(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
官能性ポリマー(F1)が、フッ化ビニリデン(VDF)と、請求項1に記載の式(I)の少なくとも1種のモノマー(MA)と、任意選択的に、VDFと異なる少なくとも1種のフッ素化モノマー[モノマー(F)]とに由来する繰り返し単位を含むフルオロポリマーである、請求項1に記載の多層アセンブリ。
少なくとも1種の非官能性フルオロポリマー[非官能性ポリマー(F)]を含む組成物[組成物(C4)]からなり、第1の表面と第2の表面とを有する層[層(L4)]を更に含み、前記層(L4)の第1の表面が層(L3)の第2の表面に直接接着されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多層アセンブリ。
少なくとも1種のポリマー(F)からなる発泡体を含む組成物[組成物(C5)]からなり、第1の表面と第2の表面とを有する層[層(L5)]を更に含み、前記層(L5)の第1の表面が層(L4)の第2の表面に直接設けられている、請求項5に記載の多層アセンブリ。
ポリオレフィンとポリアミドとからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む組成物[組成物(C6)]からなり、第1の表面と第2の表面とを有する層[層(L6)]を更に含み、前記層(L6)の第1の表面が層(L5)の第2の表面に直接設けられている、請求項6に記載の多層アセンブリ。
炭化水素及び/又は気体を運ぶための上流、中流、又は下流用途における、請求項9〜12のいずれか一項に記載の多層パイプ又は請求項14に記載の現場接続多層パイプのいずれかの使用。
【発明の概要】
【0008】
ここで、驚くべきことに、本発明の多層アセンブリが過酷な環境条件に有利に耐え、良好な耐腐食特性及び断熱特性を維持しつつ優れた層間接着特性を問題なく示すことが見出された。
【0009】
第1の例において、本発明は、
− 少なくとも1種の金属化合物[化合物(M)]を含む組成物[組成物(C1)]からなり、第1の表面と第2の表面とを有する層[層(L1)];
− 少なくとも1種のエポキシ樹脂[樹脂(E1)]を含む組成物[組成物(C2)]からなり、第1の表面と第2の表面とを有する層[層(L2)]であって、前記層(L2)の第1の表面が前記層(L1)の第2の表面に直接接着されている、層(L2);及び
− 式(I):
(式中、R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、互いに等しいか又は異なり、独立して水素原子又はC
1〜C
3炭化水素基であり、及びR
OHは、少なくとも1つのヒドロキシル基を含むC
1〜C
5炭化水素基である)
の少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマー[モノマー(MA)]由来の繰り返し単位を含む少なくとも1種の官能性フルオロポリマー[官能性ポリマー(F1)]を含む組成物[組成物(C3)]からなり、第1の表面と第2の表面とを有する層[層(L3)]であって、前記層(L3)の第1の表面が前記層(L2)の第2の表面に直接接着されている、層(L3)
を含む多層アセンブリに関する。
【0010】
組成物(C2)は、少なくとも1種のフルオロポリマー[ポリマー(F)]を更に含んでもよい。
【0011】
層(L2)は、典型的には、
− 前記組成物(C2)の総重量に対して10重量%〜100重量%、好ましくは50重量%〜100重量%の少なくとも1種の樹脂(E1);及び
− 任意選択的に、前記組成物(C2)の総重量に対して0.1重量%〜90重量%、好ましくは0.1重量%〜50重量%の少なくとも1種のポリマー(F)
を含む組成物(C2)からなる。
【0012】
組成物(C2)のポリマー(F)は、存在する場合、典型的には官能性フルオロポリマー[官能性ポリマー(F)]と非官能性フルオロポリマー[非官能性ポリマー(F)]とからなる群から選択される。
【0013】
層(L3)は、有利には、
− 前記組成物(C3)の総重量に対して50重量%〜100重量%、好ましくは75重量%〜100重量%の、式(I):
(式中、R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、互いに等しいか又は異なり、独立して水素原子又はC
1〜C
3炭化水素基であり、及びR
OHは、少なくとも1つのヒドロキシル基を含むC
1〜C
5炭化水素基である)
の少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマー[モノマー(MA)]由来の繰り返し単位を含む少なくとも1種の官能性フルオロポリマー[官能性ポリマー(F1)];
− 任意選択的に、前記組成物(C3)の総重量に対して0.1重量%〜50重量%、好ましくは0.1重量%〜25重量%の、前記官能性ポリマー(F1)と異なる少なくとも1種のポリマー(F);及び
− 任意選択的に、前記組成物(C3)の総重量に対して0.1重量%〜50重量%、好ましくは0.1重量%〜25重量%の、前記樹脂(E1)と同じ又は異なる少なくとも1種のエポキシ樹脂[樹脂(E2)]
を含む、好ましくはこれらからなる組成物(C3)からなる。
【0014】
組成物(C3)のポリマー(F)は、存在する場合、典型的には官能性フルオロポリマー[官能性ポリマー(F)]と非官能性フルオロポリマー[非官能性ポリマー(F)]とからなる群から選択される。
【0015】
本発明の多層アセンブリは、有利には、少なくとも1種の非官能性ポリマー(F)を含む組成物[組成物(C4)]からなり、第1の表面と第2の表面とを有する層[層(L4)]であって、前記層(L4)の第1の表面が層(L3)の第2の表面に直接接着されている、層(L4)を更に含む。
【0016】
組成物(C4)は、1種以上のフィラーを更に含み得る。
【0017】
組成物(C4)は、好ましくは、少なくとも1種の非官能性ポリマー(F)と、任意選択的に1種以上のフィラーとからなる。
【0018】
組成物(C4)中での使用に好適なフィラーの非限定的な例としては、導電性付与剤及び顔料からなる群から選択されるフィラーが挙げられる。
【0019】
本発明の多層アセンブリは、少なくとも1種のポリマー(F)からなる発泡体を含む、好ましくはこれからなる組成物[組成物(C5)]からなり、第1の表面と第2の表面とを有する層[層(L5)]であって、前記層(L5)の第1の表面が層(L4)の第2の表面に直接設けられている、層(L5)も更に含み得る。
【0020】
組成物(C5)の発泡体のポリマー(F)は、典型的には官能性フルオロポリマー[官能性ポリマー(F)]と非官能性フルオロポリマー[非官能性ポリマー(F)]とからなる群から選択される。
【0021】
本発明の多層アセンブリは、ポリオレフィンとポリアミドとからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む、好ましくはこれからなる組成物[組成物(C6)]からなり、第1の表面と第2の表面とを有する層[層(L6)]であって、前記層(L6)の第1の表面が層(L5)の第2の表面に直接設けられている、層(L6)をまた更に含み得る。
【0022】
好適なポリオレフィンの非限定的な例としては、特にポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
【0023】
本発明の多層アセンブリの層(L1)、層(L2)、及び層(L3)のそれぞれは、単層又は多層のいずれであってもよい。
【0024】
同様に、本発明の多層アセンブリの層(L4)、層(L5)、及び層(L6)のそれぞれは、存在する場合、単層又は多層のいずれであってもよい。
【0025】
本発明の目的では、用語「単層」は、単一の層を示すためのその通常の意味に従って使用される。
【0026】
本発明の目的では、用語「多層」は、少なくとも2つの層からなるアセンブリを示すためのその通常の意味に従って使用される。
【0027】
本発明の多層アセンブリは、好ましくは、
− 少なくとも1種の化合物(M)からなる組成物(C1)からなり、第1の表面と第2の表面とを有する層(L1);
− 組成物(C2)からなる層(L2)であって、
− 前記組成物(C2)の総重量に対して10重量%〜100重量%、好ましくは50重量%〜100重量%の少なくとも1種の樹脂(E1)と、
− 任意選択的に、前記組成物(C2)の総重量に対して0.1重量%〜90重量%、好ましくは0.1重量%〜50重量%の少なくとも1種のポリマー(F)と、
− 任意選択的に、1種以上の添加剤と
からなり、第1の表面と第2の表面とを有し、前記層(L2)の第1の表面が前記層(L1)の第2の表面に直接接着されている、層(L2);
− 組成物(C3)からなる層(L3)であって、前記組成物(C3)は、
− 前記組成物(C3)の総重量に対して50重量%〜100重量%、好ましくは75重量%〜100重量%の、式(I):
(式中、R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、互いに等しいか又は異なり、独立して水素原子又はC
1〜C
3炭化水素基であり、及びR
OHは、少なくとも1つのヒドロキシル基を含むC
1〜C
5炭化水素基である)
の少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマー[モノマー(MA)]由来の繰り返し単位を含む少なくとも1種の官能性フルオロポリマー[官能性ポリマー(F1)]と、
− 任意選択的に、前記組成物(C3)の総重量に対して0.1重量%〜50重量%、好ましくは0.1重量%〜25重量%の、前記官能性ポリマー(F1)と異なる少なくとも1種のポリマー(F)と、
− 任意選択的に、前記組成物(C3)の総重量に対して0.1重量%〜50重量%、好ましくは0.1重量%〜25重量%の、前記樹脂(E1)と同じ又は異なる少なくとも1種の樹脂(E2)と
からなり、前記層(L3)は第1の表面と第2の表面とを有し、前記層(L3)の第1の表面が前記層(L2)の第2の表面に直接接着されている、層(L3);
− 任意選択的に、少なくとも1種の非官能性ポリマー(F)と、任意選択的に、1種以上のフィラーとからなる組成物(C4)からなり、第1の表面と第2の表面とを有する層(L4)であって、前記層(L4)の第1の表面が前記層(L3)の第2の表面に直接接着されている、層(L4);
− 任意選択的に、少なくとも1種のポリマー(F)からなる発泡体を含む、好ましくはこれからなる組成物(C5)からなる組成物(C5)からなり、第1の表面と第2の表面とを有する層(L5)であって、前記層(L5)の第1の表面が層(L4)の第2の表面に直接設けられている、層(L5);及び
− 任意選択的に、ポリオレフィンとポリアミドとからなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む、好ましくはこれからなる組成物(C6)からなり、第1の表面と第2の表面とを有する層(L6)であって、前記層(L6)の第1の表面が層(L5)の第2の表面に直接設けられている、層(L6)
を含む、より好ましくはこれらからなる。
【0028】
本発明の多層アセンブリは、典型的には、多層フィルム又はパイプなどの多層成形物品のいずれかの形態である。
【0029】
第2の例において、本発明は、
(i)第1の表面と第2の表面とを有する上で定義された層(L1)を準備する工程;
(ii)第1の表面と第2の表面とを有する上で定義された層(L2)を前記層(L1)の第2の表面上に設ける工程であって、前記層(L2)の第1の表面が前記層(L1)の第2の表面に直接接着される、工程;及び
(iii)第1の表面と第2の表面とを有する上で定義された層(L3)を前記層(L2)の第2の表面上に設ける工程であって、前記層(L3)の第1の表面が前記層(L2)の第2の表面に直接接着される、工程
を含む、多層アセンブリの製造方法に関する。
【0030】
本発明の方法は、有利には、
(iv)第1の表面と第2の表面とを有する上で定義された層(L4)を層(L3)の第2の表面上に設ける工程であって、前記層(L4)の第1の表面が前記層(L3)の第2の表面に直接接着される、工程;
(v)任意選択的に、第1の表面と第2の表面とを有する上で定義された層(L5)を、上で定義された層(L4)の第2の表面上に設ける工程であって、前記層(L5)の第1の表面が前記層(L4)の第2の表面に直接設けられる、工程;及び
(vi)任意選択的に、第1の表面と第2の表面とを有する上で定義された層(L6)を、上で定義された層(L5)の第2の表面上に設ける工程であって、前記層(L6)の第1の表面が前記層(L5)の第2の表面に直接設けられる、工程
を更に含む。
【0031】
本発明の多層アセンブリは、有利には、本発明の方法によって得ることができる。
【0032】
第3の例において、本発明は、本発明の多層アセンブリを含む多層パイプに関する。
【0033】
本発明の多層パイプは、典型的には内層及び外層を有し、前記多層パイプの内層及び外層の少なくとも1つは、上で定義された層(L1)である。
【0034】
本発明のある実施形態によれば、本発明の多層パイプの少なくとも1つの端部は金属パイプを含んでもよく、前記金属パイプは内層及び外層を有し、前記金属パイプの内層及び外層の少なくとも1つは、上で定義された層(L1)である。
【0035】
本発明の第1の実施形態によれば、多層パイプは本発明の多層アセンブリを含み、前記多層パイプの内層は、上で定義された層(L1)である。
【0036】
本発明のこの第1の実施形態の多層パイプは、典型的には、
− 第1の表面と第2の表面とを有する上で定義された層(L4)であって、前記層(L4)の第1の表面が層(L3)の第2の表面に直接接着されている、層(L4);
− 任意選択的に、第1の表面と第2の表面とを有する上で定義された層(L5)であって、前記層(L5)の第1の表面が層(L4)の第2の表面に直接設けられている、層(L5);及び
− 任意選択的に、第1の表面と第2の表面とを有する上で定義された層(L6)であって、前記層(L6)の第1の表面が層(L5)の第2の表面に直接設けられている、層(L6)
を更に含む。
【0037】
本発明の第2の実施形態によれば、多層パイプは本発明の多層アセンブリを含み、前記多層パイプの外層は、上で定義された層(L1)である。
【0038】
本発明のこの第2の実施形態の多層パイプは、典型的には、第1の表面と第2の表面とを有する上で定義された層(L4)であって、前記層(L4)の第1の表面が層(L3)の第2の表面に直接接着されている、層(L4)を更に含む。
【0039】
本発明の第3の実施形態によれば、多層パイプは本発明の多層アセンブリを含み、前記多層パイプの内層と外層との両方が、上で定義された層(L1)である。
【0040】
第4の例において、本発明は、本発明の多層パイプの製造方法に関する。
【0041】
本発明の多層パイプの製造方法は、典型的には本発明の多層アセンブリの製造方法の工程(i)〜(iii)を含み、ここで、工程(i)において金属パイプが準備され、前記金属パイプは内層及び外層を有し、前記金属パイプの内層及び外層の少なくとも1つは、上で定義された層(L1)である。
【0042】
本発明の多層アセンブリが上で定義された少なくとも1つの層(L4)を更に含む場合、本発明の多層パイプは、典型的には本発明の多層アセンブリの製造方法の工程(i)〜(iv)を含む方法によって得ることができ、ここで、工程(i)において金属パイプが準備され、前記金属パイプは内層及び外層を有し、前記金属パイプの内層及び外層の少なくとも1つは、上で定義された層(L1)である。
【0043】
本発明の多層アセンブリが上で定義された少なくとも1つの層(L5)を更に含む場合、本発明の多層パイプは、典型的には本発明の多層アセンブリの製造方法の工程(i)〜(v)を含む方法によって得ることができ、ここで、工程(i)において金属パイプが準備され、前記金属パイプは内層及び外層を有し、前記金属パイプの外層は、上で定義された層(L1)である。
【0044】
本発明の多層アセンブリが上で定義された少なくとも1つの層(L6)を更に含む場合、本発明の多層パイプは、典型的には本発明の多層アセンブリの製造方法の工程(i)〜(vi)を含む方法によって得ることができ、ここで、工程(i)において金属パイプが準備され、前記金属パイプは内層及び外層を有し、前記金属パイプの外層は、上で定義された層(L1)である。
【0045】
本発明の方法の工程(i)において、層(L1)は、典型的には、
(i−a)適切な溶媒、好ましくはアルコール若しくは無機溶媒を使用して洗浄され、及び/又は
(i−b)有機溶媒又は例えばH
3PO
4などの無機溶媒のいずれかを使用する、湿式吹付け加工、ハイドロブラスト加工、及びマイクロ吹付け加工などの(ただしこれらに限定されない)任意の吹付け加工技術によって処理される。
【0046】
本発明の方法の工程(i)において、層(L1)は、有利には150℃〜300℃に含まれる温度まで加熱される。
【0047】
当業者は、組成物(C2)の処理温度に応じて適切な温度を決定するであろう。
【0048】
本発明の方法の工程(ii)の際、組成物(C2)は固体組成物又は液体組成物のいずれであってもよい。本発明の方法の工程(ii)の際、組成物(C2)は、好ましくは固体組成物であり、より好ましくは粉末の形態である。
【0049】
本発明の方法の工程(ii)の際、層(L2)は、典型的には任意の好適な技術により、好ましくは静電粉体塗装により塗布される。
【0050】
静電粉体塗装は、通常、静電スプレーガンによって行われる。これは、電気的に分極した粒子が接地した又は逆に帯電した表面に引き付けられる電気泳動の原理を利用する。
【0051】
静電粉体塗装が使用される場合、当業者は塗布される組成物の特性に応じて適切な出力設定を選択するであろう。10〜60kV及び5μA〜40μAでの運転で良好な結果が得られた。
【0052】
本発明の方法の工程(iii)の際、組成物(C3)は固体組成物又は液体組成物のいずれであってもよい。本発明の方法の工程(iii)の際、組成物(C3)は、好ましくは固体組成物であり、より好ましくは粉末の形態である。
【0053】
本発明の方法の工程(iii)の際、層(L3)は、典型的には任意の好適な技術により、好ましくは静電粉体塗装により塗布される。
【0054】
本発明の方法の工程(iv)の際、組成物(C4)は、存在する場合、固体組成物又は液体組成物のいずれであってもよい。本発明の方法の工程(iv)の際、組成物(C4)は、存在する場合、好ましくは固体組成物であり、より好ましくは粉末又はペレットの形態である。
【0055】
本発明の方法の工程(iv)の際、層(L4)は、存在する場合、典型的には任意の好適な技術により、好ましくは静電粉体塗装又はロール押出により設けられる。
【0056】
ロール押出は、通常、公知の技術によって行われる。
【0057】
本発明の方法の工程(ii)、工程(iii)、及び工程(iv)のいずれの際にも、静電粉体塗装が使用される場合、それにより得られる多層アセンブリは、典型的には、好ましくは180℃〜260℃に含まれる温度で焼成される。
【0058】
本発明の方法の工程(v)の際、層(L5)は、存在する場合、典型的には任意の好適な技術により、好ましくはテープラッピング、共押出、押出コーティングにより、又は射出成形により設けられる。
【0059】
層(L6)は、存在する場合、典型的には任意の好適な技術により、好ましくは押出により設けられる。
【0060】
任意選択的に、望ましい厚さの層(L2)を得るために、工程(iii)の前に工程(ii)を例えば2回以上繰り返してもよい。
【0061】
任意選択的に、望ましい厚さの層(L3)を得るために、工程(iv)が存在する場合にはその前に工程(iii)を例えば2回以上繰り返してもよい。
【0062】
任意選択的に、層(L4)が存在する場合、望ましい厚さの層(L4)を得るために、工程(v)が存在する場合にはその前に工程(iv)を例えば2回以上繰り返してもよい。
【0063】
任意選択的に、層(L5)が存在する場合、望ましい厚さの層(L5)を得るために、何らかの後続の工程が存在する場合にはその前に工程(v)を例えば2回以上繰り返してもよい。
【0064】
層(L2)は、典型的には150μm〜700μm、好ましくは250μm〜500μmに含まれる厚さを有する。
【0065】
層(L3)は、典型的には150μm〜700μm、好ましくは200μm〜500μmに含まれる厚さを有する。
【0066】
層(L4)は、存在する場合、典型的には500μm〜3000μm、好ましくは1000μm〜1500μmに含まれる厚さを有する。
【0067】
層(L5)は、典型的には任意の好適な厚さを有する。当業者は、本発明の多層アセンブリの最終用途に応じて層(L5)の適切な厚さを決定するであろう。
【0068】
厚さは、典型的には任意の適切な手順に従って測定される。
【0069】
第5の例において、本発明は、少なくとも2つの本発明の多層パイプを含む、現場接続多層パイプに関する。
【0070】
本発明の目的では、用語「現場接続」は、多層パイプが互いに接続される場所を意味することが意図されている。
【0071】
本発明の現場接続多層パイプは、少なくとも2つの本発明の多層パイプを含み、前記多層パイプは有利には互いに接続される。
【0072】
本発明の現場接続多層パイプの多層パイプは、典型的には本発明の第2の実施形態によるものであり、前記多層パイプの外層は、上で定義された層(L1)である。
【0073】
本発明の現場接続多層パイプは、好ましくは少なくとも2つの多層パイプを含み、前記少なくとも2つの多層パイプの金属パイプは同じ内径を有し、前記多層パイプは有利には互いに接続される。
【0074】
本発明の現場接続多層パイプは、典型的には少なくとも2つの多層パイプの金属パイプに沿って延びる連続した接続領域を有する。
【0075】
本発明の現場接続多層パイプは、より好ましくは、
− 少なくとも2つの多層パイプであって、各多層パイプの少なくとも一方の端部が金属パイプを含み、前記金属パイプは内層及び外層を有し、前記金属パイプの外層が層(L1)であり、前記層(L1)が第1の表面と第2の表面とを有し、前記金属パイプが互いに接続され、それにより接続金属パイプが得られ、前記接続金属パイプは内層及び外層を有し、前記接続金属パイプの外層が層(L1)であり、前記層(L1)が第1の表面と第2の表面とを有する、少なくとも2つの多層パイプ;及び
− 少なくとも1つの現場接続多層アセンブリであって、
− 前記接続金属パイプと、
− 第1の表面と第2の表面とを有する層(L2)であって、前記層(L2)の第1の表面が前記層(L1)の第2の表面に直接接着されている、層(L2)と、
− 第1の表面と第2の表面とを有する層(L3)であって、前記層(L3)の第1の表面が前記層(L2)の第2の表面に直接接着されている、層(L3)と、
− 任意選択的に、第1の表面と第2の表面とを有する層(L4)であって、前記層(L4)の第1の表面が前記層(L3)の第2の表面に直接接着されている、層(L4)と、
− 任意選択的に、第1の表面と第2の表面とを有する層(L5)であって、前記層(L5)の第1の表面が前記層(L4)の第2の表面に直接設けられている、層(L5)と、
− 任意選択的に、第1の表面と第2の表面とを有する層(L6)であって、前記層(L6)の第1の表面が前記層(L5)の第2の表面に直接設けられている、層(L6)と
を含む少なくとも1つの現場接続多層アセンブリ
を含む。
【0076】
第6の例において、本発明は、本発明の現場接続多層パイプの製造方法に関する。
【0077】
本発明の現場接続多層パイプの製造方法は、有利にはオーブンを使用しないで行われる。
【0078】
本発明の現場接続多層パイプの製造方法は、典型的には、
(i’−a)少なくとも2つの多層パイプを準備する工程であって、各多層パイプの少なくとも一方の端部が金属パイプを含み、前記金属パイプは内層及び外層を有し、前記金属パイプの外層が層(L1)であり、前記層(L1)が第1の表面と第2の表面とを有する、工程;
(i’−b)工程(i’−a)で準備された少なくとも2つの多層アセンブリの金属パイプを互いに接続し、それにより接続金属パイプを得る工程であって、前記接続金属パイプが内層及び外層を有し、前記接続金属パイプの外層が層(L1)であり、前記層(L1)が第1の表面と第2の表面とを有する、工程;
(ii’)第1の表面と第2の表面とを有する層(L2)を前記層(L1)の第2の表面上に設ける工程であって、前記層(L2)の第1の表面が前記層(L1)の第2の表面に直接接着される、工程;
(iii’)第1の表面と第2の表面とを有する層(L3)を前記層(L2)の第2の表面上に設ける工程であって、前記層(L3)の第1の表面が前記層(L2)の第2の表面に直接接着される、工程;
(iv’)任意選択的に、第1の表面と第2の表面とを有する層(L4)を層(L3)の第2の表面上に設ける工程であって、前記層(L4)の第1の表面が前記層(L3)の第2の表面に直接接着される、工程;
(v’)任意選択的に、第1の表面と第2の表面とを有する層(L5)を層(L4)の第2の表面上に設ける工程であって、前記層(L5)の第1の表面が前記層(L4)の第2の表面に直接設けられる、工程;及び
(vi’)任意選択的に、第1の表面と第2の表面とを有する層(L6)を層(L5)の第2の表面上に設ける工程であって、前記層(L6)の第1の表面が前記層(L5)の第2の表面に直接設けられる、工程
を含む。
【0079】
本発明の方法の工程(i’−b)の際、少なくとも2つの多層パイプの金属パイプは、典型的には溶接によって互いに接続される。
【0080】
本発明の方法の工程(ii’)の際、層(L2)は、典型的には任意の好適な技術により、好ましくは静電粉体塗装によるなどの吹付け塗装により塗布される。
【0081】
本発明の方法の工程(iii’)の際、層(L3)は、典型的には任意の好適な技術により、好ましくは静電粉体塗装又は熱噴霧により塗布される。
【0082】
層(L3)が静電粉体塗装によって塗布される場合、そのようにして得られる層(L3)は、典型的には熱源下に置かれる。
【0083】
熱源の非限定的な例としては、例えば、赤外線ランプ、及び電気式エアヒーターなどの電気ヒーターが挙げられる。
【0084】
本発明の方法の工程(iv’)の際、層(L4)は、存在する場合、典型的には任意の好適な技術により、好ましくは静電粉体塗装により、熱噴霧により、押出コーティングにより、又は射出成形により設けられる。
【0085】
本発明の方法の工程(v’)の際、層(L5)は、存在する場合、典型的には任意の好適な技術により、好ましくはテープラッピング、共押出、押出コーティングにより、又は射出成形により設けられる。
【0086】
本発明の方法の工程(vi’)の際、層(L6)は、存在する場合、典型的には任意の好適な技術により、好ましくは押出により設けられる。
【0087】
任意選択的に、望ましい厚さの層(L2)を得るために、工程(iii’)の前に工程(ii’)を例えば2回以上繰り返してもよい。
【0088】
任意選択的に、望ましい厚さの層(L3)を得るために、工程(iv’)が存在する場合にはその前に工程(iii’)を例えば2回以上繰り返してもよい。
【0089】
任意選択的に、層(L4)が存在する場合、望ましい厚さの層(L4)を得るために、工程(v’)が存在する場合にはその前に工程(iv’)を例えば2回以上繰り返してもよい。
【0090】
任意選択的に、層(L5)が存在する場合、望ましい厚さの層(L5)を得るために、何らかの後続の工程が存在する場合にはその前に工程(v’)を例えば2回以上繰り返してもよい。
【0091】
層(L2)は、典型的には150μm〜700μm、好ましくは250μm〜500μmに含まれる厚さを有する。
【0092】
層(L3)は、典型的には150μm〜700μm、好ましくは200μm〜500μmに含まれる厚さを有する。
【0093】
層(L4)は、存在する場合、典型的には500μm〜3000μm、好ましくは1000μm〜1500μmに含まれる厚さを有する。
【0094】
層(L5)は、典型的には任意の好適な厚さを有する。当業者は、本発明の多層アセンブリの最終用途に応じて層(L5)の適切な厚さを決定するであろう。
【0095】
第7の例において、本発明は、本発明の多層パイプ又は本発明の現場接続多層パイプのいずれかの、炭化水素及び/又は気体を運ぶための上流、中流、又は下流の用途における使用に関する。
【0096】
組成物(C1)は、少なくとも1種の化合物(M)を含む、好ましくはこれらからなる。
【0097】
化合物(M)は、典型的にはステンレス鋼又は炭素鋼などの鋼材である。
【0098】
樹脂(E1)は、典型的には、エポキシ化合物(エピクロロヒドリン又はグリセロールジクロロヒドリンなど)と、多価アルコール(脂肪族アルコール若しくは脂肪族ポリオール、好ましくはグリセロール若しくはペンタエリスリトール、又は芳香族アルコール若しくは二価フェノールなどの芳香族ポリオール、好ましくはビスフェノールA若しくはビスフェノールF、又は三価フェノールなど)との縮合によって得ることができる。
【0099】
本発明のある実施形態によれば、多価アルコールは1つ以上のハロゲン原子、好ましくは1つ以上の臭素原子を含んでいてもよい。
【0100】
樹脂(E1)は、好ましくはビスフェノールAエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、及び脂肪族エポキシ樹脂からなる群から選択される。
【0101】
ビスフェノールAエポキシ樹脂は、典型的にはビスフェノールA又はビスフェノールAのジグリシジルエーテルと、エピクロロヒドリンとの縮合によって製造される。
【0102】
ノボラックエポキシ樹脂は、典型的にはエポキシフェノールノボラック及びエポキシクレゾールノボラックからなる群から選択される。
【0103】
エポキシフェノールノボラックは、典型的には、フェノールとホルムアルデヒドとの反応と、それに続くエピクロロヒドリンとの縮合によって製造される。
【0104】
エポキシクレゾールノボラックは、典型的には、クレゾールとホルムアルデヒドとの反応と、それに続くエピクロロヒドリンとの縮合によって製造される。
【0105】
脂肪族エポキシ樹脂は、典型的にはグリシジルエポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂からなる群から選択される。
【0106】
グリシジルエポキシ樹脂は、典型的には脂肪族アルコール又は脂肪族ポリオールと、エピクロロヒドリンとの縮合によって製造される。
【0107】
脂環式エポキシ樹脂は、典型的には1つ以上の脂環式環に直接結合しているエポキシド基を有する。
【0108】
ビスフェノールAエポキシ樹脂は、好ましくは又は式:
(式中、nは約2〜約30である)
である。
【0109】
クレゾールノボラックエポキシ樹脂は、好ましくは式:
(式中、mは約5〜約25である)
のものである。
【0110】
組成物(C2)は、1種以上の添加剤も更に含んでもよい。
【0111】
組成物(C2)は、好ましくは、
− 前記組成物(C2)の総重量に対して10重量%〜100重量%、好ましくは50重量%〜100重量%の少なくとも1種の樹脂(E1);及び
− 任意選択的に、前記組成物(C2)の総重量に対して0.1重量%〜90重量%、好ましくは0.1重量%〜50重量%の少なくとも1種のポリマー(F);及び
− 任意選択的に、1種以上の添加剤
からなる。
【0112】
組成物(C2)中での使用に好適な添加剤の非限定的な例としては、アミン硬化剤などの硬化剤、金属酸化物、フィラー、顔料、及び着色剤からなる群から選択される添加剤が挙げられる。
【0113】
使用できるアミン硬化剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ポリアミドアミン(二量体化リノール酸及びジエチレントリアミン由来のポリアミドアミン等)、アミドアミン(ステアリン酸由来のアミドアミン等)、脂肪族アミン付加体、アルキレンオキシド/ポリアミン付加体;ポリアルキレンオキシドアミン、ポリプロピレングリコール又はポリエチレングリコールのアミノ化生成物、ケチミン、ジシアンジアミド、及び芳香族アミンが挙げられる。
【0114】
使用できる金属酸化物の例としては、これらに限定されるものではないが、酸化コバルト(III)、酸化コバルト(II)、酸化コバルト(II、III)、二酸化チタン、及び二酸化亜鉛が挙げられる。
【0115】
使用できるフィラーの例としては、これらに限定されるものではないが、硫酸バリウム及び硫酸カルシウムなどの硫酸塩、並びにメタケイ酸カルシウムなどのケイ酸塩が挙げられる。
【0116】
樹脂(E2)は、上で定義されている樹脂(E1)として定義され、前記樹脂(E2)は、前記樹脂(E1)と同じ又は異なる。
【0117】
本発明の目的では、用語「フルオロポリマー[ポリマー(F)]」は、少なくとも1種のフッ素化モノマー[モノマー(F)]由来の繰り返し単位を含むポリマーを指すことが意図されている。
【0118】
用語「フッ素化モノマー[モノマー(F)]」とは、少なくとも1個のフッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーを意味することを本明細書では意図する。
【0119】
ポリマー(F)は、非晶質であっても半結晶性であってもよい。
【0120】
用語「非晶質」は、ASTM D−3418−08に従って測定される、5J/g未満、好ましくは3J/g未満、より好ましくは2J/g未満の融解熱を有するフルオロポリマーを意味することを本明細書では意図する。
【0121】
用語「半結晶性」は、ASTM D3418−08に従って測定される、10〜90J/g、好ましくは30〜60J/g、より好ましくは35〜55J/gの融解熱を有するフルオロポリマーを意味することを本明細書では意図する。
【0122】
ポリマー(F)は、好ましくは半結晶性である。
【0123】
ポリマー(F)は、官能性フルオロポリマー[官能性ポリマー(F)]又は非官能性フルオロポリマー[非官能性ポリマー(F)]のいずれであってもよい。
【0124】
本発明の目的では、用語「官能性フルオロポリマー[官能性ポリマー(F)]」は、少なくとも1種の官能性モノマー由来の繰り返し単位を更に含むフルオロポリマーを意味することが意図されている。
【0125】
本発明の目的では、用語「非官能性フルオロポリマー[非官能性ポリマー(F)]」は、少なくとも1種の官能性モノマー由来の繰り返し単位を含まないフルオロポリマーを意味することが意図されている。
【0126】
用語「官能性モノマー」は、少なくとも1種の官能基を含むモノマーを意味することを本明細書では意図する。
【0127】
官能性モノマーは、官能性フッ素化モノマー[官能性モノマー(F)]又は官能性含水素モノマー[官能性モノマー(H)]のいずれであってもよい。
【0128】
用語「含水素モノマー[モノマー(H)]」とは、少なくとも1個の水素原子を含み、フッ素原子を含まないエチレン系不飽和モノマーを意味することを本明細書では意図する。
【0129】
モノマー(F)は、1つ又は複数の他のハロゲン原子(Cl、Br、I)を更に含むことができる。モノマー(F)が1つ以上の水素原子を含まない場合、それはパー(ハロ)フルオロモノマーと称される。モノマー(F)が少なくとも1個の水素原子を含む場合、それは水素含有フッ素化モノマーと称される。
【0130】
好適なモノマー(F)の非限定的な例としては、特に、
− テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンなどのC
2〜C
8パーフルオロオレフィン;
− フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、1,2−ジフルオロエチレン及びトリフルオロエチレンなどのC
2〜C
8水素化フルオロオレフィン;
− 式CH
2=CH−R
f0(式中、R
f0は、C
1〜C
6パーフルオロアルキルである)を満たすパーフルオロアルキルエチレン;
− クロロトリフルオロエチレンなどのクロロ−及び/又はブロモ−及び/又はヨード−C
2〜C
6フルオロオレフィン;
− 式CF
2=CFOR
f1(式中、R
f1は、C
1〜C
6フルオロ−若しくはパーフルオロアルキル、例えばCF
3、C
2F
5、C
3F
7である)を満たす(パー)フルオロアルキルビニルエーテル;
− CF
2=CFOX
0(パー)フルオロ−オキシアルキルビニルエーテル(式中、X
0は、C
1〜C
12アルキル基、C
1〜C
12オキシアルキル基、又はパーフルオロ−2−プロポキシ−プロピル基などの1個又は複数個のエーテル基を有するC
1〜C
12(パー)フルオロオキシアルキル基である);
− 式CF
2=CFOCF
2OR
f2(式中、R
f2は、C
1〜C
6フルオロ−若しくはパーフルオロアルキル基、例えばCF
3、C
2F
5、C
3F
7又は−C
2F
5−O−CF
3などの1個若しくは複数のエーテル基を有するC
1〜C
6(パー)フルオロオキシアルキル基である)を満たす(パー)フルオロアルキルビニルエーテル;
− 式CF
2=CFOY
0(式中、Y
0は、C
1〜C
12アルキル基若しくは(パー)フルオロアルキル基、C
1〜C
12オキシアルキル基、又は1個若しくは複数個のエーテル基を有するC
1〜C
12(パー)フルオロオキシアルキル基であり、Y
0は、その酸、酸ハライド又は塩形態でのカルボキシル基又はスルホン酸基を含む)を満たす官能性(パー)フルオロオキシアルキルビニルエーテル;及び
− フルオロジオキソール、好ましくはパーフルオロジオキソール
が挙げられる。
【0131】
モノマー(F)が例えばフッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニルなどの水素含有フッ素化モノマーである場合、ポリマー(F)は、前記水素含有フッ素化モノマー由来の繰り返し単位を含むポリマーであるか、又は前記水素含有フッ素化モノマーと、少なくとも1種の他のモノマーとに由来する繰り返し単位を含むポリマーであるかのいずれかである。
【0132】
モノマー(F)が例えばテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどのパー(ハロ)フルオロモノマーである場合、ポリマー(F)は、前記パー(ハロ)フルオロモノマーと少なくとも1種のモノマー(H)とに由来する繰り返し単位を含むポリマーである。
【0133】
ポリマー(F)は、好ましくは25モル%超、好ましくは30モル%超の、少なくとも1種のモノマー(F)由来の繰り返し単位を含む。
【0134】
ポリマー(F)は、少なくとも1種のモノマー(H)由来の繰り返し単位を更に含んでいてもよい。
【0135】
好適なモノマー(H)の非限定的な例としては、特に、エチレン、プロピレン及びイソブチレン、並びにスチレン及びp−メチルスチレンなどのスチレンモノマーが挙げられる。
【0136】
ポリマー(F)が少なくとも1種のモノマー(H)由来の繰り返し単位を更に含む場合、これは、好ましくは1モル%超、好ましくは5モル%超、より好ましくは10モル%超の、前記少なくとも1種のモノマー(H)由来の繰り返し単位を含む。
【0137】
ポリマー(F)は、典型的には当該技術分野で既に公知の手順に従って懸濁重合又は乳化重合によって得ることできる。
【0138】
モノマー(F)が例えばフッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニルなどの水素含有フッ素化モノマーである場合、官能性ポリマー(F)は、前記水素含有フッ素化モノマーと少なくとも1種の官能性モノマーとに由来する繰り返し単位を含むポリマーであるか、又は前記水素含有フッ素化モノマーと、少なくとも1種の官能性モノマーと、少なくとも1種の他のモノマーとに由来する繰り返し単位を含むポリマーであるかのいずれかである。
【0139】
モノマー(F)が例えばテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどのパー(ハロ)フルオロモノマーである場合、官能性ポリマー(F)は、前記パー(ハロ)フルオロモノマーと、少なくとも1種の官能性モノマーと、前記官能性モノマーと異なる少なくとも1種のモノマー(H)とに由来する繰り返し単位を含むポリマーである。
【0140】
官能性ポリマー(F)は、好ましくは25モル%超、好ましくは30モル%超の、少なくとも1種のモノマー(F)由来の繰り返し単位を含む。
【0141】
官能性ポリマー(F)は、好ましくは、フッ化ビニリデン(VDF)、少なくとも1種の官能性モノマー、及び任意選択的に、VDFと異なる少なくとも1種のモノマー(F)由来の繰り返し単位を含む。
【0142】
ポリマー(F)は、より好ましくは、
(a)少なくとも60モル%、好ましくは少なくとも75モル%、より好ましくは少なくとも85モル%のフッ化ビニリデン(VDF)と;
(b)任意選択的に、0.1モル%〜15モル%、好ましくは0.1モル%〜12モル%、より好ましくは0.1モル%〜10モル%の、フッ化ビニル(VF
1)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン(TrFE)、及びパーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)からなる群から選択される少なくとも1種のモノマー(F)と;
(c)0.01モル%〜20モル%、好ましくは0.05モル%〜15モル%、より好ましくは0.1モル%〜10モル%の少なくとも1種の官能性モノマーと
を含む。
【0143】
官能性モノマーは、好ましくは、上で定義された式(I)の(メタ)アクリルモノマー[モノマー(MA)]からなる群から選択される官能性モノマー(H)である。
【0144】
官能性ポリマー(F)は、好ましくは官能性ポリマー(F1)であり、前記官能性ポリマー(F1)は、少なくとも1種のモノマー(F)と、上で定義された式(I)の少なくとも1種のモノマー(MA)とに由来する繰り返し単位を含む。
【0145】
官能性ポリマー(F1)は、好ましくは、フッ化ビニリデン(VDF)と、上で定義された式(I)の少なくとも1種のモノマー(MA)と、任意選択的に、VDFと異なる少なくとも1種のモノマー(F)とに由来する繰り返し単位を含む。
【0146】
官能性ポリマー(F1)は、好ましくは少なくとも0.01モル%、より好ましくは少なくとも0.05モル%、更に好ましくは少なくとも0.1モル%の上で定義された式(I)の少なくとも1種のモノマー(MA)由来の繰り返し単位を含む。
【0147】
官能性ポリマー(F1)は、好ましくは最大で20モル%、より好ましくは最大で15モル%、更により好ましくは最大で10モル%、最も好ましくは最大で3モル%の、上で定義された式(I)の少なくとも1種のモノマー(MA)由来の繰り返し単位を含む。
【0148】
官能性ポリマー(F1)中のモノマー(MA)繰り返し単位の平均モル百分率の決定は、任意の好適な方法によって行うことができる。特に、酸−塩基滴定法(例えば、アクリル酸含有量の測定に好適である)、NMR法(側鎖に脂肪族水素原子を含むモノマー(MA)の定量に適切である)、前記官能性ポリマー(F1)製造時の全供給モノマー(MA)及び未反応残留モノマー(MA)に基づく重量バランスを挙げることができる。
【0149】
モノマー(MA)は、好ましくは、式(II):
(式中、R’
1、R’
2、及びR’
3は水素原子であり、R’
OHは、少なくとも1つのヒドロキシル基を含むC
1〜C
5炭化水素基、好ましくは少なくとも1つのヒドロキシル基を含むC
2〜C
3炭化水素基である)
のものである。
【0150】
モノマー(MA)は、より好ましくはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルヘキシル(メタ)アクリレートからなる群から選択される。
【0151】
モノマー(MA)は、更に好ましくは、
− 下記式のヒドロキシエチルアクリレート(HEA):
− 下記式のいずれかの2−ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA):
− 及びこれらの混合物
からなる群から選択される。
【0152】
官能性ポリマー(F1)は、好ましくは、少なくとも1種のモノマー(F)と、少なくとも1種のモノマー(MA)とに由来するランダムに分布した繰り返し単位の線状シーケンスを含むランダムポリマーである。
【0153】
官能性ポリマー(F1)は、より好ましくは、少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも60%の、少なくとも1種のモノマー(F)と、少なくとも1種のモノマー(MA)とに由来するランダムに分布した繰り返し単位の線状シーケンスを含むランダムポリマーである。
【0154】
「ランダムに分布した繰り返し単位」という表現は、モノマー(MA)シーケンス(前記シーケンスは、少なくとも1種のモノマー(F)由来の2つの繰り返し単位間に含まれている)の平均数(%)と、少なくとも1種のモノマー(MA)由来の繰り返し単位の全平均数(%)との間のパーセント比を意味することが意図されている。
【0155】
少なくとも1種のモノマー(MA)由来の繰り返し単位のそれぞれが分離されている、すなわちモノマー(MA)由来の繰り返し単位が少なくとも1種のモノマー(F)の2つの繰り返し単位間に含まれている場合、モノマー(MA)シーケンスの平均数は、少なくとも1種のモノマー(MA)由来の繰り返し単位の平均総数に等しく、その結果、少なくとも1種のモノマー(MA)由来のランダムに分布した繰り返し単位の分率は100%である。この値は、少なくとも1種のモノマー(MA)由来の繰り返し単位の完全にランダムな分布に相当する。したがって、少なくとも1種のモノマー(MA)由来の繰り返し単位の総数に対して少なくとも1種のモノマー(MA)由来の分離された繰り返し単位の数が大きいほど、少なくとも1種のモノマー(MA)由来のランダムに分布した繰り返し単位の分率の百分率値はより高くなるであろう。
【0156】
官能性ポリマー(F1)中のランダムに分布したモノマー(MA)繰り返し単位の平均モル百分率の決定は、任意の好適な方法によって行うことができる。特にNMR法を挙げることができる。
【0157】
官能性ポリマー(F1)は、典型的には、例えば国際公開第2008/129041号パンフレット(SOLVAY SPECIALTY POLYMERS ITALY S.P.A.)10/30/2008に開示されている方法に従ってなど、当該技術分野で既に公知の任意の手順に従って懸濁重合により得ることができる。
【0158】
ポリマー(F1)は、有利には、ラジカル開始剤の存在下で水性媒体が入った反応容器内で少なくとも1種のモノマー(F)及び少なくとも1種のモノマー(MA)を重合させることを含む方法によって製造することができ、前記方法は、
− 前記少なくとも1種のモノマー(MA)を含む水溶液を連続的に供給する工程;及び
− 前記反応容器中の圧力を前記少なくとも1種のモノマー(F)の臨界圧力を超える圧力に維持する工程
を含む。
【0159】
圧力は、典型的には50bar超、好ましくは75bar超、更により好ましくは100bar超の値で維持される。
【0160】
このプロセスは、典型的には少なくとも35℃、好ましくは少なくとも40℃、より好ましくは少なくとも45℃の温度で行われる。
【0161】
モノマー(F)が例えばフッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニルなどの水素含有フッ素化モノマーである場合、非官能性ポリマー(F)は、前記水素含有フッ素化モノマー由来の繰り返し単位を含むポリマーであるか、又は前記水素含有フッ素化モノマーと、少なくとも1種の他のモノマーとに由来する繰り返し単位を含むポリマーであるかのいずれかである。
【0162】
モノマー(F)が例えばテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどのパー(ハロ)フルオロモノマーである場合、非官能性ポリマー(F)は、前記パー(ハロ)フルオロモノマーと、少なくとも1種のモノマー(H)とに由来する繰り返し単位を含むポリマーである。
【0163】
非官能性ポリマー(F)は、好ましくは25モル%超、好ましくは30モル%超の、少なくとも1種のモノマー(F)由来の繰り返し単位を含む。
【0164】
非官能性ポリマー(F)は、好ましくはフッ化ビニリデン(VDF)と、任意選択的に、VDFと異なる少なくとも1種のモノマー(F)とに由来する繰り返し単位を含む。
【0165】
非官能性ポリマー(F)は、より好ましくは、
(a’)少なくとも60モル%、好ましくは少なくとも75モル%、より好ましくは少なくとも85モル%のフッ化ビニリデン(VDF);及び
(b’)任意選択的に、0.1モル%〜15モル%、好ましくは0.1モル%〜12モル%、より好ましくは0.1モル%〜10モル%の、フッ化ビニル(VF
1)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン(TrFE)、及びパーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)からなる群から選択される少なくとも1つのモノマー(F)
を含む。
【0166】
本発明のためには、用語「発泡体」は、その中に組み込まれたガスポケットを有する固体のポリマーマトリックスを意味することが意図されている。
【0167】
発泡体は、典型的には0.01〜0.25W/(m・K)、好ましくは0.01〜0.1W/(m・K)に含まれる熱伝導率を有する。
【0168】
発泡体の熱伝導率は、典型的には、例えばASTM E1530標準試験法に従うなどの任意の適切な技術によって測定される。
【0169】
参照により本明細書に援用される特許、特許出願及び刊行物のいずれかの開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【0170】
本発明は、以下の実施例を参照して以降でより詳細に説明されるが、実施例の目的は単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。