【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果最適展開支援プログラムに係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液体は、前記半導体発光素子から放射される前記深紫外光の波長において、前記半導体発光素子の出射面よりも小さな屈折率を有し、かつ、前記透明部材よりも大きな屈折率を有する、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の深紫外発光モジュール。
前記液体は、前記半導体発光素子から放射される前記深紫外光の波長において、100μmの経路長当たり80%以上の透過率を有する材料から構成される、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の深紫外発光モジュール。
前記透明部材は、前記半導体発光素子から放射される前記深紫外光の波長において、100μmの経路長当たり80%以上の透過率を有する材料から構成される、請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の深紫外発光モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。特に説明しない限り、同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0010】
(実施の形態1)
図1を参照して、実施の形態1に係る発光モジュール1は、主に、深紫外光18を放射する半導体発光素子10と、半導体発光素子10を封止する液体50と、半導体発光素子10と液体50とを収容するパッケージ(30、40)とを備える。
【0011】
パッケージ(30、40)は、半導体発光素子10と液体50とを収容する。パッケージは、基台30と、透明部材40とを主に含む。
【0012】
基台30は、半導体発光素子10を載置する。本実施の形態では、半導体発光素子10は、サブマウント20を介して、基台30の上に載置される。基台30に用いられる材料として、金属、樹脂、セラミックを例示することができる。本明細書において、金属からなる基台30を含むパッケージ(30、40)をメタルパッケージと呼び、樹脂からなる基台30を含むパッケージ(30、40)を樹脂パッケージと呼び、セラミックからなる基台30を含むパッケージ(30、40)をセラミックパッケージと呼ぶ。本実施の形態のパッケージ(30、40)は、メタルパッケージ、樹脂パッケージ、セラミックパッケージのいずれかであってもよい。基台30は、高い熱伝導性を有する材料から構成され、ヒートシンクとして機能してもよい。
【0013】
パッケージは、サブマウント20をさらに含んでもよい。サブマウント20は、半導体発光素子10を載置する。サブマウント20の材料として、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al
2O
3)、炭化珪素(SiC)、ダイヤモンド、珪素(Si)を例示することができる。サブマウント20は、高い熱伝導性を有する材料から構成されることが好ましい。そのため、サブマウント20は、好ましくは、160〜250W/(m・K)の熱伝導率を有する窒化アルミニウム(AlN)から構成されてもよい。半導体発光素子10が載置されるサブマウントの表面は、平らな面であってもよいし、曲面であってもよい。半導体発光素子10が載置されるサブマウントの表面に、半導体発光素子10からの深紫外光18を反射するために、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、金(Au)、または銀(Ag)などからなる反射層が設けられてもよい。
【0014】
半導体発光素子10が載置されるサブマウントの表面に、第1の導電パッド21と第2の導電パッド22とが設けられてもよい。導電性を有する接合部材25を用いて、半導体発光素子10のn型電極15とサブマウント20の第1の導電パッド21とが電気的及び機械的に接続され、半導体発光素子10のp型電極16とサブマウント20の第2の導電パッド22とが電気的及び機械的に接続される。接合部材25として、金−すず(AuSn)、銀−すず(AgSn)などからなる半田、金(Au)や銅(Cu)などからなる金属バンプ、銀ペーストなどの導電性ペーストを例示することができる。
【0015】
本実施の形態では、半導体発光素子10はサブマウント20の上にフリップチップボンディングされてもよい。すなわち、半導体発光素子10の基板11側の面をサブマウント20及び基台30の反対側に向けるとともに、半導体発光素子10の半導体層(n型半導体層12、活性層13、p型半導体層14)側の面をサブマウント20及び基台30の側に向けて、半導体発光素子10をサブマウント20の上に載置してもよい。半導体発光素子10がサブマウント20の上にフリップチップボンディングされると、活性層13から放射される深紫外光18がp型半導体層14で吸収されることを抑制しながら、活性層13から放射される深紫外光18を半導体発光素子10の外部に取り出すことができる。
【0016】
サブマウント20は、金−すず(AuSn)などからなる共晶半田、銀ペーストなどの導電性ペースト、または接着剤を用いて、基台30に固着される。半導体発光素子10から放射される深紫外光18を効率的にパッケージ(30、40)の外部に取り出すために、半導体発光素子10は、基台30の主面30aの中央付近に載置されることが好ましい。
【0017】
本実施の形態のパッケージは、さらに、リードピン31と、導電ワイヤ33とを含んでもよい。リードピン31は基台30に固定されてもよい。導電ワイヤ33は、リードピン31と、第1の導電パッド21及び第2の導電パッド22とを電気的に接続する。導電ワイヤ33として、金(Au)ワイヤを例示することができる。リードピン31、第1の導電パッド21、第2の導電パッド22、接合部材25を介して、図示されない外部の電源から、半導体発光素子10に電流が供給され、半導体発光素子10は深紫外光18を放射する。
【0018】
透明部材40は、半導体発光素子10を覆うように、基台30の上に設けられてもよい。基台30と透明部材40とは、接着剤42等によって接合されてもよい。
【0019】
透明部材40は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18に対して透明である。本明細書において、透明部材40は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18に対して透明であるとは、透明部材40は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長において、60%以上の透過率を有することを意味する。透明部材40は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長において、好ましくは75%以上、さらに好ましくは90%以上の透過率を有してもよい。ここで、透明部材40の透過率は、単位長さ当たりの透明部材40の透過率が高いほど高くなり、透明部材40が厚いほど低くなる。透明部材40は、190nm以上350nm以下、好ましくは200nm以上320nm以下、さらに好ましくは220nm以上300nm以下の波長を有する深紫外光18に対して低い光吸収率と高い光透過率を有してもよい。透明部材40は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長において、100μmの経路長当たり80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の透過率を有する材料から構成されてもよい。
【0020】
透明部材40は、一方に開口を有し、内部に空間を有する凹の形状を有してもよい。透明部材40は、キャップであってもよい。本明細書において、キャップとは、一方に開口を有し、内部に空間を有する殻の形状を有するものをいう。本実施の形態では、キャップである透明部材40は、一方に開口を有し、内部に空間を有する半球殻の形状を有してもよい。透明部材40を半球殻の形状を有するキャップで構成することによって、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の透明部材40への入射角を垂直に近づけることができる。
【0021】
透明部材40は、合成石英、石英ガラス、無アルカリガラス、サファイア、蛍石(CaF)などの無機化合物、および樹脂のいずれかから構成されてもよい。表1に、透明部材40に用いることができる材料の一部について、265nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率の一例を示す。
【0023】
透明部材40に用いることができる樹脂として、芳香族環を有しないシリコーン樹脂、非晶質のフッ素含有樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスルホン系樹脂、ポリシラン、ポリビニルエーテル、無機化合物が添加された樹脂を例示することができる。
【0024】
芳香環を有しないシリコーン樹脂として、ポリジメチルシロキサンであるJCR6122(東レ・ダウコーニング製)、JCR6140(東レ・ダウコーニング製)、HE59(日本山村硝子製)、HE60(日本山村硝子製)、HE61(日本山村硝子製)、KER2910(信越化学工業製)、含フッ素系オルガノポリシロキサンであるFER7061(信越化学工業製)を例示することができる。
【0025】
非晶質のフッ素含有樹脂として、ペルフルオロ(4−ビニルオキシ−1−ブテン)重合体(サイトップ(登録商標)、旭硝子製)、2,2−ビストリフルオロメチル−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソール重合体(テフロン(登録商標)AF、DuPont製)を例示することができる。
【0026】
ポリイミドとして、芳香族化合物が脂環式化合物に置換されたポリイミドが好ましい。脂環式ポリイミドとして、脂環式酸二無水物と脂環式ジアミンの反応物を例示することができる。脂環式酸二無水物として、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−endo,3−endo,5−exo,6−exo−テトラカルボン酸−2,3:5,6−二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−exo,3−exo,5−exo,6−exo−テトラカルボン酸−2,3:5,6−二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−endo,3−endo,5−exo,6−exo−テトラカルボン酸2,3:5,6−二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−exo,3−exo,5−exo,6−exo−テトラカルボン酸2,3:5,6−二無水物、(4arH,8acH)−デカヒドロ−1t,4t:5c,8c−ジメタノナフタレン2c,3c,6c,7c−テトラカルボン酸−2,3:6,7−二無水物を例示することができる。脂環式ジアミンとして、ビス(アミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンを例示することができる。
【0027】
エポキシ樹脂として、芳香環が脂環式化合物に変更されたエポキシ樹脂が好ましい。芳香環が脂環式化合物に変更されたエポキシ樹脂としては、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2021P,ダイセル製)、ε−カプロラクトン変性 3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(セロキサイド2081,ダイセル製)、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(セロキサイド2000,ダイセル製)を例示することができる。
【0028】
ポリオレフィンとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンなどの鎖状オレフィンの重合体、ノルボルネンなどの環状オレフィンの重合体、TPX(三井化学製)、APEL(三井化学製)、ARTON(JSR製)、ZEONOR(日本ゼオン製)、ZEONEX(日本ゼオン製)、TOPAS(ポリプラスチックス製)を例示することができる。
【0029】
無機化合物が添加された樹脂として、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化ホフニウム、α-酸化アルミニウム、γ-酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、フッ化カルシウム、ルテチウムアルミニウムガーネット、二酸化ケイ素、マグネシウムアルミネート、サファイア、ダイヤモンドなどの無機化合物を、上記の樹脂に添加したものを例示することができる。
【0030】
液体50は、パッケージ(30、40)の内部空間に充填され、半導体発光素子10を封止する。具体的には、液体50は、基台30と透明部材40との間の空間に充填され、半導体発光素子10を封止する。液体50は、少なくとも半導体発光素子10の出射面(基板11の第2の面11b)を封止してもよい。
【0031】
液体50は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18に対して透明である。本明細書において、液体50は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18に対して透明であるとは、液体50が、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長において、60%以上の透過率を有することを意味する。液体50は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長において、好ましくは75%以上、さらに好ましくは90%以上の透過率を有してもよい。ここで、液体50の透過率は、単位長さ当たりの液体50の透過率が高いほど高くなり、液体50が厚いほど低くなる。液体50は、190nm以上350nm以下、好ましくは200nm以上320nm以下、さらに好ましくは220nm以上300nm以下の波長を有する深紫外光18に対して低い光吸収率と高い光透過率を有する。液体50は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長において、100μmの経路長(厚さ)当たり80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の透過率を有する材料から構成されてもよい。
【0032】
液体50は、純水、液体有機化合物、塩溶液、及び微粒子分散液のいずれかから構成されてもよい。表2から表10に、液体50に用いることができる材料の一部について、193nm、248nm、265nmまたは300nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率の一例と、193nm、248nm、265nmまたは300nmの波長における屈折率の一例を示す。
【0033】
表2に、純水の、193nm、248nm、及び265nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率と、193nm、248nm、及び265nmの波長における屈折率とを示す。
【0035】
液体有機化合物は、飽和炭化水素化合物、芳香環を有しない有機溶媒、有機ハロゲン化物、シリコーン樹脂、シリコーンオイルのいずれかから構成されてもよい。表3から表6に、液体50に用いることができる液体有機化合物材料の一部について、193nm、248nm、または265nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率の一例と、193nm、248nm、または265nmの波長における屈折率の一例を示す。
【0036】
表3に、液体50に用いることができる飽和炭化水素化合物の一部について、193nmまたは265nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率と、193nmまたは265nmの波長における屈折率とを示す。
【0038】
飽和炭化水素化合物として、鎖式飽和炭化水素化合物と、環式飽和炭化水素化合物とを例示することができる。鎖式飽和炭化水素化合物として、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、2,2−ジメチルブタン、2−メチルペンタンを例示することができる。環式飽和炭化水素化合物ととして、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン、ブチルシクロヘキサン、メチルキュバン、メチルジノルボルネン、オクタヒドロインデン、2−エチルノルボルネン、1,1’−ビシクロヘキシル、trans−デカヒドロナフタレン、cis−デカヒドロナフタレン、exo−テトラヒドロジシクロペンタジエン、トリシクロ[6.2.1.0
2,7]ウンデカン、ペルヒドロフルオレン、3−メチルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]ドデカン、1,3−ジメチルアダマンタン、ペルヒドロフェナントレン、ペルヒドロピレンを例示することができる。飽和炭化水素化合物として、IF131(DuPont製)、IF132(DuPont製)、IF138(DuPont製)、IF169(DuPont製)、HIL-001(JSR製)、HIL-002(JSR製)、HIL-203(JSR製)、HIL-204(JSR製)、Delphi(三井化学製)、Babylon(三井化学製)をさらに例示することができる。
【0039】
表4に、液体50に用いることができる芳香環を有しない有機溶媒の一部について、193nm、248nm、または265nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率と、193nm、248nm、または265nmの波長における屈折率とを示す。
【0041】
芳香環を有しない有機溶媒として、ヒドロキシル基を有する化合物と、カルボニル基を有する化合物と、スルフィニル基を有する化合物と、エーテル結合を有する化合物、ニトリル基を有する化合物、アミノ基を有する化合物、及び含硫黄化合物を例示することができる。ヒドロキシル基を有する化合物として、イソプロパノール、イソブタノール、グリセロール、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールを例示することができる。カルボニル基を有する化合物として、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、n−アクリル酸ブチルを例示することができる。スルフィニル基を有する化合物として、ジメチルスルホキシドを例示することができる。エーテル結合を有する化合物として、テトラヒドロフラン、1,8−シネオールを例示することができる。ニトリル基を有する化合物として、アセトニトリルを例示することができる。アミノ基を有する化合物として、トリエチルアミン、ホルムアミドを例示することができる。含硫黄化合物として、二硫化炭素を例示することができる。
【0042】
表5に、液体50に用いることができる有機ハロゲン化物の一部について、265nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率と、265nmの波長における屈折率とを示す。
【0044】
有機ハロゲン化物として、フッ素化合物、塩素化合物、臭素化合物、及びヨウ素化合物を例示することができる。フッ素化合物として、ペルフルオロ(4−ビニルオキシ−1−ブテン)重合体(サイトップ)(登録商標)、2,2−ビストリフルオロメチル−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソール重合体(テフロン(登録商標)AF、DuPont製)を例示することができる。塩素化合物として、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、クロロプロパン、ジクロロプロパン、トリクロロプロパン、テトラクロロプロパン、ペンタクロロプロパン、ヘキサクロロプロパン、クロロヘキサノール、トリクロロアセチルクロリド、四塩化炭素、クロロアセトン、1−クロロブタン、クロロシクロヘキサン、クロロホルム、クロロエタノール、クロロヘキサン、クロロヘキサノン、エピクロロヒドリンを例示することができる。臭素化合物として、ブロモエタン、ブロモエタノール、ジブロモメタン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、ブロモホルム、トリブロモエタン、トリブロモプロパン、テトラブロモエタン、1−ブロモプロパンを例示することができる。ヨウ素化合物として、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ジヨードメタン、ジヨードプロパンなどのヨウ素化合物を例示することができる。
【0045】
表6に、液体50に用いることができるシリコーン樹脂またはシリコーンオイルの一部について、265nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率と、265nmの波長における屈折率とを示す。
【0047】
シリコーン樹脂またはシリコーンオイルは、オルガノポリシロキサンを主鎖とし、Si原子に有機基が結合している。有機基として、炭素原子を含む官能基、フッ素原子を含む官能基、塩素原子を含む官能基、臭素原子を含む官能基、ヨウ素原子を含む官能基、窒素原子を含む官能基、酸素原子を含む官能基、硫黄原子を含む官能基のいずれか1つ以上を含む官能基を例示することができる。炭素原子を含む官能基として、メチル基、エチル基、プロピル基を例示することができる。フッ素原子を含む官能基として、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、トリフルオロプロピル基を例示することができる。塩素原子を含む官能基として、トリクロロメチル基、トリクロロエチル基、トリクロロプロピル基を例示することができる。臭素原子を含む官能基として、トリブロモメチル基、トリブロモエチル基、トリブロモプロピル基を例示することができる。ヨウ素原子を含む官能基として、トリヨードメチル基、トリヨードエチル基、トリヨードプロピル基を例示することができる。窒素原子を含む官能基として、アミノ基、ニトリル基、イソシアネート基、ウレイド基を例示することができる。酸素原子を含む官能基として、エポキシ基、メタクリル基、エーテル基を例示することができる。硫黄原子を含む官能基として、メルカプト基、スルフィニル基を例示することができる。シリコーン樹脂、またはシリコーンオイルとして、JCR6122(東レ・ダウコーニング製)、JCR6140(東レ・ダウコーニング製)、HE59(日本山村硝子製)、HE60(日本山村硝子製)、HE61(日本山村硝子製)、KER2910(信越化学工業製)、FER7061(信越化学工業製)をさらに例示することができる。これらの材料の中には、深紫外光以外の光を照射したり加熱したりすることによって硬化し得る材料が含まれるが、本実施の形態では、これらの材料を硬化処理しないで液体の状態のものを、液体50として利用する。
【0048】
塩溶液は、酸溶液、無機塩溶液、有機塩溶液のいずれかから構成されてもよい。表7から表9に、液体50に用いることができる塩溶液の一部について、193nm、または248nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率の一例と、193nm、または248nmの波長における屈折率の一例を示す。
【0049】
表7に、液体50に用いることができる酸溶液の一部について、193nm、または248nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率と、193nm、または248nmの波長における屈折率とを示す。
【0051】
酸として、リン酸、硫酸、塩酸、臭化水素酸、硝酸、クエン酸、メタンスルホン酸、メタクリル酸、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸を例示することができる。
【0052】
表8に、液体50に用いることができる無機塩溶液の一部について、193nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率と、193nmの波長における屈折率とを示す。
【0054】
無機塩として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化セシウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化ルビジウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化アルミニウム6水和物、臭化ナトリウム、臭化亜鉛、臭化リチウム、臭化カリウム、臭化ルビジウム、臭化セシウム、臭化アンモニウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ルビジウム、硫酸セシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ガドリニウム、硫酸亜鉛、ミョウバン、アンモニウムミョウバン、硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸2水素カリウム、過塩素酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムを例示することができる。
【0055】
表9に、液体50に用いることができる有機塩溶液の一部について、193nm波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率と、193nmの波長における屈折率とを示す。
【0057】
有機塩として、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、酢酸テトラプロピルアンモニウム、酢酸トリエチルアンモニウム、酢酸ジエチルジメチルアンモニウム、酢酸テトラブチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、メタンスルホン酸バリウム、メタンスルホン酸ランタン、メタンスルホン酸セシウム、メタンスルホン酸シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、シクロヘキサンスルホン酸ナトリウム、シクロヘキシルメタンスルホン酸ナトリウム、デカヒドロナフタレン−2−スルホン酸ナトリウム、1−アダマンタンメタンスルホン酸カリウム、1−アダマンタンスルホン酸カリウム、メタンスルホン酸デシルトリメチルアンモニウム、メタンスルホン酸ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、メタンスルホン酸アダマンチルトリメチルアンモニウム、メタンスルホン酸シクロヘキシルトリメチルアンモニウム、メタンスルホン酸1,1’−ジメチルピペリジニウム、メタンスルホン酸1−メチルキヌクリジニウム、メタンスルホン酸1,1−ジメチルデカヒドロキノリニウム、メタンスルホン酸1,1,4,4−テトラメチルピペラジン−1,4−ジイウム、1,4−ジメチル1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンを例示することができる。
【0058】
塩溶液に用いる溶媒として、水、有機溶媒、及びシリコーン樹脂またはシリコーンオイルに溶解した溶液を例示することができるが、これらに限られない。有機溶媒として、シクロヘキサン、デカン、デカヒドロナフタレンなどの飽和炭化水素化合物溶液、n−アクリル酸ブチル、n−アクリル酸メチル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、メチルエチルケトン、メタクリル酸メチル、ジクロロメタン、ジメチルシリコーンオイルを例示することができる。
【0059】
表10に、液体50に用いることができる微粒子分散液の一部について、248nm、または300nmの波長における、100μmの経路長(厚さ)当たりの透過率と、193nm、248nm、または300nmの波長における屈折率とを示す。
【0061】
微粒子分散液の微粒子として、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、α-酸化アルミニウム、γ-酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、フッ化カルシウム、ルテチウムアルミニウムガーネット、二酸化ケイ素(シリカ)、マグネシウムアルミネート、サファイア、ダイヤモンドなどの無機化合物を例示することができる。微粒子は、表面修飾ジルコニアのように、その表面が他の材料で修飾されてもよい。
【0062】
微粒子を分散させる溶媒として、水、有機溶媒、及びシリコーン樹脂またはシリコーンオイルに溶解した溶液を例示することができるが、これらに限られない。有機溶媒として、シクロヘキサン、デカン、デカヒドロナフタレンなどの飽和炭化水素化合物溶液、n−アクリル酸ブチル、n−アクリル酸メチル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、メチルエチルケトン、メタクリル酸メチル、ジクロロメタン、ジメチルシリコーンオイルを例示することができる。
【0063】
液体50は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長において、1.32以上、好ましくは1.40以上、さらに好ましくは1.45以上の屈折率を有してもよい。液体50は、好ましくは、1.50以上、さらに好ましくは1.55以上の屈折率をさらに有してもよい。液体50は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長において、1.32以上の屈折率を有するので、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長における液体50の屈折率を、深紫外光18の波長における半導体発光素子10の出射面(第2の面11b)の屈折率(基板11の屈折率)により一層近づけることができる。
【0064】
液体50は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長において、半導体発光素子10の出射面(第2の面11b)よりも小さな屈折率を有し、かつ、透明部材40よりも大きな屈折率を有してもよい。そのため、半導体発光素子10の出射面(第2の面11b)と液体50との界面における反射率と、液体50と透明部材40との界面における反射率とを低下させることができる。
【0065】
液体50は、絶縁性を有することが好ましい。本実施の形態では、液体50は、n型電極15と、p型電極16と、第1の導電パッド21と、第2の導電パッド22と、接合部材25と、リードピン31と、導電ワイヤ33とに接触している。液体50が絶縁性を有すると、n型電極15とp型電極16とが短絡することを防ぐことができる。液体50が導電性を有する場合には、半導体発光素子10の表面と、第1の導電パッド21の表面と、第2の導電パッド22の表面と、接合部材25の表面と、リードピン31の表面と、導電ワイヤ33の表面とに薄い絶縁膜を設けてもよい。
【0066】
半導体発光素子10は、基板11と、n型半導体層12と、活性層13と、p型半導体層14と、n型電極15と、p型電極16とを含む。
【0067】
基板11は、第1の面11aと、第1の面11aと反対側の第2の面11bとを有する。第2の面11bは、出射面であってもよい。基板11は、半導体発光素子10が発する深紫外光18の波長に対して、例えば50%以上のような、高い透過率を有することが好ましい。基板11の材料として、窒化アルミニウム(AlN)、炭化珪素(SiC)、サファイア、窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム(Ga
2O
3)、シリコン(Si)を例示することができる。基板11として、窒化アルミニウム(AlN)や窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)などから構成される下地層がサファイアやSiCなどから構成される基板上に形成されたテンプレート基板を用いてもよい。
【0068】
基板11の第1の面11aの上に、n型半導体層12が設けられる。n型半導体層12は、AlInGaNからなる窒化物半導体から構成されてもよい。より特定的には、n型半導体層12は、Al
x1In
y1Ga
z1N(x
1、y
1、z
1は、0≦x
1≦1.0、0≦y
1≦0.1、0≦z
1≦1.0を満たす有理数とし、x
1+y
1+z
1=1.0である)から構成されてもよい。n型半導体層12は、珪素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、酸素(O)、炭素(C)のようなn型不純物を含むことが好ましい。n型半導体層12におけるn型不純物の濃度は、1.0×10
17cm
-3以上1.0×10
20cm
-3以下、好ましくは、1.0×10
18cm
-3以上1.0×10
19cm
-3以下であってもよい。n型半導体層12は、100〜10000nm、好ましくは500〜3000nmの膜厚を有してもよい。
【0069】
n型半導体層12によって活性層13に電子及び正孔を閉じ込めるとともに、活性層13から放射される深紫外光18が第1のp型半導体層14aによって吸収されることを抑制するために、n型半導体層12は、活性層13から放射される深紫外光18のエネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有することが好ましい。n型半導体層12は、活性層13よりも低い屈折率を有し、クラッド層として機能してもよい。n型半導体層12は、単層から構成されてもよいし、Al組成、In組成、もしくはGa組成が互いに異なる複数層から構成されてもよい。Al組成、In組成、もしくはGa組成が互いに異なる複数層は、超格子構造、または、その組成が徐々に変化する傾斜組成構造を有してもよい。
【0070】
n型半導体層12の上に、活性層13が設けられる。活性層13から、190〜350nm、好ましくは200〜320nm、より好ましくは220〜300nmの波長を有する深紫外光18が放射されるように、活性層13は構成される。半導体発光素子10から放射される深紫外光18は、190〜350nm、好ましくは200〜320nm、より好ましくは220〜300nmの波長を有する。
【0071】
活性層13は、AlInGaNからなる窒化物半導体から構成されてもよい。より特定的には、活性層13は、Al
x2In
y2Ga
z2N(x
2、y
2、z
2は、0≦x
2≦1.0、0≦y
2≦0.1、0≦z
2≦1.0を満たす有理数とし、x
2+y
2+z
2=1.0である)から構成される井戸層と、当該井戸層よりもバンドギャップエネルギーが大きいAl
x3In
y3Ga
z3N(x
3、y
3、z
3は、0≦x
3≦1.0、0≦y
3≦0.1、0≦z
3≦1.0を満たす有理数とし、x
3+y
3+z
3=1.0である)から構成される障壁層とを含む多重量子井戸(MQW)構造を有してもよい。n型半導体層12及びp型半導体層14によって活性層13に電子及び正孔を閉じ込めるために、活性層13は、n型半導体層12及びp型半導体層14よりも小さなバンドギャップエネルギーを有することが好ましい。活性層13は、n型半導体層12及びp型半導体層14よりも高い屈折率を有してもよい。
【0072】
活性層13の上に、p型半導体層14が設けられる。p型半導体層は、活性層13側に位置する第1のp型半導体層14aと、活性層13と反対側に位置する第2のp型半導体層14bとから構成されてもよい。
【0073】
第1のp型半導体層14aは、AlInGaNからなる窒化物半導体から構成されてもよい。より特定的には、第1のp型半導体層14aは、Al
x4In
y4Ga
z4N(x
4、y
4、z
4は、0≦x
4≦1.0、0≦y
4≦0.1、0≦z
4≦1.0を満たす有理数とし、x
4+y
4+z
4=1.0である)から構成されてもよい。第1のp型半導体層14aは、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、ベリリウム(Be)のようなp型不純物を含むことが好ましい。第1のp型半導体層14aにおけるp型不純物の濃度は、1.0×10
17cm
-3以上、好ましくは、1.0×10
18cm
-3以上であってもよい。第1のp型半導体層14aは、5〜1000nm、好ましくは10〜500nm以下の膜厚を有してもよい。
【0074】
第1のp型半導体層14aによって活性層13に電子及び正孔を閉じ込めるとともに、活性層13から放射される深紫外光18が第1のp型半導体層14aによって吸収されることを抑制するために、第1のp型半導体層14aは、活性層13から放射される深紫外光18のエネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有してもよい。第1のp型半導体層14aから活性層13により均一に正孔を注入するために、第1のp型半導体層14aは小さなAl組成比を有してもよい。第1のp型半導体層14aは、活性層13よりも低い屈折率を有し、クラッド層として機能してもよい。第1のp型半導体層14aは、単層から構成されてもよいし、Al組成、In組成、もしくはGa組成が互いに異なる複数層から構成されてもよい。Al組成、In組成、もしくはGa組成が互いに異なる複数層は、超格子構造、または、その組成が徐々に変化する傾斜組成構造を有してもよい。
【0075】
第2のp型半導体層14bは、AlInGaNからなる窒化物半導体から構成されてもよい。より特定的には、第2のp型半導体層14bは、Al
x5In
y5Ga
z5N(x
5、y
5、z
5は、0≦x
5≦1.0、0≦y
5≦0.1、0≦z
5≦1.0を満たす有理数とし、x
5+y
5+z
5=1.0である)から構成されてもよい。第2のp型半導体層14bは、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、ベリリウム(Be)のようなp型不純物を含むことが好ましい。第2のp型半導体層14bは、第1のp型半導体層14aよりも高いp型伝導度を有し、p型コンタクト層として機能してもよい。第2のp型半導体層14bにおけるp型不純物の濃度は、1.0×10
17cm
-3以上、好ましくは、1.0×10
18cm
-3以上であってもよい。活性層13から放射される深紫外光18が第2のp型半導体層14bによって吸収されることを抑制するためと、第2のp型半導体層14bにおいて良好なp型コンタクトを得るために、第2のp型半導体層14bは、1〜500nmの膜厚を有してもよい。
【0076】
第1のp型半導体層14aと第2のp型半導体層14bとが窒化物半導体から構成される場合には、窒化物半導体のAl組成が小さくバンドギャップが小さいほど、第2のp型半導体層14bから活性層13により均一に正孔を注入することができ、良好なp型コンタクト特性を得ることができる。そのため、第2のp型半導体層14bは、小さなAl組成比を有してもよい。活性層13から放射される深紫外光18が第2のp型半導体層14bによって吸収されることを抑制するために、第2のp型半導体層14bは、活性層13から放射される深紫外光18のエネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有してもよい。
【0077】
n型電極15は、n型半導体層12の露出面に設けられる。n型半導体層12の露出面は、基板11の上に、n型半導体層12、活性層13、及びp型半導体層14を積層した後、n型半導体層12の一部と、活性層13と、p型半導体層14を部分的に除去することによって、n型半導体層12が露出した面を意味する。p型電極16は、p型半導体層14の表面、より特定的には、p型コンタクト層として機能してもよい第2のp型半導体層14bの表面に設けられる。
【0078】
図2(A)から
図3(C)を参照して、本実施の形態に係る発光モジュール1の製造方法を説明する。本実施の形態に係る発光モジュール1の製造方法の一例は、以下の工程を備えてもよい。
【0079】
半導体発光素子10を準備する(S10)。半導体発光素子10を基台30の上に載置する(S20)。
図3(A)を参照して、ノズル52から液体50を吐出することによって、透明部材40の内部に液体50を充填する(S30)。
図3(B)を参照して、半導体発光素子10が載置された基台30を、液体50が充填された透明部材40の開口部に被せる(S40)。その結果、液体50が充填された透明部材40の内部に半導体発光素子10は挿入されるとともに、基台30は透明部材40に当接される。
図3(C)を参照して、透明部材40と基台30とを接着剤42によって接着する(S50)。
【0080】
半導体発光素子10を準備する工程は、以下の工程を備えてもよい。
ウエハの第1の面の上に、n型半導体層12、活性層13、及びp型半導体層14を含む半導体層を、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)、有機金属気相成長法(MOVPE法)、分子線エピタキシー法(MBE法)、ハイドライド気相成長法(HVPE法)等の方法で、積層する(S12)。ウエハは、後のダイシング工程の後に、基板11となり、ウエハの第1の面は、後のダイシング工程の後に、基板11の第1の面11aとなる。n型半導体層12、活性層13、及びp型半導体層14を含む半導体層の一部を、エッチング等により部分的に除去し、メサ構造を形成する(S13)。このエッチングにより形成されたn型半導体層12の露出面に、真空蒸着法などの方法によって、n型電極15を形成する(S14)。n型半導体層12とn型電極15との間の電気的コンタクトを向上させるため、300℃以上1100℃以下の温度で、30秒以上3分間以下の時間、アニールすることが好ましい。それから、p型半導体層14の上に、真空蒸着法などの方法によって、p型電極16を形成する(S16)。p型半導体層14とp型電極16との間の電気的コンタクトを向上させるため、200℃以上800℃以下の温度で、30秒以上3分間以下の時間、アニールすることが好ましい。それから、ウエハをダイシングして(S18)、個片化された半導体発光素子10が得られる。
【0081】
本実施の形態に係る発光モジュール1の作用及び効果を説明する。
本実施の形態に係る発光モジュール1は、深紫外光18を放射する半導体発光素子10と、半導体発光素子10を封止する液体50と、半導体発光素子10と液体50とを収容するパッケージ(30、40)とを備える。液体50は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18に対して透明である。パッケージ(30、40)は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18に対して透明な透明部材40を有する。
【0082】
透明部材40及び液体50は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18に対して透明であるので、透明部材40及び液体50は、深紫外光18の波長において、低い光吸収率を有する。そのため、半導体発光素子10から放射される深紫外光18をパッケージ(30、40)の外部へ効率よく取り出すことができる。また、透明部材40及び液体50は、深紫外光18の波長において、透明であるとともに低い光吸収率を有するので、透明部材40及び液体50が深紫外光18に長時間さらされても、深紫外光18の波長における透明部材40及び液体50の光透過率が低下することを防ぐことができる。その結果、本実施の形態の発光モジュール1によれば、深紫外光18を放射する半導体発光素子10を備える、信頼性の高い発光モジュールを提供することができる。
【0083】
液体50は流動性を有するので、半導体発光素子10で生じた熱によって、液体50は、パッケージ(30、40)の内部空間を対流する。液体50は、パッケージ(30、40)の内部空間を対流するので、液体50の特定の一部分が、深紫外光18の光密度が高い半導体発光素子10の近傍に存在し続けることがない。そのため、液体50の特定の一部分だけが、半導体発光素子10から放射された高い光密度の深紫外光18に照射され続けて、液体50が劣化すること及び深紫外光18の波長における液体50の光透過率が低下することを防ぐことができる。また、透明部材40と深紫外光18を放射する半導体発光素子10との間に液体50が位置するので、透明部材40における深紫外光18の光密度は、半導体発光素子10の近傍における深紫外光18の光密度よりも十分小さい。そのため、固体である透明部材40が、液体50よりも、深紫外光18に対して高い光吸収率を有していても、深紫外光18が照射されることによって透明部材40が劣化することを十分に抑制することができる。その結果、本実施の形態の発光モジュール1によれば、深紫外光18を放射する半導体発光素子10を備える、信頼性の高い発光モジュールを提供することができる。
【0084】
これに対し、深紫外光18を放射する半導体発光素子10を硬化された樹脂によって封止する比較例では、硬化された樹脂は、液体50と異なり、流動しない。そのため、半導体発光素子10の近傍に位置する硬化された樹脂は、高い光密度の深紫外光18に照射され続け、急速に劣化する。深紫外光18の波長領域において、硬化された樹脂は、液体50よりも、深紫外光18に対して高い光吸収率を有することも、半導体発光素子10の近傍に位置する硬化された樹脂の劣化をさらに促進する。そのため、深紫外光18を放射する半導体発光素子10を硬化された樹脂によって封止する比較例では、信頼性の高い発光モジュールを提供することができない。以上述べたことは、以下の実験例によっても裏付けられる。
【0085】
図4(A)を参照して、実線は、本実施の形態の実験例の発光モジュール1の動作時間に対する光出力の変化率を示す。点線は、液体50を備えない第1の比較例の発光モジュールの動作時間に対する光出力の変化率を示す。第1の比較例では、半導体発光素子は空気で覆われている。一点鎖線は、液体50に代えて、硬化されたフルオロ系シリコーン樹脂FER7061(信越化学工業製)によって、深紫外光18を放射する半導体発光素子10を封止した第2の比較例の発光モジュールの動作時間に対する光出力の変化率を示す。発光モジュールの動作時間に対する光出力の変化率は、ある時間経過後の発光モジュールからの光出力を、動作直後における発光モジュールからの光出力で規格化した値で定義される。本実施の形態の実験例の発光モジュール1では、透明部材40は、合成石英から構成されるとともに、厚さ1.5mmの半球殻の形状を有するキャップである。本実施の形態の実験例の発光モジュール1では、液体50は、1,1’−ビシクロヘキシルである。本実施の形態の実験例の発光モジュール1では、半導体発光素子10は、265nmの発光波長を有するように構成されている。
【0086】
半導体発光素子10が液体50によって封止された本実施の形態の発光モジュール1は、半導体発光素子が空気で覆われた第1の比較例と同様の、動作時間に対する光出力の変化率を有する。そのため、発光モジュール1の動作時間が長くても、液体50は、空気と同様に、劣化せず、透過率も低下しないことが分かる。なお、本実施の形態の発光モジュール1の、動作時間に対する光出力の変化は、半導体発光素子10自体の光出力の変化によるものであると考えられる。
【0087】
これに対し、半導体発光素子10が硬化された樹脂によって封止された第2の比較例の発光モジュールの光出力は、動作時間が長くなるにつれて、本実施の形態の発光モジュール1の光出力よりも大きく低下している。第2の比較例の発光モジュールの光出力がこのように大きく低下した理由は、半導体発光素子10を封止する硬化された樹脂が半導体発光素子10から放射される深紫外光18によって劣化し、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長における硬化された樹脂の透過率が急速に低下したためであると考えられる。本実施の形態の発光モジュール1によれば、深紫外光18を放射する半導体発光素子10を備える、信頼性の高い発光モジュールを提供することができるのに対し、半導体発光素子10が硬化された樹脂によって封止された第2の比較例の発光モジュールでは、信頼性の高い発光モジュールを提供することができない。
【0088】
図4(B)を参照して、実線は、本実施の形態の実験例の発光モジュール1に供給する電流に対する、本実施の形態の発光モジュール1の光出力の変化を示す。点線は、液体50を備えない第1の比較例の発光モジュールに供給する電流に対する、第1の比較例の発光モジュール1の光出力の変化を示す。本実施の形態の発光モジュール1は、第1の比較例の発光モジュール1よりも、2倍より大きな光出力を有する。
【0089】
液体50を備える本実施の形態の発光モジュール1では、半導体発光素子10は液体50によって封止される。一般に、液体50の屈折率は、空気の屈折率よりも大きい。深紫外光18の波長における、液体50の屈折率と、半導体発光素子10の出射面(第2の面11b)の屈折率(基板11の屈折率)との差を、深紫外光18の波長における、空気の屈折率と半導体発光素子10の出射面(第2の面11b)の屈折率(基板11の屈折率)との差よりも小さくできる。そのため、本実施の形態の発光モジュール1によれば、半導体発光素子10の活性層13から放射される深紫外光18が半導体発光素子10の出射面(第2の面11b)で全反射されることを低減し、半導体発光素子10の活性層13から放射される深紫外光18を、半導体発光素子10の出射面(第2の面11b)の外部に効率的に取り出すことができる。その結果、本実施の形態の発光モジュール1によれば、高い光出力を有する発光モジュールを提供することができる。
【0090】
これに対し、半導体発光素子10が空気で覆われた第1の比較例の発光モジュールでは、深紫外光18の波長における、空気の屈折率と、半導体発光素子10の出射面(第2の面11b)の屈折率(基板11の屈折率)との差は大きい。そのため、第1の比較例の発光モジュールでは、半導体発光素子10の活性層13から放射される深紫外光18の多くは、半導体発光素子10の出射面(第2の面11b)で全反射されてしまい、半導体発光素子10の活性層13から放射される深紫外光18を半導体発光素子10の外部に取り出すことが難しい。
【0091】
さらに、深紫外光18の波長領域において、液体50は、深紫外光18の波長に対して比較的高い透過率を有する硬化された樹脂よりも、高い屈折率を有する。そのため、深紫外光18の波長における、液体50の屈折率と、半導体発光素子10の出射面(第2の面11b)の屈折率(基板11の屈折率)との差を、深紫外光18の波長における、硬化された樹脂の屈折率と、半導体発光素子10の出射面(第2の面11b)の屈折率(基板11の屈折率)との差よりも小さくできる。そのため、半導体発光素子10が液体50によって封止された本実施の形態の発光モジュール1によれば、半導体発光素子10が硬化された樹脂によって封止された第2の比較例の発光モジュールよりも、半導体発光素子10の活性層13から放射される深紫外光18が半導体発光素子10の出射面(第2の面11b)で全反射されることを低減し、半導体発光素子10の活性層13から放射される深紫外光18を、半導体発光素子10の出射面(第2の面11b)の外部に効率的に取り出すことができる。その結果、本実施の形態の発光モジュール1によれば、第2の比較例の発光モジュールよりも、高い光出力を有する発光モジュールを提供することができる。
【0092】
本実施の形態の発光モジュール1では、透明部材40は液体50を収容しており、透明部材40は液体50と接している。液体50の屈折率は、一般に、空気の屈折率よりも大きい。深紫外光18の波長における、液体50の屈折率と透明部材40の屈折率との差を、第1の比較例における、深紫外光18の波長における、空気の屈折率と透明部材40の屈折率との差よりも小さくできる。そのため、本実施の形態の発光モジュール1によれば、半導体発光素子10から放射される深紫外光18が透明部材40で反射されることを低減し、半導体発光素子10から放射される深紫外光18を、発光モジュール1の外部に効率的に取り出すことができる。その結果、本実施の形態の発光モジュール1によれば、高い光出力を有する発光モジュールを提供することができる。
【0093】
以上述べたように、本実施の形態の発光モジュール1では、半導体発光素子10から放射される深紫外光18を発光モジュール1の外部に高い効率で取り出すことができる。半導体発光素子10から放射される深紫外光18が発光モジュール1内で熱に変換されることを減少させることができる。そのため、本実施の形態の発光モジュール1によれば、深紫外光18を放射する半導体発光素子10の寿命を延ばすことができるとともに、深紫外光18を放射する半導体発光素子10を備える、信頼性の高い発光モジュールを提供することができる。
【0094】
液体50は流動性を有するので、パッケージ(30、40)の内部空間に液体50を注入するだけで、深紫外光18を放射する半導体発光素子10を封止することができる。そのため、本実施の形態に係る発光モジュール1によれば、信頼性が高くかつ高い光出力を有する発光モジュールを低コストで提供することができる。
【0095】
液体50は流動性を有するので、パッケージ(30、40)の内部空間の形状に応じて、液体50の形状は変化する。そのため、本実施の形態に係る発光モジュール1によれば、様々な内部空間の形状を有するパッケージ(30、40)を備える様々なタイプの発光モジュールが備える半導体発光素子10を、容易かつ安価に封止することができる。
【0096】
本実施の形態に係る発光モジュール1では、液体50は、純水、液体有機化合物、塩溶液、及び微粒子分散液のいずれかから構成されてもよい。そのため、本実施の形態の発光モジュール1によれば、深紫外光18を放射する半導体発光素子10を備える、信頼性が高くかつ高い光出力を有する発光モジュールを提供することができる。
【0097】
本実施の形態に係る発光モジュール1では、液体有機化合物は、飽和炭化水素化合物、芳香環を有しない有機溶媒、有機ハロゲン化物、シリコーン樹脂、シリコーンオイルのいずれかから構成されてもよい。そのため、本実施の形態の発光モジュール1によれば、深紫外光18を放射する半導体発光素子10を備える、信頼性が高くかつ高い光出力を有する発光モジュールを提供することができる。
【0098】
本実施の形態に係る発光モジュール1では、塩溶液は、酸溶液、無機塩溶液、有機塩溶液のいずれかから構成されてもよい。そのため、本実施の形態の発光モジュール1によれば、深紫外光18を放射する半導体発光素子10を備える、信頼性が高くかつ高い光出力を有する発光モジュールを提供することができる。
【0099】
本実施の形態に係る発光モジュール1では、液体50は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長において、1.32以上、好ましくは1.40以上、さらに好ましくは1.45以上の屈折率を有してもよい。そのため、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長における液体50の屈折率を、深紫外光18の波長における半導体発光素子10の出射面(第2の面11b)の屈折率(基板11の屈折率)にさらに近づけることができる。そのため、半導体発光素子10の活性層13から放射される深紫外光18が半導体発光素子10の出射面(第2の面11b)で全反射されることをさらに低減し、半導体発光素子10の活性層13から放射される深紫外光18を、半導体発光素子10の出射面(第2の面11b)の外部により一層効率的に取り出すことができる。その結果、本実施の形態の発光モジュール1によれば、より高い光出力を有する発光モジュールを提供することができる。
【0100】
本実施の形態に係る発光モジュール1では、液体50は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長において、半導体発光素子10の出射面(第2の面11b)よりも小さな屈折率を有し、かつ、透明部材40よりも大きな屈折率を有してもよい。本実施の形態の発光モジュール1によれば、半導体発光素子10の出射面(第2の面11b)と液体50との界面における反射率と、液体50と透明部材40との界面における反射率とを低下させることができる。そのため、本実施の形態の発光モジュール1によれば、半導体発光素子10から放射される深紫外光18をパッケージ(30,40)の外部に効率的に取り出すことができ、より高い光出力を有する発光モジュールを提供することができる。
【0101】
本実施の形態に係る発光モジュール1では、液体50は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長において、100μmの経路長当たり80%以上の透過率を有する材料から構成されてもよい。そのため、本実施の形態の発光モジュール1によれば、深紫外光18を放射する半導体発光素子10を備える、信頼性が高くかつ高い光出力を有する発光モジュールを提供することができる。
【0102】
本実施の形態に係る発光モジュール1では、液体50は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長において、60%以上、好ましくは75%、さらに好ましくは90%以上の透過率を有してもよい。そのため、本実施の形態の発光モジュール1によれば、深紫外光18を放射する半導体発光素子10を備える、信頼性が高くかつ高い光出力を有する発光モジュールを提供することができる。
【0103】
本実施の形態に係る発光モジュール1では、透明部材40は、キャップであってもよい。キャップは、一方に開口を有し、内部に空間を有する殻の形状を有するものであり、板と比べて十分薄い厚さを有する。本実施の形態の発光モジュール1における、キャップである透明部材40の厚さは、第2の比較例の発光モジュールにおける、半導体発光素子10を封止する硬化された樹脂の厚さよりも十分薄い。本実施の形態の発光モジュール1では、キャップである透明部材40における深紫外光18の吸収を、第2の比較例の発光モジュールにおける硬化された樹脂における深紫外光18の吸収よりも小さくすることができる。そのため、本実施の形態の発光モジュール1によれば、パッケージ(30、40)からの深紫外光18の取り出し効率を向上させることができる。
【0104】
これに対し、第2の比較例の発光モジュールにおける、半導体発光素子10を封止する硬化された樹脂の厚さは、本実施の形態の発光モジュール1における、キャップである透明部材40の厚さよりも十分厚い。第2の比較例の発光モジュールの硬化された樹脂における深紫外光18の吸収は、本実施の形態の発光モジュール1のキャップである透明部材40における深紫外光18の吸収よりも大きい。そのため、第2の比較例の発光モジュールからの深紫外光18の取り出し効率を向上させることは難しい。
【0105】
また、キャップである透明部材40の厚さは薄い。そのため、キャップである透明部材40の形状を容易かつ低コストで変化させることができる。さらに、パッケージ(30、40)の内部空間の形状に応じて、液体50の形状は自由に変化する。そのため、本実施の形態に係る発光モジュール1によれば、キャップである透明部材40と液体50とを用いることにより、様々な内部空間の形状を有するパッケージ(30、40)を備える様々なタイプの発光モジュールを容易かつ安価に製造することができる。
【0106】
これに対し、半導体発光素子10が硬化された樹脂によって封止された第2の比較例の発光モジュールでは、半導体発光素子10を封止する硬化された樹脂は、半導体発光素子10に樹脂をポッティングした後、樹脂を硬化させることによって製造される。そのため、硬化された樹脂の外表面の形状を任意の形状に成形することが難しい。また、半導体発光素子10が硬化された樹脂によって封止された第2の比較例の発光モジュールでは、半導体発光素子10を封止する硬化された樹脂は、樹脂を金型に流し込んだうえで硬化させることによって製造されてもよい。しかし、様々な内部空間の形状を有するパッケージ(30、40)を備える様々なタイプの発光モジュールに対応して、様々な形状を有する金型を準備しなければならない。その結果、半導体発光素子10が硬化された樹脂によって封止された第2の比較例の発光モジュールでは、様々な内部空間の形状を有するパッケージを備える様々なタイプの発光モジュールを容易かつ安価に製造することは難しい。
【0107】
本実施の形態に係る発光モジュール1では、透明部材40は、半球殻
の形状を有してもよい。半球殻
の形状を有する透明部材40によって、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の透明部材40への入射角を垂直に近づけることができる。そのため、半導体発光素子10から放射される深紫外光18が透明部材40で反射されることを抑制することができ、パッケージ(30、40)からの深紫外光18の取り出し効率を向上させることができる。
【0108】
これに対し、半導体発光素子10が硬化された樹脂によって封止された第2の比較例の発光モジュールでは、半導体発光素子10に樹脂をポッティングした後、樹脂を硬化させるため、硬化された樹脂の外表面の形状を半球状に成形することが難しい。そのため、半導体発光素子10が硬化された樹脂によって封止された第2の比較例の発光モジュールでは、半導体発光素子10から放射される深紫外光18が硬化された樹脂の外表面で反射されることを効果的に抑制することが困難である。
【0109】
本実施の形態に係る発光モジュール1では、透明部材40は、合成石英、石英ガラス、無アルカリガラス、サファイア、蛍石、及び樹脂のいずれかから構成されてもよい。合成石英、石英ガラス、無アルカリガラス、サファイア、蛍石、及び樹脂は、いずれも、190nm以上350nm以下、好ましくは200nm以上320nm以下、さらに好ましくは220nm以上300nm以下の波長を有する深紫外光18に対して、低い光吸収率と高い光透過率を有する。そのため、本実施の形態の発光モジュール1によれば、深紫外光18を放射する半導体発光素子10を備える、信頼性が高くかつ高い光出力を有する発光モジュールを提供することができる。
【0110】
本実施の形態に係る発光モジュール1では、透明部材40は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長において、100μmの経路長当たり80%以上の透過率を有する材料から構成されてもよい。そのため、本実施の形態の発光モジュール1によれば、深紫外光18を放射する半導体発光素子10を備える、信頼性が高くかつ高い光出力を有する発光モジュールを提供することができる。
【0111】
本実施の形態に係る発光モジュール1では、透明部材40は、半導体発光素子10から放射される深紫外光18の波長において、60%以上、好ましくは75%、さらに好ましくは90%以上の透過率を有してもよい。そのため、本実施の形態の発光モジュール1によれば、深紫外光18を放射する半導体発光素子10を備える、信頼性が高くかつ高い光出力を有する発光モジュールを提供することができる。
【0112】
(実施の形態2)
図5を参照して、実施の形態2に係る発光モジュール1aを説明する。本実施の形態の発光モジュール1aは、基本的には、
図1に示す実施の形態1の発光モジュール1と同様の構成を備え、同様の効果を得ることができるが、主に以下の点で異なる。
【0113】
本実施の形態の発光モジュール1aでは、半導体発光素子10aは、半導体発光素子10aの活性層13から放射される深紫外光18を半導体発光素子10aの外部に取り出す効率を向上させる凹凸構造17を含む。より具体的には、深紫外光18を半導体発光素子10aの外部に取り出す効率を向上させる凹凸構造17は、半導体発光素子10aの出射面(第2の面11b)に含まれてもよい。凹凸構造17は、半導体発光素子10aの出射面(第2の面11b)において、半導体発光素子10aの活性層13から放射される深紫外光18が全反射されることを低減することができる。そのため、半導体発光素子10aに凹凸構造17を設けることによって、半導体発光素子10aの外部に深紫外光18を取り出す効率を向上させることができる。本実施の形態の発光モジュール1aによれば、深紫外光18を放射する半導体発光素子10aを備える、信頼性が高くかつより高い光出力を有する発光モジュールを提供することができる。
【0114】
凹凸構造17は、凹部と凸部とがランダムに配列されてもよい。凹凸構造17は、凹部と凸部とが周期的に配列されてもよい。凹凸構造17は、三角格子、正方格子、または六方格子で配列されてもよい。凹凸構造17は、フィリングファクターが最大となる三角格子で配列されることが好ましい。凹凸構造17の凹部または凸部の形状は、角柱、円柱、円錐、角錐、球または半楕円球の形状を有してもよい。
【0115】
図6(A)を参照して、本実施の形態に係る発光モジュール1aの半導体発光素子10aの製造方法を説明する。本実施の形態に係る発光モジュール1aの半導体発光素子10aの製造方法の一例は、
図2(B)に示される製造方法と基本的に同じであるが、p型電極16を形成した(S16)後に、ウエハの第1の面と反対側の第2の面に凹凸構造17を形成する工程(S17)を含む点が異なる。ウエハの第2の面は、後のダイシング工程の後に、基板11の第2の面11bとなる。
【0116】
図6(B)を参照して、ウエハの第2の面に凹凸構造17を形成する工程(S17)は、以下の工程を備えてもよい。n型半導体層12、活性層13、及びp型半導体層14を含む半導体層が形成された第1の面と反対側のウエハの第2の面の上に、パターニングされたエッチングマスクを形成する(S171)。パターニングされたエッチングマスクを用いて、ウエハの第2の面をエッチングする(S172)。最後に、エッチングマスクを除去する(S173)。
【0117】
パターニングされたエッチングマスクを形成すること(S171)は、電子線描画、フォトリソグラフィ、ナノインプリントなどによって行ってもよい。パターニングされたエッチングマスクを用いて、基板11の第2の面11bをエッチングすること(S172)は、誘導結合プラズマ(ICP)エッチング、もしくは反応性イオンエッチング(RIE)等のドライエッチング、または酸性溶液、もしくはアルカリ性溶液をエッチング液として用いるウェットエッチングなどによって行ってもよい。
【0118】
本実施の形態の発光モジュール1aは、実施の形態1の発光モジュール1が有する作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を
有する。
【0119】
本実施の形態に係る発光モジュール1aでは、半導体発光素子10aは、半導体発光素子10aの活性層13から放射される深紫外光18を半導体発光素子10aの外部に取り出す効率を向上させる凹凸構造17を含んでもよい。凹凸構造17は、半導体発光素子10aの出射面(第2の面11b)において、半導体発光素子10aの活性層13から放射される深紫外光18が全反射されることを低減することができる。そのため、半導体発光素子10aに凹凸構造17を設けることによって、半導体発光素子10aの外部に深紫外光18を取り出す効率を向上させることができる。本実施の形態の発光モジュール1aによれば、深紫外光18を放射する半導体発光素子10aを備える、信頼性が高くかつより高い光出力を有する発光モジュールを提供することができる。
【0120】
本実施の形態に係る発光モジュール1aは、半導体発光素子10aと、半導体発光素子10aを封止する液体50とを備え、半導体発光素子10aは、半導体発光素子10aの活性層13から放射される深紫外光18を半導体発光素子10aの外部に取り出す効率を向上させる凹凸構造17を含んでもよい。液体50は、硬化された樹脂よりも高い流動性を有するため、液体50は、凹凸構造17の凹部に隙間なく充填され得る。一般に、液体50の屈折率は、空気の屈折率よりも大きい。そのため、深紫外光18の波長における液体50の屈折率と、深紫外光18の波長における半導体発光素子10aの凹凸構造17が形成された面の屈折率との差を、小さくできる。本実施の形態の発光モジュール1aによれば、半導体発光素子10aの活性層13から放射される深紫外光18が半導体発光素子10のの出射面(第2の面11b)で全反射されることを凹凸構造17と液体50とによって低減し、半導体発光素子10aの活性層13から放射される深紫外光18を、半導体発光素子10の外部に効率的に取り出すことができる。その結果、本実施の形態の発光モジュール1aによれば、信頼性が高くかつ高い光出力を有する発光モジュールを提供することができる。
【0121】
これに対して、
図7(A)から
図7(C)を参照して、凹凸構造17が形成された半導体発光素子10aを硬化された樹脂で封止すると、硬化された樹脂は凹凸構造17の凹部の一部に空隙が生じる。この空隙は、硬化前の樹脂が凹凸構造17の凹部の一部に入り込まなかったこと、または樹脂を硬化する際に樹脂が熱収縮したことのために生じたと考えられる。凹凸構造17における空隙において、半導体発光素子10aは、低い屈折率を有する空気、ガスまたは真空と接する。そのため、この空隙と接する半導体発光素子10の出射面から半導体発光素子10aの外部に、半導体発光素子10aの活性層13から放射された深紫外光18を高い効率で取り出すことは難しい。その結果、凹凸構造17が形成された半導体発光素子10aを硬化された樹脂で封止すると、この空隙のために、半導体発光素子10aに凹凸構造17を導入しても、深紫外光18を半導体発光素子10aの外部に取り出す効率を限定的にしか向上させることができない。
【0122】
(実施の形態3)
図8を参照して、実施の形態3に係る発光モジュール1bを説明する。本実施の形態の発光モジュール1bは、基本的には、
図5に示す実施の形態2の発光モジュール1aと同様の構成を備え、同様の効果を得ることができるが、主に以下の点で異なる。
【0123】
本実施の形態の発光モジュール1bは、基台60と透明部材40とを含むパッケージ(40、60)を備える。本実施の形態のパッケージ(40、60)は、実施の形態1の基台30に代えて、基台60を含む。基台60に用いられる材料として、金属、樹脂、セラミックを例示することができる。本明細書において、金属からなる基台60を含むパッケージ(40、60)をメタルパッケージと呼び、樹脂からなる基台60を含むパッケージ(40、60)を樹脂パッケージと呼び、セラミックからなる基台60を含むパッケージ(40、60)をセラミックパッケージと呼ぶ。本実施の形態のパッケージ(40、60)は、メタルパッケージ、樹脂パッケージ、セラミックパッケージのいずれかであってもよい。基台60は、高い熱伝導性を有する材料から構成され、ヒートシンクとして機能してもよい。本実施の形態では、基台60の材料として、窒化アルミニウム(AlN)を用いてもよい。
【0124】
基台60は、その周囲に側壁61が設けられている。側壁61の内部には、半導体発光素子10aを収容する凹部62が形成されている。側壁61は、凹部62に面する側面63を有する。基台60の凹部62の底面に、第1の導電パッド65と第2の導電パッド66とが設けられる。基台60は、凹部62と反対側の表面67を有する。基台60の表面67の上に、第3の導電パッド68と第4の導電パッド69とが設けられている。本実施の形態の発光モジュール1bからの深紫外光18の取り出し効率を向上させるために、基台60の凹部62の底面と側面63とに反射膜を設けてもよい。
【0125】
基台60には、第1の貫通孔71と第2の貫通孔72とが設けられている。第1の貫通孔71と第2の貫通孔72とは、凹部62と表面67とを接続する。第1の貫通孔71と第2の貫通孔72とに、導電部材74が設けられている。導電部材74は、凹部62と表面67とを接続する。
【0126】
半導体発光素子10aは、基台60の上に載置されてもよい。導電性を有する接合部材25を用いて、半導体発光素子10aのn型電極15と基台60の第1の導電パッド65とが電気的及び機械的に接続され、半導体発光素子10aのp型電極16と基台60の第2の導電パッド66とが電気的及び機械的に接続される。本実施の形態では、接合部材25、第1の導電パッド65、第2の導電パッド66、導電部材74、第3の導電パッド68、及び第4の導電パッド69を介して、図示されない外部の電源から、半導体発光素子10aに電流が供給され、半導体発光素子10aは深紫外光18を放射する。
【0127】
本実施の形態の発光モジュール1bは、実施の形態2の発光モジュール1aが有する作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を
有する。
【0128】
本実施の形態の発光モジュール1bでは、外部の電源から半導体発光素子10aに電流を供給するための導電ワイヤを用いていないので、ワイヤボンディング工程を省略することができる。そのため、本実施の形態の発光モジュール1bによれば、発光モジュールの生産性を向上させ、生産コストを低下させることができる。
【0129】
液体50は流動性を有するので、パッケージ(40、60)の内部空間の形状に応じて、液体50の形状は変化する。そのため、実施の形態1のパッケージ(30、40)と異なる内部空間の形状を有する本実施の形態のパッケージ(40、60)であっても、液体50によって、半導体発光素子10aを、容易かつ安価に封止することができる。
【0130】
(実施の形態4)
図9を参照して、実施の形態4に係る発光モジュール1cを説明する。本実施の形態の発光モジュール1cは、基本的には、
図8に示す実施の形態3の発光モジュール1bと同様の構成を備え、同様の効果を得ることができるが、主に以下の点で異なる。
【0131】
本実施の形態の発光モジュール1cは、基台60と透明部材40cとを含むパッケージ(40c、60)を備える。透明部材40cは、半楕円球殻、及び砲弾の形状を有する殻のいずれかの形状を有するキャップであってもよい。キャップである透明部材40cによって、半導体発光素子10aから放射された深紫外光18は、屈折され得る。そのため、キャップである透明部材40cが、半楕円球殻、及び砲弾の形状を有する殻のいずれかの形状を有することによって、半導体発光素子10aから放射された深紫外光18の配光特性を多様に変化させることができる。
【0132】
液体50は流動性を有するので、パッケージ(40c、60)の内部空間の形状に応じて、液体50の形状は変化する。そのため、実施の形態3のパッケージ(40、60)と異なる内部空間の形状を有する本実施の形態のパッケージ(40c、60)であっても、液体50によって、半導体発光素子10aを、容易かつ安価に封止することができる。
【0133】
(実施の形態5)
図10を参照して、実施の形態5に係る発光モジュール1dを説明する。本実施の形態の発光モジュール1dは、基本的には、
図5に示す実施の形態2の発光モジュール1aと同様の構成を備え、同様の効果を得ることができるが、主に以下の点で異なる。
【0134】
本実施の形態の発光モジュール1dは、基台30と透明部材40dとキャップ44とを含むパッケージ(40d、44、
30)を備える。本実施の形態では、透明部材40dは、平板である。キャップ44は、透明部材40dを機械的に支持する。キャップ44に用いられる材料として、金属または樹脂を例示することができる。キャップ44は、接着剤42または溶接等によって、基台30に固定されてもよい。
【0135】
透明部材40dは、実施の形態1の透明部材40と同様に、合成石英、石英ガラス、無アルカリガラス、サファイア、蛍石、及び樹脂のいずれかから構成されてもよい。
【0136】
液体50は流動性を有するので、パッケージ(40d、44、30)の内部の空間の形状に応じて、液体50の形状は変化する。そのため、実施の形態1のパッケージ(30、40)と異なる内部空間の形状を有する本実施の形態のパッケージ(40d、44、30)であっても、液体50によって、半導体発光素子10aを、容易かつ安価に封止することができる。
【0137】
(実施の形態6)
図11を参照して、実施の形態6に係る発光モジュール1eを説明する。本実施の形態の発光モジュール1eは、基本的には、
図10に示す実施の形態5の発光モジュール1dと同様の構成を備え、同様の効果を得ることができるが、主に以下の点で異なる。
【0138】
本実施の形態の発光モジュール1eは、基台30と透明部材40eとキャップ44とを含むパッケージ(40e、44、
30)を備える。本実施の形態の発光モジュール1eでは、パッケージ(40e、44、30)は、実施の形態5の透明部材40dに代えて、透明部材40eを含む。透明部材40eは、レンズである。
【0139】
本実施の形態の発光モジュール1eでは、透明部材40eは、レンズである。レンズである透明部材40dによって、半導体発光素子10aから放射された深紫外光18は、屈折され得る。そのため、レンズである透明部材40eによって、半導体発光素子10aから放射された深紫外光18の配光特性を変化させることができる。
【0140】
(実施の形態7)
図12を参照して、実施の形態7に係る発光モジュール1fを説明する。本実施の形態の発光モジュール1fは、基本的には、
図10に示す実施の形態5の発光モジュール1dと同様の構成を備え、同様の効果を得ることができるが、主に以下の点で異なる。
【0141】
本実施の形態の発光モジュール1fは、基台60と透明部材40dとを含むパッケージ(40d、60)を備える。本実施の形態の発光モジュール1fでは、パッケージ(40d、60)は、実施の形態5の基台30に代えて、実施の形態3の基台60を含む。透明部材40dの周縁部は、基台60の側壁61の頂部に載置され、透明部材40dは、基台60の側壁61によって、機械的に支持される。透明部材40dの周縁部は、接着剤42などを用いて、基台60の側壁61の上に固定される。
【0142】
本実施の形態に係る発光モジュール1fの製造方法の一例は、以下の製造方法を備えてもよい。半導体発光素子10aを準備する。半導体発光素子10aを基台60の凹部62の底面上に載置する。ノズルから液体を吐出することによって、基台60の凹部62の内部に液体50を充填する。平板である透明部材40dを、液体50が充填された基台60の凹部62の開口部に被せる。透明部材40dの周縁部は、接着剤42などを用いて、基台60の側壁61の上に固定される。
【0143】
本実施の形態の発光モジュール1fは、実施の形態5の発光モジュール1fが有する作用及び効果に加えて、実施の形態3の基台60の作用及び効果も有する。
【0144】
(実施の形態8)
図13を参照して、実施の形態8に係る発光モジュール1gを説明する。本実施の形態の発光モジュール1gは、基本的には、
図12に示す実施の形態7の発光モジュール1fと同様の構成を備え、同様の効果を得ることができるが、主に以下の点で異なる。
【0145】
本実施の形態の発光モジュール1gは、基台60と透明部材40gとを含むパッケージ(40g、60)を備える。本実施の形態の発光モジュール1gでは、パッケージ(40g、60)は、実施の形態8の透明部材40dに代えて、透明部材40gを含む。透明部材40gは、表面にレンズが形成された透明板である。透明部材40gの周縁部は、基台60の側壁61の頂部に載置され、透明部材40gは、基台60の側壁61によって、機械的に支持される。透明部材40gは、接着剤42などを用いて、基台60の側壁61の上に固定される。
【0146】
本実施の形態の発光モジュール1gでは、透明部材40gは、表面にレンズが形成された透明板である。透明部材40gのレンズによって、半導体発光素子10aから放射された深紫外光18は、屈折され得る。そのため、透明部材40gによって、半導体発光素子10aから放射された深紫外光18の配光特性を変化させることができる。
【0147】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。