【実施例1】
【0014】
以下、
図1を参照して実施例1のシンセサイザーの構成を説明する。
図1は、本実施例のシンセサイザー2の外観を示す図である。本実施例のシンセサイザー2の特徴部分は、ピッチベンドレバー210のストロークを検出するストローク検出器21である。シンセサイザーにおいては、演奏者はピッチベンドレバーを上下、または左右に操作することによって演奏音の音程を操作することができる。
図1の例では、演奏者は、ピッチベンドレバー210を左やや上方向から右やや下方向まで、決められた一次元の軸上を操作することができる。ピッチベンドレバー210は常に操作子ばねの力で中点(基準位置)に復帰するように設定されている。ピッチベンドレバー210には、操作子ばね以外に摺動子などが取り付けられており、これらによりピッチベンドレバー210特有の感触を実現している。例えば、ピッチベンドレバー210を操作して高音を出そうとするとき、演奏者はピッチベンドレバー210を強い力で抑えて傾ける必要があるが、この感触は、ギターのチョーキングの際の指の力の入れ具合とも類似する。このような操作の感触が演奏者の感覚や経験と一致するため、演奏者は直感に従った演奏を行うことができる。なお、ピッチベンドレバー210はこの実施例において操作子ともいう。
【0015】
以下、
図2を参照してピッチベンドレバー210のストロークを検出するストローク検出器21の構成を説明する。
図2は、本実施例のシンセサイザー2のストローク検出器21の構成を表す模式図である。
【0016】
図2は模式図とし、各構成要件は簡略化した形状で表現した。
図2に示すように、ストローク検出器21は、ピッチベンドレバー210と、第1の側壁211と、第1の側壁211に設けられた非接触センシング部212と、ピッチベンドレバー210と第1の側壁211を接続する第1の操作子ばね214と、第1の操作子ばね214を所定の比率に内分する位置に接続されたターゲット215と、ターゲット215の非接触センシング部212に対向する面に設けられ、両者の距離を調整する突出部213と、第2の側壁217と、ピッチベンドレバー210と第2の側壁217を接続する第2の操作子ばね216を含む構成である。非接触センシング部212は、図示しない非接触センサ本体に収められた状態で、第1の側壁211に固定されているが、簡略化のため第1の側壁211の側面と同じ面内に非接触センシング部212が存在するものと近似して取り扱う(同図の破線部参照)。同図に示すように、ピッチベンドレバー210が基準位置にある場合(
図2(a))における第1の操作子ばね214の全長をM、同状態におけるピッチベンドレバー210からターゲット215までの長さをM1、同状態における第1の側壁211からターゲット215までの長さをM2とする。
【0017】
同様に、ピッチベンドレバー210が向かって右側に偏った状態(
図2(b))における、第1の操作子ばね214の全長をL、ピッチベンドレバー210からターゲット215までの長さをL1、第1の側壁211からターゲット215までの長さをL2とする。
【0018】
同様に、ピッチベンドレバー210が向かって左側に偏った状態(
図2(c))における、第1の操作子ばね214の全長をS、ピッチベンドレバー210からターゲット215までの長さをS1、第1の側壁211からターゲット215までの長さをS2とする。また突出部213の高さをRと表す。
【0019】
このとき、M1/M2=L1/L2=S1/S2、すなわち、ターゲット215による第1の操作子ばね214の内分比は保存される。例えば
図2(b)の状態において、L2−Rは非接触センシング部212の出力により求められ、Rは既知の値であることから、L2が求められる。求めたL2に前述の内分比(L1/L2)を掛け合わせれば、L1が求まり、L=L1+L2により、全長Lが求められる。全長Lは、ピッチベンドレバー210の位置座標を表す値である。従って、非接触センシング部212の出力からピッチベンドレバー210の位置座標を知ることができる。
【0020】
計測された位置座標は、シミュレーション部(図示略)に送信される。シミュレーション部は、計測された位置座標に応じてピッチベンドレバー210の操作結果を模擬する。
【0021】
通常ピッチベンダーは、ピッチベンドレバーの操作に連動する摺動子により、その変位が検出される。本実施例のストローク検出器21においては、上述のようなストローク検出を行っているため、摺動子などは必須の構成要件ではなくなる。ただし、操作の感触を従来のものと同じにするため、摺動子を残しておいてもよい。摺動子を残しておいた場合、摺動子は摩耗により徐々に劣化するが、非接触センシング部212や、ターゲット215、突出部213などは非接触状態を保持したまま動作するため、摩耗劣化の影響を受けない。
【0022】
なお、上述の突出部213は必須の構成要件ではなく、適宜省略できる。突出部213を設けた理由、および突出部213を省略した場合については実施例2において説明する。
【0023】
このように、本実施例のシンセサイザー2によれば、検出範囲が狭い非接触センサを用いて、ストロークの長い操作子(ピッチベンドレバー210)を有する機器の操作結果(従来の摺動子の変位から検出される操作結果)を模擬することができる。
【実施例2】
【0024】
以下、
図3を参照して実施例2の電子ハイハットの構成を説明する。
図3は、本実施例の電子ハイハット1の分解斜視図である。本実施例の電子ハイハット1は、別体であるハイハットスタンドに接続可能に構成されている。ハイハットスタンドは、シャフト、台座、フットペダルを含む構成である。
【0025】
図3に示すように、本実施例の電子ハイハット1は、ハイハットのトップシンバルを模した円盤形状であって中心にシャフト挿通用の孔を設けたパッド10と、略円筒形状かつ下面が開放され上面中心にシャフト挿通用の孔が設けられ当該上面がパッド10の裏面(下面)に固定されるケース11と、ケース11内に収容される非接触センサ12、突出部(ボタン)13、第1計測用ばね14、ターゲット15、第2計測用ばね16、および、ばね固定部材17と、ケース11の下面を蓋する蓋18を含む構成である。ケース11はシャフトに固定される。突出部(ボタン)13は必須の構成要件ではない。なお、ケース11と、ケース11内に収容される構成要件を、ストローク検出器と呼んでもよい。
【0026】
非接触センサ12はその下面に孔を設けた筐体形状であって、ケース11上面の裏面(内面)に固定される。突出部(ボタン)13は筒形状であってその上端が非接触センサ12の下面の孔に挿通されている。ターゲット15は、略円盤形状かつ中心にシャフト挿通用の孔を設け、その上面に当該孔を取り囲む円筒形状の筒部15aを有している。筒部15aにはシャフトが挿通される。第1計測用ばね14はその上端がケース11上面の裏面(内面)に固定され、下端が筒部15aに接続される。第1計測用ばね14内にはシャフトが挿通される。前述の突出部(ボタン)13の下面は、ターゲット15の盤面と接触しており、突出部(ボタン)13はターゲット15の上下の振動に連動する。直方体形状の非接触センサ12の上面の裏面(内面)には、非接触センシング部(図示せず)が設けられており、突出部(ボタン)13の上面との距離を非接触センシングにより計測する。なお、突出部(ボタン)13を省略した場合、非接触センシング部は、突出部(ボタン)13の上面までの距離の代わりに、ターゲット15の盤面までの距離を計測すればよい。
【0027】
計測された距離は、シミュレーション部(図示略)に送信される。シミュレーション部は、計測された距離に応じてフットペダルの操作結果を模擬する。
【0028】
ばね固定部材17は円筒形状の本体17cと、その上部に本体17cよりも大きな径となる円盤形状であって中心にシャフト挿通用の孔を設けたばね受け部17bと、ばね受け部17bの孔を取り囲むように形成した、ばね受け部17bの盤面に形成した円筒形状の筒部17aを含む構成である。本体17cの内部、ばね受け部17bの孔、筒部17aの内部をシャフトが挿通される。第2計測用ばね16はその上端がターゲット15の裏面に固定され、下端が筒部17aに接続される。第2計測用ばね16内にはシャフトが挿通される。蓋18の中心には、ばね固定部材17の本体17cを挿通可能な孔18aが設けられている。なお本実施例においては、ターゲット15を接続するために第1計測用ばね14と、第2計測用ばね16を別のばねとして構成したが、これに限らず計測用ばねを一本のばねとし、ターゲット15を計測用ばねの長さを所定の比率に内分する位置に接続してもよい。力学的には第1、第2計測用ばね14、16は一本の計測用ばねとして取り扱うことができるため、以下の説明では、計測用ばねが一本であるものと単純化して説明する場合がある。なお計測用ばねは、フットペダル(操作子)に間接的に連結されているものとする。計測用ばねは、フットペダル(操作子)を基準位置に復帰させる操作子ばねと連動して収縮および伸長するものとする。
【0029】
以下、
図4、
図5、
図6を参照してフットペダルの操作に伴う本実施例の電子ハイハット1の状態の遷移について説明する。
図4は、本実施例の電子ハイハット1の開放状態の断面図である。
図5は、本実施例の電子ハイハット1の閉鎖状態の断面図である。
図6は、本実施例の電子ハイハット1が台座から分離した状態を示す断面図である。
【0030】
図4に示すように、電子ハイハット1が開放状態(フットペダルが踏みこまれていない状態)にあるとき、第1計測用ばね14、第2計測用ばね16は最も伸長されており、これに伴って、突出部(ボタン)13は、非接触センサ12の非接触センシング部と最も離れた状態となる。
【0031】
なお、ケース11、およびケース11に固定された部品(非接触センサ12、第1計測用ばね14の上端、蓋18)は、ハイハットスタンド9のシャフト91に固定される。このため、ケース11、およびケース11に固定された部品(非接触センサ12、第1計測用ばね14の上端、蓋18)は、フットペダルの操作に合わせ、シャフト91と連動して上下に振動する。
【0032】
なお、ばね固定部材17は、ハイハットスタンド9の台座92に固定されていないため、シャフト91が上方向に変位した場合、
図6に示すように、台座92から浮き上がる場合がある。
【0033】
図5に示すように、電子ハイハット1が閉鎖状態(フットペダルがもっとも踏みこまれている状態)にあるとき、第1計測用ばね14、第2計測用ばね16は最も収縮されており、これに伴って、突出部(ボタン)13は、非接触センサ12の非接触センシング部と最も近接した状態となる。
【0034】
次に、
図7、
図8を参照して計測用ばね(14、16)、ターゲット15、非接触センサ12の関係について考察する。
図7は、計測用ばね(14、16)、ターゲット15、非接触センサ12の関係を表す模式図である。
図8は同様の模式図であって、突出部13を省略した図である。
【0035】
図7は模式図であるため、ケース11、ターゲット15、突出部13、ばね固定部材17は、簡略化した形状で表現した。また、非接触センサ12本体の表示は省略し、非接触センシング部12aのみを表した。上述したように、非接触センシング部12aは、非接触センサ12本体に収められた状態で、ケース11の上面裏面に固定されているが、簡略化のためケース11の裏面と同じ高さに非接触センシング部12aが存在するものと近似して取り扱う(同図の破線部参照)。同図に示すように、開放状態における計測用ばね(14、16)の全長をL、同状態における計測用ばね(14、16)の下端からターゲット15までの長さをL1、同状態における計測用ばね(14、16)の上端からターゲット15までの長さをL2とする。同様に、閉鎖状態における計測用ばね(14、16)の全長をS、同状態における計測用ばね(14、16)の下端からターゲット15までの長さをS1、同状態における計測用ばね(14、16)の上端からターゲット15までの長さをS2とする。また突出部13の高さをRと表す。
【0036】
このとき、開放状態のばね全長Lと閉鎖状態のばね全長Sの差を
L−S=ΔH …(式1)
とする。また開放状態におけるばね上端からターゲット15までの長さL2と閉鎖状態におけるばね上端からターゲット15までの長さS2との差を
L2−S2=ΔD …(式2)
とする。また、
L/L2=S/S2=ΔH/ΔD …(式3)
が成り立つ。従ってターゲット15の位置を調整することで、パラメータL1、L2、S1、S2、ΔDを調整することができる。ただし、ΔHは不変である。また、突出部13の高さRも任意に調整可能なパラメータである。
【0037】
前述したように
図8は突出部13を省略した模式図である。この場合でも(式1)〜(式3)は同様に成り立つ。
【0038】
以下、
図9、
図10、
図11を参照して非接触センサ12の線形応答区間と、上述の各パラメータの関係について説明する。なお、以下では、実施例2の構成要件を用いて説明するが、同様の関係が実施例1においても成り立つ。
図9、
図10、
図11は、非接触センサの線形応答範囲とターゲットの可動範囲の関係を例示する図である。
図9の例では突出部13を省略した構成で他のパラメータを調整した。
図9に示すように、非接触センサ12の線形応答区間の最小値をXminとし、最大値をXmaxとし、最小値と最大値の差分、すなわち線形応答区間の長さをZとする。ここではパラメータR(突出部13の高さ)を調整することができないため、調整できるのは、ターゲット15の位置のみである。ターゲット15の可動範囲が非接触センサ12の線形応答区間内に収まることが好適であるため、
S2>Xmin …(式4)
L2<Xmax …(式5)
となる条件が好適である。ここで(式3)よりL2=S2×(L/S)と表される。従って上述の不等式は以下の(式6)、(式7)に変形される。
S2>Xmin …(式6)
S2×(L/S)<Xmax …(式7)
L/Sは予め計測しておくことができるため、定数扱いとすることができる。なお、L>S、すなわちL/S>1である。(式6)、(式7)からわかることは、パラメータS2を調整するだけで、ターゲット15の可動範囲を非接触センサ12の線形応答区間内に導くことができるということである。すなわち、ターゲット15の可動範囲の最小値S2を単位長さkだけ大きくすれば(S2+k)、その最大値は単位長さよりも長い、k×(L/S)だけ大きくなる(L2+k×(L/S))。
【0039】
なお上述の不等式はL2について解くこともできる。この場合は、
L2×(S/L)>Xmin …(式8)
L2<Xmax …(式9)
となる。
【0040】
パラメータS2(L2)を調整して決定することは、計測用ばねのばね長を内分するターゲット15の内分比率(S1:S2、あるいはL1:L2)を定めることと等しい。
【0041】
図10の例では、
図9と同様、突出部13を省略した構成で他のパラメータを調整した。ただし同図では、線形応答区間の長さZとターゲット15の可動範囲の長さΔDがほぼ等しくなるように、各パラメータを調整した。ターゲット15の可動範囲の長さΔDは線形応答区間の長さZ以下となる(Z≧ΔD)ことが好ましいが、この条件を充たしたうえで、ZとΔDの値をなるべく近似させることで、非接触センサ12のダイナミックレンジを最大限に生かすことができ、計測の精度が向上する。
図10の例では、パラメータの調整によりZ≒ΔDとすることに成功したものの、ターゲット15の可動範囲が線形応答区間内に収まっていないため別の調整が必要となる。このような場合に突出部13の高さRを用いる事で調整を行うことができる。突出部13が非接触センサ12に近接する方向に突出している場合、可動範囲の最小値はS2−R、最大値は、L2−Rと表すことができる。
図10に示すように、ターゲット15の可動範囲が正方向にずれている場合には、非接触センサ12に近接する方向の突出部13の高さRの調整により、
図11の例に示すように、ターゲット15の可動範囲を線形応答区間内に導くことができる。
図11の例では、突出部13の先端と非接触センサ12の距離の最大値(L2−R)が、非接触センサ12が線形応答する最大の距離Xmaxと等しく(あるいは小さく)なるように、突出部13の突出高さが決定されている。
【0042】
なお、図示は省略したが、ターゲット15の可動範囲が負方向にずれている場合には、ターゲット15に非接触センサ12から離隔する方向に窪む凹部を設け、凹部の深さRを調整することで、同様にターゲット15の可動範囲を線形応答区間内に導くことができる。この場合、凹部の最深部と非接触センサ12の距離の最小値が、非接触センサ12が線形応答する最小の距離Xminと等しく(あるいは大きく)なるように、凹部の深さが決定されればよい。
【0043】
<効果>
上述したように、本実施例の電子ハイハット1は、フットペダル(操作子)を基準位置に復帰させる操作子ばねと連動して収縮および伸長する計測用ばねを所定の比率で内分する位置にターゲット15を接続し、計測用ばねの一端側に設けた非接触センサ12により、ターゲット15までの距離を計測する構成としたため、非接触センサ12の検出範囲が狭い場合であっても、ストロークの長いフットペダルの操作結果を十分に模擬することができる。
【0044】
また通常、ハイハットスタンドはユーザの好みに応じて選択されるもので、ユーザが選択したハイハットスタンドは、通常のハイハットを接続して使用することも可能であるし、本実施例の電子ハイハット1を接続して使用することも可能である。ユーザは自分が選択したハイハットスタンドのフットペダルを使い慣れているため、フットペダルの操作の感触(踏み心地、フットペダルの固さなど)が変化することを嫌う場合がある。この点において、本実施例の電子ハイハット1では、フットペダルの操作子ばねと連動して収縮および伸長する計測用ばね(14、16)を追加する構成としたため、フットペダルの操作子ばねのばね定数が大きくなったように体感される。通常、ハイハットスタンドのフットペダルのばねの強さは、ユーザによる微調整が可能であるから、ユーザは計測用ばね(14、16)のばね定数の分だけ、フットペダルの操作子ばねの強さを弱めることで、フットペダルの操作の感触を従前とほとんど変わらず保持することができる。
【0045】
仮にシャフトの変位をギアなどにより検出する構成を採用した場合、ユーザはフットペダル操作時に、操作子ばねの弾性力以外に、ギアにおける摩擦力を体感するため、フットペダルの操作の感触が変化する場合がある。摩擦力はばねの弾性力のように変位の位置に応じた反発力(F=kx)を生じさせるものではなく、接触面に加えられる力に比例して変化する。また、動摩擦係数と静止摩擦係数が異なることから、ユーザはばねの弾性力とは異なる操作の感触を体感することになる。ストローク検出のためにギアなどを採用した場合、ギアにおいて生じた摩擦力を操作子ばねのばね定数の調整により補償することは難しいため、ユーザが違和感を感じる要因となる。
【0046】
上記の実施例では、シンセサイザー、電子ハイハットを例示したが、本発明はこれらに限らず、ユーザが操作する操作子の変位の程度に応じて異なる操作結果を生じさせる機器(機械、器械、器具)であって、当該操作子を基準位置に復帰させる操作子ばねを備える機器を模擬(シミュレーション)する電子機器の類であれば、どんな機器にも応用可能である。計測用ばねの配置は、機器の種類に応じて様々なバリエーションが考えられるものの、計測用ばねの必須の要件は(1)操作子に直接または間接に連結されていること、(2)計測用ばね=操作子ばねであること、あるいは計測用ばねが操作子ばねと連動して収縮および伸長することである。これらの条件を充たすことにより、操作子の操作の感触を損なうことなく、操作子の操作結果を模擬(シミュレーション)することができる。
【0047】
<補記>
本発明の装置は、例えば単一のハードウェアエンティティとして、キーボードなどが接続可能な入力部、液晶ディスプレイなどが接続可能な出力部、ハードウェアエンティティの外部に通信可能な通信装置(例えば通信ケーブル)が接続可能な通信部、CPU(Central Processing Unit、キャッシュメモリやレジスタなどを備えていてもよい)、メモリであるRAMやROM、ハードディスクである外部記憶装置並びにこれらの入力部、出力部、通信部、CPU、RAM、ROM、外部記憶装置の間のデータのやり取りが可能なように接続するバスを有している。また必要に応じて、ハードウェアエンティティに、CD−ROMなどの記録媒体を読み書きできる装置(ドライブ)などを設けることとしてもよい。このようなハードウェア資源を備えた物理的実体としては、汎用コンピュータなどがある。
【0048】
ハードウェアエンティティの外部記憶装置には、上述の機能を実現するために必要となるプログラムおよびこのプログラムの処理において必要となるデータなどが記憶されている(外部記憶装置に限らず、例えばプログラムを読み出し専用記憶装置であるROMに記憶させておくこととしてもよい)。また、これらのプログラムの処理によって得られるデータなどは、RAMや外部記憶装置などに適宜に記憶される。
【0049】
ハードウェアエンティティでは、外部記憶装置(あるいはROMなど)に記憶された各プログラムとこの各プログラムの処理に必要なデータが必要に応じてメモリに読み込まれて、適宜にCPUで解釈実行・処理される。その結果、CPUが所定の機能(上記、…部、…手段などと表した各構成要件)を実現する。
【0050】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。また、上記実施形態において説明した処理は、記載の順に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されるとしてもよい。
【0051】
既述のように、上記実施形態において説明したハードウェアエンティティ(本発明の装置)における処理機能をコンピュータによって実現する場合、ハードウェアエンティティが有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記ハードウェアエンティティにおける処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0052】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。具体的には、例えば、磁気記録装置として、ハードディスク装置、フレキシブルディスク、磁気テープ等を、光ディスクとして、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等を、光磁気記録媒体として、MO(Magneto-Optical disc)等を、半導体メモリとしてEEP−ROM(Electronically Erasable and Programmable-Read Only Memory)等を用いることができる。
【0053】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0054】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0055】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、ハードウェアエンティティを構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。