(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態の構成を
図1ないし
図5を参照して説明する。
【0009】
図5において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、掃除機本体12と、この掃除機本体12に対して着脱可能に接続される風路形成体である管部13とを有している。
【0010】
掃除機本体12は、被掃除面としての床面上を旋回および走行可能であり、電動送風機15、この電動送風機15の動作を制御する図示しない本体制御部、および、これら電動送風機15および本体制御部などに給電するためのコードリール装置、あるいは二次電池などの電源部などを収容しているとともに、電動送風機15の吸込側に連通する集塵部18を備えている。また、掃除機本体12の前部には、集塵部18に連通するとともに管部13の基端側が接続される本体吸込口19が開口形成されている。なお、本実施形態では、集塵部18として例えばサイクロン分離式の集塵部を用いるが、例えば紙パックやフィルタなど、任意の集塵部を用いることもできる。
【0011】
管部13は、ホース体21と、このホース体21に対して着脱可能な例えば合成樹脂製の延長管22と、この延長管22に対して着脱可能な吸込口体としての床ブラシ24とを備えている。
【0012】
ホース体21は、可撓性を有するホース部25と、このホース部25の基端側(下流側)に設けられ本体吸込口19に接続される接続管部26と、ホース部25の先端側(上流側)に設けられた手元操作部27とを有している。
【0013】
手元操作部27には、延長管22の基端側(下流側)が着脱可能に接続される。また、この手元操作部27には、使用者が把持する把持部28が基端側に突出して形成されており、この把持部28には電動送風機15の動作モードなどを設定するための設定ボタン29が配置されている。
【0014】
そして、
図1ないし
図4に示すように、床ブラシ24は、床面上を走行させることにより床面上の塵埃を吸い込むものである。なお、以下、前後方向および左右方向(両側方向、幅方向)はこの床ブラシ24の走行方向を基準とし、上下方向は床ブラシ24を平坦な床面上に載置した状態での反重力方向および重力方向とする。この床ブラシ24は、左右方向に延びる長手状、すなわち横長に形成されたケース体31と、このケース体31の後部に回転可能に接続され延長管22の先端側(上流側)に着脱可能に接続される接続管32とを備えている。
【0015】
ケース体31は、例えば合成樹脂などにより形成された複数のケース本体に分割されており、本実施形態では、例えば下部および後部の下側を構成する下ケース35と、この下ケース35の上部を覆って上部および後部の上側を構成する上ケース36と、この上ケース36の前端に上端が回動可能に軸支されて前部を構成する板状の前カバー37と、下ケース35と上ケース36との間で前部両側から両側部に亘って配置された緩衝用のバンパ38とにより構成されている。また、このケース体31には、前部に位置して左右に長手状に延びる吸込室41と、この吸込室41の後部一側に隣接するモータ室42と、これら吸込室41とモータ室42との一側に隣接する駆動室43と、吸込室41の後部他側に隣接する制御室44とがそれぞれ区画されている。
【0016】
下ケース35の前端部には、吸込室41の下部および前部を開口する吸込口46が切り欠き形成されている。また、この下ケース35の後部には、接続管32の前端部が取り付けられる突出部47が後方に向けて突設されている。
【0017】
上ケース36は、本実施形態では、例えば吸込室41の上部を構成する第1の上ケース本体である前部上ケース36aと、モータ室42、駆動室43および制御室44の上部を構成する第2の上ケース本体である後部上ケース36bとを備えている。
【0018】
吸込室41は、下ケース35にて吸込口46の後部から上方に立ち上がる隔壁部51と上ケース36(前部上ケース36a)とにより後部および上部が区画され、吸込口46により前部および下部が開口され、かつ、前カバー37により前部が区画されている。そして、この吸込室41(ケース体31)には、回転体としての回転清掃体である回転ブラシ52が回転可能に配置されている。
【0019】
回転ブラシ52は、絨毯などの床面に入り込んだ塵埃を回転によって掻き出すものである。この回転ブラシ52は、吸込室41の長手方向である左右方向に沿って軸方向を有するように配置されており、一端側が駆動室43内に挿入された状態で両端がそれぞれケース体31に軸支されている。また、この回転ブラシ52は、例えば合成樹脂製などのブラシ毛や軟質の合成樹脂製のブレードなどの清掃部材(図示せず)を外周面の周方向に複数有しており、これら清掃部材が一端から他端へと螺旋状にねじられて配置されている。
【0020】
モータ室42は、接続管32(突出部47)の一側に位置し、上ケース36(後部上ケース36b)および下ケース35により上下左右および前後が区画されている。また、このモータ室42は、隔壁部51を介して前部が吸込室41と隣接している。すなわち、隔壁部51は、吸込室41とモータ室42との間に介在されている。さらに、このモータ室42内には、回転ブラシ52を回転駆動させる駆動力を発生させるモータ54が収納されており、このモータ54が、モータ室42内に複数設けられた保持部としての保持リブ56によって保持されている。そして、このモータ室42は、ケース体31の後部一側に設けられた吸込開口58によりケース体31の外部と連通するとともに、ケース体31(隔壁部51)に設けられた連通開口59により吸込室41と連通している。
【0021】
モータ54は、管部13(
図5)を介して掃除機本体12(
図5)の電源部から給電されて動作する、例えば整流子型モータである。このモータ54は、例えば放熱性に優れたアルミニウムなどの金属製などの略円筒状のモータケース61を備え、このモータケース61の内部に、図示しないが、コンミュテータ(整流子)と一体のロータ、および、例えばネオジム磁石により構成されたステータが配置されている。ロータと一体の出力軸である回転軸62は、モータケース61の一端部から外部へと導出されている。また、ロータの回転軸62と反対側に位置するコンミュテータには、一対のカーボンブラシが圧接されており、これらカーボンブラシがモータケース61内の他端側に収納されている。また、このモータ54は、モータケース61の一端側に複数の一端側開口としての上流側開口64が開口されているとともに、モータケース61の他端側に複数の他端側開口としての下流側開口65が開口されている。さらに、このモータ54には、一端側に、(一端側)支持部材67が取り付けられ、他端側に(他端側)支持部材68が取り付けられ、かつ、両端間に支持体69が取り付けられて、これら支持部材67,68および支持体69によりモータ54が支持されているとともに、これら支持部材67,68および支持体69が保持リブ56によって保持されることでモータ54がモータ室42に弾性的に保持固定されている。そして、このモータ54は、ケース体31の長手方向に軸方向を沿わせた状態でモータ室42内に収納されており、回転軸62が駆動室43内に挿入されている。また、このモータ54には、図示しないリード線がカーボンブラシなどに電気的に接続されており、これらリード線が接続管32の下部を通して制御室44側に接続されている。
【0022】
上流側開口64は、モータ54(モータケース61)の一端面および外周面の一端側寄りの位置に、それぞれ周方向に離間されて複数開口されている。これら上流側開口64は、モータ54(モータケース61)の周方向に沿って長手状のスリット状に開口されている。
【0023】
下流側開口65は、モータ54(モータケース61)の外周面の他端側寄りの位置に、それぞれ周方向に離間されて複数開口されている。また、この下流側開口65は、モータケース61内のカーボンブラシと対向する位置に開口されている。
【0024】
さらに、上流側開口64と下流側開口65とは、モータ54(モータケース61)の内部を介して互いに連通している。そして、上流側開口64の総開口面積は、下流側開口65の総開口面積よりも大きくなるように設定されている。すなわち、本実施形態では、全ての上流側開口64の開口面積を加算した面積が、全ての下流側開口65の開口面積を加算した面積よりも大きくなっている。
【0025】
支持部材67は、例えばゴムなどの弾性を有する合成樹脂などにより円環状に形成されており、回転軸62を囲んでモータケース61の一端面に固定されている。
【0026】
支持部材68は、例えばゴムなどの弾性を有する合成樹脂などにより略有底円筒状に形成されており、モータケース61の他端部に被せられて取り付けられている。
【0027】
支持体69は、例えばスポンジなどの可撓性および弾性を有する部材により形成されている。すなわち、この支持体69は、支持部材67,68よりも軟質の部材により形成されている。また、この支持体69は、上流側開口64と下流側開口65との間で、かつ、上流側開口64寄りの位置、すなわちモータ54(モータケース61)の一端側寄りの位置にて、モータ54(モータケース61)の外周(周囲)を囲んで巻き付けられて固定され、円環状となっている。さらに、この支持体69は、基本的に通気性を有しておらず、保持リブ56に圧接されることによって、モータ室42を一側と他側とに区画している。すなわち、この支持体69は、モータ室42に、モータ54の一端側が位置する第1モータ室である上流側モータ室71と、モータ54の他端側が位置する第2モータ室である下流側モータ室72とを、少なくともモータ室42内のモータ54(モータケース61)の外部の位置で互いに連通しないように区画している。
【0028】
そして、支持部材67,68および支持体69は、モータ54の駆動により生じる振動を吸収してケース体31に伝えないようにしている。すなわち、これら支持部材67,68および支持体69は、ケース体31とモータ54とを互いに振動絶縁している。
【0029】
上流側モータ室71は、本実施形態では、吸込開口58およびモータ54の上流側開口64と連通しており、吸込開口58を介して内部に吸い込んだ空気をモータ54の上流側開口64からモータ54(モータケース61)の内部へと吸い込む風路を形成している。
【0030】
下流側モータ室72は、本実施形態では、モータ54の下流側開口65および連通開口59と連通しており、モータ54の下流側開口65から排気された空気を連通開口59から吸込室41へと排出する風路を形成している。
【0031】
そして、上流側モータ室71の容積は、下流側モータ室72の容積よりも小さくなるように形成されている。すなわち、上流側モータ室71の内部は、下流側モータ室72の内部よりも狭い空間となっている。具体的に、上流側モータ室71は、下流側モータ室72と比較して、長手方向である左右方向の寸法が小さくなるように設定されている。換言すれば、支持体69がモータ54(モータケース61)の一端側寄りの位置に取り付けられて保持リブ56により保持されていることで、モータ室42が相対的に狭い上流側モータ室71と相対的に広い下流側モータ室72とに分割されている(
図3)。
【0032】
保持リブ56は、前後方向に沿って設けられており、左右方向に互いに離間されて複数配置されている。これら保持リブ56は、下ケース35(下ケース35の底面部)から上方に向けて突設された下部保持部としての下部保持リブ75と、上ケース36(後部上ケース36bの天面部)から下方に向けて突設された上部保持部としての上部保持リブ76とにより構成されており、支持部材67,68および支持体69を上下から挟み込んで保持するようになっている。
【0033】
下部保持リブ75は、モータ54(支持部材67,68および支持体69)を支持する上部がモータ54(モータケース61)の外形に沿って略半円状に切り欠き形成されている(
図2(a))。
【0034】
上部保持リブ76は、モータ54(支持部材67,68および支持体69)と対向する下部がモータ54(モータケース61)の外形に沿って略半円状に切り欠き形成されている(
図2(b))。
【0035】
したがって、保持リブ56は、これら下部保持リブ75と上部保持リブ76とが互いに上下に正対して密着することで、モータ54(モータケース61)の外形に沿った略円弧状の孔部78を中央部に有するようになっている(
図1(b))。
【0036】
そして、本実施形態では、保持リブ56は、一側に位置する第1保持リブ56aと、他側に位置する第2保持リブ56bと、これら第1保持リブ56aと第2保持リブ56bとの間にて第1保持リブ56a寄りに位置する第3保持リブ56cとが設定され、第1保持リブ56aが支持部材67を気密に保持し、第2保持リブ56bが支持部材68を気密に保持し、第3保持リブ56cが支持体69を気密に保持するようになっている。
【0037】
吸込開口58は、支持体69によって区画されたモータ室42の一側である上流側モータ室71とケース体31の外部とを連通している(
図1(a))。この吸込開口58は、例えばケース体31の後部一側に、上下方向に沿って長手状に開口されている。また、本実施形態では、吸込開口58は、ケース体31の長手方向である左右方向に互いに離間されて複数開口されている。そして、この吸込開口58の下流側、すなわちケース体31内(モータ室42(上流側モータ室71)側)は、第1フィルタである上流側フィルタ81によって覆われている。
【0038】
連通開口59は、支持体69によって区画されたモータ室42の他側である下流側モータ室72と吸込室41とを連通している。この連通開口59は、例えばケース体31の下ケース35(隔壁部51)の一側に、上下方向に沿って長手状に開口されている。また、本実施形態では、連通開口59は、ケース体31の長手方向である左右方向に互いに離間されて複数開口されている。さらに、この連通開口59の上流側(モータ室42(下流側モータ室72)側)は、第2フィルタである図示しない下流側フィルタによって覆われている。そして、この連通開口59の総開口面積は、吸込開口58の総開口面積よりも大きくなるように、換言すれば、吸込開口58の総開口面積は、連通開口59の総開口面積よりも小さくなるように設定されている。すなわち、本実施形態では、全ての連通開口59の開口面積を加算した面積が、全ての吸込開口58の開口面積を加算した面積よりも大きくなっている。
【0039】
駆動室43は、前後方向に沿って長手状に形成されている。この駆動室43には、回転ブラシ52の一端側とモータ54の回転軸62とがそれぞれ挿入されている。そして、この駆動室43には、これら回転ブラシ52の一端側とモータ54の回転軸62とを連結してモータ54の駆動力(回転力)を回転ブラシ52に伝達する伝達手段83が収納されている。
【0040】
伝達手段83は、例えばモータ54の回転軸に取り付けられたギヤ85と、このギヤ85と回転ブラシ52の一端との間に巻き掛けられたタイミングベルト86とにより構成されており、モータ54の回転に伴って回転ブラシ52を例えば同方向に回転駆動させるようになっている。
【0041】
制御室44は、接続管32(突出部47)の他側に位置し、上ケース36(後部上ケース36b)および下ケース35により上下左右および前後が区画されている。すなわち、この制御室44は、接続管32に対してモータ室42と反対側に位置している。また、この制御室44は、隔壁部51を介して前部が吸込室41と隣接している。すなわち、隔壁部51は、吸込室41と制御室44との間に介在されている。さらに、この制御室44内には、モータ54の駆動を制御するモータ制御手段88、および、床ブラシ24の床面との接地を検出する接地検出手段(図示せず)がそれぞれ収納されている。そして、この制御室44は、ケース体31の後部他側に設けられた制御室吸込開口(図示せず)によりケース体31の外部と連通しているとともに、ケース体31(隔壁部51)に設けられた制御室連通開口92により吸込室41と連通している。
【0042】
モータ制御手段88は、管部13(
図5)を介して掃除機本体12(
図5)の電源部から給電されている。さらに、このモータ制御手段88には、モータ54と電気的に接続された図示しないリード線の他に、接続管32の内部(接続管32内の風路の外部)および延長管22の内部(延長管22(
図5)内の風路の外部)を通して設定ボタン29(
図5)やモータ室42側(モータ54)と電気的に接続されたリード線などが電気的に接続されている。そして、このモータ制御手段88は、手元操作部27の設定ボタン29(
図5)の操作による設定に応じてモータ54の駆動をオンオフするとともに、接地検出手段により床ブラシ24が床面と接地していない(床面から離間されている)ことを検出しているときにはモータ54を停止させるように制御する。
【0043】
制御室吸込開口の下流側、すなわちケース体31内(制御室44)は、第3フィルタである制御室上流側フィルタ(図示せず)によって覆われている。
【0044】
また、制御室連通開口92の上流側(モータ室42(下流側モータ室72)側)は、第4フィルタである制御室下流側フィルタ(図示せず)によって覆われている。
【0045】
一方、接続管32は、ケース体31に対して軸回り方向(軸心回り方向)に回動可能に軸支された円筒状の第1回転管95と、この第1回転管95の軸方向に対して交差(直交)する方向に回動軸を有してこの第1回転管95に前端側(上流側)が回動可能に軸支されるとともに延長管22(
図5)の先端に後端側(下流側)が着脱可能に連通接続される円筒状の第2回転管96とを備えている。そして、第1回転管95が、ケース体31の突出部47上に位置し、別体の風路体97を介して、吸込室41(吸込口46)と連通されている。
【0046】
風路体97は、例えば合成樹脂などにより前端側へと拡開する略筒状に形成され、前端が下ケース35の隔壁部51の左右方向の中央部に形成された切欠部98と上ケース36(後部上ケース36b)との間にて上下に挟持されて吸込室41に臨んでいる。
【0047】
次に、上記一実施形態の作用を説明する。
【0048】
床ブラシ24を組み立てる際には、概略として、下ケース35に対して、モータ制御手段88およびモータ54をそれぞれ組み付けるとともに、回転ブラシ52を取り付け、モータ54の回転軸62と回転ブラシ52の一端とを伝達手段83により連結し、バンパ38を下ケース35上に載置し、前カバー37を取り付けた上ケース36をこの下ケース35に対して上方から被せ、ねじなどにより下ケース35と上ケース36とを固定する。
【0049】
モータ54の組み付けをより詳細に説明すると、モータケース61の一端側に支持部材67を取り付け、他端側に支持部材68を取り付けるとともに、これら支持部材67,68間にてモータケース61の外周に支持体69を巻き付け、支持部材67,68および支持体69がそれぞれ下ケース35から突出する各下部保持リブ75上に嵌合するように配置した後、上ケース36(後部上ケース36b)を被せることで、この上ケース36(後部上ケース36b)から突出する各上部保持リブ76と各下部保持リブ75との間に支持部材67,68および支持体69を挟持する。この結果、支持部材67,68および支持体69が、それぞれ下部保持リブ75および上部保持リブ76に圧接され、特に支持体69は下部保持リブ75および上部保持リブ76により圧潰されてこれら下部保持リブ75および上部保持リブ76との隙間を閉塞し、上流側モータ室71と下流側モータ室72とに区画されたモータ室42が形成される。すなわち、モータ室42は、第1保持リブ56aと第3保持リブ56cとの間にて下ケース35と上ケース36(後部上ケース36b)とによって上流側モータ室71が区画され、第2保持リブ56bと第3保持リブ56cとの間にて下ケース35と上ケース36(後部上ケース36b)とによって下流側モータ室72が区画される。
【0050】
そして、
図1ないし
図5に示すように、掃除の際には、まず、使用者は、掃除機本体12の本体吸込口19に、接続管部26を介してホース体21を連通接続し、このホース体21の先端側の手元操作部27に、延長管22および床ブラシ24を順次連通接続する。したがって、床ブラシ24の吸込室41(吸込口46)が電動送風機15の吸込側と連通する。
【0051】
次いで、床ブラシ24を床面上に載置し、電源部から本体制御部および電動送風機15へと給電可能な状態として、把持部28を把持した使用者が所定の設定ボタン29を操作すると、この設定ボタン29により設定された動作モードに応じて本体制御部が電動送風機15の入力を制御して、電動送風機15が駆動される。
【0052】
さらに、使用者は、床ブラシ24を床面上で前後に走行させることで、電動送風機15の駆動により生じる負圧の作用によって、床ブラシ24の先端側の吸込口46から塵埃を空気とともに吸い込む。このとき、床ブラシ24を挿入する隙間と使用者の立ち位置との間の角度や隙間の高さに応じて、使用者が手元操作部27の把持部28により延長管22を操作することで、第1回転管95および第2回転管96の回動により、床ブラシ24は床面との接地を維持したまま延長管22に対する角度を変えて、隙間などに挿入される。
【0053】
また、使用者は、床面の種類に応じて、回転ブラシ52を適宜回転させる。このとき、使用者が所定の設定ボタン29を操作すると、この設定ボタン29の操作に応じて、掃除機本体12側から配線を介して給電されるモータ54がモータ制御手段88により駆動され、このモータ54の回転軸62と連結された伝達手段83のギヤ85およびタイミングベルト86を介して回転ブラシ52が高速回転され、床面の塵埃を掻き出したり、床面を磨いたりなどの掃除補助をする。
【0054】
さらに、吸込口46(吸込室41)が負圧になることで、モータ室42および制御室44内には、連通開口59および制御室連通開口92を介して負圧が作用し、吸込開口58および制御室吸込開口から空気が上流側フィルタ81および制御室上流側フィルタを介して吸い込まれ、モータ54およびモータ制御手段88を冷却した後、連通開口59および制御室連通開口92から下流側フィルタおよび制御室下流側フィルタを介して吸込室41へと吸い込まれる。より詳細には、モータ室42では、吸込開口58から上流側モータ室71へと吸い込まれた空気が、この上流側モータ室71に開口するモータ54の上流側開口64からモータ54(モータケース61)の内部へと吸い込まれ、このモータ54(モータケース61)の内部を一端側から他端側へと流れてこのモータ54(モータケース61)の内部を冷却した後、下流側開口65からモータ54(モータケース61)の外部へと下流側モータ室72内に排気され、この下流側モータ室72と連通する連通開口59から吸込室41へと排出される。
【0055】
そして、床ブラシ24の吸込室41に吸い込まれた空気は吸込風となり、延長管22およびホース体21を介して、塵埃を本体吸込口19から集塵部18へと運び、この集塵部18にて塵埃を捕集する。
【0056】
この後、塵埃が除去された吸込風は電動送風機15へと吸い込まれ、この電動送風機15を通過して排気風となり、掃除機本体12の後部などに設けられた図示しない排気口から掃除機本体12の外部へと排気される。
【0057】
掃除が終了し、電気掃除機11を収納する際には、設定ボタン29を操作することで、本体制御部が電動送風機15を停止させる。このとき、回転ブラシ52が動作している場合には、モータ制御手段88がモータ54も停止させる。
【0058】
以上説明した一実施形態では、モータ54の周囲に上流側開口64と下流側開口65との間の位置で支持体69を取り付け、このモータ54をモータ室42に対して支持するとともに、このモータ室42を一側(上流側モータ室71)と他側(下流側モータ室72)とに区画し、上流側モータ室71とケース体31の外部とを吸込開口58により連通するとともに、下流側モータ室72と吸込室41とを連通開口59により連通する。このため、吸込室41の負圧により外部から吸込開口58を介してモータ室42の上流側モータ室71へと吸い込んだ空気を、全て上流側開口64からモータ54(モータケース61)の中に流して下流側開口65から下流側モータ室72へと排気することで、単にモータ54の外面に空気を流したり、空気の一部のみをモータ54の内部に流したりする場合と比較して、モータ54をより効率よく冷却できる。
【0059】
また、上流側モータ室71と下流側モータ室72とは互いにモータ室42内でのモータ54(モータケース61)の外部では連通しないので、モータ54(モータケース61)内を通過して熱交換により温まった空気が下流側開口65から下流側モータ室72へと排気された後、モータ54の外部からモータ室42内で上流側モータ室71へと循環することがないため、モータ54には、常にいわば冷たい空気が吸い込まれることとなり、モータ54の冷却効率をより向上できる。
【0060】
しかも、支持体69は、モータ54とケース体31とを振動絶縁しているので、モータ54の振動によりケース体31が振動することがなく、静音性が良好な床ブラシ24を得ることができる。換言すれば、モータ54とケース体31との振動絶縁をする支持体69を利用してモータ室42を上流側モータ室71と下流側モータ室72とに区画しているので、これら上流側モータ室71と下流側モータ室72とを区画するための部材が別途不要で、部品増に伴うコスト増や床ブラシ24の重量の増加が生じることもない。
【0061】
さらに、支持体69は、モータ54(モータケース61)の周囲に巻き付けているので、下ケース35に上ケース36(後部上ケース36b)を組み付けるだけで、下部保持リブ75と上部保持リブ76とによって支持体69を上下から挟み込んでモータ室42を上流側モータ室71と下流側モータ室72とに容易に区画できる。すなわち、モータ室42を上流側モータ室71と下流側モータ室72とに区画するための専用の工数が不要であり、工数増に伴うコスト増などを招くことがない。
【0062】
また、モータ54は、カーボンブラシのない側である回転軸62側に、空気を吸い込む上流側開口64を形成し、カーボンブラシのある側であるコンミュテータ側に、空気を排気する下流側開口65を形成しているので、コンミュテータとの摺接によりカーボンブラシから生じたカーボン粉がモータ54内に拡散することなくそのまま下流側開口65から排出されるため、カーボン粉の拡散に伴う不具合が生じることを防止できる。
【0063】
さらに、吸込開口58の開口面積を連通開口59の開口面積より小さくすることで、モータ54へと空気を吸い込む吸込側の風速を相対的に向上して、冷却効率をより向上できる。
【0064】
また、上流側モータ室71の容積を下流側モータ室72の容積よりも小さくすることで、吸込開口58から上流側モータ室71へと吸い込まれた空気が上流側モータ室71内で淀むことを抑制できる。したがって、上流側モータ室71へと吸い込まれた空気がモータ54の熱によって温まることなく上流側開口64からモータ54内へと冷たい状態で吸い込まれるので、冷却効率をより向上できる。
【0065】
そして、特にネオジム磁石を用いたモータ54の場合、過熱による減磁が生じやすいので、上記のようにモータ54の冷却効率を向上することで、ネオジム磁石を用いて回転ブラシ52をより強力に回転させる駆動力をより軽量かつ小型に得つつ、熱減磁によるパワーダウンが生じにくいモータ54を容易に実現できる。
【0066】
なお、上記一実施形態において、モータ54は、上流側開口64を回転軸62側、下流側開口65をコンミュテータ(カーボンブラシ)側としたが、逆としてもよい。この場合には、上流側開口64が位置する側を上流側モータ室71とし、下流側開口65が位置する側を下流側モータ室72とするようにモータ54を配置することで、同様の作用効果を奏することができる。
【0067】
また、モータ54は、回転ブラシ52を回転駆動するものとしたが、例えばケース体31に回転可能に設けた走行用の車輪などの回転体を回転駆動するものでもよい。
【0068】
さらに、電気掃除機11としては、キャニスタ型に限らず、例えば上下方向に長手状の掃除機本体12の下部に床ブラシ24の接続管32が接続された、いわゆるアップライト型などでも対応して用いることができる。
【0069】
本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。