(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに対して板面方向に離間された一対の電極板材と前記一対の電極板材を連結する抵抗合金板材とを備え、前記一対の電極板材間の抵抗値が所望抵抗値に調整されているシャント抵抗器の製造方法であって、
前記抵抗合金板材を形成する合金部材であって、板面と直交する方向に沿った断面において凸部を形成し且つ前記一対の電極板材の一方から他方に向かう通電方向に延びる畝部を有し、前記一対の電極板材間を連結した状態において前記一対の電極板材間の抵抗値が前記所望抵抗値より小さくなるような抵抗値を有する合金部材を用意する工程と、
前記合金部材によって前記一対の電極板材を連結してなる抵抗器プリアッセンブリであって、前記畝部を含む前記合金部材の全体が前記一対の電極板材の対向端面によって挟まれる空間内に位置されている抵抗器プリアッセンブリを形成する工程と、
前記抵抗器プリアッセンブリにおける前記一対の電極板材間の抵抗値を、初期抵抗値として測定する工程と、
前記所望抵抗値及び前記初期抵抗値の間の差異を、調整すべき抵抗値として算出する工程と、
前記調整すべき抵抗値分だけ前記抵抗合金板材の抵抗値が上昇するように前記畝部に形成すべき凹部の大きさ及び数量を決定する凹部決定工程と、
前記凹部決定工程によって決定された大きさ及び数量の凹部を前記畝部に形成する凹部形成工程とを含むことを特徴とするシャント抵抗器の製造方法。
前記凹部決定工程は、前記複数の畝部のうちの一の畝部に形成する凹部の大きさと上昇抵抗値との関係、及び、前記一の畝部に上限の大きさの凹部を形成した状態において、残余の畝部に順次形成する凹部の大きさと上昇抵抗値との関係を含む上昇抵抗値情報に基づき、形成すべき凹部の数量及び大きさを決定することを特徴とする請求項2に記載のシャント抵抗器の製造方法。
前記凹部決定工程は、前記複数の畝部のそれぞれに同じ大きさの凹部を形成する際における、前記凹部の大きさと上昇抵抗値との関係を含む上昇抵抗値情報に基づき、前記複数の畝部のそれぞれに形成すべき凹部の大きさを決定することを特徴とする請求項2に記載のシャント抵抗器の製造方法。
【背景技術】
【0002】
シャント抵抗器は、電流値の検出対象となる電気回路に直列接続され、当該シャント抵抗器を挟んだ両側の電圧値を測定することによって、前記回路の電流値を検出する際に利用される部材であり、回転電動機におけるバスリング(バスバー)等の種々の分野において広く利用されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、絶縁基板上で対向配置された一対の電極導体を接続するように厚膜抵抗体を前記一対の電極導体に接合させると共に、レーザートリミングによって前記厚膜抵抗体にスリットを設けることで所望の抵抗値のシャント抵抗器を製造する方法が提案されている。
【0004】
前記特許文献1に記載の方法は、レーザートリミングによって形成されるスリットの長さ、本数及びピッチを変更することで抵抗値を所望値に調整するものであるが、板面と直交する方向に沿って視た平面視においてスリットが外方に開くように形成されており、従って、スリット形成部位の強度、特に、板面と直交する方向への曲げ強度が弱くなり、使用状態において付加され得る振動や曲げ応力によって破損又は損傷の原因となる虞がある。特に、複数のスリットのピッチを狭めた場合にはその危険性が高くなる。
【0005】
また、平面視においてスリットが外方に開いていると、スリットのエッジ部分と外部の周辺部材との接触を招き易く、これによっても破損又は損傷し易いという問題がある。
さらに、レーザートリミングによってスリットを形成する際には削りカスが生じ、後工程において削りカスの除去が必要となるという問題もある。
【0006】
下記特許文献2には、第1のパンチによって抵抗値調整用孔を打ち抜き形成し、さらに、第2のパンチによって抵抗値調整用孔を跨ぐようにシャント抵抗器を打ち抜き形成するシャント抵抗器の製造方法が記載されている。
【0007】
しかしながら、この方法によって製造されたシャント抵抗器においても、抵抗値調整用孔によって形成される切り欠きが平面視において外方に開いており、従って、切り欠き形成部位の強度、特に、板面と直交する方向への曲げ強度が弱くなり、使用状態において付加され得る振動や曲げ応力によって破損又は損傷の原因となる虞がある。
【0008】
また、平面視において切り欠きが外方に開いている為、切り欠きのエッジ部分と外部の周辺部材との接触を招き易く、これによっても破損又は損傷し易いという問題がある。
さらに、パンチによって抵抗値調整用孔打ち抜きを形成する際には打ち抜き片が生じ、後工程において打ち抜き片の除去が必要となるという問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、所望抵抗値を有するシャント抵抗器を、削りカスや打ち抜き片等の不要物の生成を招くことなく且つ局所的な強度劣化を招くことなく、容易に製造できるシャント抵抗器の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記目的を達成するために、互いに対して板面方向に離間された一対の電極板材と前記一対の電極板材を連結する抵抗合金板材とを備え、前記一対の電極板材間の抵抗値が所望抵抗値に調整されているシャント抵抗器の製造方法であって、前記抵抗合金板材を形成する合金部材であって、板面と直交する方向に沿った断面において凸部を形成し且つ前記一対の電極板材の一方から他方に向かう通電方向に延びる畝部を有し、前記一対の電極板材間を連結した状態において前記一対の電極板材間の抵抗値が前記所望抵抗値より小さくなるような抵抗値を有する合金部材を用意する工程と、前記合金部材によって前記一対の電極板材を連結して
なる抵抗器プリアッセンブリ
であって、前記畝部を含む前記合金部材の全体が前記一対の電極板材の対向端面によって挟まれる空間内に位置されている抵抗器プリアッセンブリを形成する工程と、前記抵抗器プリアッセンブリにおける前記一対の電極板材間の抵抗値を、初期抵抗値として測定する工程と、前記所望抵抗値及び前記初期抵抗値の間の差異を、調整すべき抵抗値として算出する工程と、前記調整すべき抵抗値分だけ前記抵抗合金板材の抵抗値が上昇するように前記畝部に凹部を形成して通電領域の断面積を減少させる凹部形成工程とを含むシャント抵抗器の製造方法を提供する。
【0012】
好ましくは、前記合金部材は、互いに対し平行とされた複数の前記畝部を有するものとされる。
【0013】
一形態においては、前記凹部決定工程は、前記複数の畝部のうちの一の畝部に形成する凹部の大きさと上昇抵抗値との関係、及び、前記一の畝部に上限の大きさの凹部を形成した状態において、残余の畝部に順次形成する凹部の大きさと上昇抵抗値との関係を含む上昇抵抗値情報に基づき、形成すべき凹部の数量及び大きさを決定するように構成される。
【0014】
他形態においては、前記複数の畝部のそれぞれに同じ大きさの凹部を形成する際における、前記凹部の大きさと上昇抵抗値との関係を含む上昇抵抗値情報に基づき、前記複数の畝部のそれぞれに形成すべき凹部の大きさを決定するように構成される。
【0015】
また、本発明は、前記目的を達成するために、互いに対して板面方向に離間された一対の電極板材と前記一対の電極板材を連結する抵抗合金板材とを備え、前記一対の電極板材間の抵抗値が所望抵抗値に調整されているシャント抵抗器の製造方法であって、前記抵抗合金板材を形成する合金部材であって、板面と直交する方向に沿った断面において凸部を形成し且つ前記一対の電極板材の一方から他方に向かう通電方向に沿った状態で互いに対して平行とされた複数の畝部を有し、前記一対の電極板材間を連結した状態において前記一対の電極板材間の抵抗値が前記所望抵抗値より小さくなるような抵抗値を有する合金部材を用意する工程と、前記合金部材によって前記一対の電極板材を連結して抵抗器プリアッセンブリを形成する工程と、前記抵抗器プリアッセンブリにおける前記一対の電極板材間の抵抗値を、初期抵抗値として測定する工程と、前記所望抵抗値及び前記初期抵抗値の間の差異を、調整すべき抵抗値として算出する工程と、前記調整すべき抵抗値分だけ前記抵抗合金板材の抵抗値が上昇するように前記畝部に形成すべき凹部の大きさ及び数量を決定する凹部決定工程と、前記凹部決定工程によって決定された大きさ及び数量の凹部を前記畝部に形成する凹部形成工程とを含み、前記凹部決定工程は、前記複数の畝部のうちの一の畝部に形成する凹部の大きさと上昇抵抗値との関係、及び、前記一の畝部に上限の大きさの凹部を形成した状態において、残余の畝部に順次形成する凹部の大きさと上昇抵抗値との関係を含む上昇抵抗値情報に基づき、形成すべき凹部の数量及び大きさを決定するものとされているシャント抵抗器の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るシャント抵抗器の製造方法によれば、シャント抵抗器の所望抵抗値及び初期抵抗値の間の差異を、調整すべき抵抗値として算出し、前記調整すべき抵抗値分だけ抵抗合金板材の抵抗値が上昇するように前記抵抗合金板材の畝部に形成すべき凹部の大きさ及び数量を決定し、決定された大きさ及び数量の凹部を前記畝部に形成して通電領域の断面積を減少させるので、製造過程において削りカスや打ち抜き片等の不要物の生成を招くことなく且つ最終形態において局所的な強度劣化を招くことなく、所望抵抗値を有するシャント抵抗器を容易に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るシャント抵抗器の製造方法の一実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施の形態に係る製造方法によって製造されたシャント抵抗器1の平面図を示す。
又、
図2及び
図3に、それぞれ、
図1におけるII-II線及びIII-III線に沿った前記シャント抵抗器1の部分拡大断面図を示す。
【0019】
図1及び
図2に示すように、前記シャント抵抗器1は、互いに対して板面方向に離間された一対の電極板材10、10と、前記一対の電極板材10、10を連結する抵抗合金板材20とを備えている。
【0020】
前記電極板材10は導電性部材10Aによって形成され、例えば、Cuの金属板材が好適に利用される。
図1及び
図2に示すように、前記一対の電極板材10、10には、両者の間を連結する前記抵抗合金板材20の近傍に位置するように一対の検出用端子15、15が設けられている。
なお、
図1及び
図2中の符号18は、前記シャント抵抗器1を所定位置に固定する為に用いられる締結用の貫通孔である。
【0021】
前記抵抗合金板材20は、前記一対の電極板材10、10間を機械的且つ電気的に連結し、前記一対の電極板材10、10間が所望の抵抗値となるように、抵抗値の調整作業が行われる部材である。
前記抵抗合金板材20は、例えば、Cu−Mn系合金、Ni−Cr系合金、Cu−Ni系合金が好適に利用される。
【0022】
図1及び
図3に示すように、前記シャント抵抗器1においては、前記抵抗合金板材20の表面には畝部30が設けられており、前記畝部30に凹部35を形成することによって、前記一対の電極部材10、10間の抵抗値が所望抵抗値となるように調整される。
【0023】
前記畝部30は、板面と直交する方向に沿った断面において凸部を形成し且つ前記一対の電極板材10、10の一方から他方に向かう通電方向Xに沿って延びている。
本実施の形態においては、前記畝部30は、互いに対して平行とされた3つの畝部30(1)、30(2)、30(3)を有している。
このように前記畝部30を複数個、設けることにより、前記抵抗合金板材20の表面積を増大させて放熱性を向上させることができる。
【0024】
前記抵抗合金板材20は、Cu−Mn系合金、Ni−Cr系合金、Cu−Ni系合金等の合金部材20Aが好適に用いられ、前記合金部材20Aに対して伸線加工又は圧延加工を行うことによって前記畝部30が形成される。
【0025】
前記凹部35は、板面と直交する方向に沿った断面によって画される通電領域の面積を減少させるものであり、この通電領域の面積減少に応じて前記抵抗合金板材20の抵抗値が上昇する。
【0026】
従って、前記畝部30に前記凹部35を形成するか否か、及び、前記凹部35を形成する場合には、その大きさ(深さ)を調整することによって、前記一対の電極板材10、10間の抵抗値を初期抵抗値(前記抵抗合金板材20の前記畝部30に凹部35を形成する前の状態における前記一対の電極板材10、10間の抵抗値)から所望抵抗値まで上昇させることができる。
【0027】
なお、図示の形態においては、前述の通り、前記抵抗合金板材20には3つの畝部30(1)、30(2)、30(3)が形成されており、幅方向中央に位置する畝部30(2)には深さDa(
図3参照)の凹部35aが形成され、幅方向一方側の畝部30(1)にはDaより浅い、深さDb(
図3参照)の凹部35bが形成されており、幅方向他方側の畝部30(3)には凹部35が形成されていない。
【0028】
このように、前記畝部30に形成する凹部35の深さを調整することによって、通電領域の面積を画する前記抵抗合金板材20の断面積が調整され、これにより、前記一対の電極板材10、10間の抵抗値を所望抵抗値まで上昇させることができる。
【0029】
なお、本実施の形態においては、畝部30(2)に深さDaの凹部35aを形成し且つ畝部30(1)に深さDbの凹部35bを形成しているが、前記一対の電極部材10、10間の抵抗値を所望抵抗値まで上昇させ得る限り、前記畝部30に形成する凹部35の数量及び大きさ(深さ)を変更することができる。
【0030】
例えば、
図4に示すように、複数の畝部30(1)、30(2)、30(3)のうちの何れか一の畝部(例えば30(2))にのみ凹部35cを形成するものとし、前記一対の電極部材10、10間の抵抗値が所望抵抗値まで上昇するように前記凹部35cの深さを調整することができる。
【0031】
若しくは、
図5に示すように、複数の畝部30(1)、30(2)、30(3)の全てに同一深さの凹部35dを形成するものとし、前記一対の電極部材10、10間の抵抗値が所望抵抗値まで上昇するように前記凹部35dの深さを調整することも可能である。
【0032】
前記抵抗合金板材20における通電領域の面積を前記凹部35によって調整するという観点からは、好ましくは、前記合金部材20Aは、前記一対の電極部材10、10間に連結された状態において、前記畝部30を含む前記合金部材20Aの全体が前記一対の電極部材10、10の対向端面15、15によって挟まれる空間90(下記
図6参照)内に配置されるように、形成される。
斯かる構成によれば、前記凹部35の大きさ(深さ)によって通電領域の面積を感度良く調整することができる。
【0033】
以下、本実施の形態に係るシャント抵抗器1の製造方法について説明する。
前記製造方法は、
図6に示すように、前記一対の電極板材10、10を形成する一対の導電性部材10A、10A及び前記抵抗合金板材20を形成する合金部材20Aを用意し、前記合金部材20Aによって前記一対の導電性部材10A、10Aを連結して抵抗器プリアッセンブリを形成する工程を有している。
【0034】
ここで、前記合金部材20Aには、予め、伸線加工又は圧延加工によって表面に前記畝部30が形成されている。
また、前記合金部材20Aは、前記一対の導電性部材10A、10A(前記一対の電極部材10、10)の間を前記合金部材20Aによって連結した状態において前記一対の導電性部材10A、10A(前記一対の電極板材10、10)間の抵抗値(初期抵抗値)が、前記シャント抵抗器1の完成状態において望まれる所望抵抗値より小さくなるような抵抗値を有するものとされる。
【0035】
前述の通り、好ましくは、前記合金部材20Aによって前記一対の電極部材10、10間を連結した状態において、前記畝部30を含む前記合金部材20Aの全体が前記一対の電極部材10、10の対向端面15、15によって挟まれる空間90内に配置されるように、具体的には、前記合金部材20Aによって前記一対の電極部材10、10間を連結した状態において、前記畝部30の上端が前記一対の電極部材10、10の上面11、11と面一又は前記上面11、11より下方に位置し、前記合金部材20Aの底面22が前記一対の電極部材10、10の底面12、12と面一又は前記底面12、12より上方に位置し、前記合金部材20Aの側面23が前記一対の電極部材10、10の対応する側面13、13と面一又は前記側面13、13より内方に位置するように、前記合金部材を形成することができる。
【0036】
前記製造方法は、次に、前記抵抗器プリアッセンブリにおける前記一対の導電性部材10A、10A(前記一対の電極板材10、10)間の抵抗値を、初期抵抗値として測定する工程と、初期抵抗値及び所望抵抗値の間の差異を、調整すべき抵抗値として算出する工程とを有している。
【0037】
前記製造方法は、前記合金部材20A(前記抵抗合金板材20)における前記畝部30に凹部35を形成することによって、初期抵抗値から前記調整すべき抵抗値分だけ抵抗値を上昇させるように構成されている。
【0038】
具体的には、前記製造方法は、前記調整すべき抵抗値分だけ前記抵抗合金板材20の抵抗値が上昇するように前記畝部30に形成すべき凹部35の大きさ及び数量を決定する凹部決定工程と、前記凹部決定工程によって決定された大きさ及び数量の凹部35を前記畝部30に形成する凹部形成工程とを有している。
【0039】
ここで、前記凹部形成部材50によって形成される凹部35の大きさ(深さ)によって前記合金部材20A(前記抵抗合金板材20)の抵抗値がどれだけ上昇するかに関する上昇抵抗値情報は予め実験等により既知とされている。
【0040】
従って、前記凹部決定工程においては、前記調整すべき抵抗値と前記上昇抵抗値情報とに基づいて、前記畝部30に形成すべき前記凹部35の数量及び大きさ(深さ)が決定される。
【0041】
例えば、前記上昇抵抗値情報は、前記複数の畝部30のうちの第1の畝部(例えば畝部30(2))に形成する凹部35の大きさ(深さ)と上昇抵抗値との関係、及び、前記第1の畝部(例えば畝部30(2))に上限の大きさ(深さ)の凹部35を形成した状態において、残余の畝部に順次形成する凹部35の大きさ(深さ)と上昇抵抗値との関係を含み得る。
【0042】
この場合には、前記凹部決定工程は、前記第1の畝部30に形成すべき凹部35の大きさ(深さ)と、必要な場合には残余の畝部30に形成すべき凹部35の大きさ(深さ)とを決定する。
これに代えて、前記上昇抵抗値情報は、前記複数の畝部30のそれぞれに同じ大きさ(深さ)の凹部35を形成する際における、前記凹部35の大きさ(深さ)と上昇抵抗値との関係を含み得る。
この場合には、前記凹部決定工程は、前記複数の畝部30のそれぞれに形成する凹部35の大きさ(深さ)を決定する。
【0043】
前記凹部形成工程は、前記凹部決定工程によって決定された数量及び大きさ(深さ)の前記凹部35を前記畝部30に形成する。
【0044】
本実施の形態においては、前記凹部形成工程は、前記畝部30と直交する方向に押動される凹部形成部材50(
図7参照)によって凹部35を形成する。
この場合、前記凹部形成部材50の押動距離を調整することによって、前記凹部35の大きさ(深さ)が調整される。
【0045】
本実施の形態に係る前記製造方法によれば、製造工程中に削りカスや打ち抜き片等の不要物の生成を招くことなく且つ最終形態において局所的な強度劣化を招くことなく、所望抵抗値を有するシャント抵抗器1を容易に製造することができる。
【0046】
即ち、レーザートリミングによって板面と直交する方向に沿った平面視において外方に開くスリットを形成し、前記スリットのピッチ、個数及び/又は長さを調整することによって所望抵抗値を有するシャント抵抗器を製造する従来構成においては、スリット形成部位の強度、特に、板面と直交する方向への曲げ強度が弱くなり、シャント抵抗器の使用状態において付加され得る振動や曲げ応力によって破損又は損傷の原因となる虞がある。
また、前記スリットが平面視において外方に開いている為、スリットのエッジ部分が外部の周辺部材と接触し易く、これによっても破損又は損傷し易いという問題がある。
さらに、レーザートリミングによってスリットを形成する際には削りカスが生じ、後工程において削りカスの除去が必要となるという問題もある。
【0047】
また、第1のパンチによって抵抗値調整用孔を打ち抜き形成し、さらに、第2のパンチによって抵抗値調整用孔を跨ぐようにシャント抵抗器を打ち抜き形成することによって、所望抵抗値を有するシャント抵抗器を製造する他の従来構成においても、抵抗値調整用孔によって形成される切り欠きが平面視において外方に開くものとなる為、切り欠き形成部位の強度、特に、板面と直交する方向への曲げ強度が弱くなり、シャント抵抗器の使用状態において付加され得る振動や曲げ応力によって破損又は損傷の原因となる虞がある。
また、前記切り欠きのエッジ部分が外部の周辺部材と接触し易く、これによっても破損又は損傷し易いという問題がある。
さらに、パンチによって抵抗値調整用孔を形成する際には打ち抜き片が生じ、後工程において打ち抜き片の除去が必要となるという問題もある。
【0048】
本実施の形態に係る製造方法は、このような従来技術における不都合を防止つつ、所望抵抗値を有するシャント抵抗器を容易に製造することができる。
【0049】
また、本実施の形態に係る製造方法によって製造された前記シャント抵抗器1においては、前記抵抗合金板材20における前記畝部30に形成された凹部35の大きさ(深さ)及び/又は数量を確認することによって、調整された抵抗値を確実に認識することができる。
従って、前記初期抵抗値が既知である場合には、前記凹部35の大きさ(深さ)及び/又は数量を確認することによって前記シャント抵抗器1の抵抗値を確実に認識することができる。