(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643768
(24)【登録日】2020年1月9日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】突っ張り調整具
(51)【国際特許分類】
A47B 97/00 20060101AFI20200130BHJP
【FI】
A47B97/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-130044(P2018-130044)
(22)【出願日】2018年7月9日
(65)【公開番号】特開2020-5920(P2020-5920A)
(43)【公開日】2020年1月16日
【審査請求日】2018年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】500056404
【氏名又は名称】株式会社ハーマニー
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】寺本 敏之
【審査官】
油原 博
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3194176(JP,U)
【文献】
特開2000−308540(JP,A)
【文献】
特開2007−222487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 91/02、96/14、97/00
A47G 25/00−25/92
B65G 1/10
B66F 3/00、3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材(3)と第2部材(4)との間に配置されて両部材に突っ張り力を与える突っ張り調整具(1)であって、
第1部材(3)と第2部材(4)の一方の部材に押圧する押圧部(5A)を有しかつこの押圧部(5A)と反対側に開口部(5B)を有するケース(5)と、第1部材(3)と第2部材(4)の他方の部材に当接する当接部(6A)を有しかつこの当接部(6A)と反対側にケース(5)の開口部(5B)に挿入されていて末広がり状の受け斜面(U)が形成された山形部(6B)を有する突っ張り体(6)と、この突っ張り体(6)の各受け斜面(U)と面接する押し斜面(L)を有して対向する対称形状の一対の駆動コマ(7)と、前記受け斜面(U)及び押し斜面(L)と交差する方向で一対の駆動コマ(7)に貫通されていて一対の駆動コマ(7)を遠近移動するネジ部材(8)とを備えており、
前記突っ張り体(6)は、当接部(6A)を形成する平板部分の上側に、ネジ部材(8)が挿通される谷空間(T)と、この谷空間(T)を挟んでいて前記一対の駆動コマ(7)の対向方向と直交する方向に分離した一対の山形部(6B)とが形成され、この各山形部(6B)に前記受け斜面(U)が形成されており、
前記各駆動コマ(7)は、ネジ部材(8)が貫通する貫通孔(9)を形成した中央部(7A)と、前記一対の駆動コマ(7)の対向方向と直交する方向で中央部(7A)の両側に分離していて前記各受け斜面(U)と面接する押し斜面(L)とが形成されており、
前記ケース(5)の壁内面に、押圧部(5A)及びネジ部材(8)の軸芯(S)と平行なレール部(13)が突条形成されており、前記各駆動コマ(7)にはレール部(13)と摺動自在に係合する係合溝(14)が形成されており、
前記ケース(5)のレール部(13)は長手方向中央に駆動コマ(7)が挿入可能な間隙(W)が開けられていることを特徴とする突っ張り調整具。
【請求項2】
第1部材(3)と第2部材(4)との間に配置されて両部材に突っ張り力を与える突っ張り調整具(1)であって、
第1部材(3)と第2部材(4)の一方の部材に押圧する押圧部(5A)を有しかつこの押圧部(5A)と反対側に開口部(5B)を有するケース(5)と、第1部材(3)と第2部材(4)の他方の部材に当接する当接部(6A)を有しかつこの当接部(6A)と反対側にケース(5)の開口部(5B)に挿入されていて末広がり状の受け斜面(U)が形成された山形部(6B)を有する突っ張り体(6)と、この突っ張り体(6)の各受け斜面(U)と面接する押し斜面(L)を有して対向する対称形状の一対の駆動コマ(7)と、前記受け斜面(U)及び押し斜面(L)と交差する方向で一対の駆動コマ(7)に貫通されていて一対の駆動コマ(7)を遠近移動するネジ部材(8)とを備えており、
前記突っ張り体(6)は、当接部(6A)を形成する平板部分の上側に、ネジ部材(8)が挿通される谷空間(T)と、この谷空間(T)を挟んでいて前記一対の駆動コマ(7)の対向方向と直交する方向に分離した一対の山形部(6B)とが形成され、この各山形部(6B)に前記受け斜面(U)が形成されており、
前記各駆動コマ(7)は、ネジ部材(8)が貫通する貫通孔(9)を形成した中央部(7A)と、前記一対の駆動コマ(7)の対向方向と直交する方向で中央部(7A)の両側に分離していて前記各受け斜面(U)と面接する押し斜面(L)とが形成されており、
前記一方の駆動コマ(7)には貫通孔(9)内にネジ部材(8)の頭部を受ける受け部(15)が形成され、前記他方の駆動コマ(7)には貫通孔(9)内にネジ部材(8)が螺合するナット(16)が配置されており、
前記ケース(5)の壁には、前記一方の駆動コマ(7)の貫通孔(9)の延長位置に、ネジ部材(8)を回動する工具を外方から挿入する挿入孔(17)が形成されていることを特徴とする突っ張り調整具。
【請求項3】
第1部材(3)と第2部材(4)との間に配置されて両部材に突っ張り力を与える突っ張り調整具(1)であって、
第1部材(3)と第2部材(4)の一方の部材に押圧する押圧部(5A)を有しかつこの押圧部(5A)と反対側に開口部(5B)を有するケース(5)と、第1部材(3)と第2部材(4)の他方の部材に当接する当接部(6A)を有しかつこの当接部(6A)と反対側にケース(5)の開口部(5B)に挿入されていて末広がり状の受け斜面(U)が形成された山形部(6B)を有する突っ張り体(6)と、この突っ張り体(6)の各受け斜面(U)と面接する押し斜面(L)を有して対向する対称形状の一対の駆動コマ(7)と、前記受け斜面(U)及び押し斜面(L)と交差する方向で一対の駆動コマ(7)に貫通されていて一対の駆動コマ(7)を遠近移動するネジ部材(8)とを備えており、
前記突っ張り体(6)は、当接部(6A)を形成する平板部分の上側に、ネジ部材(8)が挿通される谷空間(T)と、この谷空間(T)を挟んでいて前記一対の駆動コマ(7)の対向方向と直交する方向に分離した一対の山形部(6B)とが形成され、この各山形部(6B)に前記受け斜面(U)が形成されており、
前記各駆動コマ(7)は、ネジ部材(8)が貫通する貫通孔(9)を形成した中央部(7A)と、前記一対の駆動コマ(7)の対向方向と直交する方向で中央部(7A)の両側に分離していて前記各受け斜面(U)と面接する押し斜面(L)とが形成されていることを特徴とする突っ張り調整具。
【請求項4】
前記各駆動コマ(7)の中央部(7A)の下部は、両側の押し斜面(L)より下方へ突出しており、この突出部分は突っ張り体(6)の谷空間(T)内に入り込んでいることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の突っ張り調整具。
【請求項5】
前記ケース(5)の押圧部(5A)には第1部材(3)に当接する滑り止めシート(18)が設けられ、前記突っ張り体(6)の当接部(6A)には第2部材(4)の端部に接合する接合シート(19)が設けられ、
前記ケース(5)の開口部(5B)は第2部材(4)の端部に略適合嵌合する大きさに形成されており、
前記第2部材(4)は柱で形成され、前記一対の駆動コマ(7)及び突っ張り体(6)を挿入したケース(5)の開口部(5B)は柱の端部に嵌合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の突っ張り調整具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部材と下部材との間に配置されて両者に突っ張り力を与えて固定する突っ張り調整具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、仮設の柱部材の上端や家具の上部等を天井部材に固定するために、両者の間に突っ張り調整具を配置して、突っ張り力で両者を固定するようにしている。
この突っ張り調整具として、特許文献1に開示されているような家具類固定具がある。この家具類固定具は、建物とその内部に設置された家具類との間の空間に配置されるケースと、そのケース内に移動可能に配置された可動コマと、そのケース内の可動コマの上に配置されてケースの開口部から突出するスライダーと、ケースの外から前記可動コマを移動操作可能な操作具を備え、前記スライダーは前記操作具の操作によって前記可動コマをケース内で移動させるとその可動コマにより押されてケースの開口部から外側へスライドして先端部が建物に突き当たって家具類を建物に固定できるように構成されている(請求項1)。そして、建物とその内部に設置された家具類との間の空間に家具類固定具が一又は二以上配置され、家具類固定具のケースの開口部から外側に突出するスライダーの先端部が建物に突き当てられて家具類が建物に固定される(請求項2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−222487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術は、ネジ棒(操作具)の回転により一対の可動コマを遠近移動させて、可動コマの斜面でスライダーの斜面を押動して、スライダーをケース外へ突出させるように構成されているので、スライダーによる突っ張りを行うことができるが、スライダーの斜面とネジ棒とは上下にずれており、ネジ棒による可動コマの移動力をスライダーの突っ張り力に変換するのが効率的ではない。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした突っ張り調整具を提供することを目的とする。
本発明は、駆動コマの移動力を突っ張り体の突っ張り力に効率的に変換できるようにした突っ張り調整具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、第1部材3と第2部材4との間に配置されて両部材に突っ張り力を与える突っ張り調整具1であって、
第1部材3と第2部材4の一方の部材に押圧する押圧部5Aを有しかつこの押圧部5Aと反対側に開口部5Bを有するケース5と、第1部材3と第2部材4の他方の部材に当接する当接部6Aを有しかつこの当接部6Aと反対側にケース5の開口部5Bに挿入されていて末広がり状
の受け斜面Uが形成された山形部6Bを有する突っ張り体6と、この突っ張り体6の各受け斜面Uと面接する押し斜面Lを有
して対向する対称形状の一対の駆動コマ7と、
前記受け斜面U及び押し斜面Lと交差する方向で一対の駆動コマ7に貫通されていて一対の駆動コマ7を遠近移動するネジ部材8とを備えており、
前記突っ張り体6
は、当接部6Aを形成する平板部分の上側に、ネジ部材8が挿通される谷空間Tと、この谷空間Tを挟んでいて前記一対の駆動コマ7の対向方向と直交する方向に分離した一対の山形部6Bとが形成され、この各山形部6Bに前記受け斜面Uが形成されており、
前記各駆動コマ7は
、ネジ部材8が貫通する
貫通孔9を形成した中央部7Aと、前記一対の駆動コマ7の対向方向と直交する方向で中央部7Aの両側に分離して
いて前記各受け斜面Uと面接する押し斜面L
とが形成されて
おり、
前記ケース5の壁内面に、押圧部5A及びネジ部材8の軸芯Sと平行なレール部13が突条形成されており、前記各駆動コマ7にはレール部13と摺動自在に係合する係合溝14が形成されており、
前記ケース5のレール部13は長手方向中央に駆動コマ7が挿入可能な間隙Wが開けられていることを特徴とする。
【0007】
第2に、
第1部材3と第2部材4との間に配置されて両部材に突っ張り力を与える突っ張り調整具1であって、
第1部材3と第2部材4の一方の部材に押圧する押圧部5Aを有しかつこの押圧部5Aと反対側に開口部5Bを有するケース5と、第1部材3と第2部材4の他方の部材に当接する当接部6Aを有しかつこの当接部6Aと反対側にケース5の開口部5Bに挿入されていて末広がり状の受け斜面Uが形成された山形部6Bを有する突っ張り体6と、この突っ張り体6の各受け斜面Uと面接する押し斜面Lを有して対向する対称形状の一対の駆動コマ7と、前記受け斜面U及び押し斜面Lと交差する方向で一対の駆動コマ7に貫通されていて一対の駆動コマ7を遠近移動するネジ部材8とを備えており、
前記突っ張り体6は、当接部6Aを形成する平板部分の上側に、ネジ部材8が挿通される谷空間Tと、この谷空間Tを挟んでいて前記一対の駆動コマ7の対向方向と直交する方向に分離した一対の山形部6Bとが形成され、この各山形部6Bに前記受け斜面Uが形成されており、
前記各駆動コマ7は、ネジ部材8が貫通する貫通孔9を形成した中央部7Aと、前記一対の駆動コマ7の対向方向と直交する方向で中央部7Aの両側に分離していて前記各受け斜面Uと面接する押し斜面Lとが形成されており、
前記一方の駆動コマ7には貫通孔9内にネジ部材8の頭部を受ける受け部15が形成され、前記他方の駆動コマ7には貫通孔9内にネジ部材8が螺合するナット16が配置されており、
前
記ケース5の壁には、前記一方の駆動コマ7の貫通孔9の延長位置に、ネジ部材8を回動する工具を外方から挿入する挿入孔17が形成されていることを特徴とする。
【0008】
第3に、
第1部材3と第2部材4との間に配置されて両部材に突っ張り力を与える突っ張り調整具1であって、
第1部材3と第2部材4の一方の部材に押圧する押圧部5Aを有しかつこの押圧部5Aと反対側に開口部5Bを有するケース5と、第1部材3と第2部材4の他方の部材に当接する当接部6Aを有しかつこの当接部6Aと反対側にケース5の開口部5Bに挿入されていて末広がり状の受け斜面Uが形成された山形部6Bを有する突っ張り体6と、この突っ張り体6の各受け斜面Uと面接する押し斜面Lを有して対向する対称形状の一対の駆動コマ7と、前記受け斜面U及び押し斜面Lと交差する方向で一対の駆動コマ7に貫通されていて一対の駆動コマ7を遠近移動するネジ部材8とを備えており、
前記突っ張り体6は、当接部6Aを形成する平板部分の上側に、ネジ部材8が挿通される谷空間Tと、この谷空間Tを挟んでいて前記一対の駆動コマ7の対向方向と直交する方向に分離した一対の山形部6Bとが形成され、この各山形部6Bに前記受け斜面Uが形成されており、
前記各駆動コマ7は、ネジ部材8が貫通する貫通孔9を形成した中央部7Aと、前記一対の駆動コマ7の対向方向と直交する方向で中央部7Aの両側に分離していて前記各受け斜面Uと面接する押し斜面Lとが形成されてことを特徴とする。
【0009】
第4に、
前記各駆動コマ7の中央部7Aの下部は、両側の押し斜面Lより下方へ突出しており、この突出部分は突っ張り体6の谷空間T内に入り込んでいることを特徴とする。
第5に、前記ケース5の押圧部5Aには第1部材3に当接する滑り止めシート18が設けられ、前記突っ張り体6の当接部6Aには第2部材4の端部に接合する接合シート19が設けられ、
前記ケース5の開口部5Bは第2部材4の端部に略適合嵌合する大きさに形成されて
おり、
前記第2部材4は柱で形成され、前記一対の駆動コマ7及び突っ張り体6を挿入したケース5の開口部5Bは柱の端部に嵌合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、駆動コマの移動力を突っ張り体の突っ張り力に効率的に変換することができる。
即ち、請求項1に係る発明は、
ケース5の壁内面のレール部13に各駆動コマ7の係合溝14を嵌合することにより、一対の駆動コマ7の対向移動を案内するとともにケース5からの抜けを防止することができ、ケース5のレール部13は長手方向中央に駆動コマ7が挿入可能な間隙Wが開けられているので、駆動コマ7をケース5内へ挿入してレール部13へ係合するのが容易にできる。
【0011】
請求項2に係る発明は、
一対の駆動コマ7を遠近移動するためのネジ部材8及びこのネジ部材8を回転する工具を、挿入孔17を介してケース5の外方から挿入することができる。
請求項3に係る発明は、
第1部材3と第2部材4との間に配置されて両部材に突っ張り力を与える突っ張り調整具1は、突っ張り体6の山形部6Bの各受け斜面Uは一対の駆動コマ7の対向方向と直交する方向に分離形成されており、駆動コマ7は一対の駆動コマ7の対向方向と直交する方向で中央部7Aの両側に押し斜面Lが一対分離形成されているので、受け斜面U及び押し斜面Lの面接位置はネジ部材8の軸芯Sを挟んで一対の駆動コマ7の対向方向と直交する方向で両側に位置することになり、軸芯S上でネジ部材8による駆動コマ7の押し力は突っ張り体6の突っ張り力に変換され、高効率で突っ張り力を発生することができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、
各駆動コマ7の中央部7Aの下部は、両側の押し斜面Lより下方へ突出しており、この突出部分は突っ張り体6の谷空間T内に入り込んでいるので、
一対の駆動コマ7の対向方向と直交する方向において突っ張り体6とずれることが規制される。
請求項5に係る発明は、ケース5の押圧部5Aに滑り止めシート18が設けられ、突っ張り体6の当接部6Aに接合シート19が設けられ、ケース5の開口部5Bが第2部材4の端部に略適合嵌合する大きさに形成され、かつ
一対の駆動コマ7及び突っ張り体6を挿入したケース5の開口部5Bは柱の端部に嵌合されているので、第2部材4
の柱の端部への突っ張り調整具1の装着が簡単かつ確実にできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】ケース、突っ張り体、駆動コマ及びネジ部材を分解した正面図である。
【
図4】ケース、突っ張り体及び駆動コマを分解した側面図である。
【
図5】ケース、突っ張り体及び駆動コマを分解した平面図である。
【
図6】ケース及び突っ張り体を突っ張り方向に移動した断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜6において、突っ張り調整具1は第1部材3と第2部材4との間に配置されていて、両部材3、4に突っ張り力を与えて、第1部材3に対して第2部材4の上部を固定する。
第2部材4を家具とした場合、家具の上部を天井部材(第1部材3)に対して固定するのに突っ張り調整具1を利用できるが、この実施形態では、建築構造物の壁の内側に、ツーバイフォー工法で、柱を枠組みして内装壁を作った場合に、その壁の柱(第2部材4)を天井部材(第1部材3)に対して固定するのに突っ張り調整具1を適用している。
【0015】
なお、
図1、2において、第2部材(柱)4は50mm2x4材を使用し、第2部材(柱)4の下端に下滑り止め具20を嵌合し、滑り止めシート22を介在して床板21に接地している。
突っ張り調整具1は大別して、第1部材3に押圧するケース5と、第2部材4に当接する突っ張り体6と、この突っ張り体6を押動する一対の
対向した駆動コマ7と、この一対の駆動コマ7を遠近移動
(対向方向の移動)するネジ部材8とを備えている。
【0016】
前記ケース5は天壁及び周囲壁を有する四角箱形状であり、天壁が第1部材3に押圧する押圧部5Aとなっており、この押圧部5Aと反対側は下方に開放したに開口部5Bとなっている。
ケース5の周囲壁を形成する前後壁及び左右壁は内面も外面も末広がり形状であり、周囲壁は押圧部5A側から開口部5B側へ肉厚が漸次厚く形成され、開口部5Bは第2部材4の端部に略適合嵌合する大きさの四角形状に形成されている。
【0017】
また、
図1、6を正面図として、ケース5の前後壁の内面には、押圧部5A及びネジ部材8の軸芯Sと平行なレール部13が突条形成されており、このレール部13は左右に分離していて、長手方向中央に駆動コマ7が挿入可能な間隙Wが開けられている。
ケース5の周囲壁を形成する左右壁の一方(右壁)には、ネジ部材8を回動する工具を外方から挿入する挿入孔17が形成されている。
【0018】
ケース5の押圧部5Aは平面視格子状のリブが形成され、その上面には第1部材3に当接する滑り止めシート18が設けられている。
前記突っ張り体6は、下面が第2部材4に当接する平板形状の当接部6Aと、この当接部6Aの上面から上方突出した一対の山形部6Bとを有する。または、平行な2つの山形部6Bの裾を当接部6Aが連結している。山形部6Bの内部は空洞で複数本のリブが設けられている。
【0019】
即ち、突っ張り体6は、当接部6Aを形成する平板部分の上面にネジ部材8が挿通される谷空間Tを挟んで両側
(前記一対の駆動コマ7の対向方向と直交する方向に分離した両側)に一対の山形部6Bが形成されている。
突っ張り体6はケース5内に配置、又は少なくとも山形部6Bがケース5の開口部5Bに挿入されている。山形部6Bは正面視末広がり状の一対の受け斜面Uが形成されている。
【0020】
前記一対の駆動コマ7は外形が対称形状であり、各駆動コマ7はネジ部材8が貫通する貫通孔9を形成した中央部7A
と、前記一対の駆動コマ7の対向方向と直交する方向で中央部7Aの両側に一対の押し斜面Lが形成されており、前後両外面にレール部13と摺動自在に係合する係合溝14と形成されている。駆動コマ7は内部に貫通孔9を形成するための筒状部分を有するがその周囲は空洞になっている。
【0021】
一対の駆動コマ7の押し斜面Lは正面視末広がり状に位置し、水平線に対する傾斜角度が突っ張り体6の各受け斜面Uと同一であり、例えば30度であり、押し斜面Lと受け斜面Uとは摺動可能に面接触しており、駆動コマ7の水平移動力を突っ張り体6の上下移動力に変換する。
一方(
図1、6右側)の駆動コマ7の貫通孔9は、ネジ部材8の頭部が入る大径孔と軸部が挿通する小径孔との段部に、ネジ部材8の頭部を受ける受け部15が形成されている、この貫通孔9の延長位置に、ネジ部材8を回動する工具を外方から挿入するケース5の挿入孔17が形成されている。
【0022】
他方(
図1、6左側)の駆動コマ7には貫通孔9内にネジ部材8が螺合するナット16が配置されている。他方の駆動コマ7の貫通孔9は、ナット16が入る六角孔とネジ部材8の軸部が挿通する小径孔とで形成されている。
前記一対の駆動コマ7の各貫通孔9は、正面視において、それぞれの押し斜面Lと傾斜方向略中央位置で交差しており、従って、貫通孔9に挿入されたネジ部材8の軸芯Sは、正面視において、末広がり状に形成された押し斜面Lとも受け斜面Uとも交差することになる。
【0023】
換言すると、前記一対の駆動コマ7の各押し斜面Lも突っ張り体6の山形部6Bの各受け斜面Uも、ネジ部材8の軸芯Sを挟んで一対が分離形成されており、ネジ部材8による一対の駆動コマ7を近づける方向の移動力は、軸芯Sを通る水平面上で押し斜面Lから受け斜面Uに伝達され、突っ張り体6の突っ張り力に変換されることになる。
各駆動コマ7の中央部7Aの下部は、前後両側の押し斜面Lより下方へ突出しており、この突出部分は突っ張り体6の谷空間T内に入り込み、一対の山形部6Bの前後位置規制をすることが可能になっている。
【0024】
図3〜5には突っ張り調整具1の分解図を示しており、この突っ張り調整具1の組立て装着方法を次に説明する。
突っ張り調整具1は、駆動コマ7をケース5内に入れて間隙Wに挿入し、駆動コマ7の係合溝14をケース5の壁内面のレール部13に係合する。ケース5の壁の挿入孔17からネジ部材8を挿入して、ケース5内の一方の駆動コマ7の貫通孔9に貫通し、このネジ部材8を他方の駆動コマ7に予め装着しておいたナット16に螺合させる。
【0025】
第2部材4の上端に接合シート19を介して突っ張り体6を接合しておいて、その突っ張り体6に嵌合するように駆動コマ7を内在するケース5を嵌合し、突っ張り体6の山形部6Bの受け斜面Uに一対の駆動コマ7の押し斜面Lを面接させる(
図1、2に示す状態になる。)。
その後、ケース5の押圧部5Aを第1部材3に対向させ、挿入孔17から回動工具を挿入してネジ部材8を回動し、
図6に示すように、一対の駆動コマ7を近づく方向に移動して、突っ張り体6をネジ部材8と直交する方向に移動し、相対的にケース5の押圧部5Aを上昇させて滑り止めシート18を第1部材3に当接させ、さらにネジ部材8を回動して押圧部5Aで第1部材3に突っ張らせ、その突っ張り力で第1部材3に対して第2部材4の上端を固定する。
【0026】
図6は一対の駆動コマ7が近づいた状態を示すが、一対の駆動コマ7は対向する面が当接するまで近づけることができる。一対の駆動コマ7が最大に離れる位置は、一対の駆動コマ7の対向する面と反対側の面がケース5と当接する、または駆動コマ7の下面が突っ張り体6の当接部6Aと当接する状態に設定できる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、部材の形状、構成及び組み合わせ等を変更したりすることもできる。
【0027】
例えば、突っ張り調整具1は、上下逆にして、ケース5を第2部材4に当接しかつ突っ張り体6を第1部材3に当接したり、水平にして、壁と家具側面との間、家具と家具との間に配置したりして、それらを突っ張り固定するのに適用してもよい。
一対の駆動コマ7を内蔵したケース5に突っ張り体6も相対上下動自在に内在させ、ケース5と突っ張り体6との間に、突っ張り体6がケース5から抜け出るのを規制する抜け規制具を設けることも可能である。
【0028】
ケース5の上下丈を短くしたり、突っ張り体6の当接部6Aを下方へ長く形成したりして、突っ張り体6の当接部6Aがケース5の開口部5Bから下方へ突出させておいてもよい。
一対の駆動コマ7はケース5の内面によって移動が案内されるので、ケース5のレール部13及び駆動コマ7の係合溝14を割愛することは可能である。
【0029】
一方の駆動コマ7のナット16は、駆動コマ7自体に雌ネジを切ってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 突っ張り調整具
3 第1部材
4 第2部材
5 ケース
5A 押圧部
5B 開口部
6 突っ張り体
6A 当接部
6B 山形部
7 駆動コマ
7A 中央部
8 ネジ部材
9 貫通孔
13 レール部
14 係合溝
15 受け部
16 ナット
17 挿入孔
18 滑り止めシート
19 接合シート
20 下滑り止め具
21 床板
22 滑り止めシート
L 押し斜面
S 軸芯
T 谷空間
U 受け斜面
W 間隙