【実施例】
【0089】
実施例1.腸粘膜モデルにおけるIL−10産生を誘導する能力のインビトロ評価
消化管免疫系(しばしば腸管関連リンパ組織とも称される、GALT)とのその相互作用から生じる細菌株の免疫調節性能を研究した。より具体的には、細菌株が腸管炎症を低減する抗炎症IL−10の産生を誘導する能力を有するかどうかを検査することを試みた。これの分子的基盤は、プロバイオティクス細胞表面受容体と、パイエル板に存在する樹状細胞に見出すことができるTLR−2及びTLR−4(トール様受容体)との相互作用である。
【0090】
THP−1細胞株
選択されたモデルは、TLR−2及びTLR−4を発現する細胞株THP−1であった。このモデルはリポ多糖類−LPS−(炎症応答の誘導因子として)などの細菌成分に感受性であり、抗炎症性サイトカインパターンの産生の誘導のために適切な分子が培地中にある場合サイトカイン産生を調節することは容易である。
【0091】
当技術分野による用語「THP−1細胞株」は、急性単球性白血病患者に由来するヒト単球細胞株に関する。これは、タンパク質−タンパク質相互作用及び免疫組織化学の免疫細胞化学的分析で白血病細胞株を検査するために使用される。
【0092】
THP−1細胞株は、Public Health Englandの細胞収集物(カタログ番号88081201)から得た。本出願の出願時に供給者Public Health England(www.hpacultures.org.uk)からの88081201についての製品カタログは、THP−1細胞に関して:「ヒト単球白血病、急性単球性白血病を有する1歳男児の末梢血に由来する」と記載している。
【0093】
培地及びLPS
THP−1単球をロズウェルパーク記念研究所(RPMI)1640培地+10%ウシ胎児血清(FBS)で増殖させた。RPMIは、標準的な市販の培地(RPMI 1640、照会61870−010 Gibcoから)であった。FBSもGibcoからであった。
【0094】
増殖培地にホルボール12−ミリステート13−アセテート(PMA、照会P8139 SIGMAから)5mgを最終濃度0.16μMとなるように加え、およそ72時間インキュベートすることによって、THP−1単球をマクロファージに分化させた。
【0095】
細菌株をMRS培地で増殖させた。それは、標準的な市販のMan、Rogosa and Sharpe培地(MRS、Broth Oxoid ref.CM0359)であった。
【0096】
THP−1マクロファージを炎症応答を誘導するためにLPSで刺激した。リポグリカンとしても知られるリポ多糖類(LPS)は、共有結合で繋がれた脂質及び多糖類からなる大きな分子であり、それらはグラム陰性細菌の外膜において見出され、動物において内毒素として作用し、強い免疫応答を励起する。本研究において使用されるLPSは、標準的な市販のリポ多糖類(照会L4391、Sigma)である。
【0097】
増殖、インキュベーション及びIL−10測定
THP−1マクロファージを24ウエルELISAプレート中のRPMI 1640+10%FBS培地で最終濃度マクロファージ10
6個/ウエルまで増殖させた。最終細胞濃度は、トリパンブルー色素及びノイバウアー(Neubauer)計数チャンバーを使用して算出した。
【0098】
THP−1マクロファージをLPS(最終濃度10ng/ml)と2.5時間共インキュベートした。次いで細胞をダルベッコリン酸緩衝生理食塩水培地(D−PBS、照会14190−094 Gibcoから)で洗浄した。RPMI 1640+10%FBS培地500μlを各ELISAウエルに加えた。
【0099】
細菌株は、予めMRS培地で37℃、5%CO
2雰囲気において一晩増殖させた。最終比25:1(細菌2.5×10
7cfu:THP−1マクロファージ10
6)を得るために適切に希釈した細菌株を各ウエルに加えた。濃度は、ノイバウアー計数チャンバーを使用して算出した。
【0100】
次いでTHP−1マクロファージを2.5時間、37℃で細菌株と共に又は伴わず(陰性コントロール)にインキュベートした。続いてマクロファージを細菌株を除去するためにD−PBS培地で2回洗浄した。次いでゲンタマイシン(50μg/ml)、アンピシリン(10μg/ml)及びクロラムフェノコール(12μg/ml)を補充したRPM I1640+10%FBS培地を加え、37℃、5−7%CO
2でインキュベートし、アリコートを5及び24時間で採取した。
【0101】
アリコートを遠心分離し、上清をフローサイトメトリーによって市販のキットHuman IL−10 Flex Set(Bead B7照会番号558274、BD Bioscienciesから)を製造者の説明書に従って使用してIL−10についてアッセイした。
【0102】
算出
結果の解釈について、絶対値は使用しなかった。最も情報価値のある値は、5及び24時間で値を取った、正規化された増加として表されるサイトカインの放出、この場合IL−10濃度である。これは、消化管で何が起きているかを反映し、実験間の横断的比較を可能にする標準値を提供する。正規化された増加を式に従って算出する、式中IL10
5h及びIL10
24hは、それぞれ5又は24時間でのIL−10のpg/mlでの濃度である:
(IL10
24h−IL10
5h)/IL10
5h
【0103】
結果
値が高いほどIL−10の誘導は高い。表1に示すとおり、LPS−誘導THP−1マクロファージは、細菌株の存在下でIL−10の産生を誘導し、IL−10誘導は株CECT 8330の存在下で特に高い。CECT 8330によって生じる誘導は、L.ロイテリによって生じるものよりもわずかに高い。
【0104】
実施例2.腸内細菌に対する拮抗能
目的は、過剰な泣きを有する乳児において一般的に豊富な望ましくない種のメンバーに拮抗する細菌株の能力を評価することであった。
【0105】
これらの性能を検出及び評価するために使用したプロトコールは、Campbellプロトコールとして既知である。この技術は、プロバイオティクス株を均一に播種したコンフルエントな寒天板の円柱切片と共にペトリ皿で拮抗される細菌をインキュベートすることを含む。円柱切片周辺の増殖阻害のハローを測定する。
【0106】
培地
病原体株をオキソイド培地において増殖させた。それは、標準的な市販で入手可能なオキソイド培地(オキソイドCM0359)であった。
【0107】
インキュベーション及び測定値
オキソイド培地を含有するプレートに病原体株を均一に塗布し、各病原体の増殖のために適切な温度及び%CO
2でCO
2インキュベーターにおいてコンフルエンスまで増殖させた。次いで、検査したプロバイオティクス株を均一に播種したコンフルエントな寒天板の6mm直径の円柱切片2個を病原体を播種したプレートに接触させて配置して、病原体を播種したプレートを一方の円柱切片の増殖側及び他方の円柱切片の非増殖側に向け、一晩37℃でインキュベートした。
【0108】
算出
翌日、阻害領域を寒天板を平たい定規上に置くことによって測定した。次いで、増殖阻害活性(GI)を式GI=(IZD−CD)/2に従って、センチメートルで測定した阻害領域直径(IZD)から円柱直径(CD)を減算し、この差を2で割ることによって算出した。本発明の株の阻害性能を市販の株L.ロイテリのものと比較した。最終的な阻害活性を各株についての2個の上に述べた円柱切片に関するGI値の平均として算出した。
【0109】
結果
【0110】
株は、研究した病原菌のすべてのスペクトラムに対して阻害活性を示した。したがって、株は、グラム陽性だけでなくグラム陰性細菌も効率的に阻害した。これは、大腸菌及びB.ブルガータスの増殖を非効率的に阻害したL.ロイテリの場合はそうではなかった。大腸菌などの細菌の異常な量が過剰な泣きを呈する乳児において一般的に存在することからこれは、重要である(De Weerth, C. 等2013 上記; Lehtonen, L. 等“Intestinal Microflora in colicky and noncolicky infants: Bacterial Cultures and Gas-Liquid Chromatography”, Journal of pediatric Gastroenterology and Nutrition 1994, vol. 19, p 310-314)。一般に、L.ロイテリと比較してCECT 8330及び特にCECT 7894が、ほとんどすべての病原体細菌の増殖をさらに効率的に阻害することは注目に値する。さらに、本発明の両方の株が過剰な泣きを呈する乳児の腸においても豊富であるクラブシエラ及びクロストリジウムに対する保護を提供することにも関連する(De Weerth, C. 等2013 上記; Lehtonen, L. 等1994 上記)。
【0111】
実施例3.ガスの不産生
ヘテロ型発酵細菌は、次の代謝経路:
1グルコース→1乳酸+1エタノール/酢酸+2ATP+1CO
2
グルコース発酵によってCO
2及びエタノール並びに、乳酸を産生する。
【0112】
株によるCO
2の産生を決定した。式に示すとおりCO
2の産生は、エタノールの産生にも情報価値がある。CO
2の産生は、ガスが産生された場合に蓄積される、より小さな倒立したチューブを内部に含有しているヘテロ発酵ブロスでのプロバイオティクス株のインキュベーションに基づくDurham Tubes技術を使用して決定した(Pilone, G.J., 等, "Characterization of wine lactic acid bacteria: single broth culture for tests of heterofermentation、mannitol from fructose、and ammonia from arginine " Am J Enol Vitic 1991, vol. 42, p 153-157)。
【0113】
株CECT 8330及びCECT 7894はガスを産生しなかった。コントロールとして使用されたL.ロイテリは、ガスを産生した。
【0114】
実施例4.毒性アッセイ
ビフィドバクテリウム属及び乳酸桿菌属由来の細菌とは対照的に、ペディオコッカス・ペントサセウスは、ヒトの消費のためのプロバイオティクスとしては一般的には使用されない。したがって、本発明のプロバイオティクス株CECT 8330は、QPS状態を有する種に属するが、追加的毒性アッセイが安全についてのいかなる懸念も回避するために実行された。
【0115】
乳幼児の未成熟な消化管による高い感受性/感度を考えて、乳児における株の完全な安全性を確実にするために、Wistar Han IGS Crl:WI新生ラット(実験開始時の体重範囲18−23gを有する誕生10日後)を使用する急性毒性のさらに適切なモデルを開発することを決めた。
【0116】
妊娠中のメスを妊娠19日目に受け取った。誕生後、同腹仔はオス4匹及びメス4匹に調整し、母系的影響を回避し、等しいサイズの同腹仔を達成するためにすべての母親の仔を混合した。授乳中の各メスをオス4匹及びメス4匹と共に置いた。授乳中のメスにはSAFE A03食餌及び水を自由摂取させた。
【0117】
実験手順は4群を含んだ:ビヒクル−トランスロケーション、ビヒクル−臨床徴候、CECT8330−トランスロケーション、及びCECT8330−臨床徴候。
【0118】
各群は、授乳中のメス及びオス4匹及びメス4匹の同腹仔を含むケージを含んだ。CECT 8330製品を最終濃度0.5×10
10cfu/ml製剤で毎日調製した。ビヒクル群は、プロバイオティクスの代わりに水を受けた。すべての新生ラットにビヒクル又はCECT 8330治療を、5ml/kg(CECT 8330の場合2.5×10
10cfu/kg)の固定容量で経口胃カニューレを含む経口経管栄養によって5日間(研究0日目から4日目まで)投与した。ヒトにおける投与の目的の経路であることから経口経路を研究のために選んだ。
【0119】
実験中の観察は:罹患率/死亡率;体重;臨床徴候(水分補給(hydration)及び身体状態を含む子の様子;刺激に対する応答;自然な活動−仰臥位にしたときに体をくねらせる能力−皮膚の色)であった。
【0120】
動物を2つの異なる期間後に安楽死させた:
− 「トランスロケーション」の群は実験4日目に安楽死させた(5日間治療の最終日)。
− 「臨床徴候」の群は実験11日目に安楽死させた(最終経口投薬の1週間後)
【0121】
仔を頭切除術によって安楽死させ、無処置の動物及びその組織表面すべての検討を含み胸部及び腹部の腔の内部検討が続く剖検を実施した。「トランスロケーション」群に属する動物では、安楽死の直後に動物の肝臓を回収し、バクテリアルトランスロケーション分析まで2−4℃に維持した。各肝臓試料およそ5mgを0.01%ゼラチンPBS 1ml中で均質化した。この均質物から100μlをMcConkeyプレート又はMRSプレートにプレーティングした。コロニーを37℃、48時間のインキュベーション後に計数した。
【0122】
非自然死亡率又は毒性関連臨床徴候を研究中に観察した。コントロール(ビヒクル)とCECT 8330との間で体重に差異は検出されず、すべての動物の行動は正常であった。さらに、コントロールとCECT 8330群との間で、乳酸菌又は腸内細菌の肝臓中へのトランスロケーションを示していた動物の数に差異は観察されなかった。
【0123】
実施例5.株の単離
新鮮便を0−9歳児から回収し、PBSバッファー(pH7.4)に溶かし、アリコートを取り、種々の抗生物質組合せを補充したMRSにプレーティングした。株を微好気性条件(5%CO
2)下、37又は30℃で培養した。インキュベーション時間は、増殖率に依存したが、24時間から3日間通常どおり行った。グラム染色を最初の同定を得るために実行した。一度増殖されたら単離した株は15%スキムミルク粉を含む0.1×PBS中で凍結乾燥によって保存した。株は、10μg/mlバンコマイシンを補充したMRSアガーで増殖させた。顕微鏡検査は、ビフィドバクテリウム・ロンガムCECT 7894がグラム陽性桿菌であり、ペディオコッカス・ペントサセウスCECT 8330がグラム陽性球菌であることを明らかにした。
【0124】
以前記載されたとおり属及び種の同定を、16S rRNA遺伝子の増幅によって行った(Bosch, M. 等, Probiotic properties of Lactobacillus plantarum CECT 7315 and CECT 7316 isolated from faeces of healthy children. Lett App. Microbiol, 2012 vol. 54, p 240-6)。配列番号1はペディオコッカス・ペントサセウスCECT 8330の16S rRNA配列に対応し、配列番号2はビフィドバクテリウム・ロンガムCECT 7894の16S rRNA配列に対応する。
【0125】
株遺伝子型判定をゲノム消化及びパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)によって実施した。
【0126】
ペディオコッカス・ペントサセウスCECT 8330をわずかな修正を伴って以前記載されているプロトコールに供した(Rodas, A.M.,等, Polyphasic study of wine Lactobacillus strains: taxonomic implications. Int J Syst Evol Microbiol, 2005. 55(1): p 197-207)。コントロールとして使用できる入手可能なペディオコッカス・ペントサセウスの市販の株がないことから、ペディオコカス・アシディラクティシ2つの市販の株をこのアッセイに含めた(
図1における1及び2)。株をMRS寒天板で増殖させ、37℃、5%CO
2で18時間インキュベートした。細胞を回収し、PET(10mM Tris pH7.6、1M NaCl)8mlで3回洗浄し、次いで6000rpmで10分間遠心分離した。沈殿物を700ml溶解バッファー(6mM Tris、1M NaCl、0.1M EDTA、0.5% SLS、0.2%デオキシコール酸;1mg/mlリゾチーム;40U/mlムタノリシン(mutanolysin);20mg/ml RNase)に再懸濁した。等容量の1.6%低融点アガロース(FMC BioProducts、Rockland、ME、USA)を再懸濁した細胞に加え、4℃、1時間凝固させた。挿入物を2ml溶解バッファーII(0.5M EDTA pH9.2、1% N−ラウリルサルコシン及び1mg/mlプロナーゼ)に移し、50℃、48時間インキュベートした。次いで挿入物を室温でTEバッファー(10mM Tris、1mM EDTA pH8.0)で洗浄した。総DNA消化をSma−I及びNot−1制限酵素(Roche Diagnostics)で別々に実施した。パルスフィールドゲル電気泳動をCHEF DRIII装置(BioRad Laboratories)を使用して実行した。挿入物を1%アガロースゲル(SeaKem ME agarose、FMC BioProducts、ME、USA)にロードした。表3は、各酵素についての電気泳動条件を記載している。DNA分子量マーカーは、ラムダラダーPFGマーカー及びLow Range PFG Maker(New England Biolabs)であった。電気泳動後、ゲルをGelDoc系(BioRad)を使用してエチジウム臭化物及びUVで染色した。
【0127】
ビフィドバクテリウム・ロンガムCECT 7894を、Briczinski,E.P.等“Technical note:a rapid pulsed-field gel electrophoresis method for analysis of bifidobacteria”J.Dairy Sci.2006,vol.89,p 2424-2427に記載のとおりXba I及びSpe Iを制限酵素として使用するPFGEによって特徴を明らかにした。得られたパターンをB.ロンガムCECT4551のものと比較した。
【0128】
結果を
図1及び
図2に示す。パルスフィールドゲル電気泳動Not−I及びSma−I制限パターンは、ペディオコッカス・ペントサセウスの株CECT 8330及び、ペディオコカス・アシディラクティシ種に属する市販のコントロール株(1及び2)とは異なっていた。ペディオコッカス・ペントサセウス株をコントロールとして含むことはそれが市販でないことから不可能であった。PFGEは、同じ種の株間の識別を可能にし、それにより細菌種内で所与の細菌株を一意的に同定するために使用できる(Rodas, A.M.、等2005上記)。
【0129】
実施例6.油性懸濁物の調製物
ヒマワリ油400mlを撹拌手段を伴う容器に導入した。コロイドシリカ9.5gを完全な均質化まで塊の形成及び凝集を回避するために撹拌しながら(150rpm)ゆっくり加えた。5×10
12cfusを含有するペディオコッカス・ペントサセウスCECT 8330 13.3gを完全な分散までゆっくり撹拌(50rpm)しながら容器に加えた。次いで、5×10
12cfusを含有するビフィドバクテリウム・ロンガムCECT 7894 42.75gを完全な分散までゆっくり撹拌(50rpm)しながら容器に加えた。懸濁物をヒマワリ油で最終的に1000mlにし、最終懸濁物を均質に撹拌した。懸濁物を室温に保った。
【0130】
実施例7.臨床研究
研究の設計
試験的な臨床治験をP.ペントサセウスCECT 8330とB.ロンガムCECT 7894とを組み合わせたプロバイオティクス処方の有効性及び安全性を評価するために実施した。研究は、カタルーニャ(スペイン)から合計8ヵ所の参加施設を含む2つの並行アームでの前向き二重盲検プラセボコントロール、無作為臨床治験として設計した。研究プロトコールは、ヘルシンキ宣言に従ってEthical Committees from IDIAP Jordi Gol(Barcelona、Spain)によってFundacio Unio Catalana d’Hospitals(Barcelona、Spain)から承認された。
【0131】
次の対象基準のすべてに合致する男女の正期産児を採用した:21から120日齢;最少出生時体重2.5Kg;母乳栄養又は調製粉乳(加水分解又は開始処方)での栄養の何れか;定義「普通の世帯機能に問題である(少なくとも1週間に、3日以上で3回以上のエピソードが1日あたり少なくとも60分間観察されたことを意味する)激烈、持続的及び癒やしがたい泣きであり、予め腸重積などの器質的病因を排除したもの」による、過剰な泣き及びぐずり。排除基準は:早期産児(37週以前での出生);慢性疾患;胃腸障害(疝痛に関連しない)の病歴;免疫抑制された乳児;外科的治療の既往又は予定;登録前1週間でのプロバイオティクス又は抗生物質の摂取;両親又は代理人が研究要件に適切に従うことができない乳児であった。対象は、プロバイオティクス治療群又はプラセボ群の何れかに無作為に割り当てられた。治療は、実施例6に記載の組成物からなる。プラセボは、プロバイオティクスを含まない同じ油性懸濁物からなる。組成物は、14日間哺乳前30分に投与した(5滴/日)。研究中、両親は、治療の遵守(adhesion)、泣きの発生及び有害作用を記録する質問票を記入することを求められた。
【0132】
データ分析をIBM(登録商標)SPSS Statistic v20 for Windowsで実施し、結果を平均及び標準誤差として表した。臨床治験中の毎日の泣き時間における平均低減を、研究の最後の3日間(12、13及び14日目)での1日あたりの泣きの合計時間(分)の平均と、研究の最初の3日間(1、2及び3日目)での1日あたりの合計時間(分)の平均との間の差異として算出した。各エピソードの持続時間における平均低減を、研究の最後の3日間(12、13及び14日目)での各エピソード持続時間(分)の平均と、研究の最初の3日間(1、2及び3日目)での各エピソード持続時間(分)の平均との間の差異として算出した。
【0133】
結果
臨床治験の開始時に、プラセボ群に属する乳児n=9及び、プロバイオティクス処方群に属するn=11が泣き時間の提案された定義に合致し、それにより研究を継続できることを確認した。研究の開始時にこの集団の平均泣き時間は、60から240分間の範囲であった。研究中プラセボ及びプロバイオティクス処方の両方は、良好な耐容性を示し、補充に関連する有害作用は観察されなかった。さらに
図3に示すとおり、泣き時間はプラセボ及びプロバイオティクス群の両方において研究中に低減した。しかしプロバイオティクス消費は、平均泣き時間においてさらに高い低減を生じた。同様の傾向が各エピソードの持続時間について観察された。
【0134】
観察された臨床効果は、インビトロで観察されたプロバイオティクス特性を裏付けた。この研究は、プロバイオティクスが疝痛を治療するために使用された他の研究と比較してある程度の強さを示したので、これらの結果は、関連して興味深い。例えば、研究は、母乳栄養及び人工栄養乳児の両方を含んでいた。現在のプロバイオティクス処方は人工栄養サブ集団においていかなる改善も示すことができていないので、これは関連して興味深い。さらに参加乳児を日常の診療によりさらに現実的に乳児疝痛の臨床定義に基づいて採用し、治療期間(14日間)は、多数の他の臨床治験(21−28日間)より短かった。
【0135】
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WO2007142596