(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内蔵ディスプレイを特定するための内蔵ディスプレイ情報と、接続されている複数の表示ディスプレイを特定するための複数の表示ディスプレイ情報とを記憶する記憶部を参照して、前記内蔵ディスプレイ情報と複数の表示ディスプレイ情報とを照合する照合部と、
前記照合した結果に基づき、生体情報の読取装置と特定の位置関係にあるディスプレイを特定する特定部と、
特定した前記ディスプレイに、前記生体情報の読取操作を示すタッチ場所の画面を表示する表示部と、
を有する端末装置。
前記読取装置と特定の位置関係にあるディスプレイが特定されない場合、前記表示部は、前記読取装置と特定の位置関係にあるディスプレイを設定することを促す画面を表示する、
請求項1に記載の端末装置。
前記端末装置の起動時又は再起動時のBIOS処理において、前記内蔵ディスプレイ情報を取得し、取得した前記内蔵ディスプレイ情報を前記記憶部に登録する登録部を有し、
前記特定部は、前記記憶部に記憶した前記内蔵ディスプレイ情報が、前記複数の表示ディスプレイ情報のいずれかに一致するかを照合した結果に基づき、前記読取装置と特定の位置関係にあるディスプレイを特定する、
請求項1又は2に記載の端末装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0011】
[生体認証]
生体認証技術では、指紋、顔、手のひら、虹彩、静脈などの個人毎に異なる特徴的な生体情報を用いて本人確認が行われる。例えば、手のひら認証は、掌紋、掌形、手のひら静脈などの生体情報を用いて生体認証を行う。以下の説明では、タブレット端末など、生体認証機能を備えた端末装置における手のひら認証を例に説明するが、生体認証は手のひら認証に限定されるものではない。
【0012】
本発明の一実施形態に係る端末装置は、生体情報の読取装置及び生体認証装置を搭載可能である。生体情報の読取装置は、生体認証装置に含まれていても良い。
【0013】
端末装置には、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレット端末、スマートフォン、携帯端末などが含まれる。以下に示す例では、端末装置1は、タブレット端末、スマートフォン等の携帯端末である。
【0014】
[ガイド画面]
まず、本実施形態に係る端末装置1のガイド画面の一例について、
図1を参照しながら説明する。生体認証機能を備えた端末装置1は、例えば筐体1Aに設けられたカメラ17で生体を撮影する。この例では、端末装置1には、平面図上で略長方形を有する筐体1Aの上面にタッチパネルが積層された内蔵ディスプレイ21が設けられ、内蔵ディスプレイ21を囲む筐体1Aの横側中央の位置に、カメラ17が設けられている。ただし、カメラ17の位置は、これに限らず、筐体1Aのいずれかの位置に設けられていればよい。端末装置1は、カメラ17の上を、手のひらを移動させて生体情報を読み取ることで、省スペース化を図っている。
【0015】
手のひらを移動させる際、生体情報の読み取りエラーを減らすために、内蔵ディスプレイ21には、指のタッチ場所425が表示されている。タッチ場所425の表示には、内蔵ディスプレイ21の上に、指を置く始点を示す円状のスタートガイドボタン425Sと、指を置く終点を示す円状のエンドガイドボタン425Eとが含まれる。また、タッチ場所425の表示には、指をスタートガイドボタン425Sからエンドガイドボタン425EまでスライドさせるガイドラインLと指をスライドさせる方向を示す矢印とが含まれる。表示の例では、2本のタッチ場所425に従って2本の指をスタートガイドボタン425Sからエンドガイドボタン425Eまで移動させることで、カメラ17の上を手のひらが通過し、手のひらの生体情報を取得できるようにしている。
【0016】
[複数のディスプレイ接続]
タブレット端末等の端末装置1は、内蔵されているディスプレイ以外にも、外付けのディスプレイを接続できる。
図1に示すように、タッチ場所425を示すガイド画面が、端末装置1の内蔵ディスプレイ21に表示されている場合、タッチ場所425に従いタッチ操作を行えば、カメラ17が手のひらを撮像することで、手のひらの生体情報を取得することができる。
【0017】
一方、
図2に示すように、端末装置に複数のディスプレイが接続されている場合、タッチ場所425を示すガイド画面が、内蔵ディスプレイ21ではなく、外付けの表示装置2のディスプレイ51に表示されることが起こり得る。この場合、外付けのディスプレイ51の横にはカメラは無い。このため、ユーザが外付けのディスプレイ51に表示されたタッチ場所425に従いタッチ操作を行っても、手のひらの生体情報を取得することはできない。
【0018】
なお、製品および装置によって内蔵ディスプレイ21のパネルの種別および外付けのディスプレイ51の接続状況は異なっており、これら異なるすべての条件の場合において、内蔵ディスプレイ21にタッチ場所425のガイド画面を表示する必要がある。
【0019】
そこで、本実施形態に係る端末装置1は、端末装置1に複数のディスプレイが接続されている場合、複数のディスプレイの中から、端末装置1に固有のディスプレイである内蔵ディスプレイを特定する。そして、端末装置1は、タッチ場所425のガイド画面を、その端末装置1固有の内蔵ディスプレイに表示させる。これにより、生体情報を読み取ることが可能なディスプレイにタッチ場所の画面を表示することができる。以下、本実施形態に係る端末装置1の構成及びタッチ場所425の表示ディスプレイの制御について説明する。
【0020】
[ハードウェア構成]
まず、本実施形態に係る端末装置1のハードウェア構成の一例について、
図3を参照しながら説明する。端末装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、システムコントローラ12、グラフィックコントローラ13、メモリ14、HDD(Hard Disk Drive)15、不揮発性メモリ16、カメラ17、タッチパネル18、内蔵ディスプレイ21及び外付けディスプレイ24を有する。
【0021】
端末装置1が通信機能を有する場合には、送受信を行う周知の通信インターフェースをさらに有しても良い。また、端末装置1がインターネットなどの外部のネットワークと接続する機能を有する場合には、周知の外部インターフェースをさらに有しても良い。
【0022】
システムコントローラ12は、端末装置1の全体を制御する。システムコントローラ12は、CPU11と接続されている。また、システムコントローラ12は、バスBを介して、グラフィックコントローラ13、メモリ14、HDD15、不揮発性メモリ16、カメラ17、タッチパネル18、内蔵ディスプレイ21及び外付けディスプレイ24と接続されている。更に、バスBには、例えばPCI Express又はPCI等の拡張スロットが接続されていてもよい。
【0023】
CPU11は、認証処理プログラムを含むコンピュータプログラムを実行することにより、生体認証を含む端末装置1の種々の機能を実現できる。また、CPU11は、表示制御プログラムを実行することにより、タッチ場所425の表示先のディスプレイを制御する機能を実現できる。
【0024】
グラフィックコントローラ13は、システムコントローラ12を介してCPU11からの指示に従い、内蔵ディスプレイ21及び外付けディスプレイ24を制御し、タッチ場所425の表示等、種々の画面表示を実行する。
【0025】
メモリ14は、CPU11が実行する認証処理プログラム、表示制御プログラムを含むコンピュータプログラム、各種データなどを格納してもよい。メモリ14は、例えばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)により構成されてもよい。メモリ14は、記憶部の一例である。
【0026】
HDD15は、種々のプログラムや種々のデータを記憶する。HDD15には、OS15aが実装される。また、HDD15にはタッチ場所425の表示制御を行うためのアプリケーションがインストールされている。
【0027】
不揮発性メモリ16には、BIOS(Basic Input / Output System)16aが実装される。BIOS16aは、端末装置1の電源がオンされた起動時又は再起動時にPOST(Power-On Self Test:自己診断テスト)を実行する。POSTには、デバイス(周辺機器)の初期化処理が含まれる。デバイスの初期化処理が実行されると、そのデバイスは有効な状態となる。不揮発性メモリ16は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)により構成されてもよい。
【0028】
カメラ17は、ユーザが内蔵ディスプレイ21のタッチ場所425にタッチし、タッチ場所425のガイドに従い指を操作させる間に、カメラ17の上空を移動する手のひらを撮像する。タッチパネル18は、内蔵ディスプレイ21に積層され、ユーザの指がタッチした座標を検出する。
【0029】
カメラ17は、生体情報の読取装置の一例である。生体情報の読取装置は、例えば手のひらの掌紋や掌形、顔などを撮像するカメラ17で形成可能である。また、生体情報の読取装置は、例えば手のひらの静脈、指の静脈、虹彩などを撮像する近赤外波長領域に感度を持つイメージセンサ(または、カメラ)と近赤外光照明光源とを含む近赤外センサ(または、近赤外カメラ)で形成可能である。また、生体情報の読取装置は、近赤外波長領域以外の波長領域に感度を持つカメラと、近赤外センサとの両方を含んでも良い。
【0030】
内蔵ディスプレイ21は、内蔵LCD(Liquid crystal display)19及び不揮発性メモリ20を有し、端末装置1に内蔵されたディスプレイである。内蔵ディスプレイ21は、文字、図、メッセージなどに加え、ユーザの指の操作位置を示すタッチ位置の始点や終点、ユーザの指の移動方向、タッチ位置の移動指示などのタッチ場所425等を表示する。不揮発性メモリ20には、内蔵LCD19の固有情報(Extended Display Identification Data、以下、「EDID情報」という。)が保存されている。不揮発性メモリ20は、ROMにより構成されてもよい。
【0031】
外付けディスプレイ24は、外部モニタ22及び不揮発性メモリ23を有し、端末装置1に外付けされたディスプレイである。外付けディスプレイ24は、文字、図、メッセージ等を表示する。不揮発性メモリ23には、外部モニタ22の固有情報(EDID情報)が保存されている。不揮発性メモリ23は、ROMにより構成されてもよい。
【0032】
[機能構成]
次に、本実施形態に係る端末装置1の機能構成の一例について、
図4を参照しながら説明する。端末装置1は、記憶部31、初期化処理部32、登録部33、リスト作成部34、照合部35、特定部36及び表示部37を有する。
【0033】
記憶部31は、内蔵ディスプレイ情報テーブル38及び表示ディスプレイリストテーブル39を有する。内蔵ディスプレイ情報テーブル38の一例を
図5に示す。表示ディスプレイリストテーブル39の一例を
図6に示す。
【0034】
図5に示す内蔵ディスプレイ情報テーブル38には、製造元名称(Manufacturer Name)、製品ID(Product ID)及び装置番号(Serial No.)からなる内蔵ディスプレイ情報が記憶されている。内蔵ディスプレイ情報は、端末装置1に固有の情報である。
【0035】
製造元名称は、製造会社(例えば、パネル製造会社、外部モニタやPC製造会社)の名称である。製品IDは、製品識別子であり、製造会社が製品について割り振る値である。装置番号は、ディスプレイの製造時のユニット毎に割り振られるシリアル番号である。
【0036】
内蔵ディスプレイ情報は、端末装置1によって変わる。したがって、本実施形態では、
図4に示す登録部33が、端末装置1の起動時又は再起動時に実行するBIOS処理において、内蔵ディスプレイ21の不揮発性メモリ20に保存したEDID情報を取得する。そして、登録部33は、EDID情報から内蔵ディスプレイ情報を選択して、メモリ14に保存する。これにより、メモリ14上の内蔵ディスプレイ情報テーブル38には、端末装置1が起動又は再起動される度に、端末装置1に固有の製造元名称、製品ID及び装置番号が保存される。登録部33は、製造元名称、製品ID及び装置番号を、内蔵ディスプレイ21の不揮発性メモリ20に保存されているEDID情報から取得して、メモリ14と不揮発性メモリ16に保存してもよい。登録部33は、例えばBIOS16aにより実行される。
【0037】
本実施形態では、内蔵ディスプレイ情報は、製造元名称、製品ID及び装置番号であるが、これに限らない。製造元名称のみでは、外部モニタとPCとを製造する会社では、内蔵ディスプレイ21を識別することは困難な場合がある。一方、製造元名称と製品IDの情報に基づけば、内蔵ディスプレイ21を識別することができる。よって、内蔵ディスプレイ情報は、内蔵ディスプレイ21を識別可能な最低限の情報として少なくとも製造元名称及び製品IDを有していればよい。ただし、本実施形態のように、内蔵ディスプレイ情報が、製造元名称、製品ID及び装置番号で構成されていれば、製造時の各ユニットレベルで値が異なるため、さらに確実に内蔵ディスプレイ21を識別することができる。
【0038】
内蔵ディスプレイ情報には、製造元名称及び製品IDに加えて、装置番号だけでなく、製造週(Week of manufacture)、製造年(Year of manufacture)を含めてもよい。いずれの情報もEDID情報から取得することができる。製造週及び製造年の情報は、製造ID又は装置番号に正しい値が設定されていない場合等に内蔵ディスプレイ21を識別するために有効である。
【0039】
初期化処理部32も同様に、例えばBIOS16aにより実行される。初期化処理部32は、端末装置1の電源がオンされた起動時又は再起動時にPOSTを実行し、デバイスの初期化処理を行う。初期化処理部32及び登録部33の処理は、BIOS16aが行うBIOS処理に含まれる。
【0040】
なお、端末装置1のPOST処理においては、複数のディスプレイが端末装置1に接続されていても内蔵ディスプレイ21のみに表示を行うことが一般的である。このため、登録部33は、内蔵ディスプレイ21のEDID情報をGOP(Graphics Output Protocol)と呼ばれるプロトコルを使って取得することが可能である。これにより、EDID情報に含まれる製造元名称、製品ID及び装置番号を取得することができる。
【0041】
以上に説明したように、端末装置1が起動または再起動されるたびにBIOS処理において、製造元名称、製品ID及び装置番号が、不揮発性メモリ20から取得され、OS15aから参照可能なメモリ14に保存される。これにより、BIOS16aからOS15aに制御が引き渡されたときに、OS15a上で動作するアプリケーションが、メモリ14にアクセスし、端末装置1毎に固有の内蔵ディスプレイ情報(製造元名称、製品ID及び装置番号)を取得することができる。
【0042】
メモリ14内で使用するメモリ領域としては、System Management BIOS(SMBIOS)によって定義されたメモリ領域が候補に上げられる。本実施形態ではSMBIOSによって定義したメモリ領域に製造元名称、製品ID及び装置番号(内蔵ディスプレイ情報テーブル38)を保存するものとし、メモリ領域への保存及び読み取りの方法についてはSMBIOSの仕様に従うものとし詳細は割愛する。
【0043】
表示ディスプレイリストテーブル39には、
図6に示すように、リスト番号(No.)、ハンドル名(Handle)、製造元名称(Manufacturer Name)、製品ID(Product ID)及び装置番号(Serial No.)の各情報が記憶されている。表示ディスプレイリストテーブル39は、メモリ14に記憶される。表示ディスプレイリストテーブル39には、製造週や製造年の情報が記憶されていてもよい。
【0044】
図4に戻り、リスト作成部34は、端末装置1に接続され、有効になっているディスプレイの情報をOS15aから取得し、表示ディスプレイリストを作成する。端末装置1に接続され、有効になっているディスプレイの情報をOS15aから取得する手段としては、OS15aの標準API(Application Interface)を使うことが挙げられる。照合部35は、OS15aから参照可能なメモリ14に保存される内蔵ディスプレイ情報テーブル38と表示ディスプレイリストテーブル39に記憶された製造元名称、製品ID、装置番号をそれぞれ照合する。特定部36は、照合した結果、一致する製造元名称、製品ID、装置番号のディスプレイを端末装置固有の内蔵ディスプレイ21であると特定する。表示部37は、特定した内蔵ディスプレイにタッチ場所425のガイド画面を表示する。
【0045】
なお、本実施形態では内蔵ディスプレイ情報としてEDID情報から製造元名称、製品ID、装置番号を選択して、メモリ14に保存しているが、製造週や製造年等の他の項目を追加したり、装置番号等の既存の項目を削除したりしても良い。例えば、装置番号はメモリ14に保存しなくても、製造元名称及び製品IDのみの照合により、接続されている表示ディスプレイのリストから内蔵ディスプレイを特定することができる。また、表示ディスプレイリストテーブル39には、OS15aが各デバイスに割り当てたハンドル(Handle)を項目として上げているが、OS種別に応じて他の項目を追加しても良い。
【0046】
リスト作成部34、照合部35、特定部36の各部は、例えば記憶部31に記憶された表示制御プログラム40が、CPU11に実行させる処理により実現可能である。表示部37は、例えば内蔵ディスプレイ21の内蔵LCD19により実現可能である。
【0047】
なお、
図4は機能に着目したブロック図を描いており、これらの機能ブロックで示した各部のソフトウェアを実行するプロセッサはハードウェアである。記憶部31は、端末装置1の内部の記憶領域又は端末装置1とネットワークを介して接続可能なデータベースを形成しても良い。ただし、内蔵ディスプレイ情報テーブル38は、端末装置1のメモリ14に記憶される。
【0048】
[生体認証装置]
本実施形態に係る端末装置1に搭載されている本実施形態に係る生体認証装置41の機能構成の一例について、
図7を参照しながら説明する。本実施形態に係る生体認証装置41は、生体撮像部42、特徴抽出部43、認証部44及び記憶部45を有する。
【0049】
生体撮像部42は、ユーザの生体情報を撮像する。生体撮像部42は、例えばカメラ17により実現可能である。特徴抽出部43は、生体撮像部42が撮像したユーザの生体情報の画像から特徴情報を抽出する。認証部44は、抽出した特徴情報からユーザの生体認証を行う。
【0050】
生体認証装置41が実行する生体認証処理では、予め記憶部45に登録されている特徴情報と、本人確認時に生体撮像部42が撮像したユーザの生体情報から特徴抽出部43が抽出した特徴情報とを、認証部44が比較照合する。認証部44は、比較照合の結果が所定の閾値の範囲内で一致するか否かを判定して本人確認結果を出力する。認証部44は、比較照合の結果が一致すれば生体認証が成功したと判定し、ユーザが本人であることを表す本人確認結果を出力する。
【0051】
予め登録されている特徴情報は、例えば登録テンプレート46と呼ばれる場合がある。登録テンプレートの登録処理では、上記生体認証処理の場合と同様に、生体撮像部42が撮像したユーザの生体情報の画像から特徴抽出部43が特徴情報を抽出する。そして、登録テンプレートは、このように抽出した特徴情報を記憶部45に供給することで登録される。なお、記憶部45に登録される登録テンプレートは、特徴情報に処理を施されたものであっても良い。
【0052】
記憶部45は、
図7の例では生体認証装置41内に設けられているが、生体認証装置41外の記憶部に記憶されていても良い。例えば、記憶部45の一例であるHDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリなどが、USB(Universal Serial Bus)などのインターフェースを介して生体認証装置41に外部接続されていても良い。また、記憶部45は、生体認証装置41とネットワークを介して接続可能なデータベースを形成しても良い。ただし、内蔵ディスプレイ情報テーブル38は、端末装置1の不揮発性メモリ16又は不揮発性メモリ20に保存され、メモリ14に記憶される。
【0053】
なお、本実施形態では、生体認証装置41の特徴抽出部43及び認証部44の機能は、プログラムにより実行される。端末装置1にインストールされた該プログラムがCPU11により実行されることにより端末装置1にて上記認証処理が実現される。
【0054】
[生体情報の読取操作]
次に、生体情報の読取操作の一例について、
図8〜
図10を参照しながら説明する。
【0055】
図8〜
図10は、生体情報の読取操作の例を説明するための図である。なお、ここでの読取操作は、ガイド表示に従ったユーザの指のタッチ及びスライド移動をいう。
【0056】
図8はユーザ100により操作される端末装置1の側面図を示す。
図8に示す例では、端末装置1の内蔵ディスプレイ21の上に、ガイドラインLとスタートガイドボタン425S、ガイドボタン425n、エンドガイドボタン425Eが表示されたタッチ場所425が2本表示されている。
【0057】
ユーザ100は、指先(この例では親指、及び人差し指)で2本のタッチ場所425を同時になぞる。そうすると、カメラ17はその間撮像範囲17A内で手のひら100Aを撮像する。ユーザ100が複数の指先でタッチ場所425に対して同時にスライドしてタッチする操作を行う場合、複数の指先が内蔵ディスプレイ21上を同時にスライドする間、手のひら100Aの内蔵ディスプレイ21に対する角度は安定しており大きく変化することはない。このため、端末装置1とユーザ100の手との相対的な角度のずれを低減して、カメラ17により手のひら100Aを安定に撮像できる。
【0058】
加えて、本実施形態では、内蔵ディスプレイ21のサイズが異なる端末装置1において、カメラ17の基準点Stから見て同じ位置に生体情報の読取操作を示すタッチ場所425を表示する。このため、内蔵ディスプレイ21のサイズが異なるいずれの端末装置1の場合にも、端末装置1とユーザ100の手との相対的な角度のずれを低減して、カメラ17により手のひら100Aを安定に撮像できる。
【0059】
なお、
図8では、タッチ場所425の2本のガイドラインLを夫々連続的に内蔵ディスプレイ21上に表示しているが、間欠的に表示しても良い。
【0060】
この例では、表示部37は、CPU11の制御に応じて、内蔵ディスプレイ21の上に、操作のスタート位置を示すスタートガイドボタン425Sと、ガイドラインLと、操作の終了位置を示すエンドガイドボタン425Eを各タッチ場所425について表示する。このとき、操作済みのタッチ場所425と未操作のタッチ場所425で、ガイドラインLやスタートガイドボタン425S、ガイドボタン425n、エンドガイドボタン425Eの色の濃淡や線種を変えて表示してもよい。
【0061】
この例では、
図8に示すように、操作しているポイントを示すガイドボタン425nがガイドラインLの中央に表示されている。表示部37は、矢印で移動方向を表示する。ユーザ100が操作している指が通過したガイドラインL上の配列のポイントを示すガイドボタン425nは、濃いハッチングで表示してもよい。また、ユーザ100が未操作のガイドラインLの部分は、薄いハッチングで表示してもよい。以下同様にして、ユーザ100が操作する指がガイドラインLの配列のn個(n=2,3・・・、x−1)のポイントを通過するたびに、通過したガイドボタン425nを濃いハッチングで表示し、未通過のガイドボタン425nを薄いハッチングで表示してもよい。
【0062】
なお、タッチ場所425の1本は、生体撮像部42の撮像対象が、ユーザ100の手首側の手のひら100Aとなる位置に設定され、タッチ場所425の他の1本は、生体撮像部42の撮像対象が、ユーザ100の指先側の手のひら100Aとなる位置に設定されても良い。
【0063】
図9に示す例のように、複数のタッチ場所425について単一の操作表示526を共通のガイドとして表示してもよい。単一の操作表示526は、バー形状を有する。この場合も、カメラ17により手のひら100Aを安定に撮像できる。この場合、生体情報の読取操作をガイドするガイド画面の表示は、複数のタッチ場所425及び単一の操作表示526から構成される。
【0064】
ユーザ100は、タッチ場所425を見ながらガイドラインLに沿ってタッチ操作を行う。このとき、
図9に示すガイド画面の表示によれば、操作表示526をユーザ100の指と指の間から目視可能なバー形状とすることで、タッチ場所425に合わせた指のタッチ操作をさらに容易にすることができる。なお、2本のタッチ場所425を1つに繋ぎ合わせる操作表示526の形状及び表示形式は、特に限定されない。
【0065】
図8及び
図9に示すタッチ場所425では、例えば一方の1本のタッチ場所425に対してタッチ操作が行われていれば、他方の1本のタッチ場所425のタッチ操作が行われていなくても、ユーザ100が操作するいずれかの指がガイドラインLの配列のn個(n=2,3・・・、x−1)のポイントを通過するたびにタッチ場所425のガイド表示を更新してもよい。この場合、ガイド表示の更新は、2本のガイドラインLの両方のガイドボタン425nの配列に対し、操作されたガイドボタン425nを濃いハッチングで表示し、未通過のガイドボタン425nを薄いハッチングで表示するようにして行われてもよい。この場合、2本のタッチ場所425の夫々に対する操作に応じて次のタッチを誘導するタッチ場所425を更新する場合と比較すると、計算量を減らすことができる。また、ガイド画面には、1本のタッチ場所425のみが表示されてもよい。
【0066】
ただし、カメラ17による撮像開始を1本のガイドラインLに対する操作のみに基づいて判定すると、手の姿勢が安定していない状態を許容する可能性がある。このため、ガイド画面には、複数本のタッチ場所425が表示されていることが好ましく、特にカメラ17による撮像開始の判定は、複数本のガイドラインLに対するタッチ操作が同時に行われていることを条件にすることが望ましい。
【0067】
図10に示すように、縦長に配置された端末装置1に縦方向に3本のタッチ場所425が表示されてもよい。この場合、ユーザ100は、指先(この例では人差し指、中指、及び薬指)で3本のタッチ場所425を同時になぞり、カメラ17はその間撮像範囲17A内で手のひら100Aを撮像する。ユーザ100が複数の指先でタッチ場所425に対して同時にスライド指示を行う場合、複数の指先がタッチパネル18上を同時にスライドする間、手のひら100Aのタッチパネル18に対する角度は安定しており大きく変化することはない。このため、端末装置1とユーザ100の手との相対的な角度のずれを低減して、カメラ17により手のひら100Aを安定に撮像できる。
【0068】
[BIOS処理]
次に、本実施形態に係るBIOS処理の一例について
図11を参照して説明する。
図11は、一実施形態に係るBIOS処理の一例を示したフローチャートである。本実施形態に係るBIOS処理は、例えばBIOS16aにて実現される初期化処理部32及び登録部33により実行される。
【0069】
端末装置1の電源がオンされ、BIOS処理が開始されると(ステップS10)、初期化処理部32は、各種デバイスの初期化処理を実行する(ステップS12)。各種デバイスの初期化処理には、メモリ14の初期化処理と内蔵ディスプレイ21の初期化処理が含まれる。
【0070】
次に、登録部33は、内蔵ディスプレイ21内の不揮発性メモリ20に保存されているEDID情報を取得する(ステップS14)。次に、登録部33は、取得したEDID情報から製造元名称、製品ID、装置番号を内蔵ディスプレイ情報としてメモリ14上の内蔵ディスプレイ情報テーブル38に保存し(ステップS16)、BIOS処理を終了し、OS15aへと処理を引き渡す。
【0071】
[表示制御処理]
次に、本実施形態に係る表示制御処理の一例について
図12を参照して説明する。
図12は、一実施形態に係る表示制御処理の一例を示したフローチャートである。本実施形態に係る表示制御処理は、例えばOS15a上で動作するアプリケーションにて実現されるリスト作成部34、照合部35、特定部36、表示部37により実行される。
【0072】
図11のBIOS処理が終了し、OS15aが起動されると、OS15a上にて表示制御プログラム40に従い表示制御処理を実行するアプリケーションが動作し、本処理が開始される(ステップS20)。アプリケーションは、CPU11により制御される。
【0073】
リスト作成部34は、端末装置1に接続され、有効になっているディスプレイの情報をOS15aから取得し、表示ディスプレイリストを作成し、メモリ14上の表示ディスプレイリストテーブル39に保存する(ステップS22)。
【0074】
次に、照合部35は、メモリ14に保存される内蔵ディスプレイ情報テーブル38から内蔵ディスプレイ情報を読み取る(ステップS24)。本実施形態では、「内蔵ディスプレイ情報」は、内蔵ディスプレイ情報テーブル38に記憶された製造元名称、製品ID及び装置番号の情報である。ただし、内蔵ディスプレイ情報は、製造元名称及び製品IDの情報のみであってもよいし、製造週や製造年の情報が付加されていてもよい。
【0075】
次に、照合部35は、表示ディスプレイリストテーブル39のN番目の表示ディスプレイ情報を取得する(ステップS26)。本実施形態では、「表示ディスプレイ情報」は、表示ディスプレイリストテーブル39に記憶された製造元名称、製品ID及び装置番号の情報である。ただし、表示ディスプレイ情報は、製造元名称及び製品IDの情報のみであってもよいし、製造週や製造年の情報が付加されていてもよい。
【0076】
照合部35は、表示ディスプレイリストテーブル39のN番目の表示ディスプレイ情報が、内蔵ディスプレイ情報テーブル38の内蔵ディスプレイ情報と一致するか否かを照合する(ステップS28)。
【0077】
照合部35は、N番目の表示ディスプレイ情報が、内蔵ディスプレイ情報と一致しないと判定した場合、Nがmax値に等しいかを判定する(ステップS30)。照合部35は、Nがmax値に等しくないと判定した場合、Nを1加算して(ステップS31)、ステップS26及びステップS28の処理を繰り返す。照合部35は、Nがmax値に等しいと判定した場合、表示部37は、内蔵ディスプレイ21を有効にするように案内する画面を表示し(ステップS32)、ステップS22に戻ってステップS22以降の処理を実行する。なお、内蔵ディスプレイ21を有効にするように案内する画面は、読取装置と特定の位置関係にあるディスプレイを設定することを促す画面の一例である。読取装置と特定の位置関係にあるディスプレイは、本実施形態では、カメラ17と特定の位置関係にある内蔵ディスプレイ21が該当する。
【0078】
ステップS28において、照合部35は、N番目の表示ディスプレイ情報が、内蔵ディスプレイ情報と一致すると判定した場合、ステップS34に進み、特定部36は、一致した表示ディスプレイ情報を、表示ディスプレイリストテーブル39から取得する。次に、特定部36は、OS15aへ表示ディスプレイ情報を渡す(ステップS36)。表示部37は、内蔵ディスプレイ情報と一致した表示ディスプレイ情報の論理表示座標(開始座標位置と縦横座標範囲)を取得し、取得した論理表示座標のディスプレイ、すなわち内部ディスプレイ21にタッチ場所425のガイド画面を表示し(ステップS36)、本処理を終了する。
【0079】
表示ディスプレイ情報の論理表示座標は、OS15aによって管理されており、端末装置1に接続されている複数のディスプレイのそれぞれのディスプレイの開始座標位置及び縦横座標範囲を示す。表示ディスプレイ情報の論理表示座標の一例を
図13に示す。例えば、
図6に示す表示ディスプレイリストテーブル39に記憶されたNo.1及びNo.3の外部ディスプレイ及びNo.2の内蔵ディスプレイについて、
図13に示す開始座標位置及び縦横座標範囲が予め設定され、OS15aによって管理されている。
【0080】
例えば、No.2の内蔵ディスプレイの開始座標位置は(X
0,Y
0)であり、内蔵ディスプレイの横座標範囲はx
0であり、縦座標範囲はy
0である。これにより、複数のディスプレイが端末装置1に接続されている場合、接続されているディスプレイのうちの内蔵ディスプレイ21の表示画面の所定の表示範囲に、タッチ場所425のガイド画面を表示することができる。
【0081】
以上に説明したように、本実施形態に係る端末装置1によれば、POST時に内蔵ディスプレイ21の不揮発性メモリ20に保存されているEDID情報がメモリ14に記憶され、OS15a上で動作するアプリケーションがメモリ14からEDID情報を読み取り、EDID情報から製造元名称、製品ID及び装置番号からなる内蔵ディスプレイ情報を選択する。これにより、端末装置1に複数の表示ディスプレイが接続されていても、その複数の表示ディスプレイのそれぞれの表示ディスプレイ情報と、内蔵ディスプレイ情報を照合することで、照合結果から一致するディスプレイを内蔵ディスプレイ21と特定することができる。これにより、端末装置1に接続されている複数のディスプレイのうち、生体情報を読み取ることが可能な内蔵ディスプレイ21にタッチ場所425のガイド画面を表示することができる。この結果、外部ディスプレイにタッチ場所425のガイド画面が表示されたために、ガイド画面に沿って操作しても生体情報が読み取られないということを無くすことができる。
【0082】
また、BIOS16aが毎起動時(再起動含む)にEDID情報を内蔵ディスプレイ21の不揮発性メモリ20から読み取ってメモリ14に保存するため、アプリケーションは常に起動されている端末装置1に固有の正しいEDID情報を取得することができる。よって、内蔵ディスプレイ21を変更してもアプリケーションの設定を書き換える必要がなく、また、設定変更漏れにより外部ディスプレイを内蔵ディスプレイ21と誤って特定し、外部ディスプレイにタッチ場所425のガイド画面が表示されることを防止することができる。さらに、EDID情報が保存されるメモリ14の位置とデータ構造はユーザに通知されないため、ユーザが誤ってOS15a上からEDID情報を書き換えられることを回避することができる。また、本実施形態に係る端末装置1によれば、ガイド画面の表示を制御するアプリケーションに新たな機能を追加することなく、内蔵ディスプレイ21の特定が可能になる。
【0083】
以上、端末装置を上記実施形態により説明したが、本発明に係る端末装置は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。また、上記実施形態及び変形例が複数存在する場合、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0084】
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
内蔵ディスプレイを特定するための内蔵ディスプレイ情報と、接続されている複数の表示ディスプレイを特定するための複数の表示ディスプレイ情報とを記憶する記憶部を参照して、前記内蔵ディスプレイ情報と複数の表示ディスプレイ情報とを照合する照合部と、
前記照合した結果に基づき、生体情報の読取装置と特定の位置関係にあるディスプレイを特定する特定部と、
特定した前記ディスプレイに、生体情報の読取操作を示すタッチ場所の画面を表示する表示部と、
を有する端末装置。
(付記2)
前記読取装置と特定の位置関係にあるディスプレイが特定されない場合、前記表示部は、前記読取装置と特定の位置関係にあるディスプレイを設定することを促す画面を表示する、
付記1に記載の端末装置。
(付記3)
前記端末装置の起動時又は再起動時のBIOS処理において、前記内蔵ディスプレイ情報を取得し、取得した前記内蔵ディスプレイ情報を前記記憶部に登録する登録部を有し、
前記特定部は、前記記憶部に記憶した前記内蔵ディスプレイ情報が、前記複数の表示ディスプレイ情報のいずれかに一致するかを照合した結果に基づき、前記読取装置と特定の位置関係にあるディスプレイを特定する、
付記1又は2に記載の端末装置。