(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643986
(24)【登録日】2020年1月9日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】ギアボックスに対する腐食緩和
(51)【国際特許分類】
B64C 1/00 20060101AFI20200130BHJP
B64D 31/14 20060101ALI20200130BHJP
C23C 24/04 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
B64C1/00 B
B64D31/14
C23C24/04
【請求項の数】20
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-528216(P2016-528216)
(86)(22)【出願日】2014年11月6日
(65)【公表番号】特表2016-537241(P2016-537241A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】US2014064264
(87)【国際公開番号】WO2015116278
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2017年10月25日
(31)【優先権主張番号】14/073,188
(32)【優先日】2013年11月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597102912
【氏名又は名称】シコルスキー エアクラフト コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】SIKORSKY AIRCRAFT CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】サリヴァン,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ギレメッテ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,ジンキュ
(72)【発明者】
【氏名】ペトロスキー,ウェイン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,エリック ケー.
(72)【発明者】
【氏名】コーリー,アンソニー ジー.
(72)【発明者】
【氏名】レド,ヤング ハーン
【審査官】
伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2006/0240192(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0209826(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0011123(US,A1)
【文献】
特開2008−274352(JP,A)
【文献】
特表2006−509617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 27/14
C23C 24/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転翼航空機のマグネシウム部品であって、
溝を備えるとともに、前記溝の内部に形成された開口凹部を含み、前記開口凹部は、その対向する側面に配置された第1の側壁及び第2の側壁を含んでおり、前記第1の側壁は、前記開口凹部に隣接して位置する堆積物を含み、前記堆積物は、材料が取り除かれた前記第1の側壁の領域内に1つ以上の粉末材料層をコールド・スプレーすることによって形成される、マグネシウム部品。
【請求項2】
前記マグネシウム部品は、ギアボックス・ハウジングである、請求項1に記載のマグネシウム部品。
【請求項3】
前記粉末材料は、アルミニウムを含む、請求項1に記載のマグネシウム部品。
【請求項4】
前記側壁から取り除かれた前記材料は、摩耗、腐食、及び点腐食のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のマグネシウム部品。
【請求項5】
前記側壁から取り除かれた前記材料において損傷が生じると予想される、請求項1に記載のマグネシウム部品。
【請求項6】
前記堆積物は、前記開口凹部の内面から前記側壁の外面まで及ぶ、請求項1に記載のマグネシウム部品。
【請求項7】
前記堆積物を含む前記マグネシウム部品は、前記マグネシウム部品の当初の寸法と実質的に等しい少なくとも1つの寸法を有する、請求項1に記載のマグネシウム部品。
【請求項8】
前記堆積物は、前記側壁の残りの部分と実質的に面一である、請求項7に記載のマグネシウム部品。
【請求項9】
回転翼航空機のマグネシウム部品内の溝の内部に形成された開口凹部の損傷部分を復元する方法であって、前記開口凹部は、その対向する側面に配置された第1の側壁及び第2の側壁を含んでおり、
摩耗または局部腐食及び点腐食を示すすべての材料を取り除くことによって、前記溝の開口凹部に隣接する前記側壁内に領域を形成することと、
前記領域内に堆積物を形成することであって、前記堆積物が前記側壁及び前記溝の開口凹部の内面と一体的に形成されるように、堆積物を形成することと、
前記堆積物から任意の余分な材料を取り除くことと、
を備えた、方法。
【請求項10】
前記マグネシウム部品は、回転翼航空機のギアボックス・ハウジングである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記堆積物は、コールド・スプレー堆積プロセスを通して前記領域に被覆される1つ以上の粉末材料層を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記粉末材料は、アルミニウムを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記堆積物は、前記開口凹部の内面から前記側壁の外面まで延在するとともに、前記側壁からすべての損傷を完全になくすように構成された深さを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記堆積物が側壁の外面と実質的に面一となるように、余分な材料を取り除く、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記堆積物を含む前記マグネシウム部品の少なくとも1つの寸法が、その当初の寸法と実質的に等しくなるように余分な材料を取り除く、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
回転翼航空機のマグネシウム部品ハウジングの溝の内部に形成された開口凹部内に堆積物を先制形成する方法であって、前記開口凹部は、その対向する側面に配置された第1の側壁及び第2の側壁を含んでおり、
前記溝の開口凹部に隣接する前記側壁から、損傷が生じると予想される材料を取り除いて領域を形成するステップと、
前記領域内に堆積物を形成するステップであって、前記堆積物が前記マグネシウム部品の前記側壁及び前記開口凹部の内面と一体的に形成されるように、堆積物を形成するステップと、
前記堆積物から任意の余分な材料を取り除くステップと、を含む方法。
【請求項17】
前記マグネシウム部品は、回転翼航空機のギアボックス・ハウジングである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記堆積物は、コールド・スプレー堆積プロセスを通して前記領域に被覆される1つ以上の粉末材料層を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記粉末材料は、アルミニウムを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記堆積物を含む前記マグネシウム部品の少なくとも1つの寸法が、その当初の寸法と実質的に等しくなるように、余分な材料を取り除く、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2013年11月6日に出願された米国特許仮出願第14/073,188号の利益を主張する。なお、この文献の全体の内容は本明細書において参照により開示に含まれる。
【0002】
本発明の典型的な実施形態は、腐食損傷の影響を受けやすい回転翼航空機の部品に関し、より詳細には、回転翼航空機のこのような部品の腐食損傷を防止または低減するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
回転翼航空機には、例えばギアボックスなどの部品が含まれており、これらは典型的にアルミニウム及びマグネシウム合金から構成されている。このような部品が環境に露出される結果、これらの合金材料は、腐食の影響を受けやすい。例えば、部品の外面に水分または湿分が存在すると腐食が生じる場合があり、他の環境状態(例えば、化学的降下物及び塩水など)があると腐食を悪化させる場合がある。腐食があると部品の材料が劣化する場合があり、その結果、その壁厚さが薄くなる。場合によっては、部品の壁厚さが過剰に薄くなって部品の構造安全性が損なわれる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の回転翼航空機部品の修復方法では、アルミニウム及びマグネシウム構造の寸法復元を、種々の技術(例えば、限定することなく、エポキシ接着、プラズマ・スプレー、高速フレーム(HVOF)溶射及び融接を含む)を用いて可能にしている。高温修復技術を用いると、容認できないほど部品が歪み、過時効または溶体化によって基材材料特性が劣化する場合がある。エポキシ接着は、サービス中に壊れるかまたは砕ける可能性があり、その下に設けられた材料を環境要素が攻撃することが起こり得る。材料に対する攻撃が引き続いて起こると壁厚さが薄くなって、部品がもはや利用できなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、回転翼航空機のマグネシウム部品であって、開口凹部の対向する側面に配置された第1の側壁及び第2の側壁を含む溝を備えた、マグネシウム部品が提供される。第1の側壁は、開口凹部に隣接して位置する堆積物を含む。堆積物は、材料が取り除かれた第1の側壁の領域内に1つ以上の粉末材料層をコールド・スプレーすることによって形成される。
【0006】
本発明の別の実施形態によれば、マグネシウム部品内の溝の損傷部分を復元する方法であって、摩耗または局部腐食及び点腐食を示すすべての材料を取り除くことによって開口凹部に隣接する側壁内に領域を形成することを含む方法が提供される。領域内に堆積物を形成し、側壁及び溝の開口凹部の内面と一体的に形成する。堆積物から必要に応じて余分な材料を取り除く。
【0007】
本発明の別の実施形態によれば、マグネシウム部品の溝内に堆積物を先制して形成する(preemptively forming)方法であって、溝の開口凹部に隣接する側壁から材料を取り除いて領域を形成することを含む方法が提供される。材料を取り除くべき領域中に損傷が生じると予想される。領域内に堆積物を形成する。堆積物を側壁及び開口凹部の内面と一体的に形成する。堆積物から必要に応じて余分な材料を取り除く。
【0008】
主題は、本発明とみなされるものであるが、明細書の終わりの請求項において詳細に指摘され明確に請求される。本発明の前述及び他の特徴及び優位性は、添付図面に関連した以下の詳細な説明により明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2a】
図1の航空機のメイン・ローター・システム及びテール・ローター・システムの典型的な概略図である。
【
図2b】
図1の航空機のメイン・ローター・システム及びテール・ローター・システムの典型的な概略図である。
【
図3】本発明の実施形態による回転翼航空機のギアボックス・ハウジングの斜視図である。
【
図4】溝を含む
図3に例示したギアボックス・ハウジングの一部の断面図である。
【
図5】本発明の実施形態による一体的に形成された堆積物を有するギアボックス・ハウジングの一部の断面図である。
【
図6】本発明の実施形態によるギアボックス・ハウジングの溝の一部を復元するための方法を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態によるギアボックス・ハウジングの溝内に堆積物を先制して形成するための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明では、本発明実施形態を、その優位性及び特徴とともに、一例として図面を参照して説明する。
【0011】
図1に、メイン・ローター・システム12を有する回転翼航空機10を概略的に例示する。航空機10に含まれる機体14は延長テール16を有している。延長テール16は、テール・ローター・システム18(例えば、反トルク・システム、並進推力システム、推進プロペラ、またはロータ推進システムなど)を搭載している。動力が1つ以上のエンジンEから動力伝達ギアボックス20(
図2a及び2bを参照)に伝達されて、メイン・ローター・システム12を、対応する回転軸Aを中心として駆動する。開示した実施形態では特定の回転翼航空機構成について例示及び説明しているが、他の構成及び/または機械(例えば、補足的な並進推力システムを伴う高速複合回転翼航空機、二重反転、同軸ローター・システム航空機、及びターボ・プロップ、ティルト・ロータまたはティルト翼航空機など)に対しても、本発明は有用である。
【0012】
次に
図2aを参照して、
図1の航空機10のメイン・ローター・システム12及びテール・ローター・システム18の概略図をより詳細に示す。例示した非限定の実施形態では、動力伝達ギアボックス20は1つ以上のエンジンE、メイン・ローター・システム12、及びテール・ローター・システム18の間に置かれている。ギアボックス20を、メイン・ローター・システム12及びテール・ローター・システム18の両方に機械的に接続しても良く、それらを動作させるように構成しても良い。
図2bに示す別の実施形態では、回転翼航空機10は、第1の動力伝達ギアボックス20aを含んでいる。第1の動力伝達ギアボックス20aはメイン・ローター・システム12に機械的に結合され、これを動作させるように構成されている。同様に、第2の動力伝達ギアボックス20bがテール・ローター・システム18に機械的に接続され、これを動作させるように構成されている。動力伝達ギアボックス20a、20bはそれぞれ、航空機10の少なくとも1つのエンジンEから動力を受け取る。
【0013】
各動力伝達ギアボックス20は通常、ハウジング22(
図3を参照)内に搭載される。ハウジング22は内部で歯車列を支持するように構成されている。一実施形態では、ギアボックス・ハウジング22にはマグネシウム材料が含まれている。例示した非限定の実施形態では、ハウジング22は通常、複数の第1の開口部24と複数の第2の開口部26とを含んでいる。複数の第1の開口部24は、例えば、潤滑剤をギアボックス20の種々の部分に与えるための複数の通路を実現するように構成しても良い。複数の第2の開口部26は、入力モジュール・アタッチメント(図示せず)(例えば、メイン・ローター・システム12またはテール・ローター・システム18のロータ・シャフト(図示せず)など)を少なくとも部分的に支持するように構成しても良い。開示した非限定の実施形態では特定のギアボックス・ハウジング22構成について例示及び説明しているが、他の構成も本発明の範囲内である。
【0014】
ギアボックス・ハウジング22はさらに1つ以上の溝30を含んでいる(
図4に例示)。溝30が有する開口凹部32は、対向する側面を、同様の第1及び第2の側壁34によって囲まれている。各溝30は部品(例えばOリング・シールなど)を収容するように構成されている。一実施形態では、複数の溝30は、複数の第1の開口部24または複数の第2の開口部26(
図4に例示)のうちの1つ以上の内部に配置されて、側壁34がハウジング22によって形成されるようになっている。しかし溝30を、ギアボックス・ハウジング22の任意の部分に形成しても良い。
【0015】
ハウジング22の一部(詳細には、溝30の側壁34)は、腐食及び/または点腐食だけでなく摩耗の影響を非常に受けやすい。次に
図5を参照して、堆積物40(斜線領域として例示)によって、ギアボックス・ハウジング22内の溝30の側壁34のうちの1つ以上の少なくとも一部が形成されている。堆積物40を、当該技術分野で知られた任意の好適な粉末材料(例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金など)で形成しても良い。一実施形態では、堆積物40を、摩耗または腐食及び点腐食がすでに生じた後にハウジング22を修復する手段として形成する。別の実施形態では、堆積物40を、側壁34に対する損傷が最も生じやすい場所についての決定に基づいて「先制的修理(preemptively repair)」として形成する。
【0016】
各堆積物40の形成は、開口凹部32に隣接する側壁34の領域42に1つ以上の粉末材料層を被覆することによって行なう。損傷が生じた後に堆積物40をハウジング22に被覆する実施形態では、領域42の形成を、損傷を受けた材料を側壁34から取り除くことによって行なう。一実施形態では、領域42を形成するために取り除かれる材料は、開口凹部32の内面38から側壁34の外面36まで及んでおり、すべての局部損傷または腐食を完全になくすのに十分な深さを有している。側壁34の隣接する、傷ついていない材料の一部を、損傷を受けた材料とともにさらに取り除いて、側壁34の残りの材料が傷ついていなことを確実にしても良い。堆積物40を「先制して(preemptively)」被覆する実施形態では、各領域42の形成を、損傷及び/または腐食及び点腐食が最も生じやすい側壁34から材料を取り除くことによって行なう。
【0017】
堆積物40を形成するために用いる粉末材料層の被覆は通常、堆積プロセスとして、粒子を十分に高い速度にまで加速するように十分なエネルギーを与えて、粒子が衝突時に塑性変形して領域42に接合する堆積プロセスを通して行なわれる。エネルギーが与えられた材料の粒子は、スプレー・ガン50の収束/発散ノズル52を通して超音速まで加速される。これは、加圧または圧縮ガス(例えば、ヘリウム、窒素、他の不活性ガス、またはそれらの混合物)を用いて行なわれる。堆積プロセスによって、粒子がその固体状態から冶金的に変わることはない。種々の技術を用いて、このタイプの粒子堆積を実現し得る。例えば、限定することなく、コールド・スプレー堆積、動的メタライゼーション、電磁的粒子加速、修正高速空気燃料溶射、または高速衝突融合(HVIF)などである。
【0018】
エネルギーが与えられた材料の層を、ハウジング22の原材に被覆しても良いし、または代替的に、以前に形成した堆積物40に被覆しても良い。粉末材料を堆積する間、ギアボックス・ハウジング22を、静止保持しても良いし、または当該技術分野で知られた任意の好適な手段(図示せず)によって連結もしくは平行移動しても良い。代替的に、スプレー・ガン50のノズル52を静止保持しても良いし、または連結もしくは平行移動しても良い。場合によっては、ギアボックス・ハウジング22及びノズル52の両方を操作することを、順次にまたは同時に行なっても良い。
【0019】
ギアボックス・ハウジング22の溝30の損傷部分を復元するための方法100を
図6に例示する。本方法は、ブロック102で、溝30の側壁34のうちの少なくとも1つから局部損傷をすべて取り除いて領域42を形成すること(
図5を参照)によって始まる。腐食及び点腐食を取り除くことを、機械的または化学的に(例えば、研磨、機械加工、エッチング、または他の適用できる技術を用いて)行なっても良い。ブロック104では、コールド・スプレー堆積プロセスを用いて、少なくとも1つの粉末材料層を領域42に被覆して、開口凹部32の内面38及び側壁34の残りの部分と一体的に形成された堆積物40を形成する。領域42に接合するときに、堆積物40はギアボックス・ハウジング22の側壁34の当初の寸法を超えて延びても良い。堆積物40を形成した後で、ブロック106に示すように、余分な材料を必要に応じて取り除く。その結果、堆積物40はギアボックス・ハウジング22の側壁34の残りの部分と略面一となり、及び/または、堆積物40を含むギアボックス・ハウジング22の寸法はその当初の寸法と実質的に等しい。
【0020】
ハウジング22の側壁内に堆積物40を先制して形成する方法200を
図7に例示する。方法200は、ブロック202で、未使用のギアボックス・ハウジング22の側壁34から一部の材料を、局部腐食及び点腐食が最も生じやすい位置で取り除いて領域42を形成することによって始まる。材料を側壁34から取り除くことを、機械的または化学的に(例えば、研磨、機械加工、エッチング、または他の適用できる技術を用いて)行なっても良い。ブロック204では、コールド・スプレー堆積プロセスを用いて少なくとも1つの粉末材料層を被覆して、堆積物40を形成する。側壁34の領域42内に形成された堆積物40は、ギアボックス・ハウジング22の表面30の当初の寸法を超えて延びても良い。そのような場合には、ブロック206に示すように、堆積物40を形成した後に、余分な材料を取り除く。余分な材料40を取り除いて、堆積物40がギアボックス・ハウジング22の側壁34の残りの部分と実質的に面一となるように、及び/または、堆積物40を含むギアボックス・ハウジング22の寸法がその当初の寸法と略等しくなるようにしても良い。
【0021】
ギアボックス・ハウジング22内の1つ以上の溝30の側壁34内に1つ以上の堆積物40を形成することにより、腐食及び点腐食を低減及び/または防止することができ、その結果、ハウジング22の耐用期間が向上する。加えて、コールド・スプレー堆積プロセスの使用は、通常、マグネシウム部品の修復の利用可能性を制限する考慮すべき事柄である、マグネシウム基材の熱処理条件及びその材料特性に影響を及ぼさない。
【0022】
本発明を、限定された数の実施形態のみに関連して詳細に説明してきたが、本発明はこのような開示された実施形態には限定されないことが容易に理解されるはずである。むしろ、本発明を変更して、これまで説明していないが本発明の趣旨及び範囲に対応する任意の数の変形、修正、置換、または等価な配置を取り入れることができる。さらに加えて、本発明の種々の実施形態について説明してきたが、当然のことながら本発明の態様には、説明した実施形態の一部のみが含まれていても良い。したがって本発明は、前述の説明によって限定されると考えるべきではなく、添付の請求項の範囲のみによって限定される。