特許第6644101号(P6644101)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6644101低粘度シリコーンポリマーを含むヘア組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644101
(24)【登録日】2020年1月9日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】低粘度シリコーンポリマーを含むヘア組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/898 20060101AFI20200130BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20200130BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20200130BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20200130BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   A61K8/898
   A61Q5/12
   A61Q19/00
   A61K8/81
   A61K8/73
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-34056(P2018-34056)
(22)【出願日】2018年2月28日
(62)【分割の表示】特願2016-517297(P2016-517297)の分割
【原出願日】2014年9月16日
(65)【公開番号】特開2018-109049(P2018-109049A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2018年3月19日
(31)【優先権主張番号】61/883,705
(32)【優先日】2013年9月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(72)【発明者】
【氏名】マイケル アルバート スナイダー
(72)【発明者】
【氏名】マーサ ジェーン ウィーバー
【審査官】 ▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−542400(JP,A)
【文献】 特表2010−524918(JP,A)
【文献】 特開平05−194152(JP,A)
【文献】 特開昭58−188812(JP,A)
【文献】 特開平03−141210(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0135588(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアコンディショニング組成物が、
a)シリコーンポリマーであって、
i.1つ以上の第四級基、
ii.200超〜500個のシロキサン単位を含む少なくとも1つのシリコーンブロック、
iii.少なくとも1つのポリアルキレンオキシド構造ユニット、及び
iv.少なくとも1つの末端エステル基、を含み
前記シリコーンポリマーが、500mPa・sから最大10,000mPa・sの粘度を有かつ、以下の式(Ia)又は(Ib)によって規定される化学構造:
M−Y−[−(N+2−T−N+2)−Y−]m−[−(NR2−A−E−A’−NR2)−Y−]k−M(Ia)
(式中、
mは、0.01〜10であり、
kは、0〜10であり、
Mは、−OC(O)−Zであり、
式中、Zは、10〜18個の炭素を有する炭化水素鎖であり、
式中、A及びA’のそれぞれは、独立して、単結合、又は最大10個の炭素原子及び1つ以上のヘテロ原子を有する二価有機基から選択され、
Eは、次の一般式:
−[CH2CH2O]q−[CH2CH(CH3)O]r−[CH2CH(C25)O]s
のポリアルキレンオキシド基であり、
ここで、
q=0〜50であり、
r=0〜50であり、
q+rは少なくとも1であり、
s=0であり、
q+r+s=1〜100であり、
Rは、最大22個の炭素原子を有する一価の有機基から選択され、窒素原子における遊離原子価は炭素原子に結合され、R2は、メチルであり、
Yは、次式:
−K−S−K−及び−A−E−A’−又は−A’−E−A−
の基であり、
ここで、
S=
【化1】
であり、式中、R1=C1〜C22アルキル、C1〜C22フルオロアルキル又はアリールであり、
n=300〜500であり、
Kは、−O−により任意に中断され、かつ、任意に−OHで置換される、二価又は三価の直鎖、環状、及び/又は分枝状のC2〜C40炭化水素残基であり、
式中、Tは、二価の直鎖、環状、又は分岐状C1〜C20炭化水素ラジカルから選択される。)、
M−Y−[−(N+2−T−N+2)−Y−]m−[−(N+22−A−E−A’−N+22)−Y−]k−M(Ib)
(式中、
mは、0.01〜10であり、
kは、0〜10であり、
Mは、−OC(O)−Zであり、
式中、Zは、10〜18個の炭素を有する炭化水素鎖であり、
式中、A及びA’のそれぞれは、独立して、単結合、又は最大10個の炭素原子及び1つ以上のヘテロ原子を有する二価有機基から選択され、
Eは、次の一般式:
−[CH2CH2O]q−[CH2CH(CH3)O]r−[CH2CH(C25)O]s
のポリアルキレンオキシド基であり、
ここで、
q=0〜50であり、
r=0〜50であり、
q+rは少なくとも1であり、
s=0であり、
q+r+s=1〜100であり、
Rは、最大22個の炭素原子を有する一価の有機基から選択され、窒素原子における遊離原子価は炭素原子に結合され、R2は、メチルであり、
Yは、次式:
−K−S−K−及び−A−E−A’−又は−A’−E−A−
の基であり、
ここで、
S=
【化2】
であり、式中、R1=C1〜C22アルキル、C1〜C22フルオロアルキル又はアリールであり、
n=300〜500であり、
Kは、任意に−O−で中断され、かつ、任意に−OHで置換される、二価又は三価の直鎖、環状、及び/又は分枝状のC2〜C40炭化水素残基であり、
式中、Tは、二価の直鎖、環状、又は分岐状C1〜C20炭化水素ラジカルから選択される。)
を有する、シリコーンポリマーと、
b)高分子増粘剤と、を含み、該組成物はシリコーンコポリオールを含まない、ヘアコンディショニング組成物。
【請求項2】
前記シリコーンポリマーが、1マイクロメートル未満の粒径を有する予備乳化された分散液である、請求項1に記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項3】
前記シリコーンブロックが、300〜500個のシロキサン単位を含む、請求項1又は2に記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項4】
前記シリコーンポリマーが、前記組成物の0.05重量%〜15重量%の量で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項5】
前記シリコーンポリマーが、前記組成物の0.1重量%〜10重量%の量で存在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項6】
前記シリコーンポリマーが、前記組成物の0.15重量%〜5重量%の量で存在する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項7】
前記−K−S−K−部分中のK残基が同一であるか又は異なっており、かつC−Si−結合を介して残基Sのケイ素原子に結合する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項8】
前記シリコーンポリマーが、500〜5000mPa・sの粘度を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項9】
カチオン性界面活性剤が、前記組成物の0.1重量%〜10重量%の量で存在する、請求項1〜のいずれか一項に記載のヘアコンディショニング組成物。
【請求項10】
毛髪又は皮膚に改善されたコンディショニング効果を提供する方法であって、前記毛髪又は皮膚に、請求項1〜のいずれか一項に記載のヘアコンディショニング組成物を塗布する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
シリコーンポリマーを含むヘアコンディショニング組成物が提供される。このシリコーンポリマーは、例えば、最大100,000mPa・sの低い粘度を有し、本組成物は、傷んだ毛髪と傷んでいない毛髪との両方に滑らかな感触及び摩擦の軽減などの改善されたコンディショニング効果を提供できるようにする。
【背景技術】
【0002】
シリコーンポリマーは、ヘアコンディショニング、特に毛髪へのコンディショニング効果の提供において、戦略的に重要な材料である。ヒト毛髪は、例えば、シャンプー、櫛ですくこと、パーマネントウェーブ、及び/又は毛染めによって傷む。このような傷んだ毛髪は、しばしば、傷んでいない又は傷みが少ない毛髪と比べて、親水性のままであり、かつ/又は特に毛髪を乾かすときに、滑らかでない状態である。アミン官能基及び四級官能基と結合する、シリコーン及びアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド基(EO/PO))のブロックからなるシリコーンポリマーは、傷んだ毛髪の親水性を中和するために使用されている。シリコーンブロックが、コンディショニング及び潤滑性に貢献する一方で、ポリマー鎖に含まれるアミン官能基及び四級官能基は、すすぎ中の付着を更に促進する。特に、最適なコンディショニング性は、200個超のD単位を有するシリコーンブロックで観察されている。しかしながら、これらの材料は一般に、未希釈材料のときに高い粘度を有する。所望のコンディショニング効果を得るために、これらのシリコーンポリマーは従来、シリコーンコポリオール又は他の希釈剤若しくは溶媒とブレンドして使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記に基づくと、濡れた毛髪及び乾いた毛髪において、滑らかな感触及び摩擦の軽減等のコンディショニング効果を更により改善する、ヘアコンディショニング組成物の必要性が存在する。更に、傷んだ毛髪におけるコンディショニング効果を改善する、ヘアコンディショニング組成物の必要性が存在する。
【0004】
また、シリコーンポリマーと組み合わせる追加のブレンド材料の必要性を最低限にしながらも、従来のブレンド材料よりも低コストかつ複雑性が低い、上記効果の組み合わせをもたらす組成物の必要性も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
理論に束縛されるものではないが、本発明のヘアコンディショニング組成物中の低粘度シリコーンポリマーは、シリコーンブレンドの必要性をなくす一方で、傷んだ毛髪と傷んでいない毛髪の両方に改善されたコンディショニング効果を提供する。
【0006】
一実施形態によると、ヘアコンディショニング組成物は、シリコーンポリマーであって、1つ以上の第四級基、200個を超えるシロキサン単位を含む少なくとも1つのシリコーンブロック、少なくとも1つのポリアルキレンオキシド構造ユニット、及び少なくとも1つの末端エステル基、を含み、シリコーンポリマーは、最大100,000mPa・sの粘度を有する、シリコーンポリマーを含んでもよく、ヘアコンディショニング組成物は、高分子増粘剤を含む。
【0007】
本発明の実施形態によって提供されるこれらの及び追加的な特徴は、以下の「発明を実施するための形態」を考慮してより完全に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
パーソナルケア組成物(例えば、ヘアコンディショニング組成物)の構成成分を以下に記述する。本発明の実施形態で有用な、様々な任意選択の及び好ましい構成成分の非限定的な記述も含む。本明細書は、本発明を具体的に指摘しかつ明確に特許請求する「特許請求の範囲」を結論とするが、以下の記述により、本発明がよりよく理解されるであろうと考えられる。
【0009】
百分率、部、及び比はすべて、特に指定しない限り、本発明の組成物の総重量に基づく。かかる重量はすべて、列記した成分に関する限り、活性レベルに基づくものであり、したがって特に断らない限り、市販材料に含まれる場合がある溶媒又は副生成物を含まない。「重量パーセント」という用語は、本明細書では「重量%」として表記される場合がある。
【0010】
本明細書で使用する場合、すべての分子量は、特に指定しない限り、g/モルで表現される重量平均分子量である。
【0011】
本発明の組成物及び本発明の方法/プロセスは、本明細書に記載した発明の必要不可欠な要素及び制限事項、並びに本明細書に記載した追加的な若しくは所望による構成成分、成分、工程、又は制限事項のいずれかを含むことができ、これらからなることができ、及びこれらから本質的になることができる。
【0012】
本明細書において、「混合物」は、複数の材料の単純な組み合わせと、結果としてそのような組み合わせから得られる場合がある任意の化合物と、を含むことを意味する。
【0013】
本明細書で用いる場合、「しるし」は、テキスト及び/又は図を含む識別マークを意味する。
【0014】
本明細書で用いる場合、「画像」は、物体の写真、図、及び/又はその他の絵で表した表示を意味する。
【0015】
本発明のヘアコンディショニング組成物の実施形態は、最大100,000mPa・sの粘度を有するシリコーンポリマーを含む。
【0016】
傷んだ毛髪は、傷んでいない及び/又は傷みが少ない毛髪と比較して、疎水性が低い。毛髪の疎水性を改善することによって、ヘアコンディショニング組成物は、毛髪に改善された滑らかな感触と摩擦の軽減を提供することができると考えられる。また、毛髪の疎水性の改善を、例えば、シリコーン、及び/又はカチオン性界面活性剤等の追加の材料の使用といった、本発明の他の何らかの好ましい特徴によって提供することもできると考えられる。更に、理論に制限されることなく、疎水性の改善により、周囲環境の湿度に対する毛髪の許容度が改善され、それによって、雨及び/又は湿度の高い日の縮れ及び/又ははね上がりが軽減されると考えられる。
【0017】
本発明のヘアコンディショニング組成物は、別の方法としては約2〜約9、又はあるいは約3〜約7のpHを有する。
【0018】
A.第四級基を含有するシリコーンポリマー
本発明の組成物は、最大100,000mPa・sの粘度を有する低粘度シリコーンポリマーを含む。理論に束縛されるものではないが、この低粘度シリコーンポリマーは、滑らかな感触、摩擦の低減、及びヘアダメージの防止などの改善されたコンディショニング効果をもたらしながら、シリコーンブレンドの必要性を排除する。
【0019】
構造的に、シリコーンポリマーは、1つ以上の第四級アンモニウム基、200個を超えるシロキサン単位を含む少なくとも1つのシリコーンブロック、少なくとも1つのポリアルキレンオキシド構造ユニット、及び少なくとも1つの末端エステル基を含むポリオルガノシロキサン化合物である。1つ以上の実施形態では、シリコーンブロックは300〜500個のシロキサン単位を含む場合がある。
【0020】
シリコーンポリマーは、組成物の約0.05重量%〜約15重量%、あるいは約0.1重量%〜約10重量%、あるいは約0.15重量%〜約5重量%、あるいは約0.2重量%〜約4重量%の量で存在する場合がある。
【0021】
好ましい実施形態では、本発明によるポリオルガノシロキサン化合物は、一般式(Ia)及び(Ib):
M−Y−[−(N+2−T−N+2)−Y−]m−[−(NR2−A−E−A’−NR2)−Y−]k−M (Ia)
M−Y−[−(N+2−T−N+2)−Y−]m−[−(N+22−A−E−A’−N+22)−Y−]k−M (Ib)
を有し、式中、
mは、0超であり、好ましくは0.01〜100であり、より好ましくは0.1〜100であり、更により好ましくは1〜100であり、具体的には1〜50であり、より具体的には1〜20であり、更により具体的には1〜10であり、
kは、0であるか、又は平均値で0超〜50であるか、又はあるいは1〜20、又はあるいは1〜10であり、
Mは、
−OC(O)−Z
−OS(O)2−Z
−OS(O2)O−Z
−OP(O)(O−Z)OH
−OP(O)(O−Z)2
から選択される末端エステル基を含む末端基を表し、
式中、Zは、最大40個の炭素原子を有する一価の有機残基から選択され、所望により1つ以上のヘテロ原子を含む。
【0022】
A及びA’のそれぞれは、互いに独立して、単結合、又は最大10個の炭素原子及び1つ以上のヘテロ原子を有する二価有機基から選択され、
Eは、次の一般式:
−[CH2CH2O]q−[CH2CH(CH3)O]r−[CH2CH(C25)O]s
のポリアルキレンオキシド基であり、
ここで、q=0〜200であり、r=0〜200であり、s=0〜200であり、及びq+r+s=1〜600である。
【0023】
2は、水素又はRから選択され、
Rは、最大22個の炭素原子及び所望により1つ以上のヘテロ原子を有する一価の有機基から選択され、窒素原子における遊離原子価は炭素原子に結合され、
Yは、次式:
−K−S−K−及び−A−E−A’−又は−A’−E−A−の基であり、
ここで、
S=
【0024】
【化1】
であり、
式中、R1=C1〜C22−アルキル、C1〜C22−フルオロアルキル又はアリールであり、n=200〜1000であり、いくつかのS基がポリオルガノシロキサン化合物中に存在する場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。
【0025】
Kは、二価又は三価の直線、環状、及び/又は分枝状のC2〜C40炭化水素残基であり、これは所望により、−O−、−NH−、三価のN、−NR1−、−C(O)−、−C(S)−によって中断され、かつ所望により−OHにより置換され、R1は上記の通りに規定され、
Tは、最大20個の炭素原子及び1つ以上のヘテロ原子を有する二価の有機基から選択される。
【0026】
残基Kは、互いに同一であっても異なっていてもよい。−K−S−K−部分中、残基Kは、C−Si−結合を介して残基Sのケイ素原子に結合される。
【0027】
ポリオルガノシロキサン化合物中にはアミン基(−(NR2−A−E−A’−NR2)−)が存在する可能性があることに起因し、これらは、有機又は無機酸によるかかるアミン基のプロトン化によりもたらされる、プロトン化アンモニウム基を有する場合がある。かかる化合物は、本発明によるポリオルガノシロキサン化合物の酸付加塩と称される場合がある。
【0028】
一実施形態では、第四級アンモニウム基b)と末端エステル基c)とのモル比は100:20未満であり、あるいは100:30未満であり、あるいは100:50未満である。この比は、13C−NMRによって決定することができる。
【0029】
更なる実施形態では、ポリオルガノシロキサン組成物は、
A)a)少なくとも1つのポリオルガノシロキサン基、b)少なくとも1つの第四級アンモニウム基、c)少なくとも1つの末端エステル基、及びd)少なくとも1つのポリアルキレンオキシド基(上記で定義した通り)を含む、少なくとも1つのポリオルガノシロキサン化合物と、
B)化合物A)とは異なる少なくとも1つの末端エステル基を含む少なくとも1つのポリオルガノシロキサン化合物と、を含む場合がある。
【0030】
成分A)の定義において、本発明のポリオルガノシロキサン化合物の記述を参照することができる。ポリオルガノシロキサン化合物B)は、第四級アンモニウム基を含まないという点で、ポリオルガノシロキサン化合物A)とは選択的に異なる。好ましいポリオルガノシロキサン化合物B)は、一官能性有機酸、特にカルボン酸と、ビスエポキシドを含有するポリオルガノシロキサンとの反応により得られる。
【0031】
本発明によるポリオルガノシロキサン組成物では、化合物A)と化合物B)との重量比は、別の方法としては90:10未満である。すなわち換言すれば、成分B)の含量は少なくとも10重量%である。本発明によるポリオルガノシロキサン組成物の更に好ましい実施形態では、化合物A)では、第四級アンモニウム基b)と末端エステル基c)とのモル比は、100:10未満、更により好ましくは100:15未満、最も好ましくは100:20未満である。
【0032】
シリコーンポリマーは、20℃及び剪断速度0.1s-1(プレート−プレートシステム、プレート直径40mm、間隙幅0.5mm)において、100,000mPa・s(100Pa・s)未満の粘度を有する。更なる実施形態では、未希釈シリコーンポリマーの粘度は、500〜100,000mPa・s、又はあるいは500〜70,000mPa・s、又はあるいは500〜50,000mPa・s、又はあるいは500〜20,000mPa・sの範囲である場合がある。更なる実施形態では、20℃及び剪断速度0.1s-1で測定した未希釈のポリマーの粘度は、500〜10,000mPa・s、あるいは500〜5000mPa・sの範囲である場合がある。
【0033】
上記に列挙したシリコーンポリマーに加え、以下の好ましい組成物が下記に提供される。例えば、次の一般式:
−[CH2CH2O]q−[CH2CH(CH3)O]r−[CH2CH(C25)O]s
のポリアルキレンオキシド基Eでは、式中、q、r、及びsは、以下のように定義される場合があり、すなわち
q=0〜200、あるいは0〜100、あるいは0〜50、あるいは0〜20であり、
r=0〜200、あるいは0〜100、あるいは0〜50、あるいは0〜20であり、
s=0〜200、あるいは0〜100、あるいは0〜50、あるいは0〜20であり、
q+r+s=1〜600、あるいは1〜100、あるいは1〜50、あるいは1〜40である。
【0034】
次の一般式S:
【0035】
【化2】
のポリオルガノシロキサン構造単位では、
1=C1〜C22−アルキル、C1〜C22−フルオロアルキル、又はアリールであり、n=200〜1000であり、又はあるいは300〜500であり、K(−K−S−K−基内の)は別の方法としては、二価又は三価の直鎖、環状、又は分枝状C2〜C20炭化水素残基であり、これは所望により−O−、−NH−、三価のN、−NR1−、−C(O)−、−C(S)−によって中断され、また所望により−OHで置換される。
【0036】
具体的な実施形態では、R1は、C1〜C18アルキル、C1〜C18フルオロアルキル及びアリールである。更に、R1は、別の方法としては、C1〜C18アルキル、C1〜C6フルオロアルキル、及びアリールである。更に、R1は、別の方法としては、C1〜C6アルキル、C1〜C6フルオロアルキル、別の方法としてはC1〜C4フルオロアルキル、及びフェニルである。最も別の方法としては、R1は、メチル、エチル、トリフルオロプロピル、及びフェニルである。
【0037】
本明細書で使用する場合、用語「C1〜C22アルキル」は、直鎖又は分岐鎖であってもよい1〜22個の炭素原子を保有する脂肪族炭化水素基を意味する。メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、ノニル、デシル、ウンデシル、イソプロピル、ネオペンチル、及び1,2,3−トリメチルヘキシル部分が例として機能する。
【0038】
更に、本明細書で使用するとき、用語「C1〜C22フルオロアルキル」は、直鎖又は分岐鎖であってもよく、かつ少なくとも1つのフッ素原子で置換された、1〜22個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素化合物を意味する。モノフルオロメチル、モノフルオロエチル、1,1,1−トリフルオロエチル、ペルフルオロエチル、1,1,1−トリフルオロプロピル、1,2,2−トリフルオロブチルは好適な例である。
【0039】
更に、用語「アリール」は、置換されていない、又はOH、F、Cl、CF3、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、C3〜C7シクロアルキル、C2〜C6アルケニル若しくはフェニルによっては1回又は数回フェニル置換されたものを意味する。アリールは、ナフチルも意味する場合がある。
【0040】
ポリオルガノシロキサンの実施形態については、アンモニウム基に由来する正電荷は、塩化物、臭化物、硫酸水素塩、硫酸塩などの無機アニオン、又は、C1〜C30カルボン酸に由来するカルボキシレート、例えば、アセテート、プロピオネート、オクタノエート、特に、C10〜C18カルボン酸に由来するカルボキシレート、例えば、デカノエート、ドデカノエート、テトラデカノエート、ヘキサデカノエート、オクタデカノエート、及びオレアート、アルキルポリエーテルカルボキシレート、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルスルフェート、アルキルポリエーテルスルフェート、リン酸モノアルキル/アリールエステル及びリン酸ジアルキル/アリールエステル由来のリン酸塩などの有機アニオンにより中和される。ポリオルガノシロキサン化合物の特性を、特に使用する酸の選択に基づいて修正することができる。
【0041】
第四級アンモニウム基は、通常、モノカルボン酸及び二官能性ジハロゲンアルキル化合物の存在下で、第三級ジアミンと、特にジエポキシド(ビスエポキシドと称される場合もある)から選択されるアルキル化剤とを反応させることにより生成される。
【0042】
好ましい実施形態では、ポリオルガノシロキサン化合物は、以下の一般式(Ia)及び(Ib):
M−Y−[−(N+2−T−N+2)−Y−]m−[−(NR2−A−E−A’−NR2)−Y−]k−M (Ia)
M−Y−[−(N+2−T−N+2)−Y−]m−[−(N+22−A−E−A’−N+22)−Y−]k−M (Ib)
のものであり、式中、各基は上記で規定した通りであるが、繰り返し単位は統計的配列である(すなわち、ブロック的配列ではない)。
【0043】
更に好ましい実施形態では、ポリオルガノシロキサン化合物は、以下の一般式(IIa)又は(IIb):
M−Y−[−N+2−Y−]m−[−(NR2−A−E−A’−NR2)−Y−]k−M (IIa)
M−Y−[−N+2−Y−]m−[−(N+22−A−E−A’−N+22)−Y−]k−M (IIb)
のものであってもよく、式中、各基は上記で規定した通りである。また、かかる式中、繰り返し単位は、通常、統計的に配置される(すなわち、ブロック様の配置ではない)。
式中、上記で規定した通り、Mは、
−OC(O)−Z、
−OS(O)2−Z
−OS(O2)O−Z
−OP(O)(O−Z)OH −OP(O)(O−Z)2
であり、Zは、直鎖、環状、又は分岐状の飽和若しくは不飽和のC1〜C20、又はあるいはC2〜C18であり、又はあるいは1つ以上の−O−若しくは−C(O)−により中断され、かつ−OHにより置換されている場合がある炭化水素ラジカルである。具体的な実施形態では、Mは標準的なカルボン酸から生じる−OC(O)−Zであり、特に、例えば、ドデカン酸などのように10個超の炭素原子を有する。
【0044】
更なる実施形態では、ポリオルガノシロキサンを含有する繰り返し基−K−S−K−及びポリアルキレン繰り返し基−A−E−A’−又は−A’−E−A−のモル比は100:1〜1:100であり、又はあるいは20:1〜1:20であり、又はあるいは10:1〜1:10である。
【0045】
−(N+2−T−N+2)−基中、Rは、1つ以上の−O−、−C(O)−により中断されている可能性があり、かつ−OHにより置換されている可能性がある、一価の直鎖、環状、又は分岐状C1〜C20炭化水素ラジカルを表す場合があり、Tは、−O−、−C(O)−により中断されている可能性があり、かつヒドロキシルにより置換されている可能性がある二価の直鎖、環状、又は分岐状C1〜C20炭化水素ラジカルを表す場合がある。
【0046】
第四級アンモニウム官能基及びエステル官能基を含む上記ポリオルガノシロキサン化合物は、1)第四級アンモニウム官能基を含有しかつエステル官能基は含有しない別個の分子、2)第四級アンモニウム官能基及びエステル官能基を含有する分子、及び3)エステル官能基を含有しかつ第四級アンモニウム官能基は含有しない分子も含有する場合がある。構造に限定されはしないものの、第四級アンモニウム官能基及びエステル官能基を含む、上記のポリオルガノシロキサン化合物は、ある特定の平均量及び比の両方の部分を含む分子の混合物として理解される。
【0047】
エステルを得るために様々な一官能性有機酸を使用することができる。例示的な実施形態としては、C1〜C30カルボン酸、例えば、C2、C3、C8酸、C10〜C18カルボン酸、例えば、C12、C14、C16酸、飽和、不飽和、及びヒドロキシル官能化C18酸、アルキルポリエーテルカルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸、アルキル硫酸、アルキルポリエーテル硫酸、リン酸モノアルキル/アリールエステル及びリン酸ジアルキル/エステルが挙げられる。
【0048】
コンディショナー基剤に追加する前に、シリコーンポリマーを小さい粒子のエマルション(1マイクロメートル未満)で予備分散させることによって、更なる性能改善が所望により達成される場合がある。
【0049】
本特許出願では、「エマルション」という用語は、別途調製され、かつコンディショナー組成物の構成成分の1つとして使用される任意の安定したエマルション、又はシリコーンポリマーの分散液を記述する。
【0050】
安定とは、エマルションの粘度、粒径、及び他の重要な特徴が、典型的な温度、水分、圧力、剪断、光、並びに包装、保管、及び輸送中にプレエマルションが曝される他の環境条件への曝露下で、妥当な時間にわたって著しくは変化しないことを意味する。
【0051】
小さい粒子のエマルションを作製するには、これらをコンディショニング組成物に添加する前に、シリコーンポリマーを予備乳化する必要がある場合がある。作製方法の非限定的な例を以下に提供する。全ての脂溶性成分を容器内で混合する。混合物を液化させるために熱を加えてもよい。全ての水溶性成分を別の容器内で混合し、油相とほぼ同じ温度まで加熱する。油相及び水相を高剪断ミキサ(例えば、Turraxミキサ、IKA製)で混合する。シリコーンポリマーの粒径は、約0.01μm〜約5μm、あるいは0.05μm〜約1μm、あるいは約0.1μm〜約0.5μmの範囲である。所望の粒径を達成するために高エネルギー混合装置を用いてもよい。高エネルギー混合装置としては、Microfluidizer(Microfluidics Corp.製)、Sonolator(Sonic Corp.製)、Colloid mill(Sonic Corp.製)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
それぞれのシリコーンに対して選択される場合がある乳化剤は、乳化剤の親水性親油性バランス値(HLB値)が指針となり得る。HLB値の好適な範囲は6〜16、あるいは8〜14であってもよい。10超のHLBを有する乳化剤は、水溶性である。低いHLBを有する乳化剤は、脂溶性である。好適なHLB値を得るために、2つ以上の乳化剤の混合物を使用してもよい。好適な乳化剤としては、非イオン性、カチオン性、アニオン性、及び両性の乳化剤が挙げられる。
【0053】
エマルション中の乳化剤の濃度及びシリコーンポリマーの乳化は、所望の粒径及びエマルション安定性を達成するために十分でなければならず、一般的に、例えば、約0.1重量%〜約50重量%、約1重量%〜約30重量%、約2重量%〜約20重量%の範囲であり得る。
【0054】
シリコーンの予備乳化された分散液の所望による使用は、(i)エマルション中のシリコーンの小さい粒径がより均一な付着をもたらし、かつ島状のまだらな付着を低減する、(ii)より均一な付着は、毛髪/皮膚の表面に滑らかさを提供し、櫛ですくのをより容易にし、かつ毛髪のボリュームを向上するためにより好ましい、といった複数の利点を提示する場合がある。
【0055】
B.高分子増粘剤
一実施形態では、ヘアコンディショニング組成物は、より良好な感触、使用時の特性、及び組成物の懸濁安定性のために組成物のレオロジー特性を調節するレオロジー変性剤を含む場合がある。例えば、保管及び輸送中に組成物が均一な状態を保つように、及び使用時に身体、衣服、又は家具の他の領域上に不要に垂れないように、レオロジー特性を調節し得る。任意の好適なレオロジー変性剤を使用してもよい。一実施形態では、ヘアコンディショニング組成物は、約0.01%〜約3%、あるいは約0.1%〜約1%のレオロジー変性剤を含む場合がある。
【0056】
一実施形態では、レオロジー変性剤は、ポリアクリルアミド増粘剤、カチオン修飾多糖類、又は会合性増粘剤であってもよい。会合性増粘剤は、レオロジー変性剤の重要な区分である。これには、例えば、疎水的に改質されたセルロース誘導体;疎水的に改質されたアルコキシル化ウレタンポリマー(PEG−150/デシルアルコール/SMDIコポリマー、PEG−150/ステアリルアルコール/SMDIコポリマー、ポリウレタン−39などの);疎水的に改質されたアルカリ膨潤性エマルション、(疎水的に改質されたポリポリアクリレート、疎水的に改質されたポリアクリル酸、及び疎水的に改質されたポリアクリルアミドなどの);疎水的に改質されたポリエーテルなどの様々な材料区分が含まれる。材料の区分には数多くの構成要素が含まれる。典型的には、これらの物質は、セチル、ステアリル、オレオイル、及びこれらの組み合わせから選択することができる疎水性物質、並びに10〜300、あるいは30〜200、あるいは40〜150の繰り返し単位を有する繰り返しエチレンオキシド基の親水性部分を有する。この区分の例としては、PEG−120−メチルグルコースジオレエート、PEG−(40又は60)ソルビタンテトラオレエート、PEG−150ペンタエリトリチルテトラステアレート、PEG−55プロピレングリコールオレエート、PEG−150ジステアレートが挙げられる。
【0057】
レオロジー変性剤の非限定的な例としては、アクリルアミド/アンモニウムアクリレートコポリマー(及び)ポリイソブテン(及び)ポリソルベート20;アクリルアミド/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80;アクリレートコポリマー;アクリレート/ベヘネス−25メタクリレートコポリマー;アクリレート/C10〜C30アルキルアクリレートクロスポリマー;アクリレート/ステアレス−20イタコネートコポリマー;アンモニウムポリアクリレート/イソヘキサデカン/PEG−40ヒマシ油;C12〜16アルキルPEG−2ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルエチルセルロース(HM−EHEC);カルボマー;架橋ポリビニルピロリドン(PVP);ジベンジリデンソルビトール;ヒドロキシエチルエチルセルロース(EHEC);ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);ヒドロキシプロピルセルロース(HPC);メチルセルロース(MC);メチルヒドロキシエチルセルロース(MEHEC);PEG−150/デシルアルコール/SMDIコポリマー;PEG−150/ステアリルアルコール/SMDIコポリマー;ポリアクリルアミド/C13〜14イソパラフィン/ラウレス−7;ポリアクリレート13/ポリイソブテン/ポリソルベート20;ポリアクリレートクロスポリマー−6;ポリアミド−3;ポリクオタニウム−37(及び)水素添加ポリデセン(及び)トリデセス−6;ポリウレタン−39;アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウレート/ジメチルアクリルアミド;クロスポリマー(及び)イソヘキサデカン(及び)ポリソルベート60;ポリアクリル酸ナトリウムが挙げられる。市販のレオロジー変性剤の例としては、ACULYN(商標)28、Klucel M CS、Klucel H CS、Klucel G CS、SYLVACLEAR AF1900V、SYLVACLEAR PA1200V、Benecel E10M、Benecel K35M、Optasense RMC70、ACULYN(商標)33、ACULYN(商標)46、ACULYN(商標)22、ACULYN(商標)44、Carbopol Ultrez 20、Carbopol Ultrez 21、Carbopol Ultrez 10、Carbopol 1342、Sepigel(商標)305、Simulgel(商標)600、Sepimax Zen、及び/又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0058】
C.担体
ヘアコンディショニング組成物は、典型的には、約20重量%〜約99重量%、及び/又は約60重量%〜約85重量%の濃度で存在する場合がある担体を含む。担体は、水、有機溶媒(水と混和性又は比混和性)、シリコーン溶媒、及び/又はこれらの混合物を含み得る。溶媒は、皮膚科学的に許容可能でなくてはならない。担体は、約2重量%、約1重量%、約0.5重量%、約0.2重量%、約0.1重量%、及び/又は約0.05重量%超の不揮発性溶媒を含まない場合がある。著しくより高い濃度の不揮発性担体は、毛髪の重みによる押し下げ及び脂ぎった毛髪の感触を高める。一実施形態では、担体は、他の構成要素の微量成分として組成物中に別の方法で付随して組み込まれる場合を除き、最小限の有機溶媒を有するか、又は有意の濃度の有機溶媒を有しない水を含んでもよい。水、250℃以下の沸点を有する有機溶媒及びシリコーン溶媒は、揮発性溶媒である。250℃を超える沸点を有する溶媒は、不揮発性と考えられる。
【0059】
ヘアコンディショニング組成物の実施形態において有用な担体としては、水、並びに低級アルキルアルコール及び多価アルコールの水溶液が挙げられる。本明細書で有用な低級アルキルアルコールは、1〜6個の炭素を有する一価アルコール、一態様では、エタノール及びイソプロパノールである。本明細書で有用な例示的な多価アルコールとしては、グリコール類、グリセリン、及び他のジオール類が挙げられる。
【0060】
D.追加成分
本発明の組成物は他の追加的な成分を含んでもよく、これらは最終的な製品の所望の特性によって当業者により選択されてもよく、これらは組成物をより美容的又は審美的に許容可能なものにするため、又は付加的な使用の効果を組成物に提供するために好適なものである。このようなその他の追加成分は、一般的に、組成物の約0.001重量%〜約10重量%、あるいは最大約5重量%の濃度で個々に使用される。
【0061】
多種多様な他の追加成分を本組成物に配合することができる。これらとしては、Hormelから入手可能な商標名Peptein 2000の加水分解コラーゲン、ビタミンA、D、B1、B2、B6、B12、C、ビオチン、Eisaiから入手可能な商標名Emix−dのビタミンE、Rocheから入手可能なパンテノール、パントテン酸、Rocheから入手可能なパンテニルエチルエーテル、及びこれらの誘導体等の水溶性及び非水溶性ビタミン等の他のコンディショニング剤;加水分解ケラチン、タンパク質、植物抽出物、及び栄養素;Goldschmidtから入手可能な商標名Varonic APMのPPG−3ミリスチルエーテル、トリメチルペンタノールヒドロキシエチルエーテル、Goldschmidtから入手可能な商標名Varonic APSのPPG−11ステアリルエーテル、Goldschmidtから入手可能な商標名Tegosoft SHのステアリルヘプタノエート、Goldschmidtから入手可能なLactil(乳酸ナトリウム、PCAナトリウム、グリシン、フルクトース、尿素、ナイアシンアミド、グルコサミン、イノシトール、安息香酸ナトリウム、及び乳酸の混合物)、乳酸ナトリウム、PCAナトリウム、グリシン、フルクトース、尿素、ナイアシンアミド、グルコサミン、イノシトール、安息香酸ナトリウム、乳酸、Nishin Seiyuから入手可能な商標名Saracos、及びGoldschmidtから入手可能な商標名Tegosoft OPのエチルヘキシルパルミテート等の皮膚軟化剤;両性固定ポリマー、カチオン性固定ポリマー、アニオン性固定ポリマー、非イオン性固定ポリマー、及びシリコーングラフトコポリマー等の毛髪固定ポリマー;ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン及びイミダゾリジニル尿素等の防腐剤;クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のpH調整剤;一般に、酢酸カリウム及び塩化ナトリウム等の塩;任意のFD&C又はD&C染料、酸化染料及び干渉顔料等の着色剤;過酸化水素、過ホウ酸塩及び過硫酸塩、炭酸塩等の毛髪酸化(漂白)剤;チオグリコール酸塩等の毛髪還元剤;香料;並びに、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム等の金属イオン封鎖剤;サリチル酸オクチル等の紫外線及び赤外線遮断及び吸収剤;抗菌剤;懸濁化剤;粘度調整剤;不揮発性溶媒又は希釈剤(水溶性及び不溶性)、真珠光沢助剤、起泡増進剤、追加の界面活性剤又は非イオン性補助界面活性剤、殺シラミ剤、キレート剤、皮膚活性剤、日焼け止め剤、UV吸収剤、並びに、アスパラギン、アラニン、インドール、グルタミン酸、チロシン、トリプタミン、及びこれらの塩等の水溶性及び不溶性アミノ酸;並びに、ジンクピリチオン、ピリジンチオン塩、アゾール、クリンバゾール、オクトピロックス、サリチル酸、硫化セレン、粒子状イオウ、これらの混合物等の抗ふけ剤が挙げられる。
【0062】
1.シリコーン
本発明の組成物は、第四級基を含有するシリコーンポリマーに加えて、シリコーン化合物を更に含む場合がある。シリコーン化合物は、組成物の重量の約0.1重量%〜約10重量%、別の方法としては約0.25重量%〜約8重量%、更に別の方法としては約0.5重量%〜約3重量%の量で含まれてもよい。
【0063】
本明細書のシリコーン化合物は、揮発性可溶性若しくは不溶性、又は不揮発性可溶性若しくは不溶性のシリコーンコンディショニング剤を含むことができる。可溶性とは、シリコーン化合物が組成物の担体と、同一相の一部を形成するように、混和性であることを意味する。不溶性とは、シリコーンの液滴の乳濁液又は懸濁液の形態などの担体から分離した不連続相を、シリコーンが形成することを意味する。本明細書のシリコーン化合物は、従来の重合、又は乳化重合によって調製されてもよい。
【0064】
本明細書で使用するためのシリコーン化合物は、25℃において、別の方法としては約1,000〜約2,000,000mm2/s(約1,000〜約2,000,000センチストークス)、別の方法としては約10,000〜約1,800,000mm2/s(約10,000〜約1,800,000センチストークス)、及び別の方法としては約25,000〜約1,500,000mm2/s(約25,000〜約1,500,000センチストークス)の粘度を有することになる。この粘度は、Dow Corning Corporate試験法CTM0004(1970年7月20日)に説明されるガラスキャピラリー粘度計の手段によって測定することができ、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。高分子量のシリコーン化合物は、乳化重合によって調製されてもよい。
【0065】
本明細書で有用なシリコーン化合物としては、ポリアルキルポリアリールシロキサン、ポリアルキレンオキシド変性シロキサン、シリコーン樹脂、アミノ置換シロキサン、及びこれらの混合物が挙げられる。あるいは、シリコーン化合物は、ポリアルキルポリアリールシロキサン、ポリアルキレンオキシド変性シロキサン、シリコーン樹脂、及びこれらの混合物からなる群から選択され、別の方法としては1つ以上のポリアルキルポリアリールシロキサンから選択される。
【0066】
本明細書で有用なポリアルキルポリアリールシロキサンとして、下記構造(XIV):
【0067】
【化3】
を有するものが挙げられ、式中、Rは、アルキル又はアリールであり、xは、約7〜約8,000の整数である。Aは、シリコーン鎖の末端を封鎖する基を表す。シロキサン鎖(R)上又はシロキサン鎖(A)の末端において置換されるアルキル基又はアリール基は、得られるシリコーンが室温で流体のままであり、分散性があり、毛髪に塗布されたときに刺激性がないだけでなく、毒性もその他の害もなく、組成物の他の構成成分と相溶性であり、通常の使用及び保管条件下で化学的に安定であり、毛髪に付着して毛髪をコンディショニングすることができる限り、任意の構造を有することができる。好適なA基としては、ヒドロキシ、メチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びアリールオキシが挙げられる。ケイ素原子上の2つのR基は、同一の基又は異なる基を表してもよい。あるいは、2つのR基は同一の基を表す。好適なR基としては、メチル、エチル、プロピル、フェニル、メチルフェニル及びフェニルメチルが挙げられる。好ましいシリコーン化合物は、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、及びポリメチルフェニルシロキサンである。ジメチコンとしても知られるポリジメチルシロキサンが特に好ましい。使用することができるポリアルキルシロキサンとしては、例えば、ポリジメチルシロキサンが挙げられる。これらのシリコーン化合物は、例えば、Momentive Performance MaterialsからElement 14(登録商標)シリーズで、及びDow CorningからDow Corning 200シリーズで入手可能である。例えば、Momentive Performance MaterialsからのSF 1550メチルフェニル流体、又はDow Corningからの556 Cosmetic Grade Fluidのポリメチルフェニルシロキサンが、本明細書で有用である。
【0068】
毛髪の光沢特性を高めるために、約1.46以上、特に約1.52以上の屈折率を有する高度にフェニル化されたポリエチルシリコーンなどの高度にアリール化されたシリコーン化合物も好ましい。これらの高屈折率シリコーン化合物を使用するとき、以下に記載するように、これらを展着剤(界面活性剤又はシリコーン樹脂などの)と混合して表面張力を低下させ、材料の膜形成能を高めなくてはならない。
【0069】
特に有用であり得る別のポリアルキルポリアリールシロキサンは、シリコーンガムである。本明細書で用いる場合、「シリコーンガム」という用語は、25℃において、1,000,000mm2/s(1,000,000センチストークス)以上の粘度を有するポリオルガノシロキサン材料を意味する。本明細書に記述されるシリコーンガムは、上に開示したシリコーン化合物と一部の重複を有することもできることが認められる。この重複は、これら材料のいずれにおいても限定を意図しない。シリコーンガムは、1979年5月1日に発行されたSpitzerらの米国特許第4,152,416号、及びNoll,Walter,Chemistry and Technology of Silicones,New York:Academic Press 1968などに、Petrarch及びその他によって記述されている。は、Momentive Performance Materialsのシリコーンゴム製品データシートSE 30、SE 33、SE 54、及びSE 76もシリコーンガムについて記述している。これらの記述された参考文献のすべては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。「シリコーンガム」は、典型的に、約200,000超、一般的に、約200,000〜約1,000,000の質量分子量を有することとなる。具体的な例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリ(ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン)コポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン・メチルビニルシロキサン)コポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0070】
本明細書で有用なポリアルキレンオキシド変性シロキサンとしては、例えば、ポリプロピレンオキシド変性及びポリエチレンオキシド変性ポリジメチルシロキサンが挙げられる。これらの材料は、ジメチコンコポリオールとしても知られる。
【0071】
高度に架橋されたポリマーシロキサン系であるシリコーン樹脂は、本明細書で有用である。架橋は、シリコーン樹脂の製造中に、三官能性シラン及び四官能性シランを、一官能性シラン若しくは二官能性シラン又は一官能性シラン及び二官能性シランの両方と共に組み込むことによって導入される。当該技術分野において十分に理解されるように、シリコーン樹脂をもたらすために要求される架橋の程度は、シリコーン樹脂に組み込まれる特定のシラン単位によって異なる。一般に、シリコーン材料が乾燥して剛性又は硬質膜になるように、十分なレベルの三官能性及び四官能性シロキサンモノマー単位(したがって、十分なレベルの架橋)を有するシリコーン材料は、シリコーン樹脂とみなされる。酸素原子とケイ素原子との比は、特定のシリコーン材料における架橋レベルを示す。一般的に、1個のケイ素原子につき少なくとも約1.1個の酸素原子を有するシリコーン材料が、本明細書のシリコーン樹脂である。あるいは、酸素原子:ケイ素原子の比は少なくとも約1.2:1.0である。シリコーン樹脂の製造に使用されるシランとしては、モノメチル−、ジメチル−、トリメチル−、モノフェニル−、ジフェニル−、メチルフェニル−、モノビニル−、及びメチルビニルクロロシラン、並びにテトラクロロシランが挙げられ、メチル置換シランが最も一般的に利用されている。好ましい樹脂は、Momentive Performance MaterialsよりSS4230及びSS4267として提供される。市販のシリコーン樹脂は、一般的に低粘度の揮発性又は不揮発性シリコーン流体中に、溶解した形態で供給される。本明細書で用いるシリコーン樹脂は、当業者にとって容易に明らかであるように、そのような溶解形態で、本組成物に供給され、本組成物に組み込まれなければならない。理論によって束縛されるものではないが、シリコーン樹脂は、他のシリコーン化合物の毛髪への付着を促進することができ、高い屈折率容量を有する毛髪の光沢度を高めることができると考えられる。
【0072】
他の有用なシリコーン樹脂は、CTFA名がポリメチルシルセスキオキサンである材料などのシリコーン樹脂粉末であり、Momentive Performance MaterialsからTospearl(商標)として市販されている。
【0073】
シリコーン樹脂を、当業者に「MDTQ」命名法として知られている簡便な命名法システムに従って好都合に識別することができる。このシステムでは、シリコーンは、シリコーンを構成する様々なシロキサンモノマー単位の存在によって記述される。簡潔に述べると、記号Mは一官能性単位(CH33SiO0.5を示し、Dは二官能性単位(CH32SiOを示し、Tは三官能性単位(CH3)SiO1.5を示し、Qは四官能性単位SiO2を示す。ダッシュ記号の付いた単位記号、例えば、M’、D’、T’、及びQ’は、メチル以外の置換基を表しており、出現の度に具体的に規定されなければならない。典型的な代替置換基は、ビニル、フェニル、アミノ、ヒドロキシル等の基を含む。様々な単位のモル比は、シリコーン内の単位のそれぞれの種類の総数、若しくはその平均を示す記号への下付き文字に関して、又は分子量と組み合わせて具体的に示された比に関して、のいずれかで、MDTQシステム下でのシリコーン材料の記述を完結する。シリコーン樹脂中のD、D’、M、及び/又はM’に対するT、Q、T’、及び/又はQ’の相対モル量が高いほど、架橋のレベルが高いことを示す。しかしながら、先に論じられたように、架橋の全体的なレベルは、酸素とケイ素との比によっても示すことができる。
【0074】
本明細書で用いる好ましいシリコーン樹脂は、MQ、MT、MTQ、MQ、及びMDTQ樹脂である。したがって、好ましいシリコーン置換基は、メチルである。MQ樹脂が特に好ましく、M:Q比は、約0.5:1.0〜約1.5:1.0であり、樹脂の平均分子量は、約1000〜約10,000である。
【0075】
本明細書で有用なアミノ置換シロキサンとしては、下記構造(XV):
【0076】
【化4】
によって表されるものが挙げられ、式中、Rは、CH3又はOHであり、x及びyは、分子量に依存する整数であり、平均分子量は、別の方法としては約5,000〜10,000であり、a及びbの両方が2〜8の整数を示す。このポリマーは、「アモジメチコン」としても知られる。
【0077】
好適なアミノ置換シロキサン流体としては、次式(XVI):
(R1a3-aSi−(−OSiG2n−(−OSiGb(R12-bm−O−SiG3-a(R1a (XVI)
によって表されるものが挙げられ、式中、Gは、水素、フェニル、OH、C1〜C8アルキルからなる群から選択され、別の方法としてはメチルであり、aは、0、又は1〜3の値を有する整数、別の方法としては1であり、bは、0、1、又は2、別の方法としては1であり、nは、0〜1,999の数であり、mは、0〜1,999の整数であり、nとmとの合計は、1〜2,000の数であり、aとmとの両方が0になることはなく、R1は、式Cq2qLの一価ラジカルであり、式中、qは、2〜8の整数であり、Lは、
−N(R2)CH2−CH2−N(R22
−N(R22
−N(R2)+3-、及び
−N(R2)CH2−CH2−NR2+-からなる群から選択され、
式中、R2は、水素、フェニル、ベンジル、飽和炭化水素ラジカルからなる群から選択され、別の方法としては1〜20個の炭素原子を含有するアルキルラジカルであり、A-は、ハロゲン化物イオンを示す。
【0078】
極めて好ましいアミノシリコーンは、式(XVI)に対応するものであり、式中、m=0であり、a=1であり、q=3であり、G=メチルであり、nは、別の方法としては約1500〜約1700、別の方法としては約1600であり、Lは、−N(CH32又は−NH2、別の方法としては−NH2である。別の極めて好ましいアミノシリコーンは、式(XVI)に対応するものであり、式中、m=0であり、a=1であり、q=3であり、G=メチルであり、nは、別の方法としては約400〜約600、別の方法としては約500であり、Lは、−N(CH32又は−NH2、別の方法としては−NH2である。シリコーン鎖の一端又は両端が、窒素含有基によって末端処理されているため、このような極めて好ましいアミノシリコーンを、末端アミノシリコーンと呼ぶことができる。
【0079】
式(XVI)に対応する特に好ましいアミノ置換シロキサンは、「トリメチルシリルアモジメチコン」として知られる、式(XVII)のポリマーである。
【0080】
【化5】
この式では、n及びmは、所望の化合物の分子量に依存して選択され、a及びbの両方は、2〜8の整数を示す。
【0081】
本発明の一実施形態では、シリコーン化合物は、シリコーンエマルションの形態で組成物中に含有され得る。本明細書のシリコーンエマルションは、少なくとも界面活性剤と、シリコーン化合物と、水とを含む、予備分散された安定なエマルションである場合がある。本明細書で有用な界面活性剤は、当業者に既知の任意のものである。内相粘度が高いシリコーンエマルションが好ましい。
【0082】
本発明の代替実施形態では、上で述べられたシリコーン系第四級アンモニウム化合物は、本明細書の項目A(表題:第四級基を含有するシリコーンポリマー)に記述されているシリコーンポリマーと組み合わされてもよい。
【0083】
2.ポリソルベート
本発明のヘアコンディショニング組成物は、レオロジー調節の観点からポリソルベートを含有してもよい。本明細書で有用な好ましいポリソルベートとしては、例えば、ポリソルベート−20、ポリソルベート−21、ポリソルベート−40、ポリソルベート−60、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリソルベート−20が極めて好ましい。
【0084】
ポリソルベートを、別の方法としては約0.01重量%〜約5重量%、別の方法としては約0.05重量%〜約2重量%の濃度で組成物中に含むことができる。
【0085】
3.ポリプロピレングリコール
本明細書で有用なポリプロピレングリコールは、約200g/モル〜約100,000g/モル、別の方法としては約1,000g/モル〜約60,000g/モルの重量平均分子量を有するものである。理論によって制限されるものではないが、本明細書のポリプロピレングリコールは、毛髪上に付着し、若しくは毛髪内に吸収されて保湿緩衝剤として作用し、かつ/又は、1つ以上の他の所望の毛髪コンディショニング効果を提供すると考えられる。
【0086】
本明細書で有用なポリプロピレングリコールは、重合度及び他の部分が付着しているか否かによって、水可溶性、水不溶性のいずれであってもよく、又は水中への制限された溶解度を有していてもよい。ポリプロピレングリコールの水中への所望の溶解度は、ヘアコンディショニング組成物の形態(例えば、リーブオン又はリンスオフ形態)に大いに依存する。例えば、リンスオフヘアコンディショニング組成物では、本明細書のポリプロピレングリコールは、約25℃において、約1g/水100g未満の水への溶解度、別の方法としては約0.5g/水100g未満の水への溶解度、そして別の方法としては約0.1g/水100g未満の水への溶解度を有することが好ましい。
【0087】
ポリプロピレングリコールは、組成物の重量の、別の方法としては約0.01重量%〜約10重量%、別の方法としては約0.05重量%〜約6重量%、更に別の方法としては約0.1重量%〜約3重量%の濃度で、本発明のヘアコンディショニング組成物中に含まれ得る。
【0088】
4.低融点油
本明細書で有用な低融点油は、約25℃未満の融点を有するものである。本明細書で有用な低融点油は、約10〜約40個の炭素原子を有する炭化水素;オレイルアルコールなどの、約10〜約30個の炭素原子を有する不飽和脂肪族アルコール;約10〜約30個の炭素原子を有する不飽和脂肪酸;脂肪酸誘導体;脂肪族アルコール誘導体;ペンタエリスリトールエステル油、トリメチロールエステル油、クエン酸エステル油、及びグリセリルエステル油などのエステル油;ポリα−オレフィン油;並びにこれらの混合物からなる群から選択される。α本明細書で好ましい低融点油は、ペンタエリスリトールエステル油、トリメチロールエステル油、クエン酸エステル油、及びグリセリルエステル油などのエステル油;ポリα−オレフィン油;並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0089】
本明細書で特に有用なペンタエリスリトールエステル油及びトリメチロールエステル油としては、ペンタエリスリトールテトライソステアレート、ペンタエリスリトールテトラオレエート、トリメチロールプロパントリイソステアレート、トリメチロールプロパントリオレエート、及びこれらの混合物が挙げられる。かかる化合物は、Kokyo Alcoholから商品名KAKPTI、KAKTTIとして、及びShin−nihon Rikaから商品名PTO、ENUJERUBU TP3SOとして入手可能である。
【0090】
本明細書で特に有用なクエン酸エステル油としては、Bernelから商標名CITMOL 316として入手可能なクエン酸トリイソセチル、Phoenixから商標名PELEMOL TISCとして入手可能なクエン酸トリイソステアリル、及びBernelから商標名CITMOL 320として入手可能なクエン酸トリオクチルドデシルが挙げられる。
【0091】
本明細書において特に有用なグリセリルエステル油としては、Taiyo Kagakuから商標名SUN ESPOL G−318として入手可能なトリイソステアリン、Croda Surfactants Ltd.から商標名CITHROL GTOとして入手可能なトリオレイン、Vevyから商標名EFADERMA−F、又はBrooksから商標名EFA−GLYCERIDESとして入手可能なトリリノレインが挙げられる。
【0092】
本明細書で特に有用なポリα−オレフィン油としては、Exxon Mobil Co.から入手可能な、数平均分子量約500の商標名PURESYN 6、数平均分子量約3000の商標名PURESYN 100、及び数平均分子量約6000の商標名PURESYN 300のポリデセンが挙げられる。
【0093】
5.カチオン性ポリマー
本明細書で有用なカチオン性ポリマーは、少なくとも約5,000、典型的には約10,000〜約1千万、あるいは約100,000〜約2百万の重量平均分子量を有するものである。
【0094】
好適なカチオン性ポリマーとしては、例えば、カチオン性アミン又は四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーと、水溶性スペーサーモノマー(アクリルアミド、メタクリルアミド、アルキル及びジアルキルアクリルアミド、アルキル及びジアルキルメタクリルアミド、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ビニルカプロラクトン、並びにビニルピロリドンなどの)とのコポリマーが挙げられる。他の好適なスペーサーモノマーとしては、ビニルエステル、ビニルアルコール(ポリビニルアセテートの加水分解によって作製される)、無水マレイン酸、プロピレングリコール及びエチレングリコールが挙げられる。本明細書で有用な他の好適なカチオン性ポリマーとしては、例えば、カチオン性セルロース、カチオン性デンプン、及びカチオン性グアーガムが挙げられる。
【0095】
6.ポリエチレングリコール
ポリエチレングリコールも追加的な構成成分として使用することができる。特に好ましい本明細書で有用なポリエチレングリコールは、nが約2,000の平均値を有するPEG−2M(PEG−2Mは、Union CarbideのPolyox WSR(登録商標)N−10として、及びPEG−2,000としても知られる);nが約5,000の平均値を有するPEG−5M(PEG−5Mは、両方ともUnion CarbideのPolyox WSR(登録商標)N−35及びPolyox WSR(登録商標)N−80、並びにPEG−5,000及びポリエチレングリコール300,000としても知られる);nが約7,000の平均値を有するPEG−7M(PEG−7Mは、Union CarbideのPolyox WSR(登録商標)N−750としても知られる);nが約9,000の平均値を有するPEG−9M(PEG−9Mは、Union CarbideのPolyox WSR(登録商標)N−3333としても知られる);並びに、nが約14,000の平均値を有するPEG−14M(PEG−14Mは、Union CarbideのPolyox WSR(登録商標)N−3000としても知られる)である。本明細書で用いるとき、「n」は、ポリマー中のエチレンオキシド単位の数を指す。
【0096】
使用方法
本発明のヘアコンディショニング組成物は、コンディショニング効果及びその他効果をもたらすために従来のやり方で用いられてもよい。このような使用方法は、使用される組成物の種類に依存するが、一般に、有効量の製品を毛髪又は頭皮に塗布することを伴い、その後、毛髪若しくは頭皮からすすいでもよく(ヘアリンスの場合)、又は毛髪若しくは頭皮に残したままにしてよい(ジェル、ローション、クリーム、及びスプレーの場合)。「有効量」は、乾燥コンディショニング効果をもたらすのに十分な量を意味する。一般に、約1g〜約50gが毛髪又は頭皮に塗布される。
【0097】
製品形態
本発明のヘアコンディショニング組成物は、リンスオフ製品又はリーブオン製品の形態とすることができ、不透明とすることができ、またクリーム、ジェル、エマルション、ムース、及びスプレーが挙げられるがこれらに限定されない、多種多様な製品形態で配合されてもよい。
【0098】
このヘアコンディショニング組成物は、所望により上記で規定した通り、少なくとも1種のポリオルガノシロキサン化合物及び/又は少なくとも1種のポリオルガノシロキサン組成物を含む、水性エマルションに関する場合がある。かかる水性エマルションは、エマルションの総重量に基づき、別の方法としては少なくとも30重量パーセント、別の方法としては少なくとも50重量パーセント、更に別の方法としては少なくとも80重量パーセントの水を含む。
【0099】
このヘアコンディショニング組成物は、リンスオフ製品及びリーブオン製品のために好適である場合がある。
【0100】
非限定的な実施例
以下の実施例及び表に示される組成物は、提供された開示の組成物の具体的な実施形態を例示したものであるが、これらに限定することを意図しない。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者はその他の修正を実行してもよい。
【0101】
以下の実施例に示された組成物は、従来の配合及び混合方法により調製され、その実施例が下記に記載される。特に指定しない限り、例示した全ての量は、重量パーセントで列記され、希釈剤、防腐剤、着色剤溶液、画像成分、植物等の微量物質は除外する。
【0102】
以下の例示的なシリコーン第四級ポリマーA〜Eは全て、以下の構造及び表1に列記した置換基を含む。
M−Y−[−(N+2−T−N+2)−Y−]m−[−(N+22−A−E−A’−N+22)−Y−]k−M
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
1 Tergitol 15−S−5、The Dow Chemical Companyから入手
2 Tergitol 15−S−12、The Dow Chemical Companyから入手
【0105】
【表3-1】
【0106】
【表3-2】
【0107】
「あるいは」、「通常」、「一般に」、「一般的に」及び「典型的に」等の用語は、本明細書では、特許請求される発明の範囲を限定するために、又は特定の特長が、特許請求される発明の構造若しくは機能にとって重大、必須、若しくは更には重要であることを示唆するように用いられていないことに更に注意されたい。むしろこれらの用語は、本発明の特定の実施形態の中で使用されてもよく又は使用されなくてもよい代替的又は追加的特長を強調することを単に意図している。
【0108】
本発明の記述及び定義の目的のために、「実質的に」という用語は、本明細書において、任意の定量的な比較、値、測定、又は他の表現に帰属される場合がある、不確定の固有度を表すために利用されることに更に注意されたい。「実質的に」という用語はまた、本明細書においては、定量的表現が、論争中の主題の基本的機能に変化をもたらすことなく、記載の基準から変動する場合がある程度を表すためにも利用される。
【0109】
本発明を詳細に記述し、及びその特定の実施形態への参照により、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲を逸脱することなく、修正及び変形が可能であることが明らかであろう。より具体的には、本発明の一部の態様は、本明細書において、好ましい又は特に有利であると特定されていても、本発明は、本発明のこれらの好ましい態様に必ずしも制限されないと考えられる。
【0110】
「発明を実施するための形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考により組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。本文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考により組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲については、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義を適用するものとする。