(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記入力画像を前記領域についての前記パラメータが最小値である領域に分割することによって前記第1の画像成分を生成し、前記最小値を用いることによって前記入力画像の連続平滑な低次の境界面を生成し、各最小値は前記最小値に関連した各領域についての最小値であるステップとをさらに含む請求項4に記載の方法。
前記入力画像データは三成分色画像データを含み、各色について前記第1の画像成分、前記第2の画像成分、及びフォールバックマップが生成される請求項1に記載の方法。
前記システム機能モジュールは、前記修正された第1の画像成分及び前記修正された第2の画像成分が表示される前に、該修正された第1の画像成分又は該修正された第2の画像成分のうちの少なくとも一方に、
ガンマ補正、又は
ワーピング
を適用するように構成された請求項14に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の特定の態様は、ハイブリッド画像投影方法およびマルチ・プロジェクタ・システムに関する。従来の重ね合わせマルチ・プロジェクタ・システムにおけるように高度に相関した同一の画像を各プロジェクタに送信する代わりに、いくつかの態様によるハイブリッド画像プロジェクタは、入力画像をより小さい(複数の)領域に分割して、各領域の少なくとも1つのパラメータを求め、その後、各領域のパラメータに基づいて入力画像を複数に分解し、より相関の少ない直交または擬似直交画像成分にすることができる。各プロジェクタは、投影される画像が画面上で光学的に重ね合わされることができるように、それぞれの画像成分を表示することができる。たとえ、直交または擬似直交画像の基礎となる特性が原画像と異なる場合があったとしても、直交または擬似直交画像が重ね合わされると、画像品質は、原画像が完全に重ね合わされた場合と実質的に同じであるか、または重ね合わされた原画像がマルチ・プロジェクタ・システムにおいてわずかに不整合である場合よりも良好であることができる。直交または擬似直交画像を重ね合わせることは、結果として、既存のマルチプロジェクタ画像システムにおける画像の重ね合わせを、プロジェクタ間画像不整合の影響をより受けにくくすることができる。直交または擬似直交画像の重ね合わせは、目に見える画像の劣化を回避し、マルチ・プロジェクタ・システム実施態様においてよりロバストな画像品質を提供するために使用することができる。
【0023】
より低い空間周波数で画像成分にワーピング処理を適用し、より高い空間周波数を有する画像成分をワーピングされていないままにすることによって、完全なプロジェクタ間アライメント状態の下でさえ、画像忠実度が向上する可能性が生じ得る。加えて、システム全体の画像強度分解能(各色のデジタル・ダイナミック・レンジと称することがある)は、プロジェクタの総数の分だけ増大することができる。画像強度分解能が増大することによって、色輪郭化アーチファクトとしても知られているカラー・バンディング・アーチファクトを低減することができる。カラー・バンディング・アーチファクトは、低い色または低い輝度分解能の結果として色および/または輝度の段階的な変化が目に見えるときに発生する可能性がある。バンディングアーチファクトは、コントラストが非常に高く輝度が高いプロジェクタが使用されるときに深刻であり得る。いくつかの態様によるシステムおよび方法は、画像品質性能特性が異なる(たとえば、空間分解能、または輝度ルーメン、またはコントラストが異なる)異種のプロジェクタを混合する柔軟性を提供することができる。立体デュアル・プロジェクタ・システムにおいて、ハイブリッド画像投影は、2Dおよび三次元(3D)表示に対する異なる光源出力レベルにおけるシステムの動作の照明制御を分離することもできる。ハイブリッド画像投影システムによって、2D表示のための最適な設定とは無関係に、3D表示に対する輝度需要をより良好に満たすために3D光源レベルを調整する柔軟性を実現することができる。2D表示について、ハイブリッド画像投影方法は、重ね合わせ画像が複数のプロジェクタによって表示され、重ね合わせ画像間に空間不整合があるときに表示される画像品質のロバスト性を向上させることができる。たとえば、特定の態様によるハイブリッド画像投影方法を使用するデュアル投影システムは、より良好な品質の画像を表示するか、または、少なくとも、重ね合わされた同じ画像のうちの2つを表示するデュアル投影システムと同じ画像品質を表示することができる。重ね合わせ画像を表示するハイブリッド画像投影方法およびシステムは、同じ画像を重ね合わせる従来の投影よりも劣る画像品質が生成されることを回避することができる。マルチ投影ディスプレイシステムにおいてハイブリッド画像投影方法を使用することは、画像品質の向上に対するリスクの低い解決策であり得る。ハイブリッド画像投影は、マルチ投影システムが、マルチ投影システムおよび単一投影システムの両方の欠点を回避しながら、その両方から利点を組み合わせることを可能にし得る。たとえば、ハイブリッド画像投影システムは重ね合わせ画像を生成することができ、ここで、画像鮮明度は単一のプロジェクタによって投影される画像のものと同様であるが、画像輝度を向上し、画像スクリーン・ドア・アーチファクトを低減することができる。
【0024】
これらの例示的な実施例は、読者に本明細書において説明する全般的な主題を紹介するために与えられており、いずれの特許請求項の範囲を限定することも意図されていない。以下の節は、図面を参照して様々なさらなる態様および例を説明する。
【0025】
図1は、一態様によるハイブリッド画像投影システムの方法のブロック図を示す。ハイブリッド画像投影システムは、2つ以上のプロジェクタを含む投影システムであってもよい。各プロジェクタは同じタイプとすることができ、または、各々を異なるタイプとすることができる。n個のプロジェクタを有するマルチプロジェクタ表示システムについて、n個のプロジェクタは1つの画像を表示して、画面上の最終画像に寄与することができる。n個の画像が画像輝度を上昇させるために重ね合わされ得る。従来のデュアルデジタル投影システムに於いて、各プロジェクタは同じタイプであり、同じ画像を表示し、それらの画像を正確に位置合わせするための較正プロセスを必要とする。較正プロセスは、最適な画像表示性能を維持するために定期的に反復される。投影システムが最適に較正された後、ワーピング動作において実行されるデジタル再サンプリングによって画面上に表示される最終画像において画像詳細の損失が導入される可能性がある。より多くのプロジェクタが使用される場合、画像詳細の損失は増大するおそれがある。いくつかの要因によって、重ね合わせ画像間の空間的アライメントが経時的に変化し得る。そのような要因は、熱変動および機械的振動を含み得る。いくつかの態様によるハイブリッド画像投影方法は、プロセッサによって、各プロジェクタが重ね合わせ画像のために表示し得る異なるセットの(複数の)画像成分を計算することによって、画像品質に対する変化の影響を低減するのを助けることができる。
【0026】
重ね合わされている2つの画像が高度に類似しており、空間領域または周波数領域において相関した画像情報を有する場合、それらの非直交性に起因して表示は高度に非ゼロであり、重なり得、結果としてある画像空間から別の画像空間に対して情報成分に大きな重なりがあり得る。空間的アライメントからのわずかなシフトによって、表示される最終重ね合わせ画像内に大きな空間歪みおよびスプリアス周波数成分が生じる場合がある。空間歪みにつながるこの情報の重なりは、フーリエ変換の定理から説明することができる。
【0027】
線形システムにおいて、2つの画像が空間領域において重ね合わされる場合、画像は周波数領域においても重ね合わされる。フーリエ変換定理は、空間領域におけるシフトが、位相シフト倍数項を周波数領域における信号のフーリエ変換に変換することができることを示し得る。これによって、2つの信号がそれらのフーリエ変換変換において大きく重なり合う場合に最終重ね合わせ画像(すなわち、画像)をさらに歪ませる可能性がある。システムが、このシフトの影響を受けないか、または実質的に影響を受けないようにするために、2つの信号の周波数の重なりを最小限に抑えることができる。たとえば、2つの信号(すなわち、画像成分)が互いに直交する場合、空間レジストレーション精度の最終重ね合わせ信号への影響は最小限であることができる。2つの信号が擬似直交する場合、空間的な相対シフトに対する影響されやすさを低減することができる。
【0028】
2つの信号が正規化されており、2つの画像信号の空間2D畳み込み(数学的には内積またはスカラー積とも称される)が一定または0に近い場合、これらの2つの画像信号は相互に直交または擬似直交すると言うことができる。直交関係は、2つのフーリエ変換の乗算が、周波数ゼロを除くあらゆるところでゼロであるデルタ関数に近い場合にも表すことができる。2つの直交または擬似直交画像は、通常、空間領域においてより低い類似度、周波数領域においてより互いに素である度合いが低いことを示し得る。
【0029】
2つの画像がfおよびgであり、各画像のフーリエ変換がそれぞれFおよびGであると仮定する。直交性測度は
【数1】
またはF・G=cδ(ω)であり得る。画像データはコンピュータによって生成するか、またはカメラ内にあるような画像センサを用いてキャプチャすることができる。コンピュータによって生成される画像データは、いくつかの態様によるハイブリッド画像投影方法が適用されるときに、理想的な直交画像成分が表示されるように計算されることができるように生成されることができる。状況によっては、画像データは、理想的な直交画像成分を生成することが可能であるようなものではなく、
【数2】
または
【数3】
を有することによって擬似直交画像成分を生成することが可能である場合がある。一対の擬似直交画像を重ね合わせることについて、画像品質の、空間シフトに対する影響されやすさを大きく低減することができる。直交性の測度を、2つの信号のうちの1つが0〜1の範囲内に適切に正規化されていない例外的事例に適用することができる。この事例において、上記の直交性測度を依然としてシフトに対する影響されにくさを評価するために使用することができる。
【0030】
たとえば、1つの画像Fは低周波数情報のみを含み(すなわち、閾値周波数ω
Tを上回る情報を一切有しない)、ω
Tを下回る情報を一切有しないように高周波数情報のみを含む別の理想的な画像Gがある。2つの画像のスカラー積F・G=0であるため、FおよびGは直交画像である。2つの重ね合わせ直交画像間の空間的な相対シフトが有する最終表示画像品質への影響は最小限であることができる。F・Gが小さい(それゆえ、擬似直交する)限り、低周波数画像および高周波数画像は重ね合わせにおける小さいレジストレーション誤差の影響を受けにくいものであり得る。しかしながら、一方がω
Tを上回る高周波成分のみを有し、他方がω
Tを下回る低周波成分のみを有する2つの画像成分を得ることは困難であり得る。
【0031】
別の例において、閾値周波数ω
Tを下回る画像情報は低周波数情報と称され、ω
Tを上回る画像情報は高周波数情報と称される。Fは上側閾値周波数と下側閾値周波数との間の中間の周波数成分(ω
T1〜ω
T2)のみを含む帯域通過画像であり、ω
Tはω
T1とω
T2との間にあり、別の画像Gは、下側周波数閾値ω
T1を下回る周波数および上側周波数閾値ω
T2を上回る高周波数を含む、画像Fによってカバーされている周波数の外側の周波数を含む。この事例において、FおよびGの両方が低周波数情報の一定の部分および高周波数情報の一定の部分を含む。閾値周波数ω
T1およびω
T2を調整することによって、FおよびGは低周波エネルギーおよび高周波エネルギーの任意の組み合わせを有することができる。FまたはGのいずれも、大幅に低い周波数情報または大幅に高い周波数情報を有することはできない。この例示的な画像信号対によって、F・Gも小さいため、2つの重ね合わせ画像成分間のアライメント誤差に対する影響の受けやすさは擬似直交性に起因して低くなることができる。
【0032】
別の例において、画像Fは正規画像であり、画像Gは正規化されてはいないが、大きさが非常に小さい。F・Gが小さいため、2つの重ね合わせ画像成分間のアライメント誤差に対する影響の受けやすさを低減することができる。
【0033】
別の例において、2つの画像FおよびGは両方とも、低周波数情報のみを含む(すなわち、画像は同じまたは異なる閾値周波数を上回る情報を一切有しない)。閾値周波数がどの程度低いかに応じて、F・Gは、デルタ関数と同様にゼロに非常に近い周波数を除いて小さいものであり得る。この擬似直交性のために、2つの重ね合わせ画像成分間のアライメント誤差に対する影響の受けやすさを低くすることができる。
【0034】
別の例において、2つの画像FおよびGは両方とも、一定量の低い周波数情報のみを含む(すなわち、画像は、同じか、または異なる閾値周波数を下回る情報を有する)。一方の画像は高周波数情報をも有する。この事例において、F・Gは、デルタ関数などのゼロに非常に近い周波数を除いて小さいものであり得る。この擬似直交性のために、これら2つの重ね合わせ画像成分間のアライメント誤差に対する影響の受けやすさを低くすることができる。
【0035】
別の例において、2つの画像FおよびGは両方とも高周波数情報のみを含む(すなわち、画像は同じまたは異なる閾値周波数を下回る情報を一切有しない)。閾値周波数がどの程度低いかに応じて、F・Gは、低周波数近くでは小さいものであり得、より高い周波数においては大きいものであり得る。画像は互いに対する直交性が低くなり得、また、2つの重ね合わせ画像成分間のアライメント誤差に対する影響の受けやすさが高くなり得る。
【0036】
別の例において、一方の画像Fは低〜高に及ぶ正規周波数情報を含み、もう一方の画像Gは正規化白色雑音画像である(すなわち、Gは一定である)。F・GはFに比例することができ、デルタ関数に近くはなり得ない。画像は互いに対する直交性が低くなり、それによって、2つの重ね合わせ画像成分間のアライメント誤差に対する影響の受けやすさも高くなり得る。
【0037】
いくつかの態様によるハイブリッド画像プロジェクタにおいて、プロセッサは入力画像を分解して、n−プロジェクタ投影システムのためのn個の擬似直交画像信号にすることができる。n個の信号は、互いに対してほぼ直交することができ、それによって、重ね合わせ擬似直交画像間の空間アライメントのわずかなシフトでは、知覚画像品質には大きな劣化が引き起こされ得ない。その結果生じる、重ね合わせ画像から成る画像は、デュアル投影システムによって重ね合わされた2つの原画像以上の画像品質のものになることができ、その結果生じる画像は単一のプロジェクタから表示される原画像よりも明るくなることができる。ハイブリッドプロジェクタにおいて使用される画像分解アルゴリズムは、数学的に正確で、結果として画像成分値を非負にして、各ディスプレイまたはプロジェクタの輝度範囲能力内にする制限を提供することができる。
【0038】
図1において、2D表示のための原入力画像データ(105)が画像再生サーバから、いくつかの態様によるハイブリッド画像投影方法を実施することができるマルチプロジェクタ表示システムに送信される。入力画像はガンマ補正され得、ガンマ補正空間とみなすことができる。ガンマ補正画像は、後続のステップおよびアルゴリズムのためにガンマ復号して線形色空間とする(107)ことができる。画像データが線形空間に変換された後、画像分析アルゴリズムが使用されて、画像ローカル内容(110)に基づいて画像がどのように分割されて複数の画像領域になることができるかを決定することができる。画像領域は同じサイズであるか、または異なるサイズであることができる。たとえば、一態様において、3×3画像ピクセルの正方形領域が使用されて、画像を分割して(複数の)ブロックから成る規則的な格子にすることができ、結果として各画像領域は同じサイズを有することになる。別の態様において、領域分解アルゴリズムが使用されて、画像を分割して、四分木構造などの(複数の)ブロックから成る不規則な格子にすることができ、より小さい領域はテクスチャの多い画像領域内に現れ得、疎なより大きい領域は相対的に平滑な画像領域内に現れ得る。画像領域ベースの処理は、画像分解フィルタのパラメータをローカル画像内容に適合するように調整するのに役立つことができる。たとえば、空間ローパスフィルタが画像分解アルゴリズムにおいて使用される場合、このローパスフィルタのカットオフ周波数は、ローカル画像内容周波数分布に比例することができ、結果として、最適にバランスが保たれたローカル周波数分離がもたらされ、これは、アーチファクトに関する異常ピクセルを低減するのに有用であり得る。異常ピクセルは、他の画像ピクセルと比較して大幅に異なる値を有するピクセルであり得る。より小さい領域は、ローカルな高周波特徴部がより良好に追随されることを可能にすることができ、一方で、より大きな領域は、疎な特徴部および相対的に平滑な領域に適切であり得る。画像内容に基づいて画像を分割して(複数)の領域にすることによって、画像分解アルゴリズムに関するローカル画像内容に最適に適合することが可能になり(115)、信号が分解されて相関が最小限でバランスのとれた画像成分、すなわちいわゆる擬似直交成分にされ得る。領域ベースの画像擬似直交成分分解は、可能性のあるフォールバックピクセルの数を低減し、全体的な画像品質を向上させるのに役立つことができる。フォールバックピクセルは、高周波数画像情報を含み、画像成分のうちの1つと想定されるが、正規化最大閾値(表示デバイスの制約)を超える値を有するピクセルであり得る。フォールバックピクセルに関して、最大閾値を超える値の量は、最大閾値に対して飽和していない他の画像成分にフォールバックすることができる。フォールバックピクセルは、不整合下では投影された画像成分におけるアーチファクト源になる可能性があり、プロジェクタの輝度、色およびピクセルサイズが均一でない場合には色アーチファクト源になり得る。フォールバックピクセルであると識別されたピクセルは、修正して、表示される重ね合わせ画像内にピクセルアーチファクトが現れるのを防止することができる。
【0039】
ブロック(115)は画像分解に有用であり得る。画像分解は、各プロジェクタによって表示することができる複数の擬似直交画像成分への適応的画像分解を含むことができる。前述のように、擬似直交画像成分のセットを構築するためのいくつかの方法および様式があり得る。一態様において、修正経験的モード画像分解(MEMD)方法を使用することができる。しかしながら、擬似直交性分解を達成するための多数の他の方法を適用することもできる。
【0040】
nプロジェクタシステムにおいて、MEMD画像分解の後、第1の画像成分L
0は、低周波数帯域および高周波数フォールバックピクセルの組み合わせを有する入力画像情報を含むことができる。異なる(複数の)周波数帯域における異なる(複数の)レベルの詳細情報を含む他の画像成分を、L
1、L
2、〜H
n−1として識別することができる。一態様による他の画像成分および画像成分の階層の識別を、下記において
図2を参照してより詳細に説明する。各画像成分は、画像領域内の入力画像に適用されるローカル適応的フィルタリングプロセスの結果生じる異なる空間周波数成分を含むことができる。画像分解アルゴリズムの1つの方法を、下記において
図3を参照して詳細に説明する。
【0041】
入力画像が分解されて複数の別個の分解画像成分になった後、各々が、画面上に表示するために、別個の追加の画像処理経路を介して、別個のプロジェクタ(130、135、137)に提供されることができる。追加の画像処理経路(120、125、127および140、145、147ならびに130、135、137)は、別個の分解画像成分を同様にして処理することができる。分解画像成分の各々は、最初に、ハイブリッド画像プロジェクタシステム全体の輝度ダイナミックレンジ表現能力または色分解能を向上させるために、各画像領域内でブロック(120、125、127)において高ダイナミックレンジ(HDR)丸め関数Rによって処理されることができる。HDR丸め関数後の分解画像成分を、プロジェクタ間レジストレーションのためにピクセルベースのワーピングプロセスによって、また、表示のためにガンマ補正を用いて修正することができる。各メンバプロジェクタは、ブロック130、135および137において処理および補正された各画像成分を受信および表示することができる。ブロック180は、画像成分が画面上に投影され、光学的に重ね合わされるときに、その結果得られる改善された画像を表す。
【0042】
一態様において、ブロック107、110、115、120、125および127は画像処理デバイスまたはイメージ・エンハンサ・ハードウェアにおいて実装することができる。ブロック130、135、137は、その結果生じる画像(180)を生成するために画面上に画像を表示するための、各プロジェクタ内部の画像処理を表す。
【0043】
図2は、一態様による、
図1のブロック115の画像分解プロセスのマルチレベル構造および階層を示す。画像分解コアアルゴリズムは、MEMD分解アルゴリズムであり得る。MEMD分解アルゴリズムは、画像を複数のレベルに分解することができる。各レベルの分解は、入力画像(固有モード関数(IMF)とも称される)を分解して、一方は現在のレベルの最小モード画像、および、他方は次のレベルのIMF画像である、2つの画像成分にすることができる。投影システムの用途のために、受信入力画像データ(205)は線形空間内にあることができる。デュアル・プロジェクタ・システムのためには、1レベルのMEMD分解が必要とされる(210)。kが分解レベルを表すと仮定し、ここではk=0である。第1の画像成分はL
0(214)であり、第2の画像成分はH
0(215)である。3つ以上のプロジェクタを有するプロジェクタシステムのために、MEMDは次のレベルk=1の分解(220)へと継続して、次のレベルの第1の画像成分L
1(224)および第2のレベルの第2の画像成分H
1(225)を生成することができる。このレベルのMEMDにおいて、前のレベルの第2の画像成分H
0が現在のレベルのIMFになる。レベルk=1において、画像成分L
0(214)、L
1(224)および画像成分H
1(225)の3つの分解画像成分が出力される。2レベルのMEMDは、3プロジェクタハイブリッド画像投影システムに使用することができる。4つ以上のプロジェクタが使用される場合、新たな画像成分(230)を生成するために3レベル以上のMEMDが使用され得る。レベルk=2において、各プロジェクタについて画像成分が生成されるまで、画像成分H
1が、次のレベル(レベルk=3)の分解の新たなIMFになることができる。n−プロジェクタハイブリッド投影システムについて、(n−1)レベルのMEMD画像分解を使用して、L
0(214)、L
1(224)、L2、...L
n−1(234)およびH
n−1(235)のn個の分解画像を生成することができる。複数レベルのMEMDによって、二分木状の分解階層を形成することができ、各中間レベルが、出力されるノード画像であり得る最後のレベルのIMF詳細画像H
kを除く、出力ノード画像L
kを生成する。
【0044】
図3は、n−プロジェクタシステムに関して修正経験的モード画像分解(MEMD)を使用したハイブリッド画像投影の画像処理ステップを示す。再生サーバからの入力画像データがガンマ補正空間内にあり、最初にMEMDは第1のレベルk=0にある(305)と仮定すると、画像は最初にガンマ復号されて線形空間画像Xに変換されることができる(307)。
【0045】
画像データが線形空間に変換された後、各領域内の画像が分解されて、現在のレベルkにおける2つの画像成分になることができる。線形空間画像がXであり、2つの画像成分がそれぞれLおよびHであり、最終重ね合わせ画像が2Xであると仮定して、所望される画像分解方法は以下を満たすことができる。
1)直交性または擬似直交性:成分のフーリエ変換がF(L)・F(H)=δ(ω)を満たす、
2)原画像に対する画像忠実度および完全性:任意の画像ピクセル位置pについて、L
(p)+H
(p)=2X
(p)、
3)非負制約:L(p),H(p)≧0、
4)輝度実用限界:L(p)、H(p)≦1、
5)ローカル適合性:復号は光学的にローカル画像特性に適合する、かつ
6)輝度バランス制御:mean(L)=α・mean(H)、ここで、「mean()」は画像成分の平均輝度を表し、αは既定の、0よりも大きい所望される比である。
【0046】
一態様において、ハイブリッド投影システムは、画像を分解して2つの画像成分(LおよびH)にするための空間領域MEMD分解方法を使用することができる。いくつかの実施態様において、以下のステップを使用することができる。
1)所与の入力2D画像Xについて、これを空間領域に分割するための最適な方法を決定する。
2)各既定の空間領域内で、入力画像Xの極小値およびその位置を求める。
3)バランス係数bを求めて、各極小値にbを乗算することによって、各極小値を修正する。
4)修正極小値を補間して、重ね合わせ画像2Xの値が第1の画像成分Lの値よりも小さくならない(すなわち、L=min(L,2X))ような、第1の画像成分Lとしての低周波数表面にする。
5)重ね合わせ画像2Xの値から画像成分Lの値を減算して、第2の画像成分Hを得る(すなわち、H=2X−L)。F(L)F(H)<F(X)
2であるため、当該成分は画像成分Lに擬似直交し得、ここで「F()」はフーリエ変換演算を表す。
6)画像成分HがTよりも大きく(TはXの可能な最大値)、画像成分H内の過剰値が画像成分Lの値にフォールバックするとき(すなわち、L=L+max(H−T,0)であるとき)の成分値を検出する。画像成分HがTよりも大きい状況はまれであり得る。
【0047】
以下の説明は、MEMD分解を用いる上記のハイブリッド投影に基づく。既定の関数を使用する画像分析アルゴリズムが使用されて、画像ローカル内容に基づいて画像がどのように最適に分割されて複数の画像領域になることができるかを決定することができる(310)。画像領域は同じサイズであるか、または異なるサイズであることができる。たとえば、一態様において、正方形3×3ピクセル領域が使用されて、画像を分割して(複数の)ブロックから成る規則的な格子にすることができ、その結果得られる各ブロック画像領域は正確に同じサイズを有することになる。別の態様において、四分木構造状領域分解アルゴリズムが使用されて、画像を分割して、(複数の)ブロックから成る不規則な格子にすることができ、いくつかのより小さい領域はテクスチャの多い画像領域内に現れ得、より大きい領域は相対的に平滑な画像領域内に現れ得る。
【0048】
画像領域が求められた後、領域ごとに少なくとも1つのパラメータ、たとえば、2D極小値およびそれらの極小値の位置を、各領域またはブロック領域内で識別することができる(315)。画像が色画像である場合、極小値は、色画像内に含まれている色成分(たとえば、RGB、XYZ)ごとに求めることができる。極小値およびそれらの位置は、それらの画像ブロック領域内の最小値に等しい値として定義することができる。これらの値は、2D極小値と称される場合があり、それらの位置は極小値位置と称される場合がある。結果として、ブロック領域ごとの既知の極小値、およびブロック領域内の値位置を有する2D不規則メッシュ格子M
kがもたらされ得、ブロック領域内の他の位置は未定義の値を有する。このメッシュ格子は、入力2D画像Xの連続平滑な低次の境界面を生成するのに使用することができ、分解レベルkの第1の画像成分L
kの初期推定値とすることができる。
【0049】
ブロック320において、輝度バランス係数b
kを求めることができる。輝度バランス係数b
kは、各MEMDレベルkにおける2つの分解画像成分LおよびHの平均画像輝度のバランスを自動的に制御するのに使用することができる。各レベルのMEMDは、それ自体の独立した輝度バランス係数を有することができる。デュアル・プロジェクタ・システムの一態様において、2つの分解画像成分間の平均画像輝度は、互いに同じであるか、または非常に近いことができる。左側プロジェクタおよび右側プロジェクタの画像輝度のバランスをとることによって、左側プロジェクタと右側プロジェクタとの間の熱ドリフトを最小限に抑えることができ、これによって、画像レジストレーションまたはアライメントの誤差を最小限に抑えて、ワーピングがシステムが最後に較正されたときと同様に有効に機能することを可能にすることができる。実現し得る別の利点は、左側プロジェクタと右側プロジェクタとの間でバランスをとることによって、デュアルプロジェクタ設定におけるレジストレーション劣化を最小限に抑えることができることである。左側プロジェクタと右側プロジェクタとの間で熱ドリフトのバランスがとれていないと、結果として予測できない不整合劣化となり得る。分解レベルkの輝度バランス係数は、以下のように画像色iごとに計算することができる。
【数4】
M
k,iは前のブロック(315)において計算されたレベルkにおける画像チャネルiの2D極小値の不規則メッシュ格子である。X
k,iはレベルkにおける入力iチャネル画像値である。たとえば、b
ki=1は、LおよびH画像成分値の平均輝度が同じであることを意味する。τは、最終輝度バランス係数b
kiの既定の閾値または限界である。mean(X)が非常に小さい数であるとき、輝度バランス係数は大きくなり得、τの値に制限され得る。これは、可能性のある望ましくない輝度アーチファクトを最小限に抑えるのに有用であり得る。
【0050】
輝度バランス係数b
kが求められた後、2D極小値メッシュ格子M
kにb
kを乗算して、修正2D極小値メッシュ格子M
k’を得ることができる(すなわち、M
k’=b
k・M
k)(315)。ブロック315の出力データは、入力2D画像Xの連続平滑な低次の境界面を生成するのに使用することができ、これは、分解レベルkの第1の画像成分L
kとすることができる。
【0051】
ブロック325において、線形または非線形方法を使用することによって、M
k’からL
kへの補間を実行することができる。線形補間器および非線形補間器の例は後述するが、補間は、その例示的なアルゴリズムには限定されず、いかなる線形および非線形散乱データ補間アルゴリズムを使用することもできる。
【0052】
一態様において、高速線形補間器を使用して、修正2D極小値メッシュ格子M
k’を平滑面L
kに平滑に補間することができる。この補間器は、線形三角補間器である。M
k’内のすべての非極小の値が未定義のピクセルについて、最も近い3つの既知の隣接ピクセルP
1、P
2およびP
3が求められる。3つの隣接ピクセルP
1、P
2およびP
3は三角形を形成することができる。未知のピクセルvおよびその隣接ピクセルは、以下のようになる値および座標v(x,y)、v
1(x
1,y
1)、v
2(x
2,y
2)およびv
3(x
3,y
3)を有する。
【数5】
上記の線形システムを解いて値vを求めることができ、a、b、cは変数である。
【0053】
別の態様において、Clough−Tocher法(すなわち、Isaac Amidror著「Scattered data interpolation methods for electronic imaging systems:a survey」(Journal of Electronic Imaging,April 2002)において説明されているようなキュービック三角補間器)を使用することができる。補間しているピクセルのまわりの同じ三角隣接ピクセルを求めることができ、元の三角形P
1、P
2およびP
3をさらに区分化して小型ベジエパッチにすることができる。v
l、v
2、v
3はそれぞれ、P
1、P
2およびP
3の3つの頂点の3つの値であることができる。b
3,0,0、b
0,3,0、b
0,0,3はP
1、P
2およびP
3の重心座標であることができる。b
1,1,1は補間ピクセルの重心座標であることができる。b
l,2,0、b
2,l,0は、三角形辺P
1P
2上に位置する2つの制御点の重心座標であることができる。b
0,2,l、b
0,l,2は、三角形辺P
2P
3上に位置する2つの制御点の重心座標であることができる。b
l,0,2、b
2,0,1は、三角形辺P
2P
3上に位置する2つの制御点の重心座標であることができる。制御点の位置は、P
1、P
2およびP
3における境界横断導関数制約によって求めることができる。位置b
1,1,1における補間値vは以下の式を使用して計算することができる。
【数6】
【0054】
別の態様において、非線形補間を使用することもできる。非線形補間の一例は、不規則双一次補間器である。M
k’内のすべての非極小の値が未定義のピクセルについて、最も近い4つの既知の隣接ピクセルP
1、P
2、P
3およびP
4を求めることができる。4つの隣接ピクセルP
1、P
2、P
3およびP
4は境界四辺形を形成することができる。未知のピクセルvおよびその隣接ピクセルP
1、P
2、P
3およびP
4は、値および座標v(x,y)、V
1(x
1,y
1)、v
2(x
2,y
2)、v
3(x
3,y
3)およびv
4(x
4,y
4)を有することができる。「A」は、垂直座標がyに等しいときの辺P
1P
3上の点であることができる。「B」は、水平座標がxに等しいときの辺P
1P
2上の点であることができる。「t」は、P
1からAまでの距離であることができ、「s」は、P
1からBまでの距離であることができる。Pの値は以下の式によって求めることができる。
【数7】
さらに、sおよびtの値は、ピクセル対の任意の辺上での線形補間によって計算することができる。1対または複数対の四辺形の辺が平行である状況においては、(4)とは異なるより単純な式を使用することができる。
【0055】
別の態様において、リアルタイムの速度のための単純性および良好な画像品質を達成するために非線形高速補間方法を使用することができる。方法は、マルチカーネルガウシアンによる再帰的逆単射補間(RIMG)であることができる。
【0056】
M
k’、レベルkにおける修正2D極小値メッシュ格子が前のブロック(315)から計算されると、ブロック325において補間平面L
kの初期推定値が最近傍補間器によって高速に計算されることができる。たとえば、M
k’内の未定義のピクセル値内に最近傍値(すなわち、それらが属する画像領域の最小値)を充填することができる。推定平面M
0kは、以下の再帰アルゴリズム(RIMG)の開始点(j=0)とすることができる。その結果得られる画像は、第1のより大きいカーネルサイズおよび第1のより大きいシグマ値を有する第1の標準2Dガウス形フィルタによってフィルタリングすることができる。フィルタリング画像はぼやけた画像である場合がある。このぼやけた画像内のピクセル値は、入力画像X未満でない場合がある。その結果得られる画像M
kは、以下の式を使用して元の最小値を逆単射することによって更新することができ、ここでJは、再帰的指数である。
【数8】
G(*)はガウス型フィルタリングであり、wは補間の総数である。最後の補間の後、L
k=min(M
w−1k,(n−k)X)が第1の画像成分である。
【0057】
ブロック325において、分解レベルkにおいて平滑に補間した低次の境界面を第1の画像成分L
kとして得た後、ブロック330において、所望の重ね合わせ画像(n−k)Xと画像成分L
kとの間の差を、Hk=(n−k)X−L
kとして計算することによって、第2の画像成分H
kを推定することができる。L
kは極小値であるため、H
kは正であることができ、これは非負制約を満たすことができる。ブロック(335)において、第2の画像成分H
kを分析して、その輝度限界制約をチェックすることができる(すなわち、画像成分H
kは、1つのプロジェクタが生成することができる輝度よりも大きくない場合がある)。Tが単一のプロジェクタの可能な最大値であり、Δ=max(H
k−(n−k−1)T,0)であると仮定して、Δはフォールバックマップであることができ、これはゼロであり得る。ブロック(345)において、フォールバックマップをチェックしてそれがゼロであるかどうかを判定することができる。これが少なくとも1つの非ゼロ値を有する場合、現在の画像分解におけるピクセルフォールバックを使用して、精度および完全性特性(すなわち、画像忠実度および完全性)を保証することができる。ブロック(340)において、フォールバックマップΔを入力画像とともに使用して、前に計算した第1の画像成分L
kおよび第2の画像成分を修正することができる。第1の画像成分L
kは、L
k=L
k+Δになることができる。その結果は、新たに更新された第1の画像成分L
kを用いて第2の画像成分H
kを計算するにあたってもう一度反復するためにブロック(330)に戻ることができる。ブロック(335)における計算およびブロック(345)におけるフォールバックマップのチェックは繰り返すことができる。ループは、ブロック(345)におけるフォールバックマップがゼロになるまで継続することができる。その後、ブロック(350)において、画像成分がすでに分解されているかどうかがチェックされる。そうでない場合、プロセスはブロック(310)に戻って、k=k+1を用いて次のレベルの分解アルゴリズムを継続することができ、現在のレベルの第2の画像成分H
kは、ブロック(390)においてさらに分解される入力データになることができる。
【0058】
ブロック(350)において画像分解の最後の反復が完了した後、画像成分は、それぞれHDR処理、空間レジストレーションのための画像ワーピング、および表示のためのガンマ補正のためにブロック(355、365、375)に提供することができる。処理済み画像成分データL
0、L
1、H
kは、それぞれ各プロジェクタが画面上に表示するためにブロック(360、370および380)に提供することができる。
【0059】
ブロック(355、365および375)におけるHDR処理によって、nプロジェクタハイブリッド投影システムにおけるデジタル・ダイナミック・レンジの増大を実現することができる。HDR丸め関数を各画像成分に適用することによって、HDR丸め関数への入力画像がピクセル値の十分な精度を有し、各プロジェクタが12ビット符号なし整数データを使用すると仮定すると、最終結合画像はもう1ビット改善された精度を獲得することができる。いくつかの態様において、プロジェクタは、同じ輝度を生成するものと仮定され得る。他の態様において、各プロジェクタが異なる輝度を生成すると、異なるHDR丸め関数が同様に導出され得る。HDR丸め関数は、各画像成分高精度ピクセルデータを適切に処理して、12ビットプロジェクタ整数に丸め込むための丸め関数のセットであってもよく、それによって、最終重ね合わせ画像は約12+log
2nビットのピクセル値解像度を有することができる。たとえば、デュアル・プロジェクタ・システムは、13ビットのデジタル・ダイナミック・レンジを実現することができる。3プロジェクタシステムは、13.585ビットのデジタル・ダイナミック・レンジを実現することができる。
【0060】
デュアル・プロジェクタ・システムにおいて、第1のプロジェクタの高精度ピクセル値はXLであることができ、第2のプロジェクタの高精度ピクセル値はXRであることができる。HDR丸め関数セットは、2つの画像成分の値を切り捨てて、第1の画像成分Lおよび第2の画像成分Hの2つの12ビット符号なし整数にするように設計することができ、それによって、最終のL+Hは13ビットの精度であることができる。この精度を達成するために、13ビットのHDR丸め関数は以下のようにすることができる。
1)プロジェクタlについて、L=floor(XL+XR−floor(XR)+0.25)
2)プロジェクタ2について、R=floor(XL+XR−floor(XL)+0.75)
【0061】
n−プロジェクタシステムについて同様に、高精度ピクセル値はX
iであることができ、i=0、l、2、...、n−lであり、各プロジェクタ内の12ビット画像データは、P
0、P
i、...P
n−1であることができる。(12+log
2n)ビットのHDR丸め関数は、
【数9】
であることができる。
【0062】
一態様による、領域ベースの適応的画像分解のための画像領域細分化方法および構成を
図4に示す。画像を分割してより小さい領域、たとえば、領域11、12、13、14、21、22、23、...および44から成る規則的な格子にするために固定領域ウィンドウサイズが使用される。別の態様において、木状構造領域分解アルゴリズムが使用されて、画像を分割して、不規則な格子を形成する様々なサイズの領域にすることができ、いくつかのより小さい領域(たとえば、領域1、2、4、5)はテクスチャの多い画像領域内に現れ得、より大きい領域(たとえば、領域0、3、6)は相対的に平滑な画像領域内に現れ得る。
【0063】
画像領域ベースの適応的処理は、画像分解フィルタのパラメータをローカル画像内容に適合するように調整するのに役立つことができる。たとえば、空間ローパスフィルタが画像分解アルゴリズムの一例において使用される場合、このローパスフィルタの同等のカットオフ周波数は、ローカル画像内容周波数分布に比例することができ、結果として、アーチファクトに関する異常ピクセルを低減するのに有用であり得る、最適にバランスが保たれたローカル周波数分離がもたらされる。より小さい領域は、ローカルな高周波特徴部に追随することを可能にすることができ、一方で、より大きな領域は、疎な特徴部および平滑な領域に適切であり得る。画像内容に基づいて画像を分割して同じまたは異なるサイズの複数の領域にすることによって、画像分解アルゴリズムに関するローカル画像内容に最適に適合することが可能になり、入力画像が分解されて相関が最小限の画像成分(すなわち、擬似直交成分)にされ得る。フォールバックピクセルは、プロジェクタ不整合下ではアーチファクト源になる可能性があり、プロジェクタの輝度、色およびピクセルサイズが均一でない場合には色アーチファクト源になり得るため、領域ベースの画像擬似直交成分分解は、可能性のあるフォールバックピクセルの数を低減し、全体的な画像品質を向上させるのに役立つことができる。
【0064】
図5は、画像分解方法MEMDの一次元(1D)断面の例を示す。線502は、約120および220においてフォールバックを有する第1の画像成分を表すことができる。線504は、第1の画像成分に擬似直交する第2の画像成分であり得る。第1の画像成分の線502および第2の画像成分の線504を加算して、サンプリング点を有する線506によって表されている原信号を再構築することができる。画像ピクセル値は同じスケール内にあり、0〜1の正規化範囲内にあり得る。
【0065】
MEMDからの画像分解の一例が
図6に描かれている。左側は分解された第1の画像成分であり、右側が分解された第2の画像成分であり、より高い周波数情報を含んでいる。
【0066】
図7は、MEMDの1レベルの画像分解の1Dの例を示す。垂直軸はピクセル値を表し、水平軸はピクセル位置を表す。入力画像信号が曲線710である。反復0において、固有モード関数1(710)の極小値720は平面730に位置し、平滑に補間されている。
図7の下側部分に示す残留曲線(750)は、入力信号710から平面730を減算した結果である。
【0067】
図8は、例示的な比較結果を示す。
図8の左側には、同じ重ね合わせ画像を表示するデュアル投影システムによって表示され得る画像があり、
図8の右側には、MEMD方法が適用されるハイブリッド画像投影システムなどの、いくつかの態様によるデュアル・プロジェクタ・システムによって表示され得る画像がある。デュアルプロジェクタによる2つの表示画像には、重ね合わせ画像間に3ピクセルの不整合がある。右側画像は、左側画像よりも鮮明な画像を有する。
【0068】
図9a〜
図9eは、いくつかの態様による、MEMD方法においてフォールバック動作が使用され得るときの様々な状態を示す。フォールバックは、再構築画像精度および忠実度を補助することができる。
図9aおよび
図9bは、同じプロジェクタのうちの2つからの2つの重ね合わせ入力画像ピクセルの値を表す曲線910、940を示す。曲線920、950は、それぞれ画像曲線910および940の第1の画像成分Lを表す。曲線の垂直レベルは、水平方向に表されている各空間ピクセル位置のコード値における画像ピクセルの線形空間強度を表す。入力ピクセル値は、
図9aおよび
図9b内の曲線については0〜1の範囲内にあり得る。
図9a〜
図9eに示すコントラスト「c」は、2つのピクセル値強度の差を表すことができる。
図9aにおいて、たとえば、第1の画像成分値と重ね合わせ入力画像ピクセル値との間のコントラストは0.5以下であるため、フォールバックは使用されていない。
図9bにおいて、入力画像の部分960は0.5よりも大きい高いコントラストを有し、フォールバックが使用されている。
【0069】
図9c、
図9dおよび
図9eは3つのフォールバック事例を表し、曲線の垂直レベルは、水平方向に表されている各空間ピクセル位置のコード値における重ね合わせ画像X2の画像ピクセルの強度を表す。
図9cは、重ね合わせ入力画像が、2に等しい強度値を有する完全なフォールバックの状況を示している。この事例について、第1の分解画像成分Lの値および第2の分解画像成分Hの値は1である。
図9dにおいて、部分的なフォールバックの事例が示されている。この事例について、重ね合わせ入力画像980は、1〜2の強度値を有する。第1の分解画像成分値は、0と入力画像の値との間であり得る。第2の分解画像成分は1であり得る。この状況におけるコントラストは、0.5〜1であり得る。
図9eは、重ね合わせ入力画像990が、1未満の強度値を有するフォールバックのない状況を示している。第1の分解画像成分値は0〜1であり得、第2の分解画像成分値は0〜1であり得る。この状況におけるコントラストは、0.5未満であり得る。フォールバックはコントラストが1に等しい場合に完全なフォールバックであり得る。この事例において、フォールバックピクセルが第1の分解画像成分に付加された後、ハイブリッド画像プロジェクタの空間シフトに対する耐性は、デュアル投影システムにおける同じ画像の重ね合わせと同じ画像品質に後戻りする。ハイブリッド画像プロジェクタは、さらにアーチファクトを導入しないものであり得る。他の事例は、フォールバックが図面に示すように発生するときの部分的なフォールバックである。部分的なフォールバックは、ハイブリッド画像プロジェクタにおける空間シフトに対する耐性の利点の低減をもたらし得るが、全体的なハイブリッド画像の表示は、同じ2つの画像を表示するデュアル投影システムと比較して最終再構築画像品質を向上させることができる。
【0070】
色画像も処理することができる。
図10は、三成分色画像を処理するためにMEMD方法を使用する一例を示す。いくつかの態様において、このプロセスは、ハイブリッド画像プロジェクタがより大きいピクセルシフトを受けるときに色アーチファクトが発生する危険性を低減するために色画像を分解するように使用することができる。ほとんどの色アーチファクトは、ハイブリッド画像プロジェクタがより大きいピクセルシフトを受けるときに各色チャンセルがMEMD方法によって独立して処理される場合にランダム色アーチファクトとして現れるフォールバックピクセルによってもたらされ得る。
図10における線図は、色画像内のフォールバックピクセルが原画像と一致する色を有することを保証するために使用することができる一方法である。ブロック1005において色画像Xが受信され、Xr、Xg、Xbが3つの色成分である。ブロック1010、1020および1030は、説明されたMEMD方法を使用して、各色成分画像を分解して第1の画像成分候補にする。ブロック1015、1025および1035において、第2の擬似直交画像成分が生成され、フォールバックマップが計算される。3つのフォールバックマップがブロック1040において収集され、その後、各フォールバックマップの各ピクセルが、原ピクセル値と、画像強度の個別の量子化ステップの半分未満であるように選択され得る小さい定数cとを加算した値で除算される。ブロック1060において、3つの色の間の最大ピクセル比を選択して、原ピクセル値と定数cとの和を乗算して、3つの色のフォールバックピクセル値の新たな推定値を得るのに使用することができる。新たに推定されたフォールバックピクセルはともに、新たなフォールバックマップを形成することができ、各ピクセルはほとんどその原色相値を保持しているが、彩度または輝度は変化している場合があるこの新たなフォールバックマップが非ゼロである限り、新たなフォールバックマップは前の各第1の画像成分に戻って付加されることができる。色相を保持したフォールバック値が付加されるため、第1の画像成分内の修正されたピクセルは元の外観を維持することができ、強度および彩度が変化している場合がある。このプロセスの後、大きい画像不整合下での全体的な色アーチファクトは低減され、見えにくくされ得る。
【0071】
図11は、シアター1100内に配置されているハイブリッド投影の一例を示す。重ね合わせ画像が、座席の列1125を有する観客席1120内の画面1100上に表示されることができる。一態様によりハイブリッド投影が可能なデュアルプロジェクタを有する映写室1105が設けられている。2つのプロジェクタ1104および1106は、画像データを処理するためのプロセッサを有することができる画像エンハンサデバイス1180および1185を含む。他の態様において、画像エンハンサは一方のプロジェクタの中に存在し、表示されるべき画像データを他方のプロジェクタに出力することができる。画像データサーバ1175からの画像データが、プロセッサ1170によって受信されて画像分解が実行されることができ、LおよびHなどの直交または擬似直交画像成分を生成することができる。画像分解を実行するプロセッサは、領域分解および画像データの線形空間への逆ガンマ補正などの他のプロセスを実行することもできる。画像データサーバ1175は、再生デバイス、または、遠隔位置からストリーミングされる画像データを受信および記憶するデバイスであることができる。画像分解からの画像成分は、各プロジェクタ内のシステム機能モジュール1160および1165によって受信することができ、HDRまたはガンマ補正またはワーピングなどのさらなる画像データ処理を実行することができる。他の態様において、システム機能モジュールは一方のプロジェクタ内の一方の画像エンハンサ内に存在することができる。システム機能モジュールのプロセスは、1つまたは複数のシステム機能モジュールによって実行することができる。システム機能モジュールからの画像データは、その後、各プロジェクタによって投影レンズ1140および1150を通じて画面1110上に投影されて、重ね合わせ画像を形成することができる。いくつかの態様において、デュアルプロジェクタは、2D表示のためのハイブリッド投影システムであり、かつ/または、それぞれ左目画像符号化要素1135および右目画像符号化要素1145を用いて3D表示を投影することが可能である。3D表示を見る者は、投影および符号化された左目画像および右目画像を復号する眼鏡を装着し得る。2D表示中、左目画像符号化要素1135および右目画像符号化要素1145は取り外すことができる。3D表示において、入力画像データは、2D表示におけるハイブリッド投影に関しては画像成分に分解されなくてもよい。画像エンハンサデバイス1185および1180は、ユーザによって、あるいは、ハイブリッド処理または3D表示ありまたはなしで、画像データの処理が2D表示のためであるときを自動的に検出することが可能であるように構成することができる。
【0072】
本明細書で説明した(1つまたは複数の)システムは、どんな特定のハードウェアアーキテクチャまたは構成にも限定されない。コンピュータデバイスは、1つまたは複数の入力上で調整された結果を提供する任意の適切な構成を含むことができる。適切なコンピュータデバイスは、本発明の主題の1つまたは複数の態様または特徴を実装する、汎用コンピュータ装置から専用コンピュータ装置までのコンピュータ・システムをプログラムまたは構成する記憶されたソフトウェアにアクセスする、多目的マイクロプロセッサベースのコンピュータ・システムを含む。任意の適切なプログラミング言語、スクリプト言語、または他のタイプの言語または言語の組み合わせを使用して、コンピュータデバイスのプログラミングまたは構成に使用されるべきソフトウェアにおいて、本明細書に含まれる教示を実装してもよい。
【0073】
本明細書に開示する方法の態様は、そのようなコンピュータデバイスの動作において実行されてもよい。上記の例において提示されているブロックの順序は変更されてもよく、たとえば、ブロックは順序付けし直され、組み合わされ、および/または複数の部分ブロックに分解されることができる。特定のブロックまたはプロセスは並行して実行されることができる。
【0074】
本発明の主題をその特定の態様および特徴に関連して詳細に説明したが、上記を理解すれば、当業者であれば、そのような態様および特徴の代替形態、変形形態、および均等形態を容易に作成することができることは諒解されたい。したがって、本開示は限定ではなく例示を目的として提示されており、当業者には容易に諒解されるように、本発明の主題のそのような修正形態、変形形態および/または追加形態を含むことを除外するものではない。