特許第6644089号(P6644089)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6644089特定の形状を有する固定刃を持つ一つ以上の回転ヘッドを有するひげトリマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644089
(24)【登録日】2020年1月9日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】特定の形状を有する固定刃を持つ一つ以上の回転ヘッドを有するひげトリマー
(51)【国際特許分類】
   B26B 19/14 20060101AFI20200130BHJP
   B26B 19/20 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   B26B19/14 B
   B26B19/20
   B26B19/14 M
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-560745(P2017-560745)
(86)(22)【出願日】2016年4月22日
(65)【公表番号】特表2018-516663(P2018-516663A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(86)【国際出願番号】EP2016059029
(87)【国際公開番号】WO2016198200
(87)【国際公開日】20161215
【審査請求日】2018年10月25日
(31)【優先権主張番号】15170952.4
(32)【優先日】2015年6月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513242092
【氏名又は名称】バビリス ファコ エスピーアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ジュールモン, ピエール
(72)【発明者】
【氏名】スマル, オリヴィエ
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−139093(JP,A)
【文献】 特開2015−070927(JP,A)
【文献】 実開昭55−023627(JP,U)
【文献】 英国特許出願公告第00602186(GB,A)
【文献】 米国特許第02134609(US,A)
【文献】 特表2017−537709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 19/14
B26B 19/20
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ又は複数の回転切断ヘッドを含むひげトリマーであって、前記回転切断ヘッドが移動刃と固定刃を含み、各ヘッドが冠の形の櫛によって包囲され、前記櫛が、高さ調整可能であり、かつ使用時に、前記刃と皮膚の間の距離を調整し、ひげの毛の切断を所望の長さに適応することを可能にするひげトリマーにおいて、前記トリマーが移動刃及び固定刃を含み、固定刃の幾何学的形状が以下によって特徴づけられるひげトリマー:
− 1〜3mmの歯の長さL3;
− 20〜30°の歯の間の開口角度α;
− 0.3〜1mmの歯の端における歯の幅L2。
【請求項2】
前記固定刃が24〜54個の歯を含む、請求項1に記載のひげトリマー。
【請求項3】
固定刃の直径が12〜25mmである、請求項1に記載のひげトリマー。
【請求項4】
開口角度αの中央軸が固定刃の中央を通過する、請求項1に記載のひげトリマー。
【請求項5】
開口角度αの中央軸が固定刃の中央を通過しない、請求項1に記載のひげトリマー。
【請求項6】
前記固定刃が交換可能である、請求項1に記載のひげトリマー。
【請求項7】
前記固定刃及び移動刃が交換可能である、請求項1に記載のひげトリマー。
【請求項8】
前記トリマーが一つ、二つ、又は三つの回転ヘッドを含む、請求項1に記載のひげトリマー。
【請求項9】
櫛の高さの調整が、電動化され、かつ0.5ミリメートル以内で位置調整されることができる、請求項1に記載のひげトリマー。
【請求項10】
前記櫛が、切断機構と皮膚の間の距離を0〜20mmに0.5mmの精度で調整することを可能にする、請求項1に記載のひげトリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つ又は複数の、垂直軸を持つ回転切断ヘッドを含むひげトリマー(beard trimmer)に関する。これらの回転ヘッドの切断機構は、移動刃と固定刃を備えている。各切断ヘッドは、冠の形の櫛によって包囲され、その高さが調整可能である。使用時には、櫛は、切断機構と皮膚の間の距離を調整してひげの切断長さを調整することを可能にする。本発明によるトリマーは、いかなるタイプのひげにも適応されることができる特定の幾何学的形状を有するタイプの固定刃を含む。
【背景技術】
【0002】
従来技術のひげトリマーは、直線状に移動する刃及び固定刃を持ち、その操作は、固定刃に対して移動刃の行ったり来たりの移動に基づく。このタイプのトリマーは、一般的にひげの切断長さを調整することを可能にする櫛を備えている。かかるひげトリマーは、例えばUSD698084,US6978547,USD486267,EP2766153A1,USD363809,US2013/0042487,US7076878,USD521683などに開示されている。
【0003】
もちろん極めて短く切ったひげそりを達成することを可能にする複数の回転ヘッドを持つ電気かみそりが存在するが、これらは、ひげをトリミングするために使用されることができない。電気かみそりは、切断機構と皮膚の間の距離を調整するための櫛を持たない。我々が知っている限り、従来技術において回転ヘッドを有するひげトリマーはない。
【0004】
従来技術のトリマーは、移動刃と固定刃の交差部に直線切断線を持つ。それらは、ひげの毛が一つの方向に傾斜されることが最も多いのでトリミング方向に依存して毛を異なるようにトリミングする欠点を持つ。なぜならば、ひげの毛は、皮膚に対して垂直に成長することがほとんどないからである。従って、これらのトリマーで刈り取る結果は、トリミングされるひげの上での移動方向に依存して極めて異なる。
【0005】
本発明による固定刃を含み、かつ冠の形の櫛によって包囲される、一つ又は複数の、垂直軸を持つ回転切断ヘッドを含むトリマーは、従来技術において知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ひげの切断高さを調整することを可能にする調整可能な長さを有する櫛によって包囲される一つ又は複数の回転切断ヘッドを有するひげトリマーを提供することを目的とし、そのトリマーは、それらが特定の幾何学的形状を有する固定刃を備え、好ましくはいかなるタイプのひげにも適応されることができるように交換可能なものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一つ又は複数の回転切断ヘッドを含むひげトリマーであって、前記回転切断ヘッドが移動刃と固定刃を含み、各ヘッドが冠の形の櫛によって包囲され、前記櫛が、高さ調整可能であり、かつ使用時に、前記刃と皮膚の間の距離を調整し、ひげの毛の切断を所望の長さに適応することを可能にするひげトリマーにおいて、
前記トリマーが固定刃を含み、その幾何学的形状が以下によって特徴づけられるひげトリマーを開示する:
− 1〜3mm、好ましくは1.5〜2mmの歯の長さL3;
− 20〜30°、好ましくは22〜28°、特に好ましくは24〜27°の歯の間の開口角度α;
− 0.3〜1mm、好ましくは0.4〜0.9mmの歯の端における歯の幅L2。
【0008】
本発明の好ましい実施形態は、以下の特徴の少なくとも一つ、又はいずれかの適切な組み合わせを含む:
− 固定刃が24〜54個の歯、好ましくは30〜45個の歯、特に好ましくは32〜40個の歯を含む;
− 固定刃の直径が12〜25mm、好ましくは18〜22mmである;
− 開口角度αの中央軸が固定刃の中央を通過する;
− 開口角度αの中央軸が固定刃の中央を通過しない;
− 前記固定刃が交換可能である;
− 前記固定刃が移動刃が交換可能である;
− 前記トリマーが一つ、二つ、又は三つの回転ヘッドを含む;
− 櫛の高さの調整が、電動化され、かつ0.5ミリメートル以内で位置調整されることができる;
− 前記櫛が、切断機構と皮膚の間の距離を0〜20mm、好ましくは1〜15mm、特に好ましくは2〜12mmに0.5mmの精度で調整することを可能にする;
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、三つの回転ヘッドを含む本発明によるひげトリマーを示す。回転ヘッドのまわりの冠形状の櫛は、三つの異なる調整高さで示される。例えば、これらの三つの調整は、例えば2,6,及び10mmの毛高さを得ることを可能にする。
【0010】
図2図2は、一つ又は二つの切断ヘッドをそれぞれ有する本発明によるトリマーを示す。
【0011】
図3図3は、櫛の高さを調整するための機構を概略的に示す。
【0012】
図4図4は、切断機構及び切断高さの調整の詳細図を示す。
【0013】
図5図5は、垂直軸上の移動刃及び固定刃の配置及び固定刃のキーパラメーターの詳細図を示す。
【0014】
図6図6は、本発明による固定刃の寸法決定の図示例を示す。
図7図7は、本発明による固定刃の寸法決定の図示例を示す。
図8図8は、本発明による固定刃の寸法決定の図示例を示す。
図9図9は、本発明による固定刃の寸法決定の図示例を示す。
【0015】
参照符号のリスト
1 垂直軸を有する円形回転ヘッド
2 移動刃
3 固定刃
4 切断ヘッドを包囲する冠形状の櫛
5 カバー
【発明を実施するための形態】
【0016】
従来技術のひげトリマーと違って、本発明によるトリマーは、冠形状の櫛4によって包囲された、垂直軸を有する一つ又は複数の円形回転ヘッド1を持ち、その高さは、0.5ミリメートル以内で調整されることができる。この調整は、手動であるか又は電動であることができる(図示せず)。このトリマーは、回転ヘッドを有する電気ひげそりのように、ひげの上のアーチ形の円の移動を可能にする。このタイプの移動は、皮膚に対する傾斜にかかわらず、全ての側からの毛のトリミングを開始する利点を持ち、それは、ひげの均一なトリミングをもたらす。
【0017】
櫛4の移動は、毛を立ち上げ、それは、最終的にトリミング領域における二つの歯の間に残る空間を介して外側から内側の方へ侵入する。先端に向かって徐々に細くなる櫛4の歯の特定の形状は、固定刃3と移動刃2から作られたトリミング要素に向かってひげの毛の容易な侵入を可能にする。
【0018】
伸縮自在の櫛4の高さは、約0〜15mm、好ましくは0〜12mm、特に好ましくは0〜10mmに調整されることができる。それゆえ、櫛は、トリマーが収容されるときにより少ない空間をとるようにカバー5にほとんど完全に格納可能である。
【0019】
回転ヘッドを包囲するカバー5は、切断機構の浄化を容易にするために除去可能である。
【0020】
固定刃3は、放射状の切欠きを含み、そこでは切欠きは、固定刃の軸を結ぶ線と対称又は非対称の角度を形成し、それは、切断機構における毛の侵入に好ましい。
【0021】
ひげの毛の太さ及びそれらの密度は、人によって極めて変わりうる。それゆえ、どのタイプの固定刃が使用者のために最適に作用するかを予想することは難しいことがある。それゆえ、本発明によるトリマーは、移動刃及び固定刃を含み、それらは交換可能であることが好ましい。本発明の一つの好ましい実施形態では、トリマーは、一組の交換可能な刃を付随することができる。
【0022】
さらに、刃の摩耗はまた、電気かみそり刃の摩耗より大きいかもしれず、それは、刃の頻繁な交換を要求するかもしれない。
【0023】
固定刃のキーパラメーターは、図5に示されている。L1は、固定刃の歯間の距離をその外径で表わす。L2は、刃の外径での歯の端の幅を表わす。L3は、歯の長さを表わし、αは、固定刃の二つの歯の間の開口角度を表わす。
【0024】
固定刃は、大きく変動可能な歯の長さL3を持つことができる。それは、0.5〜4mmで変動しうるが、それは、一般に1〜3mm、好ましくは1.5〜2mmである。歯のために選択される長さは、もちろん固定刃の直径、及び考えられる歯の数に関連する。従って、大きな直径(例えば25mm)及び少数の歯を持つ刃は、多数の歯を持つものより大きな歯の長さL3を可能にする。固定刃は、一般に24〜54個の歯、好ましくは30〜45個の歯を含む。固定刃の直径は、一般に12〜25mm、好ましくは18〜22mmである。
【0025】
皮膚との攻撃的な接触及び機械的応力はまた、歯の端で一定の歯の幅L2を保持することを刃製造業者に要求する。この場合において、許容範囲は、一般に0.3〜1mm、好ましくは0.4〜0.9mmである。
【0026】
さらに、寸法L2及びL3は、開口角度α、それゆえ同じ直径に対するL1を当然決定する。開口角度αは、一般に20〜30°、好ましくは22〜28°である。この開口角度αは、中央軸によって規定され、中央軸は、固定刃の中央を通過する必要は必ずしもない。この場合において、この角度は、「非対称角度」として言及される。
【0027】
もちろん、本発明は、幾何学的に不可能である寸法L2,L3,及びαの組み合わせを除外し、当業者は、技術的に利用可能なパラメーターの組み合わせのみを考慮するだろう。寸法決定の図示例は、図6〜9に与えられる。
【実施例】
【0028】
実施例1
図6は、固定刃の半径に対して対称的な歯の間の開口角度及び40個の歯を有する固定刃を示す。この実施例では、L3=1.9mm;L2=0.6mm;及びα=22°。
【0029】
実施例2
図7は、固定刃の半径に対して対称的な歯の間の開口角度及び32個の歯を有する固定刃を示す。この実施例では、L3=1.8mm;L2=0.8mm;及びα=26.1°。
【0030】
実施例3
図8は、固定刃の半径に対して非対称的な歯の間の開口角度及び32個の歯を有する固定刃を示す。この実施例では、L3=2mm;L2=0.6mm;及びα=26.1°。
【0031】
実施例4
図9は、固定刃の半径に対して対称的な歯の間の開口角度及び40個の歯を有する固定刃を示す。この実施例では、L3=1.8mm;L2=0.4mm;及びα=26.1°。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9