【文献】
J. Inst. Brew.,2010年,vol.116, no.4,p.339-347
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理水と、前記ホップ原料と、前記ホップ原料以外の植物原料とを使用して前記原料液を調製する、請求項3又は4に記載の発泡性非発酵ノンアルコール飲料の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は本実施形態に限られるものではない。
【0014】
本実施形態に係る発泡性非発酵ノンアルコール飲料(以下、「本飲料」という。)は、イソα酸を含有し、硬度が40以下である。すなわち、本飲料は、イソα酸を含有する。イソα酸は、ビールにおいて、苦味を付与する成分として知られている。イソα酸は、α酸の異性化により生成される。α酸は、ホップに含有される。ビールの製造においては、ホップを含む原料液を煮沸する際に、当該ホップに含有されるα酸が加熱により異性化され、イソα酸が生成される。本飲料に含有されるイソα酸は、後述のとおり、その製造におけるホップ原料の使用に由来する。
【0015】
本飲料におけるイソα酸の含有量は、特に限られないが、本飲料は、例えば、イソα酸を6ppm以上含有することとしてもよく、8ppm以上含有することとしてもよい。本飲料におけるイソα酸の含有量の上限値は、特に限られないが、本飲料におけるイソα酸の含有量は、例えば、50ppm以下であることとしてもよく、40ppm以下であることとしてもよい。なお、本実施形態において、1ppmは、1mg/Lに相当する。
【0016】
また、本飲料の硬度は、40以下である。ここで、本実施形態において、硬度とは、いわゆるアメリカ硬度をいう。本飲料の硬度は、次の式により算出される:硬度(mg/L)=カルシウムイオン(Ca
2+)濃度(mg/L)×2.5+マグネシウムイオン(Mg
2+)濃度(mg/L)×4.1。
【0017】
本飲料の硬度は、40以下であれば特に限られないが、例えば、35以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましく、25以下であることがより一層好ましく、20以下であることが特に好ましい。
【0018】
また、本飲料は、硫酸イオン(SO
42−)濃度が20mg/L以下であることとしてもよい。本飲料の硫酸イオン濃度は、例えば、15mg/L以下であることとしてもよいし、10mg/L以下であることとしてもよいし、5mg/L以下であることとしてもよい。
【0019】
なお、本飲料は、発泡性飲料である。本実施形態において、発泡性飲料は、泡立ち特性及び泡持ち特性を含む泡特性を有する飲料である。すなわち、発泡性飲料は、例えば、炭酸ガスを含有する飲料であって、グラス等の容器に注いだ際に液面上部に泡の層が形成される泡立ち特性と、その形成された泡が一定時間以上保たれる泡持ち特性とを有する飲料である。
【0020】
発泡性飲料は、その炭酸ガス圧が所定値以上であることにより、発泡性を有する。具体的に、本飲料の炭酸ガス圧は、例えば、1.0kg/cm
2以上であることとしてもよく、2.0kg/cm
2以上であることとしてもよい。本飲料の炭酸ガス圧の上限値は、特に限られないが、当該炭酸ガス圧は、例えば、3.0kg/cm
2以下であることとしてもよい。
【0021】
また、本飲料は、非発酵飲料である。本実施形態において、非発酵飲料は、アルコール発酵を行うことなく製造された飲料である。
【0022】
また、本飲料は、ノンアルコール飲料である。本実施形態において、ノンアルコール飲料は、アルコール含有量が1体積%未満の飲料である。本飲料のアルコール含有量は、1体積%未満であれば特に限られないが、例えば、0.5体積%未満であってもよく、0.05体積%未満であってもよく、0.005体積%未満であってもよい。
【0023】
また、本飲料は、ビールテイスト飲料(発泡性非発酵ノンアルコールビールテイスト飲料)であることが好ましい。この場合、本飲料は、NIBEM値が50以上のビールテイスト飲料であることが好ましい。
【0024】
なお、NIBEM値は、ビール等の発泡性アルコール飲料の泡持ち特性を示す指標値として使用されている。NIBEM値は、発泡性飲料を所定の容器に注いだ際に形成された泡の高さが所定量減少するまでの時間(秒)として評価される。具体的に、発泡性飲料のNIBEM値は、文献「改訂 BCOJビール分析法 2013年増補改訂(編集:ビール酒造組合 国際技術委員会(分析委員会)、発行所:公益財団法人日本醸造協会)」の「8.29 泡−NIBEM−Tを用いた泡持ち測定法−」に記載の方法に従い測定される。
【0025】
本実施形態に係る発泡性非発酵ノンアルコール飲料(本飲料)の製造方法(以下、「本製法」という。)は、未処理水に対して、そのカルシウムイオン濃度及びマグネシウムイオン濃度の少なくとも一方を低減する処理(以下、「低減処理」という。)を施して、処理水を得ること、当該処理水と、少なくともホップ原料とを使用して原料液を調製すること、及び当該原料液を使用して、イソα酸を含有し、硬度が40以下である発泡性非発酵ノンアルコール飲料を得ること、を含む。
【0026】
本製法では、まず、未処理水に低減処理を施して、処理水を得る。低減処理は、未処理水のカルシウムイオン濃度及びマグネシウムイオン濃度の少なくとも一方を低減する処理である。未処理水は、低減処理が未だ施されていない水であって、本飲料を製造するために低減処理が必要になる水であれば特に限られない。
【0027】
すなわち、未処理水は、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの少なくとも一方を含み、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンを含むこととしてもよい。また、未処理水は、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの少なくとも一方と、硫酸イオンとを含むこととしてもよいし、カルシウムイオン、マグネシウムイオン及び硫酸イオンを含むこととしてもよい。
【0028】
具体的に、未処理水は、例えば、水道水及び井戸水からなる群より選択される1以上であることとしてもよい。なお、未処理水は、上述のとおり、低減処理が未だ施されていない水であれば特に限られず、例えば、当該低減処理は未だ施されていないが、活性炭処理、除菌フィルター処理又は砂ろ過処理等の当該低減処理以外の処理が施された水であってもよい。
【0029】
低減処理は、未処理水のカルシウムイオン濃度及びマグネシウムイオン濃度の少なくとも一方を低減する処理であれば特に限られず、未処理水のカルシウムイオン濃度及びマグネシウムイオン濃度を低減する処理であることが好ましい。
【0030】
また、低減処理は、さらに未処理水の硫酸イオン濃度を低減する処理であることとしてもよい。すなわち、低減処理は、未処理水のカルシウムイオン濃度及びマグネシウムイオン濃度の少なくとも一方と、硫酸イオン濃度とを低減する処理であることとしてもよく、未処理水のカルシウムイオン濃度、マグネシウムイオン濃度及び硫酸イオン濃度を低減する処理であることが好ましい。
【0031】
具体的に、低減処理は、イオン交換処理であることとしてもよい。この場合、処理水は、イオン交換水である。イオン交換処理は、上述の低減処理として使用されるものであれば特に限られない。未処理水のイオン交換処理は、例えば、イオン交換樹脂を含む装置に、当該未処理水を流入させることにより、当該未処理水の上記イオン濃度を低減する処理であり、当該装置から流出する水を処理水として得ることとしてもよい。
【0032】
処理水は、未処理水に低減処理を施すことにより得られる水である。このため、処理水のカルシウムイオン濃度及びマグネシウムイオン濃度の少なくとも一方は、未処理水のそれよりも小さい。また、未処理水に、さらに硫酸イオン濃度を低減する低減処理を施す場合、処理水の硫酸イオン濃度は、当該未処理水のそれより小さい。
【0033】
本製法においては、硬度が40以下の本飲料を製造する場合、硬度が40超の未処理水に低減処理を施して、硬度が40以下の処理水を得ることとしてもよく、硬度が35超の未処理水に低減処理を施して、硬度が35以下の処理水を得ることとしてもよく、硬度が30超の未処理水に低減処理を施して、硬度が30以下の処理水を得ることとしてもよく、硬度が25超の未処理水に低減処理を施して、硬度が25以下の処理水を得ることとしてもよく、硬度が20超の未処理水に低減処理を施して、硬度が20以下の処理水を得ることとしてもよい。
【0034】
また、硬度が35以下の本飲料を製造する場合、硬度が35超の未処理水に低減処理を施して、硬度が35以下の処理水を得ることとしてもよく、硬度が30超の未処理水に低減処理を施して、硬度が30以下の処理水を得ることとしてもよく、硬度が25超の未処理水に低減処理を施して、硬度が25以下の処理水を得ることとしてもよく、硬度が20超の未処理水に低減処理を施して、硬度が20以下の処理水を得ることとしてもよい。
【0035】
また、硬度が30以下の本飲料を製造する場合、硬度が30超の未処理水に低減処理を施して、硬度が30以下の処理水を得ることとしてもよく、硬度が25超の未処理水に低減処理を施して、硬度が25以下の処理水を得ることとしてもよく、硬度が20超の未処理水に低減処理を施して、硬度が20以下の処理水を得ることとしてもよい。
【0036】
また、硬度が25以下の本飲料を製造する場合、硬度が25超の未処理水に低減処理を施して、硬度が25以下の処理水を得ることとしてもよく、硬度が20超の未処理水に低減処理を施して、硬度が20以下の処理水を得ることとしてもよい。
【0037】
また、硬度が20以下の本飲料を製造する場合、硬度が20超の未処理水に低減処理を施して、硬度が20以下の処理水を得ることとしてもよい。
【0038】
硬度が所定値以下の本飲料を製造する本製法においては、使用する処理水の硬度が低いほど好ましい。
【0039】
また、上述のとおり、低減処理は、カルシウムイオン濃度及びマグネシウムイオン濃度の少なくとも一方のみならず、硫酸イオン濃度をも低減する処理であってもよい。このため、本製法においては、硫酸イオン濃度が20mg/L以下の本飲料を製造する場合、硫酸イオン濃度が20mg/L超の未処理水に低減処理を施して、硫酸イオン濃度が20mg/L以下の処理水を得ることとしてもよく、硫酸イオン濃度が15mg/L超の未処理水に低減処理を施して、硫酸イオン濃度が15mg/L以下の処理水を得ることとしてもよく、硫酸イオン濃度が10mg/L超の未処理水に低減処理を施して、硫酸イオン濃度が10mg/L以下の処理水を得ることとしてもよく、硫酸イオン濃度が5mg/L超の未処理水に低減処理を施して、硫酸イオン濃度が5mg/L以下の処理水を得ることとしてもよい。
【0040】
また、硫酸イオン濃度が15mg/L以下の本飲料を製造する場合、硫酸イオン濃度が15mg/L超の未処理水に低減処理を施して、硫酸イオン濃度が15mg/L以下の処理水を得ることとしてもよく、硫酸イオン濃度が10mg/L超の未処理水に低減処理を施して、硫酸イオン濃度が10mg/L以下の処理水を得ることとしてもよく、硫酸イオン濃度が5mg/L超の未処理水に低減処理を施して、硫酸イオン濃度が5mg/L以下の処理水を得ることとしてもよい。
【0041】
また、硫酸イオン濃度が10mg/L以下の本飲料を製造する場合、硫酸イオン濃度が10mg/L超の未処理水に低減処理を施して、硫酸イオン濃度が10mg/L以下の処理水を得ることとしてもよく、硫酸イオン濃度が5mg/L超の未処理水に低減処理を施して、硫酸イオン濃度が5mg/L以下の処理水を得ることとしてもよい。
【0042】
また、硫酸イオン濃度が5mg/L以下の本飲料を製造する場合、硫酸イオン濃度が5mg/L超の未処理水に低減処理を施して、硫酸イオン濃度が5mg/L以下の処理水を得ることとしてもよい。
【0043】
硫酸イオン濃度が所定値以下の本飲料を製造する本製法においては、使用する処理水の硫酸イオン濃度が低いほど好ましい。
【0044】
次に、本製法においては、上述のようにして得られた処理水と、ホップ原料とを使用して原料液を調製する。すなわち、処理水と、少なくともホップ原料を含む原料とを混合することにより、原料液を調製する。ホップ原料を使用して調製された原料液は、当該ホップ原料に由来する成分を含む。したがって、本製法で製造される本飲料もまた、ホップ原料由来成分を含む。
【0045】
ホップ原料は、ホップに由来するα酸、及び当該α酸から生成されたイソα酸の一方又は両方を含む原料であれば特に限られない。すなわち、ホップ原料は、例えば、生ホップ、プレスホップ、ホップパウダー、ホップペレット、ホップエキス、イソ化ホップ(例えば、イソα酸を含有する苦味料であってもよい)、ローホップ、テトラホップ及びヘキサホップからなる群より選択される1以上であることとしてもよい。
【0046】
プレスホップは、乾燥させたホップの球果を圧縮して得られる。ホップパウダーは、乾燥させたホップの球果を粉砕して得られる。ホップペレットは、ホップパウダーをペレット状に圧縮成形して得られる。ホップエキスは、例えば、ホップの毬花に含まれる成分を溶媒抽出することによって調製される。溶媒としては、飲料製造上許容される溶媒、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、酢酸エチル、酢酸メチル、グリセリン及びジエチルエーテルからなる群より選択される1以上を用いることができる。イソ化ホップは、ホップにアルカリ処理や加熱処理等のイソ化処理を施してα酸をイソ化することで得られる。また、ローホップやテトラホップ等の還元イソα酸製品は、適切な触媒を用いて水素付加を行うことによって得られる。
【0047】
本製法により製造される本飲料に含有されるべきイソα酸は、α酸を加熱することにより生成される。イソα酸の含有量が小さいホップ原料を使用する場合、本製法においては、当該ホップ原料に由来するα酸からイソα酸を生成させるための加熱を行う。具体的に、この場合、例えば、ホップ原料を含む混合液を加熱して、原料液を調製する。加熱の条件は、α酸の異性化によりイソα酸が生成する条件であれば特に限られないが、例えば、ホップ原料を含む混合液を煮沸することとしてもよい。
【0048】
一方、十分な量のイソα酸が含まれるホップ原料を使用する場合(例えば、イソ化ホップをホップ原料として使用する場合)、本製法においては、イソα酸を生成させるための加熱(例えば、煮沸)を行う必要はない。ただし、十分な量のイソα酸が含まれるホップ原料を使用する場合であっても、他の目的(例えば、殺菌)のために、原料液の加熱(例えば、煮沸)を行うこととしてもよい。
【0049】
原料液の原料は、ホップ原料に加えて、さらに他の原料を含んでもよい。すなわち、本製法においては、例えば、処理水と、ホップ原料と、当該ホップ原料以外の植物原料とを使用して原料液を調製することとしてもよい。この場合、本製法により製造される本飲料は、ホップ原料由来成分に加え、上記植物原料由来成分も含む。
【0050】
植物原料は、飲料の製造に使用されるものであれば特に限られないが、例えば、次の(i)、(ii)及び(iii)からなる群より選択される1以上であることとしてもよい:(i)穀類(例えば、麦類、米類及びトウモロコシからなる群より選択される1以上)、豆類及びイモ類からなる群より選択される1以上;、(ii)当該群より選択される1以上を発芽させたもの;、及び(iii)当該(i)及び当該(ii)の一方又は両方に由来する成分。
【0051】
麦類は、例えば、大麦、小麦、燕麦及びライ麦からなる群より選択される1以上であることとしてもよい。麦類を発芽させたものは、麦芽と呼ばれる。麦芽は、例えば、大麦、小麦、燕麦及びライ麦からなる群より選択される1以上の麦芽であることとしてもよい。
【0052】
上記(iii)の成分は、上記(i)及び(ii)の一方又は両方に由来する成分であれば特に限られないが、例えば、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、糖類、脂質、ビタミン及びミネラルからなる群より選択される1以上であることとしてもよい。
【0053】
そして、本製法では、上述のようにして調製した原料液を使用して、本飲料を得る。すなわち、例えば、原料液を他の成分と混合して、本飲料を製造する。他の成分は、飲料の製造に使用される成分であれば特に限られないが、例えば、糖類、食物繊維、酸味料、色素、香料、甘味料及び苦味料からなる群より選択される1以上であることとしてもよい。
【0054】
なお、本製法では、アルコール発酵を行うことなく本飲料を製造する。本製法において、本飲料に発泡性を付与する方法は、本飲料の炭酸ガス圧を上述の範囲に増加させる方法であれば特に限られないが、例えば、炭酸水及び炭酸ガスの一方又は両方を使用する方法であることとしてもよい。
【0055】
本実施形態においては、上述のような本製法により、噴きの発生が効果的に抑制された発泡性非発酵ノンアルコール飲料(本飲料)を製造することができる。したがって、本実施形態は、イソα酸を含有する発泡性非発酵ノンアルコール飲料の硬度を40以下に抑えることにより、当該発泡性非発酵ノンアルコール飲料における噴きの発生を抑制する方法を含む。
【0056】
この方法では、発泡性非発酵ノンアルコール飲料の硬度を35以下に抑えることが好ましく、30以下に抑えることがより好ましく、25以下に抑えることがより一層好ましく、20以下に抑えることが特に好ましい。
【0057】
そして、この方法によれば、発泡性非発酵ノンアルコール飲料の硬度を上記所定値以下に抑えることにより、当該発泡性非発酵ノンアルコール飲料における噴きの発生を、硬度が当該所定値超の発泡性非発酵ノンアルコール飲料のそれに比べて、抑制することができる。
【0058】
すなわち、例えば、発泡性非発酵ノンアルコール飲料の硬度を上記所定値以下に抑えることにより、当該発泡性非発酵ノンアルコール飲料の噴き量を、硬度が当該所定値超の発泡性非発酵ノンアルコール飲料のそれに比べて、低減することができる。
【0059】
次に、本実施形態に係る具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0060】
未処理水として、水道水を使用した。まず、この未処理水に対して、カルシウムイオン濃度、マグネシウムイオン濃度及び硫酸イオン濃度を低減するイオン交換処理を施すことにより、硬度が0であり、硫酸イオン濃度が0mg/Lの処理水を得た。なお、イオン交換処理は、カートリッジ純水機(G−10D、イオン交換樹脂:アーバンライトMB−2型、オルガノ株式会社製)により行った。
【0061】
次いで、処理水に塩化カルシウム(塩化カルシウム二水和物(CaCl
2・2H
2O)、株式会社トクヤマ製)を添加して、硬度が異なる6種類の処理水を調製した。
【0062】
さらに、これらの処理水に、イソα酸を含有するホップ原料として市販のイソ化ホップを添加するとともに、硬度が0である炭酸水を添加することにより、イソα酸を13ppm含有し、硬度が異なる6種類の発泡性非発酵ノンアルコール飲料を調製した。
【0063】
また、対照例として、塩化カルシウムを添加していない上記発泡性非発酵ノンアルコール飲料も用意した。なお、いずれの発泡性非発酵ノンアルコール飲料も炭酸ガス圧は2.3kg/cm
2であり、アルコール含有量は0.005体積%未満であった。
【0064】
これら7種類の飲料について、噴き量を測定した。具体的に、缶に飲料を充填して製造された飲料製品を常温で4時間以上静置し、その後、当該飲料製品を開栓し、当該飲料製品の開栓前の重量から開栓後の重量を減じた値を噴き量として測定した。
【0065】
図1には、7種類の飲料の各々について、噴き量を測定した結果を示す。
図1において、横軸は硬度を示し、縦軸は噴き量(g)を示す。
【0066】
図1に示すように、飲料の硬度が低減されるにつれて、噴き量も低減される傾向が確認された。すなわち、飲料の硬度が61から31に低減されることで、噴き量が顕著に低減された。また、飲料の硬度が24から18に低減されることで、噴き量がさらに顕著に低減された。
【実施例2】
【0067】
未処理水として、水道水を使用した。まず、この未処理水に対して、上述の実施例1と同様にして、カルシウムイオン濃度、マグネシウムイオン濃度及び硫酸イオン濃度を低減するイオン交換処理を施すことにより、硬度が0であり、硫酸イオン濃度が0mg/Lの処理水を得た。
【0068】
次いで、処理水と、硬度がゼロである炭酸水とを混合することにより、炭酸水を調製した。さらに、炭酸水に、イソα酸を含有する市販のイソ化ホップを添加して、イソα酸を32ppm又は40ppm含有する2種類の発泡性非発酵ノンアルコール飲料を調製した。
【0069】
そして、各飲料に塩化カルシウム(塩化カルシウム二水和物(CaCl
2・2H
2O)、株式会社トクヤマ製)を添加して、イソα酸を32ppm含有し、硬度が100又は20の飲料、及びイソα酸を40ppm含有し、硬度が100又は20の飲料を調製した。なお、いずれの発泡性非発酵ノンアルコール飲料も炭酸ガス圧は2.3kg/cm
2であり、アルコール含有量は0.005体積%未満であった。
【0070】
これら4種類の飲料について、上述の実施例1と同様にして、噴き量を測定した。
図2Aには、イソα酸を32ppm含有し、硬度が100又は20の飲料について、噴き量を測定した結果を示す。
図2Bには、イソα酸を40ppm含有し、硬度が100又は20の飲料について、噴き量を測定した結果を示す。
図2A及び
図2Bにおいて、横軸は硬度を示し、縦軸は噴き量(g)を示す。
【0071】
図2A及び
図2Bに示すように、イソα酸の含有量が32ppmの飲料(
図2A)及び40ppmの飲料(
図2B)のいずれについても、硬度が100の場合に比べて、硬度が20の場合において、噴き量が顕著に低減された。
【実施例3】
【0072】
未処理水として、水道水を使用した。まず、この未処理水に対して、上述の実施例1と同様にして、カルシウムイオン濃度、マグネシウムイオン濃度及び硫酸イオン濃度を低減するイオン交換処理を施すことにより、硬度が0であり、硫酸イオン濃度が0mg/Lの処理水を得た。
【0073】
次いで、処理水と、硬度がゼロである炭酸水とを混合することにより、炭酸水を調製した。さらに、炭酸水に、イソα酸を含有する市販のイソ化ホップを添加して、イソα酸を13ppm含有する発泡性非発酵ノンアルコール飲料を調製した。
【0074】
そして、飲料に塩化マグネシウム(塩化マグネシウム六水和物(MgCl2・6H2O、和光純薬工業株式会社製)を添加して、硬度が74又は15の飲料を調製した。なお、いずれの発泡性非発酵ノンアルコール飲料も炭酸ガス圧は2.3kg/cm
2であり、アルコール含有量は0.005体積%未満であった。
【0075】
これら2種類の飲料について、上述の実施例1と同様にして、噴き量を測定した。
図3には、2種類の飲料の各々について、噴き量を測定した結果を示す。
図3において、横軸は硬度を示し、縦軸は噴き量(g)を示す。
【0076】
図3に示すように、硬度が74の飲料に比べて、硬度が15の飲料では、噴き量が顕著に低減された。
【実施例4】
【0077】
80Lスケールの設備を使用して、発泡性非発酵ノンアルコール飲料を製造した。未処理水として、硬度が72の水道水を使用した。まず、この未処理水に対して、上述の実施例1と同様にして、カルシウムイオン濃度、マグネシウムイオン濃度及び硫酸イオン濃度を低減するイオン交換処理を施すことにより、硬度が0であり、硫酸イオン濃度が0mg/Lの処理水を得た。
【0078】
次いで、処理水と、最終的に得られる飲料のイソα酸含有量が13ppmとなる量のイソ化ホップ(ホップ原料)と、植物原料と、酸味料やカラメル色素等の他の成分とを混合して原料液を調製した。
【0079】
その後、原料液を冷却し、珪藻土ろ過し、さらに炭酸ガスによってガス付けを行うことにより、発泡性非発酵ノンアルコール飲料を調製した(試験例)。
【0080】
一方、対照例として、処理水に代えて硬度が72の未処理水を使用したこと以外は同様にして、発泡性非発酵ノンアルコール飲料を調製した。なお、いずれの発泡性非発酵ノンアルコール飲料も、イソα酸濃度は12ppmであり(珪藻土ろ過により1ppm低下)、炭酸ガス圧は2.2kg/cm
2であり、アルコール含有量は0.005体積%未満であった。
【0081】
これら2種類の飲料について、成分の分析及び噴きの評価を行った。成分分析は、イオンクロマトグラフィー(測定機器:ICS−1100システム、DIONEX社)を用いて、下記の条件で電気伝導度を測定することにより行った。
・遊離液:20mM メタンスルホン酸溶液
・カラム:CS−12A(DIONEX社)
・流速:1.0mL/分
【0082】
噴きの評価は、缶に飲料を充填して製造された飲料製品を常温で4時間以上静置し、その後、当該飲料製品を開栓し、噴きの様子を目視で観察することにより行った。噴きの評価においては、噴きが全く発生しなかった場合には、スコア「0(ゼロ)」を付与し、開栓時に缶の口より泡が盛り上がる程度の噴きが発生した場合には、スコア「1」を付与し、開栓時に缶の口より泡が盛り上がり、中味の飲料が広がるような噴きが発生した場合には、スコア「2」を付与した(n=3)。
【0083】
図4には、2種類の飲料の各々について、成分の分析及び噴きの評価を行った結果を示す。
図4に示すように、未処理水を使用して製造された対照例に係る飲料の硬度は79であったのに対し、処理水を使用して製造された試験例に係る飲料の硬度は18であった。
【0084】
そして、対照例に係る飲料については、3回の噴き評価で、スコア「1」が2回、及びスコア「2」が1回であったのに対し、試験例に係る飲料については、3回の噴き評価の全てにおいてスコア「0」であり、噴きが全く発生しなかった。すなわち、試験例に係る飲料については、対照例に係る飲料に比べて、噴きの発生が顕著に抑制された。
【0085】
なお、
図4に示すように、試験例に係る飲料においては、処理水を使用した結果、硫酸イオンの含有量が顕著に低減された。また、2種類の飲料の各々について、官能検査も行ったが、香味に差は認められなかった。
[参考例1]
【0086】
日本国内において、異なる企業から製造販売されている4種類の発泡性非発酵ノンアルコール飲料(市販飲料A〜D)の成分を分析した。成分分析は、上述の実施例4と同様に行った。
【0087】
図5には、成分分析の結果を示す。
図5に示すように、市販飲料A〜Dの硬度は、60〜140であり、硫酸イオン濃度は、20.6mg/L〜86.3mg/Lであった。
[参考例2]
【0088】
日本国内において、異なる地域で使用されている3種類の未処理水A〜Cの成分を分析した。未処理水Aは、井戸水であり、未処理水B及びCは、水道水であった。成分分析は、上述の実施例4と同様に行った。
【0089】
図6には、成分分析の結果を示す。
図6に示すように、未処理水A〜Cの硬度は、72〜95であり、硫酸イオン濃度は、20.4mg/L〜40.6mg/Lであった。