特許第6644239号(P6644239)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644239
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20200130BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20200130BHJP
   G03G 15/043 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   G03G15/00 303
   G03G21/00 510
   G03G21/00 500
   G03G15/043
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-81992(P2015-81992)
(22)【出願日】2015年4月13日
(65)【公開番号】特開2016-200758(P2016-200758A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2018年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000165136
【氏名又は名称】桂川電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 保
(74)【代理人】
【識別番号】100175536
【弁理士】
【氏名又は名称】高井 智之
(72)【発明者】
【氏名】愛甲 貴之
(72)【発明者】
【氏名】橘高 英治
(72)【発明者】
【氏名】吉田 隆
(72)【発明者】
【氏名】藏本 伸也
【審査官】 田代 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−120322(JP,A)
【文献】 特開2011−064765(JP,A)
【文献】 特開2004−101628(JP,A)
【文献】 特開2003−015398(JP,A)
【文献】 特開2013−164517(JP,A)
【文献】 特開2005−062325(JP,A)
【文献】 特開2001−337528(JP,A)
【文献】 特開2011−081351(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0067882(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 15/043
G03G 21/00
B41J 2/47
H04N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光ドラム、及び該感光ドラムの移動方向に配置され感光ドラムの表面を所定の電位に帯電する帯電部と、該帯電部によって帯電された感光ドラムの表面を像露光して静電潜像を形成するLEDアレイからなる露光部と、前記露光部によって前記感光ドラム上に形成された前記静電潜像を現像ローラ上のトナーによってトナー像を形成する現像部とを備え、前記露光部は、画像データから潜像データを形成する潜像データ形成部と、LEDの発光を制御し像露光を制御する発光制御部から構成され、前記現像ローラ上のトナーは、層厚・帯電量が規制され帯電され、前記感光ドラムと対向する領域に搬送されて、前記露光部によって複数個のラインによって構成される1ドット毎によって構成される静電潜像の書き込みによって前記感光ドラムの外周面に形成された静電潜像を現像し、前記トナーにより現像された静電潜像を転写材に転写する画像形成装置であって、
前記潜像データ形成部は、前記静電潜像の各ドットにおける第1ラインの点灯強度を示す前記露光部から発光される画像データに基づいて潜像データを生成し、
前記潜像データ形成部は、前記潜像データを生成する際に、該潜像データに基づいて、細い線の個所の印刷濃度を前記潜像データよりも濃くするためのエンハンス補正を行う第2ライン及び第3ラインの点灯強度を示すエンハンス補正データを生成するエンハンス部を備え、
前記潜像データ形成部によって生成される前記潜像データは、前記露光部の主走査方向と該主走査方向に直交する該露光部の副走査方向とにマトリクス状に配置される複数のドット毎のドットゲインからなるデータであって、さらに、前記潜像データ形成部は、該ドット毎の潜像データを生成する潜像形成部を備え、
前記潜像形成部は、各潜像データに基づいて、各ドットから前記現像ローラの1回転分相当前となる参照先のドットにおけるドットゲインを参照し、参照元となる各ドットの第4ラインの点灯強度を制御する発光制御用のゴースト補正データを生成するゴースト補正部と、
前記ゴースト補正部により生成される前記現像ローラ1回転分相当前のドットである参照先のドットのドットゲインに基づいて決定されるゴースト補正データを補正するゴースト補正手段と、
を備えてなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記発光制御部は、前記潜像データの前記ドット毎に、少なくとも2回以上前記露光部を発光制御する手段からなり、
前記発光制御部による前記少なくとも2回以上の前記露光部の発光は、
前記潜像データ形成部により生成される前記ドット毎のドットゲインに従った第1の発光と、
前記参照先のドットのドットゲインに基づいて、前記ゴースト補正手段により生成される前記参照元のドットのドットゲインを補正する補正量に従った第2の発光と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
当該画像形成装置が設置される周囲の環境を検出する検出手段を備え、該検出手段で検出される周囲の環境に対応した補正極性と、該補正極性に対応した前記参照元のドットのドットゲインの補正レベルとをテーブルデータとして格納する格納手段とを備え、
前記ゴースト補正手段は、前記検出手段で検出される周囲の環境と、前記現像ローラの1回転分相当前の参照先のドットにおけるドットゲインとに応じて、前記格納手段を参照し、得られた補正極性と補正レベルとに基づいて、前記第2の発光を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に係わり、特に、プリンタや複写機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の一つとして、例えば電子写真技術を応用したものがあり、かかる装置においては、感光ドラム等の像担持体と、該感光ドラムの回転方向に順に配置された、感光ドラム表面を所定の極性の電位に帯電する帯電部と、帯電された感光ドラム表面を像露光して静電潜像を形成する露光部と、該静電潜像を現像ローラ等の現像剤担持体を用いて現像剤(トナー)を付着させ現像剤像を形成する現像部と、該現像剤像を紙等の転写材上に転写する転写部と、転写材上の現像剤像を定着させる定着部等とから構成されている。露光部は、画像データから潜像データを形成する潜像形成部と、像露光の発光を制御する発光制御部から構成されている。
【0003】
特に、現像部は、現像ローラ、規制ローラ、供給ローラ等から構成され、現像ローラ上には所定の厚さに制御されたトナー層が形成される構成となっている。現像ローラは感光ドラムに押圧され、該現像ローラと感光ドラムとの接触面が同一方向となるように回転制御され、上述のように現像ローラ上のトナーにより感光ドラム表面の静電潜像を現像する。供給ローラは、リセットローラとも呼ばれ、現像ローラに押圧され、該現像ローラと供給ローラの接触面が対向する方向となるように回転制御され、現像ローラ上の古いトナーを剥ぎ取ると同時に新しいトナーを供給する。また、規制ローラは現像ローラに押圧され、該現像ローラと規制ローラとの接触面が対向する方向となるように回転制御され、現像ローラから感光ドラムに供給するトナーが層厚・帯電ともに所望の層を得るように、現像ローラ上のトナーを規制する。
また、カラーの画像形成装置では、例えば現像部はY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の4色の現像装置からなり、各色の現像装置で現像された現像剤像を同一の転写材に転写することにより、カラー画像の印刷を行う構成となっている。
【0004】
このような構成からなる画像形成装置では、例えば、図4に示すベタ画像データを印刷した場合であるにも関わらず、図5に示すように、印刷開始位置から現像ローラの1回転相当の長さとなる印刷濃度の濃い印刷領域P1に続いて、印刷領域P1よりも印刷濃度の薄い印刷領域P2が印刷されてしまう場合がある(以下、本明細書中においては、このタイプのゴーストを『ネガゴースト』と称す)。また、同じベタ画像データの印刷であっても、図6に示すように、現像ローラの1回転相当の長さとなる印刷濃度の薄い印刷領域P3に続いて、印刷領域P3よりも印刷濃度の濃い印刷領域P4が印刷されてしまう場合もある(以下、本明細書中においては、このタイプのゴーストを『ポジゴースト』と称す)。
【0005】
なお、図4−6中に示す白抜きの矢印は転写材の送り方向であり、白色又は黒色の丸印はそれぞれの領域を明示するための印である。また、現像ローラの周長と、それに対応する画像の長さは、現像ローラ周速度と感光ドラム周速度が異なるので、寸法的には一致しない。このため、本明細書中においては、『画像上での現像ローラ1回転分相当の位置』を、適宜、『現像ローラ1回転分の周長位置』と記している。
【0006】
前述するベタ画像データの印刷時において、印刷濃度に濃淡が生じる原因の一つに、現像ローラが感光ドラムに供給するトナーにおける帯電量の過不足がある。すなわち、トナーの帯電量は、本来、現像ローラ1回転でチャージアップして飽和することが望ましいが、実際には難しく、1回転目と2回転目以降での帯電量が僅かではあるが異なる場合が多い。この1回転目と2回転目以降での帯電量の過不足が、ネガゴーストやポジゴーストとして表現されてしまう。この問題を解決するために、トナー自体の速い帯電立ち上がり特性や過帯電防止が試行錯誤され提案されているが、未だ十分に満足する結果には至っていない。
【0007】
また、トナー自体の改良の他に、現像ローラ上を1回転したトナーを、一旦、現像ローラから全部剥ぎ取った後すなわちリセットした後に、新しいトナーを供給する技術も提案されているが、実際には、一部のトナーしか入れ替えられていないため、ベタ画像や白抜きのあるベタ画像に、ゴーストが発生してしまうという問題が生じている。
【0008】
さらには、ネガゴーストやポジゴーストの発生は、同一の転写材にベタ画像のみを印刷する場合に限定されることはなく、例えば、図7図10に示すように、白抜きのベタ画像や網点のハーフトーン領域を有するベタ画像においても、ネガゴーストやポジゴーストが発生する。以下、詳細に説明する。
【0009】
図7に示すように、現像ローラの1回転分相当の長さの印刷領域P5内に白色領域P6が形成される画像を印刷した場合、ネガゴースト発生時は、図8に示すように、印刷開始位置から現像ローラの1回転相当の長さとなる印刷領域P1と、白色領域P6から現像ローラの1回転分相当の印刷領域P7とが、印刷濃度の濃い領域となる。このとき、印刷領域P1に続く印刷領域P2は、図5と同様に、印刷領域P1よりも印刷濃度の薄い領域となる。その結果、印刷領域P2内に印刷される印刷領域P7が目立つこととなり、特に、印刷領域P7がゴーストとして視認されてしまうこととなる。ただし、印刷領域P1,P7は同じ濃度である。
【0010】
一方、図7に示す画像を印刷した場合のポジゴースト発生時は、図9に示すように、印刷開始位置から現像ローラの1回転相当の長さとなる印刷領域P3と、白色領域P6から現像ローラの1回転相当の印刷領域P8とが、印刷濃度の薄い領域となる。このとき、印刷領域P3に続く印刷領域P4は、図6と同様に、印刷領域P3よりも印刷濃度の濃い領域となる。その結果、印刷領域P4内に印刷される印刷領域P8が目立つこととなり、特に、印刷領域P8がゴーストとして視認されてしまうこととなる。ただし、ポジゴースト発生時においても、印刷領域P3,P8は同じ濃度である。
【0011】
このような印刷領域P2,P4の発生は、現像ローラ上のトナーの内で、白色領域P6に対応する現像ローラ上のトナーは感光ドラムで現像に使用されることなく現像ローラ上に残り、他の領域(印刷領域P1,P3)に対応する現像ローラ上のトナーは感光ドラムで現像に使用されることに起因する。この現像ローラ上に残ったトナーは供給ローラで回収されると同時に、新しいトナーが現像ローラに供給される(リセット)こととなる。一方、トナーが使用された現像ローラ上には新しいトナーが供給されるのみとなるので、印刷開始位置から現像ローラの1回転相当の長さとなる印刷領域P1,P3以降の領域であっても、印刷領域P7,P8と印刷領域P2,P4とは異なる濃度の印刷となる。
【0012】
さらには、図10に示すように、現像ローラの1回転分相当よりも狭いベタ印刷領域P9内に白色領域P6が形成される領域に続いて、網点のハーフトーン印刷領域P10が形成される画像の印刷を行う場合には、ベタ印刷領域P9の影響がハーフトーン印刷領域P10内に生じてしまう。すなわち、ネガゴースト発生時には、図11に示すように、ベタ印刷領域P9に続くハーフトーン印刷領域P10内に、当該ハーフトーン印刷領域P10よりも印刷濃度の薄いすなわちハーフトーン画像データ本来の印刷濃度のよりも印刷濃度が薄いハーフトーン印刷領域P11が発生してしまう。このとき、ハーフトーン印刷領域P11は印刷領域P9から現像ローラの1回転分相当の領域となる。また、白色領域P6から現像ローラの1回転分相当のハーフトーン印刷領域P12は、ハーフトーン印刷領域P10と同じまたは実質的に同じ、同等または同様な(以下、総称して「同じ」と称す)印刷濃度となる。
【0013】
一方、図10に示す画像を印刷した場合のポジゴースト発生時は、図12に示すように、ベタ印刷領域P13に続くハーフトーン印刷領域P14内に、当該ハーフトーン印刷領域P14よりも印刷濃度の濃い印刷領域すなわちハーフトーン画像データ本来の印刷濃度のよりも印刷濃度が濃いハーフトーン印刷領域P15が発生してしまう。このときも、ハーフトーン印刷領域P15は印刷領域P13から現像ローラの1回転分相当の領域となる。また、白色領域P6から現像ローラの1回転分相当のハーフトーン印刷領域P16は、ハーフトーン印刷領域P14と同じ印刷濃度となる。
【0014】
このような特定のパターンの印刷を行った場合に生じるゴーストを解決する技術として、例えば、特許文献1に記載の画像形成装置がある。この特許文献1に記載の画像形成装置では、検査用のパターンの現像の後に、現像ローラの全域幅を有し、少なくとも現像ローラの周長以上の帯状の画像を現像させることにより、当該現像ローラから均一にトナーを消費させ、検査用パターンの現像に伴うゴーストの発生を防止する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2005−62244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、転写材の1枚目の画像印刷の影響が次の2枚目の画像印刷に影響することを防止する技術であり、前述するように、同一の転写材に印刷する画像内に生じるゴースト(ネガゴースト及びポジゴースト)を抑制することはできないという問題があった。
【0017】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、同一の転写材内に生じるゴーストを抑制することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(1)前記課題を解決するための本発明は、感光ドラム、及び該感光ドラムの移動方向に配置され感光ドラムの表面を所定の電位に帯電する帯電部と、該帯電部によって帯電された感光ドラムの表面を像露光して静電潜像を形成するLEDアレイからなる露光部と、前記露光部によって前記感光ドラム上に形成された前記静電潜像を現像ローラ上のトナーによってトナー像を形成する現像部とを備え、前記露光部は、画像データから潜像データを形成する潜像データ形成部と、LEDの発光を制御し像露光を制御する発光制御部から構成され、前記現像ローラ上のトナーは、層厚・帯電量が規制され帯電され、前記感光ドラムと対向する領域に搬送されて、前記露光部によって複数個のラインによって構成される1ドット毎によって構成される静電潜像の書き込みによって前記感光ドラムの外周面に形成された静電潜像を現像し、前記トナーにより現像された静電潜像を転写材に転写する画像形成装置であって、
前記潜像データ形成部は、前記静電潜像の各ドットにおける第1ラインの点灯強度を示す前記露光部から発光される画像データに基づいて潜像データを生成し、
前記潜像データ形成部は、前記潜像データを生成する際に、該潜像データに基づいて、細い線の個所の印刷濃度を前記潜像データよりも濃くするためのエンハンス補正を行う第2ライン及び第3ラインの点灯強度を示すエンハンス補正データを生成するエンハンス部を備え、
前記潜像データ形成部によって生成される前記潜像データは、前記露光部の主走査方向と該主走査方向に直交する該露光部の副走査方向とにマトリクス状に配置される複数のドット毎のドットゲインからなるデータであって、さらに、前記潜像データ形成部は、該ドット毎の潜像データを生成する潜像形成部を備え、
前記潜像形成部は、各潜像データに基づいて、各ドットから前記現像ローラの1回転分相当前となる参照先のドットにおけるドットゲインを参照し、参照元となる各ドットの第4ラインの点灯強度を制御する発光制御用のゴースト補正データを生成するゴースト補正部と、
前記ゴースト補正部により生成される前記現像ローラ1回転分相当前のドットである参照先のドットのドットゲインに基づいて決定されるゴースト補正データを補正するゴースト補正手段と、
を備えてなることを特徴とする画像形成装置である。
【0019】
(2)前記課題を解決するための本発明は、(1)の画像形成装置において、前記発光制御部は、前記潜像データの前記ドット毎に、少なくとも2回以上前記露光部を発光制御する手段からなり、
前記発光制御部による前記少なくとも2回以上の前記露光部の発光は、
前記潜像データ形成部により生成される前記ドット毎のドットゲインに従った第1の発光と、
前記参照先のドットのドットゲインに基づいて、前記ゴースト補正手段により生成される前記参照元のドットのドットゲインを補正する補正量に従った第2の発光と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である
【0020】
(3)前記課題を解決するための本発明は、(2)の画像形成装置において、当該画像形成装置が設置される周囲の環境を検出する検出手段を備え、該検出手段で検出される周囲の環境に対応した補正極性と、該補正極性に対応した前記参照元のドットのドットゲインの補正レベルとをテーブルデータとして格納する格納手段とを備え、
前記ゴースト補正手段は、前記検出手段で検出される周囲の環境と、前記現像ローラの1回転分相当前の参照先のドットにおけるドットゲインとに応じて、前記格納手段を参照し、得られた補正極性と補正レベルに基づいて、前記第2の発光を制御することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0021】
前述する(1)の本発明によれば、主走査方向と副走査方向とにマトリクス状に配置される複数のドット毎のドットゲインからなるドット毎の潜像データに対して、ゴースト補正手段が参照元のドットにおけるドットゲインと、参照元のドットから現像手段の1回転分相当前の参照先のドットにおけるドットゲインに基づいて、参照元のドットにおけるドットゲインを補正する構成となっている。
従って、像担持体に描画される静電潜像を現像する際の現像手段からの現像剤量が異なり、該現像剤手段の次の1回転で供給する現像剤の電荷量が異なる場合であっても、現像剤の電荷量のばらつきに伴う静電潜像の現像能力を補正することができるので、現像手段に起因するゴーストの発生を防止できる。
【0022】
前述する(2)の発明によれば、潜像データのドット毎に、発光制御手段は少なくとも2回以上露光手段を発光制御する構成であり、潜像形成手段により生成されるドット毎のドットゲインに従った第1の発光と、参照先のドットのドットゲインに基づいて、ゴースト補正手段により生成される参照元のドットのドットゲインを補正する補正レベルに従った第2の発光とによって、現像手段に起因するゴーストの発生を補正する潜像を像担持体に描画する構成となっているので、簡易な構成でゴースト補正手段を形成できるという効果を得ることができる。
【0023】
前述する(3)の発明によれば、当該画像形成装置が設置される周囲の環境を検出する検出手段を備えているので、格納手段が検出手段で検出される周囲の環境に対応した補正極性と補正レベルとをテーブルデータとして格納し、ゴースト補正手段が現像手段の1回転分相当前の参照先のドットにおけるドットゲインに応じて、格納手段を参照し、得られた補正極性と補正レベルに基づいて、第2の発光を制御する構成となっているので、簡易な構成でゴースト補正手段を形成できるという効果を得ることができる。
【0024】
本発明のその他の効果については、明細書全体の記載から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態1の画像形成装置の概略構成を説明するための図である。
図2】実施形態1の潜像形成部の詳細構成を説明するための図である。
図3】実施形態1の画像形成装置におけるドットゲイン補正の概略構成を説明するための図である。
図4】ベタ画像を示す図である。
図5図4に示すベタ画像を印刷した場合におけるネガゴーストの一例を示す図である。
図6図4に示すベタ画像を印刷した場合におけるポジゴーストの一例を示す図である。
図7】現像ローラの1回転分相当の長さの領域内に白色領域が形成される白抜きのベタ画像を示す図である。
図8図7に示す画像を印刷した場合におけるネガゴーストの一例を示す図である。
図9図7に示す画像を印刷した場合におけるポジゴーストの一例を示す図である。
図10】現像ローラの1回転分相当よりも狭い白抜きのベタ画像領域に続いて、網点のハーフトーン画像領域が形成される画像を示す図である。
図11図10に示す画像を印刷した場合におけるネガゴーストの一例を示す図である。
図12図10に示す画像を印刷した場合におけるポジゴーストの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明は省略する。
【0027】
図1は本発明の実施形態である画像形成装置の概略構成を説明するための図であり、以下、図1に基づいて、本実施形態の画像形成装置について詳細に説明する。ただし、図1は、本実施形態の画像形成装置が備える画像形成のために各構成要素の一部、即ち、帯電された感光ドラム表面を像露光して静電潜像を形成する露光部と、該静電潜像を現像剤担持体(現像ローラ)上の現像剤(トナー)によって現像剤像を形成する現像部とを示す図である。また、以下の説明では、モノクロの画像形成装置に本願発明を適用した場合について説明するが、本願発明は、モノクロの画像形成装置に限定されることはなく、カラー画像形成装置に適用可能である。カラー画像形成装置では、例えば、現像部はY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の4色の副現像部を備え、各副現像部で現像された現像剤像を同一の転写材に転写することにより、カラー画像の印刷を行う構成となっている。従って、後述する現像部の構成を、Y,M,C,Kの各副現像部に適用することにより、カラー画像形成装置にも本願発明を適用可能である。
【0028】
本実施形態の画像形成装置は、感光ドラム4、及び該感光ドラム4の移動方向に配置され感光ドラム4表面を所定の電位に帯電する図示しない帯電部、並びに帯電された感光ドラム4表面を像露光して静電潜像を形成する周知のLEDアレイからなる露光部5と、該静電潜像を現像ローラ2上のトナーによってトナー像を形成する現像部とを備える。露光部5は、画像データから潜像データを形成する潜像形成部6と、LEDの発光を制御する発光制御部から構成されている。該現像ローラ2上のトナーは、層厚・帯電量ともに所望のトナー層を得るように規制され後に、該帯電したトナーを感光ドラム4と対向する領域に搬送され、露光部5により感光ドラム4の外周面に形成された静電潜像を現像する。
【0029】
また、現像ローラ2の周側面と対向するようにして、現像剤供給体として供給ローラ1が配置されており、現像ローラ2上を1回転したトナーを理想的には一旦は全部剥ぎ取って(リセット)から、新しいトナーを供給する構成になっている。この現像ローラ2にはその周側面と対向するようにして、供給ローラ1よりも下流側に規制ローラ3も配置されており、該規制ローラ3により現像ローラ2に供給された当該現像ローラ2上のトナーを、層厚・帯電量ともに所望のトナー層となるように規制する構成になっている。このとき、規制ローラ3に付着したトナーは、回収ブレード7で掻き落とされて回収される。
【0030】
また、図1から明らかなように、供給ローラ1及び現像ローラ2並びに規制ローラ3はローラ体で形成され、感光ドラム4の回転方向(図1中の反時計方向)に対して反対方向(図1中の時計方向)に回転(回動)する構成となっている。現像ローラ2は、例えば、回転中心となる中心軸を備えるステンレス等の導電性の剛体2bの外周に、弾性を有する表面層2aを形成した構成である。また、供給ローラ1は、例えば、回転中心となる中心軸を備えるステンレス等の導電性の剛体1bの外周に、導電性ナイロン等からなるトナーの供給層1aを形成した構成である。さらには、現像ローラ2及び供給ローラ1には、周知の図示しないバイアス電源からそれぞれ所定のバイアスが供給される構成となっている。このとき、現像ローラ2は感光ドラム4に押圧され、該現像ローラ2と感光ドラム4との接触面が同一方向となるように回転制御され、供給ローラ1は現像ローラ2に押圧され、該現像ローラ2と供給ローラ1の接触面が対向方向となるように回転制御され、さらには、規制ローラ3は現像ローラ2に押圧され、該現像ローラ2と規制ローラ3との接触面が対向する方向となるように回転制御される構成となっている。
【0031】
また、本実施形態の現像部は、図示しない周知の攪拌搬送ローラ等を備え、供給ローラ1へトナーを補給する構成となっている。また、感光ドラム4の周辺には、当該感光ドラム4上の残留電荷を消去するための周知のイレーサランプ、及び感光ドラム4上に形成された現像剤像を紙等の転写材上に転写する周知の図示しない転写部が配置される構成となっている。さらには、本実施形態の画像形成装置は、転写された現像剤像を転写材上に定着させる周知の図示しない定着部や転写材を搬送する周知の図示しない搬送部等を備える構成となっている。
【0032】
次に、図2に本実施形態の潜像形成部の詳細構成を説明するための図、図3に本実施形態の画像形成装置におけるドットゲイン補正の概略構成を説明するための図を示し、以下、図2及び図3に基づいて、本実施形態の画像形成装置における各ドットのドットゲイン補正を用いたゴースト補正について詳細に説明する。ただし、以下の説明では、静電潜像の1ドット分を感光ドラム4に形成する際に、所定時間点灯するLEDの点灯回数(ライン数)の最大値が4回(4つのライン)の場合について説明するが、該LEDの点灯回数は4回に限定されない。また、ゴースト補正に使用するLEDの点灯回数も2回以上であってもよい。また、本願明細書中においては、印刷指示で入力されるデータを画像データ、該画像データに対して、γ補正等の周知の補正がなされた後の第1ライン12の点灯強度を示すデータを潜像データ、該潜像データの各ドットに対応するエンハンス補正の第2,3ライン13,14の点灯強度を示すデータをエンハンス補正データ、潜像データの各ドットに対応するゴースト補正の第4ライン15の点灯強度(点灯させない(消灯)を含む)を示すデータをゴースト補正データと記す。
【0033】
図3に示すように、本実施形態の画像形成装置においては、静電潜像の書き込みは、1ドット毎に4個のラインによって構成されている。具体的には、1ドット当たりのLED点灯が、詳しくは、第1ライン12〜第4ライン15までの4個のラインによって構成されている。すなわち、各ドットについて、書き込みを行うLEDの4回の発光によって、感光ドラム4に描画する静電潜像の1ドット分を描画する構成となっており、潜像形成部6により第1〜4ライン12〜15でのLEDの点灯強度が制御される。このとき、第1の発光としての第1ライン12は潜像データに基づいて、発光量(発光強度)が制御される構成となっている。また、例えば、細い線等は通常の印刷すなわち潜像データに基づいた印刷では、他の部分に対して薄く印刷されてしまう傾向がある。従って、潜像データよりも印刷濃度が濃くなるようなエンハンス補正をした書き込みを行うために、第2ライン13及び第3ライン14が設けられる構成となっている。さらには、本願発明の画像形成装置では、第2の発光として、現像ローラ2の1回転分前の潜像データに基づいて、補正のための書き込みを行う第4ライン15が設けられる構成となっている。なお、ゴースト補正用のラインは1つのライン(第4ライン15)すなわち1回のLEDの点灯に限定されることはなく、2つ以上のラインによりゴースト補正ラインを形成する構成であってもよい。ゴースト補正用のラインを2つ以上のラインで形成することにより、ゴースト補正の際の階調をより細かく制御することが可能となる。
【0034】
また、図2に示すように、本実施形態の潜像形成部6は、画像データに基づいて、静電潜像の各ドットにおける第1ライン12の点灯強度を示す潜像データを生成する潜像形成手段としての潜像データ形成部8を備える。また、本実施形態の潜像データ形成部8は、画像データから潜像データを生成する際に、γ補正等の周知の補正も行う。また、潜像形成部6は、潜像データに基づいて、例えば、細い線等の個所の印刷濃度を潜像データよりも濃くするためのエンハンス補正を行う第2ライン13及び第3ライン14の点灯強度を示すエンハンス補正データを生成するエンハンス部9を備える。なお、潜像データ形成部8が生成する潜像データは、露光部5の主走査方向と該主走査方向に直交する露光部5の副走査方向とにマトリクス状に配置される複数のドット毎のドットゲインからなるデータである。
【0035】
また、潜像形成部6は、各潜像データに基づいて、各ドットから現像ローラ2の1回転分相当前となるドット(以下、参照先のドットと記す)における潜像データ(ドットゲイン)を参照し、参照元となる各ドットの第4ライン15の点灯強度を制御する発光制御用のデータ(ゴースト補正データ)を生成するゴースト補正部(ゴースト補正手段)10を備える。該ゴースト補正部10によるゴースト補正データの生成は、現像ローラ1回転分相当前のドットである参照先のドットのドットゲインに基づいて決定される。
1、LED書き込みが『OFF』に相当する場合のドットゲインを A
2、LED書き込みが『ON』に相当する場合のドットゲインを B
3、補正レベルαがα≧0(ゼロ)
とした場合、
ネガゴーストの場合は、Bを〔B=(1+α)×A〕を満たすように制御し、
ポジゴーストの場合は、Aを〔A=(1+α)×B〕を満たすように制御する。
【0036】
また、本実施形態のゴースト補正部10は、潜像データのドット毎に、補正対象であるゴーストの極性(ネガゴース又はポジゴースト)、及び、補正レベルαを決定し、ゴースト補正データとする。ゴーストの極性と補正レベルαの決定は、本実施形態の画像形成装置が備える図示しない検出手段としての周知の温湿度センサにより計測される当該画像形成装置の設置環境に基づいて行う。ただし、ゴーストの極性の判定を行うための設置環境の検出は、温湿度センサにより計測される温度及び湿度のみの組み合わせに限定されることはない。また、本実施形態のゴースト補正部10による設置環境の検出は画像データの印刷指示毎に限定されることはなく、予め設定された時間毎等であってもよい。
【0037】
特に、本実施形態のゴースト補正部10は、温湿度センサにより計測される温度及び湿度に対応した、ゴーストの極性と補正レベルαとを格納する図示しないテーブルデータを備える構成となっている。ゴースト補正部10は、画像の印刷指示毎にテーブルデータを参照し、当該画像形成装置の印刷時の設置環境に応じた補正の極性を含む補正レベルαのデータを、ゴースト補正データとして生成する。なお、本実施形態の画像形成装置においては、第4ライン15の点灯によりゴーストを補正する構成となっているので、ゴースト補正データは、現像ローラ2の1回転分相当前のドットである参照先のドットにおいての、LED書き込みON(点灯)した参照元ドットのドットゲインを補正するのか、OFF(消灯)した参照元ドットのドットゲインを補正するのか、どちらの部分のドットゲインを補正するかを決定する極性データ、及び、潜像データ毎の第4ライン15の点灯強度のデータである。なお、ゴーストの極性と補正レベルαとを格納するテーブルデータは、ゴースト補正部10とは別に設けた周知の不揮発性のメモリ素子等からなる格納部(格納手段)に格納し、ゴースト補正部10が参照する構成であってもよい。
【0038】
すなわち、実施形態1のゴースト補正部10は、潜像データの各ドット(参照元のドット)から現像ローラ2の1回転分相当前のドット(参照先のドット)における潜像データ(ドットゲイン)が、LEDのOFF(消灯)かON(点灯)かを検出する。次に、ゴースト補正部10は、温湿度センサで計測される設置環境とLEDのON/OFFの検出結果とに基づいてテーブルデータを参照し、参照元となるドットの第4ライン15の点灯強度を決定する。ただし、参照元データから見た場合に、現像ローラ2の1回転分相当だけ前に像露光データがない場合がある。例えば、現像ローラ2は静電潜像を現像する少し前から回転するが、この間の像露光データはない。また、連続印刷時における転写材間にも像露光データはない。しかし、この場合においても現像ローラ2の回転と該現像ローラ2への現像剤の供給とは連続して行われる構成となっている。よって、ゴースト補正部10は現像ローラ2での現像剤の消費が行われない、すなわち参照先のドットゲインが0(ゼロ)であり、LEDが消灯の場合と等価であるとして判定する。
【0039】
また、本実施形態の潜像形成部6は、潜像データ形成部8により生成された潜像データと、エンハンス部9により生成されたエンハンス補正データと、ゴースト補正部10により生成されたゴースト補正データとに基づいて、各ドットの第1〜4ライン12〜15における発光制御データを生成する発光制御部(発光制御手段)11を備える。このとき、発光制御部11からの出力が、感光ドラム4の周側面に潜像を描画する際の最終的なドットゲインすなわち補正されたドットゲインとなる。
【0040】
すなわち、本実施形態の画像形成装置による、現像ローラ2に起因するゴースト補正では、ゴースト補正ラインとなる第4ライン15におけるLEDの発光強度をゴースト補正部10により制御することにより、ゴーストが生じる領域の各ドットのドットゲインを補正し、ゴーストの発生を防止する構成としている。ただし、本実施形態の画像形成装置では、感光ドラム4の周側面に描画する静電潜像の各ドットのドットゲインは増加する補正のみとなる。
【0041】
以下、図4〜12に基づいて、本実施形態のゴースト補正部10によるゴースト補正動作について、詳細に説明する。ただし、前述する課題の項にも示すように、図4に示すベタ画像を印刷した場合すなわち画像データがベタ画像の場合であっても、印刷により得られる印刷画像は、現像ローラ2上のトナー帯電量に応じて、図5に示すネガゴーストまたは図6に示すポジゴーストとの何れかのゴースト画像となる場合がある。ただし、ネガゴーストまたはポジゴーストの何れの発生であるかの特定は、温湿度センサの検出結果に基づいて、ゴースト補正部10が判定する構成となっているので、以下の説明においては、ネガゴーストとポジゴーストの場合に分けて、ゴーストの補正動作を説明する。また、第4ライン15の点灯動作について詳細に説明する。ただし、図4〜12中に示す矢印Lは現像ローラ2の1回転分相当に対応する印刷長である。
【0042】
(ネガゴースト補正)
ゴースト補正部10は、温湿度センサからの温度及び湿度の検出結果と、潜像データ形成部8により生成された潜像データの各ドット(参照元のドット)のドットゲインと、該潜像データの各ドットから現像ローラ2の1回転分相当前のドット(参照先のドット)におけるドットゲインとに基づいて、テーブルデータを検索する。従って、図5に示すネガゴーストの発生時は、印刷領域P1から現像ローラ2の1回転分相当前のドット(図中にL1で示す参照先のドット)におけるドットゲインを参照した際、印刷開始前なので像露光データがない、すなわち、LED書き込みOFF(消灯)なので、現像ローラ2での現像剤の消費が行われていない。したがって、ゴースト補正部10は参照先の各ドットのドットゲインは0(ゼロ)とする。その結果、印刷領域P1に対応した参照元となるドットの第4ライン15におけるLEDの発光がされないゴースト補正データとなる。
【0043】
一方、印刷領域P2から現像ローラ2の1回転分相当前のドット(図中にL21,L22で示す)におけるドットゲインを参照した際は、ベタ印刷の印刷領域P1,P2であり、LED書き込みON(点灯)なので、現像ローラ2の現像剤が消費されることとなる。よって、ゴースト補正部10が生成する印刷領域P2の各ドットのゴースト補正データは、前記テーブルデータに対応した発光強度(補正レベルα)で第4ライン15のLEDを発光させるゴースト補正データとなる。すなわち、印刷領域P2の各ドットの発光制御データのドットゲインが増加される。その結果、印刷領域P2における各ドットの印刷濃度が濃くなるので、図5に示す印刷領域P2に示すゴーストが補正され、図4に示すベタ画像が印刷される。ただし、第4ライン15の発光は、予め設定した任意の発光強度の発光であってもよい。
【0044】
また、図7に示すように、ベタ画像に白色領域P6が形成される画像の印刷が指示される場合においては、図8に示すネガゴーストとなるが、印刷領域P1,P2においては、前述する図4に示すベタ画像の印刷時と同様に、ゴースト補正部10がゴースト補正データを生成する。これに対して、図8に示す白色領域P6のドットのドットゲインは0(ゼロ)なので、現像ローラ2の1回転分相当前のドットである参照先のドット(矢印L6で示す)におけるドットゲインに係わらず、ゴースト補正部10は白色領域P6内の各ドットに対しては、ドットゲインが0(ゼロ)すなわち第4ライン15におけるLEDの発光がされないゴースト補正データを生成する。一方、印刷領域P7内の各ドットのドットゲインはベタ印刷に対応したドットゲインとなるので、ゴースト補正部10は印刷領域P7内の各ドットに対しては、現像ローラ2の1回転分相当前のドットである白色領域P6内のドット(矢印L76で示す)を参照する。このとき、白色領域P6内の各ドットのドットゲインは0(ゼロ)なので、ゴースト補正部10は印刷領域P7内の各ドットに対しては、第4ライン15におけるLEDの発光がされないゴースト補正データを生成する。その結果、印刷領域P2における各ドットのみの第4ライン15のみが発光し、該印刷領域P2の印刷濃度のみが濃くなるので、図8に示す印刷領域P2に示すゴーストが補正され、図7に示すベタ画像に白色領域P6が形成される印刷画像が印刷される。
【0045】
図10に示すように、現像ローラ2の1回転分相当よりも狭いベタ印刷領域P9内に白色領域P6が形成される領域に続いて、網点のハーフトーン印刷領域P10が形成される画像の印刷が指示される場合においては、図11に示すネガゴーストとなる。印刷領域P6,P9においては、前述する図7に示す画像の印刷時と同様に、ゴースト補正部10がゴースト補正データを生成する。一方、図11に示す2箇所のハーフトーン印刷領域P10の内で、印刷領域P9に隣接する側のハーフトーン印刷領域P10において、LED書き込みON(点灯)のドットについては、前述する印刷領域P9のドットと同様に、ゴースト補正部10は第4ライン15を点灯しないゴースト補正データを生成する。また、図11に示す2箇所のハーフトーン印刷領域P10の内で、印刷領域P9に隣接する側のハーフトーン印刷領域P10において、LED書き込みOFF(消灯)のドット(ドットゲインが0(ゼロ)のドット)については、前述する図7に示す印刷領域P6のドットと同様に、ゴースト補正部10は第4ライン15を点灯しないゴースト補正データを生成する。
【0046】
ハーフトーン印刷領域P11のドットの内でLED書き込みON(点灯)のドットは、図8の印刷領域P2の各ドットと同様に、現像ローラ2の1回転分相当前のドット(矢印L119で示す)は、ベタ印刷領域P9なので、ゴースト補正部10は、前記テーブルデータに対応した発光強度(補正レベルα)で第4ライン15のLEDを発光させるゴースト補正データを生成する。一方、ハーフトーン印刷領域P11のドットの内でLED書き込みOFF(消灯)のドットは、ゴースト補正部10は第4ライン15を点灯しないゴースト補正データを生成する。
【0047】
また、ハーフトーン印刷領域P12のドットの内でLED書き込みON(点灯)のドットは、図8の印刷領域P7の各ドットと同様に、ゴースト補正部10は第4ライン15におけるLEDの発光がされないゴースト補正データを生成する。また、ハーフトーン印刷領域P12のドットの内でLED書き込みOFF(消灯)のドットは、ゴースト補正部10は第4ライン15を点灯しないゴースト補正データを生成する。これは、図8の印刷領域P7と同様に、ハーフトーン印刷領域P12の各ドットから現像ローラ2の1回転分相当前のドット(矢印L126で示す)は、白色領域P6のドットすなわちドットゲインが0(ゼロ)のドットとなるからである。
【0048】
さらには、2箇所のハーフトーン印刷領域P10の内で、ハーフトーン印刷領域P11に続くハーフトーン印刷領域P10においては、印刷ドットから現像ローラ2の1回転分相当前のドットが印刷ドットの場合には、ゴースト補正部10は、参照元と参照先とのそれぞれのドットのドットゲインに基づいたファジーなゴースト補正データを生成することとなる。しかしながら、図11から明らかなように、ハーフトーン印刷領域P10においては、LED書き込みON(点灯)のドットに比較して、LED書き込みOFF(消灯)のドットの方が多く(データ率50%未満)、LED書き込みON(点灯)のドットから現像ローラ2の1回転分相当前のドットも、LED書き込みOFF(消灯)のドットが多くなる。従って、ハーフトーン印刷領域P11に続くハーフトーン印刷領域P10においては、LED書き込みOFF(消灯)のドットに対しては、ゴースト補正部10は第4ライン15を点灯しないゴースト補正データとなるので、第4ライン15のLEDを発光させるゴースト補正データを生成する確率は極めて低くなり(データ率が50%のときで25%の確率)、ファジーなゴースト補正データになるものの、現像に供するトナー量が少ないこともあって、実質的には、ゴーストを判別できない。
【0049】
以上に説明した結果、ハーフトーン印刷領域P11におけるLED書き込みON(点灯)のドットの第4ライン15が発光し、ハーフトーン印刷領域P11の印刷濃度が濃くなるので、図11に示すゴーストが補正され、図10に示す画像が印刷される。
【0050】
(ポジゴースト補正)
ベタ印刷時において、図6に示すポジゴーストの発生時は、印刷領域P3から現像ローラ2の1回転分相当前のドット(図中にL3で示す)は、印刷開始前なので像露光データがない、すなわち、LED書き込みOFF(消灯)なので、現像ローラ2での現像剤の消費が行われていない。したがって、ゴースト補正部10は参照先の各ドットのドットゲインは0(ゼロ)とする。ここで、ポジゴーストが発生する設置環境での温湿度に対応するテーブルデータにおいては、参照先のドットにおけるドットゲインが0(ゼロ)すなわち現像ローラ2の1回分相当前のドットで現像剤が消費されない場合に、ゴースト補正部10は参照元のドットにおける第4ライン15を発光させるゴースト補正データを生成する。よって、ゴースト補正部10は、印刷領域P3内の各ドットに対しては、第4ライン15におけるLEDを発光させるゴースト補正データを生成する。ただし、前記テーブルデータに対応した発光強度(補正レベルα)で第4ライン15のLEDを発光させるゴースト補正データとなる。第4ライン15の発光は、予め設定した任意の発光強度の発光であってもよい。
【0051】
一方、印刷領域P4から現像ローラ2の1回転分相当前のドット(図中にL43,L44で示す)におけるドットゲインを参照した際は、ベタ印刷の印刷領域P3,P4であり、LED書き込みON(点灯)なので、現像ローラ2の現像剤が消費されることとなる。よって、ゴースト補正部10は、第4ライン15のLEDが発光されないゴースト補正データを生成する。その結果、印刷領域P3における各ドットの印刷濃度が濃くなるので、図6に示す印刷領域P3に示すゴーストが補正され、図4に示すベタ画像が印刷される。
【0052】
また、図7に示すベタ画像に白色領域P6が形成される印刷画像に、図9に示すポジゴーストが発生する場合は、印刷領域P3,P4においては、前述する図6に示すベタ画像の印刷時と同様に、ゴースト補正部10がゴースト補正データを生成する。また、白色領域P6のドットのドットゲインは0(ゼロ)なので、ネガゴースト発生時と同様に、ゴースト補正部10は白色領域P6内の各ドットに対しては、ドットゲインが0(ゼロ)すなわち第4ライン15におけるLEDの発光がされないゴースト補正データを生成する。一方、印刷領域P8内の各ドットのドットゲインはベタ印刷に対応したドットゲインとなるので、ゴースト補正部10は印刷領域P8内の各ドットに対しては、現像ローラ2の1回転分相当前のドットである白色領域P6内のドット(矢印L86で示す)を参照する。このとき、白色領域P6内の各ドットのドットゲインは0(ゼロ)なので、ゴースト補正部10は印刷領域P8内の各ドットに対しては、印刷領域P3に対する補正と同様に、第4ライン15におけるLEDを発光させるゴースト補正データを生成する。その結果、印刷領域P3,P8における各ドットのみの第4ライン15が発光し、該印刷領域P3,P8の印刷濃度が濃くなるので、図9に示す印刷領域P3,P8に示すゴーストが補正され、図7に示すベタ画像に白色領域P6が形成される印刷画像が印刷される。
【0053】
図10に示す現像ローラ2の1回転分相当よりも狭いベタ印刷領域P9内に白色領域P6が形成される領域に続いて、網点のハーフトーン印刷領域P10が形成される画像に、ポジゴーストが発生する場合は、図12に示す画像が印刷されることとなる。この場合、ハーフトーン印刷領域P15の各ドットから現像ローラ2の1回転分相当前のドット(矢印L1513で示す)においてのみ、現像剤が使用されることとなる。すなわち、印刷領域P13及び印刷領域P14並びに印刷領域P16の各ドットから現像ローラ2の1回転分相当前の各ドット(それぞれ矢印L13,L14,L166で示す)においては、現像剤が消費されない(ドットゲインが0(ゼロ))となる。ただし、ハーフトーン印刷領域P15に続くハーフトーン印刷領域P14においては、前述するネガゴースト補正時におけるハーフトーン印刷領域P11に続くハーフトーン印刷領域P10と同様に、ハーフトーン印刷領域P14の各ドットから現像ローラ2の1回転分相当前のドットにおいては現像剤が消費されないものとする。
【0054】
よって、ゴースト補正部10は、印刷領域P13の各ドットと、ハーフトーン印刷領域P14,P16のLED書き込みON(点灯)の各ドットとに対しては、第4ライン15におけるLEDを発光させるゴースト補正データを生成する。その結果、印刷領域P13とハーフトーン印刷領域P14,P16における印刷ドットの第4ライン15が発光し、印刷領域P13とハーフトーン印刷領域P14,P16の印刷濃度が濃くなるので、図12に示す印刷領域P13とハーフトーン印刷領域P14,P16のゴーストが補正され、図10に示す画像が印刷される。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置においては、温湿度センサからなる設置環境の検出結果に基づいてゴーストの補正極性と補正レベルを判定すると共に、参照元のドットから現像ローラ2の1回転分相当前の参照先ドットのドットゲインを参照して、参照元のドットから現像ローラ2の1回転分相当前における現像剤の消費の有無を推定し、該推定結果に基づいて参照元のドットにおけるドットゲインを補正する構成となっている。従って、感光ドラムに描画される静電潜像を現像する際の、現像ローラ1回転目と2回転目以降でのトナーの帯電量が異なることに起因する、現像ローラから感光ドラムへのトナー現像能力が異なる場合であっても、静電潜像の現像能力を補正することができるので、現像ローラに起因するゴーストの発生を防止できる。
【0056】
なお、本実施形態の画像形成装置は、第4ラインによる印刷濃度の増加によるゴースト補正に限定されることはなく、例えば、周知の印刷画像全体の印刷濃度の濃淡を調整するための機能を用いて、潜像データとエンハンス補正データを補正することにより、ポジゴースト時における印刷濃度の濃い領域の印刷濃度を薄く印刷する構成であってもよい。
【0057】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 供給ローラ
2 現像ローラ
3 規制ローラ
4 感光ドラム
5 露光部
6 潜像形成部
7 回収ブレード
8 潜像データ形成部
9 エンハンス部
10 ゴースト補正部
11 発光制御部
12〜15 第1〜4ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12