(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の封止枠の外周側に接触して前記第1の封止枠を取り囲むように前記中央領域の縁部に沿って配置され、上端の高さが前記第2の封止枠と同じである反射性の第3の封止枠をさらに有する、請求項2に記載の発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、発光装置について説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
【0016】
図1(A)および
図1(B)は、発光装置1の斜視図および断面図である。
図1(A)は完成品としての発光装置1の斜視図であり、
図1(B)は
図1(A)のIB−IB線に沿った発光装置1の断面図である。発光装置1は、発光素子としてLED素子を含み、例えば投光器、高天井照明、スタディアム照明、イルミネーションなどのLED光源装置として利用される。発光装置1は、主要な構成要素として、実装基板10、回路基板20、LED素子31,32、中央封止枠41、外周封止枠42および封止樹脂51,52を有する。
【0017】
発光装置1では、封止樹脂51,52により覆われた部分が発光部に相当し、この発光部は、中央封止枠41により、円形のものとドーナツ型のものに2分割されている。中央の発光部に対応して電極端子220,230が、外周側の発光部に対応して電極端子270,280がそれぞれ設けられており、2分割された発光部(2つの発光部)は互いに独立して点灯可能である。また、これら2つの発光部は、例えば、中央の発光部が5000Kの白色光を出射し、外周側の発光部が3000Kの白色光を出射するなど、互いに異なる色温度の白色光を出射するように設計されている。発光装置1では、電極端子220,230と電極端子270,280に流す電流を調整することにより、5000K、3000Kおよびそれらの中間色の光が得られる。すなわち、発光装置1は、2つのLED発光モジュールを1台に集約して2組の電極端子を設けることで、白色光の調色機能を実現させたCOBの発光装置である。
【0018】
図2(A)〜
図2(C)は、実装基板10および回路基板20の斜視図および端面図である。
図2(A)は実装基板10と回路基板20の分解斜視図であり、
図2(B)は実装基板10と回路基板20が互いに貼り合わされた状態の斜視図であり、
図2(C)は
図2(B)のIIC−IIC線に沿った実装基板10および回路基板20の端面図である。発光装置1の基板は、実装基板10と回路基板20とで構成されている。
【0019】
実装基板10は、一例として正方形の形状を有し、その上面にLED素子32が実装される金属製の基板である。実装基板10は、LED素子31,32および後述する蛍光体の粒子により発生した熱を放熱させる放熱基板としても機能するため、例えば、耐熱性および放熱性に優れたアルミニウムで構成される。ただし、実装基板10の材質は、耐熱性と放熱性に優れたものであれば、例えば銅など、別の金属でもよい。
【0020】
回路基板20は、例えばガラスエポキシ基板などの絶縁性の基板であり、一例として、実装基板10と同じ大きさの正方形の形状を有する。回路基板20は、その中央部分の上面に円形の中央領域21ができるように形成された4つの外周開口部26A〜26Dを有する。外周開口部26A〜26Dは、全体として、中央領域21を取り囲むほぼ円環状の形状を有する。回路基板20は、その下面が例えば接着シートにより実装基板10の上面に貼り付けられて固定される。
【0021】
外周開口部26A〜26D内で露出している実装基板10の上面のことを、以下ではそれぞれ「外周領域16A〜16D」という。外周領域16A〜16Dは、回路基板20の厚さ(壁部29の高さ)の分だけ中央領域21よりも高さが低く、中央領域21を取り囲むように配置されている。
【0022】
LED素子31は、第1の発光素子の一例であり、回路基板20の中央領域21上に実装されている。LED素子32は、第2の発光素子の一例であり、外周開口部26A〜26D内で露出した実装基板10の外周領域16A〜16D上に実装されている。なお、発光装置1では、外周開口部26A〜26Dのそれぞれに、複数のLED素子32が実装されている。LED素子31,32は、それぞれ、例えば発光波長帯域が450〜460nm程度の青色光を発光する青色LEDである。各LED素子31,32の下面は、例えば透明な絶縁性の接着剤などにより、実装基板10または回路基板20の上面に直接固定されている。
【0023】
回路基板20の上面には、配線パターン22,23、電極端子220,230、配線パターン27,28、および電極端子270,280が形成されている。電極端子220と電極端子270は、回路基板20の1つの角部付近に配置されている。一方、電極端子230と電極端子280は、電極端子220と電極端子270が配置された角部とは対角に位置する角部付近に配置されている。
【0024】
配線パターン22は、中央領域21を取り囲むように半周にわたって中央領域21の縁部を通り、外周開口部26Aと外周開口部26Dとの間の壁部である接続領域221の上を通って、電極端子220に接続されている。配線パターン23は、配線パターン22とは点対称の形状を有し、中央領域21の中心を挟んで配線パターン22とは反対側で半周にわたって中央領域21の縁部を通り、外周開口部26Bと外周開口部26Cとの間の壁部である接続領域231の上を通って、電極端子230に接続されている。
【0025】
配線パターン27は、外周開口部26A,26Bの外周側の縁部、および外周開口部26Aと外周開口部26Bとの間の壁部である接続領域271に沿って延び、電極端子270に接続されている。配線パターン28は、配線パターン27とは点対称の形状を有し、外周開口部26C,26Dの外周側の縁部、および外周開口部26Cと外周開口部26Dとの間の壁部である接続領域281に沿って延び、電極端子280に接続されている。
【0026】
電極端子220,230は、第1の組の電極端子の一例であり、それぞれ配線パターン22,23を介してLED素子31に電気的に接続されている。電極端子220,230は、一方がアノード電極、他方がカソード電極となり、これらが外部電源に接続されて電圧が印加されると、LED素子31は発光する。電極端子270,280は、第2の組の電極端子の一例であり、それぞれ配線パターン27,28を介してLED素子32に電気的に接続されている。電極端子270,280は、一方がアノード電極、他方がカソード電極となり、これらが外部電源に接続されて電圧が印加されると、LED素子32は発光する。
【0027】
図3(A)および
図3(B)は、LED素子31,32の配置例を示す平面図および断面図である。
図3(A)は、中央封止枠41、外周封止枠42および封止樹脂51,52が取り除かれた発光装置1の平面図であり、
図3(B)は、
図3(A)に符号IIIBで示した部分の拡大断面図である。
【0028】
発光装置1に含まれるLED素子31,32の個数は何個でもよく、用途に応じて適宜定められる。
図1(B)および後述する
図4(A)以降では、簡単のためLED素子31,32を少数しか図示していないが、実際には、
図3(A)に示すように、発光装置1の素子数はより多数であってもよい。
【0029】
LED素子31,32は上面に一対の素子電極を有し、
図3(A)に示すように、隣接するLED素子31,32の素子電極は、ボンディングワイヤ(以下、単にワイヤという)33,34により互いに電気的に接続される。より詳細には、中央領域21に配置されたLED素子31は、ワイヤ33によって15個ずつ直列に接続されており、この15個のLED素子31が1つのグループを構成している。各グループの両端のLED素子31から出たワイヤ33は、配線パターン22または配線パターン23に接続されており、発光装置1では、11個のグループのLED素子31が、配線パターン22と配線パターン23の間に並列に接続されている。LED素子31の順方向電圧をVfw1とおくと、電極端子220と電極端子230の間に15×Vfw1以上の電圧を印加することにより、すべてのLED素子31が点灯する。
【0030】
外周開口部26A〜26D内に配置されたLED素子32は、ワイヤ34によって24個ずつ直列に接続されており、この24個のLED素子32が1つのグループを構成している。各グループの両端のLED素子32から出たワイヤ34は、接続領域271または接続領域281の上で配線パターン27または配線パターン28に接続されており、発光装置1では、16個のグループのLED素子32が、配線パターン27と配線パターン28の間に並列に接続されている。LED素子32の順方向電圧をVfw2とおくと、電極端子270と電極端子280の間に24×Vfw1以上の電圧を印加することにより、すべてのLED素子32が点灯する。
【0031】
外周開口部26A内に配置されたLED素子32と外周開口部26D内に配置されたLED素子32とは、接続領域221を跨いで互いに接続されている。
図3(B)に示すように、この部分では、ワイヤ34は、底辺を除いた略台形形状をして、接続領域221およびその上の配線パターン22を跨いでいる。さらに、接続領域221では、配線パターン22とワイヤ34の間でショートが発生しないように、配線パターン22の上にレジスト樹脂60が塗布されている。封止樹脂52は、LED素子32、ワイヤ34およびレジスト樹脂60を覆うように充填されている。
【0032】
なお、外周開口部26B内に配置されたLED素子32と外周開口部26C内に配置されたLED素子32とは、接続領域231を跨いで互いに接続されている。この部分の断面は
図3(B)に示したものと同様である。
【0033】
中央封止枠41は、第1の封止枠の一例であり、封止樹脂51の流出しを防止するためのダム材である。中央封止枠41は、中央領域21の大きさに合わせて形成された円形の枠体であり、中央領域21を取り囲むように、中央領域21の縁部に沿って配置される。中央封止枠41は、回路基板20の上面で、配線パターン22,23と重なる位置に固定される。また、中央封止枠41は、LED素子31から出射された光とLED素子32から出射された光との混色性が高まるように、例えば透明なシリコーン樹脂で構成され、透光性を有する。なお、中央封止枠41には、散乱材が混入されていてもよい。
【0034】
外周封止枠42は、第2の封止枠の一例であり、封止樹脂52の流出しを防止するためのダム材である。外周封止枠42は、外周開口部26A〜26Dの外側の円周の大きさに合わせて形成された円形の枠体であり、中央領域21および外周領域16A〜16Dを取り囲むように、外周領域16A〜16Dの縁部に沿って配置される。外周封止枠42は、回路基板20の上面で、配線パターン27,28と重なる位置に固定される。また、外周封止枠42は、例えば白色粒子が混入された不透明なシリコーン樹脂で構成され、反射性を有する。これにより、外周封止枠42は、LED素子31,32から側方に出射された光を、LED素子31,32から見て実装基板10とは反対側である発光装置1の上方に向けて反射させる。
【0035】
中央封止枠41と外周封止枠42は、ともに回路基板20の上面において、同心円状に配置されている。中央封止枠41と外周封止枠42の下端の高さは同じであるが、中央封止枠41の方が外周封止枠42よりも背が高い。言い換えると、外周封止枠42は、中央封止枠41よりも上端の位置(高さ)が低い。
【0036】
封止樹脂51は、第1の封止樹脂の一例であり、中央封止枠41により囲まれる中央領域21上の空間に充填されて、複数のLED素子31を一体的に封止(保護)する。例えば、封止樹脂51は、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂などの無色かつ透明な樹脂である。封止樹脂51は、
図1(A)に示した例では円板状に硬化され、例えば中央封止枠41により固定される。
【0037】
封止樹脂52は、第2の封止樹脂の一例であり、中央封止枠41および外周封止枠42により囲まれる外周領域16A〜16D上および接続領域221,231,271,281上の空間に充填されて、複数のLED素子32を一体的に封止(保護)する。例えば、封止樹脂52は、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂などの無色かつ透明な樹脂である。封止樹脂52の材質は、封止樹脂51と同じでもよいし、封止樹脂51とは異なっていてもよい。封止樹脂52は、
図1(A)に示した例では円環状に硬化され、例えば中央封止枠41と外周封止枠42により固定される。封止樹脂52の上面の高さは封止樹脂51と比べて低いが、封止樹脂52は、封止樹脂51と同じ厚さを有する。
【0038】
封止樹脂51は、LED素子31からの光により励起される蛍光体を含有し、封止樹脂52は、LED素子32からの光により励起される蛍光体を含有する。例えば、封止樹脂51,52は、それぞれ、YAG(Yttrium Aluminum Garnet)などの黄色蛍光体を含有してもよいし、あるいは複数種類の蛍光体を含有してもよい。複数種類の蛍光体は、例えば、(BaSr)
2SiO
4:Eu
2+などの緑色蛍光体と、CaAlSiN
3:Eu
2+などの赤色蛍光体との組合せでもよいし、あるいは緑色蛍光体と赤色蛍光体にさらに黄色蛍光体を組み合わせてもよい。この場合、封止樹脂51,52のそれぞれを通して、青色LEDであるLED素子31またはLED素子32からの青色光と、その光が蛍光体を励起させて得られる光(黄色光、緑色光、赤色光など)とを混合させることで得られる白色光が出射される。
【0039】
発光装置1では、封止樹脂51と封止樹脂52とで、蛍光体の種類、配合比またはそれらの両方を変えてもよい。例えば、封止樹脂51の蛍光体は、LED素子31からの光とその光が蛍光体を励起させて得られる光とを混合させることで色温度5000Kの白色光が得られるように選択される。また、封止樹脂52の蛍光体は、LED素子32からの光とその光が蛍光体を励起させて得られる光とを混合させることで色温度3000Kの白色光が得られるように選択される。この場合、発光装置1では、LED素子31が発光することにより、第1の白色光として5000Kの白色光が出射され、LED素子32が発光することにより、第1の白色光とは色温度が異なる第2の白色光として3000Kの白色光が出射される。
【0040】
発光装置1とは異なり、中央の発光面である封止樹脂51の上面と、外周側の発光面である封止樹脂52の上面とを同じ高さにして、封止樹脂51で覆われた中央の発光部と、封止樹脂52で覆われた外周側の発光部とから、互いに異なる色温度の白色光を出射させることも考えられる。しかしながら、中央と外周側の発光面を同じ高さにすると、LED素子31から側方に出射された光束の一部は、中央封止枠41を透過した後、外周封止枠42で中心軸(封止樹脂51の中央を通り回路基板20に垂直に伸びる軸)方向に反射するため、中央の発光部の照射角が小さくなる。その結果、中央の発光部の光束と外周側の発光部の光束との混色性が低下する。
【0041】
一方、発光装置1では、外周領域16A〜16Dよりも中央領域21の方が回路基板20の厚さの分だけ高い位置にあるので、外周側のLED素子32よりも中央のLED素子31の方が高い位置に実装されている。また、外周封止枠42の上端よりも中央封止枠41の上端の方が高い位置にあるため、封止樹脂52の上面よりも封止樹脂51の上面の方が高い位置にある。このように中央の発光部を底上げすると、底上げがない場合よりも中央の発光部からの白色光の照射角が広くなるので、中央の発光部から出射される5000Kの白色光は、外周側の発光部から出射される3000Kの白色光と混色しやすくなる。したがって、発光装置1では、中央の発光部を底上げしない場合と比べて、中央の発光部と外周側の発光部との混色性が向上する。
【0042】
また、発光装置1では、封止樹脂51と封止樹脂52とが同じ厚さを有する。このように、両者の樹脂厚を同じにすると、例えば封止樹脂51,52に同一の蛍光体含有樹脂を使用する場合に、中央の発光部と外周側の発光部とで同じ発光特性が得られるので、設計した色を出しやすくなるという利点がある。
【0043】
図4(A)〜
図6(B)は、発光装置1の製造工程の例を説明するための斜視図および端面図である。
図4(B)、
図5(B)および
図6(B)は、それぞれ、
図4(A)のIVB−IVB線、
図5(A)のVB−VB線および
図6(A)のVIB−VIB線に沿った端面を示す。
図2(A)〜
図3(B)および
図4(A)〜
図6(B)を参照して、発光装置1の製造工程を説明する。
【0044】
発光装置1の製造時には、まず、
図2(A)〜
図2(C)に示すように、外周開口部26A〜26Dを有する回路基板20と実装基板10とが、重ね合わされて貼り合わされる。そして、
図4(A)および
図4(B)に示すように、回路基板20の中央領域21上に複数のLED素子31が実装され、外周開口部26A〜26D内で露出している実装基板10の外周領域16A〜16D上に、複数のLED素子32が実装される。続いて、
図3(A)および
図3(B)に示すように、各LED素子31は、ワイヤ33を介して電極端子220,230に電気的に接続され、各LED素子32は、ワイヤ34を介して電極端子270,280に電気的に接続される。
【0045】
次に、
図5(A)および
図5(B)に示すように、外周領域16A〜16Dの縁部に沿って、回路基板20上に外周封止枠42が固定される。また、
図6(A)および
図6(B)に示すように、中央領域21の縁部に沿って、回路基板20上に中央封止枠41が固定される。さらに、中央封止枠41により囲まれる中央領域21上の空間に封止樹脂51が充填され、中央封止枠41および外周封止枠42により囲まれる外周領域16A〜16D上の空間に封止樹脂52が充填される。これにより、
図1(A)および
図1(B)に示す発光装置1が完成する。
【0046】
図7(A)および
図7(B)は、別の発光装置2の斜視図および断面図である。
図7(A)は完成品としての発光装置2の斜視図であり、
図7(B)は
図7(A)のVIIB−VIIB線に沿った発光装置2の断面図である。発光装置2は、発光装置1にはない中央封止枠43を有する点が、発光装置1とは異なる。発光装置2の中央封止枠43以外の構成要素は発光装置1のものと同じであるため、発光装置1と重複する部分には発光装置1のものと同一の符号を使用し、それらの詳細な説明は省略する。
【0047】
中央封止枠43は、第3の封止枠の一例であり、外周開口部26A〜26Dの内側の円周の大きさに合わせて形成された円形の枠体である。中央封止枠43は、中央封止枠41の外周側に接触して中央封止枠41を取り囲むように中央領域21の縁部に沿って配置される。中央封止枠43は、外周封止枠42と同様に、例えば白色粒子が混入された不透明なシリコーン樹脂で構成され、反射性を有する。
【0048】
また、中央封止枠43は、回路基板20の上面において、中央封止枠41および外周封止枠42と同心円状に配置されている。中央封止枠43の背の高さは、外周封止枠42と同じである。すなわち、中央封止枠43の下端の位置(高さ)は中央封止枠41および外周封止枠42と同じであるが、中央封止枠43の上端の位置(高さ)は、中央封止枠41よりも低く、外周封止枠42と同じである。これにより、発光装置2では、封止樹脂52は、外周封止枠42と中央封止枠43の上端の高さまで充填されている。
【0049】
発光装置2でも、中央の発光部は外周側の発光部よりも底上げされており、中央封止枠41は透明樹脂で構成されている。発光装置2では、中央の発光部と外周側の発光部の間に白色樹脂の中央封止枠43があるが、中央封止枠41の方が中央封止枠43よりも背が高いので、中央封止枠43の上側では、中央の発光部と外周側の発光部の間で白色光が混ざり合う。このため、発光装置2でも、発光装置1と同様に、中央の発光部を底上げしない場合と比べて、中央の発光部と外周側の発光部との混色性が向上する。
【0050】
また、発光装置2では、上端の高さが外周封止枠42と同じ中央封止枠43があるため、外周封止枠42と中央封止枠43の上端に合わせて封止樹脂52を充填することにより、外周側の封止樹脂52の高さを一定に揃えることが容易になる。
【0051】
また、発光装置2では、中央封止枠43は白色樹脂で構成され反射性を有するため、例えば、中央領域21のLED素子31から側方に出射された光は、中央封止枠41を透過して、中央封止枠43により発光装置1の上方に反射する。これにより、発光装置2では、発光装置1よりも、装置正面での輝度が向上する。
【0052】
図8(A)〜
図10(B)は、発光装置2の製造工程の例を説明するための斜視図および端面図である。
図8(B)、
図9(B)および
図10(B)は、それぞれ、
図8(A)のVIIIB−VIIIB線、
図9(A)のIXB−IXB線および
図10(A)のXB−XB線に沿った端面を示す。
図2(A)〜
図3(B)および
図8(A)〜
図10(B)を参照して、発光装置2の製造工程を説明する。
【0053】
発光装置1の製造時と同様に、まず、
図8(A)および
図8(B)に示すように、実装基板10に貼り合わされた回路基板20の中央領域21上に複数のLED素子31が実装され、実装基板10の外周領域16A〜16D上に複数のLED素子32が実装される。続いて、
図3(A)および
図3(B)に示すように、各LED素子31は、ワイヤ33を介して電極端子220,230に電気的に接続され、各LED素子32は、ワイヤ34を介して電極端子270,280に電気的に接続される。
【0054】
次に、
図8(A)および
図8(B)に示すように、回路基板20上において、外周領域16A〜16Dの縁部に沿って外周封止枠42が固定され、中央領域21の縁部に沿って中央封止枠43が固定される。また、
図9(A)および
図9(B)に示すように、中央領域21上において、中央封止枠43の内周側に接触するように、中央封止枠41が固定される。さらに、
図10(A)および
図10(B)に示すように、外周封止枠42および中央封止枠43により囲まれる外周領域16A〜16D上の空間に、封止樹脂52が充填される。また、中央封止枠41により囲まれる中央領域21上の空間に、封止樹脂51が充填される。これにより、
図7(A)および
図7(B)に示す発光装置2が完成する。
【0055】
図11(A)および
図11(B)は、さらに別の発光装置3の斜視図および断面図である。
図11(A)は完成品としての発光装置3の斜視図であり、
図11(B)は
図11(A)のXIB−XIB線に沿った発光装置3の断面図である。発光装置3は、発光装置1の中央封止枠41に代えて中央封止枠41’を有し、発光装置2と同じ中央封止枠43を有する点が、発光装置1とは異なる。発光装置3の中央封止枠41’,43以外の構成要素は発光装置1のものと同じであるため、発光装置1と重複する部分には発光装置1のものと同一の符号を使用し、それらの詳細な説明は省略する。
【0056】
発光装置2では、中央封止枠41と中央封止枠43は、互いに接触しているが、別個の封止枠である。一方、発光装置3では、中央封止枠43は、中央封止枠41’に埋め込まれ、中央封止枠41’と一体になっている。より詳細には、
図11(B)に示すように、発光装置3では、中央封止枠43の内周側の半分程度が、中央封止枠41’の外周側の下部において中央封止枠41’の内部に埋め込まれている。中央封止枠41’は、中央封止枠41と同様に、中央領域21の大きさに合わせて例えば透明なシリコーン樹脂で形成された円形の枠体であるが、中央封止枠41とは異なり、外周側の下部に、全周にわたって、中央封止枠43がはめ込まれる窪みを有する。中央封止枠41’も第1の封止枠の一例である。
【0057】
発光装置3の中央封止枠41’、外周封止枠42および中央封止枠43の高さの関係および材質は、それぞれ、発光装置1,2のものと同じである。また、発光装置3でも、封止樹脂52は、外周封止枠42と中央封止枠43の上端の高さまで充填されている。このため、発光装置3でも、発光装置1,2と同様に、中央の発光部と外周側の発光部との混色性が向上するとともに、外周側の封止樹脂52の高さを一定に揃えることが容易になる。さらに、発光装置3では、中央封止枠43の内周側の半分程度が中央封止枠41’に重なっているので、その分だけ、発光装置2よりも封止樹脂52の上面の面積が広くなり、その結果、外周側の発光部が広くなる。
【0058】
図12(A)〜
図14(B)は、発光装置3の製造工程の例を説明するための斜視図および端面図である。
図12(B)、
図13(B)および
図14(B)は、それぞれ、
図12(A)のXIIB−XIIB線、
図13(A)のXIIIB−XIIIB線および
図14(A)のXIVB−XIVB線に沿った端面を示す。
図2(A)〜
図3(B)および
図12(A)〜
図14(B)を参照して、発光装置3の製造工程を説明する。
【0059】
発光装置1,2の製造時と同様に、まず、
図12(A)および
図12(B)に示すように、実装基板10に貼り合わされた回路基板20の中央領域21上に複数のLED素子31が実装され、実装基板10の外周領域16A〜16D上に複数のLED素子32が実装される。続いて、
図3(A)および
図3(B)に示すように、各LED素子31は、ワイヤ33を介して電極端子220,230に電気的に接続され、各LED素子32は、ワイヤ34を介して電極端子270,280に電気的に接続される。
【0060】
次に、
図12(A)および
図12(B)に示すように、回路基板20上において、外周領域16A〜16Dの縁部に沿って外周封止枠42が固定され、中央領域21の縁部に沿って、中央封止枠43が固定される。また、
図13(A)および
図13(B)に示すように、外周封止枠42および中央封止枠43により囲まれる外周領域16A〜16D上の空間に、封止樹脂52が充填される。さらに、外周側の下部に全周にわたって中央封止枠43の曲面に合わせた窪みを有する中央封止枠41’が、
図14(A)および
図14(B)に示すように、中央封止枠43と噛み合うように中央領域21上に固定される。また、中央封止枠41’により囲まれる中央領域21上の空間に、封止樹脂51が充填される。これにより、
図11(A)および
図11(B)に示す発光装置3が完成する。
【0061】
上記の説明とは異なり、中央封止枠41’,43を初めから1つの封止枠として形成し、それを中央領域21上に配置して、封止樹脂51を充填してもよい。
【0062】
今までに説明した発光装置1〜3では、回路基板20の中央領域21上にLED素子31を実装し、回路基板20の外周開口部26A〜26D内の実装基板10上にLED素子32を実装することで、外周側の発光部に対して中央の発光部を底上げしている。しかしながら、以下で説明するように、実装基板自体に段差を設けることで、外周側の発光部に対して中央の発光部を底上げしてもよい。
【0063】
図15および
図16は、それぞれ、さらに別の発光装置4,5の断面図である。発光装置4,5の斜視図は
図1(A)と同じであり、
図15および
図16は、それぞれ発光装置4,5について、
図1(B)と同様の断面を示す。発光装置4,5は、実装基板と回路基板の形状のみが発光装置1とは異なり、その他の点では発光装置1と同じ構成を有するため、発光装置1と重複する部分には発光装置1のものと同一の符号を使用し、それらの詳細な説明は省略する。
【0064】
図15に示すように、発光装置4の実装基板10’は、中央部分の上面側が例えば円板状に1段高くなる段差を有し、中央部分の下面側に凹部12を有する。実装基板10’は、アルミニウムなどの金属製の基板の中央部分を下面側から凹ませて形成される。また、発光装置4の回路基板20’は、回路基板20の外周開口部26A〜26Dと同様の外周開口部に加えて、円形の中央開口部21’を有する絶縁性の基板である。符号29は、回路基板20’の一部であり、中央開口部21’と外周開口部を隔てる壁部を示す。
【0065】
図16に示すように、発光装置5の実装基板10’’も、発光装置4の実装基板10’と同様に、中央部分の上面側が例えば円板状に1段高くなる段差を有するが、実装基板10’’の下面側は平坦な面である。実装基板10’’は、例えば、大きさの異なるアルミニウムなどの金属製の基板を2枚貼り合わせて構成される。また、発光装置5の回路基板20’は、発光装置4のものと同じである。
【0066】
発光装置4,5では、回路基板20’の中央開口部21’に実装基板10’,10’’の段差部分がはめ込まれており、段差の上側における実装基板10’,10’’の上面である中央領域11’が、中央開口部21’内で露出している。また、段差の下側における実装基板10’,10’’の上面である外周領域16’が、外周開口部内で露出している。そして、LED素子31,32は、それぞれ、実装基板10’,10’’の上面である中央領域11’および外周領域16’上に実装されている。
【0067】
発光装置4,5でも、中央の発光部は外周側の発光部よりも底上げされており、中央封止枠41は透明樹脂で構成されているので、発光装置1と同様に、中央の発光部を底上げしない場合と比べて、中央の発光部と外周側の発光部との混色性が向上する。さらに、発光装置4,5では、LED素子32だけでなくLED素子31も実装基板10’,10’’の上面に直接実装されている。このため、発光装置4,5では、LED素子31により発する熱も実装基板10’,10’’に効率よく逃がすことができるので、発光装置1よりも放熱性が向上する。
【0068】
なお、LED素子31,32の一方または両方は、青色LEDおよび緑色LEDか、あるいは青色LED、緑色LEDおよび赤色LEDなどの、複数種類のLED素子であってもよい。例えば、LED素子31として青色LEDの1種類を使用し、LED素子32として青色LED、緑色LEDおよび赤色LEDの3種類を使用してもよい。この場合、封止樹脂51には、黄色蛍光体を含有する透明樹脂を使用し、封止樹脂52には、蛍光体を含有しない透明樹脂を使用してもよい。LED素子31またはLED素子32として青色LED、緑色LEDおよび赤色LEDを使用する場合には、それらのLED素子からの青色光、緑色光および赤色光により白色光が得られるので、封止樹脂は蛍光体を含有しなくてもよい。また、例えば、LED素子31またはLED素子32として複数種類のLED素子を使用する場合には、電極端子220,230または電極端子270,280も複数組設けて、種類ごとにLED素子を接続するとよい。