【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る多彩色絵柄パイル布帛は、染色性を異にする第1パイル糸61の第1パイル62が植設された第1パイル領域10a,10bと第2パイル糸71の第2パイル72が植設された第2パイル領域20a,20b,20c,20dによってパイル地のパイル形成過程において構成され、それらのパイルが隣り合う第1パイル領域10と第2パイル領域20との境界線によって柄際53(
図3)が形成された下地絵柄41が描出されており(
図1)、
一部の第1パイル領域10aの一部11a(
図4)か、一部の第1パイル領域10aの全域12a(
図5)か、全部の第1パイル領域13a,13b(
図6)の何れか、又は、一部の第2パイル領域20aの一部21a(
図7)か、一部の第2パイル領域20aの全域22a(
図8)か、全部の第2パイル領域23a,23b,23c,23d(
図9)の何れかにおいて、染着性を異にする染料に色分けされた色分け絵柄42が下地絵柄41に重なって描出され、
前記色分け絵柄42は、前記染着性を異にする染料が混合された混合染液に色分けされ
、前記染着性を異にする染料には、酸性染料と含金属染料が含まれていることを第1の特徴とする。
尚、織物地の画素は、一本か数本の経糸の上を越えて織物の表面に露出する一本か数本の緯糸の側面と一本か数本の緯糸の上を越えて織物の表面に露出する一本か数本の経糸の側面が構成する平織組織、斜紋(綾)織組織、繻子(朱子)織組織等の織組織によって構成され、その構成する経糸と緯糸が複数本であることから広い面積を有する。
これに対し、パイル布帛の絵柄の画素は、パイル表面を構成している一個一個のパイルの先端部分であり、その一個一個のパイル糸の先端部分の断面積あって経糸や緯糸の側面によって構成される織物地の画素に比して細かく、織物地に比してパイル布帛の表面には画素が細かく鮮明な絵柄を描出することが出来、本発明の効果を遺憾なく表現することが出来る。
【0006】
本発明に係る多彩色絵柄パイル布帛
の第2の特徴は、
上記第1の特徴に加え、前記染着性を異にする染料には、第1パイル糸61と第2パイル糸71の双方に対し染着性を有する染料が含まれている点にある。
【0007】
本発明に係る多彩色絵柄パイル布帛の第3の特徴は、染色性を異にする第1パイル糸61の第1パイル62が植設された第1パイル領域10a,10bと第2パイル糸71の第2パイル72が植設された第2パイル領域20a,20b,20c,20dによってパイル地のパイル形成過程において構成され、それらのパイルが隣り合う第1パイル領域10と第2パイル領域20の境界線によって柄際53が形成された下地絵柄41が描出されており、
一部の第1パイル領域10aの一部11aか、一部の第1パイル領域10aの全域12aか、全部の第1パイル領域13a,13bの何れか、又は、一部の第2パイル領域20aの一部21aか、一部の第2パイル領域20aの全域22aか、全部の第2パイル領域23a,23b,23c,23dの何れかにおいて、染着性を異にする染料に色分けされた色分け絵柄42が下地絵柄41に重なって描出され、
前記染着性を異にする染料には、第1パイル糸61と第2パイル糸71の双方に対し染着性を有する染料が含まれ
、前記染着性を異にする染料には、酸性染料と含金属染料が含まれている点にある。
【0008】
本発明に係る多彩色絵柄パイル布帛の第
4の特徴は、上記第
1〜3の何れかの特徴に加え、
前記染着性を異にする染料には、第1パイル糸(61)に対し染着性を有する染料も含まれている点にある。
【0009】
本発明に係る多彩色絵柄パイル布帛の第
5の特徴は、上記第
1〜4の何れかの特徴に加え、
第1パイル領域10aの第2パイル領域20aに対する隣接部分14aと、第2パイル領域20aの第1パイル領域10bに対する隣接部分24aにおける基布51のバックステッチ面14に、前記染着性を異にする染料を含む染液が滲み出て、色彩が同色の融合領域30(図10)を構成している点にある。
その他、多彩色絵柄パイル布帛は、一部の第1パイル領域10aの一部11a(図4)か、一部の第1パイル領域10aの全域12a(図5)か、全部の第1パイル領域13a,13b(図6)の何れかにおいて、第1パイル糸61に対し染着性を有する第1染料か、第1パイル糸61と第2パイル糸71の双方に対し染着性を有する第2染料が染着、又は、一部の第2パイル領域20aの一部21a(図7)か、一部の第2パイル領域20aの全域22a(図8)か、全部の第2パイル領域23a,23b,23c,23d(図9)の何れかにおいて、第1パイル糸61と第2パイル糸71の双方に対し染着性を有する第2染料が染着した色分け絵柄42が下地絵柄41に重なって描出されていても良い。
その他、多彩色絵柄パイル布帛は、第1パイル領域15aと、第1パイル領域15aを介して隣り合う第2パイル領域25aと25b(
図11)の色彩、又は、第2パイル領域25aと、第2パイル領域25aを介して隣り合う第1パイル領域15aと15b(
図12)の色彩が同系色になっており、第1パイル領域15aを介して隣り合う第2パイル領域25aと25bの間(
図11)、又は、第2パイル領域25aを介して隣り合う第1パイル領域15aと15bの間(
図12)が連結領域31を構成してい
ても良い。
その他、多彩色絵柄パイル布帛は、それぞれ数珠繋ぎ状に隣接する第2パイル領域20dの一部32と第1パイル領域10bの一部33、第1パイル領域10bの一部33と第2パイル領域20aの一部34、第2パイル領域20aの一部34と第1パイル領域10aの一部35、第1パイル領域10aの一部35と第2パイル領域20cの一部36、第2パイル領域20cの一部36と第1パイル領域10aの一部37、第1パイル領域10aの一部37と第2パイル領域20bの一部38、第2パイル領域20bの一部39と第1パイル領域10a………の各隣接部分の色彩が同系色になっており、それらの隣接部分が連続した連続領域32〜39(図13)を構成していても良い。
【0010】
本発明に係る多彩色絵柄織物地は、(1) 染色性を異にする第1経糸と第2経糸、および、第1経糸と染色性を同じくする第1緯糸と第2経糸と染色性を同じくする第2緯糸によって織成された織物の表面に、それらの染色性を同じくする第1経糸と第1緯糸によって織成される第1画素領域と染色性を同じくする第2経糸と第2緯糸によって織成される第2画素領域との境界線によって柄際53が形成された下地絵柄41が描出されており、
(2) 一部の第1画素領域10aの一部11aか、一部の第1画素領域10aの全域12aか、全部の第1画素領域13a,13bの何れか、又は、一部の第2画素領域20aの一部21aか、一部の第2画素領域20aの全域22aか、全部の第2画素領域23a,23b,23c,23dの何れかにおいて、染着性を異にする染料に色分けされた色分け絵柄42が下地絵柄41に重なって描出され、
前記色分け絵柄42は、前記染着性を異にする染料が混合された混合染液に色分けされ
、前記染着性を異にする染料には、酸性染料と含金属染料が含まれていることを第1の特徴とする。
本発明に係る多彩色絵柄織物地の第2の特徴は、(1) 染色性を異にする第1経糸と第2経糸、および、第1経糸と染色性を同じくする第1緯糸と第2経糸と染色性を同じくする第2緯糸によって織成された織物の表面に、それらの染色性を同じくする第1経糸と第1緯糸によって織成される第1画素領域と染色性を同じくする第2経糸と第2緯糸によって織成される第2画素領域との境界線によって柄際53が形成された下地絵柄41が描出されており、
(2) 一部の第1画素領域10aの一部11aか、一部の第1画素領域10aの全域12aか、全部の第1画素領域13a,13bの何れか、又は、一部の第2画素領域20aの一部21aか、一部の第2画素領域20aの全域22aか、全部の第2画素領域23a,23b,23c,23dの何れかにおいて、染着性を異にする染料に色分けされた色分け絵柄42が下地絵柄41に重なって描出され、
前記染着性を異にする染料には、第1画素糸61と第2画素糸71の双方に対し染着性を有する染料が含まれ
、前記染着性を異にする染料には、酸性染料と含金属染料が含まれている点にある。
【0011】
本発明において、『隣接部分14aと隣接部分24bが色彩が同系色の融合領域30(
図10)』、或いは、『第1パイル領域15aと隣り合う第2パイル領域25aと25bの色彩が同系色(
図11)、又は、第2パイル領域25aと隣り合う第1パイル領域15aと15bの色彩が同系色(
図12)』、或いは又、『それぞれ数珠繋ぎ状に隣接する第2パイル領域20dと第1パイル領域10b、第1パイル領域10bと第2パイル領域20a、第2パイル領域20aと第1パイル領域10a、第1パイル領域10aと第2パイル領域20c、第2パイル領域20cと第1パイル領域10a、第1パイル領域10aと第2パイル領域20b………の各隣接部分の色彩が同系色(
図13)』と言う『色彩が同系色』とは、それぞれの隣接部分において隣り合い染色性を異にする第1パイル領域の第1パイルと第2パイル領域20の第2パイルの色彩が彼此れ見間違う程度に酷似していることを意味する。
【0012】
その第1パイル領域の第1パイルと第2パイル領域20の第2パイルの色彩が彼此れ見間違う程度に酷似しているか否かの判定は、先ず、
図14に図示するように、厚み2〜3mmの合板か厚紙を裁断して縦横各100mmの矩形基板81を4〜5枚を用意し、その3〜4枚に直径45mmと75mmの同心円を描き、外径45mmの円板83と内径75mmの中空円の切り取られた縦横各100mmの矩形中空円打抜基板82を切り出す。
その中空円打抜基板82を矩形基板81に周辺を揃えて貼り合わせ、その中空円打抜基板82の内径75mmの中空円に同心円状に中心を合わせて外径45mmの円板83を矩形基板81に貼り合わせる。
こうして、円板83の外周縁と中空円打抜基板82の内周縁に縁取られた溝幅15mmの真円環溝84を有するランドルト基盤86を作成する。
このランドルト基盤86の円環溝84にパイル布帛の融合領域30や連続領域31や連続領域32から切り出した縦15mm×横10mmの第1パイル裁断片85aや第2パイル裁断片85bを敷き詰めてランドルト環80を視力検査表の中の視力0.1(眼鏡着用矯正可)と判定される直径45mm×75mmの同心円で表示される視力0.1判定用ランドルト環に準じて作成する。
パイル裁断片を敷き詰める際には、第1パイル裁断片85aと第2パイル裁断片85bの何れか一方の裁断片の敷詰量を1片とし、その1片のパイル裁断片85をもってランドルト環80を横切る指標87とする。
【0013】
ランドルト環80は、第1パイル裁断片85aを指標87とするランドルト環80aと第2パイル裁断片85bを指標87とするランドルト環80bとの2種類とし、その各種類毎に指標87の位置が真上のもの80aA・80bAと、右上のもの80aB・80bBと、右横のもの80aC・80bCと、右下のもの80aD・80bDと、真下のもの80aE・80bEと、左下のもの80aF・80bFと、左横のもの80aG・80bGと、左上のもの80aH・80bHとの8種類で合計16種類のランドルト環を用意し、それらを格子状にランダム(順位不同)に配列して判定試験表88を作成する(
図15)。
【0014】
判定試験表88は、ランドルト環を使用する視力検査と同様に明るさ50ルックスの屋内で使用し、視力検査表を用いた視力検査において眼鏡なし運転可能と認定される視力0.7判定用ランドルト環によって検定される視力0.7の被検眼者(眼鏡着用矯正可)が、視力検査時と同様に5m離れた位置から16個のランドルト環80aA・80bA,80aB・80bB,80aC・80bC,80aD・80bD,80aE・80bE,80aF・80bF,80aG・80bG,80aH・80bHを各々を左右片目で見て色彩判定に使用され、その16個中の12個以上のランドルト環の指標87が上下左右の何れの位置を彼此れ見間違う場合は、第1パイル領域の第1パイルと第2パイル領域20の第2パイルの色彩は『同系色』と判定される。
ここに『16個』とは、左右各片目毎に16個の意味、即ち、左目で16個のランドルト環を見、右目で16個のランドルト環を見るとの意味、つまり左右合計32回見るとの意味である。
又、『16個中の12個以上』と規定するのは、16個のランドルト環の中の1〜4個程度なら、当てずっぽうに答えても指標87の位置を見間違うことなく答えたと判定してしまう誤判を回避するためである。
【0015】
第1パイル領域10の第1パイルと第2パイル領域20の第2パイルの色彩は『同系色』と判定される場合、再度判定試験表88を3m離れた位置から見て、ランドルト環の指標87が上下左右の何れの位置を彼此れ見間違う場合は、その第1パイル領域10の第1パイルと第2パイル領域20の第2パイルの色彩は『同等色』と判定し、更に再度判定試験表88を2m離れた位置から見て、ランドルト環の指標87が上下左右の何れの位置を彼此れ見間違う場合は、その第1パイル領域10の第1パイルと第2パイル領域20の第2パイルの色彩は『同一色』と判定し、それぞれ参考データとして記録される。
そのように、判定試験表88を見る距離を2m以上と規定する理由は、2m未満の至近距離から見る場合は、手作業でランドルト基盤86の円環溝84にパイル裁断片85を敷き詰めて作成されるランドルト環80の出来栄えにパイル裁断片の切り取り方や敷き詰め方の個人差に起因するバラツキが生じ易く、指標87の位置が殊更目立ち易くなったり、カットとループやハイ・ロー長短差等のパイル形態の差異が殊更目立ち易くなったり、撚り斑や番手(繊度)斑等のパイル糸条の形態差が目立ち易くなり、指標87の位置の判断に誤判が生じ易くなること、又、大人の身長からして目に映るカーペットと視点の距離は概して2m前後になる等の理由による。
尚、『同系色』と判定される場合の判定試験表88と視点の距離を5mと規定する理由は、視力検査におけるランドルト環と視点の距離が通常5mに規定されていること、又、判定試験表88と視点の距離を5m以上に規定する場合はランドルト環自体輪郭も不明確になって指標87の位置の判断に誤判が生じ易くなる等の理由による。
【0016】
その他、多彩色絵柄パイル布帛
は、パイル面が複数の区画A,B,C,D;E,F,G,H;I,J,K,L;M,N,O,P;Q,R,S,Tに枡目状に仕切られており、その一部の2区画以上の複数の各区画内の全部の第1パイル領域10の全部の第1パイル62または各区画内の全部の第2パイル領域20の全部の第2パイル72が同色に染色されており、色分け絵柄42が複数の区画によって枡目状に仕切られた市松模様を呈してい
ても良い(
図2)。
【0017】
本発明において、第1パイル糸61に対し染着性を有する第1染料か第1パイル糸61と第2パイル糸71の双方に対し染着性を有する第2染料が染着した色分け絵柄42に、その第1染料か第2染料が全部の第1パイル領域13a,13bに染着した色分け絵柄が包含され(
図6)、又、第2パイル糸71に対し染着性を有する第2染料が全部の第2パイル領域23a,23b,23c,23dに染着した色分け絵柄が包含される(
図9)とは、多彩色絵柄パイル布帛の全ての第1パイル領域13や第2パイル領域23が同一色彩に染色されていることを意味しない。
即ち、ここに言う『全部の第1パイル領域』とか『全部の第2パイル領域』とは、パイル布帛の全面即ち全ての部分ではなく、第1染料や第2染料が印捺されるパイル布帛の一部分を意味する。
若し、パイル布帛の全面即ち全ての部分を意味するのであれば、パイル布帛全体が第1染料や第2染料に無地染めされることになり、それでは捺染されることにはならないからである。
そのように、印捺されるパイル布帛の部分を意味するが故に、そのパイル布帛の部分が
図1に図示するように枡目状に区切られた複数の区画A〜Tの中の一区画であれば、その各区画A〜Tの全部をそれぞれ特定の色彩に染め上げるときは、
図2に図示するように各区画毎に異なる色彩に染め上げられた市松模様状の色分け絵柄42が下地絵柄41に重なって描出されことにもなる。
【0018】
ポリアミド繊維糸条には、カチオン可染ポリアミド繊維糸条と非カチオン可染であるレギュラーポリアミド繊維糸条があり、第1パイル糸61をレギュラーポリアミド繊維糸条とすれば第2パイル糸71はカチオン可染ポリアミド繊維糸条にすべきことになる。
その場合、レギュラーポリアミド繊維糸条である第1パイル糸61に対し染着性を有する第1染料を酸性染料とすれば、レギュラーポリアミド繊維糸条とカチオン可染ポリアミド繊維糸条との双方に対し染着性を有する第2染料としては含金属染料が使用されることになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るパイル布帛には第1パイル糸61と第2パイル糸71との染色性を異にする二種類のパイル糸が使用されている関係上、パイル形成後の染色に使用される染料には第1パイル糸61に対し染着性を有する第1染料と第2パイル糸71と第1パイル糸61との双方に対し染着性を有する第2染料との二種類の染料が使用され、二種類のパイル糸の染色性と二種類の染料の発色性の相異からして、通常の一種類のパイル糸を一種類の染料で染色する場合に比してパイル面の色彩が豊かになる。
その二種類の染料は、染液に混合し、混合染液としてパイル面に印捺する一浴染めとして使用することが出来るので捺染工程が高速化される。
従って本発明によると、在来の捺染パイル布帛に比してパイル面の色調が豊かな多彩色絵柄パイル布帛を効率的に得ることが出来る。
【0020】
加えて本発明では、第1パイル糸61に対し染着性を有する染料と第2パイル糸71に対し染着性を有する染料との二種類の染料に加えて第1パイル糸61と第2パイル糸71の双方に対し染着性を有する染料も使用されており、その第1パイル糸61と第2パイル糸71の双方に対し染着性を有する染料によって第1パイル62と第2パイル72を同系色に発色させることが可能となる。
そして、その同系色に発色した第1パイル62と第2パイル72は、第1パイル領域10と第2パイル領域20との隣接部分14・24において色彩が同系色の融合領域30(
図10)を構成し、第1パイル領域10の輪郭と第2パイル領域20の輪郭が変化し、下地絵柄41の輪郭が変化した色分け絵柄42が描出されることになる。
【0021】
また本発明によると、第1パイル糸61と第2パイル糸71の双方に対し染着性を有する染料によって第1パイル62と第2パイル72を同系色に発色させることが可能となり、第1パイル領域15を介して隣り合う第2パイル領域25aと25bの間(
図11)や第2パイル領域25を介して隣り合う第1パイル領域15aと15bの間(
図12)が連結領域31を構成するときも、第1パイル領域10の輪郭と第2パイル領域20の輪郭が変化し、下地絵柄41の輪郭が変化した色分け絵柄42が描出されることになる。
【0022】
更に本発明によると、そのように第1パイル糸61と第2パイル糸71の双方に対し染着性を有する染料を使用することによって第1パイル62と第2パイル72を同系色に発色させることが容易になる。その結果、下地絵柄41の
図3に図示する分離状態にあった第2パイル領域20dと第2パイル領域20aの間を同系色の第1パイル領域10bで繋ぎ、その繋ぐ第1パイル領域10bと第1パイル領域10aの間を同系色の第2パイル領域20aで繋ぎ、その繋ぐ第2パイル領域20aと第2パイル領域20cの間を同系色の第1パイル領域10aで繋ぎ、更に第2パイル領域20cと第2パイル領域20bの間を同系色の第1パイル領域10aで繋ぐことが可能となる。
【0023】
こうして下地絵柄41の
図3に図示する分離状態にあった第2パイル領域20dと第1パイル領域10b、第1パイル領域10bと第2パイル領域20a、第2パイル領域20aと第1パイル領域10a、第1パイル領域10aと第2パイル領域20c、第2パイル領域20cと第1パイル領域10a、第1パイル領域10aと第2パイル領域20b………の各隣接部分は、
図13に図示するように色彩が同系色になって数珠繋ぎ状に連続した連続領域32〜39を構成することになる。
又、こうして連続領域32〜39が発生すると、その各パイル領域10・20が分離状態にあった下地絵柄41の構図が崩れ、その各パイル領域10・20が連続して統制のとれた統制色分け絵柄44が描出されることになる(
図19)。
そのように
図13は、
図3に図示するパイル地生機の連続領域32〜39が発生して変化した下地絵柄41の構図を図示するものである。
【0024】
図13と同様に、
図4〜
図12も、一部の第1パイル領域10aの一部11aが色分けされ(
図4)、或いは一部の第1パイル領域10aの全域12aが色分けされ(
図5)、或いは全部の第1パイル領域13a,13bが色分けされ(
図6)、或いは一部の第2パイル領域20aの一部21aが色分けされ(
図7)、或いは一部の第2パイル領域20aの全域22aが色分けされ(
図8)、或いは全部の第2パイル領域23a,23b,23c,23dが色分けされ(
図9)、或いは隣接部分14aや隣接部分24aの色彩が同系色の融合領域30が発生し(
図10)、或いは隣り合う第1パイル領域15a・15b、隣り合う第2パイル領域25a・25b、若しくは第2パイル領域25a・25bの間に色彩が同系色の連結領域31が発生し(
図11、
図12)、それぞれ変化した下地絵柄41の構図の一部を図示するものである。
そのように変化後の構図を図示する
図4〜
図13と変化前のパイル地生機の構図を図示する
図3を対比して明らかなように、本発明によると、パイル形成過程において構成された下地絵柄41とはイメージが大きく変化した新規な多彩色絵柄パイル布帛を得ることが出来る。
【0025】
本発明において、第1パイル糸61を非カチオン可染のレギュラーポリアミド繊維糸条とし、第2パイル糸71をカチオン可染ポリアミド繊維糸条とする第1の理由は、同じポリアミド繊維であってもレギュラーポリアミド繊維とカチオン可染ポリアミド繊維とは染色性が異なり、含金属染料はレギュラーポリアミド繊維とカチオン可染ポリアミド繊維の双方に染着するものの、酸性染料はレギュラーポリアミド繊維には染着性を示すもののカチオン可染ポリアミド繊維には殆ど染着性を示さないことによる。
その第1パイル糸61を非カチオン可染のレギュラーポリアミド繊維糸条とし、第2パイル糸71をカチオン可染ポリアミド繊維糸条とする第2の理由は、含金属染料はレギュラーポリアミド繊維とカチオン可染ポリアミド繊維の双方に染着するものの、含金属染料の中にはカチオン可染ポリアミド繊維に対する染着性の度合いが酸性染料のレギュラーポリアミド繊維に対する染着性と同程度のものもあり、そのカチオン可染ポリアミド繊維に対する染着性の度合いの高い高染着性含金属染料と酸性染料との混合染液でカチオン可染ポリアミド繊維とレギュラーポリアミド繊維を一浴染色する場合には、その染色性の異なるカチオン可染ポリアミド繊維とレギュラーポリアミド繊維を染め分けし易いことによる。
第1パイル糸61を非カチオン可染のレギュラーポリアミド繊維糸条とし、第2パイル糸71をカチオン可染ポリアミド繊維糸条とする第3の理由は、カチオン可染ポリアミド繊維もレギュラーポリアミド繊維も汎用され、含金属染料も酸性染料も汎用されていて入手し易いことによる。
このように、第1パイル糸61を非カチオン可染のレギュラーポリアミド繊維糸条とし、第2パイル糸71をカチオン可染ポリアミド繊維糸条とし、含金属染料と酸性染料を使用すると本発明が実施し易くなる。
【0026】
そのように含金属染料には、(1) レギュラーポリアミド繊維とカチオン可染ポリアミド繊維の双方に染着する通常の含金属染料と、(2) カチオン可染ポリアミド繊維に対する染着性の度合いが酸性染料のレギュラーポリアミド繊維に対する染着性と同程度の染着性の高いものもある。
本発明では、(1) レギュラーポリアミド繊維とカチオン可染ポリアミド繊維の双方に染着する通常の含金属染料を第2染料とし、(2) そのカチオン可染ポリアミド繊維に対する染着性の度合いの高い高染着性含金属染料を第3染料として通常の含金属染料と使い分け、第1パイル62と第2パイル72を同系色に発色させる必要がある第1パイル領域10や第2パイル領域20の部位に高染着性含金属染料を第3染料として適用すると資材管理や工程管理の上で好都合である。
【0027】
従って、本発明では、特定の繊維に対して染着性があると認められる同じ種類の染料であっても染着性の度合いに差異があり、その特定の種類の繊維以外の他の種類の繊維に対して染着性があると認められる特異な染料がある、との知見に基づいて完成されたものであり、パイル地のパイル形成過程において、
(a) 染色性を異にするレギュラーポリアミド繊維第1パイル糸61の第1パイル62が植設される第1パイル領域10とカチオン可染ポリアミド繊維第2パイル糸71の第2パイル72が植設される第2パイル領域20と、それらの隣り合う二つのパイル領域10・20の境界線によって形成される柄際53とによって構成される下地絵柄41を、パイル面の全面又はパイル面の少なくとも一部に設定し(
図3)、
(b) 第1パイル糸と第2パイル糸との何れか一方に染着性を有する第1染料と、第1パイル糸と第2パイル糸との双方に染着性を有する第2染料と、第1パイル糸と第2パイル糸との双方に高い染着性を有する第3染料を下地絵柄41のパイル面に印捺し、
(c) 一部の第1パイル領域10aの一部11a(
図4)か、一部の第1パイル領域10aの全域12a(
図5)か、全部の第1パイル領域13a,13b(
図6)の何れかを第1染料か第2染料で第2パイル領域20aと染め分け、又は、一部の第2パイル領域20aの一部21a(
図7)か、一部の第2パイル領域20aの全域22a(
図8)か、全部の第2パイル領域23a,23b,23c,23d(
図9)の何れかに第3染料として高染着性含金属染料を使用して第1パイル領域10aと染め分けて構成される色分け絵柄42を下地絵柄41に重ねて描出する。
ここに言う第1染料にはレギュラーポリアミド繊維に染着性を示す酸性染料が該当し、第2染料にはレギュラーポリアミド繊維とカチオン可染ポリアミド繊維の双方に染着性を有する通常の含金属染料が該当し、第3染料にはカチオン可染ポリアミド繊維とレギュラーポリアミド繊維の双方に高い染着性を有する高染着性含金属染料が該当する。