【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明の撮像レンズは
、撮像素子上に被写体像を形成する撮像レンズにおいて、物体側から像面側に向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、第4レンズと、負の屈折力を有する第5レンズと、負の屈折力を有する第6レンズとを配置して構成され、第1レンズは、物体側の面の曲率半径が正となり、像面側の面の曲率半径が負となる形状に形成され、第3レンズは、像面側の面の曲率半径が負となる形状に形成され、第6レンズは、物体側の面の曲率半径および像面側の面の曲率半径が共に負となる形状に形成される。また、本発明の撮像レンズは、レンズ系全体の焦点距離をf、第1レンズの焦点距離をf1、第2レンズの焦点距離をf2、第4レンズと第5レンズとの間の光軸上の距離をD45としたとき、次の条件式(1)および(2)を満足する。
f1<|f2| (1)
0.02<D45/f<0.5 (2)
【0013】
周知のように、撮像素子上に被写体像を形成する撮像レンズに特有の問題として、撮像レンズから出射した光線の一部が撮像素子の像面、多くはカバーガラスで反射して撮像レンズの像面側のレンズから入射するといった問題点がある。この撮像素子からの反射光はフレアの原因となり、撮像レンズの光学性能の劣化を招くことになる。この点、本発明の撮像レンズに係る第6レンズは、物体側の面の曲率半径および像面側の面の曲率半径が共に負となる形状、すなわち光軸近傍において物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとなる形状に形成される。このため、像面側に最も近い位置に配置されるレンズの形状が像面側に凸面を向けた形状となり、上記反射光の撮像レンズ内部への入射が好適に抑制され、良好な結像性能を得ることができる。
【0014】
また、条件式(1)に示されるように、本発明の撮像レンズでは、正の屈折力を有する第1レンズの屈折力が負の屈折力を有する第2レンズの屈折力よりも強くなっている。撮像レンズにおいて最も物体側に配置されるレンズの屈折力を強くすることにより、撮像レンズの全長を圧縮できるため、撮像レンズの小型化を好適に図ることができる。なお、本発明の撮像レンズにおいてはさらに、撮像レンズを構成する全てのレンズの中で第1レンズの屈折力を最も強くすることが望ましい。
【0015】
条件式(2)は、非点収差および像面湾曲を良好に補正するための条件である。上限値「0.5」を超えると、非点収差のタンジェンシャル像面およびサジタル像面が共に像面側に倒れて非点隔差が増大する。これにより、像面湾曲が補正過剰の状態になるため、良好な結像性能を得ることが困難になる。一方、下限値「0.02」を下回ると、非点収差のタンジェンシャル像面およびサジタル像面が共に物体側に倒れて非点隔差が増大する。これよって像面湾曲が補正不足の状態になるため、良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0016】
上記構成の撮像レンズにおいては、諸収差を良好に補正するために次の条件式(2A)をさらに満足することが望ましい。
0.03<D45/f<0.5 (2A)
【0017】
上記構成の撮像レンズにおいてより良好に諸収差を補正するためには、次の条件式(2B)をさらに満足することが望ましい。
0.05<D45/f<0.5 (2B)
【0018】
上記構成の撮像レンズは、第6レンズの物体側の面の曲率半径をR6f、第6レンズの像面側の面の曲率半径をR6rとしたとき、次の条件式(3)を満足することが望ましい。
3<|R6r/R6f|<150 (3)
【0019】
条件式(3)は、色収差および非点収差を良好に補正するための条件である。上限値「150」を超えると、軸上色収差を補正し易くなる。しかし、倍率色収差が補正過剰(基準波長の結像点に対して短波長の結像点が光軸から遠ざかる方向に移動)となり、良好な結像性能を得ることが困難となる。一方、下限値「3」を下回ると、倍率色収差を補正し易くなるものの、非点隔差が増大するため良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0020】
上記構成の撮像レンズは、第6レンズの像面側の面の曲率半径をR6rとしたとき、次の条件式(4)を満足することが望ましい。
−80<R6r/f<−5 (4)
【0021】
条件式(4)は、歪曲収差、非点収差、および色収差のそれぞれを良好な範囲内にバランスよく抑制するための条件である。上限値「−5」を超えると、歪曲収差が正方向(像面側)に増大するとともに倍率色収差が補正過剰になる。また、非点収差のうちタンジェンシャル像面が像面側に湾曲して非点隔差が増大する。このため、良好な結像性能を得ることが困難になる。一方、下限値「−80」を下回ると、歪曲収差および倍率色収差の補正には有利となる。しかしながら、非点収差のタンジェンシャル像面およびサジタル像面が共に物体側に倒れて補正不足の状態になる。これにより非点隔差が増大するため、良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0022】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(5)を満足することが望ましい。
−1.0<f1/f2<−0.1 (5)
【0023】
条件式(5)は、撮像レンズの小型化を図りつつ、色収差、球面収差、非点収差、および像面湾曲を良好に補正するための条件である。上限値「−0.1」を超えると、撮像レンズの小型化には有利となるものの球面収差が補正過剰になる。また、非点収差のタンジェンシャル像面およびサジタル像面が共に補正不足の状態となり、結像面が物体側に湾曲する。これによって像面湾曲が補正不足の状態になるため、良好な結像性能を得ることが困難になる。一方、下限値「−1.0」を下回ると、バックフォーカス(back focal length)を確保し易くなるものの、撮像レンズの小型化が困難になる。また、軸上色収差が補正過剰(基準波長の焦点位置に対して短波長の焦点位置が像面側に移動)になるとともに、非点収差のタンジェンシャル像面およびサジタル像面が共に像面側に倒れて補正過剰の状態になる。これにより結像面が像面側に湾曲するため、像面湾曲は補正過剰の状態になる。したがって、この場合も良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0024】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(6)を満足することが望ましい。
−2.0<f2/f<−0.5 (6)
【0025】
条件式(6)は、撮像レンズの小型化を図りつつ、色収差、コマ収差、および非点収差をバランスよく良好に補正するための条件である。上限値「−0.5」を超えると、撮像レンズの小型化には有利となる。しかし、軸上色収差および倍率色収差が共に補正過剰になるとともに、非点収差のうちタンジェンシャル像面が補正過剰の状態になって非点隔差が増大する。また、軸外光束において内方コマ収差が増大する。このため、良好な結像性能を得ることが困難になる。一方、下限値「−2.0」を下回ると、バックフォーカスを確保し易くなるものの撮像レンズの小型化が困難になる。また、非点収差のうちサジタル像面が補正不足の状態になるとともに軸外光束において外方コマ収差が増大するため、良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0026】
上記構成の撮像レンズは、第3レンズの焦点距離をf3としたとき、次の条件式(7)を満足することが望ましい。
1<f3/f<5 (7)
【0027】
条件式(7)は、非点収差および像面湾曲を良好に補正するための条件である。また、条件式(7)は、撮像レンズから出射した光線の撮像素子の像面への入射角度を主光線角度(CRA:Chief Ray Angle)の範囲内に抑制するための条件でもある。周知のように撮像素子には、その像面に取り込むことのできる光線の範囲がCRAとして定められている。CRAの範囲外の光線の撮像素子への入射はシェーディング(shading)の原因となり、良好な結像性能を実現する上での障害となる。
【0028】
条件式(7)において上限値「5」を超えると、非点収差のタンジェンシャル像面およびサジタル像面が共に補正不足の状態となって、像面湾曲が補正不足の状態になる。このため、良好な結像性能を得ることが困難になる。また、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度が大きくなり、当該入射角度をCRAの範囲内に抑制することが困難になる。一方、下限値「1」を下回ると、上記入射角度をCRAの範囲内に抑制し易くなるものの、非点収差のうちサジタル像面が補正過剰となって非点隔差が増大する。したがって、この場合も良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0029】
上記構成の撮像レンズは、第5レンズおよび第6レンズの合成焦点距離をf56としたとき、次の条件式(8)を満足することが望ましい。
−2.0<f56/f<−0.1 (8)
【0030】
条件式(8)は、撮像レンズの小型化を図りつつ、色収差、非点収差、および像面湾曲のそれぞれを好ましい範囲内に抑制するための条件である。上限値「−0.1」を超えると、撮像レンズの小型化には有利となる。しかし、非点収差のうちサジタル像面が物体側に倒れ、像面湾曲が補正不足の状態になる。また、軸上色収差が補正不足(基準波長の焦点位置に対して短波長の焦点位置が物体側に移動)になるとともに倍率色収差が補正過剰になる。このため、良好な結像性能を得ることが困難になる。一方、下限値「−2.0」を下回ると、色収差の補正には有利となるものの撮像レンズの小型化が困難になる。また、非点収差のうちサジタル像面が像面側に倒れるため像面湾曲が補正過剰の状態になり、良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0031】
上記構成の撮像レンズは、第6レンズの焦点距離をf6としたとき、次の条件式(9)を満足することが望ましい。
−3.0<f6/f<−0.5 (9)
【0032】
条件式(9)は、色収差、歪曲収差、および非点収差を良好に補正するための条件であるとともに、撮像レンズから出射した光線の撮像素子の像面への入射角度をCRAの範囲内に抑制するための条件である。上限値「−0.5」を超えると、色収差の補正には有利となる。しかしながら、倍率色収差が補正過剰になるとともに歪曲収差が正方向に増大するため、良好な結像性能を得ることが困難になる。また、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度が大きくなり、当該入射角度をCRAの範囲内に抑制することが困難になる。一方、下限値「−3.0」を下回ると、上記入射角度をCRAの範囲内に抑制し易くなるものの、非点収差のうちタンジェンシャル像面が補正過剰になり、非点隔差が増大する。これにより、良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0033】
上記構成の撮像レンズにおいては、第2レンズと第3レンズとの間の光軸上の距離をD23としたとき、次の条件式(10)を満足することが望ましい。
0.01<D23/f<0.5 (10)
【0034】
条件式(10)は、非点収差、像面湾曲、および歪曲収差をバランスよく抑制するための条件である。上限値「0.5」を超えると、歪曲収差が正方向に増大する。また、非点収差のタンジェンシャル像面およびサジタル像面が共に像面側に倒れて非点隔差が増大する。これによって像面湾曲が補正過剰の状態になり、良好な結像性能を得ることが困難になる。一方、下限値「0.01」を下回ると、非点収差のタンジェンシャル像面およびサジタル像面が共に物体側に倒れて非点隔差が増大するため、像面湾曲が補正不足の状態になる。したがって、この場合も良好な結像性能を得ることが困難となる。
【0035】
上記構成の撮像レンズは、第3レンズの像面側の面の有効径をΦ3、第6レンズの像面側の面の有効径をΦ6としたとき、次の条件式(11)を満足することが望ましい。
1.5<Φ6/Φ3<3 (11)
【0036】
条件式(11)は、撮像レンズの小型化を図りつつ、撮像レンズから出射した光線の撮像素子の像面への入射角度をCRAの範囲内に抑制するための条件である。上限値「3」を超えると、有効径Φ3と有効径Φ6との差が大きくなり、第4レンズの物体側の面から第6レンズの像面側の面までの光軸上の距離を短縮し易くなるものの、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度が大きくなり、当該入射角度をCRAの範囲内に抑制することが困難になる。一方、下限値「1.5」を下回ると、上記入射角度をCRAの範囲内に抑制し易くなるものの、第1レンズから第3レンズまでの各レンズが大型化するため、撮像レンズの小型化が困難になる。
【0037】
ところで近年、撮像レンズを通じてより広い範囲を撮影したいといった要望が強くなってきており、撮像レンズには、小型化と広角化との両立が要求されることも多い。特に薄型の携帯機器、例えばスマートフォンに内蔵される撮像レンズにおいては、限られたスペース内に撮像レンズを収納する必要があることから、撮像レンズの光軸方向の長さについて厳しい制約が課される。そこで、本願発明の撮像レンズは、第1レンズの物体側の面から像面までの光軸上の距離(カバーガラス等の挿入物は空気換算長)をLa、撮像素子の像面の最大像高をHmaxとしたとき、次の条件式(12)を満足することが望ましい。
1.2<La/Hmax<1.8 (12)
【0038】
また、本発明の撮像レンズにおいては、第1レンズから第6レンズまでの各レンズが、空気間隔を隔てて配列されることが望ましい。各レンズが空気間隔を隔てて配列されることにより、本発明の撮像レンズは接合レンズを一枚も含まないレンズ構成になる。このようなレンズ構成では、撮像レンズを構成する6枚のレンズの全てをプラスチック材料から形成することが容易になるため、撮像レンズの製造コストを好適に抑制することができる。
【0039】
さらに、本発明の撮像レンズにおいて第1レンズから第6レンズまでの各レンズは、その両面が非球面形状に形成されることが望ましい。各レンズの両面が非球面形状に形成されることにより、レンズの光軸近傍から周辺部に亘って諸収差がより良好に補正されるようになる。
【0040】
上記構成の撮像レンズは、色収差を良好に補正するために、第1レンズのアッベ数をνd1、第2レンズのアッベ数をνd2、および第3レンズのアッベ数をνd3としたとき、次の条件式(13)〜(15)を満足することが望ましい。
35<νd1<75 (13)
15<νd2<35 (14)
35<νd3<75 (15)
条件式(13)〜(15)を満足することにより、第1および第3レンズと第2レンズとは、低分散の材料と高分散の材料との組合せとなる。こうしたアッベ数の組合せと、第1レンズから第3レンズまでの屈折力の配列「正負正」とによって色収差がより良好に補正される。
【0041】
上記構成の撮像レンズにおいて第4レンズの屈折力が正の場合には、第2レンズの物体側の面の曲率半径は正であることが望ましい。このように物体側の面の曲率半径が正となる形状は2種類ある。一つは、物体側の面の曲率半径および像面側の面の曲率半径が共に正となる形状であり、もう一つは、物体側の面の曲率半径が正となり像面側の面の曲率半径が負となる形状である。第2レンズの形状としてはこれらのいずれかの形状が望ましい。なお、前者は光軸近傍において物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとなる形状であり、後者は光軸近傍において両凸レンズとなる形状である。
【0042】
上記構成の撮像レンズにおいて第4レンズの屈折力が正の場合には、第4レンズの焦点距離をf4としたとき、次の条件式(16)を満足することが望ましい。
0.5<f4/f<5.0 (16)
【0043】
条件式(16)は、撮像レンズの小型化を図りつつ、歪曲収差および非点収差を良好に補正するための条件である。また、条件式(15)は、撮像レンズから出射した光線の撮像素子の像面への入射角度をCRAの範囲内に抑制するための条件でもある。上限値「5.0」を超えると、撮像レンズの小型化には有利となる。しかし、歪曲収差が正方向に増大するため良好な結像性能を得ることが困難になる。また、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度が大きくなり、当該入射角度をCRAの範囲内に抑制することが困難になる。一方、下限値「0.5」を下回ると、バックフォーカスを確保し易くなるものの撮像レンズの小型化が困難になる。歪曲収差は負方向(物体側)に増大する。また、非点収差のタンジェンシャル像面およびサジタル像面が共に物体側に倒れて非点隔差が増大する。画像中間部ではコマ収差が増大し、その補正が困難になる。したがって、良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0044】
上記構成の撮像レンズにおいて第4レンズの屈折力が正の場合には、第3レンズの焦点距離をf3、第4レンズの焦点距離をf4としたとき、次の条件式(17)を満足することが望ましい。
0.5<f3/f4<4.5 (17)
【0045】
条件式(17)は、撮像レンズの小型化を図りつつ、非点収差、像面湾曲、および歪曲収差をバランスよく抑制するための条件である。また、条件式(17)は、撮像レンズから出射した光線の撮像素子の像面への入射角度をCRAの範囲内に抑制するための条件でもある。上限値「4.5」を超えると、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度をCRAの範囲内に抑制し易くなる。しかしながら、非点収差のタンジェンシャル像面およびサジタル像面が共に補正不足になるとともに歪曲収差が負方向に増大するため、良好な結像性能を得ることが困難になる。一方、下限値「0.5」を下回ると、撮像レンズの小型化には有利となる。しかし、非点収差のタンジェンシャル像面およびサジタル像面が共に補正過剰になり、これによって結像面が像面側に湾曲して像面湾曲が補正過剰の状態になる。よって、この場合も良好な結像性能を得ることが困難になる。また、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度が大きくなり、当該入射角度をCRAの範囲内に抑制することも困難になる。
【0046】
上記構成の撮像レンズにおいて第4レンズの屈折力が正の場合には、第4レンズおよび第5レンズの合成焦点距離をf45としたとき、次の条件式(18)を満足することが望ましい。
2<f45/f<8 (18)
【0047】
条件式(18)は、撮像レンズの小型化を図りつつ、非点収差、像面湾曲、およびコマ収差をバランスよく抑制するための条件である。また、条件式(18)は、撮像レンズから出射した光線の撮像素子の像面への入射角度をCRAの範囲内に抑制するための条件でもある。上限値「8」を超えると、撮像レンズの小型には有利となる。しかし、軸外光束において内方コマ収差が増大するため良好な結像性能を得ることが困難になる。また、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度が大きくなり、当該入射角度をCRAの範囲内に抑制することが困難になる。一方、下限値「2」を下回ると、上記入射角度をCRAの範囲内に抑制し易くなるものの撮像レンズの小型化が困難になる。また、非点収差のうちサジタル像面が物体側に倒れることにより結像面が物体側に湾曲する。これにより、像面湾曲は補正不足の状態になる。さらに、軸外光束に対する外方コマ収差も増大する。したがって、良好な結像性能を得ることが困難になる。
【0048】
上記構成の撮像レンズにおいて第6レンズの像面側の面は、光軸に直交する方向の光軸からの距離が長くなるにつれて曲率の絶対値が単調に増加するような非球面に形成されることが望ましい。
【0049】
上述のように、撮像素子にはCRAが定められており、良好な結像性能を得るためには、撮像レンズから出射した光線の像面への入射角度をCRAの範囲内に抑制する必要がある。撮像レンズの一層の小型化を図ろうとすると、第6レンズの像面側の面から出射する光線の出射角度がレンズ周辺部において大きくなるため、画像全体にわたって像面への入射角度をCRAの範囲内に抑制することが困難になる。この点、本発明の第6レンズでは、その像面側の面が、レンズの周辺部に向かうについて曲率の絶対値が大きくなるような非球面、すなわち、レンズ周辺部での曲面の曲がり具合が大きくなるような形状に形成されるため、レンズ周辺部からの光線の出射角度が小さく保たれ、画像全域にわたって像面への入射角度がCRAの範囲内に好適に抑制されることになる。また、第6レンズとしてこのような形状を有することにより、上述の撮像素子の像面等からの上記反射光の撮像レンズ内部への入射をより好適に抑制することができる。
【0050】
本発明の撮像レンズは、画角を2ωとしたとき、70°≦2ωを満足することが望ましい。本条件式を満足することにより、撮像レンズの広角化が図られ、撮像レンズの小型化と広角化との両立が好適に図られる。
【0051】
なお、本発明においては、上述のようにレンズの形状を曲率半径の符号を用いて特定している。曲率半径が正か負かは一般的な定義、すなわち光の進行方向を正として、曲率中心がレンズ面からみて像面側にある場合には曲率半径を正とし、物体側にある場合には曲率半径を負とする定義に従っている。よって、「曲率半径が正となる物体側の面」とは、物体側の面が凸面であることを指し、「曲率半径が負となる物体側の面」とは、物体側の面が凹面であることを指す。また、「曲率半径が正となる像面側の面」とは、像面側の面が凹面であることを指し、「曲率半径が負となる像面側の面」とは、像面側の面が凸面であることを指す。なお、本明細書での曲率半径は近軸の曲率半径を指しており、レンズ断面図におけるレンズの概形にそぐわない場合がある。