特許第6644107号(P6644107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6644107-熱特性測定装置 図000004
  • 特許6644107-熱特性測定装置 図000005
  • 特許6644107-熱特性測定装置 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644107
(24)【登録日】2020年1月9日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】熱特性測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 5/00 20060101AFI20200130BHJP
   G01N 25/18 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   G01J5/00 B
   G01N25/18 D
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-82806(P2018-82806)
(22)【出願日】2018年4月24日
(65)【公開番号】特開2019-7945(P2019-7945A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2018年4月24日
(31)【優先権主張番号】106121028
(32)【優先日】2017年6月23日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】506255902
【氏名又は名称】中原大學
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 柏廷
(72)【発明者】
【氏名】林 書平
(72)【発明者】
【氏名】陸 韋豪
(72)【発明者】
【氏名】杜 育賢
【審査官】 中澤 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−140131(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0292951(US,A1)
【文献】 特開昭58−113823(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103604504(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 5/00−5/62
G01N 25/00−25/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の熱特性を測定するよう構成され、
第1温度まで加熱されるよう構成された加熱素子と、
前記測定対象物と前記加熱素子の間に熱伝達経路を提供するよう構成された定窓と、前記測定窓が前記加熱素子との間に幾何学関係に基づいて配置されており
前記測定対象物の初期温度を測定し、前記加熱素子が前記第1温度まで加熱された後に前記測定対象物の測定温度を測定するよう構成され、前記初期温度が、前記測定温度と異なる少なくとも1つの温度計と、
を含み、前記測定対象物の前記熱特性が、前記幾何学関係、前記加熱素子の前記熱特性、前記第1温度、前記初期温度、前記測定温度、および環境温度から算出され、
前記幾何学関係が、前記加熱素子と前記測定窓の間の放射形状係数および前記測定窓と各温度計の間の放射形状係数と関連する、熱特性測定装置。
【請求項2】
前記熱特性が、熱放射率である請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記熱特性が、熱放射率であり、前記測定対象物の前記熱特性が、下記の式を基礎とした前記幾何学関係、前記加熱素子の前記熱特性、前記第1温度、前記初期温度、前記測定温度、および前記環境温度と関連し、
εTBMが、前記測定対象物の前記熱放射率を示し、Fが、前記加熱素子と前記測定窓の間の前記放射形状係数および前記測定窓と各温度計の間の前記放射形状係数と関連する係数を示し、εHが、前記加熱素子の前記熱放射率を示し、THが、前記第1温度を示し、TINが、前記初期温度を示し、TMが、前記測定温度を示し、TENが、前記環境温度を示す請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記加熱素子および前記少なくとも1つの温度計に結合され、前記幾何学関係、前記加熱素子の前記熱特性、前記第1温度、前記初期温度、前記測定温度、および前記環境温度に基づいて、前記測定対象物の前記熱特性を計算するよう構成されたプロセッサをさらに含む請求項1に記載の測定装置。
【請求項5】
前記加熱素子、前記測定窓、前記少なくとも1つの温度計、および前記プロセッサが、外装ケースの内側に配置され、手持ち式の熱特性測定装置を形成する請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
前記加熱素子、前記測定窓、および前記少なくとも1つの温度計が、外装ケースの内側に配置され、ハンドヘルド式の測定素子を形成し、前記プロセッサが、前記ハンドヘルド式の測定素子の外部に接続された請求項4に記載の測定装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの温度計が、
前記測定窓に配置され、前記加熱素子を加熱する前に前記測定対象物の前記初期温度を測定するよう構成された第1温度計TS1と、
前記加熱素子を前記第1温度まで加熱した後に前記測定対象物の前記測定温度を測定するよう構成された第2温度計と、
を含む請求項1に記載の測定装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの温度計が、さらに、前記環境温度を測定するよう構成された第3温度計を含む請求項4に記載の測定装置。
【請求項9】
前記測定対象物が、不透明である請求項1に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置に関するものであり、特に、材料の熱特性を測定するための熱特性測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物体の放射率(emissivity、放射係数とも称す)は、エネルギーを熱放射として放出する物体の表面の能力の測定である。便宜上、物理学では、物体の放射率を、特定の温度で物体から出射されるエネルギーに対し、同じ特定の温度で黒体から放射されるエネルギーの比率として定義される。ここで、黒体の放射率を1として定義すると、別の物体の放射率は0と1の間である。一般的に、材料の色が深いほど、または材料の表面が粗いほど、材料の放射率は1に近くなり、材料の反射率が高いほど、材料の放射率は低くなる。
【0003】
レスリーキューブ(Leslie's cube)を用いた放射線測定方法がスコットランドの物理学者ジョンレスリー(John Leslie)によって発明され、現代の計測器は、ますます正確になった。しかしながら、多くの精密機器は、通常、測定時に補助を必要とする。例えば、真空環境では、外部の熱源からの干渉を隔離する必要があり、あるいは黒体をシミュレーションするための材料を必要とする。また、放射率が低い物体を測定するのは困難である。そのため、物体の放射率を測定する時は、通常、測定コストが高くなり、測定の位置も制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、熱特性測定の精度が測定対象物の異なる熱特性に影響されず、低コストおよび優れた携帯性の両方の特徴を有する熱特性測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の熱特性測定装置は、測定対象物の熱特性を測定するためのものである。熱特性測定装置は、加熱素子と、測定窓と、少なくとも1つの温度計とを含む。加熱素子は、第1温度まで加熱するよう構成される。測定窓および加熱素子は、特定の幾何学関係に基づいて配置される。測定窓は、測定対象物と加熱素子の間に熱伝達経路を提供するよう構成される。温度計は、測定対象物の初期温度を測定し、加熱素子が加熱された後に測定温度を測定するよう構成される。測定対象物の測定温度は、測定対象物の初期温度と異なる。測定対象物の熱特性は、特定の幾何学関係、第1温度、初期温度、測定温度、および環境温度と関連する。
【発明の効果】
【0006】
以上のように、本発明が提供する熱特性測定装置は、加熱素子と測定対象物の間に熱伝達を起こし、加熱素子の温度および材料の熱特性は、既知である。測定窓を介して加熱素子と測定対象物の間の熱伝達を観察し、測定対象物の初期温度および直接測定することのできる環境温度を参照して、熱特性測定装置における加熱素子と測定窓の間の幾何学的関係を組み合わせることによって、測定対象物の熱特性を正確に計算し、低コストおよび優れた携帯性の両方の特徴を達成することができる。
【0007】
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付図面は、本発明の原理がさらに理解されるために含まれており、本明細書に組み込まれかつその一部を構成するものである。図面は、本発明の実施形態を例示しており、説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たしている。
【0009】
図1】本発明の1つの実施形態に係る熱特性測定装置の設置の概略図である。
図2】本発明の1つの実施形態に係る熱特性測定装置の概略ブロック図である。
図3】本発明の別の実施形態に係る熱特性測定装置の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の1つの実施形態に係る熱特性測定装置の設置の概略図である。図1を参照すると、本実施形態の熱特性測定装置100は、加熱素子HEと、測定窓MWと、少なくとも1つの温度計TS1〜TS3と、外装ケースCSとを含む。使用者は、例えば、測定窓MWと測定対象物OBの位置を合わせて近づけることにより、測定対象物OBの熱特性を測定することができる。本実施形態において、測定対象物OBの測定した熱特性は、例えば、測定対象物OBの熱放射率である。以下、本発明の実施形態の熱特性測定装置100の各素子について説明する。
【0011】
本実施形態において、加熱素子HEは、例えば、既知の放射率εを有する材料であり、既知の第1温度まで加熱することができる。しかしながら、本発明は、加熱素子HEを実施する実際の方法を制限しない。
【0012】
例えば、加熱素子HEは、制御可能な熱源に接続された放射率εを有する材料であってもよい。制御可能な熱源を制御することにより、加熱素子HEを第1温度まで加熱することができる。別の実施形態において、加熱素子HEは、例えば、制御不可能な熱源に接続された放射率εを有する材料であってもよく、別の温度計(図示せず)を設置することにより、加熱前と加熱後の加熱素子HEの温度を測定する。つまり、本分野において通常の知識を有する者であれば、必要に応じて加熱素子HEを配置し、加熱素子HEを既知の第1温度まで加熱することができる。本発明はこれに制限されない。
【0013】
本実施形態において、測定窓MWは、測定対象物OBと加熱素子HEの間に熱伝達経路を提供するよう構成される。具体的に説明すると、加熱素子HEが第1温度まで加熱され、第1温度が測定対象物OBの初期温度よりも高い時、加熱素子HEは、測定窓MWを介して正味熱を測定対象物OBに放射する。そして、加熱素子HEから熱を受け取った後、測定対象物OBは、測定窓MWを介して熱の一部を熱特性測定装置100に放射し戻すことができる。上記の熱伝達プロセスを観察することにより、本発明の実施形態の熱特性測定装置100は、測定対象物OBの熱特性を測定することができる。
【0014】
言及すべきこととして、熱特性測定装置100の加熱素子HEおよび測定窓MWの配置位置および配置角度に基づくと、特定の幾何学関係は、加熱素子HEと測定窓MWの間に存在する。この特定の幾何学関係は、加熱素子HEと測定窓MWの間の放射形状係数および測定窓MWと各温度計TS1〜TS3の間の放射形状係数と直接関連する。熱特性測定装置100における加熱素子HEおよび測定窓MWの配置位置および配置角度の他に、上記の放射形状係数は、熱放射伝達中の加熱素子HE、測定窓MW、および各温度計TS1〜TS3の表面面積および表面形状とも関連する。本分野において通常の知識を有する者であれば、熱力学関連の文献から放射形状係数に関する教示を取得することができる。そのため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0015】
本実施形態において、少なくとも1つの温度計は、加熱素子HEを加熱する前に測定対象物OBの初期温度を測定し、加熱素子HEを第1温度まで加熱した後に測定対象物OBの測定温度を測定するよう構成される。本実施形態において、少なくとも1つの温度計は、第1温度計TS1、第2温度計TS2、および第3温度計TS3を含む。しかしながら、本発明はこれに制限されない。つまり、本分野において通常の知識を有する者であれば、必要に応じて、複数の温度計を配置して温度(例えば、測定対象物OBの初期温度および測定温度等)をそれぞれ測定することができる。
【0016】
本実施形態において、第1温度計TS1は、測定窓MWに配置され、加熱素子HEを加熱する前に測定対象物OBの初期温度を測定するよう構成される。第2温度計TS2は、例えば、外装ケースCSの内側に配置され、加熱素子HEを第1温度まで加熱した後に測定対象物OBの測定温度を測定するよう構成される。第3温度計TS3は、例えば、第2温度計TS2とともに外装ケースCSの内側に配置され、外装ケースCSの内側の環境温度または第2温度計TS2を使用する環境の環境温度を測定するよう構成される。
【0017】
特に、実際に使用する状況において、上述したように、測定温度は、例えば、測定対象物OBが第1温度(例えば、測定対象物OBの初期温度よりも高い)まで加熱された加熱素子HEから受け取った放射熱を送り返した時に第2温度計TS2が測定した温度である。そのため、測定対象物OBの測定温度は、測定対象物OBの初期温度と異なり、測定対象物OBの初期温度は、環境温度と同じであっても、または異なっていてもよい。
【0018】
しかしながら、少なくとも1つの温度計は、例えば、3つよりも多い、または少ない温度計を含んでもよい。別の実施形態において、少なくとも1つの温度計は、例えば、第2温度計TS2および第3温度計TS3のみを含んでもよい。第2温度計TS2は、加熱素子HEを加熱する前、および加熱素子HEを第1温度まで加熱した後に、それぞれ測定対象物OBの初期温度および測定温度を測定し、第3温度計TS3は、環境温度を測定する。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの温度計は、第1温度計TS1、第2温度計TS2、および第3温度計TS3の他に、さらに、加熱素子HEの温度を測定するよう構成された第4温度計を含んでもよい。
【0019】
また、本発明の実施形態は、各温度計の実際の実施方法を制限しない。1つの実施形態において、温度計は、例えば、放射熱を電気信号(例えば、電圧値)に変換する熱撮像装置であってもよい。異なる振幅の電気信号は、異なる温度を示す。さらに具体的に説明すると、本発明の実施形態は、温度測定中に得られたデータの形式を制限しない。本分野において通常の知識を有する者であれば、必要に応じて、温度を感知する温度計等の素子を選択することができ、異なる素子は、異なるデータ形式を提供することができる。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の熱特性測定装置100は、正味熱が加熱素子HEから測定対象物OBに伝達される前に測定対象物OBの初期温度を測定することができる。また、加熱素子HEを第1温度まで加熱し、正味熱が測定窓MWを介して測定対象物OBに伝達された後、測定対象物OBの測定温度を測定する。このように、本実施形態において、熱特性測定装置100によって測定された熱特性(すなわち、熱放射率)は、下記の式(1)で表される。
【0021】
【数1】
【0022】
式中、εTBMは、測定対象物OBの熱放射率を示し、Fは、加熱素子HEと測定窓MWの間の放射形状係数および測定窓MWと温度計TS2の間の放射形状係数と関連する係数を示し、εは、加熱素子HEの熱放射率を示し、Tは、第1温度を示し、TINは、測定対象物OBの初期温度を示し、Tは、測定対象物OBの測定温度を示し、TENは、測定した環境温度を示す。本実施形態において、係数Fは、加熱素子HEと測定窓MWの間の放射形状係数対測定窓MWと温度計TS2の間の放射形状係数の比率である。
【0023】
言及すべきこととして、本発明の実施形態は、図1の実施形態において各素子から取得したデータの詳細を制限または説明するものではない。例えば、少なくとも1つの温度計TS1〜TS3および加熱素子HEのデータ(例えば、温度のデータ)は、少なくとも1つの温度計TS1〜TS3および加熱素子HEのデータを外装ケースCSのポートに接続することによって、有線で伝達することができる。しかしながら、本発明はこれに制限されない。
【0024】
図2は、本発明の1つの実施形態に係る熱特性測定装置の概略ブロック図である。図2を参照すると、図1の実施形態の熱特性測定装置100は、例えば、プロセッサPROCを含むことにより、本実施形態の熱特性測定装置200になる。本実施形態において、熱特性測定装置200は、加熱素子HEと、測定窓MWと、少なくとも1つの温度計TSと、プロセッサPROCとを含み、同じ参照番号は、上述した実施形態における素子と同じ、または類似する素子を示すため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0025】
本実施形態において、例えば、加熱素子HE、測定窓MW、少なくとも1つの温度計TS、およびプロセッサPROCを外装ケースの内側に配置することにより、手持ち式の熱特性測定装置200を形成する。使用者は、例えば、本実施形態の熱特性測定装置200を手持ちすることができ、測定窓MWと測定対象物の位置を合わせて近づけることにより、測定対象物の熱特性(例えば、熱放射率)を測定する。
【0026】
本実施形態において、プロセッサPROCは、加熱素子HEおよび少なくとも1つの温度計TSに結合される。加熱素子HEと測定窓MWの間の放射形状係数は、プロセッサPROC内に設定される。したがって、プロセッサPROCは、例えば、上述した式(1)で測定対象物の熱放射率を計算することができる。
【0027】
1つの実施形態において、手持ち式の熱特性測定装置200は、さらに、プロセッサPROCに結合された表示素子(図示せず)を含んでもよく、プロセッサPROCによって熱特性を計算した後に、そこに測定対象物の熱特性を表示するよう構成される。
【0028】
図3は、本発明の別の実施形態に係る熱特性測定装置の概略ブロック図である。図3を参照すると、図1の実施形態の熱特性測定装置100は、例えば、プロセッサPROCを含むことにより、本実施形態の熱特性測定装置300になる。本実施形態において、熱特性測定装置300は、加熱素子HEと、測定窓MWと、少なくとも1つの温度計TSと、プロセッサPROCとを含み、同じ参照番号は、上述した実施形態における素子と同じ、または類似する素子を示すため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0029】
本実施形態は、例えば、加熱素子HE、測定窓MW、および少なくとも1つの温度計TSを外装ケース内に配置することによって手持ち式の測定素子310を形成するという点で、図2の実施形態と異なり、手持ち式の測定素子310は、プロセッサPROCの外部に接続される。本実施形態において、使用者は、例えば、手持ち式の測定素子310を手持ちすることができ、測定窓MWを測定対象物と位置を合わせて接近させることにより、測定対象物の初期温度および測定温度を測定する。そして、得られた初期温度および測定温度をプロセッサPROCに提供する。予め設定された加熱素子HEと測定窓MWの間の放射形状係数、加熱素子HEの熱放射率、加熱後の加熱素子HEの第1温度、測定環境の環境温度、手持ち式の測定素子310によって得られた初期温度および測定温度に基づいて、プロセッサPROCは、上述した式(1)を基礎に測定対象物の熱放射率を計算する。
【0030】
同様に、本実施形態のプロセッサPROCは、さらに、表示素子(図示せず)に結合され、プロセッサPROCの計算結果を表示素子に表示する。
【0031】
言及すべきこととして、本発明の実施形態の熱特性測定装置は、測定対象物によって反射された加熱素子からの熱放射を観察する。そのため、測定したい材料が不透明である、または不透明材料で作られている時、本発明の実施形態が提供する熱特性測定装置は、より正確な測定結果を達成する。
【0032】
以上のように、本発明が提供する熱特性測定装置は、加熱素子と測定対象物の間に熱伝達を起こし、加熱素子の温度および材料の熱特性は、既知である。測定窓を介して加熱素子と測定対象物の間の熱伝達を観察し、測定対象物の初期温度および直接測定することのできる環境温度を参照して、熱特性測定装置における加熱素子と測定窓の間の幾何学的関係を組み合わせることによって、測定対象物の熱特性を正確に計算し、低コストおよび優れた携帯性の両方の特徴を達成することができる。
【0033】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を制限するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、測定装置に関するものであり、特に、材料の熱特性を測定するための熱特性測定装置に関するものである。
【符号の説明】
【0035】
100 熱特性測定装置
200 熱特性測定装置
300 熱特性測定装置
310 手持ち式の測定素子
CS 外装ケース
HE 加熱素子
MW 測定窓
OB 測定対象物
PROC プロセッサ
TS 温度計
TS1 第1温度
TS2 第2温度
TS3 第3温度

図1
図2
図3