【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る塗布済対象物製造方法は、例えば
図1及び
図3を参照して示すと、塗布物質R(例えば
図2参照)が塗布される対象物Tにおける曲面を有する塗布対象面Tfに塗布物質Rが塗布された塗布済対象物を製造する方法であって;塗布物質Rを塗布対象面Tfに供給する供給工程(S2)と;塗布対象面Tfに塗布物質Rが供給された対象物Tを、対象物Tから離れている公転軸線13a回りに回転させる公転工程(S8)とを備える。
【0007】
このように構成すると、塗布対象面の各部分に作用する塗布物質を動かす力を、公転軸線からの距離に比例した大きさに近づけることができ、塗布対象面に塗布された塗布物質の厚さのばらつきを抑制することができる。
【0008】
また、本発明の第2の態様に係る塗布済対象物製造方法は、例えば
図2及び
図3を参照して示すと、上記本発明の第1の態様に係る塗布済対象物製造方法において、供給工程(S3)は、塗布物質Rが塗布対象面Tfの一部に接触するように構成され;公転工程(S8)の前に、対象物Tを回転させて、塗布物質Rが塗布対象面Tfに接触する範囲を拡大させる予備展延工程(S3)を備える。
【0009】
このように構成すると、塗布対象面が曲面を有するために公転工程において塗布物質が塗布対象面に接触する範囲が拡大し難い場合であっても、予備展延工程によって塗布物質が塗布対象面に接触する範囲を拡大させることができる。
【0010】
また、本発明の第3の態様に係る塗布済対象物製造方法は、例えば
図2及び
図3を参照して示すと、上記本発明の第2の態様に係る塗布済対象物製造方法において、予備展延工程(S3)が、供給工程(S2)において塗布対象面Tfに供給された塗布物質Rのうち、あらかじめ決められた量を超える分の塗布物質Rを塗布対象面Tfから離脱させる超過分離脱工程(S4)を含んで構成され;公転工程(S8)の前に、超過分離脱工程(S4)において対象物Tから離れた塗布物質Rを回収する回収工程(S5)を備える。
【0011】
このように構成すると、公転工程の前に超過分の塗布物質を塗布対象面から離脱させることで公転工程において余剰の塗布物質が生じることを抑制することができると共に、離脱した塗布物質を回収して有効に利用することができる。
【0012】
また、本発明の第4の態様に係る塗布済対象物製造方法は、例えば
図1及び
図3を参照して示すと、上記本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る塗布済対象物製造方法において、塗布対象面Tfに塗布物質Rが供給された対象物Tを、対象物Tが自転する際の自転軸線23a回りに対象物Tを回転させる自転工程(S7)を備える。
【0013】
このように構成すると、公転工程における塗布対象面の各部分に作用する塗布物質を動かす力の、自転軸線を中心とする塗布対象面上の周方向における大きさの相違を是正することができ、塗布対象面に塗布された塗布物質の厚さの均一化を図ることができる。
【0014】
また、本発明の第5の態様に係る塗布済対象物製造方法は、例えば
図1及び
図3を参照して示すと、上記本発明の第4の態様に係る塗布済対象物製造方法において、公転工程(S8)において塗布対象面Tf上の塗布物質R(例えば
図2参照)に作用する塗布物質Rを動かす力に対する、自転工程(S7)において塗布対象面Tf上の塗布物質Rに作用する塗布物質Rを動かす力の最大値の比が0.5以下である。
【0015】
このように構成すると、公転工程の作用が自転工程によって阻害されることを回避することができる。
【0016】
また、本発明の第6の態様に係る塗布済対象物製造方法は、例えば
図3を参照して示すと、上記本発明の第4の態様又は第5の態様に係る塗布済対象物製造方法において、自転工程(S7)における回転速度が公転工程(S8)における回転速度よりも遅い。
【0017】
このように構成すると、公転工程で生じる塗布物質の厚さの比較的小さいばらつきを、公転よりも遅い回転速度の自転を行うことで改善することができる。
【0018】
また、本発明の第7の態様に係る塗布済対象物製造方法は、例えば
図1及び
図3を参照して示すと、上記本発明の第4の態様乃至第6の態様のいずれか1つの態様に係る塗布済対象物製造方法において、公転軸線13aと自転軸線23aとが交差する位置にあって、公転軸線13aと自転軸線23aとのなす角αが15度以上165度以下である。
【0019】
このように構成すると、塗布対象面に塗布された塗布物質の厚さを概ね均一にすることができる。
【0020】
また、本発明の第8の態様に係る塗布済対象物製造方法は、例えば
図1を参照して示すと、上記本発明の第1の態様乃至第7の態様のいずれか1つの態様に係る塗布済対象物製造方法において、塗布対象面Tfが球面又は略球面で形成されているときに、公転軸線13aに直交する方向における公転軸線13aと塗布対象面Tfとの最短距離Lの、塗布対象面Tfの曲率半径Tfr(例えば
図2参照)に対する比が0.3以上5以下である。ここで、略球面とは、楕円面、放物面、双曲面等の球面に近い形であり、このときの曲率半径は典型的には最小二乗法による回帰曲面における曲率半径である。
【0021】
このように構成すると、公転軸線に直交する方向における公転軸線と塗布対象面との最短距離を大きくしすぎずに塗布対象面に塗布された塗布物質の厚さを概ね均一にすることができる。
【0022】
また、本発明の第9の態様に係る塗布済対象物製造方法は、例えば
図1を参照して示すと、上記本発明の第8の態様に係る塗布済対象物製造方法において、公転軸線13aに直交する方向における公転軸線13aと塗布対象面Tfとの最短距離Lの、塗布対象面Tfの曲率半径Tfr(例えば
図2参照)に対する比が3以上である。
【0023】
このように構成すると、自転工程を実行しない場合でも塗布対象面に塗布された塗布物質の厚さを概ね均一にすることができる。
【0024】
上記目的を達成するために、本発明の第10の態様に係る塗布物質展延装置は、例えば
図1に示すように、曲面を有する塗布対象面Tfが形成された対象物Tから離れている公転軸線13a回りに対象物Tを回転させる公転部10を備える。
【0025】
このように構成すると、塗布対象面に塗布された塗布物質の厚さのばらつきを抑制することができる。
【0026】
また、本発明の第11の態様に係る塗布物質展延装置は、例えば
図1に示すように、上記本発明の第10の態様に係る塗布物質展延装置1において、対象物Tが自転する際の自転軸線23a回りに対象物Tを回転させる自転部20と;自転部20における回転速度を調節する回転速度調節部60とを備え;回転速度調節部60が、上記本発明の第4の態様乃至第7の態様のいずれか1つの態様に係る塗布済対象物製造方法における公転工程(S8(例えば
図3参照))を公転部10によって行わせると共に自転工程(S7(例えば
図3参照))を自転部20によって行わせる制御装置で構成されている。
【0027】
このように構成すると、塗布対象面に塗布された塗布物質の厚さのばらつきの抑制を自動で行うことができる。