(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
支持部材(50)は、車体(10)の主フレーム(15)の機体左右どちらか一方に設け、姿勢保持体(54)は、収納状態では接地部(55)が主フレーム(15)の長手方向に沿う姿勢となる構成とし、
主フレーム(15)に支持部材(50)を設けた側に、収納状態の姿勢保持体(54)の接地部(55)を受ける収納保持部材(81)を設けることを特徴とする請求項3に記載の移植機。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0024】
図1から
図3には、本実施形態の移植機の側面図と平面図を示す。この移植機の前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向と後進方向をそれぞれ前、後という。
【0025】
この移植機1は、前部にエンジン2及びミッションケース3と、走行装置の一種である走行車輪としての左右一対の前輪4及び後輪5と、後部に植付装置7、供給装置6、鎮圧輪8及び操縦ハンドル9とを備えて構成されている。
【0026】
なお、走行装置としては、本件の後輪5の他に、クローラ式の走行装置を用いてもよい。
【0027】
この移植機1は、機体が圃場内の畝Uをまたぐように、前輪4及び後輪5が畝間を走行し、畝の上面の左右幅方向における中央位置に植付装置7により移植対象物を植え付ける構成である。
【0028】
苗植付装置7が苗を植え付けるときは、土壌に突き刺さって進入し、苗を開放すべく開くので、苗の植付部分は、土が押し上げられることになる。これにより、植え付けられた苗の周囲には隙間ができると共に、周囲の土は解されているので、このままでは苗が土に保持されず、風等の影響で倒れて、抜けてしまうことがある。
【0029】
これを防止すべく、植え付けられた苗の周囲に押し上げられた土を上方から苗に寄せると共に、軽く押し固めるための左右一対の覆土鎮圧輪8,8を、圃場面との接地で回転可能に設ける。
【0030】
ミッションケース3の左右端にはミッションケース3に対して回動可能な回動アーム10aを左右それぞれ設け、左右の回動アーム10aの端部に走行チェーンケース11を各々設けている。したがって、エンジン2から入力されるミッションケース3内の動力が、走行チェーンケース11内に伝動する構成となる。
【0031】
走行チェーンケース11の回動先端部の左右外側には、走行車輪である左右一対の後輪5をそれぞれ取り付け、この左右一対の後輪5の駆動により機体が走行するようになっている。したがって、ミッションケース3は、走行車輪としての後輪5に伝動する伝動装置となっている。
【0032】
一方、エンジン載置台の下部には左右方向に延びる前輪支持フレーム12を前後方向のローリング軸13(
図1参照)回りに回動可能に設け、この前輪支持フレーム12の左右両端部に前輪4を取り付けている。
【0033】
また、ミッションケース3の後端の左右方向に配置された横フレーム14の後部には、機体の左右方向右寄りの位置に延びる主フレーム15を設けている。主フレーム15の後端部には操縦ハンドル9を設け、この操縦ハンドル9が主フレーム15及び、横フレーム14を介してミッションケース3に支持されている。
【0034】
また、ミッションケース3の後部で左右方向の中央には、油圧昇降シリンダ16を設けている。この油圧昇降シリンダ16は、ミッションケース3に取り付けられた油圧切替バルブ部17に固着して設けられ、ミッションケース3に取り付けられた油圧ポンプからの油圧を切り替える油圧切替バルブ部17に備えられた昇降操作バルブを操作することにより作動する。
【0035】
また、油圧昇降シリンダ16のシリンダロッド端には左右に延びる横杆19を設け、この横杆19の左右端部にそれぞれ後輪昇降ロッド20,21を枢着しロッド20,21の他端を回動アーム10aに各々連結する。
【0036】
したがって、油圧昇降シリンダ16の伸縮により横杆19、後輪昇降ロッド20,21を介してミッションケース3の左右の出力軸回りに走行チェーンケース11が回動され、走行チェーンケース11の回動により後輪5が上下して機体が昇降する構成とする。
【0037】
また、左側の後輪昇降ロッド20を伸縮させるべく、ロッド20の中途部に油圧ポンプ(図示省略)により作動する水平用油圧シリンダ22を設けており、水平用油圧シリンダ22の伸縮により右側の後輪5の上下位置に対して左側の後輪5を上下させて、畝の谷部の凹凸に関係なく機体を左右水平に維持する構成とする。
【0038】
本件の植付装置7は、野菜等の苗を一個ずつ圃場の畝部に植え付けるべく、ミッションケース3の動力が、ミッションケース3の後側に設ける植付伝動ケース24と、この植付伝動ケース24に設けた植付装置駆動ケース25aを介して伝達され、作動する構成としている。
【0039】
植付装置7は、先端が尖ったカップ状の植付具72と植付具72を昇降させるべく作動するリンク機構75などで構成される。植付具72の先端は、植付具72の昇降動作によって、
図2に示すとおり、概ね楕円形の軌跡を描いて図中の矢印方向に繰り返し作動する。
【0040】
そして、移植対象物用の載置台30は、
図1、
図2、
図3及び
図5、
図6に示すとおり、供給装置6よりも前側に設ける側面視L字形状の左右の苗枠フレーム31,31と、苗枠フレーム31,31よりも機体前側で機体上方に立接される左右の苗枠支柱32,32の上方に配置される。また、載置台30の左右方向の中心位置は、供給装置6の中心部に設ける供給回転軸66fの直線上であり、且つ左右の後輪5,5の左右中央位置よりも機体左右他側(機体左側)に偏倚する位置に配置する。
【0041】
左右の苗枠フレーム31,31のうち、機体前方に突出する部分は、機体上方に向けて機体前側に向かうほど上方に位置する傾斜姿勢とし、積載する苗を収容した苗箱38を傾斜により機体後側に移動させ、苗を取り出す位置が作業者に近くなる構成とする。
【0042】
また、載置台30は、左右方向に長い線材で構成する第1載置枠33と、第1載置枠33の左右幅内で、機体前後方向に突出する線材で構成する第2載置枠34を組み合わせて構成する。なお、第1載置枠33は、第2載置枠34の左右他側よりも左右一側(機体右側)の突出量を大きくすると共に、左右一側の端部の前後角部は、直角でなく後傾または前傾するテーパ部を形成する。このとき、第1載置枠33の左右一側端部及び左右他側端部は、左右の前輪4,4及び後輪5,5よりも機体外側に位置する。
【0043】
そして、第1載置枠33の左右他側で、且つ外側端部よりも機体内側には、前後方向の回動支軸35a,35bを設け、前後の回動支軸35a,35bを回動支点として、機体外側に向かって展開可能な回動苗枠36を設ける。前後の回動支軸35a,35bのうち、機体後側に設ける後側の回動支軸35bは、ボルト等の締め込みにより皿バネ等を圧縮することや、ダブルナットにより回動苗枠36の回動に要する力を増減させる荷重調節機構35cを有するものとする。
【0044】
回動苗枠36を機体外側に回動させるとき、第1載置枠33の左右他側端部は、平面視で回動苗枠36の機体内側端部と接触する位置にあるので、その位置で回動苗枠36の回動が規制される。従って、回動苗枠36が圃場に向かう下り傾斜姿勢になるまで回動せず、積載した苗の落下が防止される。
【0045】
上記により、載置台30及び供給装置6の機体左右他側で、且つ左右他側の後輪5の後方に立って載置台30上に載置した苗を取って供給装置6に供給する作業者が、回動苗枠36の回動に必要な力の強弱を、苗の供給作業位置で行うことができる。従って、力の強弱調節の度に苗の供給作業位置を離れる必要が無く、作業能率が向上する。
【0046】
また、回動苗枠36を回動可能に第1載置枠33の左右他側で、且つ回動させると左右他側の後輪5よりも機体外側に突出する位置に設けたことにより、苗の積載量が増加し、苗の補充作業の頻度を減らすことができると共に、回動苗枠36の展開時の位置を作業者が苗を取り易い位置とすることができるので、作業能率が向上する。
【0047】
これに加えて、回動苗枠36を載置台30の上方に向けて回動させると、回動苗枠36が載置台30の機体外側から突出しないので、機体の左右幅のコンパクト化が図られる。
【0048】
回動苗枠36は、前後の回動支軸35a,35bに装着される線材で構成する平面視コの字形状の第1回動枠36aと、第1回動枠36aの左右幅内に設けられ、機体前後方向に突出する線材で構成する第2回動枠36bで構成する。第2載置枠34と第2回動枠36bは、前後端部を機体上方に向けて屈曲させ、積載する苗を収容した苗箱38を受ける苗箱受部37を各々形成する。
【0049】
第2載置枠34と第2回動枠36bは、第1載置枠33及び第1回動枠36aの前後端部よりも機体前側及び後側に突出させるものとし、機体後側の突出量を機体前側よりも大きくする。また、第2載置枠34と第2回動枠36bの機体前側及び後側への突出量は同一とし、載置台30と回動苗枠36とで苗箱38の移動に違いが生じない構成とし、苗箱38の移動や取り出しを行いやすくし、作業能率を構成されるものとする。
【0050】
これにより、積載した苗箱38が機体後側寄りに移動し、苗の載置面を作業者側に向けるので、作業者が苗を取り出しやすく、作業能率が向上する。
【0051】
また、
図3及び
図6に示すとおり、機体左右他側の苗枠フレーム31の後部側と、後側の回動支軸35bとを、補強プレート39で連結する。補強プレート39は、機体左右一側の苗枠フレーム31の前部側と、前側の回動支軸35aを連結するものを設けてもよいが、回動苗枠36のうち、作業者が回動操作を行う機会が多く、負荷がかかって変形しやすい機体後側に設けていれば、補強効果は十分に発揮でき、回動苗枠36の変形や破損が防止される。これに加えて、前側に補強プレート39を設けないことにより、部品数や機体重量の軽減が図られる。
【0052】
なお、載置台30は、苗箱38の長手方向を機体前後方向として載置する場合に3枚乗る程度の左右幅とし、回動苗枠36は、1枚の苗箱38が載る程度の左右幅とすると、機体から左右方向に突出する量を抑えつつ、苗箱38を補充する頻度を効果が実感できる程度で低減することが可能となる。
【0053】
また、載置台30は、第1載置枠33の機体左右一側端部を機体左右他側端部と同一形状とすると共に、前後の回動支軸35a,35bを装着する孔部(図示省略)を形成して構成し、回動苗枠36を機体左右一側に回動自在に装着可能にしてもよい。
【0054】
なお、単純に回動苗枠36を装着すると前後が逆になり、第2回動枠36bの前後の突出量が逆になるので、機体左右他側に装着する状態においての裏面を、機体左右一側に装着するときの表面とする、或いは、
図6に示すとおり、第2回動枠36bを第1回動枠36aに対して前後方向に移動(スライド)可能に装着するものとし、左右どちら側に装着しても同様に苗箱38を載置できる構成とする。
【0055】
上記により、作業者の利き手や、作業を行う圃場の状態等の条件により、作業者が供給装置6の機体左右他側に立って苗の投入作業を行えないときに、機体左右一側に立って苗の投入作業を行うことができるので、様々な作業条件に対応できると共に、作業者が作業を行いやすい。
【0056】
載置台30及び回動苗枠36は、機体左右方向に複数の苗箱38を積載し、回動苗枠36上の苗箱38に収容されている苗が無くなると、空になった苗箱38を取り除き、載置台30に積載されている苗の入った苗箱38を回動苗枠36に移動させるのが、一般的な作業である。なお、空の苗箱38は、作業者が載置台30の空きスペースに積載すればよい。
【0057】
このとき、回動苗枠36に近い苗箱38は、作業者があまり手を伸ばさなくて届くので、簡単に載置台30から回動苗枠36に移動させることができる。しかしながら、機体左右一側端部に載置される苗箱38は、作業者から離れた位置にあり、作業者は大きく手を伸ばさないと苗箱38を移動させにくいという問題がある。
【0058】
この問題を解消すべく、8に示すとおり、載置台30を構成する第2載置枠34のうち、機体前後方向の線材部分に、苗箱搬送ローラ40…を回転可能に設ける。
【0059】
これにより、載置台30の機体左右一側に設ける苗箱38は、隣接する苗箱38が離間すると、苗箱搬送ローラ40…の回転により機体左右他側に移動するので、作業者が手を無理に伸ばすことなく取れる位置に移動させることで、作業者の労力が軽減される。なお、苗箱38が移動しないときは、作業者は載置台30を揺さぶる等して、苗箱搬送ローラ40…の回転を促す。
【0060】
このとき、苗箱38が機体左右一側端部に移動する可能性があるので、苗箱搬送ローラ40…には、機体左右他側に苗箱38を移動させる方向にのみ回転を許容するワンウェイクラッチ(図示省略)を設けるとよい。
【0061】
また、空の苗箱38を積載したときに苗箱搬送ローラ40…が苗箱38を左右に移動させることを防止すべく、苗が収容されて重量が増加している苗箱38を載せると苗箱搬送ローラ40…が沈み込んで回転可能になる構成とすると、空の苗箱38が左右に移動し、載置台30から落下することが防止される。
【0062】
載置台30と回動苗枠36の前端部は、左右の前輪4,4の後端部よりも機体前側で、且つ前輪4,4の車軸よりも機体後側に配置し、後端部は左右の後輪5,5の後端部よりも機体前側で、且つ後輪5,5の車軸よりも機体後側に配置する。これにより、載置台30と回動苗枠36は前輪4,4と後輪5,5の前後間に配置されることになる。
【0063】
上記構成により、載置台30及び回動苗枠36を機体の前後バランスが変動しにくい位置に配置することができるので、植付作業により苗が減少すると重量が軽くなる苗箱38を積載していても機体が前上がりや後上がりになりにくく、植付ホッパ72が前傾姿勢、または後傾姿勢で苗を植え付けることが防止され、苗の根部側が均等に土に覆われて気温の影響を受けにくくなると共に、茎部や葉部が土に埋もれず、光合成機能が損なわれない。
【0064】
また、載置台30及び回動苗枠36は、左右の支持フレーム31,31の後下がり傾斜姿勢となる部分に装着することで、同じく後下がり傾斜姿勢となるが、最下位置となる後端部は、供給装置6の上端面と同じ高さか、あるいは上端面よりもやや上方に位置する構成とする。
【0065】
これにより、作業者が苗箱38から苗を取って移動させる際、供給装置6よりも上方に腕を上げる動作が不要になるので、腕が疲れにくく作業者の労力が軽減される。
【0066】
また、苗箱38から供給装置6への移動時間が僅かでも短縮されるので、苗の投入タイミングが遅れ、植付ホッパ72に苗が供給されず、苗の植え付けが行われない、所謂欠株の発生が防止され、手作業による苗の植付作業が不要になる。
【0067】
また、載置台30の左右一側端部、即ち第1載置枠33の左右一側端部は、ハンドル9の機体左右一側よりも機体外側に突出させる。
【0068】
これにより、載置台30の左右一側端部が機体左右一側のガード体になるので、作業者がハンドル9を把持して移動している際、機体の側方に壁や柱等の障害物があると、載置台30の突出部が接触するので、作業者が障害物に接触することが防止される。
【0069】
なお、機体左右他側のガード体は、展開状態では回動苗枠36であり、回動苗枠36を収納しているときは、載置台30の左右他側端部、即ち第1載置枠33の左右他側端部である。
【0070】
そして、供給装置6は、植付装置7の上方位置で苗を受けて周回軌道64上を移送する8個の供給カップ62…を備え、回転駆動機構66の回転動力によって所定速度で回転作動される。なお、この回転作動は植付装置7の昇降動作と対応させており、すなわち、供給装置6から苗が落下するタイミングを植付装置7が最も上昇した位置にある時に同期させている。
【0071】
図4には、供給装置6の各構成部品を説明するための分解斜視図を示す。
【0072】
供給装置6は、植付装置7の上方に設けられた、上端と下端に開口部62aを有する供給カップ62を8つ貫通させてループ状に配置した回転可能な回転テーブル61と、その下側に配置されて且つ移植機1の機体側に固定配置された支持板26と、回転テーブル61を反時計回りに回転させるための回転駆動機構66等を備えている。
【0073】
回転テーブル61は、外周縁部61aが下方に曲げられた盆状部材であって、その円形平面部(主面部)61bの外周寄りに等間隔に開けられた8つの貫通孔に、両端が開放された円筒状の供給カップ62がそれぞれ貫通して設けられている。また、回転テーブル61の中央部には、回転駆動機構66からの回転力により回転テーブル61を反時計回りに回転させる回転軸66fが固定配置される。
【0074】
支持板26は、植付装置7の受け継ぎ位置Gに開口部27が設けられた円盤状の板部材であって、供給カップ62の直ぐ下側で、回転テーブル61の円形平面部(主面部)61bに平行であって、後述する支柱93に溶接によって固定されている。支持板26の更に下側には、回転駆動機構66が設けられる。
【0075】
この支持板26は、出っ張り部29を除き、回転テーブル61の直径より小さく、且つ、リング状に配置された8個の供給カップ62の下端の開口の投影領域を包括できる直径の円盤状の板部材であり、その板部材の一部には、供給カップ62の下端開口の直径より大きい円形状の開口部27が、植付ホッパ部72への受け継ぎ位置G、すなわち植付ホッパ部72が上死点に位置する時の植付ホッパ部72のロート状上部筒部71の上方に対応する位置に1つ形成されている。
【0076】
また、支持板26は、供給カップ62の下端の縁部から所定の距離を隔てて、回転テーブル61の主面に平行に配置されており、供給カップ62に補給された苗が、開口部27を除き、支持板26と供給カップ62の下端の縁部との隙間から落下することが無く、しかも、回転移動する供給カップ62が、動作中に振動などしても、支持板26にぶつかることがない程度の間隔が確保されている。
【0077】
支持板26には、その上面に溜まったゴミなどを効果的に排出し、苗は落下しない程度の大きさのスリット状の長孔部35が、半径方向に沿って形成されている。
【0078】
一方、回転テーブル61の裏面には、支持板26に形成された長孔部35から夾雑物を落とす、長方形状の硬質ゴム製のスクレーパ36が固定配置されている。
【0079】
また、支持板26は、移植機1の機体から後方に向けて配置されている支柱93により支持されると共に、その支持部において溶接固定される。なお、後述する軸受け部材66gの外周側面は、支柱93の後方端93aに固定されている(
図4参照)。
【0080】
なお、上記構成によれば、供給カップ62の下端は開放されており、すなわち蓋が無く、しかも支持板26の裏面に支柱93が直接固定されているので、供給カップ62の下端の開口位置と、植付ホッパ部72の上死点との距離がより短くできる。なお、供給カップ62の底全面ではなく、底面の一部に開口部62aを設けても良い。
【0081】
そして、回転駆動機構66は回転テーブル駆動ケース25bに一端が回転可能に接続され、回転方向変換ユニット66bの入力側に他端が回転可能に接続された回転力伝達部材66cと、回転方向変換ユニット66bの入力側の回転軸に対して直交配置された出力側の回転軸66dに固定された第1歯車66e1と、第1歯車66e1と噛み合って配置された第2歯車66e2とを備えている。第2歯車66e2は反時計方向に滑らかに回転する。
【0082】
また、回転方向変換ユニット66bの上面には、回転方向変換ユニット固定用アングル67が締結部品67aによって固定されている。更に、回転方向変換ユニット66bは、回転方向変換ユニット固定用アングル67を介して、支持板26の裏面に固定されているユニット固定用アングル68に締結部品67bによって固定されている。
【0083】
また、軸受け部材66gは、第2歯車66e2の回転軸66fを回転可能に支持する軸受け部材であり、上述した通り、その外周側面の下端側において、支柱93の後方端93aと固定されている。一方、軸受け部材66gの上端側は、支持板26の中心部に設けられた貫通孔28を貫通しており、軸受け部材66gから上方に飛び出している回転軸66fが回転テーブル61の中心部に固定されている。これにより、回転テーブル61は、回転軸66fを介して、軸受け部材66gにより回転可能に支持されている。
【0084】
車体10を停車させるときは、ミッションケース3内のギア機構(図示省略)の走行伝動を遮断したり、エンジン2を停止させる。しかしながら、停車場所が傾斜地であると、重量によって車体10が意図しない移動をすることがある。また、軽トラック等の荷台に積載して搬送するときや、倉庫内に収納するときは、植付装置7の下部側が床面に接触することを防止すべく、機体の下降を防止する部材が必要となる。
【0085】
図1、
図2及び
図7から
図9に示すとおり、車体10の主フレーム15の機体前後方向の左右中央位置(言い換えると、機体後部側で機体上方に向かって後ろ上がり傾斜する部分のうち機体前側寄りの位置)で、且つ後輪5と鎮圧輪8の前後間の上方となる位置に、上下方向の支持ボス50を溶接する。
【0086】
また、支持ボス50は、背面視では左右一側の後輪5と鎮圧輪8の左右間隔部に配置される、主フレーム15の機体左右一側に装着する。そして、支持ボス50の機体前側には、溶接により主フレーム15と支持ボス50を連結する前側連結プレート51aを前下り傾斜姿勢で設け、支持ボス50の機体後側には、溶接により主フレーム15と支持ボス50を連結する後側連結プレート51bを後上り傾斜姿勢で設ける。
【0087】
また、支持ボス50の中空部50aの機体前側と後側には、
図10(a)(b)及び
図11(a)(b)に示すとおり、機体前後方向に直線上となる切替移動溝52,52を中空部50aに各々連通させると共に、支持ボス50の上端部から下端部に亘って切替移動溝52,52を各々形成する。さらに、支持ボス50の下部側には、切替移動溝52,52とは円周上の異なる位相となる位置において、上下方向の保持溝53,53を中空部50aに各々連通させて形成する。保持溝53,53は、支持ボス50の下端部から数mm〜数cmのみ切り欠いて形成するものとし、保持溝53,53内に入り込むものは、保持溝53,53の上端部に接触して上方移動を規制される構成とする。
【0088】
これにより支持ボス50を切り欠く範囲を小さく抑えることができるので、支持ボス50の強度が維持される。
【0089】
なお、
図10(a)(b)に示すとおり、切替移動溝52,52と保持溝53,53は直交させて形成し、支持ボス50を底面から見ると切替移動溝52,52と保持溝53,53が十字を描く構成とすると、切替移動溝52,52と保持溝53,53の間隔が広くなり、後述する保持ピン57との接触により切替移動溝52,52及び保持溝53,53の幅が広げられても互いに繋がることがなく、耐久性が向上する。
【0090】
また、後述するスタンド54を圃場面に接地させる使用状態、または圃場面から退避させて車体10で保持する収納状態を選択する際、大きくスタンド54を回動させることになるので、誤操作が防止され、スタンド54が接地せず車体10が停車位置から移動してしまうことや、植付作業中にスタンド54が下降し、走行抵抗になることが防止される。
【0091】
なお、切替移動溝52,52と保持溝53,53は、各々支持ボス50の直径に亘って形成しているが、支持ボス50の半径に亘ってのみ各々形成する構成としてもよい。これにより、支持ボス50を切り欠く部分が減少し、支持ボス50の強度が向上する。
【0092】
支持ボス50には、地面や床面に接触させ、機体が自重で移動することや、車高が下がることを防止するスタンド54を上下方向に移動可能で、且つ上下方向の縦軸中心に回転可能に設ける。このスタンド54は、上下移動及び回転操作により、
図1、
図2、
図7及び
図8に示す、地面に接地する使用状態と、地面から離間した状態となる収納状態に切替可能に構成する。
【0093】
スタンド54は、
図7から
図9、及び
図12、
図13に示すとおり、圃場面に接地する板状の接地プレート55と、接地プレート55を下端部に装着し、支持ボス50の内部の中空部を上下移動する円柱形状の摺動ロッド56で構成する。摺動ロッド56には、支持ボス50の切替移動溝52,52の形成位置に位相を合わせることで摺動ロッド56を上下動可能にすると共に、保持溝53,53の形成位置に位相を合わせることでスタンド54を使用状態で保持する、保持ピン57を外周面から突出させて設ける。
【0094】
この接地プレート55は、スタンド54を使用状態にしたときは、機体の左右方向、即ち進行方向に直交または交差する方向に長手方向が向き、スタンド54を収納状態にしたときは、機体の前後方向、即ち進行方向と略平行となる方向に長手方向が向くものとする。
【0095】
また、接地プレート55が接地する上下位置は、植付装置7の植付具72の移動軌跡の最下降位置、即ち苗を植え付けるべく畝内に進入する上下位置よりも低く設定する。
【0096】
これにより、スタンド54を使用状態にして車体10をその場で停車する際、植付具72が最下降した状態であっても、植付具72と地面の間に空間部を生じさせることができるので、植付装置7が土中に進入した状態で放置されることがなく、走行する際に植付具72に土が付着した状態になることが防止される。したがって、付着した土の塊により、植付具72が土中に十分に入り込めなくなることや、植付具72を構成する植付ホッパが開かず、内部の苗を開放できなくなることが防止され、苗が植え付けられない箇所の発生が防止される。
【0097】
なお、切替移動溝52,52及び保持溝53,53を支持ボス50の直径に亘って形成するときは、
図10(a)(b)に示すとおり、保持ピン57は摺動ロッド56の外周面に180度間隔を空けて二つ設けると、一対の保持ピン57,57が切替移動溝52,52及び保持溝53,53に各々入り込み、摺動ロッド56の上下移動を略鉛直方向とすることができ、上下移動動作が円滑に行える。一方、切替移動溝52及び保持溝53を支持ボス50の半径に亘って形成するときは、外周面に一つ設けるものとする。
【0098】
したがって、摺動ロッド56を回転させて保持ピン57,57を切替移動溝52,52に合わせることにより、摺動ロッド56が支持ボス50に沿って上下移動可能になり、スタンド54を使用状態と収納状態に切替可能になる。
【0099】
また、保持ピン57,57が支持ボス50の下端部よりも下方に移動するまで摺動ロッド56を下降させた状態で、摺動ロッド56を回転させて保持ピン57,57を保持溝53,53に合わせ、摺動ロッド56を上方に移動させて保持溝53,53の上端部に保持ピン57,57を接触させると、スタンド54が収納状態で保持される。
【0100】
そして、
図7から
図9、及び
図12、
図13に示すとおり、摺動ロッド56の上部の外周部で、且つ保持ピン57,57よりも上部に支持ボス50の中空部よりも大径のスプリング58を設け、スプリング58の上部には、このスプリング58よりも大径のワッシャ59を載せて設け、ワッシャ59の上部に割りピン等を通して、スタンド54の自重による下方移動を所定位置で停止させる下降規制装置60を構成する。
【0101】
スタンド54を上方に移動させるとき、スプリング58を上方または下方から圧縮する力はかからないので、下降規制装置60は特に作用しない。これにより、スタンド54の摺動ロッド56の上下移動の抵抗となる力がかからないので、スタンド54の使用状態と収納状態を切り替える際、軽い力で操作することができる。
【0102】
そして、保持ピン57,57を切替移動溝52,52の位相に合わせてスタンド54を下方移動させるとき、スプリング58の下部が支持ボス50の上部に接触する位置まで下方移動すると、スプリング58の弾性力によりワッシャ59が機体上側に押し返され、スタンド54の下方移動が下降規制装置60によって規制される。
【0103】
これにより、スタンド54を収納状態から使用状態に切り替える際、接地プレート55が接地するまで下降することを規制できるので、接地プレート55の長手方向を機体左右方向に向ける際、摩擦抵抗のかかりやすい接地状態で摺動ロッド56を回転させる必要が無く、接地プレート55が摩擦により破損することが防止される。
【0104】
また、摺動ロッド56を回転させる際、余分な力を掛ける必要が無くなるので、作業者の労力が軽減されると共に、スタンド54の切替操作に要する時間が軽減される。
【0105】
一方、スタンド54の下降が制限される状態は、スプリング58の反発力がスタンド54が自重により下降する力を上回る状態であるので、スタンド54に下降する力を加える、例えば作業者がスタンド54を引き下げ、スプリング58を圧縮すると、スタンド54の接地プレート55は地面に向かって下方移動することが可能になる。
【0106】
しかしながら、スタンド54を下方に移動させるだけでは、作業者がスタンド54の押し下げをやめると、スタンド54はスプリング58の弾性力により下降規制装置60による下降規制位置まで押し上げられるので、使用状態を維持することができない。したがって、スタンド54を使用状態にするときは、スタンド54を引き下げると共に、摺動ロッド56を回転させ、保持溝53,53の形成された位置に保持ピン57,57を向けさせる。
【0107】
この状態でスタンド54の引き下げをやめると、スプリング58の弾性力でスタンド54が上方に押し戻される際、保持ピン57,57が保持溝53,53の上端面に接触してそれ以上機体上側に移動できなくなるので、・BR>コ降規制装置60による下降規制位置よりも機体下側に接地プレート55が位置する状態が維持され、接地プレート55を地面に接地させることが可能になる。
【0108】
なお、スプリング58は、スタンド54の自重による下降を規制でき、且つ作業者が引き下げる力を加えると容易に圧縮される復元力を有するものとすると、作業者がスタンド54を下方に引き下げる際に大きな力が必要なくなるので、作業能率の向上や労力の軽減が図られる。
【0109】
次に、接地プレート55の摺動ロッド56の下部への装着について説明する。ここでは、接地プレート55の長手方向を、スタンド54を使用状態とするときの機体左右方向として説明する。
【0110】
図12及び
図13に示すとおり、接地プレート55を摺動ロッド56の下部に装着する位置は、接地プレート55の左右の一側端部55a寄りとし、接地プレート55の一側端部55aから摺動ロッド56までの距離が、接地プレート55の左右の他側端部55bから摺動ロッド56までの距離よりも短くなる構成とする。
【0111】
そして、一側端部55aには、作業者がスタンド54を上下方向に移動させる際に把持する、把持グリップ80を設ける。この把持グリップ80の基部は、摺動ロッド56寄りの位置で接地プレート55の上面に装着し、把持グリップ80の端部は、且つ接地プレート55の上端面よりも下方で一側端部55aのよりも機体外側面に接近させる。また、把持グリップ80はある程度の径を有する金属の棒材を曲げて形成し、把持用の空間部80aが形成されるものとすると共に、機体上部側に突出するものとする。
【0112】
さらに、接地プレート55の下端側には、左右方向に亘って複数の切欠部55c…を形成する。複数の切欠部55c…のうち、接地プレート55の左右外側端部に最も近い切欠部55c,55cから、一側端部55aと他側端部55bまでの接地プレート55の下端部には、各々切欠部55cを形成しない構成とする。なお、一側端部55a及び他側端部55bから左右外側端部に最も近い切欠部55c,55cまでの左右幅は、切欠部55c一つ分の左右幅よりも広くするものとする。
【0113】
これにより、接地プレート55が地面に接する際、切欠部55c,55c同士の左右間の接地部分の接地圧が高くなるので、スタンド54の姿勢保持力が高まり、機体が自重により移動することが防止される。
【0114】
また、接地プレート55の一側端部55a及び他側端部55bから最も近い切欠部55c,55に亘っては、各々切欠部55cが形成されないことにより、接地プレート55の左右両側部が圃場面の細かい凹凸の影響を受けることなく接地でき、スタンド54が左右方向に傾き得る不安定な接地姿勢になることが防止される。
【0115】
なお、スタンド54の強度を向上させるべく、接地プレート55と摺動ロッド56の間には、摺動ロッドの前後幅と略同じ径で、且つ接地プレート55の厚みよりも大径となる連結バー54aを設けてもよい。
【0116】
この構成により、接地プレート55を連結バー54aに溶接して取り付ける範囲を広くできるので、接地プレート55が接地抵抗に強くなる。
【0117】
スタンド54を使用状態から収納状態にするときは、作業者は接地プレート55を踏んだり、把持グリップ80を掴んでスタンド54をスプリング58の復元力に抗して引き下げ、保持ピン57,57を保持溝53,53から退避させる。そして、摺動ロッド56を回転させて接地プレート55の長手方向を機体前後方向に向け、保持ピン57,57を切替移動溝52,52が支持ボス50に形成される位相に向け、機体上側に引き上げる。主フレーム15のうち、支持ボス50を設ける機体左右一側で、且つ支持ボス50よりも前側下方には、接地プレート55の切欠部55c…のいずれかに入り込み、スタンド54の下降を規制して収納状態とする収納フック81を設ける。
【0118】
図1、
図2、
図7及び
図8に示すとおり、この収納フック81は、機体後側ほど機体上側に位置する後上り傾斜姿勢とで、且つ主フレーム15の下端面よりも機体上側に配置する。
【0119】
これにより、苗の植付作業時等、車体10を走行させるときにスタンド54が下降して走行抵抗となり、作業能率が低下することや、スタンド54が引きずられて破損することが防止される。
【0120】
また、収納フック81が主フレーム15の下端面よりも機体上側に設けられることにより、植付作業時に畝の高さに合わせて車高を調節する際、収納フック81及び収納状態のスタンド54が畝の上面から離間するので、収納フック81やスタンド54が畝の上面に接触して凹凸を生じさせることが防止され、苗の植付深さや植付姿勢が安定する。
【0121】
また、左右一側の後輪5と鎮圧輪8の左右間に設けられるスタンド54を収納状態に切り替えるとき、及び収納状態であるときに接地プレート55の長手方向が機体前後方向を向くことにより、スタンド54を上下移動させるときに接地プレート55が後輪5と鎮圧輪8に接触することを防止できるので、スタンド54の切替操作がしやすくなると共に、後輪5や鎮圧輪8が傷付くことが防止される。
【0122】
さらに、側面視においては、スタンド54が後輪5と鎮圧輪8の前後間に位置することにより、スタンド54の操作位置に作業者の移動を妨げる部材が配置されず、作業性が向上する。
【0123】
なお、収納状態において、接地プレート55の他側端部55bは、機体前側を向き、且つ側面視で後輪5と重複する位置に突出する。収納フック81は、後輪5の後端部付近の上方に設け、他側端部55bに近い切欠部55cに入り込むものとする。
【0124】
これにより、スタンド54を収納状態から使用状態に切り替えるとき、作業者は把持グリップ80を掴んで機体後側下方に軽く押し下げると、接地プレート55の他側端部55b側を上方に浮かせることができるので、収納フック81からスタンド54を簡単に離間させることが可能になる。
【0125】
上記構成としたスタンド54は、使用状態と収納状態の切替操作を摺動ロッド56で行うことができると共に、使用状態または収納状態で姿勢を保持する際に着脱するロックピン等の姿勢保持用の部材を設ける必要がなくなるので、切替操作に要する時間と労力が軽減される。
【0126】
また、姿勢保持用の部材を着脱する工具を用意する必要がなく、工具を用意する間苗の植付作業が中断されることが防止されると共に、工具を用いた切替作業が不要となり、作業時間の短縮や労力の軽減が図られる。
【0127】
また、収納状態のスタンド54の接地プレート55の長手方向が機体前後方向であることにより、スタンド54の重量により機体左右方向の重量バランスが乱れにくく、車体10の走行時の走行軌跡が安定し、作業精度が向上する。
【0128】
また、主フレーム15と支持ボス50を、前下り傾斜姿勢の前側連結プレート51aと、後上り傾斜姿勢の後側連結プレート51bで連結することにより、スタンド54を上下方向に移動させる際、摺動ロッド56の移動時に支持ボス50に加わる機体前側または機体後側への負荷を前側連結プレート51a及び後側連結プレート51bで吸収することができるので、支持ボス50が主フレーム15から外れてスタンド54が使用できなくなることが防止される。
【0129】
仮に、摺動ロッド56を前後方向に一切負荷をかけることなく上下方向に移動させることが可能であれば、前側連結プレート51a及び後側連結プレート51bは負荷を吸収する役割は果たさないが、支持ボス50を主フレーム15に連結する強度を高めることはできるので、装着することが望ましい。
【0130】
なお、支持ボス50は、前輪4及び後輪5が同一の高さの面に接する状態、即ち地面が水平である状態を基準として、機体上側ほど機体前側に位置する前傾姿勢で配置する。
【0131】
これにより、スタンド54を上昇させるほど、摺動ロッド56の上端部が機体前側上方に向かうので、摺動ロッド56を上昇させても供給装置6の底部との距離が縮まりにくく、摺動ロッド56が供給装置6を破損させることが防止される。
【0132】
支持ボス50は、地面、特に植付作業時の畝面に比較的近い位置にあるので、下端側は主フレーム15の取付位置の下面と略同じ高さまでとする必要がある。また、上端側は、過度に長くするとスタンド54を収納状態にする際、余分に上方に摺動ロッド56を引き上げる必要があり、摺動ロッド56の上端部が供給装置6の底部に接触する恐れがあるので、主フレーム15の取付位置の上面より僅かに高い程度の長さとする。この制限により、支持ボス50の上下長さは、主フレーム15の上下幅と同じか、あるいは僅かに幅広となる長さになる。
【0133】
したがって、スタンド54の上下長さが長過ぎると、下部側ほど使用状態であるときにかかる負荷への耐久性が低下する恐れがある。特に、摺動ロッド56と連結バー54a、及び連結バー54aと接地プレート55の連結部分に負荷がかかり続けると、スタンド54が壊れるおそれがある。
【0134】
過度の負荷がかかることを防止すべく、スタンド54の上下長さは、支持ボス50の上下長さの五倍程度を限度とすると、機体の移動を抑える際にスタンド54に係る負荷が摺動ロッド56と連結バー54a、及び連結バー54aと接地プレート55の連結の連結強度を上回りにくく、スタンド54の破損が長期間に亘って防止される。
【0135】
上記構成では、支持ボス50には、スタンド54を使用状態で保持する保持溝53,53を形成しているが、保持溝53,53では、使用状態でスタンド54を保持できる位相は一カ所だけになる。
【0136】
図16(a)(b)に示すとおり、支持ボス50の後下側を約180度の範囲に亘って後部切欠部50bを形成し、支持ボス50の後部側から前後中央部付近までの上下長さを前部側から前後中央部付近までの上下長さよりも短くする。
【0137】
この構成により、保持ピン57,57が切替移動溝52,52を通過して支持ボス50の下方に移動した後、摺動ロッド56を回転させて保持ピン57,57を後部切欠部50bを形成した位相に合わせ、下降規制装置60のスプリング58の復元力により摺動ロッド56が上方移動して、スタンド54が使用状態で保持される。保持ピン57,57は、後部切欠部50bの左右端部に各々前面が接触する構成とすると、地面の接地抵抗によりスタンド54を回転させる力が加わっても、スタンド54が回転することなく、接地プレート55の長手方向が左右方向を向く姿勢が保持され、機体が傾斜等の影響で移動することが確実に防止される。
【0138】
支持ボス50に切替移動溝52,52や保持溝53,53を形成することは、支持ボス50の強度を低下させることに加えて、加工にかかるコストを上昇させることも問題となる。
【0139】
したがって、
図14(a)(b)に示すとおり、摺動ロッド56に設ける保持ピン57,57を、摺動ロッド56の径の内側に移動可能に構成することが考えられる。具体的には、摺動ロッド56に保持ピン57,57を出入り可能に保持する出入孔56aを、約180度離れた位相に各々形成する。この構成では、出入孔56aは保持ピン57の長さと略同じ長さとする。
【0140】
そして、出入り孔56a内には押出スプリング56bの基部を設け、押出スプリング56bの端部に保持ピン57を取り付ける。
【0141】
この構成により、保持ピン57は押出スプリング56bの復元力によって摺動ロッド56の外周縁部から突出する状態にすると共に、押出スプリング56bの復元力を上回る力で保持ピン57を出入孔56aの内部に押し込み、保持ピン57の先端部が摺動ロッド56の内部に入り込む、あるいは外周縁部に位置する状態にすることが可能になる。
【0142】
したがって、スタンド54の使用状態と収納状態を切り替えるべく摺動ロッド56を移動させるときには、保持ピン57,57を摺動ロッド56内に押し込んで支持ボス50の中空部50aを通過可能な状態とし、上方または下方の所定位置に移動させると押出スプリング56b,56bにより保持ピン57,57が支持ボス50の上部または下部に接触して上下方向の移動が規制される状態とすることができる。
【0143】
この構成において、スタンド54を使用状態にしたときは、支持ボス50の下部に保持ピン57,57が接触し、且つ下降規制装置60により上方にスタンド54が引き上げられるので、使用状態は維持される。一方、収納状態としたときには、摺動ロッド56の回転により接地プレート55の長手方向が機体前後方向以外を向き、既に植え付けた苗に接触することを防止する必要があるので、収納フック81に接地プレート55を接触させる必要がある。
【0144】
これにより、支持ボス50に移動用、及びスタンド54の保持用の溝を切り欠いて形成する必要がなく、支持ボス50の強度が向上し、長期間使用しても破損しにくくなると共に、製造コストの低減が図られる。
【0145】
上記構成に替えて、
図15(a)(b)に示すとおり、摺動ロッド56を貫通させて貫通出入り孔56cを形成し、貫通出入り孔56cと略同じ長さの連動押出スプリング56dを設け、この連動押出スプリング56dの両端に保持ピン57,57を設けても、上記と同様の効果を得ることができる。