特許第6644039号(P6644039)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644039
(24)【登録日】2020年1月9日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】全天候型モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/10 20060101AFI20200130BHJP
   B64D 27/24 20060101ALI20200130BHJP
   H02K 5/20 20060101ALI20200130BHJP
   H02K 9/26 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   H02K5/10
   B64D27/24
   H02K5/20
   H02K9/26 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-180162(P2017-180162)
(22)【出願日】2017年9月20日
(65)【公開番号】特開2019-57977(P2019-57977A)
(43)【公開日】2019年4月11日
【審査請求日】2018年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106944
【氏名又は名称】シナノケンシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】花岡 保雄
【審査官】 清水 康
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2017/0217599(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101951091(CN,A)
【文献】 特開平05−328687(JP,A)
【文献】 特開2003−009487(JP,A)
【文献】 実開昭60−186853(JP,U)
【文献】 特開2017−017892(JP,A)
【文献】 特開昭64−001439(JP,A)
【文献】 特開2008−005606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00 − 5/26
H02K 9/00 − 9/28
B64D 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロペラを高速回転させて飛行する無人航空機用の機体フレームに用いられる全天候型モータであって、
前記機体フレームに固定される取付ベースと、
前記取付ベースに一体に組み付けられた軸受ハウジングと、
前記軸受ハウジングに一体に組み付けられた固定子コアを有する固定子と、
前記固定子コアに対向して支持された回転子マグネットを有し前記軸受ハウジングに軸受を介して回転可能に支持された回転子と、を備え、
前記回転子は、前記固定子の外周側及び前記軸受ハウジングの軸方向両端側を覆うと共に、軸方向一端側に吸気用開口部を有し軸方向他端側に排気用開口部を有する回転ケース体と、前記回転ケース体軸方向他端内面に設けられたフィンと、前記回転ケース体の軸方向他端外面に一体に組み付けられた前記プロペラと、を有し前記吸気用開口部及び前記排気用開口部は、所定の開口径を有するフィルター材で各々覆われており、前記プロペラと共に前記回転子が回転すると、前記回転ケース体の前記軸方向一端側に設けられた前記吸気側開口部より前記フィルター材を介して軸方向に吸気し、前記回転ケース体の軸方向他端内面に設けられた前記フィンにより径方向外側に向かって送り出して前記フィルター材を介して前記排気用開口部から排気されることを特徴とする全天候型モータ。
【請求項2】
前記フィルター材の開口径は、固定子極歯と前記回転子マグネットの隙間寸法より小さいものが用いられる請求項1記載の全天候型モータ。
【請求項3】
前記吸気用開口部を覆う前記フィルター材は交換可能に設けられている請求項1又は請求項2記載の全天候型モータ。
【請求項4】
前記回転ケース体の軸方向下方に設けられた前記吸気用開口部より吸気し、それより軸方向上方の径方向外側に設けられた前記排気用開口部より排気される請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の全天候型モータ。
【請求項5】
前記回転ケース体は、前記軸受ハウジングの外周側及び軸方向一端部を覆う第一ケース体と、前記軸受ハウジングの外周側及び軸方向他端部を覆う第二ケース体を組み合わせてなり、前記第一ケース体の軸方向端面には吸気用開口部が設けられ、前記第二ケース体の軸方向内端面にはフィン一体に組み付けられ、前記フィンの外周側先端部と対向する側面部に排気用開口部が設けられている請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の全天候型モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば遠隔操縦される無人航空機(通称ドローン)等の駆動源として屋外で露出した状態で使用される全天候型モータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にモータは、運転を開始するとコイルの発熱等によりハウジング内に熱が籠りやすくなり、モータの発熱が大きくなるとモータ性能が低下するため、モータ内部を冷却する必要がある。このため、モータハウジングの一端側に放熱ファンを設け、一端側に設けられた空気取り込み孔からを内部空間に空気流を取り込み、モータ内部の熱気をモータハウジングの他端側の排風口より排出するようにして放熱性を高めた開放型のモータが提案されている(特許文献1:特開2017−17983号公報参照)。
これとは対照的にポンプユニットにモータユニットが組み付けられる場合、モータカバー内にモータが収容されると共にモータベースに対してモータカバーが接合されて密閉された全閉型のモータも提案されている(特許文献2:特開2009−290981号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−17983号公報
【特許文献2】特開2009−290981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、遠隔操縦される無人航空機(通称ドローン)の駆動源として使用されるモータは、主に屋外で高出力で使用される場合が多い。モータを高出力で使用し続ける場合、モータ内部の発熱が大きく熱放散性を大きくするため、モータケースの開口部を大きくとる必要がある。しかしながら、この構造では外部からの塵埃や砂等の異物や水の侵入を防ぐことができずモータロックを引き起こすおそれがある。
これに対し、モータケースに開口部の無い全閉型のモータを採用すると、モータ内への異物や水の侵入は防げるが、モータの発熱を逃がすことができないため高出力が得られず、飛行性能が低下してしまうおそれがある。
このように、モータ発熱によるモータ性能の低下を防ぐ反面、モータ内に異物や水が侵入するのを防ぐ防塵防滴機能を備えた全天候型モータが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下に述べるいくつかの実施形態に適用される開示は、上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、熱放散性を高めることでモータ性能の低下を防ぎ、かつ防塵防滴性能を高めてモータ性能を維持することが可能な耐久性の高い全天候型モータを提供することにある。
【0006】
以下に述べるいくつかの実施形態に関する開示は、少なくとも次の構成を備える。
プロペラを高速回転させて飛行する無人航空機用の機体フレームに用いられる全天候型モータであって、前記機体フレームに固定される取付ベースと、前記取付ベースに一体に組み付けられた軸受ハウジングと、前記軸受ハウジングに一体に組み付けられた固定子コアを有する固定子と、前記固定子コアに対向して支持された回転子マグネットを有し前記軸受ハウジングに軸受を介して回転可能に支持された回転子と、を備え、前記回転子は、前記固定子の外周側及び前記軸受ハウジングの軸方向両端側を覆うと共に、軸方向一端側に吸気用開口部を有し軸方向他端側に排気用開口部を有する回転ケース体と、前記回転ケース体軸方向他端内面に設けられたフィンと、前記回転ケース体の軸方向他端外面に一体に組み付けられた前記プロペラと、を有し前記吸気用開口部及び前記排気用開口部は、所定の開口径を有するフィルター材で各々覆われており、前記プロペラと共に前記回転子が回転すると、前記回転ケース体の前記軸方向一端側に設けられた前記吸気側開口部より前記フィルター材を介して軸方向に吸気し、前記回転ケース体の軸方向他端内面に設けられた前記フィンにより径方向外側に向かって送り出して前記フィルター材を介して前記排気用開口部から排気されることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、モータを構成する固定子及び回転子が回転ケース体に軸方向両端及び外周面を覆われているのでモータ内に異物や水が侵入し難くしかも吸気側開口部及び排気用開口部はフィルター材で覆われているため、防塵防滴効果が高い。
また、モータが始動すると、回転ケース体の吸気側開口部よりフィルター材を介して吸気し固定子コア及びコイルを冷却してフィンの回転により熱気を径方向外側に向かって送り出しフィルター材を介して排気用開口部から排気するので、熱放散性を高めてモータ性能を維持しつつフィルター材によって異物や水の侵入も防げる。特に、フィルター材の存在と共に排気用開口部からの排気により防滴性能を高めることができる。
これにより、モータの熱放散性を高めることでモータ性能の低下を防ぎ、かつ防塵防滴性能を高めてモータ性能を維持することができる全天候型モータを提供することができる。
【0008】
前記回転ケース体は、前記軸受ハウジングの外周側及び軸方向一端部を覆う第一ケース体と、前記軸受ハウジングの外周側及び軸方向他端部を覆う第二ケース体を組み合わせてなり、前記第一ケース体の軸方向端面には吸気用開口部が設けられ、前記第二ケース体の軸方向内端面にはフィン一体に組み付けられ、前記フィンの外周側先端部と対向する側面部に排気用開口部が設けられていてもよい。
【0009】
前記フィルター材の開口径は、固定子極歯と前記回転子マグネットの隙間寸法より小さいものが用いられることが望ましい。
これにより、塵埃等の異物が固定子極歯と回転子マグネットとの隙間に挟まってモータロックが生じるのを防ぐことができる。
【0010】
前記吸気用開口部を覆う前記フィルター材は交換可能に設けられていることが望ましい。
これにより吸気用開口部を覆うフィルター材は、外気を吸気する際に塵埃や異物を除去するため汚れ易く、フィルター機能が低下しやすいため、メンテナンス作業がしやすくなる。
【0011】
前記回転ケース体の軸方向下方に設けられた前記吸気用開口部より吸気し、それより軸方向上方の径方向外側に設けられた前記排気用開口部より排気されることが好ましい。
これにより、軸方向下方に設けられた吸気用開口部より吸気し、それより軸方向上方の径方向外側に設けられた排気用開口部より排気されるので、いずれの開口部に対しても水が侵入し難く防滴性能を高めることができる。
尚、吸気用開口部が設けられる位置は、防滴性を考慮すると回転ケース体が例えば有底筒状体の場合には軸方向下端面が好ましく、回転ケース体に端面が存在しない曲面となる場合には、軸方向下方面に設けられることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
上記構成によれば、熱放散性を高めることでモータ性能の低下を防ぎ、かつ防塵防滴性能を高めてモータ性能を維持することが可能な耐久性の高い全天候型モータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】飛行体用駆動源として用いられた全天候型モータの斜視図である。
図2】全天候型モータの軸方向垂直断面図である。
図3図2の軸方向垂直断面図を吸気用開口部側から見た斜視説明図である。
図4図1のモータの分解斜視図である。
図5】他例に係る全天候型モータの軸方向垂直断面図である。
図6図5の軸方向垂直断面図を吸気用開口部側から見た斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、全天候型モータの一実施形態について、図1乃至図6に示す添付図面を参照しながら説明する。本実施形態は、無人航空機(所謂ドローン)用の駆動源として用いられる全天候型モータ2を例示して説明する。無人航空機(図示せず)は、遠隔操作により送信機で操作信号を送信し、機体フレームに複数支持されたモータ駆動で回転するプロペラを高速回転させて飛行するようになっている。機体フレームにはフライトコントローラが設けられており、受信機を通じて受信した送信信号によりモータ駆動を制御するようになっている。
【0015】
図1に示すように、全天候型モータ2は、DCブラシレスモータが用いられる。DCブラシレスモータとしては、高出力が期待されるアウターロータ型モータが好適に用いられる。全天候型モータ2の回転子には後述するようにプロペラ3が一体に組み付けられている。詳しくは、回転子を構成する回転ケース体4の上端面中央部に台座板5が複数のねじ6により固定されている。ねじ6の先端部は、回転ケース体4とねじ篏合して一体に組み付けられている(図2参照)。台座板5の上面には軸部5aが突設されている。軸部5aはプロペラ3の軸孔3a(図2参照)に挿通してプロペラ3が台座板5上に組み付けられている。プロペラ3の上には止め板7を重ね合わせて固定されている。止め板7は軸部5aを軸孔7a(図2参照)に挿通させてプロペラ3に重ね合わせ、ねじ8により一体に固定されている。
【0016】
次に、全天候型モータ2の構成について図2を参照して説明する。
固定子9の構成について説明する。取付ベース10は、DCブラシレスモータを例えば無人航空機の機体フレーム(図示せず)に固定する場合に用いられる。取付ベース10には、例えば機体フレーム等の取付面にねじ止め固定するためのねじ孔10aが穿孔されている。取付ベース10は、軽量化を図るため中心部に貫通孔10bが設けられている。筒状をした軸受ハウジング11の一端部11aは、取付ベース10に重ね合わせて起立した状態でねじ11bにより一体に固定されている。
【0017】
軸受ハウジング11には、固定子コア12が圧入、接着、ねじ止め等或いはこれらの組み合わせにより一体に組み付けられている。固定子コア12は電磁鋼板を積層プレスされた積層コア、金属板を放電加工或いはレーザーカットされた一体型コア、金属粉末を焼成した焼結金属によるコア等他の形態のコアであってもよい。
固定子コア12は、環状のコアバック部から放射状に複数の極歯12aが突設されている。各極歯12aには、絶縁塗装されるかインシュレータを介してコイル13が巻き付けられている。
【0018】
次に回転子14の構成について説明する。
回転子14を構成する回転ケース体4は、軸受ハウジング11の長手方向両端外周部に第一軸受15,第二軸受16を介して回転可能に支持されている。第一軸受15及び第二軸受16は、軸受ハウジング11の外周に例えば圧入、接着、すきま嵌め等により固定されている。
【0019】
回転ケース体4は、軸受ハウジング11の外周側及び軸方向一端部を覆う第一ケース体4aと、軸受ハウジング11の外周側及び軸方向他端部を覆う第二ケース体4bとで固定子コア12の外周側を覆う環状のバックヨーク4cを挟み込んで一体に組み付けられる。第一ケース体4aとバックヨーク4cは接着固定され、第二ケース体4bとバックヨーク4cは、固定ねじ19(図1参照)によりねじ止め固定されている。
【0020】
第一ケース体4a及び第二ケース体4bは、軽量化するため、アルミ材等が用いられる。バックヨーク4cは磁路を形成するため磁性材(鉄、SUS等の磁性材)が用いられる。環状のバックヨーク4cの内周面には周方向にN極とS極が交互に着磁された環状の回転子マグネット4dが支持されている。回転子マグネット4dは固定子コア12の極歯12aの歯先と対向配置されている。
【0021】
第一ケース体4aの軸方向端面4a1には、吸気用開口部4eが複数箇所に設けられている。この吸気用開口部4eより軸方向に吸気されて固定子コア12及びコイル13(固定子9)を冷却するようになっている。第二ケース体4bの軸方向内端面4b1には、フィン17がねじ17aにより一体に組み付けられている。フィン17は、軸方向内端面4b1にベース板17bを重ねてねじ止めして組み付けられる。ベース板17bには径方向に延設された羽板17cが周方向で複数枚起立形成されている。また、第二ケース体4bの羽板17cの外周側先端部と対向する側面部には、排気用開口部4fが設けられている。フィン17が回転すると吸気用開口部4eより軸方向に吸気された空気を径方向外側に向かって送り出し排気用開口部4fから排気するようになっている。
【0022】
上記吸気用開口部4e及び排気用開口部4fは、所定の開口径を有する通気性撥水性を有するフィルター材18(例えばナイロン66等のメッシュシート)により各々覆われている(図3参照)。フィルター材18は、第一ケース体4a,第二ケース体4bの内周面に接着等により固定されている。フィルター材18の開口径(例えば一辺が77μmの矩形孔)は、固定子極歯12aと回転子マグネット4dの隙間(例えば160μm)より小さいものが好適に用いられる。これにより、塵埃等の異物が固定子極歯12aと回転子マグネット4dとの隙間に挟まってモータロックが生じるのを防ぐことができるうえに、吸気用開口部4e及び排気用開口部4fの防水防滴機能も担保することができる。
【0023】
尚、吸気用開口部4eを覆うフィルター材18は、接着等で固定されていてもよいが、例えば図示しないアタッチメントを介して交換可能に設けられていることが望ましい。これにより吸気側開口部4eを覆うフィルター材18は、外気を吸気する際に塵埃や異物を除去するため汚れ易く、フィルター機能が低下しやすいため、メンテナンス作業がし易くなる。また、フィルター材18は、メッシュシート材に限らずスポンジ等の多孔質シート材であってもよい。また、材質は樹脂材であっても金属材であっていずれでもよい。
【0024】
回転子14と共に回転ケース体4が回転すると、吸気側開口部4eより撥水性フィルター材18を介して軸方向に吸気して固定子コア12を経てフィン17により径方向外側に向かって排気用開口部4fを介して排気される。
これにより、全天候型モータ2が始動すると、図2の矢印に示すように、回転ケース体4の吸気側開口部4eよりフィルター材18を介して吸気し固定子コア12のコイル13を冷却してフィン17の回転により熱気を径方向外側に向かって送り出しフィルター材18を介して排気用開口部4fから排気するので、熱放散性を高めてモータ性能を維持しつつフィルター材18によって異物や水の侵入も防げる。特に、フィルター材18の存在と共に軸方向下方に設けられた吸気用開口部4eより吸気し、それより軸方向上方の径方向外側に設けられた排気用開口部4fより排気されるので、いずれの開口部に対しても水が侵入し難く防滴性能を高めることができる。
【0025】
上記構成によれば、全天候型モータ2を構成する固定子9及び回転子14が回転ケース体4に軸方向両端及び外周面を覆われているのでモータ2内に異物が侵入し難くしかも吸気側開口部4e及び排気用開口部4fはフィルター材18で覆われているため、防塵防滴効果が高い。
また、全天候型モータ2を起動すると回転子14と一体化された回転ケース体4が回転し、回転ケース体4内に設けられたフィン17が回転することで、回転ケース体4の軸方向一端側の吸気用開口部4eより吸気しモータ内で発生した熱気を軸方向他端側のフィン17により径方向外側に送り出して排気用開口部4fより排気することができる。
これにより、モータの熱放散性を高めることでモータ性能の低下を防ぎ、かつ防塵防滴性能を高めてモータ性能を維持することができる全天候型モータ2を提供することができる。
【0026】
上述した全天候型モータ2を含む無人航空機の組立て構成の一例について図3及び図4を参照して説明する。予め、回転ケース体4の第二ケース体4bに台座板5が複数のねじ6により固定する(図3参照)。台座板5に突設された軸部5aをプロペラ3の軸孔3aに挿通してプロペラ3を台座板5上に組み付け、軸孔7aに挿通して止め板7をプロペラ3上に重ね合わせてねじ8により一体に固定しておく。また、第一ケース体4aの吸気用開口部4eの外面側、第二ケース体4bの排気用開口部4fの内面側を覆ってフィルター材18を各々接着しておく(図4参照)。
【0027】
取付ベース10にねじ止めされた軸受ハウジング11には固定子9が一体に組み付けられている。また、軸受ハウジング11の長手方向両端部には第一軸受15及び第二軸受16が各々組み付けられている。第一ケース体4aは第一軸受15を介して軸受ハウジング11に対して回転可能に支持され、第二ケース体4bは第二軸受16を介して軸受ハウジング11に対して回転可能に支持される(図3参照)。
【0028】
図4に示すように、第二ケース体4bの軸方向内端面4b1にフィン17をねじ17aにより一体にねじ止めして組み付ける。また、回転子マグネット4dを支持するバックヨーク4cは、第一ケース体4a及び第二ケース体4bの開口端に各々嵌め合わせて組み付けられる。そして、第一ケース体4aとバックヨーク4cとが接着固定され、第二ケース体4bとバックヨーク4cとの重なり部分に固定ねじ19をねじ篏合させて、第一ケース体4aと第二ケース体4bがバックヨーク4cを介して一体に組み付けられる。
【0029】
図2に示すように全天候型モータ2を起動すると、回転子14と一体化された回転ケース体4が回転する。このとき、回転ケース体4内のフィン17が回転することで、回転ケース体4の軸方向一端側の吸気用開口部4eより軸方向に吸気しモータ内で発生した熱気を軸方向他端側のフィン17により径方向外側に送り出して排気用開口部4fより排気することができる。
【0030】
次に上記全天候型モータ2の変形例を図5及び図6に示す。上記図1乃至図4に示す実施形態と同一部材には同一番号を付して説明を援用するものとし、異なる構成を中心に説明する。上述した全天候型モータ2は、無人航空機の駆動源として用いられ、回転ケース体4の第一ケース体4aと第二ケース体4bを天地が逆向きに配置、より具体的には取付ベース10とプロペラ3を天地逆向きにして使用することもできる。
【0031】
図5において第二ケース体4bの軸方向端面4b2には、吸気用開口部4eが複数箇所に設けられている。この吸気用開口部4eより軸方向に吸気されて固定子コア12及びコイル13(固定子9)を冷却するようになっている。第一ケース体4aの軸方向内端面4a2には、フィン17がねじ17aにより一体に組み付けられている。フィン17は、軸方向内端面4a2にベース板17bを重ねてねじ止めして組み付けられる。ベース板17bには径方向に延設された羽板17cが周方向で複数枚起立形成されている。
また、第一ケース体4aの羽板17cの外周側先端部と対向する側面部には、排気用開口部4fが設けられている。フィン17が回転すると吸気用開口部4eより軸方向に吸気された空気を周方向に向かって送り出し排気用開口部4fから排気するようになっている。
これにより、塵埃等の異物が固定子極歯12aと回転子マグネット4dとの隙間に挟まってモータロックが生じるのを防ぐことができるうえに、吸気用開口部4e及び排気用開口部4fの防水防滴機能も担保することができる。
【0032】
上述した全天候型モータ2を含む無人航空機の組立て構成の一例について図6を参照して説明する。予め、回転ケース体4を構成する第二ケース体4bに台座板5が複数のねじ6により固定する。台座板5に突設された軸部5aをプロペラ3の軸孔3aに挿通してプロペラ3を台座板5上に組み付け、軸孔7aに挿通して止め板7をプロペラ3上に重ね合わせてねじ8により一体に固定しておく。また、第二ケース体4bの吸気用開口部4eの外面側、第一ケース体4aの排気用開口部4fの内面側を覆ってフィルター材18を各々接着しておく。
【0033】
取付ベース10にねじ止めされた軸受ハウジング11には固定子9が一体に組み付けられている。また、軸受ハウジング11の長手方向両端部には第一軸受15及び第二軸受16が各々組み付けられている。第一ケース体4aは第一軸受15を介して軸受ハウジング11に対して回転可能に支持され、第二ケース体4bは第二軸受16を介して軸受ハウジング11に対して回転可能に支持される。この場合、第一軸受15は、シール型ベアリングを用いると水の侵入を防ぐことができ、好適である。
【0034】
第一ケース体4aの軸方向内端面4a2にフィン17をねじ17aにより一体にねじ止めして組み付ける。また、回転子マグネット4dを支持するバックヨーク4cは、第一ケース体4a及び第二ケース体4bの開口端に各々嵌め合わせて組み付けられる。そして、第一ケース体4aとバックヨーク4cとが接着固定され、第二ケース体4bとバックヨーク4cの重なり部分に固定ねじ19(図1参照)をねじ篏合させて、第一ケース体4aと第二ケース体4bがバックヨーク4cを介して一体に組み付けられる。
【0035】
図5に示すように全天候型モータ2を起動すると、回転子14と一体化された回転ケース体4が回転する。このとき、回転ケース体4内のフィン17が回転することで、回転ケース体4の軸方向一端側の吸気用開口部4eより軸方向に吸気しモータ2内で発生した熱気を軸方向他端側のフィン17により径方向外側に送り出して排気用開口部4fより排気することができる。
これにより、モータの熱放散性を高めることでモータ性能の低下を防ぎ、かつ防塵防滴性能を高めて異物の侵入を防ぐことでモータ性能を維持することができる全天候型モータ2を提供することができる。
【0036】
また、図2に示す全天候型モータ2と図5に示す全天候型モータ2を無人航空機の機体フレームの上下に取付べース10を対向させて組み付けることもできる。この場合、プロペラ3(全天候型モータ2)の回転方向は互いに逆向きになるので、互いに正逆回転駆動され、機体フレームに作用するモータ振動が互いに逆向きとなって打ち消し合うので、推力を2倍にしても低振動化を図ることができる。また、図2図5に示す全天候型モータ2を、機体フレームを介して上下に取り付けても、各回転ケース体4には、軸方向下方の吸気用開口部4eより吸気して軸方向上部側方の排気用開口部4fより排気するので、防塵防滴性能を高めて異物や水の侵入を防ぐことでモータ性能を維持することができる。
【0037】
上述した全天候型モータ2はDCブラシレスレスモータを用いたが、DCブラシ付きモータ等他のモータであってもよい。
また、回転ケース体4にねじ止め固定されていたフィン17は、回転ケース体4(第一ケース体4a又は第二ケース体4b)と一体に形成されていても良い。
また、吸気用開口部4eは、上述したように回転ケース体4が有底筒状体の場合には防滴性を考慮すると軸方向下端面が好ましいが、回転ケース体4に端面が存在しない曲面となる場合には、軸方向下方面に設けられることが望ましい。
また、フィルター材18は、撥水性、通気性、防塵性を確保できるものであれば、樹脂製多孔質材、金属メッシュ材等、多様な材質並びに多様な形態のものを用いることができる。
更には、上述した実施形態では、全天候型モータ2は無人航空機用の駆動源として用いた場合について説明したが、用途はこれに限定されるものではなく、屋外で使用される他の用途の駆動源としても適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
2 全天候型モータ 3 プロペラ 3a 軸孔4 回転ケース体 4a 第一ケース体 4a1 軸方向端面 4b 第二ケース体 4b1 軸方向内端面 4c バックヨーク 4d 回転子マグネット 4e 吸気用開口部 4f 排気用開口部 5 台座板 5a 軸部 6,8 ねじ 7 止め板 9 固定子 10 取付ベース 10a ねじ孔 10b 貫通孔 11 軸受ハウジング 11a 一端部 11b ねじ 12 固定子コア 12a 極歯 13 コイル 14 回転子 15 第一軸受 16 第二軸受 17 フィン 17a ねじ 17b ベース板 17c 羽板 18 撥水性フィルター材 19 固定ねじ
図1
図2
図3
図4
図5
図6