(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記磁界信号の正のピークおよび負のピークをそれぞれ表す正のピーク信号または負のピーク信号の少なくとも1つを受信するように接続され、前記正のピーク信号または負のピーク信号の少なくとも1つに従って、前記測定閾値を生成するように構成された、測定閾値モジュールをさらに備えた、請求項1に記載の磁界センサ。
複数の正のピーク値を有する正のピーク信号、または複数の負のピーク値を有する負のピーク信号の少なくとも1つを受信するように接続された、測定閾値モジュールをさらに備え、前記複数の正のピーク値は、前記磁界信号の異なる正のピークをそれぞれ表し、前記複数の負のピーク値は、前記磁界信号の異なる負のピークをそれぞれ表し、前記測定閾値モジュールは、前記複数の正のピーク値および/または前記複数の負のピーク値を組み合わせて、前記測定閾値を生成するように構成された、請求項1に記載の磁界センサ。
前記測定閾値モジュールは、前記正のピーク信号の複数の値からの正の最大ピーク値、前記正のピーク信号の複数の値からの正の最小ピーク値、前記負のピーク信号の複数の値からの負の最大ピーク値、または前記負のピーク信号の複数の値からの負の最小ピーク値のうちの少なくとも1つを選択するように構成されるとともに、少なくとも1つの選択された値に応じて、前記測定閾値を生成するように構成された、請求項3に記載の磁界センサ。
前記複数の格納時刻のうちの別の1つは、前記複数の測定閾値のうちの1つが複数の前記格納測定閾値のうちの1つから所定量異なる時刻に生じる、請求項1に記載の磁界センサ。
前記複数の格納時刻のうちの別の1つは、前記比較検出器出力信号の状態変化率が、前記磁界センサ内で生成された他の信号の状態変化率と異なる時刻に生じる、請求項1に記載の磁界センサ。
前記複数の測定閾値のうちの1つと複数の前記格納測定閾値のうちの1つとを比較するように構成され、前記複数の測定閾値のうちの1つと複数の前記格納測定閾値のうちの1つとが所定量を超えて異なる場合に不合格値を生成するように構成された診断モジュールをさらに備えた、請求項1に記載の磁界センサ。
複数の正のピーク値を有する正のピーク信号、または複数の負のピーク値を有する負のピーク信号の少なくとも1つを受信するステップであって、前記複数の正のピーク値は、前記磁界信号の異なる正のピークをそれぞれ表し、前記複数の負のピーク値は、前記磁界信号の異なる負のピークをそれぞれ表す、ステップと、
前記複数の正のピーク値または前記複数の負のピーク値の少なくとも1つの組み合わせに応じて、前記測定閾値を生成するステップと
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
前記正のピーク信号の複数の値からの正の最大ピーク値、前記正のピーク信号の複数の値からの正の最小ピーク値、前記負のピーク信号の複数の値からの負の最大ピーク値、または前記負のピーク信号の複数の値からの負の最小ピーク値のうちの少なくとも1つを、選択するステップと、
前記測定閾値を、前記少なくとも1つの選択された値に応じて生成するステップと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
前記複数の格納時刻のうちの別の1つは、前記複数の測定閾値のうちの1つが複数の前記格納測定閾値のうちの1つから所定量異なる時刻に生じる、請求項12に記載の方法。
前記複数の格納時刻のうちの別の1つは、前記比較検出器出力信号の状態変化率が、前記磁界センサ内で生成された他の信号の状態変化率と異なる時刻に生じる、請求項12に記載の方法。
前記比較検出器は、複数の前記格納測定閾値を前記磁界信号と比較して、前記比較検出器出力信号を生成するように構成されたアナログ回路を含む、請求項1に記載の磁界センサ。
前記比較検出器は、複数の前記格納測定閾値を前記磁界信号と比較して、前記比較検出器出力信号を生成するように構成されたアナログ回路を含む、請求項12に記載の方法。
前記比較検出器は、前記比較閾値を前記磁界信号を表す信号と比較して、前記比較検出器出力信号を生成するように構成されたデジタル回路を含む、請求項1に記載の磁界センサ。
前記比較検出器は、前記比較閾値を前記磁界信号を表す信号と比較して、前記比較検出器出力信号を生成するように構成されたデジタル回路を含む、請求項12に記載の方法。
前記磁界信号を受信するように接続され、振幅を含む信号特性を有する温度補償信号を生成するように構成された温度補償回路をさらに備える、請求項28に記載の磁界センサ。
前記複数の格納時刻のうちの別の1つは、前記複数の測定閾値のうちの1つが複数の前記格納測定閾値のうちの1つから所定量異なる時刻に生じる、請求項28に記載の磁界センサ。
前記複数の格納時刻のうちの別の1つは、前記比較回路出力信号の状態変化率が、前記磁界センサ内で生成された他の信号の状態変化率と異なる時刻に生じる、請求項28に記載の磁界センサ。
前記複数の測定閾値のうちの1つと複数の前記格納測定閾値のうちの1つとを比較するように構成され、前記複数の測定閾値のうちの前記1つと複数の前記格納測定閾値のうちの前記1つとが所定量を超えて異なる場合に不合格値を生成するように構成された診断モジュールをさらに備える、請求項28に記載の磁界センサ。
前記複数の格納時刻のうちの別の1つは、前記複数の測定閾値のうちの1つが複数の前記格納測定閾値のうちの1つから所定量異なる時刻に生じる、請求項36に記載の方法。
前記複数の格納時刻のうちの別の1つは、前記比較回路出力信号の状態変化率が、前記磁界センサ内で生成された他の信号の状態変化率と異なる時刻に生じる、請求項36に記載の方法。
前記磁界信号を受信するように接続され、振幅を含む前記信号特性を有する温度補償信号を生成するように構成された温度補償回路をさらに備える、請求項44に記載の磁界センサ。
前記複数の格納時刻のうちの別の1つは、前記複数の測定閾値のうちの1つが複数の前記格納測定閾値のうちの1つから所定量異なる時刻に生じる、請求項44に記載の磁界センサ。
前記複数の格納時刻のうちの別の1つは、前記比較回路出力信号の状態変化率が、前記磁界センサ内で生成された他の信号の状態変化率と異なる時刻に生じる、請求項44に記載の磁界センサ。
前記複数の測定閾値のうちの1つと複数の前記格納測定閾値のうちの1つとを比較するように構成され、前記複数の測定閾値のうちの前記1つと複数の前記格納測定閾値のうちの前記1つとが所定量を超えて異なる場合に不合格値を生成するように構成された診断モジュールをさらに備える、請求項44に記載の磁界センサ。
前記磁界信号に関する温度補償信号を生成するステップであって、前記温度補償信号は、振幅を含む前記信号特性を含む、ステップをさらに含む、請求項52に記載の方法。
前記複数の格納時刻のうちの別の1つは、前記複数の測定閾値のうちの1つが複数の前記格納測定閾値のうちの1つから所定量異なる時刻に生じる、請求項52に記載の方法。
前記複数の格納時刻のうちの別の1つは、前記比較回路出力信号の状態変化率が、前記磁界センサ内で生成された他の信号の状態変化率と異なる時刻に生じる、請求項52に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本発明について説明する前に、いくつかの導入的な概念および用語について説明する。
【0060】
ここで用いられるように、「磁界検知素子」という用語は、磁界を検知可能な様々な電子素子について記述するために用いられる。磁界検知素子は、ホール効果素子、磁気抵抗素子、または磁気トランジスタであり得るが、それに限定されるものではない。既知の如く、様々な種類のホール効果素子があり、たとえば、平面ホール素子、垂直ホール素子、および円形垂直ホール(CVH)素子がある。既知の如く、様々な種類の磁気抵抗素子があり、たとえば、アンチモン化インジウム(InSb)、巨大磁気抵抗(GMR)素子、異方性磁気抵抗素子(AMR)、トンネル型磁気抵抗(TMR)素子、および磁気トンネル接合(MTJ)などの半導体磁気抵抗素子である。磁界検知素子は、単一の素子であってもよいが、たとえば、ハーフブリッジまたはフル(ホイートストン)ブリッジなど、様々な構成で配列される2つ以上の磁界検知素子を含んでもよい。デバイスの種類および他の用途の要件次第で、磁界検知素子は、シリコン(Si)またはゲルマニウム(Ge)のようなIV型半導体材料であってもよく、ガリウムヒ素(GaAs)や、または、たとえばアンチモン化インジウム(InSb)などのインジウム化合物のようなIII−V型半導体材料であってもよい。
【0061】
複数の垂直磁界検知素子を含む別の種類の磁界検知素子である、上述の「円形垂直ホール」(CVH)検知素子は、既知であり、「Magnetic Field Sensor for Measuring Direction of a Magnetic Field in a Plane(平面内の磁界の方向を測定する磁界センサ)」という名称で2008年5月28日に出願された国際特許出願第PCT/EP2008056517号であって、英語にて国際公開第WO2008/145662号として発行されたものに記載されている。この出願および公報は、その全てが参照により本明細書に組み込まれる。CVH検知素子は、基板における共通円形注入領域(common circular implant region)(たとえば、エピタキシャル領域)上に、複数の垂直ホール素子を円形に配列したものを含む。CVH検知素子は、基板平面における磁界の方向(および必要に応じて強度)を検知するために利用可能である。
【0062】
既知の如く、上述の磁界検知素子のうちのあるものは、磁界検知素子を支持する基板に平行な最大感度軸を有する傾向があり、上述の磁界検知素子のうちの他のものは、磁界検知素子を支持する基板に垂直な最大感度軸を有する傾向がある。特に、平面ホール素子は、基板に垂直な感度軸を有する傾向があるが、金属ベースまたは金属磁気抵抗素子(たとえば、GMR、TMR、AMR)および垂直ホール素子は、基板に平行な感度軸を有する傾向がある。
【0063】
ここで用いられるように、「磁界センサ」という用語は、一般に、他の回路と組み合わせて、磁界検知素子を用いた回路を表現するために使用される。磁界センサは、磁界の方向の角度を検知する角度センサ、通電した導体に流れる電流により発生した磁界を検知する電流センサ、強磁性体が近接したことを検知する磁気スイッチ、たとえばリング磁石の磁気領域などの強磁性物体の通過を検知する回転検出器、および磁界の磁界密度を検知する磁界センサなどの様々な用途に用いられるが、それに限定されるものではない。
【0064】
ホール効果素子を用いた例示的回路および方法が以下に説明されるが、他の実施形態では、同一または同様の技術が、他の種類の磁界検知素子と組み合わせて利用可能である。
【0065】
回転検出器型の磁界センサが図示され、以下に例として説明される。ただし、同一または同様の技術が、任意の磁界センサ、望ましくは、温度逸脱(temperature excursion)に遭遇する任意の磁界センサに適用可能であり、磁界センサの電源オフ時に閾値を格納することが望ましい。
【0066】
図1を参照すると、例示的な磁界センサ機構10は、磁界センサ12を含む。磁界センサ12は、電子回路18と接続された磁界検知素子16を有する磁界検知回路14を含む。電子回路18は、比較検出器18を含み得る。比較検出器18は、ある種の実施形態では、真のパワーオン状態(TPOS)検出器18aと、精密回転検出器18bであってもよく、双方とも以下にさらに充分に説明される。
【0067】
また、磁界センサ12は、磁石20をも含む。磁石20は、軸22に沿った方向の磁界を生成するように構成される。電子回路18は、出力信号24を生成するように構成される。この信号は、磁界センサ12の起動に近い時間期間には、TPOS検出器18aにより生成され、その後は精密回転検出器により生成可能である。
【0068】
また、磁界センサ機構10は、特徴部26a、26b、26c、26dを有するカム26(たとえば、ギヤ)をも含み得る。カム26は、たとえば、方向32に回転するように構成されたシャフト30(すなわち、対象物)上に、配置され得る。
【0069】
動作中は、カム26が回転すると、カムの特徴部26a、26b、26c、26dは、磁石20によって生成された磁界を遮断する。磁石20によって生成された磁界の遮断は、磁界検知素子16に検知され、出力信号24における状態遷移という結果になる。
【0070】
カムの特徴部26a、26b、26c、26dの固有の配列および間隔により、結果的に、TPOS検出器18aは、TPOSカム26がわずかな角度回転しただけで遷移するTPOS出力信号24を、提供可能となる。ある種の実施形態では、この信号は、エンジン制御コンピュータにより解釈されて、カム26およびカム26が配置されるシャフト30の絶対回転角が生成可能となる。
【0071】
さらに、以下に説明する回路および技術により、TPOS検出器18aは、磁界センサ12の起動時に、磁界センサ12が、ギヤ歯に近接しているか、またはギヤの谷に近接しているかどうかについての示度を提供可能となる。
【0072】
次に
図2を参照すると、グラフ50は、たとえば、0度から360度という、対象物の回転角度単位の尺度での横軸を有する。また、グラフ50は、任意の単位による電圧単位の尺度での縦軸を含む。信号52は、たとえば、磁界検知素子16と関連した、
図1の磁界センサ12内で生成された磁界信号と同一かまたは同様である。
図1のカム26が回転するにつれて、カム26の特徴部26a、26b、26c、26dが
図1の磁界検知素子16を通過するため、信号52の高状態期間は、これらの特徴部に対応することが、理解されるであろう。
【0073】
磁界信号52は、連続したアナログ値を有するアナログ形式で示されているが、サンプリングされたアナログ値と同等の離散デジタル値を有する信号であってもよい。信号52は電圧信号として示されるが、他の実施形態では、信号52は、電流信号である。
【0074】
所定の閾値54が図示され、
図3と組み合わせて、以下にさらに説明される。所定の閾値54は、従来のTPOS検出器で用いられるものと同様である。複数の格納測定閾値のうちの1つに応じて(異なる時点で)算出された比較閾値56も図示され、
図3と組み合わせて、以下にさらに説明される。複数の格納測定閾値のうちの1つに応じて算出された比較閾値56は、従来のTPOS検出器では用いられていない。
【0075】
ここで用いられるように、「比較閾値」および「TPOS閾値」という用語は、実質的に同じ閾値を意味するものとして使用される。
【0076】
次に
図3を参照すると、グラフ70は、たとえば、0度から360度という、対象物の回転角度単位の尺度での横軸を有する。また、グラフ70は、任意の単位による電圧単位の尺度での縦軸を含む。
【0077】
信号74には、2つの状態があり、両者間の遷移の位置は、
図2の信号52が、所定の閾値54と上下に交差することにより、判別される。信号72には、2つの状態があり、両者間の遷移の位置は、
図2の信号52が、算出閾値56と上下に交差することにより、判別される。したがって、
図2の信号52と比較するために利用される閾値の位置すなわち値の変化は、結果として得られた両状態信号の遷移すなわちエッジの位置に影響することが、理解されるであろう。上述のように、自動車分野を含むがそれに限らない多くの用途に利用される場合、エッジの位置は、自動車が適切に動作するために非常に重要となり得る。
【0078】
上述のように、磁界信号52は、たとえば、温度、および磁界センサと検知対象のカムまたはギヤとの空隙などの様々な環境ならびに電子的要因により、振幅が変化し得る。たとえば、温度、
図1の磁界検知素子16とカム26との間の空隙、または他のパラメータにより、正のピークおよび負のピークの振幅が変化しても、磁界信号52の正のピークと負のピークとの間の好適な位置にある
図2の算出閾値56と同等の閾値信号を維持することが望ましい。このような配列で、結果として得られた2つの状態信号72のエッジは、磁界信号52の正負のピークの振幅が変化し、また非対称に変化したとしても、同じ位置にとどまり得る。
【0079】
図4を参照すると、磁界センサ400は、電流源404により駆動されるホール効果素子402を含む。ホール効果素子402は、磁界が、たとえば、磁界センサ400に近接するかまたはセンサ内に配置された磁石403により生成されると、その磁界に応答する。ギヤ450が回転すると、結果として、ホール効果素子により検知された磁界が変化し、また、ギヤ450が回転すると、磁界信号402aが交流信号になる結果をもたらし得る。
【0080】
ホール効果素子が図示されているが、任意の種類の磁界検知素子が利用可能である。また、単一の磁界検知素子が図示されているが、他の実施形態では、たとえば異なる配列で接続された2つ以上の磁界検知素子があってもよい。
【0081】
磁界センサ400は、アンプ408と、プログラマブルフィルタであり得るフィルタ410と、加算回路412と、アンプ414とを備えた信号経路(アナログまたはデジタルまたは混合)を含む。ホール効果素子402は、磁界に応じて磁界信号402aを生成するように構成される。アンプ408(たとえば、ゲイン調整可能アナログ回路)は、磁界信号402aを受信するとともにゲイン制御信号416aを受信するように接続され、ゲイン調整された信号408aを生成するように構成されている。フィルタ410は、ゲイン調整された信号408aを受信するように接続されるとともに、フィルタ処理された信号410aを生成するように構成されている。加算回路412(たとえば、オフセット調整可能アナログ回路)は、フィルタ処理された信号410aを受信するとともにオフセット制御信号418aを受信するように接続され、オフセット調整された信号412aを生成するように構成されている。アンプ414は、オフセット調整された信号412aを受信するように接続され、ゲインおよびオフセット補正を有する出力信号414aを生成するように構成されている。
【0082】
出力信号414aは、磁界センサ402に対して回転ギヤ450(または他の強磁性体または磁性体)があるときに振幅を有することが、理解されるであろう。また、出力信号414aには、オフセットが残っていることもある。
【0083】
また、アンプ408、414により実装される回路機能の順番は、ここに説明される一般的な機能を変更することがない任意の順番であってよいことも、理解されるであろう。また、回路機能が、アナログまたはデジタル領域のいずれかでなされることも、理解されるであろう。
【0084】
他のある種の実施形態では、オフセット温度補償がなされず、この場合、温度センサ420およびADC422は不要であり、オフセット温度補正係数をEEPROM442内に格納する必要はない。
【0085】
他のある種の実施形態では、ゲイン温度補償がなされず、この場合、温度センサ420およびADC422は不要であり、ゲイン温度補正係数をEEPROM442内に格納する必要はない。
【0086】
他のある種の実施形態では、ゲイン温度補償もオフセット温度補償も実行されず、この場合、少なくとも、セグメントプロセッサ424、係数テーブルEEPROM442、温度センサ、およびADC422は、必要ではない。これらの実施形態では、信号414aは、温度補償のない中間信号である。
【0087】
また、磁界センサ400は回転モジュール417をも含む。このモジュールは、出力信号414aを受信するように接続されるとともに、少なくともギヤ450の回転を示し、必要に応じてギヤ450の回転速度を示し、必要に応じてギヤ450の回転方向を示す回転出力信号を生成するように、構成されている。回転モジュール417は、図
8と組み合わせて以下に説明される。回転モジュールが、比較検出器(たとえば、TPOS検出器)と
、精密回転検出器の少なくとも一部とを含むことが、充分であるといえる。
【0088】
また、磁界センサ400は、温度センサ420を含み、この温度センサ420は、磁界センサ400の他の回路と同じ基板上に配置されることが好ましい。温度センサ420は、温度センサ420が遭遇する温度を表す温度信号420aを生成するように構成されている。アナログデジタル変換器(ADC)422は、温度信号420aを受信するように接続され、温度信号420aを表すデジタル温度信号422aを生成するように構成されている。
【0089】
磁界センサ400は、デジタル温度信号422aを受信するように接続されたセグメントプロセッサ424を含み得る。セグメントプロセッサ424がいくつかの機能を実行するように構成されることが、以下の考察から明らかとなるであろう。セグメントプロセッサ424は、デジタル温度信号422a(すなわち、温度信号420a)が低下する温度セグメントを特定するように構成される。また、セグメントプロセッサ424は、特定された温度セグメントと関連付けられたゲイン補正係数442aの対および/またはオフセット補正係数442bの対を受信するように接続されてもよい。ゲイン補正係数442aの対および/またはオフセット補正係数442bの対は、特定された温度セグメントを規定する温度と関連付けられている。ゲイン補正係数442aの対および/またはオフセット補正係数442bの対は、制御信号426cを通じてセグメントプロセッサ424から要求され得る。
【0090】
セグメントプロセッサ424は、デジタル温度信号422aに応じて、ゲイン補正係数442aの対を補間して、センサゲイン補正値430aを生成するように構成され得る。ゲイン制御信号416aは、センサゲイン補正値430aに関連するとともにこの値により決定されるアナログ信号であり得る。
【0091】
また、セグメントプロセッサ424は、デジタル温度信号422aに応じて、オフセット補正係数442bの対を補間して、センサオフセット補正値432aを生成するように構成され得る。オフセット制御信号418aは、センサオフセット補正値432aに関連するとともにこの値により決定されるアナログ信号であり得る。
【0092】
セグメントプロセッサ424は、デジタル信号または値を処理するデジタル回路であってもよいことが、理解されるであろう。セグメントプロセッサ424は、上述のアナログ回路のゲインおよび/またはオフセットを制御する。
【0093】
また、磁界センサ400は、複数のゲイン補正係数および/または複数のオフセット補正係数を保持するように構成されたEEPROM442を含み得る。これらの係数は、複数の温度セグメントの温度境界と関連付けられている。ある種の実施形態では、選択された5つの温度境界があり、各境界は、それぞれゲイン補正係数(TDSense)およびオフセット補正係数(DQVO)と関連付けられている。
【0094】
複数のゲイン補正係数および複数のオフセット補正係数は、磁界センサ400の製造時に、または、その後の任意の時点で、シリアル通信リンクであり得る通信リンク438上で、信号438aを介して、EEPROM442内に格納され得る。複数のゲイン補正係数および複数のオフセット補正係数を定める方法について、
図7と組み合わせて以下に説明する。
【0095】
また、磁界センサ400は、ユーザゲイン補正値444aをセグメントプロセッサ424に提供するように接続された、ユーザゲイン補正EEPROM444を含み得る。また、磁界センサ400は、ユーザオフセット補正値446aをセグメントプロセッサ424に提供するように接続された、ユーザオフセットEEPROM446を含み得る。ユーザゲインEEPROM444は、ユーザゲイン補正値444aを、信号438cを介して、通信リンク438上で受信可能である。ユーザオフセットEEPROM446は、ユーザオフセット補正値446aを、信号438dを介して、通信リンク438上で受信可能である。
【0096】
また、磁界センサ400は、補間制御信号440aをセグメントプロセッサ424へ提供するように接続された、プログラム制御EEPROM440を含み得る。補間制御については、以下にさらに充分に説明する。プログラム制御EEPROM440は、補間制御信号440aを、信号438bを介して、通信リンク438上で受信し得る。
【0097】
セグメントプロセッサ424は、デジタル温度信号422aを受信するように接続されるとともにゲイン補正係数442aの対および/またはオフセット補正係数442bの対を受信するように接続された、補間プロセッサ426を備え得る。また、ある種の実施形態では、補間プロセッサ426は、制御信号440aを受信するように接続され得る。制御信号440aは、ゲインの種類および/または補間プロセッサ426により実行されるオフセット補間を、決定することができる。補間の種類については、以下にさらに説明する。
【0098】
補間プロセッサ426は、補間されたゲイン補正値426aおよび/または補間されたオフセット補正値426bを生成するように構成されている。その目的のために、補間プロセッサ426は、デジタル温度信号422a(すなわち、温度信号420a)が低下する上述の温度セグメントを特定するように構成される。また、補間プロセッサ426は、特定された温度セグメントを規定する2つの温度と関連付けられた、上述のゲイン補正係数442aの対および/または上述のオフセット補正係数442bの対を受信するように、接続される。
【0099】
補間プロセッサ426は、デジタル温度信号422aを用いて、測定された温度が、複数の温度セグメントのうちのどの中にあるかを特定することができる。したがって、適切なゲイン補正係数442aの対および/またはオフセット補正係数442bの対は、制御信号426cにより、補間プロセッサ426から要求され得る。
【0100】
磁界センサ400は、補間されたゲイン補正値426aおよび/または補間されたオフセット補正値426bを受信するように接続されるとともに、ユーザゲイン補正値444aおよび/またはユーザオフセット補正値446aを受信するように接続された、結合プロセッサ428を備え得る。結合プロセッサ428は、補間されたゲイン補正値426aを、ユーザゲイン補正値444aと結合し、および/または補間されたオフセット補正値426bを、ユーザオフセット補正値446aと結合するように構成されている。したがって、結合プロセッサ428は、結合ゲイン補正値428aおよび/または結合オフセット補正値428bを生成するように構成され、これらの値は、ゲイン調整レジスタ430およびオフセット調整レジスタ432に、それぞれ格納され得る。
【0101】
デジタルアナログ変換器(DAC)434は、格納されたゲイン補正値430aを受信するように接続されるとともに、ゲイン制御信号416aを生成するように構成されたゲイン調整回路416により受信されるゲイン補正信号434aを生成するように構成され得る。DAC436は、格納されたオフセット補正値432aを受信するように接続されるとともに、オフセット制御信号418aを生成するように構成されたオフセット調整回路418により受信されるオフセット補正信号436aを生成するように構成され得る。
【0102】
ここにはDACS434、436が示されているが、上述の実施形態のうち、様々な回路機能がデジタル領域でなされるものにおいては、DACS434、436はなくともよい。
【0103】
特定の一実施形態では、補間されたゲイン補正値426aを得るために、補間プロセッサ426により実行されるゲイン補間は、以下の形式の線形補間である。
【0105】
ここで、CoeffAおよびCoeffBは、特定された温度セグメントを規定するゲイン補正係数442aの対であり、temp[4:0]は、デジタル温度信号422aの下位5ビットを表し、これらは、7ビット値となり得る。
【0106】
ある種の実施形態では、補間プロセッサ426は、複数のゲイン(感度)の処理の選択肢を保持し、処理の選択肢(補間の種類、すなわち上述の等式)は、制御信号440aに応じて選択される。
【0107】
いくつかの種類の補間、たとえば、高次補間が、3つ以上の補正係数を利用することになるので、ある種の実施形態は、各温度セグメントと関連付けられた3つ以上のゲインおよび/またはオフセット補正係数を格納して用いる。
【0108】
ある種の実施形態では、結合プロセッサ428は、以下の等式に従って、補間されたゲイン補正値426aをユーザゲイン補正値444aと組み合わせ、結果的に結合ゲイン補正値428aを得る。
【0110】
ここで、SENS
FINEは、ユーザゲイン補正値444aであり、K
DEVは、特定の種類の磁界センサの感度を表すデバイス固有の定数である(たとえば、十進法で74または十進法で206)。
【0111】
特定の一実施形態では、補間されたオフセット補正値426bを得るために、補間プロセッサ426により実行されるオフセット補間は、以下の形式の線形補間である。
【0113】
ここで、CoeffAおよびCoeffBは、特定された温度セグメントを規定するオフセット補正係数442bの対であり、temp[4:0]は、デジタル温度信号442aの下位5ビットを表し、これらは、7ビット値になり得る。
【0114】
上述のように、ある種の実施形態では、補間プロセッサ426は、複数のオフセットの処理の選択肢を保持し、処理の選択肢(補間の種類、すなわち上述の等式)は、制御信号440aに応じて選択される。ある種の実施形態では、この選択は、以下の線形補間の複数の種類からなされる。各種類は、2倍ずつ異なる(1ビットシフト)。
【0118】
ある種の実施形態では、結合プロセッサ428は、以下の等式に従って、補間されたオフセット補正値426bをユーザオフセット補正値446aと組み合わせ、結果的に結合オフセット補正値428bを得る。
【0120】
ここで、QVOは、ユーザオフセット補正値446aである。
【0121】
予期されるとおり、上述のゲインおよびオフセットの等式から、ユーザゲイン補正値444aは積に適用され、ユーザオフセット補正値446aは和に適用されることが、理解されるであろう。
【0122】
次に、
図5を参照すると、グラフ500は、百分率で変化する感度単位の尺度での縦軸508を有する。第1の横軸510は、磁界センサ(すなわち、
図4の温度センサ420による)が遭遇する摂氏温度単位の尺度である。第2の横軸512は、温度を表す7ビットのデジタル符号に対応した単位の尺度であるが、0から127までの十進数単位になっている。軸512は、
図4のデジタル温度信号422aに対応する。
【0123】
特性曲線502は、ゲイン補正値が適用されていない磁界センサの相対感度(室温506での感度が基準)を表す。特性曲線502により表された相対感度は、低温では低くなる傾向があり、高温では高くなる傾向があることがわかる。
【0124】
第1の温度である−40℃で、ゲイン補正係数504a(TDSense0(
図4))は、特性曲線502の相対感度の低下とは反対になっている。ゲイン補正係数504aは、磁界センサが温度−40度に遭遇するときに、磁界センサに適用可能であり、室温506における感度から実質的に感度変化しない結果となることが、理解されるであろう。同様に、他のゲイン補正係数504b、504c、504d、504e(それぞれTDSense1、TDSense2、TDSense3、TDSense4(
図4))は、個々の温度にて、室温506における感度から実質的に感度変化しないようにするために、関連付けられた他の温度(それぞれ11.25、62.5、113.75、165.00℃)に適用可能である。
【0125】
5つの温度セグメントが図示されている。すなわち、−40.00〜11.25、11.25〜62.5、62,5〜113.75、および113.75〜165.00℃である。
【0126】
図4のデジタル温度信号422aにより表される、磁界センサが遭遇する実際の測定温度に応じて特定された、任意の温度セグメント内、たとえば、温度セグメント11.25〜62.5内で、補間プロセッサ426(
図4)は、特定された複数の温度セグメントの境界と関連付けられた、複数のゲイン補正係数(たとえば、504b、504c)を補間して、補間されたゲイン補正値(たとえば、
図4の426a)を定め、特定の測定温度にて使用可能である。補間されたゲイン補正値は、磁界センサ400に適用されて、磁界センサの感度を、室温506での感度から実質的に不変に保つことができる。
【0127】
既に図示および説明したように、感度補間は、線形補間であってもよい。ただし、他の実施形態では、ゲイン補間は、他の形式であってもよい。たとえば、二次補間、または非線形補間などの他の形式であってもよい。
【0128】
5つのゲイン補正係数504a〜504e、および関連付けられた4つの温度セグメントが図示されているが、他の実施形態では、5つより多いかまたは5つより少ないゲイン補正係数、および4つより多いかまたは4つより少ない関連付けられた温度セグメントがあってもよい。ゲイン補正係数の個数、および関連付けられた温度セグメントの数は、所望の精度、およびゲイン補正係数を格納するEEPROM442(
図4)の所望の最大物理容量に応じて、選択され得る。一般に、EEPROM442内に格納されるゲイン補正係数の個数が増えるほど、補間されたゲイン補正係数の精度が高くなり、磁界センサの補正された相対感度の精度が高くなる。
【0129】
温度セグメントは、温度数と同数として図示されているが、他の実施形態では、温度セグメントは、温度数と異なっていてもよい。たとえば、ある種の実施形態では、室温506に近い温度セグメントは、室温106から離れた温度セグメントよりも広い(または狭い)温度範囲であってもよい。
【0130】
特定の種類の個々の磁界センサは、
図7と組み合わせてより完全に説明する処理により生成された、様々なゲイン補正係数504a〜504eを有していてもよい。ただし、ある種の実施形態では、特定の種類の磁界センサの各々は、同一のゲイン補正係数504a〜504eを有していてもよい。
【0131】
図7と組み合わせて以下にさらに説明するように、ゲイン補正係数504a〜504eのいくつか(または全て)は、磁界センサ(またはそれ以降)に、特定のゲイン補正係数504a〜504eが格納された特定の1つの磁界センサの複数の温度での相対感度の直接測定値を乗じる間に、選択(すなわち、測定)可能である。ただし、ある種の実施形態では、ゲイン補正係数504a〜504eのうちの全てには満たない個数の係数は、直接測定の結果もたらされ、ゲイン補正係数504a〜504eのうちの他のものは、感度特性曲線502の形状から抽出される。換言すると、たとえば、ゲイン補正係数504aは、−40.00度および室温506での相対感度測定により生成され得るものであり、他のゲイン補正係数504b〜504eは、感度特性曲線502の形状についての知見から推定可能である。
【0132】
図示の特性曲線502は、複数の同じ種類の磁界センサから得られた平均感度特性を表すものであってもよい。他の種類の磁界センサは、他の形状の特性曲線を有し得る。
【0133】
特定の磁界センサ用のゲイン補正係数504a〜504eのいくつか(または全て)を抽出するために特性曲線502を用いる際、特性曲線502は、同じ種類の全ての磁界センサに共通の同じ形状を保ち得るが、同種の個々の磁界センサのために、大きさを拡大または縮小させ得ることが、理解されるであろう。たとえば、個々の磁界センサの相対感度が、室温および−40度でも測定された場合、ならびに−40度での相対感度が特性曲線502で表される相対感度よりも低い場合、測定されている磁界センサの特性曲線は、−40度ではより下方へ曲がり、165度ではより上方へ曲がるが、その他では同じ形状を保つと想定され得る。このように、室温での感度測定、および任意の他の温度での相対感度測定(室温での感度を基準とする)だけで、特性曲線502と同様の(同一形状の)特性曲線(ただし、尺度は異なる)が抽出可能であり、他のゲイン補正係数が推定可能である。
【0134】
感度特性曲線502の特定の形状は、特定の種類の磁界センサ次第であることが、理解されるであろう。さらに、特性曲線502は、特定の種類の磁界センサに特有の曲線からわずかに(尺度において)異なることもある。したがって、特定の種類の磁界センサのうちの様々な複数のセンサを特徴づけ、特性曲線502の形状を特定するために平均をとることは、有益となり得る。後に、この曲線は、同じ種類の個々の磁界センサに適合させて尺度が拡大または縮小され得る。
【0135】
次に、
図6を参照すると、グラフ600は、9ビットのデジタル値で表される線形単位における、直流オフセット電圧変化の単位の尺度での縦軸608を有する。第1の横軸610は、磁界センサ(すなわち、
図4の温度センサ420による)が遭遇する摂氏温度単位の尺度である。第2の横軸612は、温度を表す7ビットのデジタル符号に対応した単位の尺度であるが、0から127までの十進数単位になっている。軸612は、
図4のデジタル温度信号422aに対応する。
【0136】
特性曲線602は、オフセット補正値が適用されていない磁界センサの相対オフセット(室温606でのオフセットが基準)を表す。特性曲線602により表されるオフセットは、低温では、室温でのオフセット(通例、0.0V)を基準として一方の方向にある傾向があり、高温では、室温でのオフセットを基準として他方の方向にある傾向があることがわかる。
【0137】
第1の温度である−40℃で、オフセット補正係数604a(DQVO_0(
図4))は、特性曲線602の相対オフセットの低下とは反対になっている。オフセット補正係数604aは、磁界センサが温度−40度に遭遇するときに、磁界センサに適用可能であり、室温606におけるオフセット(0.0V)から実質的にオフセット変化しない結果となることが、理解されるであろう。同様に、他のオフセット補正係数604b、604c、604d、604e(それぞれDQVO_1、DQVO_2、DQVO_3、DQVO_4(
図4))は、特定の温度にて、室温606におけるオフセットからオフセット変化しないようにするために、関連付けられた他の温度(それぞれ11.25、62.5、113.75、165.00℃)で適用可能である。
【0138】
図5に示すように、5つの温度セグメントが図示されている。すなわち、−40.00〜11.25、11.25〜62.5、62.5〜113.75、および113.75〜165.00℃である。
【0139】
図4のデジタル温度信号422aにより表される、磁界センサが遭遇する実際の測定温度に応じて特定された、任意の温度セグメント内、たとえば、温度セグメント11.25〜62.5内で、補間プロセッサ426(
図4)は、温度セグメントの境界と関連付けられた、複数のオフセット補正係数(たとえば、604b、604c)を補間して、補間されたオフセット補正値(たとえば、
図4の426b)を定め、特定の測定温度にて使用可能である。補間されたオフセット補正値は、磁界センサに適用されて、磁界センサのオフセットを、室温606でのオフセットから実質的に不変に保つことができる。
【0140】
既に図示および説明したように、オフセット補間は、線形補間であってもよい。ただし、他の実施形態では、オフセット補間は、他の形式であってもよい。たとえば、二次補間、または非線形補間などの他の形式であってもよい。
【0141】
5つのオフセット補正係数604a〜604e、および関連付けられた4つの温度セグメントが図示されているが、他の実施形態では、5つより多いかまたは5つより少ないオフセット補正係数、および4つより多いかまたは4つより少ない関連付けられた温度セグメントがあってもよい。オフセット補正係数の個数、および関連付けられた温度セグメントの数は、所望のオフセット精度、およびオフセット補正係数を格納するEEPROM442(
図4)の所望の最大物理容量に応じて、選択され得る。一般に、EEPROM442内に格納されるオフセット補正係数の個数が増えるほど、補間されたオフセット補正係数の精度が高くなり、磁界センサの補正された相対オフセットの精度が高くなる。
【0142】
温度セグメントは、温度数と同数として図示されているが、他の実施形態では、温度セグメントは、温度数と異なっていてもよい。たとえば、ある種の実施形態では、室温606に近い温度セグメントは、室温606から離れた温度よりも広い(または狭い)温度範囲であってもよい。
【0143】
特定の種類の個々の磁界センサは、
図7と組み合わせてより完全に以下に説明する処理により生成された、異なるオフセット補正係数604a〜604eを有していてもよい。ただし、ある種の実施形態では、特定の種類の磁界センサの各々は、同一のオフセット補正係数604a〜604eを有していてもよい。
【0144】
図7と組み合わせてさらに以下に説明するように、オフセット補正係数604a〜604eのいくつか(または全て)は、磁界センサ(またはそれ以降)に、特定のオフセット補正係数604a〜604eが格納された特定の磁界センサの複数の温度での相対オフセットの直接測定値を乗じる間に、選択(すなわち、測定)可能である。ただし、ある種の実施形態では、オフセット補正係数604a〜604eのうちの全てには満たない個数の係数は、直接測定の結果もたらされ、オフセット補正係数604a〜604eのうちの他のものは、オフセット特性曲線602から抽出される。換言すると、たとえば、オフセット補正係数604aは、−40.00度および室温606での相対オフセット測定により生成され得るものであり、他のオフセット補正係数604b〜604eは、オフセット特性曲線602の形状についての知見から推定可能である。
【0145】
図示の特性曲線602は、複数の同じ種類の磁界センサから得られた平均オフセット特性を表すものであってもよい。他の種類の磁界センサは、他の形状のオフセット特性曲線を有し得る。
【0146】
特定の磁界センサ用のオフセット補正係数604a〜604eのいくつか(または全て)を抽出するためにオフセット特性曲線602を用いる際、オフセット特性曲線602は、同じ種類の全ての磁界センサに共通の同じ形状を保ち得るが、同種の個々の磁界センサのために、大きさを拡大または縮小させ得ることが、理解されるであろう。たとえば、個々の磁界センサの相対オフセットが、室温および−40度でも測定される場合、ならびに−40度での相対オフセットが特性曲線602で表される相対感度よりも低い場合、測定されている磁界センサの特性曲線は、−40度ではより下方へ曲がり、165度ではより上方へ曲がるが、その他では同じ形状を保つと想定され得る。このように、室温でのオフセット測定、および任意の他の温度での相対オフセット測定(室温でのオフセットを基準とする)だけで、特性曲線602と同様の(同一形状の)特性曲線(ただし、尺度は異なる)が抽出可能であり、他のオフセット補正係数が推定可能である。
【0147】
オフセット特性曲線602の特定の形状は、特定の種類の磁界センサ次第であることが、理解されるであろう。さらに、特性曲線602は、特定の種類の磁界センサに特有の曲線からわずかに(たとえば、異なる尺度において)異なることもある。したがって、特定の種類の磁界センサのうちの様々な複数のセンサを特徴づけ、オフセット特性曲線602の形状を特定するために平均をとることは、有益となり得る。後に、この曲線は、同じ種類の個々の磁界センサに適合させて尺度が拡大または縮小され得る。
【0148】
図5および
図6の上述の例から、一実施形態では、5つの温度と関連付けられた5つのゲイン補正係数、および同じ5つの温度と関連付けられた5つのオフセット補正係数があることが、理解されるであろう。ただし、ゲイン補正係数およびオフセット補正係数は、同じ温度と関連付けられる必要はない。
図4のEEPROM442は、例示的な5つのゲイン補正係数(TDSense0〜TDSense4)および例示的な5つのオフセット補正係数(DQVO_0〜DQVO_4)を格納するものとして図示されている。
【0149】
以下の
図7および
図10は、磁界センサ400(
図4)として実装されることになる、以下に考察される技術に対応した、フローチャートを示すことが、理解されるであろう。矩形要素(
図7の要素704に代表される)は、ここでは「処理ブロック」と称し、コンピュータソフトウェア命令または命令群を表す。ダイアモンド形要素(
図10の要素1004に代表される)は、ここでは、「判断ブロック」と称し、コンピュータソフトウェア命令または命令群を表し、これらは、処理ブロックで表されるコンピュータソフトウェア命令の実行に影響する。
【0150】
それ以外にも、処理ブロックおよび判断ブロックは、デジタル信号処理回路または特定用途向け集積回路(ASIC)などの機能的に等価な回路により実行されるステップを表す。フローチャートは、特定のプログラミング言語の構文を示しているわけではない。むしろ、フローチャートは、当業者が回路を作製するかまたはコンピュータソフトウェアを生成して、特定の装置における必要な処理を実行するために必要な機能情報を、示すものである。ループおよび変数の初期化、一時的変数の使用など、多くのルーチンプログラム要素は示されていないことが、理解されるであろう。ここに特記しない限り、説明された複数のブロックの特定のシーケンスは、説明のためのものに過ぎず、本発明の趣旨から逸脱することなく変更可能であることが、当業者には理解されるであろう。このように、特記しない限り、以下に説明するブロックは、順序付けられていない。これは、可能であれば、ステップは、便利であるかまたは所望の任意の順序で実行可能であることを意味する。
【0151】
次に、
図7を参照すると、例示的な方法700は、工場にて、
図1の磁界センサ10が製造されると、ブロックの組702から開始する。ブロック704では、較正温度および関連付けられた温度セグメントの組が、選択される。
図4〜
図6と組み合わせて上述した例では、選択温度が、たとえば、−40.00、11.25、62.5、113.75、および165.00℃の5つあり、選択温度の隣接する対により規定された、関連温度セグメントが4つあり得る。ただし、上述のように、選択温度は、5つより多くまたは5つより少なくともよく、関連温度セグメントは、4つより多くまたは4つより少なくともよく、選択温度は、均等に配列されている必要はない。
【0152】
ブロック706では、相対ゲインおよび相対オフセット(室温でのゲインおよびオフセットが基準)が、全ての選択温度で、または、たとえば−40.00℃のみなど、選択された温度のサブセットで、測定され得る。
【0153】
ブロック708では、相対感度の測定値に基づき、ゲインおよびオフセット補正係数が、測定がなされた温度について定められる。ゲインおよびオフセット補正係数は、測定相対感度および相対オフセットのずれとは反対側となり得る。
【0154】
ブロック710では、問題となる特定の磁界センサについて相対感度およびオフセットの直接測定がなされない選択温度のために、他のゲインおよびオフセット補正係数が定められ得る。上述のように、他のゲインおよびオフセット補正係数は、同じ種類の複数の磁界センサの測定値の平均から抽出された曲線の形状についての知見を用いて、感度特性曲線および/またはオフセット特性曲線の生成に従って定められ得る。同じ形状を用いることで、感度(ゲイン)特性曲線およびオフセット特性曲線は、測定値の平均と同じ形状を有し得るが、ブロック706で得られた感度およびオフセットの測定値に従って、大きさが拡大または縮小され得る。
【0155】
ブロック712では、ゲインおよびオフセット補正係数(たとえば、5つのゲイン補正係数および5つのオフセット補正係数)が、磁界センサ内に格納される。たとえば、
図4のEEPROM442内に、たとえば、
図4の通信リンク438などのシリアル通信リンクを介して、保存される。
【0156】
ブロック714では、ある種の実施形態において、ゲイン補間式および/またはオフセット補間の種類(式)が、複数の補間の種類から選択され得る。上記の式1、3、4および5を参照されたい。
【0157】
ブロック716では、補間の種類の選択は、たとえば、
図4のEEPROM440内に、たとえば、
図4の通信リンク438などのシリアル通信リンクを介して、値として保存される。
【0158】
処理の残りのブロック700は、通常の動作の領域において、連続してまたは時々に、磁界センサにより実行可能である。
【0159】
ブロック718では、磁界センサは、その温度を、たとえば、
図4の温度センサ420によって測定する。
【0160】
ブロック720では、磁界センサは、ブロック704にて選択された温度セグメントのどこに測定された温度があるか、特定する。
【0161】
ブロック722では、磁界センサ、たとえば、
図4の補間プロセッサ426は、測定された温度に従って、特定された温度セグメントを規定する、ブロック712にて格納されたゲイン補正係数間で、補間する。このように、補間されたゲイン補正値(たとえば、
図4の426a)が定められる。補間は、上記の式1に従ってなされる。
【0162】
ブロック724以前では、磁界センサは、ユーザゲイン補正値を受信し得る。この値は、たとえば、ユーザゲイン補正値の
図4のEEPROM444内に
図4の通信リンク438を介して格納された値444aである。ある種の実施形態では、ユーザゲイン補正値は、係数0.75と1.25との間で、ユーザの好みに応じて、磁界センサの感度を調整するためにのみ用いられる。
【0163】
ブロック726では、補間されたゲイン補正値は、ユーザゲイン補正値(たとえば、
図4の結合プロセッサ428による)と組み合わされて、結合ゲイン補正値(たとえば、
図4の428a)を定める。
【0164】
ブロック728では、たとえば、
図4のゲイン調整レジスタ430内に、結合ゲイン補正値が格納される。
【0165】
ブロック730では、保存されたゲイン補正値が、磁界センサに適用されて、
図4のDAC434およびゲイン調整回路416を介して、その感度(すなわち、ゲイン)を調整する。
【0166】
ブロック732では、磁界センサ、たとえば、
図4の補間プロセッサ426は、測定された温度に応じて、特定された温度セグメントを規定するブロック712にて格納されたオフセット補正係数間で、補間する。このように、補間されたオフセット補正値(たとえば、
図4の426b)が定められる。補間は、上記の式3に従ってなされる。
【0167】
ブロック734以前では、磁界センサは、ユーザオフセット補正値を受信し得る。この値は、たとえば、ユーザオフセット補正値の
図4のEEPROM446内に
図4の通信リンク438を介して格納された値446aである。
【0168】
ブロック736では、補間されたオフセット補正値は、ユーザオフセット補正値と(たとえば、
図4の結合プロセッサ426により)組み合わされて、結合オフセット補正値(たとえば、
図4の428b)を定める。
【0169】
ブロック738では、たとえば、
図4のオフセット調整レジスタ432内に、結合オフセット補正値が格納される。
【0170】
ブロック740では、保存されたオフセット補正値が、磁界センサに適用されて、
図4のDAC436およびオフセット調整回路418を介して、そのオフセットを調整する。
【0171】
上述の技術により、磁界センサは、室温での磁界センサの感度およびオフセットと比べて、磁界センサの温度に対して不変または変化が非常にわずかな感度およびオフセットを維持することができる。
【0172】
上述の回路および技術により、感度およびオフセットが、温度に対して安定しているので、以下に説明する閾値も温度に対して安定することがわかる。なお、この閾値は、
図4の回転モジュール417により、
図4の信号414aから抽出される。ただし、
図4の磁界センサ402とギヤ450との間の空隙は、実装例毎に異なり得るか、または、たとえば、機械的摩耗などにより経時的に変化し得ることも、理解されるであろう。したがって、信号414aの大きさは、空隙の寸法に応じてやはり変化することがあり、以下に説明する閾値は、空隙の変化または違いによって変化するかまたは異なり得る。なお、この閾値は、信号414aから抽出される。
【0173】
次に、
図8を参照すると、回転モジュール800は、
図4の回転モジュール417と同一または同様であり得る。回転モジュール800は、信号818を受信するように接続されている。この信号は、
図4の信号414aと同一であるかまたは同様であり得る。上述のように、信号414の大きさおよび信号818の大きさは、温度に対して安定しているが、たとえば、空隙などの機械的考慮要素に応じて変化し得る。
【0174】
回転モジュール800は、たとえば、比較検出器802および精密回転検出器810など、異なる2種の回転検出器を含み得る。
【0175】
比較検出器802は、ある種の実施形態では、真のパワーオン状態(TPOS)検出器として動作し得ることが、理解されるであろう。特に、通例、
図4と組み合わせて上述したように、単一の磁界センサが用いられるところでは、比較検出器802は、歯の検出器(エッジ検出器に対向)として動作可能であるので、TPOS機能を提供し、ギヤ450が回転していないときであっても、ギヤ450(
図4)内での歯を谷から識別することができる。
【0176】
ただし、他の実施形態では、
図4の磁界センサ400と同様の磁界センサは、異なる配列で接続された2つ以上の磁界検知素子を使用可能である。これらの実施形態は、エッジ検出器(歯の検出器に対向)を提供しており、ギヤ450が回転していないときには、歯を谷から識別することができないのでTPOS機能は提供していない。これらの実施形態について、比較検出器802は、TPOS検出器ではないが、ここに図示および説明する形態をとっている。
【0177】
上記内容を考慮すると、比較検出器802は、磁界検知素子(たとえば、
図4の402)の配置に応じて、歯の検出器(たとえば、TPOS検出器)またはエッジ検出器として動作可能であることが、理解されるであろう。したがって、ここで用いられるように、「比較検出器」という用語は、比較閾値を受信するように動作可能な比較器を含んで信号を比較閾値と比較する回路検出器を、説明するために用いられる。
【0178】
比較検出器802は、実質的に、起動が迅速であり、起動時に、正確な比較検出器出力信号806aを提供する。一方、精密回転検出器810は、起動して正確な精密回転検出器出力信号810aを提供するのに、より長い時間がかかる。
【0179】
様々な種類の精密回転検出器が知られている。いくつかの精密回転検出器は、信号818の正のピークの振幅を表す正のピーク信号810b、および信号818の負のピークを表す負のピーク信号810cを、内部的に提供する。ピーク間では、正のピーク信号810bおよび負のピーク信号810cは、ピークの振幅を表す値を保持し得る。このように、多くの従来の配列では、正のピーク信号810bおよび負のピーク信号810cは、入力信号818のそれぞれのピークを取得して保持するステップ型の特徴を有する。
【0180】
比較検出器802は、比較器806を含み得る。この比較器は、アナログ比較器か、またはデジタル比較器であり得る。比較器806は、閾値モジュール816により生成された比較閾値816a(たとえば、TPOS閾値)を受信するように接続されている。このモジュールについては、
図9と組み合わせてより完全に後述する。
【0181】
出力スイッチ812は、比較検出器出力信号806aおよび精密回転検出器出力信号810aを受信するように、接続され得る。スイッチ変更ロジックモジュール808により生成された制御信号808aにより、回転モジュール800は、比較検出器出力信号806aまたは精密回転検出器出力信号810aの選択された一方を表す回転出力信号812aとして生成する。回転出力信号812aは、2状態出力信号であり得る。この信号ついて、高状態は、磁界検知素子402に近接した
図4のギヤ450の歯の1つを示し、低状態は、磁界検知素子402に近接したギヤ450の谷の1つを示す。ただし、他の実施形態では、回転出力信号812aの状態は、上述のものと逆にされていてもよい。
【0182】
回転出力信号812aは、ギヤ450の回転を表すことが可能であるとともに、ギヤ450の回転速度をも表すことが可能であることが、理解されるであろう。また、ある種の実施形態では、回転出力信号812aは、ギヤ450の回転方向をも表すことが可能である。回転方向をも示し得る回転出力信号812aを提供する、磁界センサ、すなわち回転検出器が知られている。例示的な配列は、2004年11月9日に発行された米国特許第6,815,944号、2006年4月11日に発行された米国特許第7,026,808号、2008年4月29日に発行された米国特許第7,772,838号、2009年9月22日に発行された米国特許第7,592,801号、2009年11月24日に発行された米国特許第7,622,914号、2007年8月7日に発行された米国特許第7,772,838号および米国特許第7,253,614号に見られる。これらの特許の全てが、全体において参照により本明細書に組み込まれ、これらの特許の全てが、本発明の譲受人に対して譲受されている。
【0183】
回転出力信号812aは、
図4の出力信号417aと同一または同様であり得る。ある種の実施形態では、回転出力信号812aは、単に、
図4の磁界センサ400からの出力信号である。
【0184】
ある種の実施形態では、回転モジュール800は、回転信号812aを受信するように接続されるとともにフォーマット調整された回転出力信号814aを提供するように構成された、出力フォーマットモジュール814を含み得る。また、回転出力信号812aと同様、フォーマット調整された回転出力信号814aは、
図4のギヤ450の回転、回転速度、または回転方向の少なくとも1つを示すことができる。フォーマット調整された回転出力信号814aは、たとえば、SENTフォーマット、CANフォーマット、またはI2Cフォーマットなど、様々なフォーマットの1つにて提供可能である。この他のフォーマットであってもよい。
【0185】
他のある種の実施形態では、回転モジュール800は、スイッチ変更ロジック808や出力スイッチ812を含まず、比較検出器出力信号806aが、回転モジュール800からの回転出力信号として、常に利用される。これらの実施形態では、精密回転検出器出力信号810aは、生成され得ない。換言すると、精密回転検出器810は、正負のピーク信号810b、810cのみ、または正負のピーク信号810b、810cのうちの1つのみを生成するように使用可能である。
【0186】
次に、
図9を参照すると、閾値モジュール900は、
図8の閾値モジュール816と同一または同様であり得る。閾値モジュール900は、正負のピーク信号904a、904bをそれぞれ受信するように接続された、測定閾値モジュール906を含み得る。正負のピーク信号904a、904bは、
図8の正負のピーク信号810b、810cと同一または同様であり得るものであり、
図4の温度が制御された信号414aの正のピーク(P+)および負のピーク(P−)の大きさを同様に示すことができる。
【0187】
測定閾値モジュール906は、測定閾値906aを生成するように構成されている。
図4と組み合わせて上記で説明した理由により、測定閾値906aは、温度に対して安定であるが、たとえば、電気ノイズに応じて、および/または
図4のギヤ450と磁界検知素子402との間の空隙の変化に応じて、変化し得る。
【0188】
ここで用いられるように、「信号」という用語は、アナログまたはデジタル電圧または電流時間波形を記述するために用いられる。ここで用いられるように、「値」という用語は、アナログまたはデジタル信号のある時点での振幅および/またはオフセット特性を記述するために用いられる。ここで用いられるように、「値」という用語は、アナログまたはデジタル信号の振幅および/またはオフセット特性を含むある時点での計算結果を記述するためにも用いられる。
【0189】
測定閾値モジュール906は、測定閾値906aを、正負のピーク信号904a、904bの組み合わせとして計算可能である。たとえば、測定閾値906aは、たとえば、正負のピーク信号904a、904b間の電圧差の70パーセントなど、所定の百分率を表す値であり得る。新規の測定閾値906aが、時々に計算されるか、または正のピーク信号904aまたは負のピーク信号904bの一方または双方の値が変化したときに計算され得る。
【0190】
他のある種の実施形態では、測定閾値モジュール906は、正のピーク信号904aまたは負のピーク信号904bの一方のみを受信するように接続されている。この場合、測定閾値906aは、受信された一方の信号のみに基づいて算出される。たとえば、測定閾値906aは、たとえば、正のピーク信号904aの10パーセントなど、所定の百分率を表す値であり得る。
【0191】
また、閾値モジュール900は、メモリデバイス908をも含み得る。このデバイスは、たとえばEEPROMなどの不揮発メモリデバイス内にあってもよい。
【0192】
メモリデバイス908は、測定閾値906aを受信して格納するように接続された格納閾値メモリ領域910を、含み得る。測定閾値906aは、複数の格納時刻にメモリデバイス908内に格納可能であるが、特に、
図4の磁界センサ400の電源遮断時またはその直前の格納時刻に、格納可能である。格納および格納時刻については、より完全に後述する。
【0193】
格納測定閾値910aは、メモリ格納閾値メモリ領域910により提供され得る。このように、再び電源が投入されると、磁界センサ400は、電源投入直後に、
図8の比較検出器802内の格納測定閾値910aを使用することができる。
【0194】
バックアップメモリ領域912は、測定閾値906aの1つまたは複数のバックアップ値を格納可能である。バックアップメモリ領域912は、格納閾値メモリ領域910が測定閾値906aを格納するのとは異なる時刻に、測定閾値906aを格納することができる。バックアップ構成により、閾値モジュール900は、バックアップメモリ領域内912または測定閾値メモリ領域910内に、測定閾値を確実に格納することが可能であり、格納が信頼できなくなる
図4の磁界センサ400の電源遮断時に、少なくとも一方のメモリ領域を回避する。
【0195】
また、メモリデバイス908は、初期閾値メモリ領域916を備え得る。この領域は、所定の初期閾値を格納するように構成されるとともに、格納された所定の初期閾値916aを提供するように構成されている。
図4の磁界センサ400は、
図8の比較閾値816aの開始点を、磁界センサ400が最初に電源投入される全く最初の時点にとる必要があることが、理解されるであろう。格納された初期の所定の閾値916aは、この目的のために用いられる。
【0196】
また、メモリデバイス908は、セイフティワード格納領域914を備え得る。この領域は、格納閾値メモリ領域910内で格納実行中の時点を示すデジタルビットまたはデジタルワードを格納するように、構成されている。格納されたビットまたはワードは、格納閾値メモリ領域910およびバックアップ格納閾値領域912の指定された一方内への格納が実行中であることを示し得る。
【0197】
閾値選択モジュール918は、初期閾値916a、および、測定閾値906a、格納測定閾値910aまたは格納バックアップ測定閾値912aの少なくとも1つを受信するように、接続され得る。閾値選択モジュール918は、比較閾値信号918aを、初期閾値916a、測定閾値906a、格納測定閾値910aまたは格納バックアップ測定閾値912aのうちから選択されたものとして生成するように、構成されている。
【0198】
メモリ/閾値コントローラ920は、メモリデバイス908を制御するように、制御線920aを介して接続され、測定閾値906aの格納がいつ発生するか制御する。また、メモリ/閾値コントローラ920は、制御線920cを提供することができる。この制御線920cは、初期閾値916a、格納測定閾値910aまたは格納バックアップ測定閾値912aのうちのどの1つが比較閾値918aとして提供されるかを選択することを制御する。
【0199】
メモリ/閾値コントローラ920は、たとえば、格納測定閾値910a、測定閾値906a、
図4の磁界センサ400の電源投入または電源遮断を表す電源オンオフ信号922、
図8の比較検出器出力信号806aと同一もしくは同様の比較検出器出力信号902、または、
図8の精密回転検出器出力信号810aと同一もしくは同様の精密回転検出器出力信号903など、様々な信号の1つまたは複数を受信するように接続され得る。
【0200】
動作中、メモリ/閾値コントローラ920は、様々な入力信号を様々な方法で使用して、測定閾値906aをメモリデバイス908内に格納することを制御するとともに、閾値選択モジュール918を制御することができる。
【0201】
測定閾値906aをメモリデバイス908内に格納することに関して、一実施形態では、メモリ/閾値コントローラは、測定閾値906aが所定量変化したときにのみ格納がなされるようにすることができる。なお、この所定量は、0以上であり得る。
【0202】
他の実施形態では、メモリ/閾値コントローラ920は、測定閾値906aが、格納測定閾値910aと所定量異なる場合にのみ、格納がなされるようにすることができる。なお、この所定量は、0以上であり得る。
【0203】
他の実施形態では、メモリ/閾値コントローラ920は、電源オンオフ信号922が、
図4の磁界センサ400の電源オフ状態を最初に示すときにはいつでも、格納がなされるようにし得る。これらの実施形態について、
図4の磁界センサ400は、磁界センサ400が瞬時に電源オフとならないように、たとえばコンデンサなどの何らかの電荷格納デバイスと接続されていることが、想定されている。
【0204】
他の実施形態では、メモリ/閾値コントローラ920は、比較検出器出力信号902が、
図4の磁界センサ400が電源投入後に、状態を所定の回数変更したときにのみ、格納がなされるようにし得る。これらの実施形態により、
図8の精密回転検出器810は、安定した正のピーク信号810bおよび安定した負のピーク信号810cを実現可能となることが、理解されるであろう。
【0205】
他の実施形態では、メモリ/閾値コントローラ920は、比較検出器出力信号806a(
図4)および精密回転検出器出力信号810a(
図4)の切換率の差により明らかとなって、以前に格納されて比較検出器802(
図4)により現在利用されている閾値816a(
図4)が、おそらく不正確である場合に、格納がなされるようにし得る。
【0206】
他の実施形態では、メモリ/閾値コントローラ920は、精密回転検出器出力信号903が、
図4の磁界センサ400が電源が投入された後に、状態を所定の回数変更したときにのみ、格納がなされるようにし得る。これらの実施形態によっても、
図8の精密回転検出器810は、安定した正のピーク信号810bおよび安定した負のピーク信号810cを実現可能となることが、理解されるであろう。
【0207】
いくつかの種類の精密回転検出器は、磁界信号のピークすなわち
図4の磁界信号414aを検出するとともに、精密回転検出器出力信号に、磁界信号の正のピークまたは負のピークが発生または発生しそうになる状態遷移を提供するように、動作可能である(たとえば、上述の2007年4月2日に発行された米国特許第7,199,579号を参照)。したがって、精密回転検出器出力信号903が所定回数状態を変えたときにのみ格納がなされる上述の実施形態は、ある種の実施形態では、磁界信号に所定回数のピークが発生したときにのみ格納がなされることと等価であり得る。
【0208】
また、上述の例示的実施形態により説明されたメモリ/閾値コントローラ922の格納動作は、上述の格納構成の任意の組み合わせを有していてもよい。
【0209】
ある種の実施形態では、メモリ/閾値コントローラ920による格納実行中であるときにはいつでも、メモリ/閾値コントローラ920は、セイフティワードを、セイフティワード格納領域914内に格納可能である。
【0210】
また、閾値モジュール900は、必要に応じて、診断モジュール924を含み得る。診断モジュール924は、格納測定閾値910aまたは測定閾値906aのうちの1つまたは複数を受信するように接続されていてもよい。診断モジュール924は、合否信号または値924aを生成するように構成され得る。合否値924aは、格納測定閾値910aおよび測定閾値906aが所定量を超えて異なることを示し得る。これは、たとえば、
図4の磁界センサ400がある時間期間に亘り電源が遮断されてから電源再投入されると発生し得る。
【0211】
上述のように、
図4の磁界センサ400が最初に電源投入されたときに、制御信号920cは、磁界センサ400が最初に電源投入されてからある程度の短時間後に、初期閾値916aを比較閾値918aとするために利用可能であることが、理解されるであろう。その後、磁界センサ400は、メモリ/閾値コントローラ920による検出の際にセイフティメモリ領域914内に格納されたワードの状態に従い、格納測定閾値910a、測定閾値906a、またはバックアップ測定閾値912aのどれかを、比較閾値918aとして利用することができる。
【0212】
上述の構成にて、測定閾値906a、したがって、格納測定閾値910a、格納バックアップ測定閾値912a、および比較閾値918aは、
図4と組み合わせて上述された回路の動作により、既にゲインおよび/またはオフセット温度補償されていることが、理解されるであろう。ただし、上述のように、これらの値は、
図4のギヤ450と磁界センサ402との空隙が変化するか、または異なる実装において異なると、やはり変化し得る。
【0213】
ある種の実施形態では、必要に応じて、閾値モジュール900は、拡縮モジュール926および/またはオフセットモジュール928を含み得る。拡縮モジュール926は、所定の拡大縮小を適用するように構成され、オフセットモジュールは、所定のオフセットを、比較閾値918aに適用するように構成され、
図8の比較検出器802のいくつかの実施形態により利用するのに適した、代替となる比較閾値928aを提供する。適用された拡大または縮小が1であり、適用されたオフセットが0であってもよいことは当然である。
【0214】
さらに、
図4と組み合わせた温度補償のない(ゲイン温度補償がなくおよび/もしくはオフセット温度補償がなく、または両者ともない)上述の実施形態においても、初期閾値916a、測定閾値906a、格納測定閾値910aまたは格納バックアップ測定閾値912aは、
図8の比較検出器802により用いられる前に、値の変化がないか、または値が最小限にしか変化していない比較閾値918aとして用いるために、選択され得る。最小限の変化は、たとえば、
図8の比較検出器802のいくつかの実施形態により利用するのに適した、代替となる比較閾値928aを提供するための上述の所定の拡大縮小および/または所定のオフセットを、含み得る。適用された拡大または縮小が1であり、適用されたオフセットが0であってもよいことは当然である。
【0215】
次に、
図10を参照すると、処理1000は、
図9の閾値モジュール900と組み合わせて利用可能である。処理1000は、ブロック1002から開始し、ここでは、
図4の磁界センサ400の電源が投入される。ブロック1004では、磁界センサ400の電源投入が全くの最初の電源投入であるかどうか判別される。
【0216】
電源投入が全くの最初の電源投入でなければ、ブロック1005にて、セイフティワード(すなわち、
図9のセイフティメモリ領域914内に格納されたもの)が読み出される。上述の説明から、セイフティ格納領域914内に格納されたセイフティワードの状態が、格納閾値メモリ領域910内の測定閾値906aが適切に格納されているかもしくは不適切に格納されているか、バックアップ格納閾値メモリ領域912内の測定閾値906aが適切に格納されているかもしくは不適切に格納されているか、または上記の全てについて示すことは明らかである。
【0217】
ブロック1006では、ブロック1005にて読み出したセイフティワードの状態に応じて、格納測定閾値910a(
図9)または格納バックアップ測定閾値912aが、
図9のメモリデバイス908から読み出される。
【0218】
ブロック1008では、格納測定閾値910aまたは格納バックアップ測定閾値912aが、
図8の比較検出器802により、比較閾値918aとして用いられる。
【0219】
ブロック1010では、必要に応じて、
図8の精密回転検出器810が、安定した正負のピーク値810b、810c(
図8)を提供するまでの時間、待機してもよい。
【0220】
ブロック1012では、所定の条件が満たされているかどうか判断される。所定の条件については、
図9と組み合わせて上述されている。たとえば、
図9の比較検出器出力信号902が所定回数遷移したことが、所定の条件の1つである。所定の条件の他のものは、上述されており、任意の組み合わせで用いられ得る。
【0221】
1つまたは複数の条件が満たされた場合、処理1000は、ブロックの組1014〜1032へ進み、ここでは、
図9の測定閾値906aが、格納閾値メモリ領域910およびバックアップ格納閾値領域912の双方内に書き込まれる。
【0222】
ブロック1014では、
図9のセイフティ格納領域914内に値が書き込まれて、格納閾値メモリ領域910への格納が実行中であることを示す。
【0223】
ブロック1016では、測定閾値906aが、格納閾値メモリ領域910内に書きこまれる。
【0224】
ブロック1018では、セイフティワード格納領域914内に書き込まれたワードが、格納閾値メモリ領域910へと適切な格納がなされて、バックアップ格納閾値領域912への格納が実行中であることを示すように変更される。
【0225】
ブロック1020では、測定閾値906aが、バックアップ格納閾値メモリ領域912内に書きこまれる。
【0226】
ブロック1032では、セイフティメモリ領域914内に格納されたワードが、格納閾値メモリ領域910内およびバックアップ格納閾値メモリ領域912内で適切な格納がなされたことを示すように、再び変更される。
【0227】
ブロック1034では、セイフティメモリ領域914内の格納セイフティワードが、たとえば、メモリ/閾値コントローラ920により、読み取られる。
【0228】
ブロック1036では、ブロック1034にて読み出したセイフティワードの値に応じて、格納測定閾値910aまたは格納バックアップ測定閾値912aのどちらかが、メモリデバイス908から読み出される。
【0229】
ブロック1038では、ブロック1036で読み出された格納測定閾値910aまたは格納バックアップ測定閾値912aが、
図9の比較閾値918aとして用いられる。すなわち、
図8の比較検出器802により用いられる。ただし、他のある種の実施形態では、
図9の比較閾値918a(ブロック1038で用いられる)は、代わりに、
図4の磁界センサ400の電源投入(ブロック1002)に近い時点以外、すなわち、ブロック1010で取得する閾値が安定した後の時点での
図9の測定閾値906aに対応するものであり得る。これらの実施形態につき、ブロック1034および1036での読み取りは、省略可能である。
【0230】
ブロック1012では、予め定めた条件が満たされていない場合、処理1000は、予め定めた条件が満たされるときまで、ブロック1012でループする。
【0231】
ブロック1004では、電源投入が全く最初の電源投入である場合、ブロック1018での処理は、
図9の初期閾値領域916内に格納された初期閾値を、
図9の比較閾値918aとして用いる。そして、処理は、ブロック1010へ移行する。
【0232】
処理1000を利用する
図4の磁界センサ400の電源遮断は、処理1000における任意の時点で発生し得ることが、理解されるであろう。このような電源遮断は、有害なものとはならない。特に、ブロック1014〜1032内でセイフティワードを用いる上記構成では、あらゆる時点で、格納測定閾値910aまたは格納バックアップ測定閾値912aの少なくとも1つは、適切に格納されることになり、セイフティメモリ領域914内に格納されたセイフティワードを介して、格納された受け入れ可能な値の1つが利用可能である。
【0233】
次に、
図11を参照すると、グラフ1100は、
図2のグラフ50と同一または同様であり得る。ただし、ここには、信号1102の正のピーク値1108a、1108b、1108c、1108d、および信号1102の負のピーク値1110a、1110b、1110c、1110dが図示されている。正のピーク値1108a、1108b、1108c、1108dは、
図9の正のピーク信号904aの値を表しており、負のピーク値1110a、1110b、1110c、1110dは、
図9の負のピーク信号904bの値を表している。
【0234】
信号1102は、
図4のギヤ450の完全な1回転を表しているので、4つのピークおよび4つの谷があることが、理解されるであろう。
【0235】
図9と組み合わせて上述したように、測定閾値モジュール906は、正のピーク信号904aと負のピーク信号904bとを、様々な方式で組み合わせ得る。一実施形態では、測定閾値モジュール906は、ギヤ450の完全な1回転と関連付けられた正のピーク値の最小の1つ、たとえば1108c、およびギヤ450の同じ完全な1回転と関連付けられた負のピーク値の最大の1つ、たとえば1110dを、特定可能である。測定閾値モジュール906は、2つの特定された値を利用可能であり、異なる2つの値の差の所定の百分率に従って、測定閾値906aを設定可能である。
【0236】
他の実施形態では、
図9の測定閾値モジュール906は、4つの異なる閾値を算出することができる。これらの閾値は、正のピーク値1108aと負のピーク値1110aとの間の差の所定の百分率に応じた第1の閾値、正のピーク値1108bと負のピーク値1110bとの間の差の所定の百分率に応じた第2の閾値、正のピーク値1108cと負のピーク値1110cとの間の差の所定の百分率に応じた第3の閾値、および正のピーク値1108dと負のピーク値1110dとの間の差の所定の百分率に応じた第4の閾値である。測定閾値モジュール906は、4つの閾値を平均して、測定閾値906aを生成することができる。他の実施形態では、測定閾値モジュール906は、4つの閾値のうちの最大のものを選択することができる。他の実施形態では、測定閾値モジュール906は、4つの閾値のうちの最小のものを選択することができる。
【0237】
他の実施形態では、
図9の測定閾値モジュール906は、測定閾値906a(
図9)として、正のピーク値1108a〜1108dから選択された1つ、負のピーク値1110a〜1110dから選択された1つ、正のピーク値1108a〜1108dの平均、負のピーク値の平均、正のピーク値1108a〜1108dのうちの最大値、正のピーク値1108a〜1108dのうちの最小値、負のピーク値1110a〜1110dのうちの最大値、または負のピーク値1110a〜1110dのうちの最小値を提供することができる。
【0238】
また、正のピーク信号の値1108a〜1108dおよび負のピーク信号の値1110a、1110dの他の組み合わせも、利用可能である。さらに別の構成では、たとえば、ギヤ歯を増やしたり、
図4のギヤ450の回転を増やしたりすることによって、より多くの正のピーク値および/またはより多くの負のピーク値を、上述の方式と同様の方式で組み合わせて、利用可能である。
【0239】
さらに別の実施形態では、上述の値の任意の1つに対し、オフセット値が加算または減算されて、格納された測定閾値を実現することができる。
【0240】
一般に、
図9の測定閾値モジュール906は、正のピーク信号(
図9の904a)の複数の値から少なくとも1つの正の最大ピーク値を、正のピーク信号904aの複数の値から少なくとも1つの正の最小ピーク値を、負のピーク信号(
図9の904b)の複数の値から少なくとも1つの負の最大ピーク値を、または負のピーク信号904bの複数の値から少なくとも1つの負の最小ピーク値を、選択するように構成されるとともに、少なくとも1つの選択された値に応じて、測定閾値906aを生成するように構成され得る。
【0241】
信号1102は、ほぼ同じ正のピークおよびほぼ同じ負のピークを有するように図示されているが、
図4のギヤ450以外の他のギヤについて、特に、狭い歯または狭い谷を有するギヤについては、ギヤの回転により生成される信号の正のピークおよび/または負のピークは、正のピークおよび/または負のピークの他方とは異なる値をとり得る。上述の構成は、信号1102が正から負および負から正へのあらゆる遷移の際に通過する、究極的な比較閾値1106を、提供する傾向がある。
【0242】
ここに引用された全ての参照文献は、その全てが、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の主題である様々な概念、構造および技術を説明するのに役立つ好適な実施形態について記述したが、これらの概念、構造および技術を組み込んだ他の実施形態が用いられ得ることが、当業者には明らかとなるであろう。したがって、本特許の範囲は、説明された実施形態に限られるものではなく、以下の特許請求の範囲の趣旨および範囲によってのみ限定されるべきであることが提出される。