(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644214
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】万能ケース
(51)【国際特許分類】
A47G 21/00 20060101AFI20200130BHJP
【FI】
A47G21/00 J
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-73804(P2017-73804)
(22)【出願日】2017年4月3日
(65)【公開番号】特開2018-174969(P2018-174969A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年3月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】317003534
【氏名又は名称】株式会社リンショウ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 靖昌
【審査官】
石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−039417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 11/34
A47G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛筆、ボールペンや万年筆、歯ブラシ、スプーンやフォークなどを取付可能で、それら状態に
おいて腕に固定する機能を有していることを特徴とする箱。
【請求項2】
六角形の把持部の筆をその六角形の角度をずらすことを利用し、固定させて取り付けることが
できる機能を有していることを特徴とする請求項1記載の箱。
【請求項3】
先端部分にいくに従って把持部分がテーパ状のボールペンや万年筆を上下脱着可能なテーパ状
からなる変換部材の形状を利用し、固定させて取り付けることができる機能を有していることを
特徴とする請求項1記載の箱。
【請求項4】
先端から後端まで把持部分が等幅のボールペンや万年筆であってもクリップ部が付随したもので
あれば、そのクリップ部を溝に従わせることにより、固定させて取り付けることができる機能を
有していることを特徴とする請求項1記載の箱。
【請求項5】
先端部分にいくに従って把持部分がテーパ状の歯ブラシ及び、スプーンやフォークを上下脱着
可能なテーパ状からなる変換部材の形状を利用して、固定させて取り付けることができる機能を
有していることを特徴とする請求項1記載の箱。
【請求項6】
先端部分にいくに従ってテーパ状の把持部分の幅が大きな歯ブラシ及び、把持部分の幅が太い
スプーン、フォーク、レンゲの場合や太いボールペンや万年筆であっても、上下脱着可能な
テーパ状からなる変換部材の形状を利用して、固定させて取り付けることができる機能を有して
いることを特徴とする請求項1及び、2〜5のいずれか1つに記載の箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記用具や歯ブラシ及び、スプーンやフォークを固定出来得る収納箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時の少子高齢化社会の現状において介護現場では常に人手不足が深刻であり、障害者や高齢者にとっては日常作業の自立がまだまだ困難である。そこで少しでも人材不足の解消につながり、障害者や高齢者にとってある程度自立支援するべく、その簡易性や日常作業への負担を軽減し、なおかつどこにでも携帯可能な収納箱を提供する必要があった。なお、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものではないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来においては、高齢者や障害者は介護職員や家族が日常を補助する必要があった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、孤独な高齢者及び金銭的理由等により介護を受けることができない者及び、障害者が自立して日常作業を行うことができる収納箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、日常生活において必要最低限な道具を収納でき、本体部と蓋部がそれぞれ形成された一つの部材からなる箱であって、前記蓋部が本体部の下部分に装着できる機能を有していることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の箱において、本体部と蓋部が脱落しないように結束バンドを使用し、固定する機能を有していることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の箱において、六角形の把持部の筆をその六角形の角度をずらすことを利用し、固定させて取り付けることができる機能を有していることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の箱において、先端部分にいくに従って把持部分がテーパ状のボールペンや万年筆を、同じくテーパ状からなる形状を利用し、固定させて取り付けることができる機能を有していることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の箱において、先端から後端まで把持部分が等幅のボールペンや万年筆であってもクリップ部が付随したものであれば、そのクリップ部を溝に従わせることにより、固定させて取り付けることができる機能を有していることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の箱において、先端部分にいくに従って把持部分がテーパ状の歯ブラシ及び、スプーンやフォークを上下脱着可能なテーパ状からなる変換部材の形状を利用して、固定させて取り付けることができる機能を有していることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の箱において、先端部分にいくに従ってテーパ状の把持部分の幅が大きな歯ブラシ及び、把持部分の幅が太いスプーン、フォーク、レンゲの場合や把持部分の太いボールペンや万年筆であっても、上下脱着可能なテーパ状からなる変換部材の形状を利用して、固定させて取り付けることができる機能を有していることを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項1記載の箱において、請求項2記載の結束バンドを使用し、前記箱を腕に固定する機能を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、通常は各種筆記用具や食器の収納箱としてコンパクトに収納できるが、それらを使用する際には蓋部が同じ大きさと幅の本体部とを下側に連結させることにより、同じくコンパクトに装着することができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、引き出し式の本体部と蓋部が振動や傾けた時に脱落しないようにするために、結束バンドを使用し本体部と蓋部が脱落しないようにできる。
【0015】
請求項3の発明によれば、市販されている六角形の鉛筆のそのほとんどが先端部から後端部まで等幅のものであり、芯出しのための削り部分しかテーパ状になっていないため固定にはすり抜けてしまうが、先端部にいくに従い六角の角度をずらすことにより等幅の六角形の鉛筆でもしっかり固定させることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、六角形ではない円柱状のボールペンや万年筆であってもテーパ状になっていれば、そのテーパ状を利用した同じくテーパ状になっている上下脱着可能な本体部材を使用して固定させることができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、六角形ではない円柱状のボールペンや万年筆でテーパ状になっていないものであっても、クリップ部が付随したものであれば、そのクリップ部を本体部にある溝を使用して固定させることができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、先端部分にいくに従って把持部分がテーパ状の歯ブラシ及び、スプーンやフォークを上下脱着可能なテーパ状からなる変換部材の形状を利用して、固定させて取り付けることができる。
【0019】
請求項7の発明によれば、先端部分にいくに従ってテーパ状の幅が大きな歯ブラシやスプーン、フォーク、レンゲの場合及び、六角形ではない円柱状の太いボールペンや万年筆であっても、上下脱着可能な変換部材を逆に取り付けて使用させることにより、幅の大きな歯ブラシやスプーン、フォーク、レンゲ及び、六角形ではない円柱状の太いボールペンや万年筆を固定させることができる。
【0020】
請求項8記載の発明によれば、請求項2記載の脱落固定のための結束バンドを使用し、前記箱を腕に固定させることにより障害者や指先が不自由な者でも歯磨きや筆記及び食事を摂る事ができ、自立を可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】同箱(ケースとして機能する状態)を示す外観図
【
図3】同箱(ケースとして機能する状態)を示す各方面図
【
図5】同箱(分解した状態の本体部)を示す各方面図
【
図7】同箱本体部の底面Zに蓋部を装着する状況を示す外観模式図
【
図8】同箱本体部の底面Zに蓋部を装着する状況を示す正面及び背面を示す模式図
【
図9】同箱(六角形の筆の取付け方法及びその状態)を示す外観模式図
【
図11】同箱(ボールペンや万年筆の取付け方法及びその状態)を示す外観模式図
【
図13】同箱(食器の取付け方法及びその状態)を示す外観模式図
【
図15】
図13の取付けに関する仕組みと固定方法を示す構造図
【
図16】同箱(歯ブラシの取付け方法及びその状態)を示す外観模式図
【
図17】同箱(サイズの大きな機具の取付けに関する変換方法)を示す外観模式図
【
図18】同箱(サイズの大きな機具の取付けに関する変換方法)を示す各方面図
【
図20】同箱(腕に装着する方法と状態)を示す外観図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る箱は、通常では生活用品や筆記用具及び食器を収納するためのもので、
図1〜3が示すように箱として使用するが、本体部Aと蓋部B及び、それらを固定させるための結束バンドCの3点により構成されている。(
図4〜6参照)
【0023】
図4に示すようにこれら3点A、B、Cはそれぞれ独立しており、箱状態ではA3スライド溝にB5部分がスライド挿入され箱状態を維持している。(
図4〜6参照)しかしながら通常スライドさせているだけなので衝撃や振動を与えることにより、AとBが脱落してしまう。そこで脱落させないために
図4のCを使い、Y部の溝及び、B4の貫通穴に通しながらそしてX部の溝を利用して、衝撃や振動から脱落しないようA、B、Cを固定させ防いでいる。
【0024】
一方、
図7が示すように蓋部のB1部分が本体部の下部分Zゾーンに挿入しに連結させることができる。いわゆる本体部と蓋部で構成されていた箱の蓋が外れ、逆の状態である本体の下に蓋が付随した形状に装着することができる。(
図8参照)
【0025】
ここでは六角形の筆記用具(先端方面から後端方面まで等幅)の装備を説明する。
図9のL1部分に六角形形状の筆をA部を逆さまにした状態で設置する。前記で説明したZゾーンから挿入されたB1が筆の上部を通過し、B3部が筆の後方を押し出すようにして、L射出口からその先端が突出する状態になる。
【0026】
ただしこのままB3部を押し出し続けると
図10のG1=G2により、やがて六角形の筆はその全部を吐出してしまう形になる。
【0027】
そこで
図10のようにL射出口の部分手前側から、徐々に六角形自体の角度をずらしてねじらせていくことにより、レンチでナットがなめる様相を応用し六角形の筆を一定量だけ射出させて固定させることができる。
【0028】
ここからは円筒状のボールペンや万年筆の装備を説明する。
図11のN1部分に円筒状のボールペンや万年筆をA部を逆さまにした状態で設置する。前記で説明したZゾーンから挿入されたB1がそれら筆の上部を通過し、B3部が筆の後方を押し出すようにして、N射出口からその先端が突出する状態になる。
【0029】
やはりこのままB3部を押し出し続けると
図12のK1=K2により、やがて円筒状の筆はその全部を吐出してしまう形になる。今回は円筒状のため六角形形状のねじれを利用した方法での固定ができないため、これら筆を固定させるためには、筆自体がQ部やR部のような先端方面に向かうにしたがってテーパ状でなければならない。この場合、本体側P部のテーパ部を利用し固定する方法をとる。
【0030】
しかしながら円筒形でありなおかつ、先端方面に向かうにしたがいテーパ状になっていない、ボールペンや万年筆の場合を固定させる方法は
図12のD部分である、筆に装備されているクリップ部を利用し固定する。方法はN2に掘られた溝にDをはめ込むことにより、ある一定量筆の先端を射出させながら固定させることができる。
【0031】
ここからはスプーンやフォークなどの食器の装備を説明する。
図13のM1部分にスプーンやフォークなどの食器をヘッド部を最初から出した状態でA部を逆さまにし設置する。前記で説明したZゾーンから挿入されたB1がそれら食器の上部を通過し、B3部が食器の後方を押し出すようにして、M射出口からヘッドが出た状態のまま一定量食器が突出する状態になる。
【0032】
固定方法として
図14のS1からS2にかけてのテーパ部を利用し、本体部Pのテーパ部を使用することにより固定できる。
【0033】
そして
図14のS3やS4を本体部B2が底支えとなりながら押し出すことにより、P1空間内で食器のもつ曲線を利用しバタつきを抑止することができる。
【0034】
これら器具を装備するにあたり、押し出す力を一定量で保持していかなければ実際の固定はできない。そこで
図15のB6のノッチをA4のツメを従わせることにより、逆戻りをさせないよう作用することができる。このノッチはできる限り細かく刻むことにより繊細な射出設定が可能である。そして器具を取外す場合はA4ツメを引き上げることによりB部全体をA部から離脱させることにより可能となる。なおこの機構はC部で使用される結束バンドと同様の仕様である。
【0035】
ここからは歯ブラシの装備を説明する。
図16のM1部分に歯ブラシをヘッド部を最初から出した状態でA部を逆さまにし設置する。前記で説明したZゾーンから挿入されたB1が歯ブラシの柄の上部を通過し、B3部が歯ブラシの後方を押し出すようにして、M射出口からヘッドが出た状態のまま一定量歯ブラシが突出する状態になる。
【0036】
しかしながら歯ブラシの場合、そのほとんどが樹脂製であるため柄の部分が肉厚であったり幅が広いものが多い。そこでそれに対応するために
図17のA2をA1から上下逆に嵌め変えることにより、M射出口の大きさを変えることが可能となり前述歯ブラシや樹脂製食器及び、レンゲ等も装着することができる。
【0037】
ところがA2をA1から嵌め変えする場合、器具を装着させるためには後方からB3を使い押し出す状態となりその力は前後に作用する。よって嵌め変えが簡単な前後方向であるとA2も同じく押し出してしまうことになってしまう。これを防止するためにA2を上下方向により嵌め変えさせることで可能となる。それをガイドするためにJ1、J2突出部がA2に形成されている。これを支え受ける部分が
図17、18のH1、H2である。
【0038】
A2部を詳細に表した
図18はそれぞれE1、F1方向と一度取り外して嵌め変えしたE2、F2が下側に装着されていることにより器具の大きさや太さに変化させ対応していることを示す。
【0039】
ここでは箱を人体の腕部分に装着させることを説明する。
人体の腕部分はそのほとんどが曲面で構成されていることを考慮すると、曲面を利用した構造で装備させることが理想であるが、食器や筆記用具、歯ブラシ等の力の作用する動作を前提とする場合、人体に触れる部分は回転させないよう作用させるために面部分をもたせることで、回転を防止することができる。よってB部が曲面を使用していないことでこの形成になった。
【0040】
図19で示すようにB4にC部材を通し、Cを輪状させ
図20のT部に腕を通す形から結束バンドの習性を利用し締め上げ固定させることができる。これにより指先が不自由な者や介護が必要な者が自立して日常動作を行うことが可能となる。
【0041】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えばC部材を素材の柔らかい(マジックテープ)(登録商標)やゴムバンドを使用しても良い。
【0042】
さらに、本体部と蓋部が連結可能とされ装着可能であれば、人体以外の部位(義手やロボットやその他補助装置)に取り付けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本体部と蓋部が一つの箱状部材を連結可能とされ、その連結状態で蓋の部分が腕に装着可能な箱であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
A 本体部
A1 格納部
A2 器具固定変換部
A3 B部材スライド固定レール部
A4 B6部スライド固定ツメ部
B 蓋部
B1 挿入部
B2 器具底面固定部
B3 器具押出部
B4 C部材取付穴
B5 A部材スライド固定板部
B6 ノッチ部
C 結束バンド(脱落防止兼装着手段)
D クリップ部
E1 器具装着部サイズ(四角小)
E2 器具装着部サイズ(四角大)
F1 器具装着部サイズ(円大)
F2 器具装着部サイズ(円小)
G1 六角形の筆先端方面の幅
G2 六角形の筆後端方面の幅
H1 スリット部
H2 スリット部
J1 凸部
J2 凸部
K1 万年筆の先端方面の幅
K2 万年筆の後端方面の幅
L 六角形の筆突出口
L1 六角形の筆装着部
M 食器突出部
M1 食器、歯ブラシ装着部
N 万年筆突出部
N1 万年筆装着部
P 本体部テーパ部
P1 器具固定スペース
Q 曲線テーパ状
R 直線テーパ状
S1 食器の最小幅
S2 食器の最大幅
S3 食器の高低差
S4 食器の高低差
T 腕固定スペース
X 蓋部C部材固定スペース
Y 本体部C部材固定スペース
Z B1受側スペース