【文献】
Antimicrobial Agents Chemotherapy, 2010, Vol.54 No.8, p.3341-3346
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
微生物感染の治療又は予防の方法における使用のための、請求項13の医薬組成物であって、前記方法は、前記感染を、リファンピシン、フシジン酸、ノボビオシン、オキサシリン、アジスロマイシン、アズトレオナム、メロペネム、チゲサイクリン、及びシプロフロキサシン、並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物からなる群から選択される活性剤と組み合わせて治療することを、所望によりさらに含む、前記医薬組成物
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明は、医学的治療における使用のための、特に第2の薬剤との組合せにおける式(I)及び(II)の化合物を提供する。本発明は、式(II)の化合物を提供し、そしてこのような化合物は、式(I)の化合物の小集団である。
【0044】
大まかに言えば、式(I)及び(II)の化合物は、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基及び/又は一つ、二つ又は三つのアミノ基を含有するN末端基を有するポリミキシン化合物である。更に、又は別に、N末端基は、窒素含有ヘテロシクリル(又はヘテロシクリレン)基及び/又は窒素含有ヘテロアルキレン基を有する。N末端基は、アルキル基であることができるか、或いはアリール、シクロアルキル又はヘテロシクリル基であるか、或いはこれらを含むことができる。末端基内のヒドロキシル基又は塩基性アミノ基の存在は、以下で考察されるように特別な利益を伴う。
【0045】
式(I)及び(II)の化合物は、適した抗細菌活性を有し、一方更に、少ない毒性、特に腎毒性を明白に示す。化合物は、一つ又はそれより多いE.coli、P.aeruginosa、K.pneumonia、又はA.baumannii細菌株に対して、ポリミキシンB又はコリスチンと比較して匹敵する又は改善された生物学的活性を有することができる。このような化合物は、当技術において従来記載されているポリミキシン型化合物に対する有用な代替物である。
【0046】
ポリミキシン化合物又はポリミキシン誘導体の幾つかは、当技術において不良な毒性の特性を有することが知られるか、又は疑われている。例えば、N末端に脂肪酸アシル鎖を有する化合物、例えばポリミキシンB及びコリスチンの使用は、腎毒性を伴う。
【0047】
Vaara等(Antimicrob.Agents Chemother.2008,52,3229)は、ポリミキシン化合物の薬理学的及び毒性の特性は、ポリミキシンのポリペプチド配列に対する変化に伴って変更することができることを示唆している。特に、Vaara等は、三つの正電荷のみを有するポリミキシン化合物を調製しているが、一方、ポリミキシンBは、五つの正電荷を保持している。
【0048】
対照的に、本発明人等は、N末端へのポリミキシン化合物の適応が、腎毒性を減少することができることを示している。本明細書中に記載するように、N末端は、ヒドロキシル基又はアミノ基(これは、窒素含有複素環の形態であることができる)を含有する置換基を有する。
【0049】
更に、式(I)及び(II)の化合物は、第2の抗細菌剤、例えばリファンピシンの抗細菌活性を増加することが可能である。このような組合せは、例えば一つ又はそれより多いE.coli、P.aeruginosa、K.pneumonia、又はA.baumannii株に対して、第2の薬剤の、ポリミキシンB又はコリスチンとの組合せと比較して、匹敵する又は改善された生物学的活性を有する。実際に、本発明人等は、式(I)又は(II)の化合物の第2の活性剤、例えば抗細菌剤との組合せが、生物学的活性の予期せぬ増加を提供することを見出している。例えば、式(I)又は(II)の化合物は、一つ又はそれより多いE.coli、P.aeruginosa、K.pneumonia、又はA.baumannii株に対して、ポリミキシンB又はコリスチンと比較して、匹敵する生物学的活性を有することができる。然しながら、このような化合物が第2の活性剤との組合せにおいて使用された場合、組合せは、ポリミキシンB又はコリスチンの同じ活性剤との組合せと比較して、予期しないほど優れた活性を有する。先に記述したように、式(I)及び(II)の化合物は、更に固有の抗細菌活性を保有する。
【0050】
更に、本発明人等は、式(I)及び(II)のそれぞれの化合物が、広い範囲の細菌に対して活性であり、そしてそれぞれの化合物が、例えばE.coli、P.aeruginosa、K.pneumonia、又はA.baumannii株に対する第2の活性剤の活性を増強することが可能であることを見出している。対照的に、当技術において従来記載された化合物及び組合せは、変化する生物学的活性の特性を有し、そして特定のポリミキシン化合物が、第2の薬剤の活性を増強するものである程度を予測することは困難である。特に、多くの既知のポリミキシン誘導体は、第2の活性剤と組合せて使用された場合、ポリミキシンB又はコリスチンの同じ活性剤との組合せより、劣った生物学的活性を有する。
【0051】
例えば、WO2008/017734は、ポリミキシン誘導体のリファンピシン、クラリスロマイシン及び他の抗生物質との組合せを記載している。NAB7061及びNAB739のリファンピシンとの組合せは、P.aeruginosaに対して、ポリミキシンBノナペプチドのリファンピシンとの組合せと比較して、不良な活性を有するように見える。A.baumaniiに対して、NAB739のリファンピシンとの組合せは、ポリミキシンBノナペプチドのリファンピシンとの組合せより大きい活性を有する。然しながら、NAB7061のリファンピシンとの組合せは、劣った活性を有する。NAB7061及びNAB739のリファンピシンとの組合せは、更にE.coliに対して、ポリミキシンBノナペプチドの組合せと比較して、優れた活性を有するように見える。然しながら、この改善された活性は、予測できず、そして改善された活性は、一般的に試験された誘導体及びスクリーニングされた各種の微生物間で一貫していない。
【0052】
本発明の組合せは、更に第2の薬剤のポリミキシンB又はコリスチンとの組合せと比較して、例えばHK−2細胞に対して測定されるように、少ない毒性を明白に示す。特に化合物は、低い腎毒性を有する。
【0053】
活性剤
式(I)及び(II)の化合物は、それぞれ、第2の薬剤と一緒に使用することができる。本発明人等は、このような組合せが、両方の化合物の個々の活性から予測されるものであるより大きい生物学的活性を有することを見出している。式(I)及び(II)の化合物は、第2の薬剤の活性を増強するために使用することができる。特に、式(I)及び(II)の化合物は、第2の薬剤と一緒に、その薬剤の、例えばグラム陰性細菌に対する抗細菌活性を向上するために使用することができる。
【0054】
理論に束縛されることを望むものではないが、式(I)及び(II)の化合物が、細胞、例えばグラム陰性細菌の細胞の外部表面に作用して、第2の薬剤のその細胞への取込みを容易にすると信じられる。従って、外部膜を通過することが他の方法では不可能な又は不良な薬剤は、式(I)及び(II)の化合物の作用によって標的細胞に取込まれることができる。
【0055】
一つの態様において、式(I)又は(II)の化合物の第2の薬剤との組合せは、グラム陰性細菌に対して活性である。ここで、式(I)又は(II)の化合物、或いは第2の薬剤のいずれかが、個々にグラム陰性細菌に対する活性を有することは必須ではない。
【0056】
一つの態様において、第2の薬剤は、特定の微生物、例えば細菌に対する、10より少ない、5より少ない、又は1マイクログラム/mLより少ない測定されたMICを有する薬剤である。微生物は、グラム陰性細菌、例えば、E.coli、S.enterica、K.pneumoniae、K.oxytoca;E.cloacae、E.aerogenes、E.agglomerans、A.calcoaceticus、A.baumannii;Pseudomonas aeruginosa、Stenotrophomonas maltophila、Providencia stuartii、P. mirabilis、及びP.vulgarisからなる群から選択されるグラム陰性細菌であることができる。
【0057】
グラム陰性細菌に対する活性を有する第2の薬剤の例は、ベータ−ラクタム、テトラサイクリン、アミノグリコシド及びキノロンを含む。
【0058】
一つの態様において、第2の薬剤は、特定の微生物、例えばグラム陰性細菌に対する、4より多い、8より多い、16より多い、又は32マイクログラム/mLより多い測定されたMIC値を有する薬剤である。この態様において、第2の薬剤は、グラム陽性細菌に対して活性であることができる。例えば、第2の薬剤は、特定の微生物、例えばグラム陽性細菌に対する、10より少ない、5より少ない、又は1マイクログラム/mLより少ない測定されたMIC値を有する薬剤である。ここで、式(I)又は(II)の化合物は、第2の薬剤のグラム陰性細菌の細胞への取込みを容易にするために作用する。従って、第2の薬剤は、グラム陰性細菌の細胞内の標的に作用することが可能であり、この標的は、グラム陽性細菌の細胞内の第2の薬剤の標的と同じであることができる。
【0059】
グラム陽性細菌は、Staphylococcus及びStreptococcus bacteria、例えばS.aureus(MRSAを含む)、S.epidermis、E.faecalis、及びE.faeciumからなる群から選択することができる。
【0060】
グラム陽性細菌に対して活性を有し(例えば、上記で与えたMIC値で)、そしてグラム陰性細菌に対して中程度の活性を有する第2の薬剤の例は、リファンピシン、ノボビオシン、マクロライド、プレウロムチリンを含む。一つの態様において、グラム陰性細菌に対して中程度の活性を有する化合物は、32より小さい、64より小さい、又は128マイクログラム/mLより小さいグラム陰性細菌に対する測定されたMIC値を有することができる。
【0061】
更に使用するために適したものは、グラム陽性細菌に対する活性を有し、そしてグラム陰性細菌に対して本質的に不活性である薬剤である。例は、フシジン酸、オキサゾリジノン(oxazolidinine)(例えばリネゾリド)、グリコペプチド(例えばバンコマイシン)、ダプトマイシン及びランチビオティクスを含む。一つの態様において、グラム陰性細菌に対して本質的に活性を持たない化合物は、グラム陰性細菌に対する32より多い、64より多い、128より多い、256マイクログラム/mLより多いグラム陰性細菌に対する測定されたMIC値を有することができる。
【0062】
特定の薬剤に対するMIC値は、本出願中に例示される技術を使用して決定することができる。
【0063】
通常の状況下で、このような薬剤は、グラム陰性細菌細胞の外部膜を通過する比較的不良なその能力のために、グラム陰性細菌に対する使用に対して必ずしも適していない。上記で説明したように、式(I)又は(II)の化合物と一緒に使用する場合、このような薬剤は使用のために適している。
【0064】
一つの態様において、活性剤は、リファンピシン(リファンピン)、リファブチン、リファラジル、リファペンチン、リファキシミン、アズトレオナム、オキサシリン、ノボビオシン、フシジン酸、アジスロマイシン、シプロフロキサシン、メロペネム、チゲサイクリン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン及びムピロシン、並びに医薬的に受容可能なこれらの塩、溶媒和物及びプロドラッグの形態からなる群から選択される。
【0065】
一つの態様において、活性剤は、リファンピシン、フシジン酸、ノボビオシン、オキサシリン、アジスロマイシン、アズトレオナム、メロペネム、チゲサイクリン、シプロフロキサシン、及びバンコマイシンからなる群から選択される。
【0066】
一つの態様において、活性剤は、リファンピシン、フシジン酸、ノボビオシン、オキサシリン、アジスロマイシン、アズトレオナム、メロペネム、チゲサイクリン、及びシプロフロキサシンからなる群から選択される。
【0067】
一つの態様において、第2の薬剤は、薬剤の以下の群:
リファンピシンファミリー、リファンピシン、リファブチン、リファラジル、リファペンチン、及びリファキシミンを含む;
オキサシリンファミリー、オキサシリン、メチシリン、アンピシリン、クロキサシリン、カルベニシリン、ピペラシリン、チカルシリン(tricarcillin)、フルクロキサシリン、及びナフシリンを含む;
アジスロマイシンファミリー、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、テリスロマイシン、セスロマイシン、及びソリスロマイシンを含む;
アズテオナムファミリー、アズトレオナム及びBAL30072を含む;
メロペネムファミリー、メロペネム、ドリペネム、イミペネム、エルタペネム、ビアペネム、トモペネム、及びパニペネムを含む;
チゲサイクリンファミリー、チゲサイクリン、オマダサイクリン、エラバサイクリン、ドキシサイクリン、及びミノサイクリンを含む;
シプロフロキサシンファミリー、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、及びデラフロキサシンを含む;
フシジン酸;
ノボビオシン;
バンコマイシンファミリー、バンコマイシン、テイコプラニン、テラバンシン、ダルババンシン、オリタバンシンを含む、例えば、テイコプラニン、テラバンシン、ダルババンシン、及びオリタバンシンを含む;
並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物;
から選択される。
【0068】
上記の第2の薬剤に加えて、又は代替物として、第2の薬剤は、薬剤の以下の群:
クロラムフェニコール;
クリンダマイシン;
オキサゾリジノンファミリー、リナゾリド、トレゾリド、及びラデゾリドを含む;
アミノグリコシドファミリー、アミカシン、アルベカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、アプラマイシン、エチマイシン(etimycin)、及びプラゾマイシンを含む;
ダプトマイシン;
シナシッド;
プレウロムチリンファミリー、レタパムリン、及びBC−3781を含む;
ランチビオティックファミリー、ナイシン、メルサシジン(mersacidin)、アクタガルジン(actagardine)、デオキシアクタガルジンB、NVB302、NVB333、Mu1140、及びミクロビスポリシン(microbisporicin)を含む;
セファロスポリンファミリー、セフタロリン、セフトビプロール、セフトリアキソン、セフトロザン(ceftolozone)、セフェピム、セフロキシム、セフポドキシム、セフジニル、セフィキシム、セフォタキシム、及びセフタジジムを含む;
スルバクタム;及び
スロペネム、
並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物;
から選択することができる。
【0069】
本発明人等は、式(I)及び(II)のポリミキシン化合物が、リファマイシンファミリーのある種の化合物と一緒に、微生物感染を治療するために使用することができることを見出している。リファマイシンファミリーは、単離菌のリファマイシンA、B、C、D、E、S及びSV、並びにこれらの化合物の合成的に誘導体化された変種、例えばリファンピシン(リファンピン)、リファブチン、リファラジル、リファペンチン、及びリファキシミン、並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物を含む。一つの態様において、活性剤は、リファンピシン(リファンピン)並びに医薬的に受容可能なこれらの塩、溶媒和物及びプロドラッグの形態である。
【0070】
本発明人等は、式(I)及び(II)のポリミキシン化合物が、メロペネムファミリーのある種の化合物と一緒に、微生物感染を治療するために使用することができることを見出している。一つの態様において、メロペネムファミリーは、メロペネム、ドリペネム、イミペネム、エルタペネム、ビアペネム、トモペネム、及びパニペネム、並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物を含む。
【0071】
式(II)の化合物は、更に上記の第2の薬剤と一緒に使用することもできる。式(II)の化合物は、更に他の第2の薬剤、例えばバンコマイシン、ホスホマイシン、リファマイシン、ベータ−ラクタム(例えばセファロスポリン又はカルバペネム)、アミノグリコシド、マクロライド、テトラサイクリン、リポペプチド、及び/又はオキサゾリジノンと一緒に使用することができる。一つの態様において、式(II)の化合物は、更にバンコマイシン又はホスホマイシンと一緒に使用することができる。
【0072】
別の方法として、第2の薬剤は、バンコマイシン、ホスホマイシン、リファマイシン、ベータ−ラクタム(例えばセファロスポリン又はカルバペネム)、アミノグリコシド、マクロライド、テトラサイクリン、リポペプチド、オキサゾリジノン及び/又は抗炎症剤、例えばステロイドではない。
【0073】
第2の薬剤は、更なる薬剤、例えばin vivoの第2の薬剤の分解を制約又は防止する薬剤と一緒に使用することができる。例えば、第2の薬剤がβ−ラクタム官能性を有する場合、β−ラクタマーゼの作用を阻害するために、酵素阻害剤を第2の薬剤と共に使用することができる。もう一つの例において、β−ラクタム抗生物質、例えばイミペネムを、デヒドロペプチダーゼ阻害剤、例えばシラスタチンと一緒に、腎臓によるβ−ラクタム抗生物質の分解を防止するために使用することができる。
【0074】
第2の薬剤は、所望により、抗炎症剤、例えばステロイドと一緒に使用することができる。
【0075】
式(I)及び(II)のポリミキシン化合物
式(I)及び(II)の本発明の化合物は、化合物の一連のポリミキシンのN末端誘導体である。本発明の化合物の核は、ポリミキシン化合物の脱アシルされた変種又はポリミキシン化合物のノナペプチド変種、例えば脱アシル化ポリミキシンBノナペプチド(PMBN)又は脱アシル化コリスチンである。
【0078】
[式中:
−X−は、−C(O)−、−NHC(O)−、−OC(O)−、−CH
2−又は−SO
2−であり;
−R
1は、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファ位にある窒素と一緒に、フェニルアラニン、ロイシン又はバリン残基であり;
−R
2は、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファ位にある窒素と一緒に、ロイシン、イソ−ロイシン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン又はノル−バリン残基であり;
−R
3は、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファ位である窒素と一緒に、トレオニン又はロイシン残基であり;
−R
4は、一つのヒドロキシル基又は一つのアミノ基で置換されたC
1−6アルキルであり;
−A−は、共有結合又はアミノ酸、例えばα−アミノ酸であり;
−R
5は、G−L
2−L
1であり;
−Gは:
C
3−10シクロアルキル、
C
2−12アルキル、
C
5−12アリール、
から選択され;
−L
1−は、共有結合、C
1−12アルキレン又はC
2−12ヘテロアルキレンであり、
−L
2−は、共有結合又はC
4−10ヘテロシクリレンであり、
但し、−GがC
2−12アルキルである場合、−L
1−はC
1−12アルキレンではないことを条件とし、
そしてG−L
2−L
1−は:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
で置換され、
但し、−L
1−が窒素含有C
2−12ヘテロアルキレンであるか、及び/又は−L
2−が窒素含有C
4−10ヘテロシクリレンである場合、(i)、(ii)及び(iii)は、所望による置換基であることを条件とし、
或いは−R
5は、D−L
1−であり、ここで、−Dは、C
4−10ヘテロシクリルであり、そして−L
1−は、先に定義されたとおりであり、そしてD−L
1−は:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
で置換され、
但し、−L
1−が窒素含有C
2−12ヘテロアルキレンであるか、及び/又は−Dが窒素含有C
4−10ヘテロシクリルである場合、(i)、(ii)及び(iii)は、所望による置換基であることを条件とし、
それぞれのR
6は、独立に水素又はC
1−4アルキルであり;
それぞれのR
7は、独立に水素又はC
1−4アルキルであり;
又は−NR
6R
7は、グアニジン基であるか;或いは
−GがC
3−10シクロアルキル又はC
5−12アリールである場合、R
6及びR
7は窒素原子と一緒にC
4−10複素環を形成し;そして
そしてアリール基が−R
5中に存在する場合、これは、−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキル、ハロ、−CN、−NO
2、−CF
3、所望により−C(O)R
10、−NR
10C(O)R
10、−OCF
3、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、−SR
9、−NR
10SO
2R
10、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10から選択される一つ又はそれより多い置換基で独立に所望により置換され、ここで、それぞれの−R
9は、独立に−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、そしてそれぞれの−R
10は、独立に−H又は−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり;
そして所望により、アルキル、シクロアルキル、又はヘテロシクリル基が−R
5中に存在する場合、これは、−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキル、ハロ、−CN、−NO
2、−CF
3、−C(O)R
10、−NR
10C(O)R
10、−OCF
3、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、−SR
9、−NR
10SO
2R
10、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10から選択される一つ又はそれより多い置換基で、アルキルがアルキルで置換されないことを除き、独立に所望により置換され、ここで、それぞれの−R
9は、独立に−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、そしてそれぞれの−R
10は、独立に−H又は−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり;
−R
8は、水素又はメチルである;]
のように表される。
【0079】
本明細書中に記載するように、一つの態様において、式(I)の化合物は、脱アシル化されたポリミキシン化合物を包含せず、そしてKatsuma等(Chem.Pharm.Bull.2009,57,332)によって記載されているポリミキシン誘導体を包含しない。
【0080】
式(II)の化合物は、式(IIa)、(IIb)、(IIc)及び(IId)の化合物、所望により、式(IIe)、(IIf)及び(IIg)の化合物を同時に含む化合物である。一つの態様において、式(II)の化合物は、式(IIa)の化合物である。
【0081】
式(IIa)の化合物は、−R
5がG−L
2−L
1−であり、そして−GがC
5−12アリールである化合物であり、
−L
1−は、共有結合、C
1−12アルキレン又はC
2−12ヘテロアルキレンであり、
−L
2−は、共有結合又はC
4−10ヘテロシクリレンであり、
−R
5は、
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
で置換され、
但し、−L
1−が窒素含有C
2−12ヘテロアルキレンであるか、及び/又は−L
2−が窒素含有C
4−10ヘテロシクリレンである場合、(i)、(ii)及び(iii)は、所望による置換基であることを条件とし、
そしてアリール基は、−C
1−4アルキル、ハロ、−CN、−NO
2、−CF
3、−NR
10C(O)R
10、−OCF
3、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、−SR
9、−NR
10SO
2R
10、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10から選択される一つ又はそれより多い置換基で、独立に所望により置換され、ここで、それぞれのR
9は、独立に−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、そしてそれぞれの−R
10は、独立に−H又は−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり;
そしてR
1、R
2、R
3、R
4、R
6、R
7、R
8は、上記の式(I)の化合物と同じ意味を有する。更に−A−及び−X−は、上記の式(I)の化合物と同じ意味を有する。所望により、一緒の−R
5−X−は、例えば−A−が共有結合である場合、Phe、His、Trp又はTyr、例えばL−Phe、L−His、L−Trp及びL−Tyrではない。所望により、一緒の−R
5−X−は、例えば−A−が共有結合である場合、Phe、及びTrp、例えばL−Phe及びL−Trpではない。
【0082】
式(IIb)の化合物は、−R
5がG−L
2−L
1−であり、そして−GがC
3−10シクロアルキルである化合物であり、
−L
1−は、共有結合、C
1−12アルキレン又はC
2−10ヘテロアルキレンであり、
−L
2−は、共有結合又はC
4−12ヘテロシクリレンであり、
但し、−L
1−がC
2−10ヘテロアルキレンである場合にのみ、−L
2−が共有結合であることを条件とし、
−R
5は、
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
で置換され、
但し、−L
1−が窒素含有C
2−12ヘテロアルキレンであるか、及び/又は−L
2−が窒素含有C
4−10ヘテロシクリレンである場合、(i)、(ii)及び(iii)は、所望による置換基であることを条件とし、
そして所望により、シクロアルキル基は、−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキル、ハロ、−CN、−NO
2、−CF
3、−C(O)R
10、−NR
10C(O)R
10、−OCF
3、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、−SR
9、−NR
10SO
2R
10、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10から選択される一つ又はそれより多い置換基で、アルキルがアルキルで置換されないことを除き、独立に所望により置換され、ここで、それぞれのR
9は、独立に−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、そしてそれぞれの−R
10は、独立に−H又は−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、
そしてR
1、R
2、R
3、R
4、R
6、R
7、R
8は、上記の式(I)の化合物と同じ意味を有する。更に−A−及び−X−は、上記の式(I)の化合物と同じ意味を有する。
【0083】
式(IIc)の化合物は、−R
5がG−L
2−L
1−であり、−GがC
3−10シクロアルキル又はC
2−12アルキルである化合物であり、
−L
1−は、共有結合又はC
1−12アルキレンであり、
−L
2−は、共有結合であり、
但し、GがC
2−10アルキルである場合、−L
1−はC
1−12アルキレンではないことを条件とし、
−R
5は、
(i)二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は
(ii)二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
で置換され;
そして所望により、アルキル又はシクロアルキル基は、−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキル、ハロ、−CN、−NO
2、−CF
3、−C(O)R
10、−NR
10C(O)R
10、−OCF
3、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、−SR
9、−NR
10SO
2R
10、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10から選択される一つ又はそれより多い置換基で、アルキルがアルキルで置換されないことを除き、独立に所望により置換され、ここで、それぞれのR
9は、独立に−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、そしてそれぞれの−R
10は、独立に−H又は−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、
そしてR
1、R
2、R
3、R
4、R
6、R
7、R
8は、上記の式(I)の化合物と同じ意味を有する。更に−A−及び−X−は、上記の式(I)の化合物と同じ意味を有する。所望により、一緒の−R
5−X−は、例えば−A−が共有結合である場合、Lys、Dap、Arg、Dab、及びDrg、例えばL−Lys、L−Dap、L−Arg、L−Dab、及びL−Drgではない。
【0084】
式(IId)の化合物は、−R
5がD−L
1−であり、ここで、D−L
1−は:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
で置換され;
−L
1−は、共有結合、C
1−12アルキレン又はC
2−12ヘテロアルキレンであり、
但し、−L
1−が窒素含有C
2−12ヘテロアルキレンである場合、(i)、(ii)及び(iii)は、所望による置換基であることを条件とし、
そして所望により、ヘテロシクリル基は、−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキル、ハロ、−CN、−NO
2、−CF
3、−C(O)R
10、−NR
10C(O)R
10、−OCF
3、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、−SR
9、−NR
10SO
2R
10、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10から選択される一つ又はそれより多い置換基で、アルキルがアルキルで置換されないことを除き、独立に所望により置換され、ここで、それぞれのR
9は、独立に−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、そしてそれぞれの−R
10は、独立に−H又は−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、
そしてR
1、R
2、R
3、R
4、R
6、R
7、R
8は、上記の式(I)の化合物と同じ意味を有する。更に−A−、−D、及び−X−は、上記の式(I)の化合物と同じ意味を有する。
【0085】
式(IIe)の化合物は、−A−がアミノ酸、例えばα−アミノ酸である化合物であり、そしてR
1、R
2、R
3、R
4、R
6、R
7、R
8、及びXは、上記の式(I)の化合物と同じ意味を有する。Katsuma等(Chem.Pharm.Bull.2009,57,332)によって記載された化合物が、ポリミキシンBデカペプチドであることが注目される。然しながら、これらの化合物は、式(IIe)の化合物中に存在するN末端の修飾を持たない。
【0086】
式(IIf)の化合物は、−A−が共有結合である化合物であり、そしてR
1、R
2、R
3、R
4、R
6、R
7、R
8、及びXは、上記の式(I)の化合物と同じ意味を有し、但し、一緒の−X−及び−R
5は、L−α−アミノ酸残基ではないことを条件とする。一つの態様において、一緒の−X−及び−R
5は、L−Lys、L−Arg、L−Dap(L−α,β−ジアミノプロピオン酸)、L−Ser、L−Dab(L−α,γ−ジアミノ酪酸)、L−Dgp(L−α,β−ジグアニジノプロパノイル)又はL−Abuではない。一つの態様において、一緒の−X−及び−R
5がα−アミノ酸である場合、このα−アミノ酸は、D−α−アミノ酸残基である。
【0087】
Katsuma等(Chem.Pharm.Bull.2009,57,332)によって記載された化合物が、脱脂肪ポリミキシンBデカペプチドであることが注目される。デカペプチド中の1位のアミノ酸は、L−α−アミノ酸、例えばL−Lys、L−Arg、L−Dap(L−α,β−ジアミノプロピオン酸)、又はL−Serである。式(IIf)の化合物は、このようなアミノ酸がX−及び−R
5の定義から排除されているため(−A−が共有結合である場合)、Katsumu等の化合物を包含していない。
【0088】
Sato等(Peptide Science 2007,307)によって記載されている化合物は、脱脂肪ポリミキシンBデカペプチドである。デカペプチド中の1位のアミノ酸は、L−α−アミノ酸、例えばL−Dab、L−Dap、L−Dgp及びL−Serである。式(IIf)の化合物は、このようなアミノ酸がX−及び−R
5の定義から排除されているため(−A−が共有結合である場合)、Sato等の化合物を包含していない。
【0089】
WO2009/098357は、対照化合物NAB705を記載し、これは、N末端にL−Abu残基を有するポリミキシンBノナペプチドを含んでなるデカペプチドである。式(IIf)の化合物は、このアミノ酸がX−及び−R
5の定義から排除されているため(−A−が共有結合である場合)、WO2009/098357の化合物を包含していない。NAB705は、更にWO2008/017734中にも記載されている。
【0090】
Katsuma等及びSato等の化合物は、活性成分との組合せにおける使用について記載されていない。
【0091】
式(IIg)の化合物は、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファにある窒素と一緒の−R
4が、Dab、例えば(S)−Dabではない化合物である。従って、−R
4は、これが接続している炭素に対して(S)−配置の−CH
2CH
2NH
2−ではない。この態様において、−A−、R
1、R
2、R
3、R
5、R
6、R
7、R
8、及び−X−は、上記の式(I)の化合物と同じ意味を有する。
【0092】
一つの態様において、−R
4は、一つのヒドロキシル基又は一つのアミノ基で置換されたC
1アルキル或いはC
3−6アルキルである。
【0093】
一つの態様において、−R
4は、一つのヒドロキシル基又は一つのアミノ基で置換されたC
1アルキルである。
【0094】
一つの態様において、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファにある窒素と一緒の−R
4は、Dap(α,β−ジアミノプロピオン酸)、例えば(S)−Dapである。
【0095】
式(IIg)の化合物は、3位のアミノ酸残基をポリミキシンBと共有しない化合物である。Katsuma等及びSato等の作業は、例えば、(S)−Dab残基を3位に保有するポリミキシンB及びコリスチン化合物の記載に限定されている。
【0096】
WO2012/168820は、3位のアミノ酸が、ポリミキシンBと比較して変更された側鎖を有するポリミキシン化合物を記載している。WO2012/168820は、本事例において記載されているN末端基(即ち−X−R
5基)を有する化合物を記載していない。
【0097】
Aが共有結合であり、R
1(関連する基と一緒の)がD−フェニルアラニンであり、R
2(関連する基と一緒の)がL−ロイシンであり、R
3(関連する基と一緒の)がL−トレオニンであり、R
4(関連する基と一緒の)がL−α,γ−ジアミノ酪酸であり;そしてR
8がメチルである(そして関連する基と一緒にL−トレオニンである)場合、化合物は、ポリミキシンB(ポリミキシンBノナペプチド)のアミノ酸2−10を有するポリミキシンノナペプチド誘導体である。更に、AがL−α,γ−ジアミノ酪酸である場合、化合物は、ポリミキシンBのアミノ酸1−10を有するポリミキシン誘導体である。
【0098】
同様に、Aが共有結合であり、R
1(関連する基と一緒の)がD−ロイシンであり、R
2(関連する基と一緒の)がL−ロイシンであり、R
3(関連する基と一緒の)がL−トレオニンであり、R
4(関連する基と一緒の)がL−α,γ−ジアミノ酪酸であり;そしてR
8(関連する基と一緒の)がメチルである(そして関連する基と一緒にL−トレオニンである)場合、化合物は、ポリミキシンE(コリスチンノナペプチド)のアミノ酸2−10を有するポリミキシンノナペプチドである。更に、AがL−α,γ−ジアミノ酪酸である場合、化合物は、ポリミキシンE(コリスチン)のアミノ酸1−10を有するポリミキシン誘導体である。
【0099】
ポリミキシンB
ポリミキシンBノナペプチドは、以下に示す構造:
【0101】
を有し、ここで、2、4及び10位が示され(ポリミキシンBデカペプチドに対して使用される番号付け系を参照して)、そしてアミノ酸残基は、他に示さない限りL−配置である。
【0102】
本発明の化合物は、ポリミキシンBノナペプチドの誘導体であり、ここで、(i)N末端アミノ基、−NH
2は、本明細書中に記載されるように−NH−A−X−R
5又は−NH−X−R
15基で置換され、そして所望により(ii)2、3、6、7及び10位のアミノ酸残基は、もう一つのアミノ酸残基で置換されている。
【0103】
便宜上、本発明の化合物は、式(I)又は(II)によって表され、ここで、2、3、6、7又は10位のアミノ酸は、それぞれR
8、R
4、R
1、R
2及びR
3基の特質によって決定される。先に記載した変種を含む本発明の化合物は、生物学的に活性である。
【0104】
化合物の変種は、一つ又はそれより多い、例えば1から5個まで、例えば1、2、3又は4個のアミノ酸が、もう一つのアミノ酸によって置換された化合物である。アミノ酸は、2、3、6、7又は10位(ポリミキシンBにおいて使用される残基の番号付けを参照して)から選択される位置であることができる。置換は、もう一つのアミノ酸又は立体異性体に対するものであることができる。
【0105】
−R
1
−R
1の位置は、ポリミキシン化合物のアミノ酸の6位に対応する。一つの態様において、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファの窒素と一緒の−R
1は、フェニルアラニン残基、例えばD−フェニルアラニン、又はロイシン残基、例えばD−ロイシン残基である。
【0106】
−R
2
−R
2の位置は、ポリミキシン化合物のアミノ酸の7位に対応する。一つの態様において、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファの窒素と一緒の−R
2は、ロイシン又はトレオニン残基、例えばL−ロイシン又はL−トレオニンである。
【0107】
−R
3
−R
3の位置は、ポリミキシン化合物の10位のアミノ酸に対応する。一つの態様において、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファの窒素と一緒の−R
3は、トレオニン残基、例えばL−トレオニンである。
【0108】
−R
4
−R
4の位置は、ポリミキシン化合物のアミノ酸側鎖の3位に対応する。
【0109】
カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファの窒素と一緒の−R
4は、アミノ−又はヒドロキシル−を含有する側鎖を有するアミノ酸残基である。
【0110】
一つの態様において、−R
4は、一つのアミノ又は一つのヒドロキシル置換基を有するC
1−4アルキルである。
【0111】
一つの態様において、−R
4は、一つのアミノ置換基を有する
一つの態様において、−R
4は、一つのヒドロキシル置換基を有する
アミノ基は、−NH
2、−NHMe又は−NHEtであることができる。一つの態様において、アミノ基は、−NH
2である。
【0112】
一つの態様において、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファにある窒素と一緒の−R
4は、α,γ−ジアミノ酪酸(Dab)、セリン残基、トレオニン残基、リシン残基、オルニチン残基、又はα,β−ジアミノプロピオン酸(Dap)である。
【0113】
一つの態様において、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファにある窒素と一緒の−R
4は、α,γ−ジアミノ酪酸(Dab)、セリン残基、リシン残基、又はα,β−ジアミノプロピオン酸(Dap)である。
【0114】
一つの態様において、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファにある窒素と一緒の−R
4は、α,γ−ジアミノ酪酸(Dab)又はα,β−ジアミノプロピオン酸(Dap)、例えばL−Dab又はL−Dapである。
【0115】
一つの態様において、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファにある窒素と一緒の−R
4は、α,γ−ジアミノ酪酸(Dab)又はα,β−ジアミノプロピオン酸(Dap)、例えばL−Dab又はL−Dapである。
【0116】
一つの態様において、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファにある窒素と一緒の−R
4は、リシン残基、例えばL−Lysである。
【0117】
一つの態様において、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファにある窒素と一緒の−R
4は、Dab、例えばL−Dabである。
【0118】
−R
4がDab側鎖である本発明の化合物は、ポリミキシンBのような化合物から得ることが可能である。−R
4がDap側鎖である化合物は、WO2012/168820に記載されている方法を使用して調製することができる。−R
4がセリン側鎖である化合物は、Vaara et al.(例えば、Antimicrob.Agents Chemother.2008,52,3229を参照されたい)によって記載された方法を使用して調製することができる。
【0119】
−R
8
−R
8基を含むアミノ酸残基は、ポリミキシンの2位に対応する。
【0120】
一つの態様において、−R
8はメチルである。従って得られるアミノ酸は、Thrである。
【0121】
一つの態様において、−R
8はHである。従って得られるアミノ酸は、Serである。
【0122】
−X−
−X−基は、−C(O)−、−NHC(O)−、−OC(O)−、−CH
2−及び−SO
2−から選択することができる。
【0123】
一つの態様において、−X−は、−C(O)−、−SO
2−及び−CH
2−から選択される。
【0124】
一つの態様において、−X−は、−C(O)−である。
【0125】
一つの態様において、−X−は、−SO
2−である。
【0126】
一つの態様において、−X−は、−CH
2−である。
【0127】
−X−基の右手側は、アミノ酸のアミノ末端の2位におけるNH、又は存在する場合−A−への接続に点である。−X−基の左手側は、−R
5への接続の点である。
【0128】
−A−
一つの態様において、−A−は、共有結合である。このような化合物は、ノナペプチドと呼ばれ、そして例えば、ポリミキシンB、E及びMのナノペプチドの形態に基づく(例えば、ポリミキシンBに関して先に示した構造を有するとして)。ポリミキシンB及びEのノナペプチドの形態は、当技術において公知である。−A−が共有結合である本発明の化合物は、ノナペプチドの形態から、N末端の適当な誘導体化によって調製することができる。
【0129】
一つの態様において、−A−は、アミノ酸である。アミノ酸は、α−アミノ酸であることができる。このような化合物は、デカペプチドと呼ばれ、そして例えば、ポリミキシンB、E及びMの脱アシル化デカペプチドの形態に基づく。ポリミキシンB、E及びMの脱アシル化形態は当技術において公知である。別のデカペプチドは、ノナペプチド又はヘプタペプチドから、アミノ酸(一つ又は複数)のノナペプチド又はヘプタペプチドのN末端への適当なカップリングによって調製することができる。脱アシル化形態のポリミキシンMは、Cubist(WO2010/075416及びUS8,415,307を参照されたい)によってポリミキシンAに対して報告されているものと同一であるように見受けられることは注目される。
【0130】
一つの態様において、−A−は、α−アミノ酸である。
【0131】
α−アミノ酸は、タンパク新生の(“天然の”)α−アミノ酸、所望により他のα−アミノ酸を一緒に含む。
【0132】
一つの態様において、−A−は、Lys、Arg、Dap、Ser、Thr、Ile、Tyr、His、Phe、Pro、Trp、Leu、Ala、Dab(α,γ−ジアミノ酪酸)、Dap(α,β −ジアミノプロピオン酸)、Dgp(α,β−ジグアニジノプロパノイル)、オルニチン及びノル−バリンからなる、これらのL−及びD−型を含む群から選択されるアミノ酸である。
【0133】
一つの態様において、アミノ酸は、Dab、Pro、Dap、Gly、Ser、His、Phe、Arg、Tyr、及びLeuからなる、これらのL−及びD−型を含む群から選択される。
【0134】
一つの態様において、−A−は、Dα−アミノ酸である。
【0135】
一つの態様において、−A−は、Lα−アミノ酸である。
【0136】
タンパク新生ではないα−アミノ酸の例は、翻訳後修飾、又は他の手段によって産生されたアミノ酸である。例は、Dab、Dap、Dgp(α,β−グアニジノプロパノイル)、オルニチン及びノル−バリンを含む。更に含まれるものは、実施例化合物A28中に存在するアミノ酸のようなアミノ酸を含む。このアミノ酸は、α−炭素に対してgem二置換されたピペリジン側鎖を有する。従って、α−炭素は、ピペリジン環中の環の原子である。これは、Dabの環式類似体である。
【0137】
一つの態様において、−A−は、β−アミノ酸である。
【0138】
−A−がアミノ酸である本発明の化合物は、脱アシル化ノナペプチド、例えばPMBNから調製することができる。アミノ酸基は、簡単なアミノ酸カップリング技術によって添加することができる。得られた化合物のN末端は、必要なR
5−X−末端を得るために誘導体化することができる(適宜に、いずれものN末端保護基の除去後)。別の方法として、アミノ酸基のN末端は、アミノ酸カップリング工程の前に、事前誘導体化することができる。従って、誘導体化アミノ酸の脱アシル化ノナペプチドへの添加により、必要なN末端基が直接得られる。
【0139】
一つの態様において、−A−は、Lys、Arg、Dap、Ser、Phe、Trp、Leu、Ala、Dab、Dap、オルニチン又はノル−バリンから、これらのL−及びD−型を含み選択される。
【0140】
一つの態様において、−A−は、Thr、Ser、Lys、Dab又はDap、例えばL−Thr、L−Ser、L−Lys、L−Dab又はL−Dapから選択される。
【0141】
一つの態様において、−A−は、Dab、例えばL−Dabである。
【0142】
別の態様において、−A−がアミノ酸である場合、これはDabではなく、例えばこれはL−Dabではない。
【0143】
−X−及び−R
5
式(I)の化合物は、ポリミキシンB(脱アシルポリミキシンB−DAPB)、D、E、(脱アシルコリスチン−DAC)又はM、或いはサークリンAの脱アシル変種を包含しない。式(I)の化合物は、ポリミキシンB(PMBN)、D、E又はM、或いはサークリンAのノナペプチド変種を包含しない。
【0144】
一つの態様において、一緒の−X−及びR
5は、例えば−A−が共有結合である場合、α−アミノ酸残基ではない。α−アミノ酸残基は、−X−が−C(O)−であり、そしてR
5が−NR
6R
7基(例えば−NH
2)を、−X−基に対してαである炭素原子に対する置換基として有する基である。
【0145】
一つの態様において、一緒の−X−及びR
5は、Thr、Ser、α,γ−ジアミノ酪酸(Dab)又はα,β−ジアミノプロピオン酸(Dap)残基ではない。
【0146】
一つの態様において、例えば式(I)の化合物の核がポリミキシンBである場合、一緒の−X−及びR
5は、Lys、Arg、Dap、Ser、Phe、Trp、Leu又はAla残基ではない。
【0147】
一つの態様において、一緒の−X−及びR
5は、Lys、Arg、Dap、Ser、Phe、Trp、Leu、Ala、α,γ−ジアミノ酪酸(Dab)又はα,β−ジアミノプロピオン酸(Dap)残基ではない。
【0148】
一つの態様において、一緒の−X−及びR
5は、Ala、Ser、Thr、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Tyr、Trp、His、Lys又はArg残基ではない。
【0149】
一つの態様において、一緒の−X−及びR
5は、Ala、Ser、Thr、Val、Leu、Ile、Pro、Phe、Tyr、Trp、His、Lys、Arg、α,γ−ジアミノ酪酸(Dab)又はα,β−ジアミノプロピオン酸(Dap)残基ではない。
【0150】
一つの態様において、一緒の−X−及びR
5は、α−アミノ酸、例えばD又はLα−アミノ酸、例えばLα−アミノ酸ではない。
【0151】
一つの態様において、R
5は、例えば−X−が−C(O)−である場合、アミノフェニル、例えば3,5−ジアミノフェニルではない。
【0152】
−R
5
一つの態様において、−R
5は、G−L
2−L
1−である。
【0153】
−R
5は、例えば−L
2−が共有結合である場合、G−L
1−であることができる。
【0154】
−R
5は、例えば−L
1−が共有結合である場合、G−L
2−であることができる。
【0155】
−R
5は、例えば−L
1−及び−L
2−が共有結合である場合、−Gであることができる。
【0156】
一つの態様において、−R
5は、D−L
1−である。
【0157】
−R
5は、例えば−L
1−が共有結合である場合、−Dであることができる。
【0158】
一つの態様において、−R
5は、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基及び/又はNR
6R
7基を有する。これらの基は、−G、−D、−L
1−、−L
2−を含む−R
5内のいずれもの基上に提供される。一つの態様において、これらの基は、−G、−D、及び−L
1−に対する置換基として提供される。
【0159】
ヒドロキシル基又はNR
6R
7基が、D−L
1−に対する所望による置換基であることは注目される。ヒドロキシル基及びNR
6R
7置換基が、以下において考察される場合、これらは、−R
5に対する置換基と呼ぶことができる。
【0160】
一つの態様において、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基及び/又はNR
6R
7基は、−R
5に対する所望による置換基である。これは、−L
1−が窒素含有C
2−12ヘテロアルキレンであり、及び/又は−L
2−が窒素含有C
4−10ヘテロシクリレンであり、及び/又は−Dが窒素含有C
4−10ヘテロシクリルである場合の事例であることができる。
【0161】
一つの態様において、−R
5は、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個又は少なくとも8個の存在する炭素原子を有する。
【0162】
一つの態様において、−R
5は、1、2又は3個の存在する窒素原子を有する。一つの態様において、窒素原子は、塩基性窒素原子である。窒素原子は、NHとして存在することができる。
【0163】
一つの態様において、−R
5は、1、2、又は3個の存在する酸素原子を有する。
【0164】
一つの態様において、−R
5は、例えば−A−が共有結合であり、−X−が−C(O)−であり、そして−R
1、R
2及びR
3がポリミキシンBのアミノ酸残基である場合、アミノシクロヘキシルではない。
【0165】
Okimura等は、N末端にアミノシクロヘキシル基を有するポリミキシンBノナペプチド化合物を記載している。これらの化合物は、活性剤との組合せにおける使用が記載されていない。
【0166】
一つの態様において、−R
5は、cis−2−アミノシクロヘキシル、trans−2−アミノシクロヘキシル、cis−3−アミノシクロヘキシル、cis−4−アミノシクロヘキシル、及びtrans−4−アミノシクロヘキシルからなる群から選択されるアミノシクロヘキシル基ではない。更に又は別に、−R
5は、trans−3−アミノシクロヘキシルではない。
【0167】
リンカー:−L
1−L
2−及び−L
1−
G−L
2−L
1−及びD−L
1−基において、−L
1−L
2−及び−L
1−は、−X−基を−G又は−Dに接続するリンカーと考えられる。リンカーは、例えば−L
1−及び−L
2−が共有結合である場合、非存在であることができる。
【0168】
G−L
2−L
1−中の−L
2−L
1−
一つの態様において、−L
1−及び−L
2−は、両方とも共有結合である。従って、−G基は、−X−に直接接続される。ここで、ヒドロキシル又はアミノ基(例えば一つ、二つ又は三つのヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7基)は−G上に存在しなければならない。
【0169】
−L
1−が窒素含有C
2−12ヘテロアルキレンであり、及び/又は−L
2−が窒素含有C
4−10ヘテロシクリレンである場合、G−L
2−L
1−が、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7基で置換されることは任意的である。
【0170】
D−L
1−中の−L
1−
一つの態様において、−L
1−は、共有結合である。従って、−D基は、−X−に直接接続される。D−L
1−基がヒドロキシル基又はアミノ基(例えば一つ、二つ又は三つのヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7基)で置換されている場合、この基は、−D上に存在しなければならない。
【0171】
−L
1−が窒素含有C
2−12ヘテロアルキレンであり及び/又は−Dが窒素含有C
4−10ヘテロシクリルである場合、D−L
1−が一つ、二つ又は三つのヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7基で置換されることは任意的である。
【0172】
−L
1−
一つの態様において、−L
1−は、共有結合又はC
1−12アルキレン基である。
【0173】
一つの態様において、−L
1−は、共有結合である。
【0174】
一つの態様において、−L
1−は、C
1−12アルキレン基又はC
2−12ヘテロアルキレン基である。
【0175】
一つの態様において、−L
1−は、C
1−12アルキレン基である。
【0176】
一つの態様において、−L
1−は、C
1−12アルキレン、例えばC
1−6、C
1−4又はC
1−2アルキレンである。
【0177】
一つの態様において、−L
1−は、−CH
2−又は−CH
2CH
2−である。
【0178】
一つの態様において、−L
1−は、C
2−12アルキレン、例えばC
2−6又はC
2−4アルキレンである。
【0179】
一つの態様において、−L
1−は、C
3−12アルキレン、例えばC
3−6、C
4−12、C
5−12又はC
6−12アルキレンである。
【0180】
アルキレン基は、飽和の脂肪族アルキレン基である。
【0181】
アルキレン基は、直鎖又は分枝鎖アルキレン基であることができる。一つの態様において、アルキレン基は直鎖である。
【0182】
−L
1−がアルキレン基であり、そしてR
5が一つ、二つ又は三つのヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7基で置換されている場合、一つ又はそれより多い置換基は、アルキレン基に対する置換基であることができる。
【0183】
一つの態様において、アルキレン基は、一つ、二つ又は三つの置換基を有する。
【0184】
一つの態様において、アルキレン基は、一つ又は二つの置換基、例えば一つの置換基を有する。
【0185】
一つの態様において、アルキレン基上の置換基の数は、アルキレン基中の炭素原子の数より大きくない。従って、−L
1−がC
2アルキレン基である場合、これは、二つより多くない置換基で置換されることができる。
【0186】
存在する場合、更なる置換基は、適宜に、−G又は−D上に位置することができる。
【0187】
一つの態様において、アルキレン基は、非置換である。
【0188】
−L
1−がアルキレン基である場合、これは、シクロアルキル基で置換されていることができる。アルキレン基中の炭素原子は、−Gシクロアルキル基の炭素の環の原子に共有結合を形成することができる。この配置は、実施例化合物10及びA28に示されている。別の方法として、シクロアルキル基は、アルキレン基に対してgem二置換であることができる。従って、アルキレン基中の炭素原子は、更にシクロアルキル基の炭素の環の原子である。この配置は、実施例化合物A30及びA34に示されている。
【0189】
別の方法として、化合物のこの後者の配置、例えばA30及びA34は、所望によるアルキル置換基を有するシクロアルキル基と見ることができ、ここで、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7基は、所望によるアルキル置換基上に位置する。
【0190】
一つの態様において、−L
1−は、C
2−12ヘテロアルキレンである。ヘテロアルキレン基は、一つ又はそれより多い、例えば二つ又は三つ、或いはそれより多い炭素原子が、N、O及びSから選択される異種原子で置換されているアルキレン基である。下付き文字(superscript)、例えばC
4中の4は、炭素原子及び異種原子の全数を指す。ヘテロアルキレン基の異種原子は、ペンダントのアミノ、ヒドロキシル又はチオール基ではないと理解される。
【0191】
一つの態様において、ヘテロアルキレン基は、一つ又は二つの異種原子、例えば一つ又は二つの窒素原子、例えば一つ又は二つの−NH−を含有する。
【0192】
一つの態様において、ヘテロアルキレン基は、窒素含有ヘテロアルキレン基である。異種原子は、アルキレン鎖の中断、例えば−CH
2−NH−CH
2−として提供される。異種原子は、−X−、−L
2−、−G又は−Dへの接続のために末端基、例えば−CH
2−CH
2−NH−又は−NH−CH
2−CH
2−として提供されることができる。これらの態様において、異種原子は、−X−、−L
2−、−G又は−D中の炭素原子と結合される。
【0193】
一つの態様において、ヘテロアルキレン基の異種原子は、−X−基に共有結合的に結合していない。
【0194】
一つの態様において、ヘテロアルキレン基の異種原子は、存在する場合、−L
2−、−G又は−D基に共有結合的に結合されていない。別の態様において、ヘテロアルキレン基の異種原子、例えば−NH−は、存在する場合、−L
2−、−G又は−D基に共有結合的に結合される。
【0195】
一つの態様において、−L
1−は、C
2−12ヘテロアルキレン、例えばC
2−6、C
2−4、C
3−6、C
3−12、C
4−6又はC
4−12ヘテロアルキレンである。
【0196】
ヘテロアルキレン基は、飽和の、脂肪族ヘテロアルキレン基である。
【0197】
ヘテロアルキレン基は、直鎖又は分枝鎖のヘテロアルキレン基であることができる。一つの態様において、ヘテロアルキレン基は直鎖である。
【0198】
一つの態様において、−L
1−は、−NH−CH
2CH
2−NH−CH
2−である。
【0199】
一つの態様において、−L
1−は、−CH
2−NH−CH
2CH
2−である。
【0200】
一つの態様において、ヘテロアルキレン基は、非置換である。
【0201】
一つの態様において、ヘテロアルキレン基は、例えば、一つ又は二つのヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7基、例えば一つのヒドロキシル又は−NR
6R
7基で置換されている。置換基は、ヘテロアルキレン基内の炭素原子上に提供される。
【0202】
一つの態様において、ヘテロアルキレン基上の置換基の数は、ヘテロアルキレン基中の炭素原子の数より多くない。
【0203】
ヘテロアルキレン基が置換されている場合、置換基は、好ましくはヘテロアルキレン基の異種原子に共有結合的に結合している炭素原子上に提供されない。ヘテロアルキレン基が置換されている場合、置換基は、異種原子に結合していない炭素原子上に提供することができる。
【0204】
−L
2−
一つの態様において、−L
2−は、共有結合である。
【0205】
一つの態様において、−L
1−がC
1−12アルキレンである場合、−L
2−は、C
4−10ヘテロシクリレン基である。
【0206】
一つの態様において、−L
2−は、C
4−7ヘテロシクリレン基、例えばC
5−7又はC
5−6ヘテロシクリレン基である。
【0207】
一つの態様において、C
4−10ヘテロシクリレンは、N、S及びOから選択される一つ又は二つの異種原子を含有する。S原子が存在する場合、これは、S、S(O)又はS(O)
2の形態であることができる。N原子が存在する場合、これは、NH又はNRの形態であることができ、ここで、−Rは、C
1−4アルキル、例えばメチル又はエチルである。一つの態様において、ヘテロシクリレン基は、窒素含有ヘテロシクリレンである。ヘテロシクリレン基は、一つ又は二つの窒素原子を含有することができる。それぞれの窒素原子は、適宜、C
1−4アルキルで所望により置換されることができる。一つの態様において、ヘテロシクリレン基は、窒素異種原子のみを含有する。
【0208】
−L
2−基に関連して、用語“ヘテロシクリレン”は、(1)環系の一部を形成する一つ又はそれより多い異種原子(例えば、N、O、S)を有し、ここにおいて、環系は、一つの環或いは二つ又はそれより多い縮合環を含んでなり、ここにおいて、環系の少なくとも一つの環は非芳香族環であり、そして(2)分子の残り(適宜に−G及び−L
2−を含む)に非芳香族環の原子(即ち、それぞれの環の原子が、環系の一部である非芳香族環の一部である)を経由して接続される基を指す。少なくとも一つの異種原子が、非芳香族環に提供される。
【0209】
従って、ヘテロシクリレンは、一つの環が芳香族環である二環式環系であることができる。芳香族環は、先に記述したように、分子の残りに接続される環ではない。縮合したヘテロシクリル系の例は、D基に関連して以下で考察される。
【0210】
一つの態様において、ヘテロシクリレン基が、二つ又はそれより多い縮合環を含有する場合、それぞれの環は非芳香族である。
【0211】
一つの態様において、ヘテロシクリレン基は、一つの環を含んでなる。
【0212】
一つの態様において、ヘテロシクリレン基は、非置換である。従って、ヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7基は、必要に応じて、他の場所に、例えば存在する場合−L
1−上に、或いは−G又は−D上に提供される。別の方法として、ヘテロシクリレン基が塩基性窒素基、例えばNHと共に提供される場合、ヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7基は任意的である。塩基性窒素基、例えばNHの非存在において、ヘテロシクリレン基は、ヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7基と共に提供されることができる。
【0213】
一つの態様において、ヘテロシクリレン基は、ヘテロシクリレン環の炭素原子又は存在する場合窒素原子を経由して−L
1−又は−X−に接続される。
【0214】
一つの態様において、ヘテロシクリレンは、ヘテロシクリレン環の炭素原子又は存在する場合窒素原子を経由して−Gに接続される。
【0215】
一つの態様において、−L
2−は、ピペリジニレン、ピペラジニレン及びピロリジニレンから選択される。
【0216】
一つの態様において、−L
2−は、ピペリジニル−1,4−エン、ピペラジニル−1,4−エン及びピロリジニル−1,3−エンから選択される。
【0217】
ヘテロシクリレン基が、ピリドンジラジカル、例えば2−ピリドンジラジカルを包含しないことは注目される。このような化合物は、ラクチム互変異性形態の観点から芳香族であると考えられる。従って、疑義の回避のために、−L
2−は、ヘテロシクリレン基であることができるが、但し、−L
2−はピロリドンジラジカルではないことを条件とする。従って、Magee at al,J.Med.Chem.,2013,56,5079の化合物5xは、本事例の式(I)によって包含されない。
【0218】
ヒドロキシル及び−NR
6R
7置換基の位置
一つの態様において、−R
5、例えばG−L
2−L
1−又はD−L
1−は、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基で置換されることができる。
【0219】
一つの態様において、−R
5は、一つのヒドロキシル基で置換される。
【0220】
一つの態様において、−R
5基は、一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基で置換されることができる。
【0221】
一つの態様において、−R
5は、一つの−NR
6R
7基で置換される。
【0222】
一つの態様において、−R
5は、二つ又は三つの−NR
6R
7基で置換される。
【0223】
一つの態様において、−R
5基は、一つ又は二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基で置換されることができる。
【0224】
一つの態様において、−R
5は、一つの−NR
6R
7基、及び一つのヒドロキシル基で置換される。
【0225】
一つの態様において、ヒドロキシル基、例えば一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基は、−Gに対する置換基である。
【0226】
一つの態様において、ヒドロキシル基、例えば一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基は、−Dに対する置換基である。
【0227】
一つの態様において、ヒドロキシル基、例えば一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基は、例えば−L
1−がアルキレン又はヘテロアルキレンである場合、適宜に−L
1−に対する置換基である。
【0228】
一つの態様において、ヒドロキシル基、例えば一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基は、例えば−L
2−がアルキレン又はヘテロアルキレンである場合、適宜に−L
2−に対する置換基である。
【0229】
一つの態様において、−NR
6R
7基、例えば一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基は、−Gに対する置換基である。
【0230】
一つの態様において、−NR
6R
7基、例えば一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基は、−Dに対する置換基である。
【0231】
一つの態様において、−NR
6R
7基、例えば一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基は、例えば−L
1−がアルキレン又はヘテロアルキレンである場合、−L
1−に対する置換基である。
【0232】
一つの態様において、−NR
6R
7基、例えば一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基は、例えば−L
2−がアルキレン又はヘテロアルキレンである場合、−L
2−に対する置換基である。
【0233】
一つの態様において、G−L
2−L
1−は:
(i)一つ又は二つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つの−NR
6R
7基及び一つのヒドロキシル基
で置換され、但し、−L
1−が窒素含有C
2−12ヘテロアルキレンであり、及び/又は−L
2−が窒素含有C
4−10ヘテロシクリレンである場合、(i)、(ii)及び(iii)は所望による置換基であることを条件とする。
【0234】
一つの態様において、G−L
2−L
1−は、例えば−L
1−が窒素含有C
2−12ヘテロアルキレンであり、及び/又は−L
2−が窒素含有C
4−10ヘテロシクリレンである場合、(i)、(ii)及び(iii)で、所望により置換される。一つの態様において、この条件は適用されず、従って(i)、(ii)及び(iii)は、所望による置換基ではない。
【0235】
疑義の回避のために、−R
5が一つのヒドロキシル基(−OH)で置換されていると記述された場合、更なるヒドロキシル基は−R
5内に存在しない。同様に、−R
5が一つの−NR
6R
7基で置換されていると記述された場合、更なる−NR
6R
7基は−R
5内に存在しない。同様に、−R
5が二つ又は三つのヒドロキシル基或いは−NR
6R
7基を有すると記述された場合、ヒドロキシル又は−NR
6R
7基の全数は、二つ又は三つである。
【0236】
以下で更に詳細に記載されるように、ヒドロキシル基が存在する場合、これは、−X−基に対してαの炭素原子における置換基であることができる。
【0237】
一つの態様において、−R
5が一つより多い置換基を有する場合、置換基は同じ炭素原子上には位置しない。
【0238】
カルボキシ基(−COOH)は、本事例におけるヒドロキシ基と解釈されない。
【0239】
−L
1−が二つ又はそれより多い存在する炭素原子を有する場合(例えばC
2−12アルキレン又はC
3−12ヘテロアルキレン)、存在する場合、置換基は、−X−基に対してαである炭素原子において提供されることができる。
【0240】
同様に、−L
1−及び−L
2−が、両方とも共有結合であり、そして−GがC
2−12アルキルである場合、C
2−12アルキル基は、−X−基に対してαである炭素原子において置換基を有することができる。
【0241】
一つの態様において、−L
1−は、ヒドロキシル基(例えば一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基)で置換され、そしてヒドロキシル基は、−X−基に対してαである炭素原子において提供される。本発明人等は、ヒドロキシル基が、例えば−X−基にαではない、例えば−X−基に対してβ又はγの炭素原子に接続されている化合物、例えば実施例化合物25と比較して、α炭素においてヒドロキシル基を有する化合物が特に改善された増強活性を有することを見出している。
【0242】
同様に、−L
1−及び−L
2−が、両方とも共有結合であり、そして−GがC
2−12アルキルである場合、C
2−12アルキル基は、−X−基に対してαである炭素原子において提供されるヒドロキシル基を有することができる。
【0243】
−L
1−が二つ又はそれより多い存在する炭素原子を有する場合(例えばC
2−12アルキレン又はC
3−12ヘテロアルキレン)、置換基は、存在する場合、−X−基に対してαではない炭素原子において提供されることができる。例えば、置換基は、−X−基に対してβ又はγである炭素原子において提供されることができる。一つの態様において、置換基は、−X−基に対してαの炭素原子において提供されない。
【0244】
同様に、−L
1−及び−L
2−が、両方とも共有結合であり、そして−GがC
2−12アルキルである場合、C
2−12アルキル基は、−X−基に対してαである炭素原子において提供される置換基を持たないことができる。例えば、置換基は、−X−基に対してβ又はγである炭素原子において提供されることができる。
【0245】
一つの態様において、−L
1−は、アミノ基(例えば一つ又は二つのアミノ基)で置換され、そしてアミノ基(即ち−NR
6R
7)は、X基に対してαではない炭素原子において提供される。このような置換を有する化合物の例は、本事例中の実施例化合物10を含む。本発明人等は、α炭素においてアミノ基を有する化合物、例えば実施例化合物40が、アミノ基が、例えば−X−基に対してβ又はγである炭素原子に接続されている化合物と比較して、減少した増強活性を有することができることを見出している。
【0246】
その後、本発明人等は、増強活性の変化が、これがアミノ基で置換された場合、α炭素の立体配置に関係することを証明した。実施例化合物A25及びA26は、α炭素における立体配置のみが異なるジアステレオ異性体である。化合物A26は、各種のE.coli、K.pneumoniae、P.aeruginosa、及びA.baumannii株に対して試験された場合、化合物A25に対して優れた活性を有する(表6Aを参照されたい)。
【0247】
従って、一つの態様において、アミノ基は、−X−基に対してαである炭素原子において提供される。
【0248】
同様に、−L
1−及び−L
2−が、両方とも共有結合であり、そして−GがC
2−12アルキルである場合、C
2−12アルキル基は、−X−基に対してαではない、例えば−X−基に対してβ又はγである炭素原子において提供されるアミノ基を有することができる。
【0249】
一つの態様において、アミノ又はヒドロキシル置換基は、−L
1−基(例えばC
2−12アルキレン又はC
2−12ヘテロアルキレン)の末端炭素、又は存在する場合、−C
2−12アルキルの末端炭素において提供される。
【0250】
一つの態様において、D−L
1−中の−L
1−基は、共有結合である。従って、C
4−10ヘテロシクリルである−Dは、−X−基に直接接続される。
【0251】
一つの態様において、−L
2−基は、C
4−10ヘテロシクリルである。−L
1−が共有結合である場合、−L
2−は、−X−基に直接接続される。
【0252】
−X−へのこれらのヘテロシクリル基のいずれかの接続は、以下で考察される。
【0253】
一つの態様において、−X−基に対してαである原子は、ヘテロシクリル基の環の炭素原子であることができる。ヘテロシクリル基の環の異種原子は、−X−基に対してαである環の炭素原子に共有結合的に結合することができる、即ち環の異種原子は−X−基に対してβである。一つの態様において、X基に対してβの環の異種原子は、O又はS、例えばOである。一つの態様において、−X−基に対してβの環の異種原子は、Nではない。
【0254】
一つの態様において、X基に対してγの環の異種原子は、O、S又はNである。
【0255】
一つの態様において、−L
1−及び−L
2−が、両方とも共有結合であり、そして−GがC
5−12ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、−X−基に対してαである環の炭素原子を経由して、−X−基に接続することができる)。一つの態様において、環の異種原子、例えばNは、−X−基に対してαである炭素原子に接続されない。別の方法として、環の異種原子、例えばO又はSは、−X−基に対してαである炭素原子に接続される。
【0256】
一つの態様において、G−L
2−L
1−基は、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基及び/又は−NR
6R
7置換基を有する。これらの置換基は、一つ又はそれより多い−G−、−L
2−又は−L
1−上に、適宜、提供されることができる。一つの態様において、置換基は、−G−及び/又は−L
1−上に提供される。−L
1−がC
2−12ヘテロアルキレンである場合、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基及び/又は−NR
6R
7置換基は、任意的である。
【0257】
D−L
1−基は、所望により、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基及び/又は−NR
6R
7置換基を有する。置換基が存在する場合、これらは、適宜、−D又は−L
1−上に提供される。
【0258】
一つの態様において、−R
5は、G−L
2−L
1−であり、ここで、−GはC
5−12アリールである。
【0259】
一つの態様において、−R
5は、G−L
2−L
1−であり、ここで、−Gは、C
3−10シクロアルキル又は−C
2−12アルキルであるか、或いは−R
5は、D−L
1−であり、ここで、DはC
4−10ヘテロシクリルである。
【0260】
一つの態様において、G−L
2−L
1−は、(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は(iii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基で置換されている。アリール基がG−L
2−L
1−中に存在する場合、これは、−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキル、ハロ、−CN、−NO
2、−CF
3、−NR
10C(O)R
10、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−OCF
3、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、−SR
9、−NR
10SO
2R
10、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10から選択される一つ又はそれより多い置換基で独立に所望により置換され、ここで、それぞれの−R
9は、独立に、−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、そしてそれぞれの−R
10は、独立に−H又は−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルである。
【0261】
一つの態様において、D−L
1−は、(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は(iii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基で所望により置換されている。
【0262】
一つの態様において、D−L
1−は、(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は(iii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基で置換されている。
【0263】
C
3−10シクロアルキル C
2−12アルキル及びC
4−10ヘテロシクリル基は、ヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7基で置換されていることができる。シクロアルキル又はヘテロシクリル基が縮合芳香族環を含む場合、この芳香族環は、本明細書中に記載される所望による置換基で所望により置換されていることができる。所望による更なる置換基は、ヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7基を含まない。
【0264】
C
5−12アリール基は、ヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7基で置換され、そしてC
5−12アリール基は、所望により更に置換されている。所望による更なる置換基は、ヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7基を含まない。
【0265】
−G及び−DのC
3−10シクロアルキル、C
2−12アルキル、C
5−12アリール及びC
4−10ヘテロシクリル基が、ヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7基で置換されていることは、必須ではない。一つの態様において、ヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7基は、存在する場合、−R
5のリンカー要素、例えば−L
1−及び/又は−L
2−上に提供されることができる。
【0266】
−R
5が、窒素含有ヘテロシクリル(又は窒素含有ヘテロシクリレン)又は窒素含有ヘテロアルキレン基を、例えば−L
1−、−L
2−又は−Dの一部として含有する場合、ヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7基は任意的であることができる。
【0267】
具体的には、ヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7基は、ヘテロシクリル、ヘテロシクリレン又はヘテロアルキレン基が塩基性窒素基、例えばNHを含有する場合にのみ任意的である。
【0268】
従って、一つの態様において、G−L
2−L
1−は:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基で置換され、
或いは窒素含有C
2−12ヘテロアルキレン及び/又は窒素含有C
4−10ヘテロシクリレンは、存在する場合、塩基性窒素基、例えばNHを含有する。
【0269】
一つの態様において、G−L
2−L
1−は:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基で置換され、
但し、−L
1−が窒素含有C
2−12ヘテロアルキレンであり、及び/又は−L
2−が窒素含有C
4−10ヘテロシクリルである場合、(i)、(ii)及び(iii)は所望により置換基であることを条件とする。
【0270】
一つの態様において、G−L
2−L
1−は:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基で置換される。
【0271】
一つの態様において、D−L
1−は:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基で置換され、
或いは存在する場合、窒素含有C
2−12ヘテロアルキレン、及び/又は−Dは、塩基性窒素基、例えばNHを含有する。
【0272】
−D
ポリミキシン化合物のN末端置換基は、C
4−10ヘテロシクリル基(“ヘテロシクリル基”)を含むことができる。従って、一つの態様において、−R
5は、−D基を含み、これはC
4−10ヘテロシクリルである。
【0273】
一つの態様において、−Dは、窒素含有ヘテロシクリル基である。このような態様において、ヒドロキシル及び−NR
6R
7基は任意的である。
【0274】
ヘテロシクリル基が環の窒素原子を含有しない場合、いずれかの、又は両方のヘテロシクリル基及び−L
1−は、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基及び/又は−NR
6R
7基置換されていなければならず、或いは−L
1−は、窒素含有C
2−12ヘテロアルキレンでなければならない。
【0275】
ヘテロシクリル基は、本明細書中に記載されるように、所望により置換されていることができる。
【0276】
一つの態様において、C
4−10ヘテロシクリルは、C
4−6又はC
5−6ヘテロシクリル、例えばC
5ヘテロシクリル又はC
6ヘテロシクリルである。
【0277】
一つの態様において、C
4−10ヘテロシクリルは、N、S及びOから選択される一つ又は二つの異種原子を含有する。S原子が存在する場合、これは、S、S(O)又はS(O)
2の形態であることができる。N原子が存在する場合、これは、NH又はNRの形態であることができ、ここで、RはC
1−4アルキル、例えばメチル又はエチルである。
【0278】
一つの態様において、ヘテロシクリル基は、窒素含有ヘテロシクリル基である。
【0279】
一つの態様において、C
4−10ヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ジオキサニル、チオモルホリニル(酸化されたチオモルホリニルを含む)、又はピロリジニルである。
【0280】
一つの態様において、C
4−10ヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、チオモルホリニル(酸化されたチオモルホリニルを含む)、ピロリジニル又はモルホリニルである。
【0281】
一つの態様において、C
4−10ヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル又はピロリジニルである。
【0282】
ヘテロシクリルが存在する場合、これは、環の炭素原子、又は存在する場合、環のN原子を経由して、−L
1−又は−X−に接続される。一つの態様において、ヘテロシクリルは、環の炭素原子を経由して接続される。もう一つの態様において、ヘテロシクリルは、存在する場合、環の窒素原子を経由して接続される。
【0283】
ヘテロシクリルが、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基及び/又は−NR
6R
7基で置換されている場合、これらの基は、ヘテロシクリル環の炭素原子に対する置換基である。
【0284】
一つの態様において、存在する場合、ヒドロキシル及び−NR
6R
7基は、環の異種原子に対してβである環の炭素原子に対する置換基である。
【0285】
一つの態様において、ヘテロシクリルは、置換されている場合、最大で一つ又は二つの置換基を有し、これは、同一又は異なることができる。
【0286】
一つの態様において、ヘテロシクリル基の炭素原子の全数は、−R
6及び−R
7(存在する場合)中に存在する炭素原子の全数を一緒にして、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個である。
【0287】
疑義の回避のために、“C
4−7ヘテロシクリル”、等のような用語における添え字“C
x−y”は、炭素原子又は異種原子(例えばN、O、S)であることができる環の原子の数を指す。例えば、ピペリジニルは、C
6ヘテロシクリル基の例である。
【0288】
−D基に関する用語“ヘテロシクリル”は、(1)環系の一部を形成する一つ又はそれより多い異種原子(例えば、N、O、S)を有し、ここにおいて、環系は一つの環、或いは二つ又は三つの縮合環を含んでなり、ここにおいて、環系の少なくとも一つの環は非芳香族環であり、そして(2)非芳香族環の原子(即ち、環系の一部である非芳香族環の一部である環の原子)によって分子の残りに接続する基を指す。例えば:ピペリジノ(ピペリジン−1−イル)及びピペリジン−4−イルは、両方ともC
6ヘテロシクリル基の例であり;2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル(インドリン−1−イル)は、C
9ヘテロシクリル基の例であり;そしてデカヒドロ−キノリン−5−イル及び1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イルの両方は、C
10ヘテロシクリル基の例である。
【0290】
ヘテロシクリル基は、所望により置換されていることができる。所望による置換基は、以下に記載するものである。
【0291】
一つの態様において、ヘテロシクリル基が二つ又はそれより多い縮合環を含有する場合、それぞれの環は、非芳香族である。
【0292】
一つの態様において、ヘテロシクリル基は一つの環を含んでなる。
【0293】
少なくとも一つの異種原子が、非芳香族環に提供される。
【0294】
−G
−G基は、C
3−10シクロアルキル、C
2−12アルキル及びC
5−12アリールから選択される。これらのそれぞれの説明は、以下に与えられる。以下で考察される基は、いずれもの−L
1−及び−L
2−と、適宜、一緒に使用することができる。
【0295】
C
3−10シクロアルキル
ポリミキシン化合物のN末端置換基は、C
3−10シクロアルキル基(“シクロアルキル基”)を含むことができる。従って、−Gは、C
3−10シクロアルキルであることができる。
【0296】
−GがC
3−10シクロアルキルである場合、−L
1−は、共有結合、C
1−12アルキレン又はC
2−10ヘテロアルキレン、例えば共有結合又はC
1−12アルキレンであることができる。
【0297】
−GがC
3−10シクロアルキルである場合、−L
2−は、共有結合又はC
4−12ヘテロシクリル、例えば共有結合であることができる。
【0298】
一つの態様において、C
3−10シクロアルキルは、C
3−8又はC
3−6シクロアルキルである。
【0299】
一つの態様において、C
3−10シクロアルキルは、シクロペンチル又はシクロヘキシルである。
【0300】
一つの態様において、シクロアルキルは、置換されている場合、最大で一つ又は二つの置換基を有し、これは、同一又は異なっていることができる。
【0301】
一つの態様において、シクロアルキル基上の置換基の数は、シクロアルキル基中の炭素原子の数より多くない。従って、アルキル基がC
6アルキル基である場合、これは、6個より多くない置換基で置換されていることができる。
【0302】
一つの態様において、シクロアルキル基中の炭素原子の全数は、−R
6及び−R
7(存在する場合)中に存在する炭素原子の全数を一緒にして、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個である。
【0303】
一つの態様において、シクロアルキルは、単一のヒドロキシル又は−NR
6R
7基を有するシクロヘキシル、例えば4−置換シクロヘキシル基である。一つの態様において、シクロアルキルは、単一のヒドロキシル又は−NR
6R
7基を有するシクロペンチル、例えば2−又は3−置換シクロペンチル基である。
【0304】
一つの態様において、シクロアルキルは、非置換である。この態様において、置換基は、リンカー−L
2−L
1−上に位置し、従ってこれは、共有結合であることはできない。
【0305】
一つの態様において、例えば式(I)の化合物の核がポリミキシンBノナペプチドである場合、G−L
2−L
1−基は、2−アミノシクロヘキシル、3−アミノシクロヘキシル又は4−アミノシクロヘキシルではない。
【0306】
疑義の回避のために、“シクロアルキル”は、(1)一つの環或いは二つ又はそれより多い縮合環を含んでなる環系を有し、ここにおいて、縮合環系の一つの環は芳香族環であることができ、そして(2)非芳香族環の原子(即ち、環系の一部である非芳香族環の一部である環の原子)によって分子の残りに接続される基を指す。例えば:シクロアルキルは、C
6シクロアルキル基の例であり;そしてテトラリン−2−イルは、C
10シクロアルキル基の例である。
【0308】
芳香族環が存在する場合、これは、所望により置換されていることができる。所望による置換基は、C
5−12アリール基のための所望による置換基として記載されるものである。
【0309】
一つの態様において、シクロアルキルが二つ又はそれより多い縮合環を含んでなる場合、それぞれの環は、非芳香族である。
【0310】
一つの態様において、シクロアルキル基は、一つの環を含んでなる。
【0311】
C
2−12アルキル
ポリミキシン化合物のN末端置換基は、C
2−12アルキル基(“アルキル基”)であることができる。従って、−Gは、C
2−12アルキルであることができる。
【0312】
−GがC
2−12アルキルである場合、−L
1−は、共有結合又はC
2−10ヘテロアルキレン、例えば共有結合であることができる。
【0313】
−GがC
2−12アルキルである場合、−L
2−は、共有結合又はC
4−12ヘテロシクリル、例えば共有結合であることができる。
【0314】
一つの態様において、−GがC
2−12アルキルである場合、−L
1−及び−L
2−の両方は、共有結合である。従って、−Gは、−X−に直接接続される。
【0315】
一つの態様において、C
2−12アルキルは、C
3−12アルキル、例えばC
4−12又はC
6−12アルキルである。
【0316】
一つの態様において、C
2−12アルキルは、C
2−6アルキル、例えばC
2−4アルキルである。
【0317】
アルキル基は、飽和の脂肪族アルキル基である。アルキル基は、直鎖又は分枝鎖アルキル基であることができる。
【0318】
一つの態様において、アルキル基は分枝鎖であり、そして分枝は、−L
2−、−L
1−、又は−X−基に対してαである炭素原子においてではない。
【0319】
一つの態様において、アルキル基上の置換基の数は、アルキル基中の炭素原子の数より多くない。従って、アルキル基がC
2アルキル基である場合、これは、二つより多くない置換基で置換されることができる。
【0320】
一つの態様において、アルキル基中の炭素原子の全数は、−R
6及び−R
7(存在する場合)中に存在する炭素原子の全数を一緒にして、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個又は少なくとも8個である。
【0321】
一つの態様において、アルキル基は、末端炭素において置換基を有する。末端炭素は、これが置換基を保有しない場合、CH
3であるものである炭素原子を指す。分枝鎖アルキル基において、この炭素は、アルキル基の最長の直鎖部分の末端にある炭素原子であることができる。
【0322】
一つの態様において、アルキル基は、末端炭素原子のβ又はγである炭素原子に位置する置換基を有する。
【0323】
先に記述したように、一つの態様において、−NR
6R
7基は、アルキル基に対する置換基として存在する場合、−L
2−、−L
1−、又は−X−基に対してαではない炭素原子に対する置換基である。
【0324】
先に記述したように、一つの態様において、ヒドロキシル基は、アルキル基に対する置換基として存在する場合、−L
2−、−L
1−、又は−X−基に対してαの炭素原子に対する置換基である。
【0325】
一つの態様において、アルキル基は、−L
2−、−L
1−、又は−X−基に対してαの炭素原子における置換基を持たない。
【0326】
一つの態様において、アルキルは、置換されている場合、最大で一つ又は二つの置換基を有し、これは、同一又は異なることができる。
【0327】
本発明の別の側面において、−G基は、C
2−12アルキル基より、むしろC
1−12アルキルであり、そしてこのアルキル基は、ヒドロキシル基及び/又は−NR
6R
7で、必要に応じて置換されている。一つの態様において、−R
5は、C
1−12アルキル、例えばC
1アルキルである。−R
5がC
1アルキルである場合、一つの置換基、例えば一つの−NR
6R
7基が存在する。
【0328】
アルキル基は、以下に更に詳細に記載するように、所望により更に置換されていることができる。一つの態様において、アルキル基は、置換される場合、必要に応じて、ヒドロキシル基又は−NR
6R
7でのみ置換される。
【0329】
C
5−12アリール
ポリミキシン化合物のN末端置換基は、C
5−12アリール基(“一つの基”)を含むか、これであることができる。従って、−Gは、C
5−12アリールであることができる。
【0330】
−GがC
5−12アリールである場合、−L
1−は、共有結合、C
1−12アルキレン又はC
2−10ヘテロアルキレン、例えば共有結合又はC
1−12アルキレンであることができる。
【0331】
−GがC
5−12アリールである場合、−L
2−は、共有結合、又はC
4−12ヘテロシクリル、例えば共有結合であることができる。
【0332】
アリール基は、いずれものヒドロキシル又は−NR
6R
7基に対して追加である置換基で所望により置換される。
【0333】
一つの態様において、C
5−12アリールは、C
5−7アリールである。
【0334】
一つの態様において、C
5−12アリールは、C
6−10カルボアリール(carboaryl)又はC
5−12ヘテロアリールである。
【0335】
一つの態様において、C
5−12アリールは、C
6−10カルボアリールである。
【0336】
一つの態様において、C
6−10カルボアリールは、フェニル又はナフチルである。
【0337】
一つの態様において、C
6−10カルボアリールは、フェニルである。
【0338】
一つの態様において、C
5−12アリールは、C
5−12ヘテロアリール、例えばC
5−10、C
5−6、C
5又はC
6ヘテロアリールである。ヘテロアリールは、一つ又は二つの窒素原子を含有することができ、そして更に又は別に、ヘテロアリールがC
5ヘテロアリールである場合、これは、酸素又は硫黄原子を含有することができる。
【0339】
一つの態様において、C
5−12ヘテロアリールは、独立に、フラニル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリニル又はインドールである。更に又は別に、C
5−12ヘテロアリールは、独立にピリドンである。
【0340】
ヘテロアリールが−G基中に存在する場合、これは、環の炭素原子又は存在する場合、環のN原子を経由して、−L
1−、−L
2−又は−X−に接続される。一つの態様において、ヘテロアリールは、環の炭素原子を経由して接続される。もう一つの態様において、ヘテロアリールは、存在する場合、環の窒素原子を経由して接続される。
【0341】
一つの態様において、C
5−12ヘテロアリールは、フェニル又はピリジンである。
【0342】
疑義の回避のために、“ヘテロアリール”は、(1)環系の一部を形成する一つ又はそれより多い異種原子(例えば、N、O、S)を有し、ここにおいて、環系は、一つの環或いは二つ又はそれより多い縮合環を含んでなり、ここにおいて、環系の少なくとも一つの環は芳香族環であり、そして(2)芳香族環の原子(即ち、環系の一部である芳香族環の一部である環の原子)によって分子の残りに接続される基を指す。例えば:ピリジルは、C
6ヘテロアリール基の例であり;イソキノリルは、C
10ヘテロアリール基の例であり;そして1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−7−イルは、C
10ヘテロアリール基の例である。
【0344】
一つの態様において、芳香族環の原子は、環の異種原子を含有する。
【0345】
一つの態様において、非芳香族環が提供される場合、これは、所望による置換基を持たない(これが一つ又はそれより多いヒドロキシル又は−NR
6R
7基を伴って提供されることはできるが)。
【0346】
もう一つの態様において、非芳香族環が提供される場合、これは、所望により置換されている。非芳香族環のために適した所望による置換基は、シクロアルキル基(非芳香族環が炭素の環の原子のみを含有する場合)及びヘテロシクリル基(非芳香族環が一つ又はそれより多い異種原子の環の原子を含有する場合)に関連して以下で考察される。
【0347】
一つの態様において、ヘテロアリールが二つ又はそれより多い縮合環を含んでなる場合、それぞれの環は、芳香族環である。
【0348】
一つの態様において、ヘテロアリール環は、一つの芳香族環を含んでなる。
【0349】
同様に、“カルボアリール”は、一つの環或いは二つ又はそれより多い縮合環を含んでなる環系を有し、ここにおいて、環系の少なくとも一つの環は芳香族環であり、そして(2)芳香族環の原子(即ち、環系の一部である芳香族環の一部である環の原子)によって分子の残りに接続される基を指す。例えば:フェニルは、C
6カルボアリール基の例であり;そしてテトラリン−6−イルは、C
10カルボアリール基の例である。
【0351】
一つの態様において、カルボアリールが二つ又はそれより多い縮合環を含んでなる場合、それぞれの環は、芳香族環である。
【0352】
一つの態様において、例えば−X−が−C(O)−であり、そして−L
1−及び−L
2−が、そして両方とも共有結合である場合、C
5−12アリールは、ジアミノフェニル、例えば3,5−ジアミノフェニルではない。
【0353】
一つの態様において、例えば−X−が−C(O)−である場合、C
5−12アリールは、トリヒドロキシフェニル、例えば3,4,5−トリヒドロキシフェニルではない。
【0354】
Sandow等(米国特許第5,565,423号)が、修飾されたN末端を有するポリミキシンオクタペプチドを記載していることは注目される。N末端基は、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、カルボキシル、アルキルアミノ及びハロゲンから選択される1、2又は3個の同一又は異なる基によって所望により置換されているフェニル基を含有する。フェニル基は、アルキレンスペーサー及び/又はイミノオキシム基を経由してN末端に連結することができる。別の方法として、N末端基は、2−アミノチアゾール−4−イル基を含有する。
【0355】
Sandow等の作業実施例は、2−アミノチアゾール−4−イル基、ベンジル基又は3,4,5−トリヒドロキシフェニル基を有するオクタペプチドに限定されている。ノナペプチド又はデカペプチドが使用された例はなく、そしてN末端基がアミノ官能基を含有した例もない。
【0356】
WO2012/168820が、修飾されたN末端を有するポリミキシンデカペプチドを記載していることは注目される。出願公開は、N末端基が、他の選択肢中で、アリール、アラルキル、ヘテロアリール及びヘテロアラルキル官能基を含むことができることを示唆している。アリール及びヘテロアリール基は、他の選択肢中で、もう一つのアリール又はヘテロアリール基に連結することができる。リンカーは、結合、−(CH
2)
n−、−(CH
2)
n−O−(CH
2)
p−、−(CH
2)
n−S−(CH
2)
p−、又は−(CH
2)
n−NR
3−(CH
2)
p−であることができ、ここで、nは、0、1、2又は3であり;そしてpは、0、1、2又は3であり;そしてR
3は、H又はCH
3である。
【0357】
WO2012/168820の作業実施例は、一つのアリール又はヘテロアリール基がもう一つのアリール又はヘテロアリール基に直接連結される化合物に限定されている。リンカーが存在する実施例はない。
【0358】
本事例の化合物は、少なくとも、本事例の化合物が、アリール基が、もう一つのアリール基を経由してポリミキシンノナペプチド誘導体のN末端に連結する誘導体を含まないという理由のために、WO2012/168820中の化合物に対して識別可能である。本事例において、アリール基−Gは、N末端に、直接、又は連結基−L
2−L
1−を経由して連結している。連結基−L
2−L
1−は、アリーレンを含まない。
【0359】
更に、本事例の化合物は、N末端基−R
5が、ヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7置換基を保有するか、又は窒素含有ヘテロアルキレン、ヘテロシクリレン又はヘテロシクリル基を保有することを標榜する。このような基は、WO2012/168820中に例示された化合物には非存在である。本事例中の作業及び比較実施例は、化合物がこの必要な官能基を保有しない化合物は、劣った生物学的活性を有することを証明する。ピペリジンのN末端基を含有する実施例化合物37は、N末端基内にピリジンを含有する比較実施例化合物C5と比較することができる。化合物37は、C5と比較した場合、各種のK.pneumoniae及びP.aeruginosa株に対して優れた活性を有する(表5Aを参照されたい)。
【0360】
ヘテロシクリル及びヘテロシクリレンは、本明細書中で言及されるように、少なくとも一つの非芳香族環を有する基を指すことは注目される。ヘテロアリールが、少なくとも一つの異種原子含有環、例えば少なくとも一つの異種原子含有芳香族環を有する基を指すために本明細書中で使用されることが注目される。
【0361】
N末端にアリール基を有する化合物は、更にMagee at al,J.Med.Chem.,2013,56,5079によって記載されている。例は、アリール基がポリミキシンノナペプチド誘導体のN末端にピリドン基を経由して連結される化合物5xである。このような化合物は、本事例の定義によって包含されない。上記で説明したように、ピリドン基は、リンカー−L
2−に関連して使用されるような用語の意味内のヘテロシクレン基であると考えられない。化合物5xが、P.aeruginosa株に対するマウスの好中球減少性大腿モデルにおけるPMBと比較して、より少ない活性であることが見いだされていることは注目される。
【0362】
アリール基の置換基
−R
5基は、例えば−Gが縮合芳香族環を含有するC
5−12アリール又はC
3−10シクロアルキルである場合、又は−Dが縮合芳香族環を含有するC
4−10ヘテロシクリルである場合、アリール基を含むことができる。
【0363】
それぞれのアリール基は、一つ又はそれより多い置換基で所望により置換される。
【0364】
アリール基が所望により置換されている場合、一つ、二つ又は三つの所望による置換基が存在することができる。
【0365】
ヘテロアリール基が置換される場合、置換基は環の炭素原子、例えば芳香族環の炭素原子上に提供されることができる。
【0366】
それぞれの所望による置換基は、−C
1−4アルキル、ハロ、−CN、−NO
2、−CF
3、−NR
10C(O)R
10、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−OCF
3、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、−SR
9、−NR
10SO
2R
10、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10からなるリストから選択され、ここで、それぞれの−R
9は、独立に−C
1−4アルキルであり、そしてそれぞれの−R
10は、独立に−H又は−C
1−4アルキルである。
【0367】
別の態様において、それぞれの所望による置換基は、−C
1−8アルキル、例えば−C
1−4アルキル、ハロ、−CN、−NO
2、−CF
3、−C(O)R
10、−NR
10C(O)R
10、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−OCF
3、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、−SR
9、−NR
10SO
2R
10、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10からなるリストから選択され、ここで、それぞれの−R
9は、独立に−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、そして それぞれの−R
10は、独立に−H又は−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4 アルキルである。
【0368】
一つの態様において、それぞれの所望による置換基は、−C
1−8アルキル、例えば−C
1−4アルキル、ハロ、−NR
10C(O)R
10、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−OCF
3、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、及び−SR
9から独立に選択され、ここで、それぞれの−R
9は、独立に−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、そして それぞれの−R
10は、独立に−H又は−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4 アルキルである。
【0369】
一つの態様において、それぞれの所望による置換基は、−C
1−8アルキル、例えば−C
1−4アルキル及びハロから独立に選択される。
【0370】
一つの態様において、ハロ基は、−F、−Cl又はBrである。
【0371】
一つの態様において、置換基は、−C
1−8アルキル、例えば−C
1−4アルキルである。
【0372】
一つの態様において、窒素原子が芳香族中に提供される場合、これは、R
9又はR
10で、適宜、所望により置換されることができる。典型的には、芳香族環の窒素原子は、非置換であるか、或いはC
1−8アルキル、例えば−C
1−4アルキル、−C(O)R
10、−CON(R
10)
2、−COOR
9、SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10で所望により置換される。芳香族の窒素の環の原子の置換に対する言及は、例えばNHがピロール、ピラゾール及びイミダゾールのような芳香族基中に存在する場合、NH基中の水素ラジカルの置換基による置換を指す。
【0373】
所望による置換基は、−C
1−8アルキル、例えば−C
1−4アルキル、例えば−R
9又は−R
10を、単独で又は大きい置換基の一部としてのいずれかで含むことができる。それぞれの存在する−C
1−8アルキル基、例えば−C
1−4アルキル基が、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7基で置換されることができることは注目される。
【0374】
一つの態様において、−R
9又は−R
10は、ヒドロキシル又は−NR
6R
7基で置換されない。
【0375】
アルキル、シクロアルキル及びヘテロシクリル基の置換基
一つの態様において、アルキル、シクロアルキル又はヘテロシクリル基が−R
5中に存在する場合、この基は、−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキル、ハロ、−CN、−NO
2、−F
3、−C(O)R
10、−NR
10C(O)R
10、−OCF
3、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、−SR
9、−NR
10SO
2R
10、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10から選択される一つ又はそれより多い置換基で、アルキルがアルキルで置換されないことを除き、独立に所望により置換され、ここで、それぞれの−R
9は、独立に−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、そして それぞれの−R
10は、独立に−H又は−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4 アルキルである。
【0376】
一つの態様において、所望による置換基は、選択された−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキル、−CN、−NO
2、−C(O)R
10、−NR
10C(O)R
10、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、−SR
9、−NR
10SO
2R
10、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10であり、ここで、それぞれの−R
9及び−R
10は上記で定義したとおりである。
【0377】
一つの態様において、所望による置換基は、選択された−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキル、−NR
10C(O)R
10、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、−SR
9、−NR
10SO
2R
10、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10であり、ここで、それぞれの−R
9及び−R
10は上記で定義したとおりである。
【0378】
一つの態様において、アルキル、シクロアルキル、又はヘテロシクリル基は、所望による置換基を提供されない。
【0379】
一つの態様において、それぞれの所望による置換基は、−C
1−8アルキル、例えば−C
1−4アルキルから独立に選択される。
【0380】
一つの態様において、それぞれの所望による置換基は、−C
1−8アルキル、例えば−C(O)R
10から独立に選択される。
【0381】
複素環基は、環の炭素原子又は環の窒素原子上で置換されることができる。複素環基が窒素において置換される場合、置換基はその原子に対して適当に選択される。例えば、窒素の環の原子は、−C
1−4アルキル、−CF
3、−C(O)R
10、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10から選択される基で置換することができる。更なる例において、窒素の環の原子は、−C
1−4アルキル、−C(O)R
10、及び−COOR
9で置換されることができる。
【0382】
所望による置換基は、−C
1−8アルキル、例えば−C
1−4アルキル、例えば−R
9又は−R
10を、単独で又は大きい置換基の一部として含むことができる。それぞれの存在する−C
1−8アルキル基、例えばそれぞれの−C
1−4アルキル基が、一つ、二つ又は三つのヒドロキシル及び/又は−NR
6R
7基で置換されることができることは注目される。
【0383】
一つの態様において、−R
9又は−R
10は、ヒドロキシル又は−NR
6R
7基で置換されない。
【0384】
−R
6及び−R
7
一つの態様において、それぞれの−R
6及び−R
7は、存在する場合、Hである。
【0385】
一つの態様において、−R
6はHであり、そして−R
7は、アルキル、例えばメチル又はエチル、例えばメチルである。
【0386】
一つの態様において、−R
6は、メチル又はエチル、例えばメチルである。
【0387】
−Gがアリール又はシクロアルキル基である場合、−R
6及び−R
7は、窒素原子と一緒に、複素環、例えばC
4−10ヘテロシクリルを形成することができる。
【0388】
一つの態様において、C
4−10ヘテロシクリルは、N、S及びOから選択される一つ又は二つの異種原子を含有する。S原子が存在する場合、これは、S、S(O)又はS(O)
2の形態であることができる。N原子が存在する場合、これは、NH又はNRの形態であることができ、ここで、−Rは、C
1−4アルキル、例えばメチル又はエチルである。
【0389】
一つの態様において、C
4−10ヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ジオキサニル、チオモルホリニル(酸化されたチオモルホリニルを含む)、又はピロリジニルである。
【0390】
一つの態様において、C
4−10ヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル、チオモルホリニル(酸化されたチオモルホリニルを含む)、ピロリジニル又はモルホリニルである。
【0391】
一つの態様において、C
4−10ヘテロシクリルは、ピペリジニル、ピペラジニル又はピロリジニルである。
【0392】
一つの態様において、一つの基−NR
7R
8は、存在する場合、グアニジン基、例えば−NHC(NH)NH
2である。
【0393】
−R
9
一つの態様において、−R
9は、メチル又はエチルである。
【0394】
一つの態様において、−R
9は、メチルである。
【0395】
−R
10
一つの態様において、−R
10は、−Hである。
【0396】
一つの態様において、−R
10は、メチル又はエチルである。
【0397】
一つの態様において、−R
10は、メチルである。
【0398】
塩、溶媒和物及び他の形態
式(I)及び(II)の化合物の塩の例は、全ての医薬的に受容可能な塩、例えば、制約されるものではないが、強無機酸の酸付加塩、例えばHCl及びHBr塩、並びに強有機酸の付加塩、例えばメタンスルホン酸塩を含む。塩の更なる例は、硫酸塩及び酢酸塩、例えばトリフルオロ酢酸塩又はトリクロロ酢酸塩を含む。
【0399】
一つの態様において、本開示の化合物は、硫酸塩又はトリフルオロ酢酸(TFA)塩として提供される。一つの態様において、本開示の化合物は、酢酸塩として提供される。
【0400】
式(I)及び(II)の化合物は、更にプロドラッグとして処方することができる。プロドラッグは、本明細書中に記載される、一つ又はそれより多いアミノ基が、in vivoで開裂して、生物学的に活性な化合物を放出することができる基で保護されている抗細菌化合物含むことができる。一つの態様において、プロドラッグは、“アミンプロドラッグ”である。アミンプロドラッグの例は、例えば、Bergen et al,Antimicrob.Agents and Chemotherapy,2006,50,1953中に記載されているようなスルホメチル、又は例えばSchechter et al,J.Med Chem 2002,45(19)4264中に記載されているようなHSO
3−FMOC及びその塩を含む。アミンプロドラッグの更なる例は、Krise and Oliyai in Biotechnology:Pharmaceutical Aspects,2007,5(2),101−131によって与えられている。
【0401】
一つの態様において、式(I)又は(II)の化合物は、プロドラッグとして提供される。
【0402】
式(I)又は(II)の化合物に対する言及は、更にこの化合物の溶媒和物に対する言及でもある。溶媒和物の例は、水和物を含む。
【0403】
式(I)又は(II)の化合物は、原子が、天然に存在する又は天然に存在しない同位元素によって置換された化合物を含む。一つの態様において、同位元素は、安定な同位元素である。従って、本明細書に記載される化合物は、例えば重水素を含有する化合物等を含む。例えば、Hは、
1H、
2H(D)、及び
3H(T)を含むいずれもの同位元素の形態であることができ;Cは、
12C、
13C、及び
14Cを含むいずれもの同位元素の形態であることができ;Oは、
16O及び
18Oを含むいずれもの同位元素の形態であることができる;等である。
【0404】
式(I)又は(II)のある種の化合物は、制約されるものではないが、cis及びtrans型;E及びZ型;c、t、及びr型;エンド及びエキソ型;R、S及びメソ型;D及びL型;d及びl型;(+)及び(−)型;ケト、エノール、及びエノラート型;シン及びアンチ型;向斜及び背斜型;α及びβ型;アキシアル及びエクアトリアル型;ボート、イス、ネジレ、封筒、及び半イス型;及びこれらの混合物を含む一つ又はそれより多い特定の幾何、光学、鏡像異性、ジアステレオ異性、エピマー、アトロプ、立体異性、互変異性、配座異性、又はアノマーの形態で存在することができ、本明細書中で、以下集合的に“異性体”(又は異性の形態)と呼ぶ。
【0405】
互変異性型に対して以下で考察されるようなものを除き、本明細書中で使用されるような“異性体”の用語から除外されるものは、構造的(構成的)異性体(即ち、単に空間中の原子の位置によるより、むしろ原子間の接続において異なる異性体)であることに注意されたい。例えば、メトキシ基、−OCH
3に対する言及は、その構造異性体、ヒドロキシメチル基、−CH
2OHに対する言及とは解釈されない。同様に、オルト−クロロフェニルに対する言及は、その構造異性体、メタ−クロロフェニルに対する言及とは解釈されない。然しながら、構造の群に対する言及は、その群に入る構造的異性の形態を十分に含むことができる(例えば、C
1−6アルキルは、n−プロピル及びイソ−プロピルを含み;ブチルは、n−、イソ−、sec−、及びtert−ブチルを含み;メトキシフェニルは、オルト−、メタ−、及びパラ−メトキシフェニルを含む)。
【0406】
他に規定しない限り、特定の化合物に対する言及は、その混合物(例えば、ラセミ混合物)を含む全てのこのような異性の形態を含む。このような異性の形態の調製(例えば不斉合成)及び分離(例えば、分別結晶化及びクロマトグラフ的手段)の方法は、当技術において既知であるか、又は本明細書中で教示される方法、或いは既知の様式を適合することによるかのいずれかによって容易に得ることができる。
【0407】
本発明の一つの側面は、実質的に精製された形態及び/又は実質的に混入物を含まない形態の化合物に関する。
【0408】
一つの態様において、実質的に精製された形態は、少なくとも50重量%、例えば少なくとも60重量%、例えば少なくとも70重量%、例えば少なくとも80重量%、例えば少なくとも90重量%、例えば少なくとも95重量%、例えば少なくとも97重量%、例えば少なくとも98重量%、例えば少なくとも99重量%である。
【0409】
規定されない場合、実質的に精製された形態は、いずれもの立体異性又は鏡像異性の形態の化合物を指す。例えば、一つの態様において、実質的に精製された形態は、即ち、他の化合物に関して精製された、立体異性体の混合物を指す。一つの態様において、実質的に精製された形態は、一つの立体異性体、例えば光学的に純粋な立体異性体を指す。一つの態様において、実質的に精製された形態は、鏡像異性体の混合物を指す。一つの態様において、実質的に精製された形態は、鏡像異性体の等モルの混合物(即ち、ラセミ混合物、ラセミ体)を指す。一つの態様において、実質的に精製された形態は、一つの鏡像異性体、例えば光学的に純粋な鏡像異性体を指す。
【0410】
一つの態様において、混入物は、50重量%より多くない、例えば40重量%より多くない、例えば30重量%より多くない、例えば20重量%より多くない、例えば10重量%より多くない、例えば5重量%より多くない、例えば3重量%より多くない、例えば2重量%より多くない、例えば1重量%より多くないことを表す。
【0411】
規定しない限り、混入物は、他の化合物、即ち、立体異性体又は鏡像異性体以外のものを指す。一つの態様において、混入物は他の化合物及び他の立体異性体を指す。一つの態様において、混入物は、他の化合物及び他の鏡像異性体を指す。
【0412】
一つの態様において、実質的に精製された形態は、少なくとも60%光学的に純粋(即ち、モル基準で化合物の60%が所望の立体異性体又は鏡像異性体であり、そして40%は所望しない立体異性体又は鏡像異性体である)、例えば少なくとも70%光学的に純粋、例えば少なくとも80%光学的に純粋、例えば少なくとも90%光学的に純粋、例えば少なくとも95%光学的に純粋、例えば少なくとも97%光学的に純粋、例えば少なくとも98%光学的に純粋、例えば少なくとも99%光学的に純粋である。
【0413】
好ましい化合物
一つの態様において、式(I)又は(II)の化合物は、本明細書中に記載される例示される化合物からなる群から選択される。
【0414】
本発明の一つの側面において、式(I)の化合物が提供される。
【0415】
一つの態様において、化合物は、式(I)の化合物であり、但し、一緒のR
5−X−は、Lys、Arg、Dap、Ser、Dab、Dgp(α,β−ジグアニジノプロパノイル)、Thr及びAbuからなるリストから選択される基ではないことを条件とする。条件は、−A−が共有結合である場合に適用することができる。それぞれのアミノ酸は、L−アミノ酸であることができる。
【0416】
一つの態様において、化合物は、式(I)の化合物であり、但し、一緒のR
5−X−は、2−アミノシクロヘキシル、3−アミノシクロヘキシル及び4−アミノシクロヘキシルからなるリストから選択される基ではないことを条件とする。条件は、−A−が共有結合である場合に適用することができる。
【0417】
上記のそれぞれの条件は、化合物の核がポリミキシンBノナペプチドである場合、即ち、−R
1ないし−R
4及び−R
8がポリミキシンBノナペプチド中に存在する置換基を有する場合にのみ適用される。
【0418】
治療の方法
式(I)及び(II)の化合物、又はこれらの化合物を含有する医薬的製剤は、治療及び予防の方法における使用のために適している。化合物は、それを必要とする被験者に投与することができる。化合物は、活性剤(“第2の活性剤”)、例えば第2の活性剤、即ち、抗細菌剤と一緒の使用のために適している。
【0419】
式(I)及び(II)の化合物は、療法によるヒト又は動物の身体の治療の方法における使用のためのものである。本発明の幾つかの側面において、式(I)及び(II)の化合物は、微生物感染を治療するために、哺乳動物の被験者、例えばヒトに投与することができる。
【0420】
本発明のもう一つの側面は、治療における使用のための医薬の製造における式(I)及び(II)の化合物の使用に関する。一つの態様において、医薬は、式(I)及び(II)の化合物を含んでなる。一つの態様において、医薬は、微生物感染の治療における使用のためのものである。
【0421】
用語“微生物感染”は、宿主動物の病原性微生物による侵襲を指す。これは、動物の身体中又は身体上に通常存在する微生物の過剰な増殖を含む。更に一般的に、微生物感染は、微生物集団(一つ又は複数)の存在が宿主動物を損傷しているいずれもの状況であることができる。従って、動物は、過剰の数の微生物集団が動物の身体中に又は身体上に存在する場合、或いは微生物集団(一つ又は複数)の存在が動物の細胞又は他の組織を損傷している場合、微生物感染に“罹って”いる。
【0422】
化合物は、微生物感染、又は微生物、例えば細菌からの感染の危険性を有する被験者を治療するために使用することができる。
【0423】
微生物感染は、細菌感染、例えばグラム陰性菌感染であることができる。
【0424】
グラム陰性菌の例は、制約されるものではないが、Escherichia spp.、Klebsiella spp.、Enterobacter spp.、Salmonella spp.、Shigella spp.、Citrobacter spp.、Morganella morganii、Yersinia pseudotuberculosis及び他の腸内細菌科、Pseudomonas spp.、Acinetobacter spp.、Moraxella、Helicobacter、Stenotrophomonas、Bdellovibrio、酢酸バクテリア、Legionella及びアルファ−プロテオバクテリア、例えばWolbachia及び多くの他のものを含む。
【0425】
医学的に関連するグラム陰性球菌は、性感染症(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎(Neisseria meningitidis)、及び呼吸器症状(Moraxella catarrhalis)を起こす三つの生物体を含む。
【0426】
医学的に関連するグラム陰性桿菌は、多数の種を含む。その幾つかは、主として、呼吸器の問題(Hemophilus influenzae,Klebsiella pneumoniae,Legionella pneumophila,Pseudomonas aeruginosa)、主として尿の問題(Escherichia coli, Enterobacter cloacae)、及び主として消化器の問題(Helicobacter pylori、Salmonella enterica)を起こす。
【0427】
院内感染に関係するグラム陰性細菌は、Acinetobacter baumanniiを含み、これは、菌血症、続発性髄膜炎、及び病院施設の集中治療室の人工呼吸器関連肺炎を起こす。
【0428】
一つの態様において、グラム陰性細菌種は、E.coli、S.enterica、K.pneumoniae、K.oxytoca;E.クロアカ、E.エロゲネス、E.アルロメランス、A.calcoaceticus、A.baumannii;Pseudomonas aeruginosa、Stenotrophomonas maltophila、Providencia stuartii、P.mirabilis、及びP.vulgarisからなる群から選択される。
【0429】
一つの態様において、グラム陰性細菌種は、E.coli、K.pneumoniae、Pseudomonas aeruginosa、及びA.baumanniiからなる群から選択される。
【0430】
式(I)又は(II)の化合物或いは同一物を含んでなる組成物は、皮膚及び軟組織感染、消化器感染、尿路感染、肺炎、敗血症、腹腔内感染及び産/婦人科感染の治療のために有用である。感染は、グラム陽性又はグラム陰性細菌感染であることができる。
【0431】
式(I)又は(II)の化合物或いは同一物を含んでなる組成物は、P.aeruginosa感染を含むPseudomonas感染、例えば皮膚及び軟組織感染、消化器感染、尿路感染、肺炎及び敗血症の治療のために有用である。
【0432】
式(I)又は(II)の化合物或いは同一物を含んでなる組成物は、肺炎、尿路感染及び敗血症に対する、A.baumanii感染を含むAcinetobacter感染の治療のために有用である。
【0433】
式(I)又は(II)の化合物或いは同一物を含んでなる組成物は、肺炎、尿路感染、髄膜炎及び敗血症に対する、K.pneumoniae感染を含むKlebsiella感染の治療のために有用である。
【0434】
式(I)又は(II)の化合物或いは同一物を含んでなる組成物は、菌血症、胆嚢炎、胆管炎、尿路感染、新生児髄膜炎、及び肺炎に対する、E.coli感染を含むE.coli感染の治療のために有用である。
【0435】
活性剤は、微生物に対する活性を有する薬剤であることができる。活性剤は、グラム陰性細菌に対して活性であることができる。活性剤は、上記に与えたリストから選択される微生物に対して活性であることができる。
【0436】
一つの態様において、第2の活性剤は、式(I)又は(II)の化合物の非存在において、微生物、例えばE.coliに対する10マイクログラム/mL又はそれより小さいMIC値を有する。微生物は、上記の群から選択される微生物であることができる。
【0437】
第2の活性剤としての使用のための具体的な化合物は、本明細書中に記載され、そして:
リファンピシン、リファブチン、リファラジル、リファペンチン、及びリファキシミン;
オキサシリン、メチシリン、アンピシリン、クロキサシリン、カルベニシリン、ピペラシリン、チカルシリン(tricarcillin)、フルクロキサシリン、及びナフシリン;
アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、テリスロマイシン、セスロマイシン、及びソリスロマイシン;
アズトレオナム及びBAL30072;
メロペネム、ドリペネム、イミペネム、エルタペネム、ビアペネム、トモペネム、及びパニペネム;
チゲサイクリン、オマダサイクリン、エラバサイクリン、ドキシサイクリン、及びミノサイクリン;
シプロフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、及びデラフロキサシン;
フシジン酸;
ノボビオシン;
テイコプラニン、テラバンシン、ダルババンシン、及びオリタバンシン;
並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物;
を含む。
【0438】
一つの態様において、第2の活性剤としての使用のための具体的な化合物は本明細書中に記載され、そしてリファンピシン(リファンピン)、リファブチン、リファラジル、リファペンチン、リファキシミン、アズトレオナム、オキサシリン、ノボビオシン、フシジン酸、アジスロマイシン、シプロフロキサシン、メロペネム、チゲサイクリン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、及びムピロシン、並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物を含む。
【0439】
別の側面において、式(I)及び(II)の化合物は、例えば抗真菌剤と一緒の組合せにおいて、真菌感染の治療における使用のために適している。抗真菌剤は、ポリエン抗真菌剤、例えばアンホテリシンB、イミダゾール、トリアゾール、又はチアゾール真菌剤、例えばミコナゾール(micaonazole)、フルコナゾール又はアバファンジン(abafungin)、アリルアミン、エキノキャンディン、又は他の薬剤、例えばシクロピロクスから選択することができる。
【0440】
治療
用語“治療”は、症状を治療する文脈において本明細書中で使用される場合、ヒト又は動物(例えば獣医学的適用)であるかに関わらず、一般的に、幾つかの所望の治療効果、例えば、症状の進行の阻害が達成される治療及び療法に関係し、そして進行の速度の減少、進行の速度の停止、症状の徴候の軽減、症状の回復、及び症状の治癒を含む。予防的手段(即ち予防法)としての治療も更に含まれる。例えば、症状をいまだ発症していないが、しかし症状を発症する危険性を持つ患者に伴う使用は、用語“治療”に包含される。
【0441】
用語“治療的に有効な量”は、本明細書中で使用する場合、所望の治療計画によって投与された場合、妥当な利益/危険度比と釣り合った、ある程度の所望の治療効果を産生するために有効な化合物、又は物質、化合物を含んでなる組成物又は剤形の量に関する。
【0442】
用語“治療”は、本明細書中に記載されるような組合せ治療及び療法を含み、ここにおいて、二つ又はそれより多い治療剤又は療法が、例えば連続的に又は同時に組合される。
【0443】
組合せ療法
式(I)及び(II)の化合物は、活性剤と併せて投与することができる。
【0444】
投与は、同時、別個又は連続であることができる。
【0445】
投与の方法及び様式は、式(I)又は(II)の化合物及び第2の薬剤の薬物動態に依存するものである。
【0446】
“同時” 投与によって、式(I)又は(II)の化合物及び第2の薬剤が、同一経路の投与による単一投与で被験者に投与されることを意味する。
【0447】
“別個”投与によって、式(I)又は(II)の化合物及び第2の薬剤が、同時に起こる二つの異なった経路の投与によって被験者に投与されることを意味する。これは、例えば一つの薬剤が注入によって投与され、そして他方が注入の過程中に経口投与される場合に起こることができる。
【0448】
“連続”によって、二つの薬剤が異なった時点で投与されることを意味し、但し、最初に投与された薬剤の活性が、第2の薬剤が投与された時点で被験者中に存在し、そして継続していることを条件とする。
【0449】
一般的に、連続投与は、二つの薬剤の二番目が、最初の薬剤の48時間内に、好ましくは24時間内、例えば12、6、4、2又は1時間(単数又は複数)内に投与されるように起こるものである。別の方法として、最初に活性剤を、続いて式(I)又は(II)の化合物を投与することができる。
【0450】
最終的に、組合せ治療における化合物及び第2の薬剤の投与の順序並びに時間は、それぞれの薬物動態学的特性に依存するものである。
【0451】
被験者に投与される式(I)又は(II)の化合物の量は、最終的に、治療される被験者の特質及び疾病に依存するものである。同様に、被験者に投与される活性剤の量は、最終的に、被験者及び治療される疾病の特質に依存するものである。
【0452】
製剤
一つの側面において、本発明は、式(I)又は(II)の化合物を、医薬的に受容可能な担体と一緒に含んでなる医薬組成物を提供する。医薬組成物は、第2の活性剤を更に含んでなることができる。別の態様において、第2の薬剤が治療のために提供される場合、第2の薬剤は、式(I)又は(II)の化合物と別個に処方することができる。従って、式(I)又は(II)の化合物に関して以下で行われる解説は、別個に処方される場合、第2の薬剤にも適用することができる。
【0453】
式(I)又は(II)の化合物を、単独で又は第2の薬剤と一緒に投与することは可能であるが、これを、少なくとも一つの本明細書中に記載するような式(I)又は(II)の化合物と、制約されるものではないが、医薬的に受容可能な担体、希釈剤、賦形剤、アジュバント、充填剤、緩衝剤、保存剤、抗酸化剤、潤滑剤、安定剤、可溶化剤、界面活性剤(例えば、湿潤剤)、遮蔽剤、着色剤、芳香剤、及び甘味剤を含む、一つ又はそれより多い当業者にとって公知の他の医薬的に受容可能な成分とを一緒に含んでなる医薬製剤(例えば、組成物、製剤、医薬)として与えることが好ましい。製剤は、更に他の活性剤、例えば、他の治療又は予防剤を含んでなることができる。
【0454】
従って、本発明は、更に、先に定義したような医薬組成物、及び本明細書中に記載されるような少なくとも一つの式(I)又は(II)の化合物を、一つ又はそれより多い当業者にとって公知の他の医薬的に受容可能な成分、例えば、担体、希釈剤、賦形剤、等と一緒に混合することを含んでなる医薬組成物を製造する方法を提供する。別々の単位(例えば、錠剤、等)として処方される場合、それぞれの単位は、所定の量(投与量)の化合物を含有する。組成物は、所望により更に、第2の活性成分を所定の量で含んでなる。
【0455】
用語“医薬的に受容可能”は、本明細書中で使用する場合、健全な医学的判断の範囲において、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、或いは他の問題又は合併症を伴わずに、妥当な利益/危険度の比と釣り合って、当該被験者(例えばヒト)の組織との接触における使用のために適している化合物、成分、物質、組成物、剤形、等に関する。それぞれの担体、希釈剤、賦形剤、等は、更に、製剤の他の成分と適合性であるという意味で“受容可能”でなければならない。
【0456】
適した担体、希釈剤、賦形剤、等は、標準的な医薬の教科書、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th edition,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1990;及びHandbook of Pharmaceutical Excipients,5th edition,2005中に見出すことができる。
【0457】
製剤は、薬学の技術で公知のいずれもの方法によって調製することができる。このような方法は、式(I)又は(II)の化合物を、一つ又はそれより多い補助成分を構成する担体と混合する工程を含む。一般的に、製剤は、化合物を担体(例えば、液体担体、微細に分割された担体、等)と共に均一に、そして緊密に混合し、そして次いで、必要な場合、生成物を成形することによって調製される。
【0458】
製剤は、急速又は緩慢放出;即時、遅延、時限、又は継続放出;或いはこれらの組合せで提供するために調製することができる。
【0459】
製剤は、適当には、液体、溶液(例えば、水性、非水性)、懸濁液(例えば、水性、非水性)、乳液(例えば、水中油、油中水)、エリキシル、シロップ、舐剤、口腔洗浄剤、ドロップ、錠剤(例えば、被覆錠剤を含む)、顆粒、粉末、ロゼンジ、トローチ、カプセル(例えば、硬質及び軟質ゼラチンカプセルを含む)、カシェー、丸薬、アンプル、ボーラス、座薬、ペッサリー、チンキ、ゲル、ペースト、軟膏、クリーム、ローション、油、泡、噴霧、霧、又はエアゾールの形態であることができる。
【0460】
製剤は、適当には、例えば、透過、浸透、及び吸収向上剤を含む一つ又はそれより多い化合物、及び所望により一つ又はそれより多い他の医薬的に受容可能な成分で含浸された貼布、絆創膏、包帯、ドレッシング材、等として提供される。製剤は、更に、適当には、デポー又はリザーバーの形態で提供することができる。
【0461】
化合物は、一つ又はそれより多い他の医薬的に受容可能な成分中に溶解、懸濁、又は混合することができる。化合物は、化合物が、例えば血液成分或いは一つ又はそれより多い器官を標的とするように設計されたリポソーム又は他の微粒子中で提示されることができる。リポソームが使用される場合、リポソームが、式(I)又は(II)の化合物及び第2の薬剤の両方を含有することができることが注目される。
【0462】
経口投与のために適した製剤は(例えば、経口摂取による)、液体、溶液(例えば、水性、非水性)、懸濁液(例えば、水性、非水性)、乳液(例えば、水中油、油中水)、エリキシル、シロップ、舐剤、錠剤、顆粒、粉末、カプセル、カシェー、丸薬、アンプル、ボーラスを含む。
【0463】
頬側投与のために適した製剤は、口腔洗浄剤、ロゼンジ、トローチ、並びに、貼布、絆創膏、デポー、及びリザーバーを含む。ロゼンジは、典型的には、通常スクロース及びアラビアゴム又はトラガカントゴムである芳香基剤中の化合物を含んでなる。トローチは、典型的には、不活性基質、例えばゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアラビアゴム中の化合物を含んでなる。口腔洗浄剤は、典型的には、適した液体担体中の化合物を含んでなる。
【0464】
舌下投与のために適した製剤は、錠剤、ロゼンジ、トローチ、カプセル、及び丸薬を含む。
【0465】
口腔粘膜経由投与のために適した製剤は、液体、溶液(例えば、水性、非水性)、懸濁液(例えば、水性、非水性)、乳液(例えば、水中油、油中水)、口腔洗浄剤、ロゼンジ、
トローチ、並びに貼布、絆創膏、デポー、及びリザーバーを含む。
【0466】
非口腔粘膜経由投与のために適した製剤は、液体、溶液(例えば、水性、非水性)、懸濁液(例えば、水性、非水性)、乳液(例えば、水中油、油中水)、座薬、ペッサリー、ゲル、ペースト、軟膏、クリーム、ローション、油、並びに貼布、絆創膏、デポー、及びリザーバーを含む。
【0467】
経皮投与のために適した製剤は、ゲル、ペースト、軟膏、クリーム、ローション、及び油、並びに貼布、絆創膏、包帯、ドレッシング、デポー、及びリザーバーを含む。
【0468】
錠剤は、慣用的手段、例えば、所望により一つ又はそれより多い補助成分と共に、圧縮又は成形することによって製造することができる。圧縮錠剤は、自由流動形態、例えば粉末又は顆粒の化合物を、所望により一つ又はそれより多い結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、アラビアゴム、ソルビトール、トラガカントゴム、ヒドロキシピロピルメチルセルロース);充填剤又は希釈剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロース、リン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ);崩壊剤(例えば、グリコール酸デンプンナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム);表面活性或いは分散又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム);保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸);芳香剤、芳香向上剤、及び甘味剤と共に混合し、適した機械で圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿潤化された粉末の化合物を、適した機械で成形することによって製造することができる。錠剤は、所望により被覆し、又は刻み目を入れることができ、そして例えば、所望の放出特性を提供するために、各種の比率のヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用して、その中の化合物の遅延又は制御放出を提供するように処方することができる。錠剤は、所望により被覆、例えば、放出に影響するために、例えば胃ではなく腸の一部における放出を提供するための腸溶性被覆を伴って提供することができる。
【0469】
軟膏は、典型的には、化合物及びパラフィン系又は水混和性の軟膏基剤から調製される。
【0470】
クリームは、典型的には、化合物及び水中油クリーム基剤から調製される。所望する場合、クリーム基剤の水相は、例えば、少なくとも30重量/重量%の多価アルコール、即ち、二つ又はそれより多いヒドロキシル基を有するアルコール、例えばプロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール及びポリエチレングリコール並びにこれらの混合物を含むことができる。局所製剤は、好ましくは、皮膚又は影響された部位を通る化合物の吸収又は浸透を向上する化合物を含むことができる。このような皮膚透過向上物質の例は、ジメチルスルホキシド及び関連する類似体を含む。
【0471】
乳剤は、典型的には、化合物及び所望により単に乳化剤(他にエマルジェント(emulgents)として知られる)を含んでなることができる、或いは少なくとも一つの乳化剤の脂肪又は油との、或いは脂肪及び油の両方との混合物を含んでなることができる油性相から調製される。好ましくは、親水性乳化剤が、安定剤として作用する親油性乳化剤と一緒に含まれる。油及び脂肪の両方を含むことが更に好ましい。まとめれば、安定剤(一つ又は複数)を伴う又は伴わない乳化剤(一つ又は複数)は、いわゆる乳化ワックスを作り出し、そして油及び/又は脂肪と一緒のワックスは、いわゆる乳化軟膏基剤を作り出し、これは、クリーム製剤の油分散相を形成する。
【0472】
適したエマルジェント及び乳化安定剤は、Tween60、Span80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、及びラウリル硫酸ナトリウムを含む。製剤のための適した油又は脂肪の選択は、医薬的な乳化製剤に使用される可能性のある殆どの油中の化合物の溶解度が、非常に低いものであり得るために、所望の美容的特性を達成することに基づく。従って、クリームは、好ましくは、チューブ又は他の容器からの漏洩を回避するための適した稠度を伴う、べたべたせず、染まらない、そして洗浄可能な産物でなければならない。例えばジ−イソアジピン酸の直鎖或いは分枝鎖の一又は二塩基性アルキルエステル、ステアリン酸イソセチル、ココナツ脂肪酸のプロピレングリコールのジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル又はクロダモルCAPとして知られる分枝鎖エステルのブレンドを使用することができ、最後の三つが好ましいエステルである。これらは、必要な特性により、単独で又は組合せて使用することができる。別の方法として、高融点脂質、例えば白色軟質パラフィン及び/又は液体パラフィン或いは他の鉱油を使用することができる。
【0473】
鼻腔内投与のために適した製剤は、担体が液体である場合、例えば鼻腔噴霧、点鼻剤を含み、或いはネブライザーによるエアゾール投与によるものは化合物の水性又は油性溶液を含む。投与の別の方法として、乾燥粉末の送達を、噴霧化エアゾールの代替物として使用することができる。
【0474】
鼻腔内投与のために適した製剤は、担体が固体である場合、例えば、嗅ぎ薬が摂取される様式で、即ち鼻に密接して保持された粉末の容器からの鼻腔を経由する急速な吸入により投与される、例えば約20ないし約500ミクロンの範囲の粒子サイズを有する粗い粉末として提示されるものを含む。
【0475】
肺投与(例えば、吸入又は吹送療法による)のために適した製剤は、適した噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロ−テトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の適したガスの使用を伴う、加圧パックからのエアゾール噴霧として提示されるものを含む。更に又は別に、肺投与のための製剤は、ネブライザー又は乾燥粉末吸入器からの投与のために処方することができる。例えば、製剤は、肺の適当な部分に達するために適した粒子サイズを提供し、適当な投与量の送達を援助し、及び/又は肺組織における保持を向上するために、担体又はリポソームと共に提供することができる。
【0476】
眼内投与のために適した製剤は、化合物が適した担体、特に化合物のための水性溶媒中に溶解又は懸濁された点眼剤を含む。
【0477】
直腸投与のために適した製剤は、例えば天然の又は硬化された油、ワックス、脂肪、半液体又は液体ポリオール、例えば、ココアバター又はサリチル酸塩を含んでなる適した基剤を伴う座薬として;或いは浣腸による治療のための溶液又は懸濁液として提示することができる。
【0478】
膣投与のために適した製剤は、化合物に加えて、当技術において適当であると知られたような担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡又は噴霧製剤として提示することができる。
【0479】
非経口投与(例えば、注射による)のために適した製剤は、化合物が、溶解、懸濁、又は他の方法で(例えば、リポソーム又は他の微粒子中の)提供される水性又は非水性の、等張の、パイロジェンフリーの、滅菌液体(例えば、溶液、懸濁液)を含む。このような液体は、更に、他の医薬的に受容可能な成分、例えば抗酸化剤、緩衝液、保存剤、安定剤、殺細菌剤、懸濁剤、増粘剤、及び製剤を意図する受容者の血液(又は他の関連する体液)と等張にする溶質を含有することができる。賦形剤の例は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油、等を含む。このような製剤中の使用のために適した等張の担体は、塩化ナトリウム液、リンゲル液、又は乳酸リンゲル液を含む。典型的には、液体中の化合物の濃度は、約1ng/mLから約100μg/mLまで、例えば約10ng/mLから約10μg/mLまで、例えば約10ng/mLから約1μg/mLまでである。製剤は、単位投与又は多回投与の密封容器、例えばアンプル及びバイアル中で提示することができ、そして注射のために滅菌液体担体、例えば使用の直前に、水の添加のみを必要とする冷凍乾燥(凍結乾燥)条件で貯蔵することができる。即時注射溶液及び懸濁液は、滅菌粉末、顆粒、及び錠剤から調製することができる。
【0480】
投与量
一般的に、本発明の方法は、抗細菌効果を提供するために、有効な量の式(I)又は(II)の化合物を被験者に投与することを含んでなることができる。式(I)又は(II)の化合物は、第2の活性剤の活性を増強するために十分な量で投与することができる。第2の活性剤は、抗細菌効果を提供するように有効な量で被験者に投与される。
【0481】
式(I)又は(II)の化合物或いは活性剤、及び式(I)又は(II)の化合物或いは活性剤を含んでなる組成物の適当な投与量が、患者によって変更することができることは当業者によって認識されるものである。最適な投与量を決定することは、一般的にいずれもの危険性又は有害な副作用に対する治療の利益のレベルの釣り合いをとることを含む。選択される投与量のレベルは、制約されるものではないが、式(I)又は(II)の特定の化合物或いは活性剤の活性、投与の経路、投与の時間、化合物の排出の速度、治療の期間、組合せて使用される他の薬物、化合物、及び/又は物質、症状の重篤度、並びに患者の種、性別、年齢、体重、症状、一般的健康状態、及び従来の病歴を含む各種の因子に依存するものである。式(I)又は(II)の化合物或いは活性剤の量及び投与の経路は、一般的に投与量は、作用の部位における局所濃度を達成し、実質的に危険な又は有害な副作用を起こすことなく所望の効果を達成するために選択されるものであるが、最終的に医師、獣医師、又は臨床医の裁量にあるものである。
【0482】
投与は、治療の過程を通して、一回投与、連続的又は間欠的に(例えば、適当な間隔の分割投与で)行うことができる。投与の最も有効な手段及び投与量を決定する方法は、当業者にとって公知であり、そして治療のために使用される製剤、治療の目的、治療される標的細胞(一つ又は複数)、及び治療される被験者に伴い変化するものである。一回又は多数回投与は、治療する医師、獣医師、又は臨床医師によって選択される投与量レベル及び様式によって行うことができる。
【0483】
一般的に、式(I)又は(II)の化合物或いは活性剤の適した投与量は、一日当たり、被験者の体重のキログラム当たり約10μgないし約250mg(更に典型的には、約100μgないし約25mg)の範囲である。式(I)又は(II)の化合物或いは活性剤が塩、エステル、アミド、プロドラッグ、等である場合、投与される量は、親化合物に基づいて計算され、そして従って使用される実際の重量は、比例的に増加される。
【0484】
キット
本発明の一つの側面は、例えば、好ましくは適した容器中で及び/又は適した包装を伴って提供される(a)式(I)又は(II)の化合物、或いは式(I)又は(II)のいずれか一つにおいて定義されたような化合物を含んでなる組成物;及び(b)化合物又は組成物を投与する方法に対する使用のための指示、例えば文書の指示を含んでなるキットに関する。
【0485】
文書の指示は、更に式(I)又は(II)の化合物が、適した治療剤である適応症のリストを含むことができる。
【0486】
一つの態様において、キットは、更に(c)第2の活性剤、又は第2の活性剤を含んでなる組成物を含んでなる。ここで、文書の指示は、更に式(I)又は(II)の化合物と一緒の第2の活性剤が、治療のために適している適応症のリストを含むことができる。
【0487】
投与の経路
式(I)又は(II)の化合物、第2の薬剤、或いは式(I)又は(II)の化合物或いは第2の薬剤を含んでなる医薬組成物は、全身的に/末梢的に又は局所的に(即ち、所望の作用の部位において)を問わず、いずれもの慣用的な投与の経路によって被験者に投与することができる。
【0488】
投与の経路は、制約されるものではないが、口腔(例えば、経口摂取による);頬側;舌下;経皮(例えば、貼布、プラスター、等を含む)、粘膜経由(例えば、貼布、プラスター、等を含む)、鼻腔内(例えば鼻腔噴霧による);眼(例えば、点眼剤による);肺(例えばエアゾールによる、例えば口又は鼻を通して使用する、例えば吸入又は吹送療法による);直腸(例えば、座薬又は浣腸による);膣(例えば、ペッサリーによる);例えば、皮下、皮内、筋肉内、静脈内、動脈内、心臓内、クモ膜下腔内、脊髄内、嚢内、嚢下、眼窩内、腹腔内、気管内、表皮下、関節内、クモ膜下、及び胸骨内を含む注射による非経口;例えば皮下或いは筋肉内的なデポー又はリザーバーのインプラントによるものを含む。
【0489】
被験者/患者
被験者/患者は、脊索動物、脊椎動物、哺乳動物、有胎盤哺乳動物、有袋類(例えば、カンガルー、ウオンバット)、齧歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ(例えば、マウス)、ウサギ(例えば、兎)、鳥類(例えば、鳥)、イヌ(例えば、犬)、ネコ(例えば、猫)、ウマ(例えば、馬)、ブタ(例えば、豚)、ヒツジ(例えば、羊)、ウシ(例えば、牛)、霊長動物、サル(例えば、猿又は類人猿)、サル(例えば、マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、手長猿)、又はヒトであることができる。更に、被験者/患者は、その成長の形態のいずれか、例えば胎児であることができる。
【0490】
一つの好ましい態様において、被験者/患者は、ヒトである。
【0491】
本発明が、微生物感染を有する非ヒト動物に対して実行することができることも更に想定されている。非ヒトの哺乳動物は、齧歯類であることができる。齧歯類は、研究所の研究に使用される、ラット、マウス、モルモット、チンチラ及び他の類似のサイズの小さい齧歯類を含む。
【0492】
調製の方法
式(I)及び(II)の化合物は、当業者にとって既知の方法を使用する慣用的なペプチド合成法によって調製することができる。適した方法は、Yamada et al,J.Peptide Res.64,2004,43−50によって記載されているような溶液相合成法、又はde Visser et al,J.Peptide Res,61,2003,298−306、及びVaara et al,Antimicrob.Agents and Chemotherapy,52,2008.3229−3236によって記載されているような固相合成法によるものを含む。これらの方法は、適した保護戦略、及び環化行程のための方法を含む。別の方法として、化合物は、容易に入手可能なポリミキシンから、例えばポリミキシンのN末端アミノ酸(残基1)の除去によって調製することができる。このような方法は、ポリミキシンB及びEの残基2−10に基づく化合物の調製のために本明細書中に記載される。
【0493】
本明細書中に示すように、脱アシル化ポリミキシン化合物、例えば脱アシル化ポリミキシンB及び脱アシル化ポリミキシンBノナペプチドのN末端基を、ポリミキシン化合物の側鎖中に存在するアミノ基を誘導体化することなく、誘導体化することは可能である。本明細書中に記載するように、ポリミキシン化合物中の側鎖は、N末端基を保護することなく、選択的に保護することができる。次いで、N末端基を反応させて、適当なN末端置換基を提供することができる。側鎖の保護は、その後除去することができる。
【0494】
保護されたポリミキシンは、更に、アミノ酸1−3の開裂によって、対応するヘプタペプチドに開裂することもできる。この開裂の方法は、WO2012/168820、及びWO1988/00950中に記載されている。本明細書中に示すように、これは、適当な置換されたジペプチド又はトリペプチドにカップリングすることによって誘導体化して、新規なポリミキシン誘導体を提供することができる。
【0495】
他の優先事項
先に記載した態様のそれぞれの及びあらゆる適合性の組合せは、それぞれの及びあらゆる組合せが、個々に、そして明確に引用されているように、本明細書中に明確に開示される。
【0496】
本発明の各種の更なる側面及び態様は、本開示の観点から、当業者にとって明白であるものである。
【0497】
“及び/又は”は、本明細書中で使用される場合、二つの具体的な特徴又は成分のそれぞれの、他方を伴う、又は伴わない具体的な開示と解釈されるものである。例えば、“A及び/又はB”は、(i)A、(ii)B並びに(iii)A及びBのそれぞれの、単にそれぞれが本明細書中に個々に記述されたような、具体的な開示と解釈される。
【0498】
文脈が他に指示しない限り、先に記載した特徴の記載及び定義が、本発明のいずれもの特定の側面又は態様を制約するものではなく、そして記載された全ての側面及び態様に均等に適用される。技術的に適当である場合、態様は組合せることができ、そして従って、開示は、本明細書中に提供される態様の全ての順列及び組合せに拡張される。
【0499】
本発明のある種の側面及び態様は、ここに、実施例及び先に記載した図に対する言及によって例示されるものである。
非限定的に、本発明は以下の態様を含む。
[態様1] 活性剤との組合せにおける、治療及び予防の方法における使用のためのポリミキシン化合物であって、
ここにおいて、前記活性剤は:
リファンピシン、リファブチン、リファラジル、リファペンチン、及びリファキシミン;
オキサシリン、メチシリン、アンピシリン、クロキサシリン、カルベニシリン、ピペラシリン、チカルシリン(tricarcillin)、フルクロキサシリン、及びナフシリン;
アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、テリスロマイシン、セスロマイシン、及びソリスロマイシン;
アズトレオナム及びBAL30072;
メロペネム、ドリペネム、イミペネム、エルタペネム、ビアペネム、トモペネム、及びパニペネム;
チゲサイクリン、オマダサイクリン、エラバサイクリン、ドキシサイクリン、及びミノサイクリン;
シプロフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、及びデラフロキサシン;
フシジン酸;
ノボビオシン;
テイコプラニン、テラバンシン、ダルババンシン、及びオリタバンシン、
並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物;
からなる群から選択され、
そして前記ポリミキシン化合物は、以下の式(I):
【化1】
[式中:
−X−は、−C(O)−、−NHC(O)−、−OC(O)−、−CH
2−又は−SO
2−であり;そして
−R
1は、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファ位にある窒素と一緒に、フェニルアラニン、ロイシン又はバリン残基であり;
−R
2は、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファ位にある窒素と一緒に、ロイシン、トレオニン、イソ−ロイシン、フェニルアラニン、バリン又はノル−バリン残基であり;
−R
3は、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファ位である窒素と一緒に、トレオニン又はロイシン残基であり;
−R
4は、一つのヒドロキシル基又は一つのアミノ基で置換されたC
1−6アルキルであり;
−A−は、共有結合又はアミノ酸、例えばα−アミノ酸であり;
−R
5は、G−L
2−L
1であり、
−Gは:
C
2−12アルキル、
C
5−12アリール、
C
3−10シクロアルキル、
から選択され、
−L
1−は、共有結合、C
1−12アルキレン又はC
2−12ヘテロアルキレンであり、
−L
2−は、共有結合又はC
4−10ヘテロシクリレンであり、
但し、−GがC
2−12アルキルである場合、−L
1−はC
1−12アルキレンではないことを条件とし、
そしてG−L
2−L
1−は:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
で置換され、
但し、−L
1−が窒素含有C
2−12ヘテロアルキレンであるか、及び/又は−L
2−が窒素含有C
4−10ヘテロシクリレンである場合、(i)、(ii)及び(iii)は、所望による置換基であることを条件とし、
或いは−R
5は、D−L
1−であり、ここで、−Dは、C
4−10ヘテロシクリルであり、そして−L
1−は、先に定義したとおりであり、そしてD−L
1−は:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
で置換され、
但し、−L
1−が窒素含有C
2−12ヘテロアルキレンであるか、及び/又は−Dが窒素含有C
4−10ヘテロシクリルである場合、(i)、(ii)及び(iii)は、所望による置換基であることを条件とし、
それぞれのR
6は、独立に水素又はC
1−4アルキルであり;
それぞれのR
7は、独立に水素又はC
1−4アルキルであり;
又は−NR
6R
7は、グアニジン基であるか;或いは
−GがC
3−10シクロアルキル又はC
5−12アリールである場合、R
6及びR
7は窒素原子と一緒に、C
4−10複素環を形成し;そして
そしてアリール基が−R
5中に存在する場合、これは、−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキル、ハロ、−CN、−NO
2、−CF
3、−NR
10C(O)R
10、−OCF
3、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、−SR
9、−NR
10SO
2R
10、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10から選択される一つ又はそれより多い置換基で独立に所望により置換され、ここで、それぞれの−R
9は、独立に−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、そしてそれぞれの−R
10は、独立に−H又は−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり;
そして所望により、アルキル、シクロアルキル、又はヘテロシクリル基が−R
5中に存在する場合、これは、−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキル、ハロ、−CN、−NO
2、−CF
3、−C(O)R
10、−NR
10C(O)R
10、−OCF
3、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、−SR
9、−NR
10SO
2R
10、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10から選択される一つ又はそれより多い置換基で、アルキルがアルキルで置換されないことを除き、独立に所望により置換され、ここで、それぞれの−R
9は、独立に−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、そしてそれぞれの−R
10は、独立に−H又は−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり;
−R
8は、水素又はメチルであり、
但し、一緒の−X−及び−R
5が、L−α−アミノ酸、例えば、Lys、Arg、Dap、Ser、Phe、Trp、Leu、Ala、α,γ−ジアミノ酪酸(Dab)又はα,β−ジアミノプロピオン酸(Dap)ではないことを、所望によりDgp及びAbuと一緒に、条件とする;]
の化合物、並びに医薬的に受容可能なその塩及び溶媒和物である。
[態様2] ポリミキシン化合物との組合せにおける、治療又は予防の方法における使用のための活性剤であって、ここにおいて、前記ポリミキシン化合物及び前記活性剤は態様1に記載されるとおりである、前記活性剤。
[態様3] 治療又は予防の方法における使用のためのポリミキシン化合物及び活性剤の組合せであって、ここにおいて、前記ポリミキシン化合物及び前記活性剤は態様1に記載されるとおりである、前記組合せ。
[態様4] 微生物感染の治療又は予防の方法における使用のための、活性剤との組合せにおけるポリミキシン化合物であって、ここにおいて、前記ポリミキシン化合物及び前記活性剤は態様1に記載されるとおりである、前記ポリミキシン化合物。
[態様5] 微生物感染の治療又は予防の方法における使用のための、ポリミキシン化合物との組合せにおける活性剤であって、ここにおいて、前記ポリミキシン化合物及び前記活性剤は態様1に記載されるとおりである、前記活性剤。
[態様6] 治療及び予防の方法であって、前記方法は、ポリミキシン化合物及び活性剤をそれを必要とする被験者に投与する工程を含み、ここにおいて、前記ポリミキシン化合物及び前記活性剤は態様1に記載されるとおりである、前記方法。
[態様7] 微生物感染の治療及び予防の方法であって、前記方法は、ポリミキシン化合物及び活性剤をそれを必要とする被験者に投与する工程を含み、ここにおいて、前記ポリミキシン化合物及び前記活性剤は態様1に記載されるとおりである、前記方法。
[態様8] 活性剤との組合せにおける微生物感染の治療における使用のための医薬の製造におけるポリミキシン化合物の使用であって、ここにおいて、前記ポリミキシン化合物及び前記活性剤は態様1に記載されるとおりである、前記使用。
[態様9] ポリミキシン化合物との組合せにおける微生物感染の治療における使用のための医薬の製造における活性剤の使用であって、ここにおいて、前記ポリミキシン化合物及び前記活性剤は態様1に記載されるとおりである、前記使用。
[態様10] 前記活性剤が、リファンピシン(リファンピン)、リファブチン、リファラジル、リファペンチン、リファキシミン、アズトレオナム、オキサシリン、ノボビオシン、フシジン酸、アジスロマイシン、シプロフロキサシン、メロペネム、チゲサイクリン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン及びムピロシン、並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物からなる群から選択される、態様1ないし9のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様11] 前記活性剤が、リファンピシン、フシジン酸、ノボビオシン、オキサシリン、アジスロマイシン、アズトレオナム、メロペネム、チゲサイクリン、及びシプロフロキサシンからなる群から選択される、態様10に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様12] 前記活性剤が、リファンピシン及びメロペネムからなる群から選択される、態様10に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様13] −X−が、−C(O)−である、態様1ないし12のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様14] R
1が、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファ位にある窒素と一緒に、フェニルアラニン残基、例えばD−フェニルアラニン、又はロイシン残基、例えばD−ロイシンである、態様1ないし13のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様15] −R
2が、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファ位にある窒素と一緒に、ロイシン又はトレオニン残基、例えばL−ロイシン又はL−トレオニンである、態様1ないし14のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様16] −R
3が、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファ位にある窒素と一緒に、トレオニン残基、例えばL−トレオニンである、態様1ないし15のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様17] −R
4が、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファ位にある窒素と一緒に、α,γ−ジアミノ酪酸(Dab)、セリン残基、トレオニン残基、リシン残基、オルニチン残基、又はα,β−ジアミノプロピオン酸(Dap)である、態様1ないし16のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様18] −R
4が、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファ位にある窒素と一緒に、Dab、例えばL−Dabである、態様17に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様19] −R
8が、メチルである、態様1ないし18のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様20] −A−が、共有結合である、態様1ないし19のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様21] −A−が、アミノ酸である、態様1ないし19のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様22] 前記アミノ酸が、Dab、Dap、Lys、Arg、Dap、Ser、Phe、Trp、Leu、Ala、オルニチン又はノルバリン、例えばDab、Dap、Thr、Ser、又はLysからなる群から選択される、態様21に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様23] 前記アミノ酸が、Dab、例えばL−Dabである、態様21に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様24] −R
5が、G−L
2−L
1−である、態様1ないし23のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様25] −L
1−が、共有結合又はC
1−12アルキレン基である、態様24に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様26] −L
1−が、共有結合である、態様25に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様27] −L
1−が、C
1−12アルキレン基である、態様25に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様28] 前記C
1−12アルキレンが、ヒドロキシル置換基を有する、態様27に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様29] 前記ヒドロキシル置換基が、−X−基に対してα位の炭素原子に対する置換基である、態様28に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様30] 前記C
1−12アルキレンが、−NR
6R
7基を有する、態様27に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様31] 前記−NR
6R
7基が、−X−基に対してα位ではない炭素原子に対する置換基である、態様30に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様32] −L
2−が、共有結合である、態様24ないし31のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様33] −Gが、C
2−12アルキルである、態様24ないし26のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様34] 前記C
2−12アルキルが、ヒドロキシル置換基を有する、態様33に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様35] 前記ヒドロキシル置換基が、−L
2−、−L
1−、又は−X−基に対してα位の炭素原子に対する置換基である、態様34に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様36] 前記C
2−12アルキルが、−NR
6R
7基を有する、態様33に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様37] 前記−NR
6R
7基が、−L
2−、−L
1−、又は−X−基に対してα位ではない炭素原子に対する置換基である、態様36に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様38] −Gが、C
3−10シクロアルキルである、態様24ないし32のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様39] C
3−10シクロアルキルが、C
3−6シクロアルキルである、態様38に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様40] C
3−10シクロアルキルが、シクロペンチル又はシクロヘキシルである、態様38に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様41] −Gが、C
5−12アリールである、態様24ないし32のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様42] C
5−12アリールが、フェニル又はナフチルである、態様41に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様43] C
5−12アリールが、フラニル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、キノリニル、イソキノリニル又はインドールである、態様41に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様44] C
5−12アリールが、ピリジルである、態様41に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様45] 前記C
5−12アリールが、C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキル、ハロ、−NR
10C(O)R
10、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−OCF
3、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、及び−SR
9から選択される一つ又はそれより多い置換基で所望により置換され、ここで、それぞれの−R
9は、独立にC
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、そして それぞれの−R
10は、独立に−H又はC
1−10アルキル、例えば−C
1−4 アルキルである、態様41ないし44のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様46] 前記C
5−12アリールが、C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキル及びハロから選択される一つ又はそれより多い置換基で所望により置換されている、態様45に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様47] G−L
2−L
1−が:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
で置換されている、態様24ないし47のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様48] G−L
2−L
1−が:
(i)一つ又は二つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つの−NR
6R
7基、及び一つのヒドロキシル基
で置換され、但し、−L
1−が窒素含有C
2−12ヘテロアルキレンであるか及び/又は−L
2−が窒素含有C
4−10ヘテロシクリレンである場合、(i)、(ii)及び(iii)は所望による置換基であることを条件とする、態様24ないし47のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様49] G−L
2−L
1−が、一つのヒドロキシル基又は一つの−NR
6R
7基で置換されている、態様24ないし48のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様50] ヒドロキシル基又は−NR
6R
7基が、−Gに対する置換基として提供される、態様24ないし49のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様51] ヒドロキシル基又は−NR
6R
7基が、−L
1−に対する置換基として提供される、態様24ないし49のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様52] −R
5が、D−L
1−である、態様1ないし23のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様53] −L
1−が、C
1−12アルキレン基である、態様52に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様54] −L
1−が、共有結合である、態様52に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様55] −Dが、C
5ヘテロシクリル又はC
6ヘテロシクリルである、態様52ないし54のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様56] −Dが、窒素含有ヘテロシクリル基である、態様52ないし55のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様57] −Dが、ピペリジニル、ピペラジニル及びピロリジニルから選択される、態様56に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様58] D−L
1−が、ヒドロキシル基又は−NR
6R
7基で置換されていない、態様56又は57のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様59] D−L
1−が:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
で置換されている、態様52ないし57、例えば54ないし57のいずれか1項に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様60] D−L
1−が:
(i)一つ又は二つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つの−NR
6R
7基、及び一つのヒドロキシル基
で置換されている、態様59に記載の化合物、活性剤、組合せ、方法又は使用。
[態様61] 以下の式(IIa):
【化2】
[式中、
−R
5は、G−L
2−L
1−であり、そして−Gは、C
5−12アリールであり、
−L
1−は、共有結合、C
1−12アルキレン又はC
2−12ヘテロアルキレンであり、
−L
2−は、共有結合又はC
4−10ヘテロシクリレンであり、
−R
5は:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
で置換され、
但し、−L
1−が窒素含有C
2−12ヘテロアルキレンであるか、及び/又は−L
2−が窒素含有C
4−10ヘテロシクリレンである場合、(i)、(ii)及び(iii)は、所望による置換基であることを条件とし、
そしてアリール基は、C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキル、ハロ、−CN、−NO
2、−CF
3、−NR
10C(O)R
10、−OCF
3、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、−SR
9、−NR
10SO
2R
10、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10から選択される一つ又はそれより多い置換基で、独立に所望により置換され、ここで、それぞれの−R
9は、独立にC
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、そしてそれぞれの−R
10は、独立に−H又はC
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり;
そして−A−、−X−、R
1、R
2、R
3、R
4、R
6、R
7、R
8は、態様1に記載の式(I)の化合物と同じ意味を有する;]
のポリミキシン化合物、並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物。
[態様62] 以下の式(IIb):
【化3】
[式中、
−R
5は、G−L
2−L
1−であり、そして−Gは、C
3−10シクロアルキルであり、
−L
1−は、共有結合、C
1−12アルキレン又はC
2−10ヘテロアルキレンであり、
−L
2−は、共有結合又はC
4−12ヘテロシクリレンであり、
但し、−L
1−がC
2−10ヘテロアルキレンである場合にのみ、−L
2−は、共有結合であることを条件とし、
−R
5は:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
で置換され、
但し、−L
1−が窒素含有C
2−12ヘテロアルキレンであるか、及び/又は−L
2−が窒素含有C
4−10ヘテロシクリレンである場合、(i)、(ii)及び(iii)は、所望による置換基であることを条件とし、
そして所望により、シクロアルキル基は、−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキル、ハロ、−CN、−NO
2、−CF
3、−C(O)R
10、−NR
10C(O)R
10、−OCF
3、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、−SR
9、−NR
10SO
2R
10、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10から選択される一つ又はそれより多い置換基で、アルキルがアルキルで置換されないことを除き、独立に所望により置換され、ここで、それぞれの−R
9は、独立に−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、そしてそれぞれの−R
10は、独立に−H又は−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり;
そして−A−、−X−、R
1、R
2、R
3、R
4、R
6、R
7、R
8は、態様1に記載の式(I)の化合物と同じ意味を有する;]
のポリミキシン化合物、並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物。
[態様63] 以下の式(IIc):
【化4】
[式中、
−R
5は、G−L
2−L
1−であり、ここで、−Gは、C
3−10シクロアルキル又はC
2−12アルキルであり、
−L
1−は、共有結合又はC
1−12アルキレンであり、
−L
2−は、共有結合であり、
但し、−GがC
2−12アルキルである場合、−L
1−は、C
1−12アルキレンではないことを条件とし、
−R
5は:
(i)二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は
(ii)二つ又は三つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
で置換され;
そして所望により、アルキル又はシクロアルキル基は、−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキル、ハロ、−CN、−NO
2、−CF
3、−C(O)R
10、−NR
10C(O)R
10、−OCF
3、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、−SR
9、−NR
10SO
2R
10、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10から選択される一つ又はそれより多い置換基で、アルキルがアルキルで置換されないことを除き、独立に所望により置換され、ここで、それぞれの−R
9は、独立に−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、そしてそれぞれの−R
10は、独立に−H又は−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり;
そして−A−、−X−、R
1、R
2、R
3、R
4、R
6、R
7、R
8は、態様1に記載の式(I)の化合物と同じ意味を有する;]
のポリミキシン化合物、並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物。
[態様64] 以下の式(IId):
【化5】
[式中、
−R
5は、D−L
1−であり、そしてD−L
1−は:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
で置換され、
−Dは、C
4−10ヘテロシクリルであり;
−L
1−は、共有結合、C
1−12アルキレン又はC
2−12ヘテロアルキレンであり、
但し、−L
1−が窒素含有C
2−12ヘテロアルキレンである場合、(i)、(ii)及び(iii)は、所望による置換基であることを条件とし、
そして所望により、ヘテロシクリル基は、−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキル、ハロ、−CN、−NO
2、−CF
3、−C(O)R
10、−NR
10C(O)R
10、−OCF
3、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、−SR
9、−NR
10SO
2R
10、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10から選択される一つ又はそれより多い置換基で、アルキルがアルキルで置換されないことを除き、独立に所望により置換され、ここで、それぞれの−R
9は、独立に−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、そしてそれぞれの−R
10は、独立に−H又は−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり;
そして−A−、−X−、R
1、R
2、R
3、R
4、R
6、R
7、R
8は、態様1に記載の式(I)の化合物と同じ意味を有する;]
のポリミキシン化合物、並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物。
[態様65] 以下の式(IIe):
【化6】
[式中、
−A−は、アミノ酸、例えばα−アミノ酸であり、
そして−X−、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8は、態様1に記載の式(I)の化合物と同じ意味を有する;]
のポリミキシン化合物、並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物。
[態様66] 以下の式(IIf):
【化7】
[式中、
−A−は、共有結合であり、
そしてR
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8及び−X−は、態様1に記載の式(I)の化合物と同じ意味を有し、但し、一緒の−X−及び−R
5は、L−α−アミノ酸残基ではない、例えば一緒の−X−及び−R
5は、L−Lys、L−Arg、L−Dap、L−Ser、L−Dab、L−Dgp(L−α,β−ジグアニジノプロパノイル)又はL−Abuではないことを条件とする;]
のポリミキシン化合物、並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物。
[態様67] 以下の式(IIg):
【化8】
[式中、
そして−A−、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8及び−X−は、態様1に記載の式(I)の化合物と同じ意味を有し、
但し、−R
4は、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファ位にある窒素と組合されて、(S)−Dabではないことを条件とする;]
のポリミキシン化合物、並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物。
[態様68] 態様61ないし67のいずれか1項に記載の化合物及び生物学的に受容可能な賦形剤を、所望により第2の活性剤と一緒に含んでなる医薬組成物。
[態様69] 治療の方法における使用のための、態様61ないし67のいずれか1項に記載の化合物又は態様68に記載の医薬組成物。
[態様70] 微生物感染の治療の方法における使用のための、態様61ないし67のいずれか1項に記載の化合物又は態様68に記載の医薬組成物。
[態様71] 治療の方法における使用のための態様61ないし67のいずれか1項に記載の化合物又は態様68に記載の医薬組成物であって、ここにおいて、前記方法は、前記感染を、態様61ないし67のいずれか1項に記載の化合物、並びにリファンピシン、フシジン酸、ノボビオシン、オキサシリン、アジスロマイシン、アズトレオナム、メロペネム、チゲサイクリン、及びシプロフロキサシン、並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物からなる群から選択される活性剤で治療することを含んでなる、前記化合物又は医薬組成物。
[態様72] 態様1に定義された、第2の活性剤と一緒の式(I)の化合物、及び生物学的に受容可能な賦形剤、を含んでなる医薬組成物。
[態様73] 以下の式(I):
【化9】
[式中:
−X−は、−NHC(O)−、−C(O)−、−OC(O)−、−CH
2−又は−SO
2−であり;そして
−R
1は、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファ位にある窒素と一緒に、フェニルアラニン、ロイシン又はバリン残基であり;
−R
2は、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファ位にある窒素と一緒に、ロイシン、イソ−ロイシン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン又はノル−バリン残基であり;
−R
3は、カルボニル基及びこれが接続している炭素に対してアルファ位である窒素と一緒に、トレオニン又はロイシン残基であり;
−R
4は、一つのヒドロキシル基又は一つのアミノ基で置換されたC
1−6アルキルであり;
−A−は、共有結合又はアミノ酸、例えばα−アミノ酸であり;
−R
5は、G−L
2−L
1であり、
−Gは:
C
3−10シクロアルキル、
C
2−12アルキル、
C
5−12アリール、
から選択され、
−L
1−は、共有結合、C
1−12アルキレン又はC
2−12ヘテロアルキレンであり、
−L
2−は、共有結合又はC
4−10ヘテロシクリレンであり、
但し、−GがC
2−12アルキルである場合、−L
1−はC
1−12アルキレンではないことを条件とし、
そしてG−L
2−L
1−は:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
で置換され、
但し、−L
1−が窒素含有C
2−12ヘテロアルキレンであるか、及び/又は−L
2−が窒素含有C
4−10ヘテロシクリレンである場合、(i)、(ii)及び(iii)は、所望による置換基であることを条件とし、
或いは−R
5は、D−L
1−であり、ここで、−Dは、C
4−10ヘテロシクリルであり、そして−L
1−は、先に定義したとおりであり、そしてD−L
1−は:
(i)一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基、又は
(ii)一つ、二つ又は三つの−NR
6R
7基、又は
(iii)一つ又は二つの−NR
6R
7基、及び一つ、二つ又は三つのヒドロキシル基
で置換され、
但し、−L
1−が窒素含有C
2−12ヘテロアルキレンであるか、及び/又は−Dが窒素含有C
4−10ヘテロシクリルである場合、(i)、(ii)及び(iii)は、所望による置換基であることを条件とし、
それぞれのR
6は、独立に水素又はC
1−4アルキルであり;
それぞれのR
7は、独立に水素又はC
1−4アルキルであり;
又は−NR
6R
7は、グアニジン基であるか;或いは
−GがC
3−10シクロアルキル又はC
5−12アリールである場合、R
6及びR
7は窒素原子と一緒にC
4−10複素環を形成し;そして
そしてアリール基が−R
5中に存在する場合、これは、−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキル、ハロ、−CN、−NO
2、−CF
3、所望により−C(O)R
10、−NR
10C(O)R
10、−OCF
3、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、−SR
9、−NR
10SO
2R
10、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10から選択される一つ又はそれより多い置換基で独立に所望により置換され、ここで、それぞれの−R
9は、独立に−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、そしてそれぞれの−R
10は、独立に−H又は−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり;
そして所望により、アルキル、シクロアルキル、又はヘテロシクリル基が−R
5中に存在する場合、これは、−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキル、ハロ、−CN、−NO
2、−CF
3、−C(O)R
10、−NR
10C(O)R
10、−OCF
3、−CON(R
10)
2、−COOR
9、−OCOR
10、−NR
10COOR
10、−OCON(R
10)
2、−NR
10CON(R
10)
2、−OR
9、−SR
9、−NR
10SO
2R
10、−SO
2N(R
10)
2及び−SO
2R
10から選択される一つ又はそれより多い置換基で、アルキルがアルキルで置換されないことを除き、独立に所望により置換され、ここで、それぞれの−R
9は、独立に−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり、そしてそれぞれの−R
10は、独立に−H又は−C
1−10アルキル、例えば−C
1−4アルキルであり;
−R
8は、水素又はメチルであり;
但し、−A−が共有結合である場合、一緒のR
5−X−は、L−Lys、L−Arg、L−Dap、L−Ser、L−Dab、L−Dgp(L−α,β−ジグアニジノプロパノイル)及びL−Abuからなるリストから選択される基ではないことを条件とし、そして
但し、−A−が共有結合である場合、一緒のR
5−X−は、2−アミノシクロヘキシル、3−アミノシクロヘキシル及び4−アミノシクロヘキシルからなるリストから選択される基ではないことを条件とする;]
のポリミキシン化合物、並びに医薬的に受容可能なその塩及び溶媒和物。
[態様74] 態様73に記載の化合物及び生物学的に受容可能な賦形剤を、所望により第2の活性剤と一緒に含んでなる医薬組成物。
[態様75] 治療の方法における使用のための、態様73に記載の化合物又は態様74に記載の医薬組成物。
[態様76] 微生物感染の治療の方法における使用のための、態様73に記載の化合物又は態様74に記載の医薬組成物。
[態様77] 微生物感染を治療する方法における使用のための態様73に記載の化合物又は態様74に記載の医薬組成物であって、ここにおいて、前記方法は、前記感染を、態様73に記載の化合物、並びにリファンピシン、フシジン酸、ノボビオシン、オキサシリン、アジスロマイシン、アズトレオナム、メロペネム、チゲサイクリン、及びシプロフロキサシン、並びに医薬的に受容可能なこれらの塩及び溶媒和物からなる群から選択される活性剤で治療することを含んでなる、前記化合物又は医薬組成物。
【0500】
略語
略語 意味
PMBN ポリミキシンBノナペプチド
PMB ポリミキシンB
Thr トレオニン
Ser セリン
DSer D−セリン
Leu ロイシン
Ile イソロイシン
Phe フェニルアラニン
Dphe D−フェニルアラニン
Val バリン
Dab α,γ−ジアミノ酪酸
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン
BOC−ON 1−(Boc−オキシイミノ)−2−フェニルアセトニトリル
EDC 1−エチル−3−(3−オクタアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
PyBOP ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ)トリピロリジノホスホニウム
HATU ヘキサフルオロリン酸2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1−3,3−テトラメチルウロニウム
HOAt 1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
DCM ジクロロメタン
TFA トリフルオロ酢酸
ND 決定せず
N/A 適用せず
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
PMBD ポリミキシンBヘプタペプチド(4−10)
Pro プロリン
Dap α,β−ジアミノプロピオン酸
Gly グリシン
Thr トレオニン
His ヒスチジン
Phe フェニルアラニン。
【実施例】
【0501】
以下の実施例は、単に本発明を例示するために提供され、そして本明細書中に記載されるような本発明の範囲を制約することを意図していない。
【0502】
命名法−化合物は、これらが合成的に誘導された天然のポリミキシン核に基づいて命名される。
【0503】
合成実施例
中間体1− ポリミキシンBノナペプチド
EDTA(1.4g)、塩化カリウム(1.1g)及びL−システイン(0.12g)の混合物を、水(475mL)及びリン酸カリウム緩衝液(pH7、25mL)中に溶解した。反応物を37℃で10分間撹拌し、そしてポリミキシンB(10.3g)を加えた。2時間37℃で撹拌した後、パパイン(3.36U/mg)を加え、そして更に18時間37℃で撹拌した。反応の進行をLC−MSによって表1に概略示した条件を使用してモニターした。粗製の物質を87mLの画分に分離し、そして10gのSCXカートリッジ(6×)を使用し、最初メタノール(100mL)で、次いでメタノール中の20%のアンモニア(水溶液、sp.g0.88)(100mL)で溶出して精製した。アンモニア画分を単離し、そして蒸発して、生成物を、ベージュ色の固体として、収率4.956g、60%、m/z482[M+2H]
2+で得た。
【0504】
【表1】
【0505】
中間体2− テトラ−(Boc)ポリミキシンBノナペプチド
ポリミキシンBノナペプチドのDab残基上の遊離のγ−アミノ酸の選択的Boc保護を、H.O’Dowd et al,Tetrahedron Lett.,2007,48,2003−2005の方法を使用して行った。ポリミキシンBノナペプチド(中間体1、1.00g、1.0mmol)を、水(4.4mL)、ジオキサン(4.4mL)、トリエチルアミン(4.4mL)中に溶解し、そして混合物を10分間撹拌してから、1−(Boc−オキシイミノ)−2−フェニルアセトニトリル(Boc−ON)(0.77g;3.11mmol)を加えた。18時間撹拌した後、Boc−ONの更なる増加分(0.1g、0.4mmol)を加え、そして混合物を更に3時間撹拌した。反応の進行をLCMSによって追跡し、完結した時点で、混合物を20%のメタノール性アンモニア(50mL)の添加によってクエンチした。次いで混合物を乾燥状態まで蒸発し、そしてメタノール中に再溶解し、これをその後シリカに装填した。粗製の物質を、シリカゲル(40g)のクロマトグラフィーを使用して精製して(溶出剤、ジクロロメタン中の0−20%メタノール)、テトラ−(Boc)ポリミキシンBノナペプチドを、白色の固体(0.5g、36%)として得た。TLC、R
f0.2(ジクロロメタン中の10%メタノール)。m/z1362.8[MH]
+。
【0506】
中間体3− コリスチン(ポリミキシンE)ノナペプチド
コリスチン(ポリミキシンE、5g)を、固定化パパイン(185ELU/g)、リン酸カリウム緩衝液(25mM;pH7、1.25L)、塩化カリウム(30mM)、EDTA(10mM)及びシステイン(1mM)で、37℃で32時間穏やかに撹拌しながら処理して、コリスチン(ポリミキシンE)ノナペプチドを製造した。反応の進行を中間体1、表1に概略示した条件を使用して、LC−MSによってモニターした。固定化パパインを濾過によって除去し、そして濾液を真空中で濃縮して、固体の残渣を残し、これを、10%のメタノール水溶液中に再懸濁し、そして室温で一晩放置した。上清をデカントし、そして真空中で濃縮した。コリスチン(ポリミキシンE)ノナペプチドを、残渣からC18シリカ(10gm)のSPEによって、0−25%メタノール水溶液で溶出して精製した。適当な画分の蒸発により、生成物を、白色の固体として得た。m/z465.32[M+2H]
2+。
【0507】
中間体4− テトラ−(Boc)コリスチン(ポリミキシンE)ノナペプチド
コリスチン(ポリミキシンE)ノナペプチド(2.5g、2.69mmol)を、超音波処理を伴って水(35mL)中に懸濁した。ジオキサン(35mL)及びトリエチルアミン(35mL)を加え、そして混合物を氷中で10分間冷却してから、1−(Boc−オキシイミノ)−2−フェニルアセトニトリル(Boc−ON)(2.65g;10.76mmol)を加えた。反応の進行をLC−MSによって追跡し、そして10分後完結に到達し、この時点で混合物を20%のメタノール性アンモニア(25mL)の添加によってクエンチした。液相をデカントし、そして残留した固体を水中に再溶解し、そしてジクロロメタン及びイソ−ブタノールで連続して抽出した。LC−MS分析の基づき、デカントした液体並びにジクロロメタン及びイソ−ブタノール抽出物の両方を一緒にプールし、続いて真空中で濃縮して、黄色のゴム状物を得て、これをフラッシュクロマトグラフィー(Si60A−35−70)に装填した。カラムをジクロロメタン中の0−20%メタノール(2%アンモニア含有)で溶出した。ジクロロメタン中の7−10%メタノール(2%アンモニア含有)で溶出したカラムの画分は、テトラ−(Boc)コリスチン(ポリミキシンE)ノナペプチドを、白色の固体(1.18g、33%)として与えた。m/z1329.7[M+H]
+。
【0508】
中間体5− トリ−(Boc)ポリミキシンBヘプタペプチド
PMB硫酸塩(2g)を、水(20mL)中に溶解し、続いて1,4−ジオキサン(40mL)を加え、そして10分間室温で撹拌したままにした。反応混合物に、Boc無水物(4.42g)を固体として加え、そして反応物を室温で撹拌し、そしてHPLCによってモニターした。次いで反応混合物を1MのHClを使用して、pH6に調節し、形成した沈殿物を濾過し、そして水(50mL)及びヘプタン(50mL)で洗浄して、Boc
5PMBを、白色の固体(2.4g、85%)として残した。この物質(1g)を1,4−ブタンジオール(112.5mL)中に溶解し、そして混合物を40℃で一晩撹拌した。溶液に、リン酸カリウム(75mL、0.125M、pH8.0)を1分かけて加え、白色の懸濁物の形成を起こした。反応物を112.5mLのブタンジオール及び75mLのリン酸カリウム(0.125M pH8.0)の添加によって希釈したが、しかし白色の乳濁液が継続した。反応物の温度を37℃に減少し、そして次いでサビナーゼ16L(250μL)を加え、そして反応物を室温で一晩撹拌した。反応が進行するに従って、白色の乳濁液が綺麗になって、より溶解性のPMBH−Boc
3の形成によって、透明な溶液が形成された。反応混合物を水(50ml)で希釈し、そして次いでDCM(100mL)で抽出した。DCM層を収集し、そして真空中で蒸発して、無色の油状物を得た。得られた油状物を50%メタノール(水溶液)で希釈し、そして四本の前処理済みの10gのVarian Bond Elut SCXカートリッジに装填し、そして通過画分を収集した。カートリッジを2カラム体積分の50%メタノール(水溶液)で洗浄し、そして次いでPMBH−Boc
3を2カラム体積分のメタノール中の20%アンモニアを使用してカラムから溶出した。得られらた溶出液を真空中で乾燥状態まで蒸発して、精製されたPMBH−Boc
3(610mg)を得た。m/z1062.6[M+H]
+。
【0509】
中間体6− ペンタ−(Boc)ポリミキシンBデカペプチド
PMB硫酸塩(2g)を、100mMのpH8のリン酸カリウム(概略500mL)中に溶解した。溶液に、粗製のポリミキシンアシラーゼ(Pseudomonas sp.M−6−3Wから抽出した)を、酵素0.0125g:PMB1gの比で加えた。反応物を37℃で16時間撹拌した。次いで反応混合物をVarian Bond Elut SCX樹脂(カートリッジは製造業者の説明書により前処理済み)に装填し、そして次いでカートリッジを水で洗浄した。脱アシル化ポリミキシンデカペプチド(PMB)を、SCXカラムから、メタノール中の20%アンモニアを使用して溶出し、そして得られた画分を乾燥状態まで蒸発した。(b)PMBD(2.2g)を、水(10mL)中に溶解し、続いて1,4−ジオキサン(10mL)及びトリエチルアミン(10mL)を室温で撹拌しながら加えた。反応混合物に、Boc−ON(5当量)を固体として加え、そして反応物を室温で撹拌し、そしてHPLCによってモニターした。PMBD−Boc
5を、DCM中に装填し、そして次いで100:0:0、91:7:2、88:10:2、83:15:2及び78:20:2のDCM:MeOH:NH
3の段階的勾配を使用してカラムを展開するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。PMBD−Boc
5を含有する画分を乾燥状態まで蒸発して、白色の粉末(0.48g、15%)を得た。m/z1563.8[M+H]
+。
【0510】
中間体7− Thr(O−
tBu)テトラ−(N−Boc)ポリミキシンBノナペプチド
工程1− (S)−2−((S)−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−tert−ブトキシ−ブチリルアミノ)−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−酪酸メチルエステル
(S)−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−tert−ブトキシ−酪酸DHCA塩(3.65g、7.4mmol)及び(S)−2−アミノ−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−酪酸メチルエステルHCl塩(2.0g、7.4mmol)のDCM(60mL)及びDMF(120mL)の混合物中の撹拌された懸濁液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.85mL、22.1mmol)を加えた。この撹拌された混合物に、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(1.0g、7.3mmol)を、続いてN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドHCl塩(1.42g、7.4mmol)を加えた。混合物を17時間、周囲温度で撹拌し、次いで吸引下で濾過して、不溶性副産物を除去し、これを廃棄した。濾液を黄色の油状物まで濃縮し、これをEtOAc/Et
2O(1:1)の溶媒の混合物(250mL)及び0.5Mの塩酸(200mL)間に分配した。水相を新鮮な溶媒混合物(100mL)で再抽出し、そして混合した有機抽出物を、水(150mL)及び飽和NaHCO
3溶液(150mL)で連続して洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)し、そして無色の油状物(3.72g)まで濃縮した。この油状物を100gのSepPakカートリッジのシリカゲルクロマトグラフィーによって、EtOAc/i−ヘキサン(0−70%)溶媒の勾配で溶出して精製した。生成物を含有する画分(3:7のEtOAc/i−ヘキサン中でR
f0.26、KMnO
4噴霧で可視化)をプールし、そして濃縮して、表題化合物を無色の泡状物(3.58g、6.8mmol、92%収率)として得た。m/z524(MH
+、100%)。
【0511】
工程2− (S)−2−((S)−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−tert−ブトキシ−ブチリルアミノ)−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−酪酸
水酸化リチウム一水和物(0.861g、20.5mmol)の水(16mL)中の溶液を、(S)−2−((S)−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−tert−ブトキシ−ブチリルアミノ)−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−酪酸メチルエステル(3.58g、6.8mmol)のメタノール(64mL)中の撹拌された溶液に、周囲温度で加え、そして19時間撹拌した。この溶液に、1MのHCl(24mL)を加え、ミルク状の混合物(pH1)を得て、これをDCM(3×135mL)で迅速に抽出した。混合した有機抽出物を乾燥(Na
2SO
4)し、そして濃縮して、表題化合物を無色の泡状物(3.27g、6.4mmol、94%収率)として得た。M/z532[MNa]
+、1041[2M+Na]
+。
【0512】
工程3− CbzHNPMBN(OBu)(Boc)
4
(S)−2−((S)−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−tert−ブトキシ−ブチリルアミノ)−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−酪酸(1.73g、3.39mmol)及び中間体5(3.0g、2.8mmol)をフラスコに入れ、これに、乾燥DCM(85mL)及び乾燥DMF(17mL)を撹拌しながら加えた。撹拌された溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.46mL、8.4mmol)を加え、そして5分間撹拌した後、ヘキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム(1.29g、3.39mmol)を単一部分で加えた。混合物を2分間超音波処理し、次いで周囲温度で18時間撹拌したままにした。次いで反応混合物を蒸発し、そして残渣をトルエン(3×100mL)から再蒸発した。残渣を真空下で3時間乾燥して、トルエンの除去を確実にした。水(50ml)をこの物質に加え、そして混合物を、時々超音波処理を行いながら3時間急速に撹拌した。表題化合物を吸引濾過によって微細な白色な固体として収集し、そして水(2×25mL)で洗浄し、次いで真空下で15時間乾燥した(4.6g、3.0mmol、100%収率)。m/z1554[MH+]。
【0513】
工程4− 表題化合物
工程3からの生成物(5.41g、3.48mmol)、ギ酸アンモニウム(6.6g、104.4mmol)及び10%Pd−C(2.0g)を、N
2下でフラスコに入れた。MeOH(270mL)を加え、そして混合物をN
2下で4.5時間撹拌した。LCMSは、生成物に対するMH
+及び出発物質の喪失を示した。混合物をセライトのパッドを通して吸引下で濾過し、そしてMeOH(50mL)で洗浄した。濾液及び洗液を無色の油状物まで蒸発し、これを、EtOAc/MeOH(4:1)の溶媒の混合物(250mL)及び水(250mL)間に分配した。水相を同じ新鮮な溶媒混合物(2×100mL)で更に抽出した。混合した有機抽出物を乾燥(Na
2SO
4)し、そして無色の油状物(約6g)まで蒸発した。この物質をシリカゲルのクロマトグラフィー(100gのSepPakカラム)によって、MeOH/EtOAc(0−4%)の勾配で溶出して精製した。生成物を含有する画分(95:5:1のEtOAc/MeOH/NH
4OH
880中のR
f0.30、KMnO
4噴霧で可視化)をプールし、そして蒸発して、表題化合物を砕けやすい泡状物(4.0g、2.8mmol、81%収率)として得た。m/z1420[MH+]。
【0514】
中間体8− Thr(O−
tBu)ペンタ−(N−Boc)ポリミキシンBデカペプチド
中間体7及びN−α−Z−N−γ−BOC−L−Dabから、方法2Bを使用して調製し、続いて中間体7、工程4の方法によってCBZを脱保護して、表題化合物を白色の泡状物として83%収率で得た。m/z1620[MH+]。
【0515】
方法1− ノナペプチドアミド誘導体の調製の一般的方法
工程1− 対応するカルボン酸(ポリミキシン塩基に対して5当量)を、ジクロロメタン(2mL/mmol)中に溶解した。次いで、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(5.0当量)及びヘキサフルオロリン酸2−(1H−7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム(HATU)(5.0当量)を反応混合物に加えた。室温で30分間撹拌した後、中間体2又は中間体4の化合物(1当量)を加えた。16時間後、反応の完結をLC−MSによって確認し、そして反応混合物を乾燥状態まで蒸発し、そしてシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(溶出剤、ジクロロメタン中の0−10%メタノール)を使用して精製した。適当な画分を濃縮して、生成物を無色の油状物(典型的な収率58%)として残した。
【0516】
工程2− 工程1からの生成物を、ジクロロメタン(20mL/mmol)中に溶解した。トリフルオロ酢酸(60当量)を加え、そして混合物を室温で16時間撹拌し、その時間後、LC−MSは、反応の完結を確認した。反応混合物を真空中で濃縮して、トリフルオロ酢酸塩を無色の油状物として残した。これに、水(10mL/mmol)を加え、そして混合物を5分間超音波処理した。得られた懸濁液に、混合物がpH9に達するまで1MのNaHCO
3を加えた。次いで混合物を10gのC18SのPEカラムを通して通過させ、0、40、50、60、70、80及び100%メタノール水溶液で連続して溶出した。生成物を含有する画分をプールし、そして蒸発した。残渣を水中に懸濁し、そしてpH7に達するまで0.1MのH
2SO
4を加えた。溶液を一晩凍結乾燥して、硫酸塩を白色の固体として得た。化合物の純度は、表2に概略示した条件を使用してHPLCによって評価した。
【0517】
【表2】
【0518】
方法2− ノナペプチドアミドの調製の一般的方法
工程1− BOC保護されたノナペプチドを、方法1の条件を使用して調製した。反応の(if)完結後、粗製の反応混合物をシリカに吸着させ、そしてシリカのカートリッジを、ジクロロメタン中の0−20%メタノールで溶出するクロマトグラフィーにかけた。生成物を含有する画分を混合し、そして白色の泡状物まで蒸発した。このようにして得られた生成物をシリカゲルのクロマトグラフィーによって再精製して、生成物を白色の泡状物として得た。
【0519】
工程2− 工程2からの精製された生成物を、ジクロロメタン(2mL)中に溶解し、TFA(1mL)で処理し、そして混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を蒸発し、そして残渣をトルエンと共沸して、白色の固体を残した。これを水(10mL)中に溶解し、そしてジクロロメタン(5mL)で洗浄した。水相を低体積まで蒸発し、そして一晩凍結乾燥して、生成物のTFA塩を白色の固体として得た。
【0520】
方法2A− ノナペプチドアミドの調製の更なる一般的方法
工程1− 保護されたポリミキシン塩基(0.07mmol)をジクロロメタン(4mL)中に溶解し、そして対応するカルボン酸(ポリミキシン塩基に対して1.5当量)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.0当量)で、続いてHATU(2.0当量)で処理した。16時間後、反応の完結をLC−MSによって確認し、そして反応混合物を乾燥状態まで蒸発した。水(約10mL)を加え、そして混合物を摩砕し、次いで1時間激しく撹拌した。得られた沈殿物を濾過によって収集し、そして真空中で一晩乾燥した。
【0521】
工程2− 工程1からのBoc保護された誘導体を、ジクロロメタン(3mL)中に溶解し、そしてTFA(1mL)で処理した。反応混合物を、LCMSが完全な脱保護を確認するまで室温で撹拌した。溶媒を蒸発し、そして残渣を分離用HPLCによって、方法3、工程6の条件を使用してクロマトグラフィーにかけた。生成物を含有する画分を混合し、低体積まで蒸発し、そして凍結乾燥して、生成物をTFA塩として得た。
【0522】
方法3− ポリミキシンBヘプタペプチドのジペプチドアミド誘導体の調製の一般的方法
工程1− カルボン酸のアミノ酸1のメチルエステルへのカップリング
適当なカルボン酸(1.1当量)、適当な(N−Boc又はOBu
t)アミノ酸メチルエステル塩酸塩(1当量)、EDC塩酸塩(1.1当量)及びHOAt(1.1当量)をフラスコに入れた。DCM(アミノ酸メチルエステルに対して8mL/mmol)を加え、そして窒素下で撹拌された混合物に、DIPEA(3当量)を加えて、黄色の溶液を得た。溶液を18時間撹拌し、等体積のDCMで希釈し、そして溶液を水(アミノ酸に関して16mL/mmol)及び炭酸水素ナトリウム溶液(16mL/mmol)で連続して洗浄した。溶液を乾燥(Na
2SO
4)し、そして残渣まで蒸発した。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィー(EtOAc/イソ−ヘキサンによる勾配溶出)によって精製した。関連する画分をプールし、そして蒸発して、所望のメチルエステル生成物(m/z[M+H]
+はLCMSスペクトル中で検出可能)を得た。ラセミ酸が使用された場合、生成物は、ジアステレオ異性体の混合物として得られる。
【0523】
工程2− 工程1からのメチルエステル生成物の加水分解
工程1からの生成物(1当量)のメタノール(メチルエステルに対して5mL/mmol)中の撹拌された溶液に、水酸化リチウム一水和物(3当量)の水(0.5mL/試薬のmmol)の溶液を加えた。得られた溶液を周囲温度で24時間撹拌し、次いで水(メチルエステルに対して25mL/mmol)中に注いだ。この溶液を1Mの塩酸(3当量)の添加によってpH1に調節し、そして混合物をDCM(3×)で抽出した。混合した有機抽出物を乾燥(Na
2SO
4)し、そして蒸発して、所望のカルボン酸(m/z[M+H]
+はLCMSスペクトル中で検出可能)を得た。ラセミ酸が工程1で使用された場合、生成物は、ジアステレオ異性体の混合物として得られる。
【0524】
工程3− 工程2からのカルボン酸生成物の、アミノ酸2のメチルエステルとのカップリング
この工程は、工程2からのカルボン酸及び適当な(N−Boc又はOBu
t)アミノ酸メチルエステル塩酸塩を使用して、工程1に記載したものと同じ様式で行われた。メチルエステル生成物(m/z[M+H]
+はLCMSスペクトル中で検出可能)を工程1に記載したように単離した。ラセミ酸が工程1で使用された場合、生成物は、ジアステレオ異性体の混合物として得られる。
【0525】
工程4− 工程3からのメチルエステル生成物の加水分解
この工程は、工程3からのメチルエステルを使用して、工程2に記載されたものと同じ様式で行われた。カルボン酸生成物(m/z[M+H]
+はLCMSスペクトル中で検出可能)を、ジアステレオ異性体の混合物として単離した。
【0526】
工程5− 工程4からのカルボン酸生成物の、トリ−(Boc)ポリミキシンBヘプタペプチド(中間体5)とのカップリング
PyBoP(2当量)を、工程4からのカルボン酸(2当量)の、乾燥DCM(酸に対して15mL/mmol)中の撹拌された溶液に加えた。次いでDIPEA(2当量)を加え、そして溶液を30分間撹拌した。次いでこの溶液に中間体5(1当量)の乾燥DCM(酸に対して12mL/mmol)及び乾燥DMF(酸に対して1.5mL/mmol)中の溶液を加え、そして全体の混合物を16時間撹拌した。次いで混合物を濃厚な油状物まで蒸発し、これをEtOAc及び水間に分配した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で、次いで食塩水で洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)し、そして泡状物まで蒸発した。この物質をシリカゲルのクロマトグラフィー(MeOH/EtOAcによる勾配溶出)によって精製して、ポリペプチド生成物(m/z[M+H]
+はLCMSスペクトル中で検出可能)を得た。ラセミ酸が工程1で使用された場合、生成物は、ジアステレオ異性体の混合物として得られる。
【0527】
工程6− 工程5からのポリミキシンBヘプタペプチド生成物の脱保護
TFA(ポリペプチドに対して30mL/mmol)を、工程5からのポリペプチドのDCM(60mL/mmol)中の撹拌された溶液に加えた。溶液を3.5時間撹拌し、次いで蒸発し、そして真空下で1時間乾燥した。残渣をHPLC(以下の条件)によって精製し、そして凍結乾燥して、生成物のTFA塩を、白色の固体として得た。ラセミ酸が工程1で使用された場合、生成物は、ジアステレオ異性体の混合物として得られる。(例えば、表4を参照されたい)。
【0528】
【表3】
【0529】
方法3A
カップリングを、工程3におけるCBZで保護されたアミノ酸を使用して、方法3に記載したように行った。更なるCBZ脱保護工程(工程5A)が、工程6の前に含まれていた。
【0530】
工程5A− CBZ脱保護:
工程5からの保護された中間体(0.0573mmol)及び10%Pd/Cペースト(10mg)の、エタノール(4mL)中の混合物を、18時間、水素の雰囲気下で撹拌した。更なる10%Pd/Cペースト(10mg)を加え、そして撹拌を更に24時間続けた。反応混合物をセライトのパッドを通して濾過し、そして濾過ケーキをエタノール(2×)で洗浄した。混合した有機物を蒸発して、粗製の油状物を得た。これを、逆相分離用クロマトグラフィーによって、方法3工程6の条件を使用して精製して、所望の生成物を無色のガラス状物(20%)として得た。(m/z[M+H]
+はLCMSスペクトル中で検出可能)。
【0531】
方法3B
方法3Bは、方法3Aの工程1−2からなり、BOC保護されたPMBN(中間体2)のカップリングがそれに続いて、保護されたデカペプチドが得られる。方法3Aに続く脱保護、CBZ脱保護のための工程5A及びBoc脱保護のための工程6は、所望の化合物を与え、詳細は表4に与えられる。
【0532】
化合物は、他に示さない限り、硫酸塩として単離された。
【0533】
酢酸塩の一般的調製
酢酸塩は、必要な場合、以下のプロトコルによって調製することができる。
【0534】
TFA塩(50mg)を、水中に溶解し、そして1MのNaHCO
3でpH9にすることができる。次いで混合物を1gのC18SPEカラムを通過させ、水(20mL)で、続いて80%メタノール/水によって溶出することができる。生成物を含有する画分をプールし、0.1Mの酢酸(10当量)で処理することができる。溶液を減圧下で濃縮し、次いで一晩凍結乾燥して、酢酸塩を、典型的には白色の固体として得ることができる。化合物の純度は、HPLCによって、表2に概略示したような条件を使用して評価することができる。
【0535】
カルボン酸の合成
ポリミキシン誘導体の構築のために使用されるカルボン酸は、商業的供給源によるか、又は当業者にとって既知の方法を使用して調製するかのいずれかによって確保した。アルキル置換ピペリジンカルボン酸、例えば実施例A43のために使用されるcis−ピペリジン2−カルボン酸4−オクチルは、以下の一般的方法によって調製された:
アルキル置換ピリジンカルボン酸の合成の一般的方法:
工程1. 適当なブロモピリジンカルボン酸エチルエステル5.0(mmol)の酢酸エチル(20mL)中の窒素下の溶液に、トリエチルアミン(1.1mL、7.5mmol)、1−オクチン(1.1mL、7.5mmol)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(176mg、0.25mmol)及びヨウ化銅(10mg、0.05mmol)を加えた。反応混合物を50℃で16時間撹拌し、次いでセライトを通して吸引下で濾過し、そして酢酸エチルで洗浄した。濾液を減圧下で蒸発した。残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーによって、イソ−ヘキサン中の0−50%酢酸エチルで溶出して精製して、対応するオクタ−1−イニルピリジンカルボン酸エチルエステルを得た。
【0536】
工程2. オクタ−1−イニルピリジンカルボン酸エチルエステル(4.60mmol)の酢酸(100mL)中の溶液に、酸化白金(100mg)を加えた。反応混合物を16時間水素化し、次いでセライトを通して吸引下で濾過し、そして酢酸エチルで洗浄した。濾液を減圧で蒸発し、そして次いで残渣を酢酸エチル及び水間に分配した。水層のpHを.880アンモニアの添加によってpH10に調節した。層の分離後、水相を酢酸エチルで再抽出し、そして次いで混合した有機層を疎水性フリットを通過させた。溶媒を減圧で蒸発し、そして残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーによって、酢酸エチル中の0−100%の(80:20:2の酢酸エチル:メタノール:.880アンモニア)で溶出して精製して、還元された生成物を得た。
【0537】
工程3. オクチルピペリジンカルボン酸エチルエステル(3.20mmol)のジクロロメタン(50mL)中の溶液に、トリエチルアミン(680μL、4.8mmol)を、続いてジカルボン酸ジ−tert−ブチル(1.06g、4.8mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、そして次いで減圧で濃縮した。残渣をジエチルエーテル中に溶解し、そして塩化アンモニウム溶液で洗浄した。層の分離後、水相をジエチルエーテルで再抽出した。混合した有機相を乾燥(MgSO4)し、濾過し、そして減圧で濃縮した。生成物をシリカゲルのクロマトグラフィーによって、イソ−ヘキサン中の0−30%ジエチルエーテルで溶出して精製した。立体配置を文献、例えばSyn.Comm.,2008,38,2799中の化合物との比較によって指定した。
【0538】
工程4. BOCで保護された物質(0.89mmol)のジオキサン(5mL)及び水(2mL)中の溶液に、水酸化リチウム一水和物(76mg、1.80mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、そして次いで更なる量の水酸化リチウム一水和物(100mg)で2日間処理した。反応混合物を減圧で濃縮し、そして残渣を酢酸エチル及び水間に分配した。水相を1Mの塩酸の添加によって酸性化し、そして生成物を酢酸エチル中に抽出した。有機相を疎水性フリットを通過させ、そして溶媒を減圧で濃縮して、対応するオクチルピペリジンカルボン酸を得た。
【0539】
【表4-1】
【0540】
【表4-2】
【0541】
【表4-3】
【0542】
【表4-4】
【0543】
【表4-5】
【0544】
【表4-6】
【0545】
【表4-7】
【0546】
【表4-8】
【0547】
【表4-9】
【0548】
【表4-10】
【0549】
【表4-11】
【0550】
【表4-12】
【0551】
【表4-13】
【0552】
【表4-14】
【0553】
【表4-15】
【0554】
【表4-16】
【0555】
【表4-17】
【0556】
【表4-18】
【0557】
【表4-19】
【0558】
【表4-20】
【0559】
【表4-21】
【0560】
【表4-22】
【0561】
【表4-23】
【0562】
【表4-24】
【0563】
【表4-25】
【0564】
【表4-26】
【0565】
【表4-27】
【0566】
【表4-28】
【0567】
【表4-29】
【0568】
【表4-30】
【0569】
実施例49− N−[2−(1−アミノシクロヘキシル)エチル]ポリミキシンBノナペプチド
【0570】
【化7】
【0571】
工程1− 中間体2(100mg、0.073mmol)のメタノール(1.5mL)及びDCM(1.5mL)中の溶液に、N−Boc−1−アミノシクロヘキシルアセトアルデヒド(Squarix GmbH)(21mg、1.2当量)、及び氷酢酸(0.15mL)を加えた。混合物を室温で30分間撹拌した。シアノ水素化ホウ素(ポリスチリルメチル)トリメチルアンモニウム(4.0mmol/g、100mg、Novabiochem)を加え、そして混合物を室温で一晩撹拌した。樹脂を濾過によって除去し、そして濾液を乾燥状態まで蒸発した。残渣をシリカのクロマトグラフィーにかけ、DCM中の0−20%の(メタノール中の10%の880アンモニア)で溶出した。カラムからの最も極性の低い成分はBOCで保護されたビス−アルキル化生成物であり、これを白色の固体(30mg、23%)として得た。m/z1814(MH+)。
【0572】
最も極性の成分は、BOCで保護された表題化合物(85mg、74%)に対応していた。m/z1589(MH+)。
【0573】
工程2− 工程1からの最も極性の成分(31mg、0.019mmol)を、DCM(2mL)中に溶解し、そしてTFA(1mL)で処理した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を蒸発し、そして残渣をトルエンと共に共沸して、白色の固体を得た。これを水(5mL)中に溶解し、そしてDCM(3mL)と共に5分間撹拌した。相を分離し、そして水相を0.22μmのフィルターを通して濾過し、次いで低体積まで蒸発した。溶液を一晩凍結乾燥して、表題化合物を、ふわふわした白色の固体のTFA塩(20mg、62%)として得た。保持時間(HPLC)、m/z1088.6、MH+)。
【0574】
実施例50− 3−アミノ−3−シクロヘキシルプロパノイル−Thr−Dab−(シクロ)Dab
*−Dab−DLeu−Thr−Dab−Dab−Thr
*
[式中、
*は、環化を示す]
【0575】
【化8】
【0576】
表題化合物を、標準的なFMOC保護戦略を使用する慣用的な固相化学を使用して、Fmoc−Thr(tBu)−PEG−PS樹脂から出発し、そして適当に保護されたアミノ酸を使用して調製した。最後のペプチドは、環化部位において部分的に保護され、そして樹脂からTFA/TIS/H2O(96/2/2容積/容積)を使用して2時間で開裂した。この物質をDCM中のPyBop/HoBt/NMMを使用して環化した。次いで、多部位の環化を防止するためになお存在していたベンジル基を、酢酸/MeOH/水(5/4/1容積/容積)中のPd/Cを使用して除去した。最後の標的ペプチドを、C−18逆相カラム(10×250mm)を使用して精製して、表題化合物を、トリフルオロ酢酸の、凍結乾燥した固体として得た。保持時間(HPLC)4.52分。m/z1070.7(MH+)。
【0577】
比較基準化合物
比較基準化合物は、コリスチン(ポリミキシンE)、ポリミキシンB(PMB)、C1(NAB−739)、及びC2(CB−182,804)であった。
【0578】
CB−182,804(C2)は、N末端にアリール尿素置換基を持つポリミキシンデカペプチド誘導体であり、これは、ポリミキシンBより低い毒性を有することが主張され(WO2010/075416中の化合物5として示されている)、そして本発明人等によって調製された。C1も、更に自家で調製され、そしてNAB−739(例えばWO2008/01773中でVaaraによって記載されているような)に対応している。
【0579】
本発明の更なる化合物を調製した。全ての化合物を、他に記述しない限り、TFA塩として単離した。A1及びA3を、更に本明細書中に記載した一般的方法によって硫酸塩として調製した。比較基準化合物C6を、本明細書中に記載した一般的技術を使用して調製した。表中の構造は、N末端基(−R)及びポリミキシンBヘプタペプチド骨格(以下のPMBH)上の側鎖を示す。相対的立体配置は、太線又は点線によって示される。絶対立体配置は、太線の又は刻まれた線の楔形の結合によって示されている。
【0580】
【化9】
【0581】
【表5-1】
【0582】
【表5-2】
【0583】
【表5-3】
【0584】
【表5-4】
【0585】
【表5-5】
【0586】
【表5-6】
【0587】
【表5-7】
【0588】
【表5-8】
【0589】
【表5-9】
【0590】
【表5-10】
【0591】
【表5-11】
【0592】
【表5-12】
【0593】
【表5-13】
【0594】
【表5-14】
【0595】
【表5-15】
【0596】
生物学的活性
単独の及びもう一つの薬剤との組合せの両方における化合物の効力及び薬広範囲を評価するために、感受性試験を、四つのグラム陰性病原体、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Klebsiella pneumoniae及びAcinetobacter baumanniiのそれぞれ四つの株までに対して行った。
【0597】
組合せ中の成分の比、例えば1:1は、重量対重量比を指す。最小阻害濃度(MIC)は、全薬物濃度(例えば試験化合物プラス第2の薬剤、例えばリファンピシン)を指す。
【0598】
組合せ活性
接種物を、単離されたコロニー(18−24時間のMueller−Hinton寒天プレートから選択)の直接懸濁液を製造することによって、マクファーランド標準の0.5に調節して調製した。MIC試験を、滅菌の96ウェルマイクロタイタープレート中のカチオン調節されたMueller−Hintonブロス中の抗生物質の一連の2倍希釈によって、170μL(抗細菌剤を含有する150μLのブロス、20μLの接種物)の全体積で行った。アッセイを二重で行った。プレートを、振盪せずに18−20時間、35℃で好気的にインキュベートし、MICを、目に見える増殖を防止した薬物の最低濃度と定義した。二重の値の変化が2倍より少さい場合、二つの値の低い方を報告した。2倍より大きい変化が観察された場合、アッセイは無効と考えた。幾つかの化合物は多数回の試験にかけられ、このような場合、MICは、得られた最頻値の値を反映した。
【0599】
表5は、リファンピシンとの1:1(重量/重量)の組合せにおける実施例1ないし55の化合物に対して記録されたMIC値(マイクログラム/mL)を示す。リファンピシンとの1:1(重量/重量)の混合物として試験された全ての比較基準化合物は:コリスチン(ポリミキシンE)、ポリミキシンB(PMB)、ポリミキシンBノナペプチド(PMBN)、C2(CB−182,804)、及びC1(NAB−739)であった。
【0600】
CB−182,804は、N末端にアリール尿素置換基を伴うポリミキシンデカペプチド誘導体であり、これは、ポリミキシンBより低い毒性を有することが主張され(WO2010/075416中の化合物5として示されている)、そして本発明人等によって調製された。C1も、更に自家で調製され、そしてNAB−739(例えばWO2008/01773中でVaaraによって記載されているような)に対応している。
【0601】
表5Aは、リファンピシンとの1:1(重量/重量)の組合せにおける、参照実施例化合物C3ないしC5との比較におけるある種の実施例化合物に対するMIC値(マイクログラム/mL)を提示する。結果は、ヒドロキシル及び/又はアミノ基(例えば−NR
6R
7)を含有する化合物が、ヒドロキシル及び/又はアミノ基を含有しない化合物に対して大きい増強効果を提供することを示す。
【0602】
参照実施例C3(ベンゾイル側鎖)の、対応するアニリン対応物(実施例化合物5)との比較は、両者がリファンピシンと組合せられた場合、アニリン化合物に対するKlebsiella及びPseudomonas株に対する、C3を超えるMICの改善を証明している。同様に、ベンゾイル基へのピペリジンの導入(実施例55)は、これらの生物体に対する活性を同様に改善する。
【0603】
実施例C4のシクロヘキシル環のピペリジンによる、実施例33のような置換は、更に、試験した全ての生命体の株に対する活性の有意な改善を示す。他のピペリジン類似体も、更に良好な活性のレベルを示す(実施例化合物29及び37)。然しながら、類似のピリジル誘導体(参照実施例C5)が、リファンピシンとの組合せにおける向上された活性のレベルを示さないため、この位置における塩基性度は重要である。
【0604】
表5Bは、組合せにおいてリファンピシンに対する化合物の比を変化した影響を示す。
【0605】
最小阻害濃度は、全薬物濃度(例えば試験化合物プラスリファンピシン)を指す。化合物は、組合せ内で等しい質量で使用される。重量は、使用されたままの質量を指し、例えば実施例化合物はそのTFA又は硫酸塩の形態で使用されている。
【0606】
塩の形態の実施例化合物の化学量論は、例えば実施例化合物中に5個のアミノ基が存在する場合、概略、TFAに対して1:5の化合物:酸、そして硫酸塩に対して1:2.5であると信じられる。
【0607】
使用された第2の薬剤は、以下のとおり:バンコマイシン塩酸塩、メロペネム三水和物、チゲサイクリン水和物、シプロフロキサシン遊離酸、フシジン酸ナトリウム塩、アジスロマイシン二水和物、アズトレオナム遊離酸、オキサシリン、ナトリウム塩及びノボビオシンナトリウム塩である。
【0608】
【表6-1】
【0609】
【表6-2】
【0610】
【表6-3】
【0611】
【表6-4】
【0612】
【表7】
【0613】
表5Bは、組合せ中のリファンピシンに対する化合物の比を変化した影響を示す。リファンピシン、コリスチン、ポリミキシンBノナペプチド及び実施例化合物10との組合せを、1:3、1:1及び3:1の比として試験した。MIC値(マイクログラム/mL)は、全薬物濃度(即ち試験薬剤プラスリファンピシン)を指す。得られた値は、MIC試験において観察される2倍の変化以内であった。
【0614】
【表8】
【0615】
単独の活性
以下の表6は、リファンピシンの非存在における実施例化合物のMIC値によって示される活性を示す。
【0616】
【表9-1】
【0617】
【表9-2】
【0618】
【表9-3】
【0619】
組合せ活性
表7Aないし7Iは、他の抗細菌剤との1:1の比の選択された実施例化合物を示す。MICは、全薬物濃度を指す。従って、1:1の組合せが使用される場合、これは、試験化合物プラス第2の薬剤の量である。比較のために、単独の第2の薬剤に対するMIC値を与える。
【0620】
【表10】
【0621】
【表11】
【0622】
【表12】
【0623】
【表13】
【0624】
【表14】
【0625】
【表15】
【0626】
更なる実施例化合物に対するMIC値を得て、そして比較化合物PMB及びオキサシリンに対して比較した。
【0627】
【表16】
【0628】
【表17】
【0629】
【表18】
【0630】
In vitroの腎細胞毒性アッセイ
化合物の腎細胞毒性を、固定化された正常なヒトの腎臓由来の近位尿細管細胞系であるHK−2細胞系を使用するin virtoのアッセイで評価した。化合物の毒性を表現する終点は、細胞の代謝活性と相関するレサズリンの還元であった。細胞を、150cm
2のフラスコ中の25mLの補充されたKSF(5ng/mLのEGF及び50μg/mLのBPEを伴う)中で培養した。細胞を70%密集で最大25継代維持した。
【0631】
1日目: 培地を除去し、そして細胞を10mlのDPBSで洗浄した。次いで、EDTAを伴う6mlの0.25%トリプシン溶液をフラスコに加え、そして細胞をインキュベーターに戻した。1ないし2分のインキュベーション後、14mLの培地をフラスコに加えて、トリプシンを不活化した。細胞懸濁物を遠心試験管に移し、そして細胞を1000rpmで6分間でペレット化した。次いで細胞のペレットをEGF及びBPEで補充された新鮮な培地中に再懸濁した。細胞の数を数え、そして細胞を、EGF及びBPEで補充された新鮮な培地中で46875細胞/mLに希釈した。7500細胞を、それぞれのウェルに160μlの体積で分配し、そして37℃で24時間インキュベートした。
【0632】
2日目: 試験化合物を、最終アッセイ中でDMSOの0.5%より多くない、又は水の5%より多くない結果となるように直接培地中に、又は原液から調製した。新鮮な培地中の2倍希釈で、1000μg/mLから1.95μg/mLまでの9点の濃度を調製した。マイクロタイタープレートをインキュベーターから取出し、そして培地を100μLの化合物溶液の稀釈物で置換した。濃度の全ての組を三重で行い、そしてそれぞれのプレートに正及び負の対照を加えた。次いでプレートを24時間、37℃の湿潤雰囲気の5%CO
2でインキュベートした。
【0633】
3日目: レサズリン(CellTiter−Blue,Promega)を含有する試薬を、PBS中で希釈し(1:4)、そしてそれぞれのウェルに20%(容積/容積)で加えた。次いでプレートを37℃で2時間インキュベートしてから、還元生成物の蛍光を検出した。
【0634】
培地のみの基線値を、データをGraphPad Prismを使用して解析する前に差引いた。化合物の濃度値を、対数値としてプロットして、用量−反応曲線を適合することを可能にし、そしてIC
50値を決定した(表8及び8A)。
【0635】
【表19-1】
【0636】
【表19-2】
【0637】
【表20】
【0638】
単独の活性−追加データ
以下の表6Aは、MIC値によって示される第2の薬剤の非存在における実施例化合物の活性を、HK−2細胞系に対する毒性(IC
50値に関して測定され、そしてポリミキシンBに対して表示される)と一緒に示す。
【0639】
MICは、カチオン調節MHBに異なった供給業者を使用した以外は、本明細書中に記載されるように決定した。実施例37及び39は、直接比較のために再試験した。HK−2細胞のIC
50値は、本明細書中に記載されるように決定した。値はポリミキシンBに対して報告されている。
【0640】
【表21-1】
【0641】
【表21-2】
【0642】
【表21-3】
【0643】
MIC値は、文献の既知の化合物と比較した。データは表6B中にある。C2(CB−182,804)は、Cubistによって記載されている(WO2010/075416中の化合物5として示される)ポリミキシンデカペプチド誘導体であり、C1は、NAB−739(例えば、WO2008/01773中でVaaraによって記載されているように)である。
【0644】
マウスの大腿のE.coli感染に対するin vivoの効力−リファンピシンとの組合せ
リファンピシンとの1:1の組合せにおける二つの実施例化合物(実施例化合物10及びA1)のin vivoの効力を、E.coliのマウス大腿感染モデルで評価した。結果を表9に要約する。
【0645】
4匹のオスの特定の病原体を持たないCD−1マウスの群を使用した。感染の4日前の150mg/kg及び感染の1日前の100mg/kgのシクロホスファミドの腹腔内注射による免疫抑制によって一時的に好中球減少症にした。第2回目の免疫抑制後24時間目に、マウスを、ATCC25922のE.coliで、吸入麻酔下で、両方の大腿側筋に筋肉内的に約6.5×10
5CFU/マウス大腿で使用して感染させた。
【0646】
試験化合物及びポリミキシンBを、0.0625、0.25及び2.5mg/kgで、均等な投与量のリファマイシンと共に投与した。これは、それぞれの組合せに対して、0.125、0.5及び5mg/kgの組合せ投与量レベルを与えた(表9)。更に、ポリミキシンBを、0.125、0.5及び5mg/kgの投与量で単独療法で投与した。溶液中の化合物を、静脈内(IV)注射によって外側尾部静脈に投与した。これを、感染後の1、3.5及び6時間目に、10mL/kgの投与体積(0.25mL/25gのマウス)で3回行った。ベヒクル対照群を、ベヒクル(注射に対して0.9%生理食塩水)で、更に10mL/kgのIVで注射後の1、3.5及び6時間目に3回処理した。
【0647】
感染後1時間目に、4匹のマウスをペンタバルビトンの過剰投与を使用して人道的に安楽死させて、治療前の対照群を得た。感染後9時間目に、ペンタバルビトンの過剰投与を使用して人道的に安楽死させる前に、全てのマウスの臨床状態を評価した。マウスの体重を決定してから、両方の大腿を除去し、そして個々に秤量した。個々の大腿組織の試料を氷冷の滅菌リン酸緩衝生理食塩水中でホモジナイズした。次いで大腿のホモジネートをCLED寒天上で定量的に培養し、そして37℃で24時間インキュベートしてから、コロニーを数えた。
【0648】
5mg/kg/投与の全濃度におけるリファンピシンとの1:1の組合せにおける実施例化合物10及びA1は、単独のポリミキシンBより優れた、そしてリファンピシンとの1:1のポリミキシンBの効力に匹敵する、4log
10を超える細菌の数の減少を伴う効力を証明した。
【0649】
【表22】
【0650】
In vivoの腎毒性
ポリミキシンの腎毒性のモデル(Yousef et al.Antimicrob.Agents Chemother.2011,55,4044−4049を適合)を、ラットにおいて確立した。実施例化合物1、4、及び10をモデルで試験し、そしてコリスチン(その硫酸塩の形態)と比較した。1週間の順化後、オスのSprague−Dawleyラットに、頸静脈カニューレを外科的に準備し、そして必要に応じて、事前に指定された収容ケージ又は代謝ケージのいずれかに個別に収容した。コリスチン及び実施例化合物を生理食塩水中で調製した。
【0651】
化合物を、頸静脈カニューレを経由して、一日2回、7時間離して7日間導入した。それぞれの投与量を、最大投与量まで3日間で漸進的に増加し、次いでこれを研究の終りまで投与した。24時間の尿の収集(氷上に)を、投与前並びに4及び7日目に行った。投与計画を以下の表10に提示する。
【0652】
【表23】
【0653】
N−アセチル−ベータ−D−グルコサミニダーゼ(NAG)の尿中の活性を、Roche Applied ScienceからのNAGアッセイキットを使用して、分光光度的に決定した。腎臓損傷のバイオマーカーを、Multi−Spot(登録商標)Assay System(Meso Scale Discovery)からのKidney Injury Panel IIを使用して決定した。
【0654】
8mg/kgの投与計画を使用して投与された実施例化合物1、4、及び10は、同じ投与計画のコリスチンと比較して、腎のバイオマーカーNGA、アルブミン及びシステインCの有意に減少したレベルを示した(
図1ないし3を参照されたい)。反応は、2mg/kgの最大濃度におけるコリスチンによって発揮される反応と類似であった。
【0655】
マウスの大腿のE.coli感染に対するin vivoの効力−実施例化合物
本発明の六つの化合物(実施例1、2、3、4、7及び10)のin vivoの効力を、E.coliのマウスの大腿感染モデルで評価した。結果を表11及び11Aに要約する。
【0656】
5匹のメスの特定の病原体を持たないCD−1マウスの、体重22±2gの群を使用した。マウスを、−4日目(150mg/kg)及び−1日目(100mg/kg)のシクロホスファミドの腹腔内投与によって好中球減少症にした。0日目に、マウスに、10
5CFU/マウスのEscherichia coliの分離株ATCC25922を、右大腿に筋肉内的に接種した。1時間目に、5匹のマウスからCFUの数を決定し、そして残りのマウス(群当たり5匹)を、感染後+1及び6時間目の薬物の皮下注射で処理した。それぞれの研究において、それぞれ1.5及び5mg/kgBIDの試験化合物当たり二つの投与群があった。
【0657】
実施例化合物及びポリミキシンBを、通常の生理食塩水で2mg/mLに調製し、そして溶液を、必要に応じて0.1MのH
2SO
4又は4.2%のNaHCO
3の添加によってpH6−7に調節した。感染後24時間目に、マウスを人道的に安楽死させた。それぞれのマウスの右大腿の筋肉を回収し、ホモジナイズし、一連に希釈し、そしてCFU決定のために、Brain Heart Infusion寒天+0.5%木炭(重量/容量)のプレート上に置いた。感染後24時間目における対照の数と比較した右大腿の全CFUの減少を、それぞれの投与群で決定した。
【0658】
10mg/kg/日における化合物1及び4は、3log
10を超える細菌の数の減少を伴うポリミキシンBの効力に匹敵する効力を証明した。
【0659】
【表24】
【0660】
実施例10の化合物のin vivoの効力を、上記の実施例中に記載した方法を使用して、E.coliのマウス大腿感染モデルで別個に評価した。結果をポリミキシンBと比較して表11Aに要約する。
【0661】
【表25】
【0662】
10mg/kg/日における化合物10は、3log
10を超える細菌の数の減少を伴うポリミキシンBの効力と匹敵する効力を証明した。
【0663】
先に記載したものと同じ方法を使用して、本発明の三つの化合物(実施例1、4及び10)のin vivoの効力を、コリスチン(ポリミキシンE)を比較基準として使用して、ATCC10031のKlebsiella pneumoniaeのマウスの大腿感染モデルで評価した。結果を表11Bに要約する。10mg/kg/日の化合物1、4及び10は、概略2log
10を超える細菌の数の減少を伴うコリスチンの効力に匹敵する効力を証明した。
【0664】
【表26】
【0665】
更なる生物学的活性
好中球減少症のマウスにおけるATCC25922のE.coli大腿感染に対するin vivoの効力−組合せ
A1のin vivoの効力を、単独で、そしてリファンピシンとの1:1(重量:重量)の組合せで、25922のE.coliのマウスの大腿感染で、化合物10及び27のために記載した同じプロトコル(表9)を使用し、そして表12に示した投与量レベルを使用して評価した。結果を表12に要約する。
【0666】
【表27】
【0667】
全投与量4mg/Kgのリファンピシンとの1:1の組合せ中のA1は、非処理の対照と比較して4.09の細菌の数の対数値の減少を与えた。同じ投与量のリファンピシンとの1:1の組合せ中のポリミキシンBは、細菌の数の4.8の対数値の減少を与えた。
【0668】
マウスのATCC27853のP.aeruginosaの大腿感染に対するin vivoの効力−組合せ
リファンピシンとの1:1の組合せにおけるポリミキシンB、実施例37及び実施例41を比較するin vivoの効力の研究を、オスのCD1マウスにおけるATCC27853のP.aeruginosa感染の9時間の大腿負荷モデルで行った。結果を表13に要約する。
【0669】
この研究において、それぞれの化合物処理群において4匹のオスのマウスを、そしてベヒクル対照に対して6匹を使用した。マウスを、感染の4日前の150mg/kg及び感染の1日前の100mg/kgのシクロホスファミドの腹腔内注射による免疫抑制によって一時的に好中球減少症にした。第2回目の免疫抑制後24時間目に、マウスを、吸入麻酔下で、ATCC27853のP.aeruginosaで、両方の大腿側筋に筋肉内的に、約2.5ないし5×10
5CFU/マウス大腿で使用して感染させた。ポリミキシンB、実施例37及び41を、0.25、1及び2.5mg/kgで、均等な投与量のリファンピシンと共に投与した。これは、それぞれの組合せに対して、0.5、2及び5mg/kgの全抗細菌剤レベルを与えた(表1)。化合物を、溶液中で静脈内(IV)のボーラス注射によって外側尾部静脈に投与した。これを、感染後の1、3.5及び6時間目に、10mL/kgの投与体積(0.25mL/25gのマウス)で3回行った。ベヒクル対照群を、注射に対して0.9%生理食塩水で、更に10mL/kgのIVで注射後の1、3.5及び6時間目に3回処理した。
【0670】
感染後1時間目に、4匹のマウスをペンタバルビトンの過剰投与を使用して人道的に安楽死させて、処理前の対照群を得た。感染後9時間目に、ペンタバルビトンの過剰投与によってこれらを人道的に安楽死させる前に、全てのマウスの臨床状態を評価した。マウスの体重を決定してから、両方の大腿を除去し、そして個々に秤量した。個々の大腿組織の試料を、氷冷の滅菌リン酸緩衝生理食塩水中でホモジナイズした。次いで大腿のホモジネートをCLED寒天上で定量的に培養し、そして37℃で24時間インキュベートしてから、コロニーを数えた。
【0671】
【表28】
【0672】
5mg/kgの全投与量でリファンピシンとの1:1で試験された実施例37は、非処理の対照と比較して細菌の数の1.75の対数値の減少を与え、一方、同じ投与量レベルで、実施例41:リファンピシンは、2.73の対数値の減少を与え、そしてポリミキシンB:リファンピシンは、5.37の対数値の減少を与えた。
【0673】
マウスのP.aeruginosa大腿感染に対するin vivoの効力−単剤療法
実施例27、実施例38、実施例42、実施例47、実施例52の二つの投与量レベルを、三つの投与量レベルのポリミキシンBと比較したin vivoの効力の研究を、好中球減少症のオスのICRマウスにおけるATCC27853のP.aeruginosa感染の9時間の大腿負荷モデルで、実施例37及び41のために記載したプロトコルを使用して行った。結果を表14に与える。
【0674】
実施例27、実施例38、実施例42、実施例47及び実施例52を、二つの投与量(2及び4mg/kg)で投与した。ポリミキシンBの三つの投与量を比較基準として使用した(1、2及び4mg/kg)。化合物を、溶液中で静脈内(IV)のボーラス注射によって外側尾部静脈に投与した。治療剤を、感染後の1、3.5及び6時間目に、10mL/kgの投与体積(0.25mL/25gのマウス)で3回投与した。ベヒクル対照群を、注射に対して0.9%生理食塩水で、更に10mL/kgのIVで感染後の1、3.5及び6時間目に3回処理した。
【0675】
【表29】
【0676】
2又は4mg/kgにおける実施例27、実施例42、及び実施例52は、大腿負荷を有意に減少しなかった。実施例38、実施例47は、2mg/kgで投与した場合、大腿負荷に有意に影響しなかったが、しかし4mg/kgで投与した場合、それぞれ、4.9及び1.1Log
10CFU/gの負荷を減少した。
【0677】
実施例28、実施例39、及びA3を使用する二つの投与量レベル、並びに三つの投与量レベルにおけるポリミキシンBを比較する更なるin vivoの効力の研究を、好中球減少症のオスのICRマウスにおけるATCC27853のP.aeruginosa感染の9時間の大腿負荷モデルで、実施例37及び41のために記載したプロトコルを使用して行った。結果を表15に与える。
【0678】
【表30】
【0679】
1.7mg/Kg及び3.4mg/kgの遊離塩基当量におけるA33を、0.85、1.7及び3.4mg/kgの遊離塩基当量のポリミキシン硫酸塩と比較したin vivoの効力研究を、ATCC27853のP.aeruginosaの9時間の大腿負荷モデルで行った。プロトコルは、感染レベルが約1×10
4CFU/マウス大腿であったこと以外は、実施例37及び41のために記載された通りであった。結果を表16に与える。
【0680】
【表31】
【0681】
実施例A33は、両方の投与量レベルにおいて、非処理の対照と比較して細菌の数の>3の対数値の減少を与えた。
【0682】
HK−2細胞毒性に対するヒドロキシル及びアミノ基置換基の影響
実施例化合物を、HK−2毒性を減少におけるヒドロキシル及びアミノ官能基の利益を示すために、比較実施例化合物C6と比較した。実施例化合物1、13及びA33は、PMBと比較して、HK−2に対する有意に増加する記録されたIC
50値を有する。一方、比較基準化合物C6は、PMBと比較して、HK−2に対する減少した毒性を有し、減少は、化合物1、13及びA33に対して記録された減少ほど有意ではなかった。
【0683】
【表32】
【0684】
更なる組合せ活性
更なるMIC試験を、実施例化合物40及び41に対して、リファンピシンの存在中で、コリスチン又はポリミキシンBに対する耐性に対して富化された一群の株に対して行った。MICを、CLCI感受性試験の標準に従って、カチオン調節Mueller−Hinton broth II(Becton Dickinson)中で決定した。データを表18に提示する。
【0685】
MIC(μg/mL)を、実施例化合物のリファンピシンとの1:1重量対重量の組合せの全薬物濃度として報告する。例えば、2μg/mLのウェルは、1μg/mLの試験化合物及び1μg/mLのリファンピシンからなる。
【0686】
【表33】
【0687】
リファンピシンとの組合せにおいて、実施例化合物は、E.coli、P.aeruginosa、K.pneumoniae及びA.baumanniiの株に対するポリミキシンと比較して、改善された活性を有する。生物体の一団は、耐性株を含む。
【0688】
参考文献
本明細書中に記述される全ての文書は、本明細書中に参考文献としてその全てが援用される。
【0689】
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