(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記レトロフィット後に、前記ディレードコーキングプラントは、前記レトロフィット前の前記ディレードコーキングプラントの加熱ユーティリティの消費と比較して、最大約13%少ない加熱ユーティリティを消費する、
請求項20に記載のシステム。
前記第1の流体ストリームを加熱するステップは、前記ディレードコーキングプラント内の脱ブタン塔からの塔底ストリームから回収した熱を用いて前記第1の流体ストリームを加熱するステップを備える、
請求項23に記載の方法。
前記第1の流体ストリームを加熱するステップは、前記ディレードコーキングプラント内の精留塔から出力されたストリームから回収した熱を用いて前記第1の流体ストリームを加熱するステップを備える、
請求項23に記載の方法。
前記第2の流体ストリームを加熱するステップは、前記ディレードコーキングプラント内の精留塔からの塔頂ストリームから回収した熱を用いて前記第2の流体ストリームを加熱するステップを備える、
請求項23に記載の方法。
前記第2の流体ストリームを加熱するステップは、前記ディレードコーキングプラント内のコーカーガス圧縮機の段間ストリーム及び吐出ストリームの少なくとも一方から回収した熱を用いて前記第2の流体ストリームを加熱するステップを備える、
請求項23に記載の方法。
前記ディレードコーキングプラント内のストリームを加熱するステップは、前記ディレードコーキングプラント内のストリッパからのストリッパ塔底製品を加熱するステップを備える、
請求項23に記載の方法。
前記ディレードコーキングプラント内のストリームを加熱するステップは、前記ディレードコーキングプラント内のスポンジ吸収塔からのリッチスポンジオイルストリームを加熱するステップを備える、
請求項23に記載の方法。
【発明の概要】
【0003】
一の態様において、システムは、熱交換システムと発電システムとを含む。熱交換システムは、ディレードコーキングプラントからの連続熱源として作動可能な第1の熱交換器であって、第1の流体ストリームを加熱して、加熱された第1の流体ストリームを生じるように構成された第1の熱交換器を含む。熱交換システムは、ディレードコーキングプラントからの連続熱源として作動可能な第2の熱交換器であって、第2の流体ストリームを加熱して、加熱された第2の流体ストリームを生じるように構成された第2の熱交換器を含む。加熱された第2の流体ストリームは、加熱された第1の流体ストリームよりも低い温度及び大きい熱量を有する。熱交換システムは、ディレードコーキングプラントへの連続熱源として作動可能な第3の熱交換器であって、第3の流体ストリームを加熱して、加熱された第3の流体ストリームを生じるように構成された第3の熱交換器を含む。第3の流体ストリームは、加熱された第1の流体ストリーム及び高温の流体ストリームを含む。加熱された第3の流体ストリームの温度は、加熱された第1の流体ストリームの温度よりも低い。発電システムは、加熱された第2の流体ストリーム及び加熱された第3の流体ストリームからの熱を用いて発電するように構成されている。
【0004】
実施の形態は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。
【0005】
システムは、高温の流体ストリームを連続的に通過させるように構成された流体貯留タンクを含む。流体貯留タンクは、断続高温ストリームを受け取る。システムは、ディレードコーキングプラントからの断続熱源として作動可能な第4の熱交換器を含む。第4の熱交換器は、第4の流体ストリームを加熱して断続高温ストリームを生じるように構成されている。断続高温ストリームは、加熱された第1の流体ストリームよりも大きい熱量を有する。断続高温ストリームは、加熱された第1の流体ストリームよりも低い温度を有する。第4の熱交換器は、ディレードコーキングプラント内のコーカーブローダウン塔からの出力ストリームから熱を回収する。出力ストリームは断続熱源である。出力ストリームは、コーカーブローダウン塔からの塔頂ストリームを含む。出力ストリームは、コーカーブローダウン塔からの塔底留分ストリームを含む。熱交換システムは、それぞれが断続流体ストリームの一部を加熱するように構成された第4の熱交換器を複数含む。それぞれの第4の熱交換器は、ディレードコーキングプラント内の対応する断続熱源から熱を回収する。
【0006】
第1の熱交換器は、ディレードコーキングプラント内の連続熱源から熱を回収し、連続熱源の温度は少なくとも約134℃である。
【0007】
第1の熱交換器は、ディレードコーキングプラント内の脱ブタン塔からの塔底留分ストリームから熱を回収する。脱ブタン塔からの塔底留分ストリームは、安定化ナフサストリームを含む。
【0008】
第1の熱交換器は、ディレードコーキングプラント内の精留塔から出力されるスポンジオイルストリームから熱を回収する
【0009】
第1の熱交換器は、ディレードコーキングプラント内の精留塔からの軽質コークス化軽油製品ストリームから熱を回収する。
【0010】
第1の熱交換器は、ディレードコーキングプラント内の精留塔からの重質分解軽油製品ストリームから熱を回収する。
【0011】
熱交換システムは、それぞれが第1の流体ストリームの一部を加熱するよう構成された第1の熱交換器を複数含む。それぞれの第1の熱交換器は、ディレードコーキングプラント内の対応する連続熱源から熱を回収する。
【0012】
第2の熱交換器は、ディレードコーキングプラント内の連続熱源から熱を回収し、連続熱源の温度は約134℃未満である。
【0013】
第2の熱交換器は、ディレードコーキングプラント内の精留塔からの塔頂ストリームから熱を回収する。
【0014】
第2の熱交換器は、ディレードコーキングプラント内のコーカーガス圧縮機の段間ストリームから熱を回収する。
【0015】
第2の熱交換器は、ディレードコーキングプラント内のコーカーガス圧縮機の吐出ストリームから熱を回収する。
【0016】
熱交換システムは、それぞれが第2の流体ストリームの一部を加熱するように構成された第2の熱交換器を複数含む。それぞれの第2の熱交換器は、ディレードコーキングプラント内の対応する連続熱源から熱を回収する。
【0017】
加熱された第3の流体ストリームの温度は第3の流体ストリームの温度よりも低い。
【0018】
第3の熱交換器は、第3の流体ストリームとの交換によって、ディレードコーキングプラント内のストリッパからのストリッパ塔底製品を加熱するように構成されている。
【0019】
第3の熱交換器は、熱を提供して、ストリッパ塔底留分(ボトム)製品がストリッパへ戻される前に、ストリッパ塔底留分製品を再沸騰させるように構成されている。
【0020】
第3の熱交換器は、第3のオイルストリームとの交換によって、ディレードコーキングプラント内のスポンジ吸収塔からのリッチスポンジオイルストリームを加熱するように構成されている。
【0021】
第3の熱交換器は、ディレードコーキングプラント内のスポンジ吸収塔と精留塔との間のリッチスポンジオイルストリームを加熱するように構成されている。
【0022】
熱交換システムは、それぞれが第3の流体ストリームの一部との交換によって、ディレードコーキングプラント内の対応するストリームを加熱するように構成された第3の熱交換器を複数含む。
【0023】
システムは、ポンプアラウンドストリームとの交換によって、コーカー加熱器への供給ストリームを加熱するように構成されたコーカー熱交換器を含む。
【0024】
発電システムは有機ランキンサイクルシステムを含む。
【0025】
発電システムは、少なくとも約9MW(メガワット)の電力を発電するように構成される。
【0026】
加熱された第2の流体ストリーム及び加熱された第3の流体ストリームからの熱を用いて、発電システムでイソブタンを加熱する。電力は、発電システムにおけるイソブタン蒸気の膨張により生成される。
【0027】
システムは蓄熱タンクを含む。第1の流体ストリーム、第2の流体ストリーム、又はこれら両方のストリームは、蓄熱タンクからの流体を含む。蓄熱タンクは、加熱された第2の流体ストリーム及び加熱された第3の流体ストリームを、発電システムから受け容れるように構成されている。
【0028】
第1の流体ストリーム、第2の流体ストリーム、及び第3の流体ストリームのうちの1つ以上がオイルストリームを含む。
【0029】
システムは、ディレードコーキングプラントに対するレトロフィットとして、ディレードコーキングプラントに統合されている。ディレードコーキングプラント内の1つ以上の既存の熱交換器は、レトロフィット後に、もはや用いられない。レトロフィット後に、ディレードコーキングプラントは、最大約13%少ない加熱ユーティリティを消費する。
【0030】
一の態様において、方法は、ディレードコーキングプラントからの連続熱源との交換により、加熱された第1の流体ストリームを生じるように、第1の流体ストリームを加熱するステップを含む。方法は、ディレードコーキングプラントからの連続熱源との交換により、加熱された第2の流体ストリームを生じるように、第2の流体ストリームを加熱するステップを含む。加熱された第2の流体ストリームは、加熱された第1の流体ストリームよりも低い温度及び大きい熱量を有する。方法は、第3の流体ストリームとの交換により、加熱された第3の流体ストリームを生じるように、ディレードコーキングプラント内のストリームを加熱するステップを含む。第3の流体ストリームは、加熱された第1の流体ストリーム及び高温の流体ストリームを含む。加熱された第3の流体ストリームは、加熱された第1の流体ストリームよりも低い温度を有する。方法は、加熱された第2の流体ストリーム及び加熱された第3の流体ストリームからの熱を用いて発電するステップを含む。
【0031】
実施の形態は、以下の特徴の1つ以上を含むことができる。
【0032】
方法は、流体貯留タンクから高温の流体ストリームを連続的に通過させるステップを含む。方法は、流体貯留タンクに断続高温ストリームを受け入れるステップを含む。方法は、ディレードコーキングプラントからの断続熱源との交換によって、断続高温ストリームを生じるように、第4の流体ストリームを加熱するステップを含む。断続高温ストリームは、加熱された第1の流体ストリームよりも大きい熱量を有する。断続高温ストリームは、加熱された第1の流体ストリームよりも低い温度を有する。第4の流体ストリームを加熱するステップは、ディレードコーキングプラント内のコーカーブローダウン塔からの出力ストリームから回収した熱を用いて第3の流体ストリームを加熱するステップを含む。出力ストリームは、第4の流体ストリームとの交換により、ディレードコーキングプラント内のストリッパからのストリッパ塔底製品を含む。出力ストリームは、第4の流体ストリームとの交換により、ディレードコーキングプラント内のスポンジ吸収塔からのリッチスポンジオイルストリームを含む。
【0033】
第1の流体ストリームを加熱するステップは、ディレードコーキングプラント内の脱ブタン塔からの塔底ストリームから回収した熱を用いて第1の流体ストリームを加熱するステップを含む。
【0034】
第1の流体ストリームを加熱するステップは、ディレードコーキングプラント内の精留塔からのスポンジオイルストリームを回収した熱を用いて第1の流体ストリームを加熱するステップを含む。
【0035】
第1の流体ストリームを加熱するステップは、ディレードコーキングプラント内の精留塔からの軽質コークス化軽油製品ストリームから回収した熱を用いて第1の流体ストリームを加熱するステップを含む。
【0036】
第1の流体ストリームを加熱するステップは、ディレードコーキングプラント内の精留塔からの重質分解軽油製品ストリームから回収した熱を用いて第1の流体ストリームを加熱するステップを含む。
【0037】
第2の流体ストリームを加熱するステップは、ディレードコーキングプラント内の精留塔からの塔頂ストリームから回収した熱を用いて第2の流体ストリームを加熱するステップを含む。
【0038】
第2の流体ストリームを加熱するステップは、ディレードコーキングプラント内のコーカーガス圧縮機の段間ストリームから及び吐出ストリームとの交換により回収した熱を用いて第2の流体ストリームを加熱するステップを含む。
【0039】
ディレードコーキングプラント内のストリームを加熱するステップは、ディレードコーキングプラント内のストリッパからのストリッパ塔底製品を加熱するステップを含む。
【0040】
ディレードコーキングプラント内のストリームを加熱するステップは、ディレードコーキングプラント内のスポンジ吸収塔からのリッチスポンジオイルストリームを加熱するステップを含む。
【0041】
本方法は、流体ポンプアラウンドストリームとの交換によって、ディレードコーキングプラント内のコーカー加熱器への供給ストリームを加熱するステップを含む。
【0042】
発電するステップは有機ランキンサイクルシステムを用いて発電するステップを含む。
【0043】
発電するステップは少なくとも約9MWの電力を発電するステップを含む。
【0044】
発電するステップは、加熱された第2の流体ストリーム及び加熱された第4の流体ストリームからの熱を用いてイソブタンを加熱し、イソブタン蒸気を膨張させて発電するステップを含む。
【0045】
本方法は、加熱された第2の流体ストリーム及び加熱された第3の流体ストリームを蓄熱タンクに戻すステップを含む。
【0046】
第1の流体ストリーム、第2の流体ストリーム、及び第3の流体ストリームのうちの1つ以上がオイルストリームを含む。
【0047】
ここで説明するシステムおよび方法は、以下の利点のひとつ以上を有する。ここで説明する熱電併給システムは、熱交換コンポーネントと、蓄熱コンポーネントと、熱電変換コンポーネントとの組み合わせであり、ディレードコーキングプラントに統合されてディレードコーキングプラントのより効率的な稼働を可能にする。ディレードコーキングプラント内で用いられる熱交換器の数は、熱電併給システム内の熱交換器のネットワークを用いて回収した廃熱を、ディレードコーキングプラントへ送り戻すことによって少なくしてもよい。回収された廃熱を、ディレードコーキングプラントでの加熱及び冷却に用いてもよく、それによって、ディレードコーキングプラントの、加熱又は冷却ユーティリティの消費量の削減が可能になる。環境に放出される廃熱及び温室効果ガスを、熱電併給システムによる廃熱の回収及び再利用によって削減できる。
【0048】
ここで説明する熱電併給システムは、ディレードコーキングプラントから回収された廃熱を用いた無炭素発電が可能である。例えば、回収された廃熱を利用して最大約9MWの電力を発電できる。
【0049】
記載の熱電併給システム10は、既存のディレードコーキングプラントへレトロフィット(後付け)として統合することもでき、新設のディレードコーキングプラントへ統合することもできる。既存のディレードコーキングプラントへのレトロフィットにより、熱電併給システムがもたらす効率及び発電の利点に、少ない投資で手が届く。熱電併給システムは、ディレードコーキングプラント内の既存の構造を利用できる一方、引き続き、効率的な廃熱回収及び廃熱の電力変換を可能にする。既存のディレードコーキングプラントへの熱電併給システムの統合は、プラントに特化した稼働モードへ一般化できる。
【0050】
他の特徴及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲から明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0068】
ここで、ディレードコーキングプラントで用いる熱電併給システムについて述べる。熱交換器のネットワークは、ディレードコーキングプラントから高品位及び低品位の両廃熱を回収する。回収された廃熱は、プラント内での加熱及び冷却のためにディレードコーキングプラントへ送り戻される。したがって、さもなければ、ディレードコーキングプラント内部の加熱及び冷却のために用いられるエネルギー分を節約し、ディレードコーキングプラントをより効率的に稼働させることができる。例えば、熱電併給システムは、加熱ユーティリティの消費量を最大約13%(約85MM Btu/h)削減できる。回収された廃熱を利用して最大約9MWの無炭素電力の発電を可能にする有機ランキンサイクルシステム等の発電システムへ電力を供給する。ここで説明する熱電併給システムは、既存のディレードコーキングプラントへレトロフィット(後付け)として実装できるので、既存の構造体と互換性のある、少ない省エネ投資として手に届く。熱電併給システムは、新設されるディレードコーキングプラントにも統合することができる。
【0069】
ディレードコーキングは製油所で用いられている熱分解プロセスであり、原油の常圧及び真空蒸留からの石油残渣分、すなわち底留分(ボトム)、を品位を高めて気液製品ストリーム(流れ)へ転化する。ディレードコーキングは、石油コークスとして知られる固形の濃縮された炭素材を残す。ディレードコーキングは、石油コークスの3つの物理的構造である、ショットコークスと、スポンジコークスと、ニードルコークスとを産生することができる。石油コークスの物理的構造及び化学的性質に従って、コークスを燃料として燃やす、例えば、アルミや鉄鋼業界での用途に向けて焼成したり、合成ガス、スチーム、H
2、又は電力を産生するようにガス化したりすることができる。
【0070】
ディレードコーキングプラントに組み込まれる熱交換器のネットワークは、ディレードコーキングプラントから高品位及び低品位の両廃熱を回収できる。低品位の廃熱は、例えば134℃未満の廃熱であり、高品位廃熱は、例えば134℃を超える廃熱である。熱交換器のネットワークによって回収された廃熱は、プラント内の加熱及び冷却のためにディレードコーキングプラントに送り戻される。したがって、そうでなければプラント内の加熱及び冷却のために用いられたであろうエネルギー分を節約できることになる。例えば、プラント内の加熱及び冷却に廃熱を用いることは、コーカー炉の燃料消費量の削減、ディレードコーキングプラントによる中圧スチームの消費量の削減、又はその両方に役立てることができ、ディレードコーキングプラントのより効率的な稼働が可能になる。廃熱を利用して、発電システム、例えば有機ランキンサイクル(ORC)システム等の無炭素発電システム、へ電力を供給する。発電システムが生成する電力を局所的に(例えばディレードコーキングプラントで)用いることができ、電力供給網へ送電することもできる。熱交換器のネットワークは、既存のディレードコーキングプラントにレトロフィットで実装できる、又は、(場合によってはグラスルーツディレードコーキングプラントと称する)新設のディレードコーキングプラントに実装できる。
【0071】
図1を参照すると、熱電併給システム10において、熱交換器のネットワークはディレードコーキングプラントから高品位及び低品位の両廃熱を回収する。熱電併給システム10において、石油、水、有機流体、又は別の流体のストリーム(流れ)等の加熱用流体ストリーム18は、交換器1〜9を介する交換によってディレードコーキングプラント内の連続する及び断続するいくつかの廃熱源から熱を回収する。ディレードコーキングプラント内の廃熱源との交換によって加熱された加熱用流体ストリーム18の一部を用いてディレードコーキングプラント内でのプラント内加熱を行うことができる。ディレードコーキングプラント内の廃熱源との交換によって加熱された加熱用流体ストリーム40は、発電システム50へ提供され発電用熱源として働く。
【0072】
稼働において、加熱用流体ストリーム18は熱交換器1〜9を通って流れる。熱交換器1〜9のそれぞれの入口を流れる加熱用流体の入口温度はほぼ同じ、例えば50℃、である。各熱交換器1〜9は、加熱用流体を、入口温度よりも高いそれぞれの温度に加熱する。熱交換器1〜9からの加熱された加熱用流体は合流し、発電システム50を通って流れる。加熱された加熱用流体からの熱はORCの作動流体を加熱し、それによって、作動流体の圧力及び温度を高める。作動流体との熱交換の結果、加熱用流体の温度は低下する。加熱用流体は、次いで、蓄熱タンク20内に収集され、廃熱回収サイクルを再開するために圧送され、熱交換器1〜9を経て戻される。
【0073】
熱交換器1〜9を通って加熱用流体を流す加熱用流体回路は、手動又は自動で操作できる複数の弁を含むことができる。例えば、ディレードコーキングプラントに、加熱用流体フロー管及び弁を接続してもよい。オペレータは、加熱用流体が回路を通って流れるよう回路内の各弁を手動で開けることができる。例えば修理や保守を行うために又は他の理由により廃熱回収を中止するには、オペレータが回路内の各弁を手動で閉じて行える。代替として、制御システム、例えばコンピュータ制御の制御システム、を回路内の各弁に接続してもよい。制御システムは、例えば、回路内の異なる位置に設けたセンサ(例えば、温度、圧力他のセンサ)からのフィードバックに基づいて弁を自動で制御できる。オペレータが制御システムを操作してもよい。
【0074】
加熱用流体は、例えば50℃で蓄熱タンク20に貯留され、加熱用流体ストリーム18として蓄熱タンク20を出る。加熱用流体ストリーム18の第1の部分22は、ディレードコーキングプラント内の連続する高品位熱源から高品位の廃熱を回収する熱交換器4、5、6、7からなる第1のサブネットワーク60(場合によってはサブネットワークAと称する)を流れる。加熱用流体ストリーム18の第2の部分24は、ディレードコーキングプラント内の連続する低品位熱源から低品位廃熱を回収する熱交換器1、2、3からなる第2のサブネットワーク70(場合によってはサブネットワークBと称する)を流れる。加熱用流体ストリーム18の第3の部分26は、ディレードコーキングプラント内の中間の熱源から廃熱を回収する熱交換器8、9からなる第3のサブネットワーク80(場合によってはサブネットワークCと称する)を流れる。
【0075】
サブネットワークA60において、加熱用流体サブストリーム22aは、ディレードコーキングプラントの吸収塔ストリッパ区画500、580(例えば
図6及び15を参照)内の熱交換器4を介して、脱ブタン塔605の底部からの安定化ナフサストリーム612から廃熱を回収する。加熱用流体サブストリーム22bは、ディレードコーキングプラントのスポンジ吸収塔区画600、680(例えば
図7及び16を参照)内の熱交換器5を介して、リーンスポンジオイル118から廃熱を回収する。加熱用流体サブストリーム22cは、ディレードコーキングプラントのランダウンクーラー区画800、880(例えば
図9及び17を参照)内の熱交換器6を介して、軽質コークス化軽油(LCGO)製品132から廃熱を回収する。加熱用流体サブストリーム22dは、ランダウンクーラー区画800、880内の熱交換器7を介して、重質分解軽油(HCGO)製品704(例えば
図9及び17を参照)から廃熱を回収する。加熱用流体サブストリーム22a、22b、22c、22dは合流して加熱用流体ヘッダー30となる。
【0076】
サブネットワークB70において、加熱用流体サブストリーム24aは、ディレードコーキングプラントの精留区画100、180(例えば
図2及び11を参照)内の熱交換器1を介して、精留塔頂ストリーム140から廃熱を回収する。加熱用流体サブストリーム24bは、ディレードコーキングプラントの塔頂ガス圧縮システム400、480(例えば、
図5及び14を参照)内の熱交換器2を介して、圧縮機段間ストリーム408から廃熱を回収する。加熱用流体サブストリーム24cは、塔頂ガス圧縮システム400、480内の熱交換器3を介して、圧縮機排出ストリーム416から廃熱を回収する。加熱用流体サブストリーム24a、24b、24cは合流して加熱用流体ヘッダー28となる。
【0077】
サブネットワークC80では、熱交換器8及び9により、ブローダウン区画300、380(例えば
図4及び13を参照)内の断続する高温源から廃熱を回収できる。加熱用流体サブストリーム26aは、熱交換器8を介してコーカーブローダウン塔頂ストリーム314から廃熱を回収する。加熱用流体サブストリーム26bは、熱交換器9を介してコーカーブローダウン塔底ストリーム312から廃熱を回収する。断続する高温源からの加熱された加熱用流体サブストリーム26a、26bは、例えば約180℃の温度で、合流して断続ヘッダー32となる。
【0078】
熱交換器8、9が断続的であるという特徴からして、熱電併給システム10の稼働中に、熱交換器8、9の両方が作動していない時間、熱交換器8、9の一方のみ作動している時間、及び、熱交換器8、9の両方が作動している時間があり得る。場合によっては、熱交換器8及び熱交換器9の作動は、熱交換器8、9の両方が同時に作動しているように、少なくとも部分的に重複する。熱交換器8、9の両方が作動していない場合、加熱用流体ストリーム18の第3の部分26の流れを止めてもよい。熱交換器8、9の両方が作動している場合、加熱用流体ストリーム18の第3の部分26の流量は最大レベルにあってもよい。一方のみの熱交換器8、9が作動している場合、加熱用流体ストリーム18の第3の部分26の流量は最大レベル未満であってよい。
【0079】
断続ヘッダー32からの加熱用流体は、蓄熱タンク34、例えば1日分の容量を持つ断熱タンク、に貯留される。蓄熱タンク34は、高温油、溶融塩、又は別の媒体を用いて蓄熱することができる。蓄熱タンク34は、断続ヘッダー32から断続的廃熱を収集する、例えば、時間単位又は別の間隔で加熱用流体ストリーム36を連続的又は定期的に吐出する。場合によっては、2つの蓄熱タンク34等、複数の蓄熱タンク34を用いてもよい。一方の蓄熱タンク34が加熱用流体を加熱用流体ストリーム36へ吐出している間に、他方の蓄熱タンク34が断続ヘッダー32から加熱用流体を受け入れることができる。蓄熱タンク34へ流れる断続ヘッダー32からの加熱用流体の温度は、蓄熱タンク34から吐出される加熱用流体ストリーム36の温度以上であり、蓄熱タンクの熱損失は皆無又はそれに近く、良好に断熱されていると仮定する。実施例において、加熱用流体ストリーム36の温度は約180℃、例えば180.8℃、であってもよく、断続ヘッダー34の温度は約180℃以上であってもよい。
【0080】
蓄熱タンク34からの加熱用流体ストリーム36はサブネットワークAからの加熱用流体ヘッダー30と合流して加熱用流体ストリーム38を形成する。場合によっては、加熱用流体ストリーム36の体積は加熱用流体ヘッダー30の体積より小さくてもよい。例えば、加熱用流体ストリーム36は加熱用流体ヘッダー30のFCpの約50%未満であってもよい。加熱用流体ストリーム38はディレードコーキングプラント内のプラント内加熱のために用いられる。熱交換器11は、加熱用流体ストリーム38からの熱を用いてストリッパ塔底留分を再沸騰させるために、ストリッパ塔底製品514(例えば
図6及び15を参照)を加熱する。加熱用流体ストリーム38からの熱を用いる加熱用ストリッパ塔底製品514は、中圧スチーム(MPS)リボイラ526の役割を低下させる又は除去することを可能にし、よって、ディレードコーキングプラント内の中圧スチームの保存を可能する。熱交換器12は、加熱用流体ストリーム38からの熱を用いてスポンジ吸収塔606(例えば
図7及び16を参照)からのリッチスポンジオイル136を加熱する。熱交換器11、12での交換により加熱用流体ストリーム38を僅かに冷却する。
【0081】
表1に、例示の熱電併給システム10における熱交換器1〜12の例示の熱負荷を示す。表1は、更に、各熱交換器に入る加熱用流体の温度と、各熱交換器を出る(例えば、ディレードコーキングプラント内のストリームとの交換後の)加熱用流体の温度とを示す。
【表1】
表1.熱交換器の熱負荷及び加熱用流体の温度
【0082】
加熱用流体ストリーム38はサブネットワークBからの加熱用流体ヘッダー28と合流して加熱用流体ストリーム40を形成する。加熱用流体ストリーム40は熱交換器のネットワークを出て、発電システム50、例えばORCシステム、に入る。ORCシステムは、発電のために有機流体、例えば、冷媒又は炭化水素(例えばイソブタン液体)、の流れを用いるエネルギー変換システムである。他の種類の発電システムを、熱電併給システム10におけるORCシステムの代わりに用いてもよい。発電システム50は、上で説明した加熱用流体サブストリームにより、ディレードコーキングプラントから回収された廃熱によって部分的に電力が供給される。回収廃熱をこうして利用することにより、発電システム50による効率的な無炭素発電が可能になる。
【0083】
サブネットワークA内の熱交換器4〜7に対する総熱負荷は、例えば約63.15Gcal/hであり、サブネットワークAを出る加熱用流体ヘッダー30の温度は、例えば約191.2℃である。サブネットワークB内の熱交換器1〜3に対する総熱負荷は、例えば70.3Gcal/hであってもよく(サブネットワークAの場合より高い)、サブネットワークBを出る加熱用流体ヘッダー28の温度は、例えば約103.2℃である(サブネットワークAの場合より低い)。熱交換器8及び9に対する総熱負荷は、例えば約73.4Gcal/hであり(サブネットワークAの場合より高い)、断続ヘッダー32の温度は、例えば約180℃である(サブネットワークAの場合より低い)。この構成において、加熱用流体ヘッダー30の温度は、加熱用流体ヘッダー28及び断続ヘッダー32の両方よりも高いが、熱量は低い。この構成の利点は、例えば、高温の加熱用流体ストリーム38と、熱交換器11、12におけるストリッパ塔底留分及びリッチスポンジオイルとの間の効率的な熱伝達を可能にすることである。
【0084】
発電システム50において、約4バール(0.4MPa)、29℃の液体イソブタン51(例えば385kg/s)が、ポンプ52によって9.5バールで蒸発器56へ圧送される。蒸発器56は加熱用流体ストリーム40からの熱を用いてイソブタン液体51を気化させる。気化したイソブタンは飽和ガスである。ディレードコーキングプラントにおいて利用可能な熱の品質によっては、気化したイソブタンガスを大幅に過熱することは許されない。イソブタンORC位相包絡面は正の傾きを有し、タービン56内のイソブタンの膨張は過熱領域にある可能性がある。場合によっては、蒸発器の後側に配置される熱交換器でのイソブタンの追加過熱が発電にとって有用である可能性がある。例えば、熱交換器は、ディレードコーキングプラント内の廃熱ストリーム、例えば、ディレードコーキングプラント内の空気クーラーへ進む低圧スチームからの熱、から回収された熱を用いてもよい。
【0085】
蒸発器56によって62℃に加熱された気化イソブタンは、タービン54内で膨張して、例えば9.8MWの電力を生成する。タービン54からの気相イソブタンは、20℃の水59によって、凝縮器58において52℃から29℃へ熱交換により液相に凝縮される。凝縮された液体イソブタンはポンプ52へ戻る。
【0086】
蒸発器56内でのイソブタン51との交換後、加熱用流体ストリーム40は、例えば50℃に冷却される。冷却された加熱用流体ストリーム40は蓄熱タンク20へ戻る。実施例によっては、例えば、万一外乱が生じた場合、熱電併給システム10の熱平衡を遮断する等の異常状態の管理を可能にするよう、蓄熱タンク20内への貯留前に、空気クーラー42を用いて加熱用流体ストリーム40を更に冷却してもよい。
【0087】
熱電併給システム10をディレードコーキングプラントに、レトロフィットとして又はグラスルーツプラントの一部として統合することにより、ディレードコーキングプラントをより効率的に稼働させることができる。ディレードコーキングプラント内で用いられる熱交換器の数は、熱電併給システム10の一部を形成する熱交換器のネットワークを用いて回収した廃熱をディレードコーキングプラントへ送り戻すことによって、少なくしてもよい。それに応じて、環境に放出される廃熱及び温室効果ガスの量を削減することができるので、ディレードコーキングプラントをより効率的に稼働できる。実施例によっては、ディレードコーキングプラントによる加熱用ユーティリティの消費量の最大約13%(例えば、少なくとも約21.5Gcal/h又は少なくとも約85MM Btu/h)の削減が、熱電併給システム10の熱交換器のネットワークを実装することによって達成できる。更に、熱電併給システム10をディレードコーキングプラントに統合することにより、ディレードコーキングプラントから回収された廃熱を用いる無炭素発電が可能となる。例えば、最大約9MWの電力を、ディレードコーキングプラントからの回収廃熱を用いて発電できる。
【0088】
熱電併給システム10は既存のディレードコーキングプラントにレトロフィットとして統合できる、又は、新設されるディレードコーキングプラントに統合できる。既存のディレードコーキングプラントへのレトロフィットは、熱電併給システム10によって提供される効率面での利点及び発電という利点を、少ない投資で手にすることができる。熱電併給システム10は、ディレードコーキングプラント内の既存の構造を利用しつつ、引き続き、廃熱の回収及び廃熱の電力への変換が可能である。既存のディレードコーキングプラントへの熱電併給システム10の統合は、プラントに特化した稼働モードに一般化されてもよい。
【0089】
ディレードコーキングプラントへのレトロフィットの区画を
図2〜9に示す。
図2〜9において、温度及び熱デューティを、それぞれ四角又は円で囲まれた数字で示す。
【0090】
図3は、上で説明した熱交換器のネットワークを組み込むためにレトロフィットされたディレードコーキングプラントのコーキング区画200を示す。コーキング区画200は一対以上のコークスドラム204を含み、コークスドラム204内では、供給ストリーム210を構成する気液混合物が、石油コークス207及び軽質炭化水素蒸気206(場合によっては塔頂蒸気206と称する)に転化される。
図2の実施例において、コーキング区画200は2つのコークスドラム204a、204bを含む。実施例によっては、コーキング区画200は、2対のコークスドラム204、3対のコークスドラム204、又は3対を超えるコークスドラム204を含んでもよい。
【0091】
コーキング区画200はバッチ連続プロセスとして作動する。供給ストリーム210は、切換弁205によって2つのコークスドラム204aと204bの間で切り換えられる連続流である。切換弁205は、それぞれ、断熱移送ライン211a、211bを介して各コークスドラム204a、204bに接続される。実施例によっては、切換弁205は三方向弁であり、各コークスドラム204a、204bにつながるポートと、コーキング区画の始動及び遮断中に用いる、精留塔102(
図1)へ戻る再循環ライン(路)につながるポートとを有する。一方のコークスドラム(例えば、コークスドラム204a)がコーキングのために接続状態にされ、供給ストリーム210を受け入れる間、他方のコークスドラム(例えば、コークスドラム204b)はデコーキングのために非接続状態になる。定期的に、コークスドラム204aはデコーキングのために非接続状態に切り換わり、コークスドラム204bはコーキングのために接続状態に切り換わる。
【0092】
供給ストリーム210は、精留塔102(
図2)の底部から受け入れられる。実施例によっては、供給ストリーム210は、コークス形成にとって低すぎる温度でコーキング区画200内に受け取られる。供給ストリーム210は、コークスドラム204に供給される前に、加熱器装填ポンプ(不図示)によりコーカー加熱器202を通って圧送されてもよい。コーカー加熱器202は、コークスドラム内でのコークス形成に適した温度に供給ストリーム210を急速に加熱する。例えば、コークス加熱器202は、約480℃と約510℃との間の熱分解温度に、供給ストリーム210を加熱できる。実施例によっては、スチームを、コーカー加熱器202の加熱器コイルへ噴射してコーカー加熱器202内での供給ストリーム210の目標最低速度及び滞留時間を維持することができ、それにより、コーカー加熱器202内でのコークスの形成が抑制される。
【0093】
また
図2を参照すると、コークスドラム204からの塔頂蒸気206はディレードコーキングプラントのレトロフィット精留区画100内の精留塔102に供給される。塔頂蒸気206は精留塔102のシェド区画の下に入る。脱ブタン塔605リボイラ(
図7)のポンプアラウンドパンからの循環する重質分解軽油(HCGO)ポンプアラウンドストリーム90は、シェド区画の上方の精留塔102のトレー洗浄区画へ圧送される。HCGOポンプアラウンドストリーム90は精留塔102から熱を除去するために用いられ、重質軽油を凝縮し、精留塔102を通って上昇する蒸気(気化したガス)を冷却する。例えば、HCGOポンプアラウンドストリーム90は塔頂蒸気206を急冷及び洗浄し、蒸気を洗浄及び冷却し、再生ストリームを凝縮させる。再生ストリームは、コーカー区画200に供給される供給ストリーム210の一部として精留塔102の底部を出る。例えば、供給ストリーム210は、加熱器装填ポンプ(不図示)によってコーカー加熱器202(
図3)を通って圧送されてもよい。供給ストリーム210は、また、精留塔102の底部に供給される凝縮された再生原油103を含んでいてもよい。再生原油103は、真空蒸留ユニットからの高温減圧抜頭原油を含んでいてもよい。再生原油103は、精留塔102の底部へ入る前に、熱交換器105によって、熱交換器107によって、又は両熱交換器105、107によって、予め加熱される、例えば、貯留タンクからの低温原油を含んでいてもよい。精留塔102の底部は、コーキング区画200からの過剰再生原油103又は過剰塔頂蒸気206のためのサージ容量を提供するリザーバとして働くことができる。
【0094】
HCGOポンプアラウンドストリーム90は、精留塔102から引き出され、熱交換器13を通って流れる。熱交換器13で、供給ストリーム210は、HCGOポンプアラウンドストリーム90から回収された廃熱により加熱される。熱交換器13における供給ストリーム210の加熱により、供給ストリーム210は、レトロフィット前よりも高い温度(例えば、レトロフィット前の約280℃のような低温に対してレトロフィットでの約300℃)で、コーカー加熱器202に入ることが可能である。したがって、供給ストリーム210のこのような高い温度により、コーカー加熱器202における燃料の節約が可能になり、コーカー加熱器202が低い熱負荷(例えば、レトロフィット前の162.6Gcal/hに対してレトロフィットでの149.9Gcal/h)を有することを可能にする。
【0095】
HCGOポンプアラウンドストリーム90からの廃熱が熱交換器13において回収された後、HCGOポンプアラウンドストリーム90を用い、熱交換器107を介して、再生原油103を予熱することができる。HCGOポンプアラウンドストリームを用い、熱交換器618を介して、脱ブタン塔605(
図7)を再沸騰させることができる。
【0096】
ディレードコーキングプラントのレトロフィットに先立ち、HCGOポンプアラウンドストリーム90を用いることにより、ディレードコーキングプラントのスチーム発生区画700(
図8)内における熱交換器712を介するボイラ給水(BFW)725からの中圧スチーム(MPS)702の発生に寄与する場合があった。レトロフィットディレードコーキングプラントにおいて、熱交換器712はスチーム発生のために用いられておらず、HCGOポンプアラウンドストリームはスチーム発生区画700をバイパスできる。実施例によっては、スチームはコーカー加熱器202の伝達区画で生成されてもよい。共通のスチームドラムを用いてもよく、コーカー加熱器202のスチーム発生コイルを通る循環を、ボイラ給水循環ポンプによって提供してもよい。
【0097】
精留塔102内の、ウォッシングされ、冷却された蒸気は精留塔102の精留区画を通過し、そこで蒸気は、ガス、ガソリン、ディーゼル油、HCGO、及び再生品に分離される。実施例によっては、特大の精留塔を用いて、ディーゼル製品の量を増やす又は最大化することができ、そして、他の製油プラント(例えば、流体接触分解)へ送られるHCGOの量を減らす又は最小化することができる。
【0098】
精留塔102を出るHCGO製品120をHCGOストリッパ124によってストリッピング(除去)して、精留塔102へ戻される軽質留分(ライトエンド)128を除去してもよい。残りのHCGO製品126は、熱交換器105を介して再生原油103との交換により部分的に冷却されてもよい。場合によっては、HCGO製品を、例えば、逆洗フィルタによって濾過してもよい。
図8を参照すると、HCGO製品126の一部706は、熱交換器710を介してスチーム発生区画700において更に冷却されてBFW725からの中圧スチーム702の生成に寄与し、シールオイルフィルタへ向けられてもよい。
【0099】
また
図9を参照すると、HCGO製品126の一部704はランダウンクーラー区画800で処理される。第1の部分705は、HCGO製品704から廃熱を回収し、回収された廃熱を用いて加熱用流体サブストリーム22dを加熱する熱交換器7を通過する。HCGO製品704は貯留温度(例えば90℃)に冷却され、貯留装置へ送られる。熱交換器7の存在により、レトロフィット前にHCGO製品704を冷却するために用いられる空気クーラー802は、例えば、異常事態の管理を除いて、もはや用いられない。HCGO製品の第2の部分707はディレードコーキングプラントの他のユニットへ送られる。
【0100】
再度、
図2を参照すると、精留塔102を出る軽質コークス化軽油(LCGO)製品122をLCGOストリッパ130によってストリッピングすることにより、精留塔102へ戻されることになるライトエンド134を除去してもよい。残りのLCGO製品132は、熱交換器(不図示)を介して再生原油との交換により部分的に冷却されてもよい。
図9を参照すると、LCGO製品132はランダウンクーラー区画800に圧送されてもよく、ここで加熱用流体サブストリーム22cがLCGO製品132から回収された廃熱により熱交換器6において加熱される。冷却されたLCGO製品132の一部808はフラッシングオイルコアレッサに送られる。冷却されたLCGO製品132の別の部分は凝縮器806において凝縮され、貯留装置に送られる。熱交換器6の存在により、レトロフィット前にLCGO製品132を冷却するために用いられる空気クーラー804は、例えば、異常事態の管理を除いて、もはや用いられない。
【0101】
レトロフィット前に、LCGO製品132は、例えば、BFWストリーム721を加熱して低圧スチーム(LPS)723を生成する;BFWストリーム725を加熱し、MPS702の生成に寄与する;ナフサ製品BFWトリムクーラから受け取られ、ボイラに仕向けられるBFWストリーム727を加熱する;又は、ナフサ製品TWAトリムクーラから受け取られ、脱気装置に仕向けられるTWAストリーム729を加熱するために、1つ以上の熱交換器716、718、720、722、724(
図8)を介してスチーム発生区画700において冷却されていた。ランダウンクーラー区画内のLCGO製品132から廃熱を回収する熱交換器6の存在により、熱交換器716、718、720、722、及び724はもはや用いられない。
【0102】
再度、
図2を参照すると、リーンスポンジオイル118は、精留塔102のリーンスポンジオイル取出トレーから引き出され、スポンジオイルシステム600へ圧送されてもよい。
図7を参照すると、スポンジオイルシステム600において、熱交換器5は、リーンスポンジオイル118から廃熱を回収し、加熱用流体サブストリーム22bを加熱するために用いられる。熱交換器5の存在により、レトロフィット前にリーンスポンジオイル118を冷却するために用いられる空気クーラー604は、例えば、異常事態の管理を除いて、もはや用いられない。冷却されたリーンスポンジオイル118は、スポンジ吸収塔606の頂部に流れ、場合によっては、スポンジ吸収塔606に入る前に更なる冷却のために熱交換器607を通過する。吸収塔502(
図6、以下で検討)からの吸収塔頂留分512もスポンジ吸収塔606に供給される。リッチスポンジオイル136はスポンジ吸収塔606の底部を出て、熱交換器12を介して加熱用流体ストリーム38との交換によって予熱され、精留塔102の熱伝達トレーへ戻される。熱交換器12の存在により、レトロフィット前にリーンスポンジオイル118との交換によってリッチスポンジオイル136を予熱することを可能にする熱交換器602はもはや用いられない。
【0103】
再度、
図2を参照すると、精留塔102からの塔頂留分140からの廃熱は回収され、回収された廃熱を用いて(サブネットワークB内の)熱交換器1で加熱用流体サブストリーム24aを加熱する。熱交換器1の存在により、レトロフィット前に塔頂留分140を冷却するために用いられる空気クーラー142は、例えば、異常事態の管理を除いて、もはや用いられない。冷却された塔頂留分140は塔頂凝縮器144において部分的に凝縮される。部分的に凝縮された塔頂留分140は環流ドラム等の精留塔頂ドラム146に流入し、そこでは、凝縮された液体炭化水素から蒸気が分離される。蒸気116は塔頂ドラム146を出て、圧力制御下で蒸気回収ユニット内のガス圧縮機404(
図5)の吸引側へ流れる。不安定ナフサを含んでいてもよい液体は2つのストリームに分離される。液体の第1の部分107は精留塔102の頂部へ環流し、蒸気116と共にガス圧縮機404へ送られる。第2の部分108は蒸気回収ユニット500内の吸収塔502へ圧送される。サワーウォータ(不図示)は塔頂ドラム146から引き出され、処理設備へ圧送される。
【0104】
図4を参照すると、ディレードコーキングプラントのレトロフィットブローダウン区画300は、コークスドラム204の急冷及びスチーム発生中に生成される炭化水素及びスチーム蒸気を回収する。ブローダウン区画300を用いることにより、ディレードコーキングプラントの稼働中に発生する大気汚染の低減又は最小化を支援できる。デコーキング処理のためのコークスドラム204の冷却中、コークスドラム204からのスチーム及びワックステイリング208(
図3)はブローダウン区画300内のコーカーブローダウン塔302へ流れる。コークスドラム204からのコークスコンデンセート212はブローダウン区画300内のコークスコンデンセートドラム315へ流れ、コークスコンデンセートドラム315からコーカーブローダウン塔302内へ流れる。
【0105】
コーカーブローダウン塔302において、スチーム及びワックステイリング208並びにコークスコンデンセート(凝縮物)212は、冷却された循環オイルストリーム303との接触によって凝縮される。ワックステイリングを含み、循環オイルストリーム303内の軽質軽油によって希釈された塔底留分ストリーム312は、コーカーブローダウン塔302の底部から引き出される。塔底留分ストリーム312の第1の部分312aは、クーラー309を介する(例えば、製油所内のスチームネットワークからの)中圧スチーム311との交換によって冷却される。塔底留分ストリーム312の第2の部分312bは、塔底留分ストリーム312bから回収された廃熱により加熱用流体サブストリーム26bを加熱する熱交換器9を通過する。塔底留分ストリーム312の冷却された部分312a、312bは、循環オイルストリーム303の一部としてコーカーブローダウン塔302へ戻って再循環される。過剰なオイルは精留塔102に戻されてもよい。
【0106】
コーカーブローダウン塔302の頂部からのスチーム及び軽質炭化水素を含む塔頂ストリーム314は、塔頂ストリーム314から回収された廃熱により加熱用流体サブストリーム26aを加熱する熱交換器8を通過する。冷却された塔頂ストリーム314は熱交換器8を出て、ブローダウン凝縮器(不図示)において凝縮され、ブローダウン沈降ドラム306に供給される。ブローダウン沈降ドラム306において、オイルがコンデンセート(凝縮物)から分離される。オイルは製油スロップへ圧送される。水320(例えば、サワーウォータ)は、再利用のためにサワーウォータストリッパ等の処理設備に又はデコーキングウォータ貯留タンクへ圧送される。例えば、軽質炭化水素蒸気を含むブローダウン沈降ドラム306からのベントガス318は、ベントガス圧縮機(不図示)において圧縮され、ベントガスノックアウトドラム(不図示)において凝縮された液体から分離される。実施例によっては、回収されたベントガス318は精留塔頂ドラム146(
図2)に流れる。実施例によっては、回収されたベントガス318は燃料ガス回収システムに送られる。コーカーブローダウン塔302からのブローダウン322は急冷されコークスドラム204(
図3)へ送られる。
【0107】
レトロフィットのブローダウン区画300において、熱交換器8、9により、コーカーブローダウン塔302からの断続的な塔頂及び塔底ストリーム314、312からそれぞれ、廃熱を回収することが可能になる。熱交換器8、9は断続的に稼働させることができる。例えば、熱交換器8は1日当たり少なくとも約5時間稼働でき、熱交換器9は1日当たり少なくとも約8時間稼働できる。ブローダウン区画のレトロフィット前、塔底ストリーム312及び塔頂ストリーム314は、場合によっては、空気クーラー308、316をそれぞれ介して冷却されていた。熱交換器8、9の存在により、空気クーラー308、316は、例えば、異常事態の管理を除いて、もはや用いられない。
【0108】
図5乃至7を参照すると、塔頂ガス圧縮システム400、吸収塔ストリッパ区画500、及びスポンジ吸収塔区画600が、ディレードコーキングプラントの蒸気回収ユニットを構成する。蒸気回収ユニットは精留塔頂ドラム146からの蒸気116及び液体108を処理する。
図5乃至7は、レトロフィットの、ガス圧縮システム400、吸収塔ストリッパ区画500、及びスポンジ吸収塔区画600を示す。
【0109】
図5を参照すると、塔頂ガス圧縮システム400のレトロフィットでは、熱交換器2、3は、廃熱を、圧縮機段間ストリーム408及び圧縮機吐出ストリーム416からそれぞれ回収できる。塔頂ガス圧縮システム400において、精留塔頂ドラム146からの蒸気116は、圧縮機吸引ノックアウトドラム402及びコーカーガス圧縮機404によって圧縮され、冷却される。コーカーガス圧縮機404は段間ストリーム408によって接続される段を有する2段圧縮機である。段間ストリーム408は、コーカーガス圧縮機404の第1の段404aを出て、段間ストリーム408からの廃熱により加熱用流体サブストリーム24bを加熱する熱交換器2を通過する。冷却された段間ストリーム408は、圧縮機412において圧縮され、圧縮機段間ドラム414に供給される。段間ストリーム408は圧縮機段間ドラム414からコーカーガス圧縮機404の第2の段404bへ流入する。コーカーガス圧縮機404の第2の段404bを出た圧縮機吐出ストリーム416は、圧縮機吐出ストリーム416からの廃熱により加熱用流体サブストリーム24cを加熱する熱交換器3を通過する。冷却された圧縮機吐出ストリーム416は、圧縮機420で圧縮され、吸収塔ストリッパ供給ドラム406へ供給される。吸収塔ストリッパ供給ドラム406から、蒸気ストリーム506は、吸収塔502(
図6)の底部に供給され、液体ストリーム508はストリッパ504の頂部へ圧送される。
【0110】
塔頂ガス圧縮システム400のレトロフィット前、段間ストリーム408及び圧縮機吐出ストリーム416は、場合によっては、空気クーラー410、418をそれぞれ介して冷却されていた。熱交換器2、3の存在により、空気クーラー410、418は、例えば、異常事態の管理を除いて、もはや用いられない。
【0111】
図6を参照すると、吸収塔ストリッパ区画500のレトロフィットにおいて、熱交換器4は、脱ブタン塔605(
図7)の底部からの安定化ナフサストリーム612から廃熱を回収できる。精留塔頂ドラム146からの不安定ナフサ等の液体108は、直接、吸収塔502の頂部へ流入する。吸収塔502及びストリッパ504は、吸収塔502及びストリッパ504によって処理される供給流中のC3及び重質物質の大部分を含む塔底ストリーム510を産生する。吸収塔502からの塔頂留分512は、いくらかの回収されなかったC3及び重質物質と共に、供給流中のC2及び軽質物質を含む。ストリッパ504からの塔頂留分509及び吸収塔502からの塔底留分505は吸収塔ストリッパ供給ドラム406(
図5)へ戻される。
【0112】
また、
図7を参照すると、吸収塔502からの塔頂留分512はスポンジ吸収塔606へ供給され、そこで、回収されなかったC3及び重質物質が回収され、リッチスポンジオイル136として精留塔102へ戻って再循環する。塔頂留分512内のC2及び軽質物質は、塔頂留分530としてスポンジ吸収塔606の頂部を通って出て、以下詳細に説明するように、硫化水素、メルカプタン、又は他の硫黄化合物等の化合物の除去のために処理区画で処理される。実施例によっては、スポンジ吸収塔606は、精留塔102からの側留分を吸収媒体として用いることができる。
【0113】
ストリッパ504からの塔底ストリーム510は、塔頂蒸留分608としてC3及びC4を除去し、塔底製品として安定化ナフサ612を残す脱ブタン塔605へ圧送される。安定化ナフサ612は貯留装置に送られてもよく、更に処理されてもよい。例えば、再び、吸収塔ストリッパ区画500のレトロフィットを示す
図6を参照すると、安定化ナフサ612は、安定化ナフサストリーム612から回収された廃熱により加熱用流体サブストリーム22aを加熱する熱交換器4を通過することができる。熱交換器4を出て冷却された安定化ナフサ612は圧縮機524で圧縮され、精留塔頂ドラム146からの液体108と合流して吸収塔502の頂部へ供給される。熱交換器11は、加熱用流体ストリーム38からの熱を用いてストリッパ塔底製品514を加熱する、又は、気化させる。
【0114】
吸収塔ストリッパ区画500のレトロフィット前に、安定化ナフサ612は、熱交換器516を介してストリッパ塔底製品514を再沸騰させるために用いられ、熱交換器518を介するボイラ給水(BFW)528との交換によって冷却され、熱交換器520を介する混練水(TWA)532との交換によって冷却され、そして、空気クーラー522で冷却されていた。熱交換器4の存在により、熱交換器516、518、520、及び空気クーラー522は、例えば、異常事態の管理を除いて、もはや用いられない。加えて、吸収塔ストリッパ区画500のレトロフィット前に、ストリッパ底部製品514は中圧スチーム(MPS)リボイラ526により再沸騰していたが、熱交換器11の存在によりリボイラ526はもはや用いられない。
【0115】
再び
図7を参照すると、例えば、C3−C4液化石油ガス(LPG)であってもよい脱ブタン塔605からの塔頂蒸留分608は、硫化水素、メルカプタン、又は他の硫黄化合物等の化合物を除去するための処理区画へ進む。処理区画は、1つ以上の凝縮器、コーカー製品ガススクラバ610、サワーガスノックアウトドラム、アミン吸収塔(液−液接触器616等、例えばC3−C4アミン接触器)、アミンノックアウトドラム630、及び沈降ドラム632(例えば、C3−C4アミン沈降ドラム)を含んでいてもよく、アミン再生塔ユニットから受け取るリーン・ジエタノールアミン640を利用してもよい。処理区画からの出力は様々な仕向け先へ送られる。塔頂ストリームとしてアミンノックアウトドラム630から出力される燃料ガス634は、加熱器、燃料ガスノックアウトドラム、及び燃料ガスヘッダーへ送られる。沈降ドラム632からのC3/C4製品636はLPGメルカプタン酸化(merox)ユニットへ送られる。コーカー製品ガススクラバ610の底部からのリッチDEA638は、アミン再生塔ユニットで処理される。
【0116】
実施例によっては、ディレードコーキングプラントのレトロフィットに追加された熱交換器のうちの1つ以上を、各図に示すより低い熱デューティで実施することができる。後に続く第2のレトロフィットにおいて、熱交換器のうちの1つ以上に、例えば、表面積を増やしたり、熱伝達強化を加えたりすることによって、熱デューティを増加するようにしてもよい。実施例によっては、1つ以上の熱交換器の熱デューティが、各図に示すよりも低い場合、レトロフィットにおいてもはや用いられないものとして示した空気クーラーを用いてもよい。
【0117】
図10を参照すると、デコーキング操作において、フルコークスドラム(例えば、
図2のコークスドラム204b)は、いずれの残留油液体も除去するようスチーム処理される(900)。結果として生じるスチーム及び炭化水素の混合は、塔頂蒸気206のストリームとして最初に精留塔102へ、次にコーカーブローダウン区画300へ送られ、そこでワックステイリング208が除去される。コークスドラムは水で満たされ、ドラムを93℃未満に冷却することができる(902)。コークスドラムの冷却中に生じたスチームはコーカーブローダウン区画300で凝縮される。冷却水はコークスドラムから排水され、再利用のために回収される(904)。
【0118】
コークスドラムの上端及び下端部はコークス除去に備えて取り外され(906)、コークスドラムはデコーキング処理される(908)。実施例によっては、コークスドラムは、高圧水ジェットを用いてコークスをコークスドラムからそぎ落とす水圧デコーキングを介してデコーキング処理される。水はコークス微粉から分離され、再利用される。
【0119】
コークスドラムの上端及び下端部が交換され、コークスドラムは締結され、浄化され、圧力試験にかけられる(910)。高温コークスドラム(例えば、コークスドラム204a)からのスチーム及び蒸気を用いて低温のデコーキング処理されたコークスドラムを加熱する(912)。凝縮された水がコーカーブローダウン塔302へ送られ、凝縮炭化水素は精留塔102(供給流206として)又はコーカーブローダウン塔302(ワックステイリング208として)のどちらか一方へ送られる。加熱されたデコーキング処理済みコークスドラムは、ライン上に配置されて供給ストリームを受け取り(914)、デコーキングサイクルが他のコークスドラムに対して繰り返される。実施例によっては、36時間のコーキングサイクルを用いてもよく、各ドラムは18時間コークス化処理され、18時間デコーキング処理される。実施例によっては、11時間、14時間、16時間等、より短いコーキングサイクルを用いてもよい。短いコーキングサイクルは、コークスドラム204をより迅速に充填することによって、ユニットスループットを増やす可能性がある。
【0120】
過剰水分及び揮発性物質の除去のための焼成がなされていないコークスを、「生(グリーン)」コークスと称する。生コークスの焼成は、ロータリーキルン法又はロータリーハース炉法等の様々な方法でなされてもよい。ロータリーキルン法では、ドレイン後、コークスはクラッシャに、次に1つ以上のキルン供給ビンに装填される。キルンへの装填速度は連続計量フィーダによって制御される。キルンにおいて、残留水分及び揮発性物質は、生コークスが熱流と逆に移動するにつれて、除去される。プロセス熱はバーナによりキルンへ供給される。プロセス熱の別のソースは、キルン内の生コークスによって放出される揮発性物質の燃焼である。キルンを出た焼成コークスはロータリークーラーへ排出され、そこでコークスは散水又は周囲空気のストリームにより直接的に急冷される。焼成され、冷却されたコークスはロータリークーラーから貯留装置へ送られる。
【0121】
図11乃至17は、熱電併給システム10の熱交換器を含むグラスルーツディレードコーキングプラントの詳細を示す。
【0122】
図11は、グラスルーツ精留区画180を示す。熱交換器13は、供給ストリーム210(加熱される)とHCGOポンプアラウンドストリーム90(冷却される)との間の熱交換を可能にする。HCGOポンプアラウンドストリーム90は、熱交換器13を通り、熱交換器107を通って流れ、次いで、脱ブタン塔底留分の再沸騰のために、直接、熱交換器618(
図17)に流れる。
【0123】
また、
図12を参照すると、供給ストリーム210をHCGOポンプアラウンドストリーム90からの廃熱で加熱することにより、供給ストリーム210は高温でコーカー加熱器202へ入ることができる。したがって、コーカー加熱器202での燃料節約が可能になる。
【0124】
再び
図11を参照すると、グラスルーツ精留区画180において、精留塔102からの塔頂留分140は、(サブネットワークB内の)熱交換器1による加熱用流体サブストリーム24aとの交換を介して冷却される。塔頂留分140からの廃熱は加熱用流体サブストリーム24aを加熱するために用いられ、加熱された流体サブストリーム24aはサブネットワークB70の加熱用流体ヘッダー28に合流する。
【0125】
図13を参照すると、グラスルーツブローダウン区画380において、熱交換器8、9は、コーカーブローダウン塔302からの断続的な塔頂及び塔底ストリーム314、312からそれぞれ廃熱を回収できる。熱交換器8は塔頂ストリーム314からの廃熱により加熱用流体サブストリーム26aを加熱し、熱交換器9は塔底ストリーム312からの廃熱により加熱用流体サブストリーム26bを加熱する。2つの加熱用流体サブストリーム26a、26bはサブネットワークC80の断続ヘッダー32に合流し、蓄熱タンク34へ流入する。熱交換器8、9は断続的に稼働する。例えば、熱交換器8は1日当たり少なくとも約5時間稼働でき、熱交換器9は1日当たり少なくとも約8時間稼働できる。
【0126】
図14を参照すると、グラスルーツ塔頂ガス圧縮システム480において、熱交換器2、3は、圧縮機段間ストリーム408及び圧縮機吐出ストリーム416からそれぞれ廃熱を回収できる。熱交換器2は圧縮機段間ストリーム408からの廃熱により加熱用流体サブストリーム24bを加熱し、熱交換器3は圧縮機吐出ストリーム416からの廃熱により加熱用流体サブストリーム24cを加熱する。加熱用流体サブストリーム24b、24cはサブネットワークB70の加熱用流体ヘッダー28に合流する。
【0127】
図15を参照すると、グラスルーツ吸収塔ストリッパ区画580において、熱交換器4は、脱ブタン塔605(
図16)の底部からの安定化ナフサストリーム612から廃熱を回収できる。熱交換器4は安定化ナフサストリーム612からの廃熱により加熱用流体サブストリーム22aを加熱し、加熱された流体サブストリーム22aはサブネットワークA60の加熱用流体ヘッダー30に合流する。熱交換器11は、加熱用流体ストリーム38からの熱を用いてストリッパ塔底製品514を再沸騰させる。
【0128】
図16を参照すると、グラスルーツスポンジ吸収塔区画680において、熱交換器5は、リーンスポンジオイルストリーム118から廃熱を回収できる。熱交換器5はリーンスポンジオイルストリーム118からの廃熱により加熱用流体サブストリーム22bを加熱し、加熱された流体サブストリーム22bはサブネットワークA60の加熱用流体ヘッダーに合流する。熱交換器12は、加熱用流体ストリーム38からの熱を用いてリッチスポンジオイルストリーム136を加熱する。
【0129】
図17を参照すると、グラスルーツランダウンクーラー区画880において、熱交換器6、7は、LCGO製品132及びHCGO製品704からそれぞれ廃熱を回収できる。熱交換器6はLCGO製品132からの廃熱により加熱用流体サブストリーム22cを加熱し、熱交換器7はHCGO製品704からの廃熱により加熱用流体サブストリーム22dを加熱する。加熱された流体サブストリーム22c、22dはサブネットワークA60の加熱用流体ヘッダーに合流する。貯留装置へ進むHCGO製品704は、必要に応じて、ウォータクーラ730によって更に冷却される。シールオイルフィルタへ進むHCGO製品706は、熱交換器732によって、例えば、ボイラ給水との交換によって冷却される。
【0130】
他の実装も、以下の特許請求の範囲の適用範囲内である。