(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644142
(24)【登録日】2020年1月9日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】エッジングスタンドのエッジングロールを調整するための装置
(51)【国際特許分類】
B21B 31/20 20060101AFI20200130BHJP
B21B 38/00 20060101ALN20200130BHJP
【FI】
B21B31/20 Z
!B21B38/00 Z
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-522605(P2018-522605)
(86)(22)【出願日】2016年10月24日
(65)【公表番号】特表2018-531800(P2018-531800A)
(43)【公表日】2018年11月1日
(86)【国際出願番号】EP2016075482
(87)【国際公開番号】WO2017076670
(87)【国際公開日】20170511
【審査請求日】2018年6月12日
(31)【優先権主張番号】102015221762.0
(32)【優先日】2015年11月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ヴェント・シュテファン
【審査官】
池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−111206(JP,U)
【文献】
特開昭61−056701(JP,A)
【文献】
特開昭52−109467(JP,A)
【文献】
特開昭60−129407(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0285214(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 31/00−31/32
B21B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッジングスタンドのエッジングロール(10)を調整するための装置(1)であって、
1つのエッジャフレーム(12)と、1つのバランス取りトラバース(16)と、少なくとも1つの調整シリンダ(26)を有し、
エッジャフレーム(12)に、少なくとも1つのバランス取りシリンダ(14)が取り付けられ、
バランス取りトラバース(16)が、エッジャフレーム(12)に対向する駆動側(18)とこの駆動側(18)とは反対の作業側(19)を有し、バランス取りトラバース(16)には、その作業側(19)に、エッジングロール(10)用の軸受装置(20)が特に噛合い係合式に固定され、その駆動側(18)に、バランス取りシリンダ(14)をバランス取りトラバース(16)と作用結合させている少なくとも1つの枢着部(24)が設けられ、
調整シリンダ(26)が、エッジャフレーム(12)に取り付けられかつエッジングロール(10)を圧延材に対して調整するために圧延材の方向に軸受装置(20)と作用結合可能であり、
調整シリンダ(26)によって発生された圧縮力が、作用軸(28)に沿って軸受装置(20)に作用し、この作用軸が、軸受装置(20)とこの軸受装置に支承されたエッジングロール(10)に傾倒モーメントが加えられないように、バランス取りシリンダ(14)をバランス取りトラバース(16)と作用結合させている少なくとも1つの枢着部(24)に直接的に隣接するように延在するものにおいて、
エッジャフレーム(12)に、2つのバランス取りシリンダ(14)が、またその間に1つの調整シリンダ(26)が取り付けられ、それぞれのバランス取りシリンダ(14)の操作部材(15)が、バランス取りトラバース(16)の駆動側(18)に枢着され、エッジャフレーム(12)とバランス取りトラバース(16)の間に補助要素(30)が配置され、この補助要素と、調整シリンダ(26)の操作部材(27)が作用結合可能で、補助要素(30)が、バランス取りトラバース(16)の駆動側(18)に対向するように2つの細長い加圧ピン(32)を備え、これら加圧ピンが、その縦軸により作用軸(28)を規定し、バランス取りトラバース(16)を貫通し、これにより、調整シリンダ(26)の圧縮力が、両加圧ピン(32)に分岐され、バランス取りトラバース(16)の作業側(19)で、エッジングロール(10)用の軸受装置(20)に伝達可能であること、を特徴とする装置(1)。
【請求項2】
調整シリンダ(26)の操作部材(27)と補助要素(30)の間の接触箇所が湾曲されて形成されていること、を特徴とする請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
調整シリンダ(26)の操作部材(27)が、接触箇所を構成するシリンダヘッド(36)により補助要素(30)と作用結合可能で、これにより、作用軸(28)に対して横に加圧ピン(32)及び/又は補助要素(30)に作用する横力が、低下されるか、全く調整シリンダ(26)に伝達されないこと、を特徴とする請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
調整シリンダ(26)の操作部材(27)が、補助要素(30)と関節式に結合されていること、を特徴とする請求項1に記載の装置(1)。
【請求項5】
エッジングロール(10)用の軸受装置(20)が、上のエッジングロールチョック(21)と下のエッジングロールチョック(22)から構成され、エッジングロール(10)が、これらエッジングロールチョック(21,22)の間に支承されて収容されていること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置(1)
【請求項6】
バランス取りトラバース(16)内の加圧ピン(32)が、滑り軸受(38)内に縦方向に可動に案内されており、好ましくは、滑り軸受(38)が、潤滑手段を備えていること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項7】
補助要素(30)が、エッジャフレーム(12)に対向するように、少なくとも1つのガイドピン(40)を備え、このガイドピンが、エッジャフレーム(12)内に固定された滑り軸受(42)内に縦方向に可動に案内され、好ましくは、滑り軸受(42)が、潤滑手段を備えていること、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項8】
加圧ピン(32)及びガイドピン(40)が、ワンピースに形成されていること、を特徴とする7に記載の装置(1)。
【請求項9】
エッジングロール(10)用の軸受装置(20)に、接触面が形成され、この接触面と、加圧ピン(32)の端面が、調整シリンダ(26)の操作時に接触可能であること、を特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項10】
加圧ピン(32)の端面と軸受装置(20)の接触面との間の接触箇所が、湾曲されて形成されていること、を特徴とする請求項9に記載の装置(1)。
【請求項11】
接触箇所が、点接触又は面接触として形成されていること、を特徴とする請求項2又は10に記載の装置(1)。
【請求項12】
接触箇所が、それぞれ凸の面によって、又はそれぞれ1つの凸の面と1つの凹の面によって形成されていること、を特徴とする請求項2又は10又は11に記載の装置(1)。
【請求項13】
圧延材の方向のバランス取りシリンダ(14)の移動距離が、調整シリンダ(26)の移動距離よりも大きく、これにより、エッジングロール(10)が、バランス取りシリンダ(14)の操作だけにより、装置(1)を位置決めした圧延トレインの中心に移動可能であること、を特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項14】
少なくとも1つの調整シリンダ(26)が、油圧又は電気により駆動され、好ましくは、調整シリンダ(26)が、一方向にだけ、即ち圧延材の方向にだけ操作可能であること、を特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項15】
少なくとも1つのバランス取りシリンダ(14)が、油圧又は電気により駆動され、好ましくは、バランス取りシリンダ(14)が、両方向に操作可能で、これにより、バランス取りトラバース(16)が、従ってエッジングロール(10)用の軸受装置(20)が、バランス取りシリンダ(14)により往復移動可能であること、を特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項16】
少なくとも1つの距離センサ(44,46)が設けられ、この距離センサが、評価装置と信号接続しており、これにより、エッジングロール(10)の現在の位置が決定可能であること、を特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項17】
評価装置が、バランス取りシリンダ(14)及び調整シリンダ(26)用の制御装置と信号接続しており、バランス取りシリンダ(14)及び/又は調整シリンダ(26)が、距離センサ(44,46)の測定信号に依存して駆動可能であり、好ましくは、バランス取りシリンダ(14)及び/又は調整シリンダ(26)の駆動が制御可能であること、を特徴とする請求項16に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッジングスタンドのエッジングロールを調整するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術によれば、エッジングロールを例えば厚板の圧延時に圧延材に対して横から調整するもしくは横から圧延材に押し付けることができるエッジングスタンドが公知である。1つ又は2つの調整手段をそれぞれの側に備えるこのようなエッジングスタンドは、例えば欧州特許第2 265 395号明細書、欧州特許第2 411 165号明細書又は特開平01−075101号公報から公知である。これらエッジングスタンドは、エッジングロールを支承するために、大きい取付けスペースを必要とし、圧延作業中に未だロールに対する遊びと調整を許容する重いカセットを有する。
【0003】
エッジングロールを調整するために、欧州特許第166 981号明細書によれば、ピストンシリンダユニットが、エッジングロールを支承して収容しているカセットを圧延材の方向に押し付け、いわゆるバランス取りシリンダがカセットを反対方向に引っ張ることによって、エッジングスタンドの構成要素の間の遊びの減少が達成されるエッジングスタンドが公知である。従って、このエッジングスタンドの構成要素の間の継ぎ目は、実際に遊びをなくされ、これから、圧延材に対してエッジングロールを調整するための高い精度が生じる。
【0004】
欧州特許第166 981号明細書によるエッジングスタンドは、カセットとこれに支承されたエッジングロールを圧延材の方向に押し付けるピストンシリンダユニットのピストンが、これに枢着されたバランス取りシリンダから間隔を置かれているとの欠点の支配下にある。ピストンシリンダユニットとバランス取りシリンダの両方によって力が正確に互いに同調されない場合、カセットが、正確に並進的に案内されず、これから、エッジングロールの不正確な調整が生じるとの欠点が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第2 265 395号明細書
【特許文献2】欧州特許第2 411 165号明細書
【特許文献3】特開平01−075101号公報
【特許文献4】欧州特許第166 981号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
相応に、本発明の根底にある課題は、簡単な手段により、エッジングロールの正確な並進的案内が、傾倒等の危険なく保証されている、エッジングスタンドのエッジングロールを調整するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴を有する装置により解決される。本発明の有利な発展形は、従属請求項で規定されている。
【0008】
本発明による装置は、エッジングスタンドのエッジングロールを調整するために使用され、1つのエッジャフレームと、1つのバランス取りトラバースを有し、エッジャフレームに、少なくとも1つのバランス取りシリンダが取り付けられ、バランス取りトラバースが、エッジャフレームに対向する駆動側とこの駆動側とは反対の作業側を有し、バランス取りトラバースには、その作業側に、エッジングロール用の軸受装置が固定可能で、その駆動側に、バランス取りシリンダをバランス取りトラバースと作用結合させている少なくとも1つの枢着部が設けられている。更に、装置は、少なくとも1つの調整シリンダを有し、この調整シリンダが、エッジャフレームに取り付けられかつエッジングロールを圧延材に対して調整するために圧延材の方向
に軸受装置と作用結合可能であり、調整シリンダによって発生された圧縮力が、作用軸に沿って軸受装置に作用し、この作用軸が、バランス取りシリンダをバランス取りトラバースと作用結合させている少なくとも1つの枢着部と交差するか、直接的にこの枢着部に隣接するように延在する。
【0009】
本発明の根底にある重要な認識は、エッジングロールが、少なくとも1つの調整シリンダの操作時に圧延材に押付け可能で、エッジングロールを支承して収容する軸受装置が、少なくとも1つのバランス取りシリンダにより反対方向に引張られ、これにより、装置の構成要素の間に存在する継ぎ目に遊びがないことが達成されることである。作用軸−この作用軸上で、調整シリンダによって発生された圧縮力が軸受装置に作用する−が、少なくとも1つの枢着部と交差するか、直接的にこの枢着部に隣接するように延在することにより、軸受装置とこれに支承されたエッジングロールに傾倒モーメントが加えられず、これにより、常に、エッジングロールの高精度の直線運動が、特に圧延材の方向に与えられていることが、保証される。
【0010】
本発明の有利な発展形では、エッジャフレームに、2つのバランス取りシリンダを取り付けることができ、その場合は、調整シリンダは、バランス取りシリンダの間に配置されている。それぞれのバランス取りシリンダの操作部材は、バランス取りトラバースの駆動側に枢着され、エッジャフレームとバランス取りトラバースの間に補助要素が配置され、この補助要素と、調整シリンダの操作部材が作用結合可能である。補助要素は、バランス取りトラバースの駆動側に対向するように2つの細長い加圧ピンを備え、これら加圧ピンは、その縦軸により作用軸−この作用軸に沿って圧縮力が軸受装置に加えられる−を規定する。加圧ピンは、バランス取りトラバースを貫通し、これにより、調整シリンダの圧縮力は、両加圧ピンへ分岐され、バランス取りトラバースの作業側で、エッジングロール用の軸受装置に伝達可能である。この目的のため、バランス取りトラバースの作業側の自由な端面が、軸受装置と接触され得る。
【0011】
加圧ピン−この加圧ピンにより、圧縮力が軸受装置もしくはこれに支承されたエッジングロールに加えられる−に関して、このような加圧ピンが、適当な横断面、例えば円形、正方形、長方形三角形又は多角形の横断面を備えることができると理解すべきである。例えば、加圧ピンは、円形の横断面の場合、シリンダの形態で形成されている。いずれかの手も、加圧ピンの横断面は、一方では座屈に対して十分な安定性が保証されており、他方では、必要時に、滑り軸受による加圧ピンの案内が可能であるように選択されている。
【0012】
加圧ボルトの自由な端面が、エッジングロール用の軸受装置に固定されているのではなく、調整シリンダの相応の操作時にだけ、軸受装置と接触可能であり、これにより、圧縮力が、軸受装置に圧延材の方向に加えられる。即ち圧延材から離間する方向へのバランス取りトラバースのリセットは、少なくとも1つのバランス取りシリンダの操作により保証され、このバランス取りシリンダの操作部材は、バランス取りトラバースの駆動側に枢着されている。
【0013】
本発明の有利な発展形では、調整シリンダの操作部材と補助要素の間の接触箇所が湾曲されて形成可能である。例えば、この接触箇所は、この場合点接触又は面接触が生じるように形成可能である。これにより、調整シリンダと補助要素の間の精確な力伝達が、圧延材の方向に保証されており、この場合、傾倒等の危険はない。
【0014】
本発明の有利な発展形では、調整シリンダの操作部材が、シリンダヘッドにより補助要素と結合可能で、これにより、特に通過の衝撃が生じた時に作用軸に対して横に加圧ピン及び/又は補助要素に作用可能な横力が、低下されるか、全く調整シリンダに伝達されない。調整シリンダへのシリンダヘッドのこのような装備により、有利には、特に通過の衝撃が生じた時の、高価な調整シリンダの損傷が防止され得る。これに関して、シリンダヘッドが、必ずシリンダ状に形成されている必要があるのではなく、実質的に、調整シリンダの作用軸に対して横に作用する、場合によっては生じる横力を調整シリンダから遠ざける特性を備えることを指摘したい。
【0015】
本発明の有利な発展形では、調整シリンダの操作部材が、補助要素と関節式に結合可能である。この関節結合により、調整シリンダの操作部材が正確に作用軸に対して平行に整列していない場合でも、調整シリンダにより発生された圧縮力が、補助要素に取り付けられた加圧ピンに常に作用軸に沿ってしか作用しないことが保証されている。
【0016】
本発明による装置の選択的な実施形態によれば、エッジャフレームに、2つの調整シリンダを取り付けることができ、調整シリンダの間に1つのバランス取りシリンダが取り付けられている。調整シリンダは、細長い加圧ピンと結合され、これら加圧ピンが、その縦軸により作用軸−この作用軸に沿って、圧縮力がエッジングロール用の軸受装置に加えられる−を規定する。この場合、加圧ピンがバランス取りトラバースを貫通し、これにより、それぞれの調整シリンダの圧縮力が、バランス取りトラバースの作業側で、エッジングロール用の軸受装置に伝達可能である。エッジャフレームとバランス取りトラバースの間に補助要素が配置され、この補助要素と、バランス取りシリンダの操作部材が結合され、補助要素が、2つの枢着部によりバランス取りトラバースの駆動側と結合されている。
【0017】
本発明の最後に挙げた実施形態の場合、バランス取りシリンダにより発生されるリセット力が、補助要素を介して分岐されてバランス取りトラバースに伝達されるとの利点が生じる。枢着部−これら枢着部により、補助要素は、バランス取りトラバースも駆動側と結合されている−が、作用軸と重なり合うか、直接的に作用軸に隣接するように延在するか、のどちらかにより、軸受装置に作用する引張力と圧縮力の相互作用により、せいぜい全く傾倒モーメントが発生されず、これにより、傾倒等が回避されることが保証されている。
【0018】
バランス取りシリンダと調整シリンダに関して、本発明のこれら構成要素が、必ずシリンダ状に形成されている必要があるのではなく、むしろそれぞれの操作機構−この操作機構により、適切な圧縮力もしくは引張力が発生され得る−として理解すべきであることを指摘したい。これを考慮して、バランス取りシリンダもしくは調整シリンダは、油圧又は電気により駆動可能である。調整シリンダに関して、エッジングロールを圧延材に押し付けるため、その単純化のために一方向の、即ち圧延材の方向の操作しか行なうことができないことを別個に指摘したい。反対方向への調整シリンダの操作は、必要ない。何故なら、バランスシリンダにより引張力を加える際及びバランス取りトラバースを相応に移動させる際、調整シリンダは、加圧ピンの自由な端面との軸受装置の接触により、自動的にリセットされるからである。
【0019】
本発明の有利な発展形では、エッジングロール用の軸受装置に、接触面が形成可能で、この接触面と、加圧ピンの端面が、対応付けられた調整シリンダの操作時に接触可能である。この接触面は、好ましくは適切に硬化可能であり、これにより、加圧ピンの端面との頻繁な接触による接触面の早期の摩耗が回避される。
【0020】
本発明の有利な発展形では、加圧ピンの端面と軸受装置の接触面との間の接触箇所が、湾曲されて形成可能で、例えば、この接触箇所に点接触又は面接触が生じるようになっている。これにより、加圧ピンの端面と軸受装置の間の可能な傾倒が防止され、加圧ピンが軸受装置を押した時に、圧延材の方向の軸受装置の、従ってエッジングロールの正確な直線ガイドが保証される。前記接触個所の湾曲された形成は、加圧ピンの端面及び/又は軸受装置の対応付けられた接触面が、それぞれ凸に形成されていることによって達成され得る。
【0021】
接触個所に関して、本発明の前記全ての実施形態に対して、この場合、互いに接触する物体の面が、それぞれ湾曲されて形成可能であることを指摘したい。これに対して選択的に、接触個所で互いに接触する物体の内の一方の物体が凸の面を備え、それぞれ他方の物体が凹の面を備えることも可能である。
【0022】
本発明は、“スリム”なモジュール構造によって際立っている。機械的な構成要素の協働は、継ぎ目等内の全ての遊びを排除しつつ本発明による装置の完全なバランス取りを保証する。
【0023】
本発明による装置は、全ての公知のタイプのエッジングスタンドで使用することができ、しかも(工場の床の上又は下の)駆動システムに依存しない。この場合、エッジングスタンドの適用分野は、例えば狭いスペース状況下でも拡大され得る。最後に、本発明による装置の場合、その構成要素の整備及び/又は交換が実質的に単純化されている。
【0024】
エッジングロールの現在の位置の逆推理を得ることができるように、少なくとも1つの距離センサが設けられている場合が、本発明にとって更に有利である。この目的のため、距離センサは、評価装置と信号接続しており、その場合、この評価装置により、エッジングロールの現在の位置が決定可能である。
【0025】
本発明の有利な発展形では、化装置と信号接続した制御装置を設けることができる。相応に、距離センサの測定信号は、制御装置内で処理され得る。制御装置により、バランス取りシリンダ及び/又は調整シリンダが、距離センサの測定信号に依存して駆動可能である。この場合、バランス取りシリンダ及び/又は調整シリンダの駆動は、制御して行なうことができ、この目的のため、バランス取りシリンダ及び調整シリンダ用の制御装置は、制御回路を装備している。
【0026】
本発明の有利な発展形では、バランス取りシリンダ及び調整シリンダのそれぞれ現在の位置が、距離センサによって監視され得る。この目的のため、このような距離センサは、バランス取りシリンダ及び調整シリンダに隣接するように配置されている。その場合、これら距離センサが信号技術により評価装置と接続されていることにより、バランス取りシリンダもしくは調整シリンダの操作部材のそれぞれ現在の位置は、評価装置によって決定され得る。この関係で、バランス取りシリンダ及び/又は調整シリンダの駆動が、その操作部材の予め決定された位置に依存して、場合によっては付属する基準位置を考慮して行なわれる。場合が、更に有利である。この場合、バランス取りシリンダ及び/又は調整シリンダの駆動は、制御して行なうこともできるが、即ち、これには、そのため制御回路を有する制御装置による。
【0027】
以下で、本発明の実施例を、概略的に単純化された図面により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明による装置の単純化された横からの横断面図
【
図2】別の実施形態による本発明による装置の単純化された横からの横断面図
【
図3】別の実施形態による本発明による装置の単純化された横からの横断面図
【
図4】更に別の実施形態による本発明による装置の単純化された横からの横断面図
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1〜4には、本発明による装置1のそれぞれ異なる実施形態が示されている。この場合、同じ部分に対して、それぞれ同じ符号が使用される。
【0030】
図1は、エッジングロール10と、内部に2つのバランス取りシリンダ14を取り付けられたエッジャフレーム12を有する装置1の単純化された横からの横断面図を示す。エッジングロール10とエッジャフレーム12の間に、駆動側18と作業側19を備えるバランス取りトラバース16が配置されている。バランス取りトラバース16の作業側19には、軸受装置20が、好ましくは噛合い係合式に固定され、この軸受装置20は、上のエッジングロールチョック21と下のエッジングロールチョック22を有する。エッジングロール10は、これらエッジングロールチョック21,22の間に支承されて収容されている。エッジングロール10の並進的な好ましくは水平な移動は、エッジングロールチョック21,22がそれぞれガイドレールF上に可動に収容もしくは支承されていることによって、保証されている。
【0031】
バランス取りシリンダ14は、それぞれ操作部材15を有し、これら操作部材15は、枢着部24により、バランス取りトラバース16の駆動側18と結合されている。
【0032】
エッジャフレーム12内で、両バランス取りシリンダ14の間に、調整シリンダ26が取り付けられ、この調整シリンダの操作部材27は、補助要素30と協働する。補助要素30は、バランス取りトラバース16の駆動側18に対向するように2つの加圧ピン32を備え、これら加圧ピンは、バランス取りトラバース16内に形成された貫通穴34を経て軸上装置20もしくはエッジングロールチョック21,22の方向に延在する。
【0033】
調整シリンダ26の操作部材27の前方の自由端は、シリンダヘッド36を介して補助要素30と結合可能である。これに対して選択的に、操作部材27の前方の自由端を、ジョイント継手を介して保持要素30と結合することも可能である。
【0034】
この場では、
図1が、右端の垂直な対称線に基づいて、本発明による装置の半断面だけを図示することを指摘したい。
【0036】
調整シリンダ26の操作時に、その操作部材27が、外に向かって、即ち
図1の図面平面内で左から右に向かって移動される。これにより、補助要素30は、これと関係して両加圧ピン32も、同じ方向へ移動され、次に、加圧ピン32の自由な端面が、エッジングロールチョック21,22と接触する。加圧ピン32は、その縦軸によりそれぞれ1つの作用軸28を規定し、この作用軸に沿って、調整シリンダ26によって発生された圧縮力が、軸受装置20に、従ってこの軸受装置内に支承されて収容されたエッジングロール10に伝達される。調整シリンダ26が今説明したように圧縮力を軸受装置20の方向に加える間、バランス取りシリンダ14によって、引張力がバランス取りトラバース16に加えられる。調整シリンダ26によって発生された圧縮力とバランス取りシリンダ14によって発生される引張力の相互作用により、装置1の継ぎ目は、有利には遊びをなくされ、これから、(示してない)圧延材の方向のエッジングロール10の高精度の並進的移動が生じる。圧延材に対するエッジングロール10の調整のために、調整シリンダ26によって発生される圧縮力が、バランス取りシリンダ14によって発生される引張力よりも大きいことがわかる。
【0037】
図1の図は、作用軸28−この作用軸に沿って圧縮力が軸受装置20に加えられる−が、直接的にそれぞれの枢着部24に隣接するように延在し、これら枢着部によって、相応のバランス取りシリンダ14の操作部材15が、バランス取りトラバース16の駆動側18と結合されていることを明らかにする。従って、一方ではバランス取りシリンダ14の、他方では調整シリンダ26の力が相殺されるべきでないもしくは平衡状態でない場合でも、バランス取りトラバース16及びこれに取り付けられた軸受装置20に傾倒モーメントが作用せず、これにより、エッジングロール10の正確な調整が保証されたままである。
【0038】
エッジングロール10の(示してない)圧延材に対する調整が、調整シリンダ26の操作だけによって行なわれ、バランス取りトラバース16内の貫通穴34を経て軸受装置20の方向に延在する加圧ピン32が、エッジングロールチョック21,22を押すことを、もう一度指摘したい。この場合、同時に、バランス取りシリンダ14によって引張力が加えられ、この引張力が、枢着部24を介してバランス取りトラバース16に作用し、その結果、装置1の構成要素の間に遊びがないことがもたらされる。単純化された実施形態によれば、調整シリンダ26は、その操作部材27が、一方向にだけ、即ち
図1の図面平面内で左から右に向かってだけ力を加えるように形成可能である。その場合、反対方向の、即ち
図1の図面平面内で右から左に向かう調整シリンダ26のリセットは、調整シリンダ26が無力にされ、バランス取りシリンダ14によって更に引張力がバランス取りトラバース16に加えられた時に、自動的に行なわれ得る。
【0039】
図2は、本発明による装置1の別の実施形態を示す。この場合、
図1の実施形態に対する発展形では、加圧ピン32をその水平移動時に並進的に案内するために、貫通穴34内に滑り軸受38が収容されている。その他、
図2の実施形態の残りの部分は、
図1のそれに一致するので、繰返しを避けるために、
図1の説明を参照されたい。
【0040】
図3は、補助要素30が、エッジャフレーム12に対向するように2つのガイドピン40を備え、これらガイドピンが、それぞれ、エッジャフレーム12内に設けられた滑り軸受42内に縦方向に可動に案内されている、装置1の別の実施形態の単純化された横からの横断面図を示す。合目的にガイドピン40と加圧ピン32はワンピースに形成されている。
【0041】
図4は、
図2と3の実施形態の組合せに相当する本発明による装置1の別の実施形態の単純化された横からの横断面図を示す。これは、
図4による実施形態の場合、加圧ピン32とガイドピン40の両方が滑り軸受34もしくは42内に縦方向に可動に案内され、これら滑り軸受が、バランス取りトラバース16もしくはエッジャフレーム12内に設けられていることを意味する。滑り軸受34もしくは42は、ガイドブッシュとして形成可能である。これに対して選択的に、このような滑り軸受をフラットガイドとして又は球状に形成する形態で形成することも可能である。いずれにしても、滑り軸受は、加圧ピンもしくはガイドピン32,40のそれぞれの横断面形状に適合されている。
【0042】
加圧ピン32と同様に、ガイドピン40も、その横断面を適当に、例えば円形、正方形、長方形、三角形又は多角形に形成可能である。特に、ガイドピン40及び加圧ピン32がワンピースに形成されている場合は、その横断面が同一であることが合目的である。
【0043】
図2〜4による実施形態に関して、加圧ピン32もしくはガイドピン40の対応付けられた滑り軸受内での案内が、補助要素30の並進的移動の精度をさらに改善し、これにより圧延材に対するエッジングロール10の調整が最適化されている。
【0044】
本発明による装置1の全ての実施形態に関して、バランス取りシリンダ14が、調整シリンダ26と比べてはるかに大きい移動距離を
圧延トレインの中心の方向に備え得るように形成可能であることを指摘したい。従って、バランス取りシリンダ14の相応の操作により、例えばエッジングロール10の整備又は交換のために、軸受装置20を、従ってエッジングロール10も、圧延トレインの中心にまで移動させることが可能である。圧延トレインの中心の方向の軸受け装置20のこのように長い移動時に、調整シリンダ26は、作動されず、加圧ピン32も移動されない。何故なら、その端面は、エッジングロールチョック21,22に固定されていないからである。
【0045】
バランス取りシリンダ14及び調整シリンダ26のために、それぞれ距離センサ44を設けることができ、これら距離センサにより、相応のバランス取りシリンダ14の操作部材15もしくは調整シリンダの操作部材27のそれぞれ現在の位置が決定可能であり、その場合、同様に、軸受装置20及びこれに支承されたエッジングロール10の現在の位置の逆推理も可能である。このため、距離センサ44は、(示してない)評価装置と信号技術で接続されている。
【0046】
更に、距離センサ46を、エッジングロール10用の軸受装置20に隣接するように設けることが可能であり、この距離センサ46も(示してない)評価装置と信号技術で接続されている。相応に、この距離センサ46及びこれと接続された評価装置により、ロールスタンド内の軸受装置20及びこれに支承されたエッジングロール10の現在の位置が直接的に決定され得る。
【0047】
単純化のために、距離センサ44,46は、
図1の実施形態のためだけに象徴的に著しく単純化されて図示され、同様に、
図2〜4の実施形態のために設けることもできる。
【0048】
バランス取りシリンダ14及び調整シリンダ26用の距離センサ44と軸受装置20用の距離センサ46の両方が設けられている場合、これら距離センサ44,46は、信号技術で共通の評価装置と接続可能である。
【0049】
バランス取りシリンダ14及び調整シリンダ26の操作は、(示してない)制御装置によって行なうことができる。このため、制御装置は、評価装置と信号技術で接続していることができ、これにより、バランス取りシリンダ14及び/又は調整シリンダ26の駆動は、少なくとも1つの距離センサの測定信号に依存して行なわれる。これは、バランス取りシリンダ14及び/又は調整シリンダ26が、その操作部材15,27のそれぞれ現在の位置もしくはロールスタンド内のエッジングロール10の現在の位置に依存して、場合によってはまた対応付けられた基準位置を考慮して、駆動されることを意味する。制御装置によるバランス取りシリンダ14及び調整シリンダ26の操作は、合目的に、制御された形式で、行なうことができ、このため、制御装置は、相応の制御回路を装備されている。最後に、評価装置及び制御装置が共通の制御機器に統合することもできることを指摘したい。
【符号の説明】
【0050】
10 エッジングロール
12 エッジングフレーム
14 バランス取りシリンダ
16 バランス取りトラバース
18 駆動側
19 作業側
20 軸受装置
24 枢着部
26 調整シリンダ
27 操作部材
28 滑り軸受
30 補助要素
32 加圧ピン
40 ガイドピン
44 距離センサ
46 距離センサ