特許第6643733号(P6643733)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643733
(24)【登録日】2020年1月9日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】COD測定装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/416 20060101AFI20200130BHJP
   G01N 27/26 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   G01N27/416 302N
   G01N27/26 341B
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-165553(P2017-165553)
(22)【出願日】2017年8月30日
(65)【公開番号】特開2019-45187(P2019-45187A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2018年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219451
【氏名又は名称】東亜ディーケーケー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100106057
【弁理士】
【氏名又は名称】柳井 則子
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】岩本 基
(72)【発明者】
【氏名】森 敏之
(72)【発明者】
【氏名】島田 忠志
【審査官】 北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−090286(JP,A)
【文献】 特開2005−308679(JP,A)
【文献】 特開昭56−112642(JP,A)
【文献】 特表昭63−500742(JP,A)
【文献】 特開昭59−166851(JP,A)
【文献】 特表2001−519030(JP,A)
【文献】 特開2012−112736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26 −27/404
G01N 27/414−27/416
G01N 27/42 −27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料液が導入される反応槽と、
前記反応槽内を加熱する加熱装置と、
前記反応槽に、試料液を導入する試料液導入手段と、
前記反応槽に、少なくとも酸化剤及び還元剤を各々導入する試薬導入手段と、
前記反応槽内に挿入された一対の電極と、
前記一対の電極間に定電流を流す定電流回路と、
前記一対の電極間の電位差を測定する測定回路と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
(1)前記試料液導入手段と前記試薬導入手段により、試料液と酸化剤を前記反応槽に導入し、前記加熱装置により加熱して反応させる加熱反応ステップ、
(2)前記試薬導入手段により還元剤を前記反応槽に導入し、未反応の酸化剤と反応させる還元ステップ、
(3)前記定電流回路で所定の定電流を前記一対の電極間に流した際の前記一対の電極間の電位差を前記測定回路で測定し、測定した電位差に基づき、定電流の大きさを調整する定電流調整ステップ、
(4)前記試薬導入手段により、未反応の還元剤を酸化剤で滴定し、滴定の終点を、前記調整した定電流を前記一対の電極間に流しつつ前記測定回路で測定する前記一対の電極間の電位差の変化に基づいて検出する、滴定ステップ、
(5)前記終点に基づき試料液のCODを求める、COD演算ステップ、
を順に実行するCOD測定装置であって、
前記定電流調整ステップにおいて、測定した電位差が、電位差V(ただし、電位差Vは、適切な滴定データの滴定開始時点の電位差と、ピークの形状が鈍化してしまう場合の滴定開始時点の電位差に基づき予め設定され、前記制御部に記憶された値)を超えた場合は前記定電流の大きさを小さくし、電位差V(ただし、電位差Vは、適切な滴定データの滴定開始時点の電位差と、ピークが小さくなってしまう場合の滴定開始時点の電位差に基づき予め設定され、前記制御部に記憶された値。V≦V)より小さい場合は前記定電流の大きさを大きくし、電位差V以上でかつ電位差V以下であれば、前記定電流の大きさを変更せずに維持することを特徴とするCOD測定装置。
【請求項2】
前記定電流調整ステップにおいて、前記定電流の大きさを変化させる場合、前記定電流回路の印加電圧値を変化させる請求項1に記載のCOD測定装置。
【請求項3】
前記定電流調整ステップにおいて、前記定電流の大きさを変化させる場合、補充的にさらに、前記定電流回路の抵抗値を変化させ請求項2に記載のCOD測定装置。
【請求項4】
前記酸化剤は過マンガン酸カリウム溶液であり、前記還元剤はシュウ酸ナトリウム溶液である請求項1〜のいずれか一項に記載のCOD測定装置。
【請求項5】
試料液が導入される反応槽と、
前記反応槽内を加熱する加熱装置と、
前記反応槽に、試料液を導入する試料液導入手段と、
前記反応槽に、少なくとも酸化剤及び還元剤を各々導入する試薬導入手段と、
前記反応槽内に挿入された一対の電極と、
前記一対の電極間に定電流を流す定電流回路と、
前記一対の電極間の電位差を測定する測定回路と、
制御部と、
を備えるCOD測定装置における前記制御部に、
(1)前記試料液導入手段と前記試薬導入手段により、試料液と酸化剤を前記反応槽に導入し、前記加熱装置により加熱して反応させる加熱反応ステップ、
(2)前記試薬導入手段により還元剤を前記反応槽に導入し、未反応の酸化剤と反応させる還元ステップ、
(3)前記定電流回路で所定の定電流を前記一対の電極間に流した際の前記一対の電極間の電位差を前記測定回路で測定し、測定した電位差に基づき、定電流の大きさを調整する定電流調整ステップ、
(4)前記試薬導入手段により、未反応の還元剤を酸化剤で滴定し、滴定の終点を、前記調整した定電流を前記一対の電極間に流しつつ前記測定回路で測定する前記一対の電極間の電位差の変化に基づいて検出する、滴定ステップ、
(5)前記終点に基づき試料液のCODを求める、COD演算ステップ、
を順に実行させるプログラムであって、
前記定電流調整ステップにおいて、測定した電位差が、電位差V(ただし、電位差Vは、適切な滴定データの滴定開始時点の電位差と、ピークの形状が鈍化してしまう場合の滴定開始時点の電位差に基づき予め設定され、前記制御部に記憶された値)を超えた場合は前記定電流の大きさを小さくし、電位差V(ただし、電位差Vは、適切な滴定データの滴定開始時点の電位差と、ピークが小さくなってしまう場合の滴定開始時点の電位差に基づき予め設定され、前記制御部に記憶された値。V≦V)より小さい場合は前記定電流の大きさを大きくし、電位差V以上でかつ電位差V以下であれば、前記定電流の大きさを変更せずに維持することを特徴とするプログラム。
【請求項6】
前記定電流調整ステップにおいて、前記定電流の大きさを変化させる場合、前記定電流回路の印加電圧値を変化させ請求項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記定電流調整ステップにおいて、前記定電流の大きさを変化させる場合、補充的にさらに、前記定電流回路の抵抗値を変化させ請求項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCOD測定装置、及びプログラムに関する。さらに詳しくは、定電流分極電位差滴定法を用いたCOD測定装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
COD(化学的酸素要求量、CODMnと表記する場合もある。)は、水質汚濁の指標の一つであり、試料液に含まれる有機化合物等の被酸化性物質を、酸化剤を用いて酸化して、その際に消費された酸化剤の量を酸素当量として表わしたものである。
CODは、例えば、試料液を硫酸酸性とし、酸化剤として過マンガン酸カリウム溶液を加え、沸騰水浴中で30分間加熱し酸化反応させ、過剰のシュウ酸ナトリウム溶液を加えて酸化を停止した後、試料液を50〜60℃に保ち過マンガン酸カリウム溶液により滴定を行い、消費された酸化剤の量を求めることにより測定することができる。
【0003】
このような酸化還元反応を用いた滴定の終点を検出する方法として、双白金電極を用いた定電流分極電位差法が知られている(特許文献1)。
シュウ酸ナトリウムが試料液中に存在する場合に過マンガン酸カリウム溶液により滴定を行うと、シュウ酸ナトリウム溶液と過マンガン酸カリウムが当量に近づくにつれて、電荷の担い手であるシュウ酸イオンが酸化還元反応により試料液中に存在する量が減少する。従って、当量点に近づくにつれて電荷の担い手が試料液中から少なくなるので、電流が流れにくくなる。そして、各白金電極間は定電流が流れるように構成されているので、電極間の電位差は大きくなっていく。このことを利用して、最終的に電位差が極値を取る滴定点を終点として検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5477913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図6は、定電流分極電位差法による滴定データを模式的に示した図である。図中、データD1は理想的なデータであり、当量点で得られるピークの極値P1は明確である。ところが、試料液によっては、データD2のようにピークの形状が鈍化し、極値P2付近の変化が鈍化し、明確な終点が得られない場合がある。また、データD3のようにピークが小さくなり、極値P3を把握できず、明確な終点が得られない場合もある。
このようなピーク形状の変化には、試料液の成分や塩素イオンをマスクするために添加する硝酸銀が影響しているものと考えられる。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、試料液の性状や硝酸銀添加の有無等にかかわらず、定電流分極電位差法により安定して終点を検出することが可能なCOD測定装置、及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を達成するために、本発明は、以下の構成を採用した。
[1]試料液が導入される反応槽と、
前記反応槽内を加熱する加熱装置と、
前記反応槽に、試料液を導入する試料液導入手段と、
前記反応槽に、少なくとも酸化剤及び還元剤を各々導入する試薬導入手段と、
前記反応槽内に挿入された一対の電極と、
前記一対の電極間に定電流を流す定電流回路と、
前記一対の電極間の電位差を測定する測定回路と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
(1)前記試料液導入手段と前記試薬導入手段により、試料液と酸化剤を前記反応槽に導入し、前記加熱装置により加熱して反応させる加熱反応ステップ、
(2)前記試薬導入手段により還元剤を前記反応槽に導入し、未反応の酸化剤と反応させる還元ステップ、
(3)前記定電流回路で所定の定電流を前記一対の電極間に流した際の前記一対の電極間の電位差を前記測定回路で測定し、測定した電位差に基づき、定電流の大きさを調整する定電流調整ステップ、
(4)前記試薬導入手段により、未反応の還元剤を酸化剤で滴定し、滴定の終点を、前記調整した定電流を前記一対の電極間に流しつつ前記測定回路で測定する前記一対の電極間の電位差の変化に基づいて検出する、滴定ステップ、
(5)前記終点に基づき試料液のCODを求める、COD演算ステップ、
を順に実行することを特徴とするCOD測定装置。
[2]前記定電流調整ステップにおいて、前記定電流回路の印加電圧値を変化させることにより前記定電流の大きさを調整する[1]に記載のCOD測定装置。
[3]前記定電流調整ステップにおいて、さらに、前記定電流回路の抵抗値を変化させることにより、前記定電流の大きさを調整する[2]に記載のCOD測定装置。
[4]前記定電流調整ステップにおいて、測定した電位差が、所定の電位差Vを超えた場合は前記定電流の大きさを小さくし、所定の電位差V(ただしV≦V)より小さい場合は前記定電流の大きさを大きくする、[1]〜[3]のいずれかに記載のCOD測定装置。
[5]前記酸化剤は過マンガン酸カリウム溶液であり、前記還元剤はシュウ酸ナトリウム溶液である[1]〜[4]のいずれかに記載のCOD測定装置。
【0008】
[6]試料液が導入される反応槽と、
前記反応槽内を加熱する加熱装置と、
前記反応槽に、試料液を導入する試料液導入手段と、
前記反応槽に、少なくとも酸化剤及び還元剤を各々導入する試薬導入手段と、
前記反応槽内に挿入された一対の電極と、
前記一対の電極間に定電流を流す定電流回路と、
前記一対の電極間の電位差を測定する測定回路と、
制御部と、
を備えるCOD測定装置における前記制御部に、
(1)前記試料液導入手段と前記試薬導入手段により、試料液と酸化剤を前記反応槽に導入し、前記加熱装置により加熱して反応させる加熱反応ステップ、
(2)前記試薬導入手段により還元剤を前記反応槽に導入し、未反応の酸化剤と反応させる還元ステップ、
(3)前記定電流回路で所定の定電流を前記一対の電極間に流した際の前記一対の電極間の電位差を前記測定回路で測定し、測定した電位差に基づき、定電流の大きさを調整する定電流調整ステップ、
(4)前記試薬導入手段により、未反応の還元剤を酸化剤で滴定し、滴定の終点を、前記調整した定電流を前記一対の電極間に流しつつ前記測定回路で測定する前記一対の電極間の電位差の変化に基づいて検出する、滴定ステップ、
(5)前記終点に基づき試料液のCODを求める、COD演算ステップ、
を順に実行させることを特徴とするプログラム。
[7]前記定電流調整ステップにおいて、前記定電流回路の印加電圧値を変化させることにより前記定電流の大きさを調整する[6]に記載のプログラム。
[8]前記定電流調整ステップにおいて、さらに、前記定電流回路の抵抗値を変化させることにより、前記定電流の大きさを調整する[7]に記載のプログラム。
[9]前記定電流調整ステップにおいて、測定した電位差が、所定の電位差Vを超えた場合は前記定電流の大きさを小さくし、所定の電位差V(ただしV≦V)より小さい場合は前記定電流の大きさを大きくする、[6]〜[8]のいずれか一項に記載のプログラム。
【発明の効果】
【0009】
本発明のCOD測定装置、及びプログラムによれば、試料液の性状や硝酸銀添加の有無等にかかわらず、定電流分極電位差法により安定して終点を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るCOD測定装置の概略構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係るCOD測定装置における指示変換装置の概略構成図である。
図3】指示変換装置の部分回路構成の一例である。
図4】定電流調整ステップにおいて、制御部が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図5】定電流調整ステップにおいて、制御部が実行する処理の他の例を示すフローチャートである。
図6】定電流分極電位差法による滴定データを模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係るCOD測定装置について図1を用いて説明する。本実施形態では、JIS K 0806「化学的酸素要求量(COD)自動計測器」に規定されている酸性法のCOD測定装置を例にとって説明する。
【0012】
本実施形態のCOD測定装置は、反応槽1と、反応槽1内部を加熱する加熱装置2と、反応槽1に挿入された試料液導入管3、酸化剤導入管4、酸導入管5、還元剤導入管6、硝酸銀導入管7、及び廃液管8と、試料液導入管3に合流する水導入管9と、反応槽1内に挿入された一対の電極体11、12と、反応槽1内を攪拌する攪拌装置13と、酸化剤導入管4に切替弁14を介して設けられた滴定ポンプ15と、指示変換装置20を備えている。
【0013】
反応槽1は、図1では図示の便宜上、断面を方形にして示したが、少なくともその下部部分は下方が狭くされた断面テーパー状とされていること、例えば、逆円錐状とされていることが好ましい。下方が狭くされていることにより、反応槽1内に導入する試料液や試薬の量を過大にすることなく、電極体11、12や、試料液導入管3等の導入管を挿入するスペースを確保することができる。また、下方が狭くされていることにより、排水時の液残りを少なくすることができる。
【0014】
特に特許第5622063号に開示されている反応槽のように、天面に開口を有する試料測定部と、この試料測定部の底部と連通し下方に伸延する有底管状の試料加熱部とを有する構造とすると、試料液や試薬の量を少なくする効果が大きいので好ましい。
加熱装置2としては、反応槽1が浸漬する沸騰水浴(ウオーターバス)や油浴(オイルバス)、反応槽1を覆う電熱体とその電熱体に接触させたヒーター等が挙げられる。
【0015】
試料液導入管3は、図示を省略する試料液槽から反応槽1に試料液を送液するための管である。試料液導入管3には、図示を省略する計量器、開閉弁、ポンプ等が適宜設けられる。試料液導入管3とこれに設けられた計量器、開閉弁、ポンプ等は、本発明における試料液導入手段を構成している。
また、試料液導入管3の途中には、水導入管9が合流しており、希釈水や洗浄水等として用いられる水が、図示を省略する水容器から、水導入管9及び試料液導入管3を経て反応槽1に導入されるようになっている。水導入管9には、図示を省略する計量器、開閉弁、ポンプ等が適宜設けられる。
試料液導入管3の先端は、COD測定の全工程を通じて、反応槽1内の反応液に接触しないように、反応液の最高液面より高い位置まで挿入されている。
【0016】
試料液導入管3や水導入管9に設けられるポンプは、これらの管に直接設けるのではなく、例えば、計量器内を正圧又は負圧にするエアポンプとすることができる。これらのポンプは、これら導入管の途中に設けられた送液ポンプでもよい。計量の機能を備えた送液ポンプの場合、計量器を別途設ける必要がない。
なお、水導入管9は、試料液導入管3に合流するのではなく、直接反応槽1に挿入されるようにしてもよい。
【0017】
酸化剤導入管4は図示を省略する酸化剤容器から反応槽1に酸化剤を送液するための管である。酸導入管5は図示を省略する硫酸容器から反応槽1に硫酸を送液するための管である。還元剤導入管6は図示を省略する還元剤容器から反応槽1に還元剤を送液するための管である。硝酸銀導入管7は図示を省略する硝酸銀容器から反応槽1に硝酸銀溶液を送液するための管である。
酸化剤導入管4の途中には、切替弁14を介して滴定ポンプ15が設けられている。また、酸導入管5、還元剤導入管6、及び硝酸銀導入管7には、図示を省略する計量器、開閉弁、ポンプ等が適宜設けられる。
これら各導入管とこれらに設けられた弁やポンプ等は、本発明における試薬導入手段を構成している。
【0018】
酸化剤導入管4の先端は、滴定の際、反応液に浸漬する位置まで挿入されている。一方、酸導入管5、還元剤導入管6、及び硝酸銀導入管7の先端は、COD測定の全工程を通じて、反応槽1内の反応液に接触しないように、反応液の最高液面より高い位置まで挿入されている。
本実施形態では、酸化剤は過マンガン酸カリウム溶液であり、還元剤はシュウ酸ナトリウム溶液である。
なお、図1において、酸導入管5、還元剤導入管6、及び硝酸銀導入管7は、各々独立した3本の管として記載したが、これらの管は、途中で合流させ、1本の管として、反応槽1に挿入してもよい。また、これらの管の内の2本を途中で合流させ、2本の管として、反応槽1に挿入してもよい。
【0019】
酸導入管5、還元剤導入管6、及び硝酸銀導入管7に設けられるポンプは、これらの管に直接設けるのではなく、例えば、計量器内を正圧又は負圧にするエアポンプとすることができる。これらのポンプは、これら導入管の途中に設けられた送液ポンプでもよい。計量の機能を備えた送液ポンプの場合、計量器を別途設ける必要がない。
【0020】
廃液管8は、反応槽1内から廃液タンクまで反応液等の廃液を排出するための管であり、反応槽1側の先端は、反応槽1の最下部まで挿入されている。廃液管8には、図示を省略する開閉弁、ポンプ等が適宜設けられる。
なお、廃液管8に設けられるポンプは、廃液管8に直接設けるのではなく、例えば、反応槽1内を正圧又は負圧にするエアポンプとすることができる。廃液管8に設けられるポンプは、廃液管8の途中に設けられた送液ポンプでもよい。
【0021】
電極体11、12は、各々白金電極11a、12aを有する。白金電極11a、12aが、本発明における一対の電極であり、いわゆる双白金電極を構成している。電極体11は、ガラス管等からなるボディ11bと、その下端部に水平に保持された板状の白金電極11aを有している。電極体12は、ガラス管等からなるボディ12bと、その下端部に水平に保持された板状の白金電極12aを有している。
電極体11、12の各ボディ11b、12bの内部には、各々白金電極11a、12aと外部とを電気的に接続するために例えば銀製の導線が配置されている。電極体11、12は、各々の白金電極11a、12aが滴定時に反応液の液面下に位置するように反応槽1内に挿入されている。
【0022】
なお、白金電極11aと白金電極12aは、1つのボディを共有していてもよい。すなわち、一対の白金電極が設けられた複合電極体とされていてもよい。その場合、白金電極11aと白金電極12aとは、例えば単一のボディの側面等に離間して設けることができる。
本実施形態のCOD測定装置は、電極体11、12とは別個に、あるいは、電極体11、12に組み込まれて、温度センサを備えていてもよい。
【0023】
攪拌装置13は、反応槽1内の反応液を攪拌できれば、図示のように攪拌軸に攪拌翼が取り付けられたものに限られない。例えば、マグネチックスターラーや、超音波振動装置でもよい。また、バブリングにより攪拌するようにしてもよい。
【0024】
切替弁14は、滴定ポンプ15内に酸化剤を吸引する際は、酸化剤容器側の酸化剤導入管4と滴定ポンプ15との間が通じるように制御されており、滴定ポンプ15から酸化剤を吐出する際は、滴定ポンプ15と反応槽1側の酸化剤導入管4との間が通じるように制御されている。
滴定ポンプ15は、滴定の時のみならず、後述の加熱反応ステップにおいて、酸化剤を一定量計量して反応槽1に導入する際にも使用されるようになっている。
【0025】
指示変換装置20は、図2に示すように、制御部21、D/Aコンバーター22、印加電圧回路23、定電流回路24、測定回路25、A/Dコンバーター26、操作表示部27とから、概略構成されている。
印加電圧回路23は、D/Aコンバーター22を経由して制御部21から指示された所定の印加電圧Eを定電流回路24に付与するようになっている。また、定電流回路24は内部抵抗Rを有し、印加電圧回路23から付与された印加電圧Eと内部抵抗Rとで決まる定電流I(I=E/R)を白金電極11aと白金電極12aとの間に流すようになっている。
【0026】
測定回路25は、白金電極11aと白金電極12aとの間の電位差Vを測定する回路である。電位差Vは、定電流回路24によって、白金電極11aと白金電極12aとの間に流される定電流Iと、白金電極11aと白金電極12aとの間の抵抗rによって決まる値(V=I×r)である。
測定回路25で測定された電位差VはA/Dコンバーター26を経由して制御部21に入力され、入力された電位差Vの変化に基づき滴定の終点等が求められ、求められた終点から、COD値が演算されるようになっている。
【0027】
制御部21は、CPU等の制御デバイスを備え、指示変換装置20内の定電流回路24等を制御すると共に、測定回路25で測定された電位差Vが入力されて終点の検出及びCOD値の演算等を行うようになっている。また、例えば、ポンプや各種弁等が制御部21の指示によって動作するようになっている。
制御部21には、後述の各ステップを実行させるためのプログラムが組み込まれている。制御部21による具体的な制御内容は、操作表示部27によって設定を変更することにより変更可能とされている。
【0028】
制御部21によって演算されたCOD値や制御部21の設定内容等は、操作表示部27により確認可能とされている。
操作表示部27としては、例えばタッチパネルを採用することができる。その他、キーボード等の各種入力装置と液晶表示装置等の各種表示装置とを組み合わせて操作表示部27としてもよい。
制御部21によって演算されたCOD値や設定内容等は、外部の記録計、データロガー、メモリ、プリンター、コンピュータ等に伝達されてもよい。その場合の伝達のための信号はデジタル信号でもアナログ信号でもよく、また、有線で伝達されてもよいし、無線で伝達されてもよい。
【0029】
制御部21内の具体的な回路構成に特に限定はない。図3に、印加電圧回路23、定電流回路24、及び測定回路25に該当する回路の一例を示す。
図3に示す回路では、増幅器31の非反転入力端子(+)は、D/Aコンバーター22に接続されている。増幅器31の反転入力端子(−)はコンデンサ32の一端と抵抗33の一端に接続されている。増幅器31の出力端子は、コンデンサ32の他端と、抵抗34の一端に接続されている。抵抗33の他端と抵抗34の他端は、抵抗35の一端に接続されている。抵抗35の他端は、白金電極11aと増幅基36の反転入力端子(−)に接続されている。白金電極12aは増幅基36の出力端子に接続されている。増幅基36の非反転入力端子(+)は、回路コモンに接続されている。増幅基36の出力端子はA/Dコンバーター26に接続されている。なお、増幅基36の出力端子とA/Dコンバーター26との間には、フィルター回路が設けられていてもよい。
【0030】
制御部21は、プログラムに従い装置を制御し、以下の各ステップを順に実行する。
(1)前記試料液導入手段と前記試薬導入手段により、試料液と酸化剤を前記反応槽に導入し、前記加熱装置により加熱して反応させる加熱反応ステップ、
(2)前記試薬導入手段により還元剤を前記反応槽に導入し、未反応の酸化剤と反応させる還元ステップ、
(3)前記定電流回路で所定の定電流を前記一対の電極間に流した際の前記一対の電極間の電位差を前記測定回路で測定し、測定した電位差に基づき、定電流の大きさを調整する定電流調整ステップ、
(4)前記試薬導入手段により、未反応の還元剤を酸化剤で滴定し、滴定の終点を、前記調整した定電流を前記一対の電極間に流しつつ前記測定回路で測定する前記一対の電極間の電位差の変化に基づいて検出する、滴定ステップ、
(5)前記終点に基づき試料液のCODを求める、COD演算ステップ。
以下、各ステップについて詳述する。
【0031】
(加熱反応ステップ)
加熱反応ステップで、制御部21は、以下の動作を実行させる。まず、試料液導入管3から、一定量の試料液を反応槽1に導入させる。また、必要に応じて水導入管9から試料液導入管3を経て、希釈水を反応槽1に導入させる。また、酸導入管5から硫酸を、硝酸銀導入管7から硝酸銀溶液を、反応槽1に導入させる。さらに、酸化剤(過マンガン酸カリウム溶液)の一定量を滴定ポンプ15により計量させ、酸化剤導入管4から反応槽1に導入させる。なお、試料液中に塩素イオンが含まれない場合、含まれていても無視できる程度の場合、硝酸銀溶液の導入は不要である。
そして、これら反応槽1に導入された液を攪拌装置13に攪拌させつつ、加熱装置2により、30分間100℃で加熱させる。これにより、試料液中の被酸化性物質と酸化剤を反応させる。
【0032】
(還元ステップ)
還元ステップで、制御部21は、反応槽1内の反応液を攪拌装置13に攪拌させつつ、還元剤(シュウ酸ナトリウム溶液)の一定量を、還元剤導入管6から反応槽1に導入させる。これにより、加熱反応ステップで消費されずに残存した酸化剤を、還元剤と反応させる。
【0033】
(定電流調整ステップ)
定電流調整ステップで、制御部21は、図4に示すように、還元ステップが終了した時点における白金電極11aと白金電極12aの間の電位差Vに基づき、定電流Iの大きさを調整する。
【0034】
まず、還元ステップが終了した段階の反応液に白金電極11aと白金電極12aを浸漬した状態で、定電流回路24で制御部21が記憶している所定の定電流Iを白金電極11aと白金電極12aの間に流し、その際の両電極間の電位差Vを測定回路25で測定する(A1)。
【0035】
定電流Iを流し始めた直後は電位差Vが不安定となりやすいため、電位差Vの取得は、電位差Vの変動が収束したことを検知した後、又は一定時間後に行うことが好ましい。例えば、定電流Iを流し始めてから30秒後に測定した電位差Vを制御部21に取り込むことが好ましい。
なお、定電流Iを流しても電位差Vが0mVのまま変化しない場合や、電位差Vの変動が長時間収束しない場合は、定電流回路24、測定回路25等の回路不良や白金電極11a、白金電極12aの不良等が考えられる。その場合、制御部21は異常情報を発信してもよい。
【0036】
所定の定電流は、例えば、一般的な試料液のCOD測定の際に使用される標準的な大きさの定電流とすることができる。また、前回の滴定時に使用された定電流(前回の定電流調整ステップで調整された定電流)と同じ大きさの定電流としてもよい。また、前回の滴定時に使用された定電流を、前回の滴定データを考慮し調整した大きさの定電流としてもよい。
【0037】
前回の滴定データを考慮する具体的態様としては、例えば、以下のような態様が挙げられる。
(i)前回測定時の滴定データにおけるピーク電位と初期電位(滴定開始時の電位)との差が小さかった場合(例えば200mV以下の場合)、前回の滴定時に使用された定電流よりも大きい定電流とする。
【0038】
(ii)前回測定時の滴定データにおけるピーク電位が目標ピーク電位(例えば、明確な終点が得られる最も理想的な滴定データにおける通常のピーク電位)を大きく(例えば200mV以上)下回った場合、前回の滴定時に使用された定電流よりも大きい定電流とする。
(iii)前回測定時の滴定データにおけるピーク電位が目標ピーク電位(例えば、明確な終点が得られる最も理想的な滴定データにおける通常のピーク電位)を大きく(例えば100mV以上)上回った場合、前回の滴定時に使用された定電流よりも小さい定電流とする。
【0039】
(iv)前回測定時の滴定データにおけるピーク電位と目標ピーク電位(例えば、明確な終点が得られる最も理想的な滴定データにおける通常のピーク電位)との比(前回ピーク電位/目標ピーク電位)が小さかった場合、その比に応じて、前回の滴定時に使用された定電流よりも大きい定電流とする。
(v)前回測定時の滴定データにおけるピーク電位と目標ピーク電位(例えば、明確な終点が得られる最も理想的な滴定データにおける通常のピーク電位)との比(前回ピーク電位/目標ピーク電位)が大きかった場合、その比に応じて、前回の滴定時に使用された定電流よりも小さい定電流とする。
【0040】
制御部21は、測定した電位差Vを制御部21が記憶している所定の電位差Vと比較する(A2)。
所定の電位差Vは、適切な滴定データの滴定開始時点の電位差と、ピークの形状が鈍化してしまう場合の滴定開始時点の電位差に基づき予め設定され、制御部21に記憶された値である。
【0041】
所定の電位差Vが、明確な終点が得られる最も理想的な滴定データの滴定開始時点の電位差に近い値であれば、定電流Iの調整を細かく行うことができる。所定の電位差Vが、最も理想的な滴定データの滴定開始時点の電位差からある程度離れ、ピークの形状が鈍化してしまう場合の滴定開始時点の電位差に近い値であれば、ピークの形状の鈍化に伴う不都合を回避しつつ、通常は、定電流Iの大きさが変化しない条件で滴定を行うことがきる。
【0042】
比較の結果、電位差Vが所定の電位差Vよりも大きければ、定電流の大きさを制御部21が記憶している所定の定電流IからI(I<I)に変更する(A3)。
をIよりどの程度小さい値とするかは、電位差Vと所定の電位差Vとの差に応じて決めることが好ましい。例えば、IとIの差を、電位差Vと所定の電位差Vとの差に比例する値とすることができる。
【0043】
また、電位差Vと所定の電位差Vとの差を何段階かに分類し、IとIの差を段階的に設定してもよい。段階的な設定の具体的例としては、電位差Vと所定の電位差Vとの差がX未満であればIよりaだけ小さい値とし、電位差Vと所定の電位差Vとの差がX以上Y未満であればbだけ小さい値とし、電位差Vと所定の電位差Vとの差がY以上であればcだけ小さい値とすることが挙げられる(ただし、X<Y、a<b<c)。
【0044】
をIよりどの程度小さい値とするかは、電位差Vと所定の電位差Vとの差の大きさを考慮することなく、一律に決めてもよい。
また、電位差Vと所定の電位差Vとの差の大きさ以外のファクターを考慮してもよい。例えば、前回の滴定データを考慮してもよい。
【0045】
電位差Vが所定の電位差Vよりも小さいか同じであれば、制御部21は、測定した電位差Vを制御部21が記憶している所定の電位差V(ただしV≦V)と比較する(A4)。
所定の電位差Vは、適切な滴定データの滴定開始時点の電位差と、ピークが小さくなってしまう場合の滴定開始時点の電位差に基づき予め設定され、制御部21に記憶された値である。
【0046】
所定の電位差Vが、明確な終点が得られる最も理想的な滴定データの滴定開始時点の電位差に近い値であれば、定電流Iの調整を細かく行うことができる。所定の電位差Vが、最も理想的な滴定データの滴定開始時点の電位差からある程度離れ、ピークが小さくなってしまう場合の滴定開始時点の電位差に近い値であれば、ピークが小さくなってしまう不都合を回避しつつ、通常は、定電流Iが変化しない条件で滴定を行うことがきる。
=Vの場合、所定の電位差V及びVは、明確な終点が得られる最も理想的な滴定データの滴定開始時点の電位差とすることが好ましい。
【0047】
比較の結果、電位差Vが所定の電位差Vよりも小さければ、定電流の大きさを制御部21が記憶している所定の定電流IからI(I>I)に変更する(A5)。
をIよりどの程度大きい値とするかは、電位差Vと所定の電位差Vとの差に応じて決めることが好ましい。例えば、IとIの差を、電位差Vと所定の電位差Vとの差に比例する値とすることができる。
【0048】
また、電位差Vと所定の電位差Vとの差を何段階かに分類し、IとIの差を段階的に設定してもよい。段階的な設定の具体的例としては、電位差Vと所定の電位差Vとの差がZ未満であればIよりdだけ大きい値とし、電位差Vと所定の電位差Vとの差がZ以上W未満であればeだけ大きい値とし、電位差Vと所定の電位差Vとの差がW以上であればfだけ大きい値とすることが挙げられる(ただし、Z<W、d<e<f)。
【0049】
をIよりどの程度大きい値とするかは、電位差Vと所定の電位差Vとの差の大きさを考慮することなく、一律に決めてもよい。
また、電位差Vと所定の電位差Vとの差の大きさ以外のファクターを考慮してもよい。例えば、前回の滴定データを考慮してもよい。
【0050】
電位差Vが所定の電位差Vよりも小さいか同じであり、かつ、所定の電位差Vよりも大きいか同じである場合、制御部21は、定電流の大きさを、制御部21が記憶している所定の定電流Iのまま維持する(A6)。
【0051】
定電流の調整は、図5に示すように、電位差Vが所定の電位差Vと所定の電位差Vの間の値となるまで繰り返してもよい。図5において、図4と同等のステップについては、同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図5に示す方法の場合、制御部21は、Aのステップで測定した電位差Vを制御部21が記憶している所定の電位差Vと比較する(A2)。その結果、電位差Vが所定の電位差Vよりも大きければ、所定の定電流IをI(I<I)に変更する(A7)。すなわち、定電流Iの値を更新する。そして、A1のステップに戻り、更新した定電流I(=I)を白金電極11aと白金電極12aの間に流し、その際の両電極間の電位差Vを測定回路25で測定する。
【0052】
電位差Vが所定の電位差Vよりも小さいか同じであれば、制御部21は、測定した電位差Vを制御部21が記憶している所定の電位差Vと比較する(A4)。
ただし、この場合の電位差Vは電位差Vと同じではなく、V<Vであることが好ましい。また、VとVとの間には充分な差があることが好ましい。VとVとの間に充分な差がないと、定電流調整ステップが、いつまでも終了しない虞があるからである。
【0053】
すなわち、所定の電位差Vは、明確な終点が得られる最も理想的な滴定データの滴定開始時点の電位差から離れ、ピークの形状が鈍化してしまう場合の滴定開始時点の電位差にある程度近い値であることが好ましい。また、電位差Vは、最も理想的な滴定データの滴定開始時点の電位差から離れ、ピークが小さくなってしまう場合の滴定開始時点の電位差にある程度近い値であることが好ましい。
例えば、電位差Vを300mV、電位差V2を100mVとすることができる。
【0054】
電位差Vと比較した結果、電位差Vが所定の電位差Vよりも小さければ、所定の定電流IをI(I>I)に変更する(A8)。すなわち、定電流Iの値を更新する。そして、A1のステップに戻り、更新した定電流I(=I)を白金電極11aと白金電極12aの間に流し、その際の両電極間の電位差Vを測定回路25で測定する。
【0055】
A1のステップに戻った後は、A2のステップ以下を前回と同様に行う。そして、電位差Vが所定の電位差Vよりも小さいか同じであり、かつ、所定の電位差Vよりも大きいか同じとなった場合、制御部21は、定電流の大きさを、制御部21が記憶している所定の定電流Iのまま維持し(A6)、定電流調整ステップを終了する。
【0056】
A7のステップにおいてI(更新後のI)をIよりどの程度小さい値とするかは、図4のA3のステップにおいて説明したのと同様にして決めることができる。A8のステップにおいてI(更新後のI)をIよりどの程度大きい値とするかは、図4のA5のステップにおいて説明したのと同様にして決めることができる。
なお、A7又はA8のステップにおいて、定電流Iを変化させた直後は電位差Vが不安定となりやすいため、電位差Vの取得は、電位差Vの変動が収束したことを検知した後、又は一定時間後に行うことが好ましい。例えば、定電流Iを変化させてから15秒後に測定した電位差Vを制御部21に取り込むことが好ましい。
【0057】
A1のステップに1回以上戻る場合は、電位差Vが所定の電位差Vと所定の電位差V間の値に徐々に収束するように、更新後のIの値を調整する。例えば、1度目と2度目のA1のステップの後、いずれもA7のステップに至った場合、2度目のI(2度目の更新後のI)は、1度目のI(1度目の更新後のI)よりさらに小さくする。
1度目のA1のステップの後はA7のステップに至り、2度目のA1のステップの後はA8のステップに至った場合、2度目のI(2度目の更新後のI)は、1度目のA1のステップにおけるI(1度目の更新前のI)より小さく、かつ1度目のI(1度目の更新後のI)より大きい値とする。
【0058】
図4図5において、定電流回路24による定電流Iを変化させる(A3、A5、A7、A8)ためには、定電流回路24の印加電圧値E(印加電圧回路23から付与される電圧)を変化させても内部抵抗Rを変化させてもよいが、印加電圧値Eを変化させることが好ましい。定電流分極電位差法に用いる定電流回路24には、高い内部抵抗値が要求されるため、可変抵抗としにくいためである。
印加電圧値Eを大きくすれば定電流Iも大きくなり、印加電圧値E小さくすれば定電流Iも小さくなる。
【0059】
また、定電流回路24の印加電圧値E(印加電圧回路23から付与される電圧)を変化させると共に、補充的に内部抵抗を変化させてもよい。補充的に内部抵抗Rを変化させる際は、異なる内部抵抗値の抵抗を切り替える方法等を採用できる。例えば、図3の抵抗35を、抵抗値の異なる他の抵抗に切り替える方法を採用できる。
抵抗値の大きい抵抗に切り替えれば定電流Iは小さくなり、抵抗値の小さい抵抗に切り替えれば定電流Iは大きくなる。
【0060】
(滴定ステップ)
滴定ステップでは、滴定ポンプ15を用いて、還元ステップで残存した未反応の還元剤を酸化剤で滴定する。この間、定電流回路24により、定電流調整ステップで調整した定電流Iを白金電極11aと白金電極12aの間に流し、その際の両電極間の電位差Vの変化を測定回路25で測定する。
還元剤と酸化剤が当量に近づくにつれ、電荷の担い手である還元剤が反応液中に存在する量が少なくなる。そのため、当量に近づくにつれ、白金電極11aと白金電極12aの間の液抵抗が高くなり、両電極間の電位差が大きくなるため、電位差の変化から終点(当量点)の検知ができる。
滴定の終点は、電位差が最も大きくなった点としてもよいし、電位差が最も大きくなった後、滴定量の変化量に対する電位差の変化量(低下量)が最も大きくなった点としてもよい。
【0061】
なお、滴定を開始しても電位差Vが初期電位のまま変化しない場合は、定電流回路24、測定回路25等の回路不良、白金電極11a、白金電極12aの不良、滴定ポンプ15の不良等が考えられる。その場合、制御部21は異常情報を発信してもよい。
【0062】
(COD演算ステップ)
COD演算ステップでは、滴定ステップで得られた終点に基づき、試料液のCOD(化学的酸素要求量)を求める。
CODは、過熱反応ステップと滴定ステップにおける滴定の終点までに要した酸化剤の量とその濃度、還元ステップにおける還元剤の量とその濃度、及び試料液の液量に基づき、定法に従い演算して求めることができる。
【0063】
本実施形態のCOD測定装置によれば、試料液の成分等により、滴定開始前の電位差が高い場合、図5のデータD2のようにピークの形状が鈍化する懸念があるので、定電流回路24による定電流を低下させることによって、そのような懸念を回避することができる。
また、試料液の成分等により、滴定開始前の電位差が低い場合、図5のデータD3のようにピークを把握しにくくなる懸念があるので、定電流回路24による定電流を上昇させることによって、そのような懸念を回避することができる。
【0064】
上記実施形態では、酸性法のCOD測定装置を例にとって説明したが、本発明は、下水試験方法に規定されているアルカリ性法のCOD測定装置にも適用できる。
アルカリ性法のCOD測定装置が酸性法のCOD測定装置と異なる点は、下記の通りである。
【0065】
加熱反応ステップにおける試料液中の被酸化性物質と酸化剤との反応をアルカリ性で行う。そのため、硫酸に代えて水酸化ナトリウム水溶液を用いる。
また、アルカリ性法において、塩素イオンは妨害成分とならないので、硝酸銀の使用は不要である。
還元ステップでは、反応液を酸性とするため、還元剤と共に硫酸を導入する。他は、酸性法のCOD測定装置と同様である。
【0066】
また、上記実施形態では、各ステップを実行させるためのプログラムが制御部21に組み込まれている態様としたが、制御部21の機能の一部又は全部は、直接又は通信システムを利用して接続された外部コンピュータに担わせてもよい。
その場合、プログラムは、予めコンピュータに記録されていてもよいし、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませてもよい。
また、予めコンピュータに記録されているプログラムと、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、コンピュータに読み込ませるプログラムとを組み合わせてもよい。
また、指示変換装置20内の回路の一部は、電極体11、12を複合電極体としたボディーのヘッドに組み込み、いわゆるヘッドアンプとしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…反応槽、2…加熱装置、3…試料液導入管、4…酸化剤導入管、5…酸導入管、
6…還元剤導入管、7…硝酸銀導入管、8…廃液管、9…水導入管、
11、12…電極体、11a、12a…白金電極、13…攪拌装置、14…切替弁、
15…滴定ポンプ、20…指示変換装置、21…制御部、22…D/Aコンバーター、
23…印加電圧回路、24…定電流回路、25…測定回路、26…A/Dコンバーター
図1
図2
図3
図4
図5
図6