特許第6643959号(P6643959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643959
(24)【登録日】2020年1月9日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】コンテナ
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/02 20190101AFI20200130BHJP
【FI】
   B65D90/02 P
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-156460(P2016-156460)
(22)【出願日】2016年8月9日
(65)【公開番号】特開2018-24449(P2018-24449A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2018年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229900
【氏名又は名称】日本フルハーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】塩見 隆児
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−142879(JP,A)
【文献】 実公昭47−025209(JP,Y1)
【文献】 特開2009−214918(JP,A)
【文献】 実公昭35−010230(JP,Y1)
【文献】 特開2000−198381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 90/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ収容室を内部に区画する矩形箱体状のコンテナ本体の一側面に、所定の開口高さ及び開口幅を有するコンテナ開口が設けられ、前記コンテナ収容室が前記コンテナ開口によってコンテナ外側へ開放されるコンテナであって、
前記コンテナ開口の全域のうち前記コンテナ開口の下端縁から所定高さまでの範囲を開口幅方向に沿って延びる帯状の開口下縁領域を除く開口メイン領域に対応して設けられ、前記開口メイン領域を閉止する閉止位置と前記開口メイン領域を開放する開放位置との間を移動自在に前記コンテナ本体側に支持される扉と、
前記コンテナ開口の全域のうち前記開口下縁領域に対応して設けられ、開口幅方向に沿って起立して前記開口下縁領域を閉止する起立位置と該起立位置からコンテナ外側へ倒れて前記開口下縁領域を開放する倒伏位置との間を傾動自在に前記コンテナ本体側に支持される可倒部材と、を備え、
前記コンテナ本体は、前記コンテナ収容室の下方を区画するコンテナ床面を有し
記起立位置の前記可倒部材の内面は、前記閉止位置の前記扉の下端よりも下方で且つ前記コンテナ床面よりも上方で、前記閉止位置の前記扉の内面よりもコンテナ外側に配置されて開口幅方向に延びる帯状の面域を有する
ことを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
コンテナ収容室を内部に区画する矩形箱体状のコンテナ本体の一側面に、所定の開口高さ及び開口幅を有するコンテナ開口が設けられ、前記コンテナ収容室が前記コンテナ開口によってコンテナ外側へ開放されるコンテナであって、
前記コンテナ開口の全域のうち前記コンテナ開口の下端縁から所定高さまでの範囲を開口幅方向に沿って延びる帯状の開口下縁領域を除く開口メイン領域に対応して設けられ、前記開口メイン領域を閉止する閉止位置と前記開口メイン領域を開放する開放位置との間を移動自在に前記コンテナ本体側に支持される扉と、
前記コンテナ開口の全域のうち前記開口下縁領域に対応して設けられ、開口幅方向に沿って起立して前記開口下縁領域を閉止する起立位置と該起立位置からコンテナ外側へ倒れて前記開口下縁領域を開放する倒伏位置との間を傾動自在に前記コンテナ本体側に支持される可倒部材と、を備え、
前記コンテナ本体は、前記コンテナ収容室の下方を区画するコンテナ床面を有し、
前記コンテナ床面には、前記コンテナ開口から前記コンテナ収容室に搬入されたパレットが載置され、
前記起立位置の前記可倒部材の内面は、前記コンテナ床面に載置された前記パレットの開口側端部にコンテナ外側から対向するパレット対向面域を有し、
前記起立位置の前記可倒部材の前記パレット対向面域は、前記閉止位置の前記扉の内面よりもコンテナ外側に配置される
ことを特徴とするコンテナ。
【請求項3】
求項2に記載のコンテナであって、
前記可倒部材には、前記起立位置の前記可倒部材の前記内面と前記コンテナ床面に載置された前記パレットの前記開口側端部との間に介在する弾性緩衝材が固定されている
ことを特徴とするコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物が積載されたパレットを積載可能なコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、所定の外形寸法に形成された荷箱のコンテナ(汎用コンテナ)が記載されている。また、特許文献2には、荷物が積載されたパレットを荷物ごとコンテナに積載して搬送することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−117266号公報
【特許文献2】登録実用新案第3001362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンテナの少なくとも一側面には、扉によって開閉されるコンテナ開口が形成されており、扉を閉止した状態でコンテナ内部の奥行寸法(扉の内面から開口対向壁の内面までの内寸距離)が規定される。このため、コンテナに積載可能なパレットの奥行寸法は、コンテナ内部の奥行寸法以下に自ずと制限され、パレットに積載される荷物全体の奥行寸法がコンテナ内部の奥行寸法以下であっても、パレットの奥行寸法がコンテナ内部の奥行寸法よりも長い場合、係るパレット(大型パレット)をコンテナに積載することができない。
【0005】
また、大型パレットを積載するため、扉の薄肉化によりコンテナ内部の奥行寸法を増大させることも可能であるが、コンテナの剛性確保のためには扉の薄肉化にも限界があり、大型パレットの積載とコンテナの剛性確保とを両立させることが難しい。
【0006】
また、大型パレットの場合とは反対に、コンテナ内部の奥行寸法よりも奥行寸法が短く、且つその寸法差が大きいパレット(小型パレット)を積載する場合には、コンテナ内部での奥行方向のパレットの移動を規制するための構造が必要となる。
【0007】
このように、従来のコンテナでは、コンテナの剛性を確保しつつ、積載するパレットの奥行寸法の相違に柔軟に対応することが難しかった。
【0008】
本発明は、上記実状に鑑み、コンテナの剛性を確保しつつ、積載するパレットの奥行寸法の相違に柔軟に対応することが可能なコンテナの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様は、コンテナ収容室を内部に区画する矩形箱体状のコンテナ本体の一側面に、所定の開口高さ及び開口幅を有するコンテナ開口が設けられ、コンテナ収容室がコンテナ開口によってコンテナ外側へ開放されるコンテナであって、扉と可倒部材とを備える。
【0010】
扉は、コンテナ開口の全域のうちコンテナ開口の下端縁から所定高さまでの範囲を開口幅方向に沿って延びる帯状の開口下縁領域を除く開口メイン領域に対応して設けられ、開口メイン領域を閉止する閉止位置と開口メイン領域を開放する開放位置との間を移動自在にコンテナ本体側に支持される。可倒部材は、コンテナ開口の全域のうち開口下縁領域に対応して設けられ、開口幅方向に沿って起立して開口下縁領域を閉止する起立位置と起立位置からコンテナ外側へ倒れて開口下縁領域を開放する倒伏位置との間を傾動自在にコンテナ本体側に支持される。
【0011】
コンテナ本体は、コンテナ収容室の下方を区画し、コンテナ開口からコンテナ収容室に搬入されたパレットが載置されるコンテナ床面を有する。起立位置の可倒部材の内面は、コンテナ床面に載置されたパレットの開口側端部にコンテナ外側から対向するパレット対向面域を有する。
【0012】
荷物が積載されたパレットを荷物ごとコンテナに積載して搬送する場合、扉を閉止位置から開放位置へ移動し、可倒部材を起立位置から倒伏位置へ倒して、コンテナ開口の全域を開放し、パレットをコンテナ開口からコンテナ収容室へ搬入してコンテナ床面の所定位置に載置した後、可倒部材を起立位置まで傾動するとともに、扉を閉止位置まで移動して、コンテナ開口の全域を扉及び可倒部材によって閉止する。
【0013】
上記構成では、起立位置の可倒部材の上端縁を、コンテナ床面に載置されたパレットの上面(開口側端部の上端)以上の高さ位置に設定することにより、開放位置の扉を、コンテナ床面に載置されるパレットの上面よりも上方の高さ位置にて、パレットと干渉することなく閉止位置へ移動させることが可能となる。これにより、コンテナの剛性が十分に確保されるように、扉の厚さをパレットの奥行寸法(コンテナ開口と直交する水平方向の寸法)の影響を受けることなく任意に設定することができる。
【0014】
また、パレットの奥行寸法(コンテナ床面に載置されたパレットの開口側端部の位置)に応じて可倒部材の厚さ(パレット対向面域の位置)を設定することにより(例えば、使用するパレットの奥行寸法に応じてコンテナ本体に取付ける可倒部材を変更する等により)、コンテナ収容室の奥行寸法(閉止位置の扉の内面からコンテナ本体の開口対向壁の内面までの内寸距離)よりも長い奥行寸法のパレット(大型パレット)を使用することや、起立位置の可倒部材とコンテナ本体の開口対向壁とによってパレットの奥行方向の移動を防止することが可能となり、コンテナ本体及び扉の構造を変更することなく、パレットの奥行寸法の相違に柔軟に対応することができる。
【0015】
本発明の第2の態様は、第1の態様のコンテナであって、起立位置の可倒部材のパレット対向面域は、閉止位置の扉の内面よりもコンテナ外側に配置される。
【0016】
上記構成では、コンテナ収容室の奥行寸法よりも長い奥行寸法を有する大型パレットを使用する場合であっても、パレットに積載される荷物全体の奥行寸法がコンテナ収容室の奥行寸法以下であり、且つパレットの奥行寸法がコンテナ収容室の下部の奥行寸法(起立位置の可倒部材のパレット対向面域とコンテナ本体の開口対向壁との間の内寸距離)以下である場合には、荷物が積載されたパレットをコンテナ収容室に収容してコンテナ床面の所定位置に積載した状態で、コンテナ開口の全域を扉及び可倒部材によって閉止することができる。従って、コンテナの外形寸法を変更(増大)することなく、大型のパレットを使用することができる。
【0017】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様のコンテナであって、可倒部材には、起立位置の可倒部材の内面とコンテナ床面に載置されたパレットの開口側端部との間に介在する弾性緩衝材が固定されている。
【0018】
上記構成では、起立位置の可倒部材の内面とコンテナ床面に載置されたパレットの開口側端面との間に弾性緩衝材が介在するので、パレットの開口側端部の損傷を防止しつつ、パレットの奥行方向の移動を阻止することができる。
【0019】
本発明の第4の態様は、第1〜第3の何れかの態様のコンテナであって、可倒部材には、ラッシングベルトを掛け止めるためのラッシングレールが固定されている。
【0020】
上記構成では、コンテナ収容室内における積載物の移動をラッシングベルトによって規制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、コンテナの剛性を確保しつつ、コンテナに積載するパレットの奥行寸法の相違に柔軟に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るコンテナを開閉扉側から視た正面図である。
図2図1のコンテナを斜め上方から視た斜視図であり、(a)はコンテナ開口の全域が閉止(全閉)された状態を、(b)はコンテナ開口の全域が開放(全開)された状態をそれぞれ示す。
図3図1のコンテナのコンテナ開口が全閉された状態を示す側断面図である。
図4図1のコンテナのコンテナ開口が全開された状態を示す側断面図である。
図5図1のコンテナのコンテナ収容室の下部を示す側断面図である。
図6】ロックロッド及び下側のカムキーパを示す正面図である。
図7図6のロックロッド及びカムキーパを斜め上方から視た斜視図であり、(a)は扉ロック状態を、(b)は扉ロック状態からロック解除方向へロックロッドが回転した状態をそれぞれ示す。
図8】プレートロック機構の正面図である。
図9】本発明の変形例を示す側断面図である。
図10】本発明の他の変形例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係るコンテナ1を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1及び図2に示すように、コンテナ1は、コンテナ本体2と、左右の扉3と、ロアプレート(可倒部材)4とを備える。
【0025】
コンテナ本体2は、正面(一側面)にコンテナ開口5を有する矩形箱体状であり、コンテナ本体2の内部には、積載物を収容するためのコンテナ収容室6が区画される。コンテナ本体2は、鉛直方向と略直交する床面体11と、床面体11から上方に離間して床面体11と略平行に対向する天井面体12と、略鉛直に起立して相対向する左右の側壁13と、背面側の開口対向壁14(図5参照)と、矩形箱体の各辺に対応して配置されてコンテナ本体2の骨格となるコンテナフレーム15とから概略構成される。なお、本実施形態では、荷物51が積載されたパレット52を荷物51ごとコンテナ1に積載して搬送する場合について主に説明するが、積載物はこれに限定されるものではない。また、荷物51が積載されたパレット52を、単にパレット52と称する場合がある。
【0026】
コンテナ開口5は、所定の開口高さ及び開口幅を有する矩形状であり、コンテナ収容室6は、コンテナ開口5によってコンテナ外側へ開放される。コンテナフレーム15は、開口下フレーム16と開口上フレーム17と左右の開口横フレーム18とを含み、これら4本のフレーム16,17,18は、コンテナ開口5の外周に沿って矩形枠体状に組付けられる。開口下フレーム16は、開口幅方向に略水平に延びてコンテナ開口5の下方を区画する。開口上フレーム17は、開口下フレーム16から上方に離間し、開口下フレーム16と略平行に開口幅方向に延びて、コンテナ開口5の上方を区画する。左右の開口横フレーム18は、略鉛直方向に延びて開口下フレーム16の両端部と開口上フレーム17の両端部とを連結し、コンテナ開口5の左右をそれぞれ区画する。
【0027】
図8に示すように、左右の側壁13の開口側端面13aは、左右の開口横フレーム18の正面側の外面18aよりも背面側(奥側)で、開口横フレーム18のコンテナ収容室6側の内面18bよりも内側(コンテナ収容室6側)に突出している。
【0028】
図3図5に示すように、床面体11の上方には、コンテナ開口5からコンテナ収容室6へ積載物(例えば、荷物51が積載されたパレット52)を搬入する際に、積載物を下方から支持するとともに、正面側と背面側との間で積載物を容易に移動させるための複数のローラ19が設けられている。各ローラ19は、左右方向(開口幅と略平行な方向)に延びる回転軸20を中心として回転自在にコンテナ本体2側に支持されている。ローラ19は、コンテナ収容室6の下方を区画するとともに、コンテナ開口5からコンテナ収容室6に搬入されたパレット52が載置されるコンテナ床面7として機能する。
【0029】
図1及び図2に示すように、扉3は、左右に分割された観音開きタイプであり、左右の扉3の外端縁部(左の扉3の左端縁部と右の扉3の右端縁部)は、複数(本実施形態では左右4つずつ)の扉ヒンジ21を介して左右の開口横フレーム18にそれぞれ連結され、扉ヒンジ21のヒンジ軸(回転軸)は、略鉛直方向に延びる。左右の扉3は、左右の開口横フレーム18から開口幅方向の中心に向かって開口幅方向に沿って延びる閉止位置(図2(a)参照)と、閉止位置からコンテナ外側へ移動する開放位置(図2(b)参照)との間で、ヒンジ軸を中心として傾動自在である。左右の扉3の高さ(上下幅)は、コンテナ開口5の開口高さよりも短く設定され、左右の扉3によって、コンテナ開口5の全域のうちコンテナ開口5の上端縁からコンテナ開口5の下端縁の上方の所定高さまでの範囲である開口メイン領域5A(図3及び図4参照)が開閉される。なお、左右の扉3は、後述する扉ロック機構23によって閉止位置に解除可能にロックされる。
【0030】
ロアプレート4は、開口幅方向に長細い板状であり、ロアプレート4の下端側は、複数(本実施形態では4つ)のロアヒンジ31を介して開口下フレーム16に連結され、ロアヒンジ31のヒンジ軸(回転軸)32は、開口幅方向に延びる。ロアプレート4は、開口幅方向に沿って略鉛直に起立する起立位置(図2(a)及び図3参照)と、起立位置からコンテナ外側へ倒れる倒伏位置(図2(b)及び図4参照)との間で、ヒンジ軸32を中心として傾動自在である。起立位置のロアプレート4の高さ(ロアプレート4の上縁位置)は、左右の扉3によって開閉される開口メイン領域5Aの下端近傍に設定され、ロアプレート4によって、コンテナ開口5の全域のうちコンテナ開口5の下端縁から上記所定高さまでの範囲である開口下縁領域5B(図3及び図4参照)が開閉される。なお、ロアプレート4は、後述する左右のプレートロック機構33によって起立位置に解除可能にロックされる。
【0031】
このように、ロアプレート4は、コンテナ開口5の全域のうちコンテナ開口5の下端縁から所定高さまでの範囲を開口幅方向に沿って延びる帯状の開口下縁領域5Bに対応して設けられ、開口下縁領域5Bを閉止する起立位置と開口下縁領域5Bを開放する倒伏位置との間を傾動自在にコンテナ本体2側に支持される。また、左右の扉3は、コンテナ開口5の全域のうち開口下縁領域5Bを除く開口メイン領域5Aに対応して設けられ、開口メイン領域5Aを閉止する閉止位置と開口メイン領域5Aを開放する開放位置との間を傾動自在にコンテナ本体2側に支持される。
【0032】
コンテナ開口5の全域は、閉止位置の左右の扉3と起立位置のロアプレート4とによって閉止(全閉)され、係る全閉状態から、左右の扉3を開放位置へ傾動し、ロアプレート4を倒伏位置へ倒すことによって、開放(全開)される。左右の扉3の周縁には、全閉状態で扉3とコンテナフレーム15との間隙及び扉3とロアプレート4との間隙を塞いてコンテナ収容室6の水密性を確保するゴム製のガスケット50(図3及び図8参照)が取付けられている。
【0033】
扉ロック機構23は、ロックロッド24と、上下のカム25と、上下のカムキーパ26とを有する。ロックロッド24は、左右の扉3の各外面に沿って略鉛直方向に延び、扉3の外面にロッドブラケット27によって扉3の外面に回転自在に支持される。本実施形態では、4本(左右の扉3に対して2本ずつ)のロックロッド24が設けられている。上下のカム25は、各ロックロッド24の上端部と下端部とにそれぞれ固定され、ロックロッド24と一体回転する。上側のカムキーパ26は、開口上フレーム17の正面側の外面に固定され、下側のカムキーパ26は、ロアプレート4の外面に固定されている。上側のカム25と下側のカム25とは同様の構造であり、上側のカムキーパ26と下側のカムキーパ26とは同様の構造である。ロアプレート4をプレートロック機構33によって起立位置にロックした状態で、扉3を開放位置から閉止位置へ移動させると、上下のカム25が上下のカムキーパ26にそれぞれ係合し、ロックロッド24が扉ロック方向61へ回転して、扉ロック状態となり(図7(a)参照)、扉3が閉止位置に保持される。また、扉ロック状態において、ロックロッド24をロック解除方向(反扉ロック方向)62に回転しながら扉3を開くことにより、扉3が開移動するとともに、上下のカム25と上下のカムキーパ26との係合が解除されて(図7(b)参照)、開放位置への扉3の移動が許容される。
【0034】
図1に示すように、各ロックロッド24の中間部には、扉3を開閉する際に作業者によって操作される扉ハンドル28が設けられている。扉ハンドル28は、ロックロッド24の軸を含む平面内で上下方向に傾動するようにロックロッド24に対して回転自在に支持され、ロックロッド24の軸と交叉する方向に延びる。ロックロッド24は、扉ハンドル28を扉3に向かって押すことによって扉ロック方向61(図7参照)へ回転し、扉ハンドル28を扉3から離れる方向へ引くことによってロック解除方向62(図7参照)へ回転する。扉3の外面には、ロックロッド24が扉ロック方向61に十分に回転した状態で扉ハンドル28が上方から挿入されて係止可能なハンドルキャッチ(図示省略)が固定されている。扉3を閉止位置に移動して上下のカム25が上下のカムキーパ26にそれぞれ係合し、扉ハンドル28をハンドルキャッチに係止することにより、ロックロッド24の回転が規制され、カム25とカムキーパ26との係合解除が阻止されて、扉3が閉止位置に保持される。扉3を開移動する場合は、扉ハンドル28を持ち上げてハンドルキャッチから外した後、扉ハンドル28を引いてロックロッド24をロック解除方向62へ回転させる。
【0035】
次に、ロアプレート4、ロアヒンジ31及びプレートロック機構33について詳細に説明する。
【0036】
図3図4及び図8に示すように、ロアプレート4は、金属製の板体を曲折することによって形成されるロアプレート本体34と、ロアプレート本体34の両端部に固定されて上方へ延びる金属製平板状の左右1対の延長プレート35とを有する。
【0037】
図3及び図4に示すように、ロアプレート本体34は、コンテナ開口5の全閉状態(ロアプレート4が起立位置にロックされ、且つ左右の扉3が閉止位置にロックされた状態)において、扉3の下端面に下方から対向する一端面部36と、一端面部36のコンテナ内側の内端縁から略鉛直下方へ曲折して延びる末端面部37と、一端面部36のコンテナ外側の外端縁から略鉛直下方へ曲折して延びる第1壁面部38と、第1壁面部38の下端縁からコンテナ外側へ曲折して略水平に延びる段差面部39と、段差面部39のコンテナ外側の外端縁から略鉛直下方へ曲折して延びる第2壁面部40と、第2壁面部40の下端縁からコンテナ内側へ曲折して略水平に延びる他端面部41とを一体的に有し、開口下縁領域5Bの略全域で開口幅方向に沿って起立する。
【0038】
図6に示すように、4つのロアヒンジ31の各々は、ロアプレート本体34に固定される左右1対のヒンジ可動板42と、開口下フレーム16の外面に固定される左右1対のヒンジ固定板43と、開口幅方向に沿って略水平に延びるヒンジ軸32とを有する。ヒンジ可動板42及びヒンジ固定板43は、それぞれ開口幅方向と略直交する金属製平板状であり、ヒンジ可動板42は、ロアプレート本体34の他端面部41に固定されて、第2壁面部40から離れる方向へ延びる。左右のヒンジ固定板43は、左右のヒンジ可動板42の間に配置され、ヒンジ軸32は、左右のヒンジ可動板42及び左右のヒンジ固定板43を貫通する。これにより、ロアプレート4は、ヒンジ軸32を中心として起立位置(図4中に二点鎖線で示す)と倒伏位置(図4中に実線で示す)との間を傾動自在に支持される。
【0039】
図3及び図4に示すように、コンテナ開口5の全閉状態において、ロアプレート4の上端縁8は、ロアプレート本体34の一端面部36によって規定され、ロアプレート本体34の第1壁面部38の外面は、扉3の外面と略同一平面上に位置し、第2壁面部40の外面は、ロッドブラケット27の外端と略同一面上に位置する。下側のカムキーパ26は、第1壁面部38の外面に固定される。
【0040】
コンテナ収容室6にパレット52を収容し、ロアプレート4を起立位置にロックした状態で、ロアプレート4の上端縁8(ロアプレート本体34の一端面部36)は、コンテナ床面7に載置されたパレット52の上面(パレット52の開口側端部53の上端)以上の高さ位置に設定され、ロアプレート本体34の第2壁面部40の上部内面は、パレット52の開口側端部53にコンテナ外側から対向するパレット対向面域9となり、第2壁面部40の下部内面は、開口下フレーム16の外面にコンテナ外側から対向するフレーム対向面域10となる。起立位置のロアプレート4のパレット対向面域9及びフレーム対向面域10は、閉止位置の扉3の内面よりもコンテナ外側に配置される。
【0041】
パレット対向面域9とフレーム対向面域10とには、弾性緩衝材54と弾性シール材55とがそれぞれ貼着等によって固定されている。弾性緩衝材54は、コンテナ収容室6にパレット52を収容し、ロアプレート4を起立位置にロックした状態で、パレット対向面域9とパレット52の開口側端部53との間に介在する。弾性シール材55は、ロアプレート4を起立位置にロックした状態で、開口下フレーム16の正面側の外面に密着する。弾性シール材55によって、コンテナ開口5の全閉時におけるロアプレート4と開口下フレーム16との間の水密性が確保される。
【0042】
図8に示すように、ロアプレート本体34の両端部に固定される左右の延長プレート35は、ロアプレート4を起立位置に設定した状態で左右の側壁13の開口側端面13aにコンテナ外側から重なる。左右のプレートロック機構33の各々は、延長プレート35に回転自在に支持される左右のプレートロックハンドル44と、延長プレート35よりも上方で左右の側壁13の開口側端面13aに固定される係合フック45とを有する。プレートロックハンドル44には、回転軸46を挟んで対峙する係止片部47と操作ハンドル部48とが一体形成されている。係止片部47は、平面視扇形の板片であり、操作ハンドル部48は、回転軸46から略鉛直下方へ延びるプレートロック位置(図8中に実線で示す)と、プレートロック位置から回転軸46を中心として開口幅方向外側へ移動するロック解除位置(図8中に二点鎖線で示す)との間で傾動自在である。プレートロック位置では、プレートロックハンドル44の係止片部47が係合フック45に進入して係合し、ロアプレート4が起立位置に保持される。プレートロックハンドル44をプレートロック位置からロック解除位置へ傾動することにより、係止片部47が係合フック45から外れて、ロアプレート4が起立位置から倒伏位置へ傾動可能となる。開口横フレーム18には、ロック解除位置へ移動するプレートロックハンドル44(操作ハンドル部48)との干渉を回避するための切欠き部18cが形成されている。
【0043】
荷物51が積載されたパレット52を荷物51ごとコンテナ1に積載して搬送する場合、左右の扉3を閉止位置から開放位置へ移動し、ロアプレート4を起立位置から倒伏位置へ倒して、コンテナ開口5を全開し、パレット52をコンテナ開口5からコンテナ収容室6へ搬入してコンテナ床面7の所定位置に載置した後、ロアプレート4を起立位置まで傾動してロックするとともに、左右の扉3を閉止位置まで移動してロックして、コンテナ開口5の全域を左右の扉3及びロアプレート4によって閉止する。
【0044】
本実施形態では、起立位置のロアプレート4の上端縁8を、コンテナ床面7に載置されたパレット52の上面(開口側端部53の上端)以上の高さ位置に設定しているので、開放位置の左右の扉3を、コンテナ床面7上のパレット52の上面よりも上方の高さ位置にて、パレット52と干渉することなく閉止位置へ移動させることができる。
【0045】
従って、コンテナ1の剛性が十分に確保されるように、扉3の厚さをパレット52の奥行寸法Lp(コンテナ開口5と直交する略水平方向の外形寸法)の影響を受けることなく任意に設定することができ、コンテナ1の剛性を確保しつつ、コンテナ1に積載するパレット52の奥行寸法Lpの相違に柔軟に対応することができる。
【0046】
また、コンテナ収容室6の奥行寸法L1(閉止位置の扉3の内面から開口対向壁14の内面までの内寸距離)よりもパレット52の奥行寸法Lpの方が長い大型のパレット52を使用する場合であっても、パレット52上の荷物51の奥行寸法Lgがコンテナ収容室6の奥行寸法L1以下であり、且つパレット52の奥行寸法Lpがコンテナ収容室6の下部の奥行寸法L2(起立位置のロアプレート4のパレット対向面域9から開口対向壁14の内面までの内寸距離)以下である場合には、荷物51が積載されたパレット52をコンテナ収容室6に収容してコンテナ床面7の所定位置に積載した状態で、コンテナ開口5の全域を扉3及びロアプレート4によって閉止することができる。従って、コンテナ1の外形寸法を変更(増大)することなく、大型のパレット52を使用することができる。
【0047】
例えば、ロアプレート4を備えずに左右の扉のみによってコンテナ開口を開閉するコンテナでは、使用可能なパレットは、コンテナ収容室の奥行寸法L1よりもパレットの奥行寸法Lpが短いパレットに制限される。このため、例えば、コンテナ収容室の奥行寸法L1が2275mmである鉄道輸送用(貨物用)のコンテナの場合、奥行寸法Lpが2275mmよりも長い大型のパレット52(例えば、奥行寸法Lpが約2438.4mmである航空輸送用のパレット)をコンテナ収容室に入れると、左右の扉がパレット52に干渉してコンテナ開口を閉止することができない。
【0048】
これに対し、本実施形態では、起立位置のロアプレート4の上端縁8を、コンテナ床面7に載置されたパレット52の上面以上の高さ位置に設定し、起立位置のロアプレート4のパレット対向面域9を、閉止位置の扉3の内面よりもコンテナ外側に配置しているので、鉄道輸送用のコンテナ1に航空輸送用のパレット52を使用する場合であっても、パレット52をコンテナ収容室6に収容してコンテナ開口5を全閉することができる。
【0049】
また、起立位置のロアプレート4の内面とコンテナ床面7に載置されたパレット52の開口側端部53との間に弾性緩衝材54が介在するので、パレット52の開口側端部53の損傷を防止しつつ、パレット52の奥行方向の移動を阻止することができる。
【0050】
さらに、パレットの奥行寸法Lpに応じてロアプレート4の厚さ寸法(パレット対向面域9の位置)を設定する(例えば、使用するパレットの奥行寸法Lpに応じてコンテナ本体2に取付けるロアプレート4を変更する等)ことにより、上述のようにコンテナ収容室6の奥行寸法L1よりも長い奥行寸法Lpの大型のパレット52を使用することや、起立位置のロアプレート4とコンテナ本体2の開口対向壁14とによってパレット全体の奥行方向の移動を防止すること等が可能となり、コンテナ本体2及び扉3の構造を変更することなく、ロアプレート4の変更によってパレット全体の奥行寸法Lpの相違に柔軟に対応することができる。
【0051】
例えば、パレット全体の奥行寸法Lpが上記航空輸送用のパレット52よりも短くなる場合(例えば、上記鉄道輸送用のコンテナ1に対して一般輸送用のパレット56(奥行寸法:1100mm)を奥行方向に2枚並べて使用(パレット全体の奥行寸法Lp:2200mm)する場合)には、図9及び図10に示すように、起立位置でのパレット対向面域29が扉3の内面よりもコンテナ内側に突出するロアプレート70を使用すればよい。この場合、ロアプレート70に弾性緩衝材54を固定してもよく(図9参照)、積載物の移動を規制するラッシングベルト(緊縛用ベルト)57を掛け止めするためのラッシングレール30を弾性緩衝材54に代えて又は加えてロアプレート70のパレット対向面域29に固定してもよい(図10参照)。ラッシングレール30は、ハット形の横断面形状を有する金属板材の成形製品であり、ハット形横断面形状の頂部平坦部には、I型等の長孔形状の係止孔(図示省略)が、ラッシングレール30の長手方向(開口幅方向)に所定間隔を隔てて多数設けられている。ラッシングレール30の係止孔に、ラッシングベルト57の一端に設けられた係止金具58を係止することにより、ラッシングベルト57の一端がラッシングレール30に掛け止められる。開口対向壁14(図5参照)の内面にも、開口側のロアプレート70と同様に、ラッシングベルト57の他端が掛け止めされるラッシングレール(図示省略)が固定されている。ラッシングベルト57の一端及び他端を、ロアプレート70のラッシングレール30と開口対向壁14のラッシングレールとに掛け止めることにより、ラッシングベルト57がコンテナ収容室6内で奥行方向に張り渡され、係るラッシングベルト57によって積載物(パレットや積荷)の左右方向(奥行方向と交叉する方向)への移動を規制することができる。
【0052】
また、パレット全体の奥行寸法Lpが上記航空輸送用のパレット52よりも長くなる場合(例えば、冷凍倉庫用のパレット(奥行寸法:1200mm)を奥行方向に2枚並べて使用(パレット全体の奥行寸法Lp:2400mm)する場合)には、奥行寸法の短い弾性緩衝材が固定されたロアプレートや弾性緩衝材及びラッシングレールを省略したロアプレートを使用すればよい。
【0053】
なお、上述の実施形態は本発明の一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、上述の実施形態以外であっても種々の変更が可能であることは勿論である。
【0054】
例えば、上記実施形態では、コンテナ1の正面側のみにコンテナ開口5を設けたが、コンテナの背面側にもコンテナ開口及び扉を設けてもよく、さらにコンテナの背面側にもロアプレートを設けてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1:コンテナ
2:コンテナ本体
3:左右の扉
4,70:ロアプレート(可倒部材)
5:コンテナ開口
5A:開口メイン領域
5B:開口下縁領域
6:コンテナ収容室
7:コンテナ床面
8:ロアプレートの上端縁
9,29:パレット対向面域
10:フレーム対向面域
11:床面体
12:天井面体
13:左右の側壁
13a:側壁の開口側端面
14:開口対向壁
15:コンテナフレーム
16:開口下フレーム
17:開口上フレーム
18:左右の開口横フレーム
18a:開口横フレームの正面側の外面
18b:開口横フレームのコンテナ収容室側の内面
18c:開口横フレームの切欠き部
19:ローラ
20:ローラの回転軸
21:扉ヒンジ
23:扉ロック機構
24:ロックロッド
25:上下のカム
26:上下のカムキーパ
27:ロッドブラケット
28:扉ハンドル
30:ラッシングレール
31:ロアヒンジ
32:ロアヒンジのヒンジ軸
33:プレートロック機構
34:ロアプレート本体
35:延長プレート
36:ロアプレート本体の一端面部
37:ロアプレート本体の末端面部
38:ロアプレート本体の第1壁面部
39:ロアプレート本体の段差面部
40:ロアプレート本体の第2壁面部
41:ロアプレート本体の他端面部
42:ロアヒンジのヒンジ可動板
43:ロアヒンジのヒンジ固定板
44:プレートロックハンドル
45:係合フック
46:プレートロックハンドルの回転軸
47:プレートロックハンドルの係止片部
48:プレートロックハンドルの操作ハンドル部
50:ガスケット
51:荷物
52,56:パレット
53:開口側端部
54:弾性緩衝材
55:弾性シール材
57:ラッシングベルト(緊縛用ベルト)
58:ラッシングベルトの係止金具
61:扉ロック方向
62:ロック解除方向(反扉ロック方向)
L1:コンテナ収容室の奥行寸法
L2:コンテナ収容室の下部の奥行寸法
Lp:パレットの奥行寸法
Lg:パレット上の荷物の奥行寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10