プログラム等の処理プログラムに基づき演算処理を実行する演算回路、及び前記処理プログラム、各種テーブル等を記憶する記憶装置を含む。クレードルマイコン26は、接続端子3bにかかる電圧値を取得することで、タブレット本体10とクレードル20との接続状態を判断する。また、クレードルマイコン26は、ドックコネクタ2を介してタブレット本体10のタブレットマイコン16と通信することで、接続状態に関する情報の通知や取得を可能とする。
【0048】
本実施形態では、スイッチ機構31は、機械式のスイッチであり、スイッチ機構31は、SWスイッチ31aとHWスイッチ31bとの2段階のスイッチを有する。クレードル20に設けられるフォトインタラプタ24の状態に応じて、フォトインタラプタ24からLOW又はHIGHの信号がHWスイッチ31bに入力される。フォトインタラプタ24からHWスイッチ31bに入力される信号がLOWの間、HWスイッチ31b及びSWスイッチ31aはオンされ、ACコネクタC1に接続されたACアダプタから電源回路29を介して各部に電力が供給される。フォトインタラプタ24からHWスイッチ31bに入力される信号がHIGHになると、HWスイッチ31bはオフされ、ドックコネクタ2への電力供給が遮断される。なお、フォトインタラプタ24の出力は外部回路で論理反転可能なため、HIGHとLOWの関係は逆でも構わない。
【0049】
また、フォトインタラプタ24からクレードルマイコン26に入力される信号により、クレードルマイコン26は、ドック又はアンドックを判定するアプリケーションをOS上で起動する。クレードルマイコン26は、アプリケーションの判定結果に応じてSWスイッチ31aのオン又はオフを制御する。SWスイッチ31aのオフによってもドックコネクタ2への電力供給は遮断される。
【0050】
このとき、SWスイッチ31aのオン又はオフは、クレードルマイコン26がマイコン用ファームウェアを用いてドック又はアンドックを判定し、その判定結果に応じて制御される。これに対して、HWスイッチ31bのオン又はオフは、フォトインタラプタ24からの信号の入力により直ちに制御されるため、SWスイッチ31aがオフされるよりも先にHWスイッチ31bがオフされる。
【0051】
かかる機構により、本実施形態では、ドック又はアンドックを判定する前に、ロック機構30のロック又はアンロック(つまり、フォトインタラプタ24のLOW又はHIGHの信号)に応じてHWスイッチ31bのオン及びオフがHW制御される。これにより、アンロック後のアンドック時には、接続端子3a,3bには電力は供給されていない。この結果、本実施形態では、アンドック時に連結部の接続端子-接点間で生じるスパーク等が生じない。これにより、本実施形態に係るタブレット本体10及びクレードル20のシステムでは、タブレット本体10とクレードル20との連結を外す際の連結部へのダメージをなくし、接続端子の劣化を防止できる。
【0052】
[機能構成]
次に、本実施形態に係るタブレット本体10とクレードル20の機能構成の一例について、
図6を参照しながら説明する。クレードル20は、連結部3、制御部260、ロック制御部及び通電制御部310を有する。
【0053】
連結部3は、タブレット本体10の連結部4と連結することで、電気的に接続され、タブレット本体10との通信及び電力供給を可能とする。連結部3の機能は、例えば、ドックコネクタ2及び接続端子3a、3bにより実現される。
【0054】
制御部260は、クレードル20の制御を行う。制御部260は、連結部3の連結状態(ドック又はアンドック)を判定する。制御部260の機能は、例えば、クレードルマイコン26により実現される。
【0055】
ロック制御部300は、タブレット本体10のロック状態(ロック又はアンロック)を判定する。ロック制御部300の機能は、例えば、ロック機構30により実現される。
【0056】
ロック制御部300がタブレット本体10との連結をロックするロック機構30が解除されたことを検知し、通電制御部310がこの検知を受け付けると、通電制御部310は、連結部3への通電を遮断する。通電制御部310の機能は、例えば、スイッチ機構31により実現される。
【0057】
通電制御部310は、第1通電制御部310a及び第2通電制御部310bを有する。第1通電制御部310aは、ロック機構30が解除されたことの検知を受け付けると、制御部260が行う連結部3の連結状態(ドック又はアンドック)の判定結果に応じて連結部3への通電を遮断する。
【0058】
第2通電制御部310bは、連結部3の連結状態の判定結果に関わらず(つまり、ソフトウェアの処理を介さずに)連結部3への通電を遮断する。第1通電制御部310aの機能は、例えば、SWスイッチ31aにより実現され、第2通電制御部310bの機能は、例えば、HWスイッチ31bにより実現される。
【0059】
制御部260は、連結部3、4を介して連結状態をタブレット本体10の制御部160に通知する。連結部4の機能は、例えば、ドックコネクタ1により実現され、制御部160の機能は、例えば、タブレットマイコン16により実現される。
【0060】
なお、
図6は機能に着目したブロック図を描いており、これらの機能ブロックで示した各部は、ハードウエアのみ、ソフトウェアのみ、またはハードウエアとソフトウェアとの組合せによって実現することができる。
【0061】
[判定処理]
次に、本実施形態に係る接続状態判定処理の一例について
図7及び
図8を参照して説明する。
図7及び
図8は、タブレット本体10とクレードル20とがドック状態からアンドック状態までの接続状態を判定する判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0062】
なお、一方の接続端子3bで取得される電圧の電圧値をDOCK_DET#1で示し、他方の接続端子3bで取得される電圧の電圧値をDOCK_DET#2で示す。以下、
図7及び
図8を参照して、タブレット本体10との接続状態を検出する処理フローについて説明する。
図7及び
図8に示す処理は、例えば、クレードルマイコン26によって実行される。
【0063】
T1において、クレードルマイコン26は、メカスイッチ22が押下されたかを判定する。メカスイッチ22が押下されると、フック23が移動し、遮光板23aがフォトインタラプタ24の間に挿入され、フォトインタラプタ24のLED24aとフォトトランジスタ24bとが遮断される。
【0064】
T2において、クレードルマイコン26にフォトインタラプタの出力値であるOPT_DOCK信号の値が入力される。ここでフォトインタラプタの光が遮られている(ロックされている)場合、OPT_DOCK信号はLOWを出力し、遮られていない(ロックされていない)場合にはHIGHを出力する。OPT_DOCK信号がLOWのとき、HWスイッチ31bはオンする。なお、フォトインタラプタの出力がLOWの場合、タブレット本体10はドックされているため、
図9に示すアンドック処理は実行されないようになっている。
【0065】
T2において、クレードルマイコン26にLOWのOPT_DOCK信号が入力されると、LOWのCRDL_DTPWR信号を出力する。CRDL_DTPWR信号がLOWになることで、SWスイッチ31aがオンとなり、ACアダプタからの電力がドックコネクタ2に供給される。
【0066】
T3において、クレードルマイコン26は、ドックコネクタ2の接続端子3bで取得される電圧値を取得する。クレードルマイコン26は、取得した電圧値をAnalog/Digital(A/D)変換によってデジタル信号に変換する。クレードルマイコン26は、デジタル信号に変換された電圧値であるDOCK_DET#1を取得する。取得したDOCK_DET#1は、例えば、クレードルマイコン26の記憶装置に記憶される。また、T3では、クレードルマイコン26は、ループカウンタとして使用する変数Nの値をインクリメントする。なお、変数Nの初期値は、例えば0である。
【0067】
T4において、クレードルマイコン26は、変数Nの値が3であるかを確認する。Nの値が3である場合、処理はT5に進められる。Nの値が3ではない場合、T3に戻り、T3の処理が繰り返される。なお、T3からT4のループは、ノイズ等の偶発的な理由により、クレードルマイコン26がDOCK_DET#1を誤検出することを避けるために行われる。
【0068】
T5において、クレードルマイコン26は、T3で取得したDOCK_DET#1が検出電圧1の範囲内であるか否かを判定する。DOCK_DET#1が検出電圧1の範囲内である場合(T5でyes)、処理はT6に進められる。DOCK_DET#1が検出電圧1の範囲外である場合(T5でno)、処理はT7に進められる。
【0069】
T6において、DOCK_DET#1が検出電圧1の範囲内であることにより、クレードルマイコン26は、タブレット本体10が電源オンの状態であると判断する。その後、処理がT11に進む。
【0070】
T7において、クレードルマイコン26は、T3で取得したDOCK_DET#1が検出電圧2の範囲内であるか否かを判定する。DOCK_DET#1が検出電圧2の範囲内である場合(T7でyes)、処理はT8に進められる。DOCK_DET#1が検出電圧2の範囲外である場合(T7でno)、処理はT9に進められる。
【0071】
T8において、DOCK_DET#1が検出電圧1の範囲外であり、かつ、検出電圧2の範囲内であることにより、クレードルマイコン26は、タブレット本体10が電源オフの状態であると判定する。その後、処理がT11に進む。
【0072】
T9において、DOCK_DET#1が検出電圧1範囲および検出電圧2の範囲外であることにより、クレードルマイコン26は、タブレット本体10とクレードル20とは電気的に接続されていないと判定する。T10では、3秒間の処理待ち時間の後、処理はT3に戻される。
【0073】
T11〜T14、T17、T18、T20およびT21の処理は、判断対象となる電圧値がDOCK_DET#1からDOCK_DET#2になることを除いて、それぞれT3〜T10と同様であるため、その説明は省略される。
【0074】
T15において、T3で取得されたDOCK_DET#1とT11で取得されたDOCK_DET#2が比較される。DOCK_DET#1がDOCK_DET#2と等しい場合(T15でyes)、処理はT16に進められる。DOCK_DET#1がDOCK_DET#2と異なる場合(T15でno)、処理はT3に戻される。DOCK_DET#1とDOCK_DET#2とが等しい場合、タブレット本体10とクレードル20とは電気的に正常に接続されていると判断される。また、DOCK_DET#1とDOCK_DET#2とが等しい場合、T6およびT14の双方においてクレードル20が電源が供給されている状態であると判断される。
【0075】
T16の段階では、T15の処理によって、タブレット本体10及びクレードル20のそれぞれの電源が共にオンであることが確認されている。そのため、T16では、例えば、ACアダプタにそれぞれ接続されたタブレット本体10及びクレードル20に電力が供給される。その後、T22において、処理は
図8に例示される処理に進められる。
【0076】
T19の段階では、T18の処理によって、タブレット本体10の電源がオフであることが検出されている。そのため、クレードル20からタブレット本体10に電力が供給される。
【0077】
以上で説明した
図7の処理によって、クレードルマイコン26は、タブレット本体10とクレードル20とが電気的に接続されているか否かを判定する。なお、タブレットマイコン16においても同様にしてタブレット本体10とクレードル20とが電気的に接続されているか否かを判定することができる。また、タブレットマイコン16及びクレードルマイコン26は、物理的なドック及びアンドックを検出できれば、検出手段は上記手段に限定しない。例えば、タブレットマイコン16及びクレードルマイコン26は、磁気センサ124等のセンサー類を用いて物理的なドック及びアンドックを検出してもよい。
(接続端子の不十分な接触)
タブレット本体10とクレードル20とが電気的に接続されている場合でも、タブレット本体10の接点とクレードル20の接続端子3a、3bとの接触が不十分な場合がある。また、一度良好に接続されても、その後に接触が不十分な状態に遷移する場合もある。そこで、
図7の処理に続いて、クレードルマイコン26は、
図8に例示する処理を実行する。
【0078】
図8は、タブレット本体10の接点とクレードル20の接続端子との不十分な接触を判定する判定処理の一例を示す。不十分な接触とは、タブレット本体10の斜め差し、すなわち、クレードル20に対しタブレット本体10が斜めに接続されることをいう。不十分な接触は、二つの接続端子3bのうちの一方の接点との接触が他方の接点との接触と比較して弱い状態を含む。
【0079】
T101において、
図7のT22から処理が引き継がれる。T102において、
図7の処理によってドック状態、すなわちタブレット本体10がクレードル20に載置されている状態になっている。T103において、クレードルマイコン26は、CRDL_DTPWR信号の信号レベルをHIGHに設定する。CRDL_DTPWR信号の信号レベルがHIGHに設定されることで、SWスイッチ31aがオフされる。これにより、ACアダプタからクレードル20への電力供給がオフにされる。
【0080】
T104において、クレードルマイコン26は、DOCK_DET#1およびDOCK_DET#2を取得する。電圧値を取得する方法は、
図7のT3およびT11と同様のため、その説明は省略される。T105の処理は、
図7のT4およびT12と同様のため、その説明は省略される。
【0081】
T106において、クレードルマイコン26は、T104で取得したDOCK_DET#1およびDOCK_DET#2が検出電圧2の範囲未満であるか否か判定する。DOCK_DET#1およびDOCK_DET#2の少なくともいずれか一方が検出電圧2の範囲未満である場合(T106でyes)、処理はT107に進められる。DOCK_DET#1およびDOCK_DET#2のいずれもが検出電圧2の範囲以上である場合(T106でno)、処理はT109に進められる。
【0082】
T107において、クレードルマイコン26は、T104で取得したDOCK_DET#1およびDOCK_DET#2の少なくとも一方が検出電圧2の範囲未満であることにより、接続端子3bの少なくとも一方のインピーダンスの増加を検出する。クレードルマイコン26は、インピーダンスの増加により、タブレット本体10およびクレードル20の接続が不良であると判定する。例えば、DOCK_DET#1側の接点と接続端子3b(第1の側)との接触状態がDOCK_DET#2側の接点と接続端子3b(第2の側)との接触状態より不良である場合がある。この場合、第1の側の接触抵抗(インピーダンス)は第2の側の接触抵抗(インピーダンス)より大きくなり、電流が流れにくくなるので、DOCK_DET#1からの電圧が低下する。このときの電圧が、正常な接続を示す電圧範囲から外れるときに、クレードルマイコン26は、タブレット本体10とクレードル20との接続が不十分と判断する。
【0083】
T108において、クレードルマイコン26は、SWスイッチ31aをオフし、タブレット本体10およびクレードル20間の給電及びデータ通信等の機能を制限する。
【0084】
T109において、クレードルマイコン26は、T104で取得したDOCK_DET#1およびDOCK_DET#2のいずれもが検出電圧2の範囲以上であることにより、タブレット本体10とクレードル20とが正常に接続されたものと判定する。
【0085】
T110において、クレードルマイコン26は、T103でHIGHに設定したCRDL_DTPWR信号の信号レベルをLOWに戻す。CRDL_DTPWR信号の信号レベルがLOWに戻されることにより、電源がオンにされる。T111において、250ミリ秒の待機時間の後、T112において、クレードルマイコン26は、タブレット本体10がクレードル20から外されたか否か判定する。その後、T113において、250ミリ秒の待機時間の後、処理はT103に進められる。
【0086】
以上の説明では、
図8の処理はCRDL_DTPWR信号の信号レベルをHIGHにして、クレードル20によって実行された。しかしながら、
図8の処理は、タブレット本体10によって実行されてもよいし、タブレット本体10およびクレードル20の双方で実行されてもよい。
【0087】
[アンドック処理]
次に、本実施形態に係るアンドック処理の一例について
図9を参照して説明する。
図9は、本実施形態に係るアンドック処理の一例を示す。本実施形態では、スイッチ機構31の2段のスイッチのオンにより、ACアダプタからドックコネクタ2に電源が供給される。本実施形態では、アンドック時、タブレット本体10をクレードル20から取り外す前に、ドックコネクタ1,2への通電を遮断する。これにより、ドックコネクタ2及び接続端子3a、3bを含む連結部3のダメージをなくすことができる。本実施形態に係るアンドック処理は、おもにクレードルマイコン26により実行される。
【0088】
初めに、S1において、クレードルマイコン26は、現在の接続状態を監視し、タブレット本体10がドック状態かを判定する。クレードルマイコン26は、現在の接続状態を、
図7にて説明したように、取得した電圧値と検出電圧1、2との比較結果に基づき判定する。
【0089】
タブレット本体10がアンドック状態であると判定した場合、本処理を終了する。一方、タブレット本体10がドック状態であると判定した場合、S2に進む。S2において、クレードルマイコン26は、フォトインタラプタ24の出力値であるOPT_DOCK信号の値を取得する。ここでOPT_DOCK信号はフォトインタラプタ24の光が遮られている(ロックされている)場合にLOWを出力し、遮られていない(ロックされていない)場合にHIGHを出力する。
【0090】
S3において、クレードルマイコン26は、フォトインタラプタ24の出力値がHIGHか否かを判定する。フォトインタラプタ24の出力がLOWの場合、クレードルマイコン26は、タブレット本体10がロックされているため、ドックされている状態であると推定し、S2に戻る。これにより、タブレット本体10がドックされている状態のときには、アンドック処理は実行されないようになっている。
【0091】
ここで、ユーザがイジェクトボタン21を押すと、クレードル20のフック23がスライドし、フォトインタラプタ24の出力(OPT_DOCK#)がHIGHになる。
図10に示すように、OPT_DOCK信号は、クレードルマイコン26と、クレードル20からタブレット本体10側に供給しているスイッチ機構31のHWスイッチ31bとに入力される。OPT_DOCK信号がLOWからHIGHに変化すると、
図9のS4において、HWスイッチ31bが瞬時にオフされ、電源ラインが切断され、ドックコネクタ2への電力供給がすぐさま停止する。S4の処理は、HW制御であるため、クレードルマイコン26が行うSW制御によりSWスイッチ31aがオフされるよりも先にオフされる。このため、本実施形態では、タブレット本体10がクレードル20から取り外される(アンドック)前に、ドックコネクタ2への電力供給を遮断することができる。S4の処理は、
図10のAに示すラインを用いたHW制御であり、ドックコネクタ2の連結状態の判定結果に関わらず、ドックコネクタ2への通電を遮断する第2通電制御部の制御の一例である。
【0092】
一方、OPT_DOCK信号がHIGHに変化すると、S5において、クレードルマイコン26のSW制御によりスイッチ機構31のSWスイッチ31aがオフされる。OPT_DOCK信号がHIGHになったとき、クレードルマイコン26は、SWスイッチ31aをオフするように制御する。S5の処理は、
図10のBに示すラインを用いた制御であり、クレードルマイコン26が行うドックコネクタ2の連結状態の判定結果に応じてドックコネクタ2への通電を遮断する第1通電制御部制御の一例である。
【0093】
また、S6において、クレードルマイコン26は、タブレットマイコン16にアンドックを通知し、クレードル側のLED27を消灯させる。LED27が消灯することで、ユーザはタブレット本体10とクレードル20とが正しく接続できていないということを視覚的に知ることができる。
【0094】
なお、S4の処理にてHW制御によりスイッチ機構31がオフされると、電力供給を遮断できるため、S5の処理を行わないことも考えられる。しかしながら、S5の処理はS4の処理とともに実行される必要がある。その理由は、S5の処理を省略し、SWスイッチ31aがオンされている状態のままであると、タブレット本体10を取り外した後に再接続したときに、HWスイッチ31bをオフからオンに制御すれば電力の供給が開始されることになる。しかしながら、再接続の際には、クレードルマイコン26が接続状態を監視し、確実にドックした後に通電が開始されるようにする必要がある。よって、アンドック時にS5の処理によりSWスイッチ31aをオフしておく。
【0095】
以上に説明したように、本実施形態に係るシステムによれば、SWスイッチ31aがオフされるよりも先のアンロック時にHWスイッチ31bがオフされる。このため、SWスイッチ31aがオフされたとき(つまり、アンドック時)には、既にドックコネクタ2への通電は遮断されている。よって、接続端子3a、3bへの電力供給が遮断された状態でタブレット本体10をクレードル20から取り外すことが可能になり、接続端子の劣化や腐食などを防止し、製品寿命を延ばすことができる。また、ユーザがタブレット本体10を起動しなくてもドック状態かどうかをLED27によって簡単に知ることができると同時に、中途半端にドックしている状態でもユーザに通知することができるため、確実にドックした状態でタブレット本体10及びクレードル20をユーザに使用してもらうことができる。
【0096】
ドック時、始めにHWスイッチ31bがフォトインタラプタ24によってオンに制御され、さらにクレードルマイコン26が両端の接続端子3bの電圧範囲を監視し、正常な電圧値だということを確認した後、SWスイッチ31aがオンに制御されて初めて通電が開始する。そのため、ドック時は確実にドックした後に通電が開始されるため、接続端子におけるスパークや電蝕を防ぐことができる。
【0097】
一方、アンドック時には、
図9のS4及びS5の処理によりSWスイッチ31a及びHWスイッチ31bがともに最終的にオフになるが、その際にS4においてフォトインタラプタ24による出力によりHWスイッチ31bが先に遮断される。このため、アンロックの時点でドックコネクタ2への通電を遮断することができる。さらにクレードルマイコン26が発行したアンドック通知をタブレットマイコン16が受け取ると、ドックコネクタ1,2に供給される電圧は全て遮断される。これにより、スパークすることなくタブレット本体10とクレードル20とを取り外すことができる。この結果、接続端子の劣化を防止できる。
【0098】
従来のクレードルでは、ドックコネクタさえ接触していればマイコンがドック状態と判定していた。また、クレードル側でドック状態になっているかをユーザが簡単に知る手段がなかった。このため、クレードルのフックが完全にロックされていない状態であって、かつドックコネクタの接触ができている場合に、ユーザは不完全なドック状態でもタブレット本体10及びクレードル20を使用できる場合がある。これにより、意図しない状況でタブレット本体がクレードルから外れてしまうことがあった。
【0099】
これに対して、本実施形態に係るクレードル20は、フック23のスライド位置をフォトインタラプタ24によって検出する機能を有する。これにより、例えば、フック23が半ロック状態(例えば、完全にロックされた状態の半分程度だけスライドした状態)では、フォトインタラプタ24はHIGHを出力するため、クレードルマイコン26はアンロック状態と判別することができる。これにより、ユーザは、完全にロックされている状態でタブレット本体10を使用でき、意図しない状況でタブレット本体10がクレードル20から外れてしまうことを回避できる。
(スイッチ制御の他の例)
図10では、クレードル20における電源供給の際のスイッチ機構31の制御について説明した。しかしながら、本実施形態にかかるタブレット本体10及びクレードル20のシステムは、クレードル20側に電源系がある場合に限らず、
図11に示すように、タブレット本体10側に電源系があってもよい。
【0100】
図11は、タブレット本体10からクレードル20に電源を供給している場合のスイッチの制御フローを示す。このとき、スイッチ機構41はタブレット本体10側にあり、ロック機構30はクレードル20側にある。
【0101】
この場合、HWスイッチ41bの制御(HW制御)は、フォトインタラプタ24から出力されるOPT_DOCK信号がHIGHになると、ドックコネクタ1,2を通してHWスイッチ41bがオフになる。これにより、ドックコネクタ1,2への通電を瞬時に遮断することができる。
【0102】
また、SWスイッチ41aの制御(SW制御)は、クレードルマイコン26からタブレットマイコン16にアンドックを通知し、タブレットマイコンがSWスイッチ41aを遮断することにより行われる。以上より、タブレット本体10側からの電源供給、クレードル20側からの電源供給のいずれの場合においても、タブレット本体10とクレードル20とが離れる前にドックコネクタ1,2への通電を遮断することができる。
【0103】
更に、タブレット本体10側及びクレードル20側の両方からの電源供給の場合においても、タブレット本体10とクレードル20とが離れる前にドックコネクタ1,2への通電を遮断することができる。
図12は、タブレット本体10及びクレードル20が電源を供給している場合のスイッチの制御フローを示す。このとき、スイッチ機構31、41がタブレット本体10側とクレードル20側の両方にあり、ロック機構30がクレードル20側にある。
【0104】
この場合、フォトインタラプタ24から出力されるOPT_DOCK信号がHIGHになると、HWスイッチ31b及びHWスイッチ41bがオフになる。これにより、ドックコネクタ2への通電が遮断される。これにより、ドックコネクタ1,2への通電を瞬時に遮断することができる。
【0105】
また、SWスイッチ31aの制御(SW制御)は、フォトインタラプタ24から出力されるOPT_DOCK信号がHIGHになると、クレードルマイコン26がSWスイッチ31aを遮断し、タブレットマイコンがSWスイッチ41aを遮断することにより行われる。以上より、タブレット本体10とクレードル20とが離れる前にドックコネクタ1,2への通電を遮断することができる。
【0106】
以上、端末装置、システム及びプログラムを上記実施形態により説明したが、本発明に係る端末装置、システム及びプログラムは上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。また、上記実施形態及び変形例が複数存在する場合、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0107】
例えば、上記実施形態に係るシステムの構成は一例であり、本発明の範囲を限定するものではなく、用途や目的に応じて様々なシステム構成例があることは言うまでもない。例えば、タブレット本体10とクレードルとが接続されるシステム形態は、本実施形態に係るシステムの一態様であり、これに限定されない。
【0108】
本実施形態に係るシステムは、一の端末装置と他の端末装置とが連結部を介して連結可能なシステムであればよく、例えば、
図13(a)に示すように、スマートフォン等の携帯端末101と充電器201とが連結部3を介して電気的に接続される形態でもよい。例えば、イジェクトボタンの押下によりロック機構30から出力されるOPT_DOCK信号がHIGHになると、スイッチ機構31のHWスイッチがオフになる。これにより、連結部3へのACアダプタからの電力供給が遮断される。一方、ロック機構30から出力されるOPT_DOCK信号がHIGHになると、充電器201側のマイコンの制御によりスイッチ機構31のSWスイッチがオフになる。これにより、携帯端末101が充電器201から取り外される前にHWスイッチがオフになる。この結果、携帯端末101が充電器201から取り外される際には連結部3の通電が遮断された状態になっているため、スパーク等が発生せず、連結部3の接続端子の劣化を防止できる。携帯端末101側にスイッチ機構31及び電源系があり、携帯端末101側にてACアダプタからの電力の供給及びその遮断を行うようにしてもよい。
【0109】
また、
図13(b)に示すように、PC102とクレードル20とがケーブルを介して電気的に接続される形態でもよい。ロック機構30は、ケーブルの先端部に設けられている。イジェクトボタンの押下により、ロック機構30から出力されるOPT_DOCK信号がHIGHになると、PC102内のスイッチ機構31のHWスイッチがオフになる。これにより、連結部3へのACアダプタからの電力供給が遮断される。この結果、PC102がクレードル20から取り外される際には連結部3の通電が遮断された状態になっているため、スパーク等が発生せず、連結部3の接続端子の劣化を防止できる。
【0110】
図13(c)に示すように、PC102と壁に埋め込まれた固定部材202とがケーブルを介して電気的に接続される形態でもよい。ロック機構30は、ケーブルの先端部に設けられている。イジェクトボタンの押下により、ロック機構30から出力されるOPT_DOCK信号がHIGHになると、固定部材202内のスイッチ機構31のHWスイッチがオフになる。PC102が固定部材202から取り外される際には連結部3の通電が遮断された状態になっているため、スパーク等が発生せず、連結部3の接続端子の劣化を防止できる。
【0111】
以上に説明したタブレット本体10及びクレードル20は、ドックコネクタ等の連結部を介して連結可能なシステムを構成する一の端末装置又は他の端末装置のいずれであってもよい。つまり、タブレット本体10は、連結部を有し、他の端末装置との連結をロックするロック機構が解除される前に解除動作に入ったことの検知を受け付けると連結部への通電を遮断する端末装置の一例である。この場合、クレードル20は、端末装置に連結される他の端末装置の一例である。
【0112】
また、クレードル20は、連結部を有し、他の端末装置との連結をロックするロック機構が解除される前に解除動作に入ったことの検知を受け付けると連結部への通電を遮断する端末装置の一例である。この場合、タブレット本体10は、端末装置に連結される他の端末装置の一例である。
【0113】
同様にして、
図13に示す携帯端末101、充電器201、PC102、固定部材202は、他の端末装置との連結をロックするロック機構が解除される前に解除動作に入ったことの検知を受け付けると連結部への通電を遮断する端末装置の一例である。
【0114】
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
他の端末装置と連結可能な連結部と、
前記他の端末装置との連結をロックするロック機構が解除される前に解除動作に入ったことの検知を受け付けると、前記連結部への通電を遮断する通電制御部と、
を有する端末装置。
(付記2)
前記通電制御部は、前記ロック機構が解除される前に解除動作に入ったことの検知を受け付けると、前記連結部の連結状態を判定するソフトウェアの処理結果に応じて前記連結部への通電を遮断する第1通電制御部と、
前記ロック機構が解除される前に解除動作に入ったことの検知を受け付けたことにより、前記ソフトウェアの処理を介さずに前記連結部への通電を遮断する第2通電制御部とを有する、
付記1に記載の端末装置。
(付記3)
前記ロック機構は、前記端末装置及び前記他の端末装置の少なくともいずれかに設けられる、
付記1又は2に記載の端末装置。
(付記4)
一の端末装置と他の端末装置とが連結部を介して連結可能なシステムであって、
前記一の端末装置及び前記他の端末装置の少なくともいずれかは、前記連結部に通電し、
前記連結部に通電する前記一の端末装置及び前記他の端末装置の少なくともいずれかは、
前記一の端末装置と他の端末装置との連結をロックするロック機構が解除される前に解除動作に入ったことの検知を受け付けると、前記連結部への電力供給を停止する、
システム。
(付記5)
前記ロック機構が解除される前に解除動作に入ったことの検知を受け付けると、前記連結部の連結状態を判定するソフトウェアの処理結果に応じて前記連結部への通電を遮断し、
前記ロック機構が解除される前に解除動作に入ったことの検知を受け付けたことにより、前記ソフトウェアの処理を介さずに前記連結部への通電を遮断する、
付記4に記載のシステム。
(付記6)
前記ロック機構は、前記端末装置及び前記他の端末装置の少なくともいずれかに設けられる、
付記4又は5に記載のシステム。
(付記7)
一の端末装置と他の端末装置とをロックするロック機構が解除される前に解除動作に入ったことの検知を受け付け、
前記検知を受け付けたことに応じて前記一の端末装置と前記他の端末装置とを連結する連結部への電力供給を停止する、
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
(付記8)
前記検知を受け付けると、前記連結部の連結状態を判定するソフトウェアの処理結果に応じて前記連結部への通電を遮断し、
前記検知を受け付けたことにより、前記ソフトウェアの処理を介さずに前記連結部への通電を遮断する、
付記7に記載のプログラム。
(付記9)
前記一の端末装置及び前記他の端末装置の少なくともいずれかに設けられた前記ロック機構が解除される前に解除動作に入ったことの検知を受け付ける、
付記7又は8に記載のプログラム。