特許第6644268号(P6644268)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6644268タイヤ用ゴム組成物及びスタッドレスタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644268
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】タイヤ用ゴム組成物及びスタッドレスタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20200130BHJP
   C08L 33/20 20060101ALI20200130BHJP
   C08L 75/14 20060101ALI20200130BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20200130BHJP
   C08L 71/00 20060101ALI20200130BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   C08L9/00
   C08L33/20
   C08L75/14
   C08K3/04
   C08L71/00 Y
   B60C1/00 A
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-54962(P2018-54962)
(22)【出願日】2018年3月22日
(65)【公開番号】特開2019-167413(P2019-167413A)
(43)【公開日】2019年10月3日
【審査請求日】2019年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】影山 裕一
(72)【発明者】
【氏名】木村 和資
(72)【発明者】
【氏名】三原 諭
(72)【発明者】
【氏名】山元 裕太郎
【審査官】 中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−102288(JP,A)
【文献】 特開2016−125000(JP,A)
【文献】 特開2015−221854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00−101/14
C08K3/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴム100質量部と、
熱膨張性マイクロカプセル複合体1〜30質量部とを含有し、
前記熱膨張性マイクロカプセル複合体が、1以上の熱膨張性マイクロカプセルと、前記1以上の熱膨張性マイクロカプセルを覆うアクリロニトリルブタジエン共重合体の架橋体とを含む、タイヤ用ゴム組成物。
【請求項2】
前記1以上の熱膨張性マイクロカプセルが、複数の熱膨張性マイクロカプセルである、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項3】
前記複数の熱膨張性マイクロカプセルが、線状、帯状又は房状に連結した、請求項2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項4】
前記アクリロニトリルブタジエン共重合体の架橋体が、カルボキシ基又はアミノ基を有するアクリロニトリルブタジエン共重合体とイソシアネートとの架橋体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項5】
前記イソシアネートが、イソシアネートシラン、ジイソシアネート及び多官能イソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種のイソシアネートである、請求項4に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項6】
前記熱膨張性マイクロカプセル複合体が、さらに、非イオン性界面活性剤を含み、
前記非イオン性界面活性剤の含有量が、前記アクリロニトリルブタジエン共重合体の架橋体の含有量に対して、5〜50質量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項7】
さらに、カーボンブラック及び/又は白色充填剤を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項8】
さらに、平均粒子径1〜200μmの三次元架橋した高分子微粒子を含有し、
前記高分子微粒子が、ポリエーテル系の重合体又は共重合体であり、
前記高分子微粒の含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜30質量部である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項9】
前記熱膨張性マイクロカプセル複合体に含まれる熱膨張性マイクロカプセルの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜15質量部である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物を用いて製造されたタイヤトレッド部を備える、スタッドレスタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ用ゴム組成物及びスタッドレスタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタッドレスタイヤの氷上摩擦の向上を目的として、熱膨張性マイクロカプセルを配合したタイヤ用ゴム組成物が研究されている。
【0003】
例えば、特許文献1の特許請求の範囲には、「セルロース繊維上に複数の熱膨張性マイクロカプセルが付着した構造を有することを特徴とする熱膨張性マイクロカプセル複合体。」が開示されている。特許文献1には、上記熱膨張性マイクロカプセル複合体をゴム組成物に配合することでスタッドレスタイヤの氷上性能が向上する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−169278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今、求められる安全レベルの向上に伴い、スタッドレスタイヤの氷上性能(氷上での制動性)のさらなる向上が求められている。また、耐摩耗性能との両立も求められている。
このようななか、本発明者らが特許文献1の実施例を参考にタイヤ用ゴム組成物を調製し、評価したところ、氷上性能及び耐摩耗性能をさらに向上することが望ましいことが明らかになった。
【0006】
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、氷上性能及び耐摩耗性能に優れるタイヤ用ゴム組成物、並びに、上記タイヤ用ゴム組成物を用いたスタッドレスタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、熱膨張性マイクロカプセルと上記熱膨張性マイクロカプセルを覆うアクリロニトリルブタジエン共重合体及び/又はその架橋体とを含む熱膨張性マイクロカプセル複合体を用いることで上記課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
【0008】
(1) ジエン系ゴム100質量部と、
熱膨張性マイクロカプセル複合体1〜30質量部とを含有し、
上記熱膨張性マイクロカプセル複合体が、1以上の熱膨張性マイクロカプセルと、上記1以上の熱膨張性マイクロカプセルを覆うアクリロニトリルブタジエン共重合体及び/又はその架橋体とを含む、タイヤ用ゴム組成物。
(2) 上記1以上の熱膨張性マイクロカプセルが、複数の熱膨張性マイクロカプセルである、上記(1)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(3) 上記複数の熱膨張性マイクロカプセルが、線状、帯状又は房状に連結した、上記(2)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(4) 上記熱膨張性マイクロカプセル複合体が、1以上の熱膨張性マイクロカプセルと、上記1以上の熱膨張性マイクロカプセルを覆うアクリロニトリルブタジエン共重合体の架橋体とを含み、
上記架橋体が、カルボキシ基又はアミノ基を有するアクリロニトリルブタジエン共重合体とイソシアネートとの架橋体である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
(5) 上記イソシアネートが、イソシアネートシラン、ジイソシアネート及び多官能イソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種のイソシアネートである、上記(4)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(6) 上記熱膨張性マイクロカプセル複合体が、さらに、非イオン性界面活性剤を含み、
上記非イオン性界面活性剤の含有量が、上記アクリロニトリルブタジエン共重合体及び/又はその架橋体の含有量に対して、5〜50質量%である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
(7) さらに、カーボンブラック及び/又は白色充填剤を含有する、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
(8) さらに、平均粒子径1〜200μmの三次元架橋した高分子微粒子を含有し、
上記高分子微粒の含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜30質量部である、上記(1)〜(7)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
(9) 上記熱膨張性マイクロカプセル複合体に含まれる熱膨張性マイクロカプセルの含有量が、上記ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜15質量部である、上記(1)〜(8)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
(10) 上記(1)〜(9)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を用いて製造されたタイヤトレッド部を備える、スタッドレスタイヤ。
【発明の効果】
【0009】
以下に示すように、本発明によれば、氷上性能及び耐摩耗性能に優れるタイヤ用ゴム組成物、並びに、上記タイヤ用ゴム組成物を用いたスタッドレスタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】特定複合体の一実施態様のマイクロスコープ写真である。
図2】本発明のスタッドレスタイヤの実施態様の一例の部分断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明のタイヤ用ゴム組成物及び上記タイヤ用ゴム組成物を用いたスタッドレスタイヤについて説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本発明のタイヤ用ゴム組成物が含有する各成分は、1種を単独でも用いても、2種以上を併用してもよい。ここで、各成分について2種以上を併用する場合、その成分について含有量とは、特段の断りが無い限り、合計の含有量を指す。
【0012】
[タイヤ用ゴム組成物]
本発明のタイヤ用ゴム組成物(以下、「本発明の組成物」とも言う)は、ジエン系ゴム100質量部と、熱膨張性マイクロカプセル複合体1〜30質量部とを含有する。
ここで、上記熱膨張性マイクロカプセル複合体は、1以上の熱膨張性マイクロカプセルと、上記1以上の熱膨張性マイクロカプセルを覆うアクリロニトリルブタジエン共重合体及び/又はその架橋体とを含む。
【0013】
本発明の組成物はこのような構成をとるため、上述した効果が得られるものと考えらえる。その理由は明らかではないがおよそ以下のとおりと推測される。
【0014】
本発明の組成物は熱膨張性マイクロカプセルを含有するため、熱膨張性マイクロカプセルが氷上の水を吸収することで路面との摩擦力が上がり、結果として、氷上性能が向上するものと考えられる。なお、本発明者らの検討から、複数の熱膨張性マイクロカプセルが連結している方が水を効率良く吸収するため、氷上性能がさらに向上することが分かっている。
ここで、本発明者らの検討から、熱膨張性マイクロカプセルを単にタイヤ用ゴム組成物に配合してスタッドレスタイヤを製造した場合、スタッドレスタイヤと路面との摩擦により、熱膨張性マイクロカプセルが起点となって摩耗が進んでしまう場合があることが明らかになっている。一方、本発明の組成物では、熱膨張性マイクロカプセルがアクリロニトリルブタジエン共重合体及び/又はその架橋体(被覆層)によって覆われているため、被覆層が応力を吸収して、摩耗の進行を抑えるものと考えられる。
結果として、本発明の組成物は優れた氷上性能及び耐摩耗性能を示すものと推測される。
【0015】
以下、本発明の組成物が含有する各成分について詳述する。
【0016】
〔ジエン系ゴム〕
本発明の組成物が含有するジエン系ゴムは特に制限されず、その具体例としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレンゴム(SIR)、スチレン−イソプレン−ブタジエンゴム(SIBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)及びこれらの各ゴムの誘導体などが挙げられる。
上記ジエン系ゴムは、本発明の効果がより優れる理由から、これらのゴムの少なくとも1種を30質量%以上含むのが好ましい。
上記ジエン系ゴムは、本発明の効果がより優れる理由から、天然ゴム(NR)又はブタジエンゴム(BR)を含むのが好ましく、天然ゴム(NR)及びブタジエンゴム(BR)を含むのがより好ましく、天然ゴム(NR)及びブタジエンゴム(BR)をそれぞれ30〜70質量%含むのが好ましく、40〜60質量%含むのがより好ましい。
【0017】
上記ジエン系ゴムの重量分子量(Mw)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100,000〜10,000,000であることが好ましく、200,000〜1,500,000であることがより好ましく、300,000〜3,000,000であることがさらに好ましい。
また、上記ジエン系ゴムの数平均分子量(Mn)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50,000〜5,000,000であることが好ましく、100,000〜750,000であることがより好ましく、150,000〜1,500,000であることがさらに好ましい。
上記ジエン系ゴムに含まれる少なくとも1種のジエン系ゴムのMw及び/又はMnが上記範囲に含まれることが好ましく、上記ジエン系ゴムに含まれるすべてのジエン系ゴムのMw及び/又はMnが上記範囲に含まれることがより好ましい。
なお、本明細書において、Mw及びMnは、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる標準ポリスチレン換算値とする。
・溶媒:テトラヒドロフラン
・検出器:RI検出器
【0018】
〔特定複合体〕
本発明の組成物が含有する熱膨張性マイクロカプセル複合体は、1以上の熱膨張性マイクロカプセルと、上記1以上の熱膨張性マイクロカプセルを覆うアクリロニトリルブタジエン共重合体及び/又はその架橋体とを含む複合体(以下、「特定複合体」とも言う)である。すなわち、特定複合体は、1以上の熱膨張性マイクロカプセルが、アクリロニトリルブタジエン共重合体及び/又はその架橋体である被覆層によって覆われた構造を有する。
図1に特定複合体の一実施態様のマイクロスコープ写真を示す。図1では、主に複数の熱膨張マイクロカプセルが被覆層によって覆われている。
【0019】
<熱膨張性マイクロカプセル>
上記熱膨張性マイクロカプセルは、熱により気化又は膨張して気体を発生させる物質を内包した熱可塑性樹脂粒子からなる。ここで、熱膨張性マイクロカプセルは、上記物質の気化又は膨張開始温度以上の温度(例えば、130〜190℃)で加熱することにより、熱可塑性樹脂からなる外殻中に気体が封入されたマイクロカプセルとなる。
上記熱膨張性マイクロカプセルの膨張前の粒子径は、本発明の効果がより優れる理由から、5〜300μmが好ましく、10〜200μmがより好ましい。
【0020】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば(メタ)アクリロニトリルの重合体、及び/又は、(メタ)アクリロニトリル含有量の高い共重合体が好適に用いられる。共重合体である場合の他のモノマー(コモノマー)としては、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、スチレン系モノマー、(メタ)アクリレート系モノマー、酢酸ビニル、ブタジエン、ビニルピリジン、クロロプレン等のモノマーが用いられる。
なお、上記熱可塑性樹脂は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアヌレート等の架橋剤で架橋可能にされていてもよい。架橋形態については、未架橋が好ましいが、熱可塑性樹脂としての性質を損なわない程度に部分的に架橋していてもよい。
【0021】
上記熱膨張性マイクロカプセル中に含まれる熱により気化又は膨張して気体を発生させる物質としては、具体的には、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ブタン、イソブタン、ヘキサン、石油エーテルなどの炭化水素類;塩化メチル、塩化メチレン、ジクロロエチレン、トリクロロエタン、トリクロルエチレンなどの塩素化炭化水素;等のような液体、又は、アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、トルエンスルホニルヒドラジド誘導体、芳香族スクシニルヒドラジド誘導体等のような固体が挙げられる。
【0022】
このような熱膨張性マイクロカプセルとしては、市販品を用いてもよく、例えば、スウェーデンのEXPANCEL社製の商品名「エクスパンセル091DU−80」や「エクスパンセル092DU−120」、松本油脂製薬社製の商品名「マツモトマイクロスフェアーF−85」、「マツモトマイクロスフェアーF−100」、「マツモトマイクロスフェアーF−100D」等として入手可能である。
【0023】
上述のとおり、特定複合体は、1以上の熱膨張性マイクロカプセルが、アクリロニトリルブタジエン共重合体及び/又はその架橋体である被覆層によって覆われた構造を有する。特定複合体は、本発明の効果がより優れる理由から、複数(2以上)の熱膨張性マイクロカプセルが、アクリロニトリルブタジエン共重合体及び/又はその架橋体である被覆層によって覆われた構造を有するのが好ましい。上記複数の熱膨張性マイクロカプセルは、本発明の効果がより優れる理由から、線状、帯状又は房状に連結しているのが好ましい。
【0024】
本発明の組成物において、特定複合体に含まれる熱膨張性マイクロカプセルの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1〜30質量部であることが好ましく、2〜20質量部であることがより好ましく、3〜10質量部であることがさらに好ましい。
【0025】
また、特定複合体中の熱膨張性マイクロカプセルの割合は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、10〜90質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることが好ましい。
【0026】
<被覆層>
上述のとおり、特定複合体は、1以上の熱膨張性マイクロカプセルが、アクリロニトリルブタジエン共重合体及び/又はその架橋体である被覆層によって覆われた構造を有する。
上記被覆層は、アクリロニトリルブタジエン共重合体及び/又はその架橋体であれば特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、アクリロニトリルブタジエン共重合体の架橋体であることが好ましい。
なお、本明細書において、被覆層であるアクリロニトリルブタジエン共重合体及び/又はその架橋体は、上述したジエン系ゴムに含まれないものとする。
【0027】
上記アクリロニトリルブタジエン共重合体及び/又はその架橋体において、アクリロニトリルに由来する繰り返し単位の含有量(アクリロニトリル含有量)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、5〜50質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
【0028】
上記被覆層は、本発明の効果がより優れる理由から、ウレタン結合(−NH−C(=O)−O−)又はウレア結合(−NH−C(=O)−NH−)を有するのが好ましく、ウレタン結合を有するのがより好ましい。
【0029】
上記被覆層がアクリロニトリルブタジエン共重合体の架橋体である場合、上記架橋体は、本発明の効果がより優れる理由から、カルボキシ基又はアミノ基を有するアクリロニトリルブタジエン共重合体とイソシアネートとの架橋体であることが好ましく、カルボキシ基を有するアクリロニトリルブタジエン共重合体とイソシアネートとの架橋体であることがより好ましい。
【0030】
本発明の組成物において、上記被覆層の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1〜30質量部であることが好ましく、2〜20質量部であることがより好ましく、3〜10質量部であることがさらに好ましい。
【0031】
また、特定複合体中の上記被覆層の割合は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、10〜90質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることが好ましい。
【0032】
また、特定複合体中、熱膨張性マイクロカプセルの含有量に対する被覆層の含有量の割合は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50〜200質量%であることが好ましく、70〜130質量%であることがより好ましい。
【0033】
<非イオン性界面活性剤>
特定複合体は、本発明の効果がより優れる理由から、さらに、非イオン性界面活性剤を含むのが好ましい。
【0034】
非イオン性界面活性剤は特に制限されないが、具体例としては、脂肪酸ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタン、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン−プロピレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレン脂肪族炭化水素アミン(例えば、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキレンアミン)、ポリオキシエチレン脂肪族炭化水素アミド(例えば、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンアルキレンアミド)、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。
上記非イオン性界面活性剤は、本発明の効果がより優れる理由から、アミド基又はアミノ基を有することが好ましく、アミド基を有することがより好ましい。
【0035】
上記非イオン性界面活性剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.2〜5質量部であることがより好ましく、0.3〜2質量部であることがさらに好ましい。
【0036】
また、特定複合体中の非イオン性界面活性剤の割合は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、1〜20質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることが好ましい。
【0037】
また、特定複合体中、上述した被覆層の含有量に対する上記非イオン性界面活性剤の含有量の割合は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、5〜50質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
【0038】
<特定複合体の製造方法>
特定複合体を製造する方法は特に制限されず、例えば、熱膨張性マイクロカプセルとアクリロニトリルブタジエン共重合体とを混合する方法等が挙げられる。
特定複合体の被覆層がアクリロニトリルブタジエン共重合体の架橋体である場合、特定複合体を製造する方法は、得られる本発明の組成物の氷上性能及び耐摩耗性能がより優れる理由から、熱膨張性マイクロカプセルを含有する液状ポリマー中でアクリロニトリルブタジエン共重合体を架橋することで特定複合体を得る方法(以下、「本発明の方法1」とも言う)が好ましい。なかでも、得られる本発明の組成物の氷上性能及び耐摩耗性能がより優れる理由から、熱膨張性マイクロカプセルを含有する液状ポリマー中でカルボキシ基又はアミノ基を有するアクリロニトリルブタジエン共重合体とイソシアネートとを反応させることで特定複合体を得る方法(以下、「本発明の方法2」とも言う)がより好ましい。また、本発明の方法1及び2において、得られる本発明の組成物の氷上性能及び耐摩耗性能がより優れる理由から、液状ポリマー中にさらに非イオン性界面活性剤を配合するのが好ましい。
以下、「得られる本発明の組成物の氷上性能及び耐摩耗性能がより優れる」ことを単に「本発明の効果がより優れる」とも言う。
【0039】
液状ポリマー中で架橋体を形成した場合、液状ポリマーと架橋体とが相分離することによって、複数の熱膨張性マイクロカプセルを覆うように架橋体(被覆層)が形成され、被覆層中で複数の熱膨張性マイクロカプセルは線状、帯状又は房状に連結するものと考えられる。結果として、得られる本発明の組成物はより優れた氷上性能及び耐摩耗性能を示すものと考えられる。
【0040】
以下、本発明の方法1及び2で使用される各成分について述べる。
【0041】
(熱膨張性マイクロカプセル)
上記熱膨張性マイクロカプセルについては上述のとおりである。
【0042】
(液状ポリマー)
上記液状ポリマーは特に制限されないが、具体例としては、液状ポリブタジエン、液状ポリスチレンブタジエン、液状ポリイソプレン等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、液状ポリブタジエンが好ましい。
【0043】
上記液状ポリマーの数平均分子量(Mn)は、本発明の効果がより優れる理由から、1,000以上50,000未満であることが好ましく、5,000〜40,000であることがより好ましく、6,000〜30,000であることがさらに好ましく、7,000〜20,000であることが特に好ましい。
【0044】
(カルボキシ基又はアミノ基を有するアクリロニトリルブタジエン共重合体)
上記カルボキシ基又はアミノ基を有するアクリロニトリルブタジエン共重合体は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、末端にカルボキシ基又はアミノ基を有するアクリロニトリルブタジエン共重合体であることが好ましい。なお、カルボキシ基を有するアクリロニトリルブタジエン共重合体はイソシアネートとの反応によりウレタン結合が形成され、アミノ基を有するアクリロニトリルブタジエン共重合体はイソシアネートとの反応によりウレア結合を形成する。
上記カルボキシ基又はアミノ基を有するアクリロニトリルブタジエン共重合体のアクリロニトリルの含有量(アクリロニトリル含有量)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、5〜50質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましく、17〜25質量%であることがさらに好ましい。
上記カルボキシ基又はアミノ基を有するアクリロニトリルブタジエン共重合体の分子量は、本発明の効果がより優れる理由から、1,000〜50,000であることが好ましく、2,000〜10,000であることがより好ましく、3,000〜5,000であることがさらに好ましい。
【0045】
(イソシアネート)
上記イソシアネートは特に制限されず、その具体例としては、イソシアネートシラン、ジイソシアネート、多官能イソシアネート等が挙げられる。上記イソシアネートは、本発明の効果がより優れる理由から、多官能イソシアネート(イソシアネート基を2つ以上有するイソシアネート)であることが好ましい。
多官能イソシアネートの具体例としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどの芳香族系ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂肪族系ポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート体、ビューレット体、アダクト体;等が挙げられる。
【0046】
(非イオン性界面活性剤)
上記非イオン性界面活性剤については上述のとおりである。
【0047】
<含有量>
本発明の組成物において、特定複合体の含有量は、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1〜30質量部である。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、5〜20質量部であることが好ましい。
【0048】
〔任意成分〕
本発明の組成物は、必要に応じて、上述した成分以外の成分(任意成分)を含有することができる。
そのような成分としては、例えば、カーボンブラック、白色充填剤(好ましくは、シリカ)、シランカップリング剤、テルペン樹脂(好ましくは、芳香族変性テルペン樹脂)、熱膨張性マイクロカプセル、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、加工助剤、プロセスオイル、液状ポリマー、熱硬化性樹脂、加硫剤(例えば、硫黄)、加硫促進剤などのゴム組成物に一般的に使用される各種添加剤などが挙げられる。
【0049】
<カーボンブラック及び/又は白色充填剤>
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、カーボンブラック及び/又は白色充填剤を含有するのが好ましく、カーボンブラック及び白色充填剤の両方を含有するのがより好ましい。
【0050】
(カーボンブラック)
上記カーボンブラックは特に限定されず、例えば、SAF−HS、SAF、ISAF−HS、ISAF、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF−HS、HAF、HAF−LS、FEF、GPF、SRF等の各種グレードのものを使用することができる。
上記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、50〜200m/gであることが好ましく、70〜150m/gであることがより好ましい。
ここで、窒素吸着比表面積(N2SA)は、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K6217−2:2001「第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法」にしたがって測定した値である。
【0051】
(白色充填剤)
上記白色充填剤は特に制限されないが、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸カルシウム等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、シリカであることが好ましい。
【0052】
上記シリカは特に制限されないが、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、湿式シリカであることが好ましい。
【0053】
上記シリカのセチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)吸着比表面積は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、100〜400m/gであることが好ましく、150〜300m/gであることがより好ましく、160〜250m/gであることがさらに好ましい。
ここで、CTAB吸着比表面積は、シリカ表面へのCTAB吸着量をJIS K6217−3:2001「第3部:比表面積の求め方−CTAB吸着法」にしたがって測定した値である。
【0054】
本発明の組成物において、上記カーボンブラック及び/又は白色充填剤(特にシリカ)の含有量(カーボンブラック及び白色充填剤を併用する場合は合計の含有量)は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、30〜100質量部であることが好ましく、40〜90質量部であることがより好ましく、45〜80質量部であることがより好ましい。
【0055】
また、本発明の組成物において、上記カーボンブラックの含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、10〜50質量部であることが好ましく、15〜45質量部であることがより好ましく、20〜40質量部であることがより好ましい。
【0056】
また、本発明の組成物において、上記白色充填剤(特にシリカ)の含有量は、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、10〜80質量部であることが好ましく、15〜60質量部であることがより好ましく、20〜50質量部であることがより好ましい。
【0057】
<特定微粒子>
本発明の組成物は、本発明の効果がより優れる理由から、平均粒子径1〜200μmの三次元架橋した高分子微粒子(以下、「特定微粒子」とも言う)を含有するのが好ましい。
特定微粒子の平均粒子径は、本発明の効果がより優れる理由から、1〜50μmであることが好ましく、6〜40μmであることがより好ましい。
ここで、平均粒子径とは、レーザー顕微鏡を用いて測定した円相当径の平均値を言う。
【0058】
特定微粒子を構成する高分子の具体例としては、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリカーボネート系、脂肪族系、飽和炭化水素系、アクリル系もしくは植物由来系の重合体又は共重合体等が挙げられる。
上記ポリエーテル系の重合体又は共重合体としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリプロピレントリオール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ソルビトール系ポリオール等が挙げられる。
また、上記ポリエステル系の重合体又は共重合体としては、例えば、低分子多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等)と多塩基性カルボン酸(例えば、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)との縮合物(縮合系ポリエステルポリオール);ラクトン系ポリオール;等が挙げられる。
また、ポリオレフィン系の重合体又は共重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレン共重合体(EPR、EPDM)、ポリブチレン、ポリイソブチレン、水添ポリブタジエン等が挙げられる。
また、上記ポリカーボネート系の重合体又は共重合体としては、例えば、ポリオール化合物(例えば、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール等)とジアルキルカーボネートとのエステル交換反応により得られるもの等が挙げられる。
また、アクリル系の重合体又は共重合体としては、例えば、アクリルポリオール;アクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのアクリレートの単独ポリマー;これらアクリレートを2種以上組み合わせたアクリレート共重合体;等が挙げられる。
また、植物由来系の重合体又は共重合体としては、例えば、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリトリメチレンテレフタレート等が挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる理由から、ポリエーテル系の重合体又は共重合体であることが好ましく、ポリプロピレングリコールであることがより好ましい。
【0059】
特定微粒子は、本発明の効果がより優れる理由から、シロキサン結合を有するのが好ましい。
【0060】
(特定微粒子の製造方法)
特定微粒子を製造する方法は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、液状ポリマー中で高分子(例えば、上述した高分子)を架橋剤等により架橋することで特定微粒子を得る方法が好ましく、液状ポリマー中で末端に加水分解性シリル基(好ましくは、アルコキシシリル基)を有するポリマー(好ましくは、ポリエーテル系の重合体又は共重合体、より好ましくは、ポリプロピレングリコール)同士を反応させることで(加水分解性シリル基同士を反応させることで)特定微粒子を得る方法がより好ましい。上記加水分解性シリル基同士を反応させる際には、本発明の効果がより優れる理由から、縮合触媒を用いるのが好ましい。上記縮合触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオレート、ジブチル錫ジアセテート、テトラブチルチタネート、オクタン酸第一錫、オクチル錫化合物等が挙げられる。
液状ポリマー中で高分子を架橋することで液状ポリマー中に分散した高分子微粒子を得ることができる。液状ポリマーについては、上述した特定複合体で述べた液状ポリマーと同じである。
特定微粒子の平均粒子径は、架橋前の高分子の分子量、液状ポリマーと高分子との量比、反応温度等によって制御することができる。
特定微粒子の別の態様については、例えば、特開2012−211316号公報の段落[0038]〜[0055]に記載されたものを適宜採用することができ、その内容は本明細書に参照として取り込まれる。
【0061】
(含有量)
本発明の組成物において、特定微粒子の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる理由から、上述したジエン系ゴム100質量部に対して、1〜30質量部であることが好ましく、2〜10質量部であることがより好ましい。
【0062】
〔タイヤ用ゴム組成物の調製方法〕
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、その具体例としては、例えば、上述した各成分を、公知の方法、装置(例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど)を用いて、混練する方法などが挙げられる。本発明の組成物が硫黄又は加硫促進剤を含有する場合は、硫黄及び加硫促進剤以外の成分を先に高温(好ましくは100〜160℃)で混合し、冷却してから、硫黄又は加硫促進剤を混合するのが好ましい。
また、本発明の組成物は、従来公知の加硫又は架橋条件で加硫又は架橋することができる。
【0063】
[スタッドレスタイヤ]
本発明のスタッドレスタイヤは、上述した本発明の組成物を用いて製造されたスタッドレスタイヤである。なかでも、本発明の組成物を用いて製造されたタイヤトレッド部を備えるスタッドレスタイヤであることが好ましい。
図2に、本発明のスタッドレスタイヤの実施態様の一例を表すスタッドレスタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明のスタッドレスタイヤは図2に示す態様に限定されるものではない。
【0064】
図2において、符号1はビード部を表し、符号2はサイドウォール部を表し、符号3はタイヤトレッド部を表す。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5及びビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド部3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
なお、タイヤトレッド部3は上述した本発明の組成物により形成されている。
【0065】
本発明のスタッドレスタイヤは、例えば、従来公知の方法に従って製造することができる。また、本発明のスタッドレスタイヤに充填する気体としては、通常の又は酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを用いることができる。
【実施例】
【0066】
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0067】
〔熱膨張性マイクロカプセル複合体の製造〕
以下のとおり、比較複合体及び特定複合体1〜4を製造した。
【0068】
<比較複合体>
水120gにポリアクリル酸1.2gを溶解させ、そこにセルロースミクロフィブリル15%含有物:セリッシュKY110N(ダイセルファインケム社製)80gを投入しディゾルバー付攪拌機を用いて5分間攪拌した(回転数:600rpm)。次いで2,2,2−ニトリロトリエタノール5gを投入しさらに5分間同条件で攪拌した後、ディゾルバー付攪拌機から、バタフライ型攪拌機に移し、熱膨張性マイクロカプセル:マツモトマイクロスフェアーF(松本油脂製薬(株)製)80gを投入し、36rpmの回転速度で2分間攪拌した。得られた液状物を噴射乾燥機により、熱風温度90℃で噴射乾燥させることで、白色粉末を得た。得られた白色粉末を分析したところ、セルロース繊維上に複数の熱膨張性マイクロカプセルが線状、帯状又は房状に連結して付着した熱膨張性マイクロカプセル複合体(比較複合体とする)であることが確認された。
【0069】
<特定複合体1>
末端にカルボキシ基を有するアクリルニトリルブタジエン共重合体(商品名:CTBN1300×8、分子量:3550、アクリルニトリル含有量:18質量%、ピイ・ティ・アイ・ジャパン(株)製)100gと、キシリレンジイソシアネート(XDI)(商品名:タケネート500、三井化学(株)製)9gと、イソシアネートシラン(商品名Y5187、モメンティブ製)(下記構造)2gと、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンオレイルアミド)(商品名:リポマイド0/15、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)30gと、熱膨張性マイクロカプセル(マツモトマイクロスフェアーF、松本油脂製薬社製)100gとを混合した。その後、液状ポリブタジエン(商品名:L−BR−307 CN、数平均分子量:8,000、(株)クラレ製)50gを追加で混合し、60℃に加温し1時間放置した。このようにして、液状ポリブタジエン中に分散した、複数の熱膨張性マイクロカプセルとそれを覆うアクリルニトリルブタジエン共重合体の架橋体(被覆層)とを含む熱膨張性マイクロカプセル複合体(特定複合体1とする)を得た。なお、被覆層は、アクリルニトリルブタジエン共重合体の架橋体(末端にカルボキシ基を有するアクリルニトリルブタジエン共重合体とキシリレンジイソシアネートとイソシアネートシランとの反応物)であり、ウレタン結合を有する。また、特定複合体1について分析したところ、複数の熱膨張性マイクロカプセルは線状、帯状又は房状に連結していた。
【0070】
イソシアネートシラン
【化1】
【0071】
<特定複合体2>
末端にカルボキシ基を有するアクリルニトリルブタジエン共重合体(商品名:CTBN1300×8、分子量:3550、アクリルニトリル含有量:18質量%、ピイ・ティ・アイ・ジャパン(株)製)100gの代わりに末端にカルボキシ基を有するアクリルニトリルブタジエン共重合体(商品名:CTBN1300×13NA、分子量:3150、アクリルニトリル含有量:16質量%、ピイ・ティ・アイ・ジャパン(株)製)100gを用い、キシリレンジイソシアネート(XDI)(商品名:タケネート500、三井化学(株)製)9gの代わりにキシリレンジイソシアネート(XDI)(商品名:タケネート500、三井化学(株)製)7.5gを用いた以外、特定複合体1と同様の手順に従って、液状ポリブタジエン中に分散した、複数の熱膨張性マイクロカプセルとそれを覆うアクリルニトリルブタジエン共重合体の架橋体(被覆層)とを含む熱膨張性マイクロカプセル複合体(特定複合体2とする)を得た。なお、被覆層は、アクリルニトリルブタジエン共重合体の架橋体(末端にカルボキシ基を有するアクリルニトリルブタジエン共重合体とキシリレンジイソシアネートとイソシアネートシランとの反応物)であり、ウレタン結合を有する。また、特定複合体2について分析したところ、複数の熱膨張性マイクロカプセルは線状、帯状又は房状に連結していた。
【0072】
<特定複合体3>
末端にアミノ基を有するアクリルニトリルブタジエン共重合体(商品名:ATBN1300×16、分子量:3800、アクリルニトリル含有量:18質量%、ピイ・ティ・アイ・ジャパン(株)製)100gと、液状ポリブタジエン(商品名:L−BR−307 CN(株)クラレ製)50gと、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンオレイルアミド)(商品名:リポマイド0/15、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)30gと、熱膨張性マイクロカプセル(マツモトマイクロスフェアーF、松本油脂製薬社製)100gとを混合した。その後、混合物を攪拌しながら、キシリレンジイソシアネート(XDI)(商品名:タケネート500、三井化学(株)製)8gとイソシアネートシラン(商品名Y5187、モメンティブ製)2gとの混合物を約5分間かけて徐々に添加し、そのまま常温で1時間放置した。このようにして、液状ポリブタジエン中に分散した、複数の熱膨張性マイクロカプセルとそれを覆うアクリルニトリルブタジエン共重合体の架橋体(被覆層)とを含む熱膨張性マイクロカプセル複合体(特定複合体3とする)を得た。なお、被覆層は、アクリルニトリルブタジエン共重合体の架橋体(末端にアミノ基を有するアクリルニトリルブタジエン共重合体とキシリレンジイソシアネートとイソシアネートシランとの反応物)であり、ウレア結合を有する。また、特定複合体3について分析したところ、複数の熱膨張性マイクロカプセルは線状、帯状又は房状に連結していた。
【0073】
<特定複合体4>
ポリオキシエチレンオレイルアミド(商品名:リポマイド0/15、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)30gの代わりにポリオキシエチレンオレイルアミン(商品名:リポノール0/25、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)30gを用いた以外、特定複合体1と同様の手順に従って、液状ポリブタジエン中に分散した、複数の熱膨張性マイクロカプセルとそれを覆うアクリルニトリルブタジエン共重合体の架橋体(被覆層)とを含む熱膨張性マイクロカプセル複合体(特定複合体4とする)を得た。なお、被覆層は、アクリルニトリルブタジエン共重合体の架橋体(末端にカルボキシ基を有するアクリルニトリルブタジエン共重合体とキシリレンジイソシアネートとイソシアネートシランとの反応物)であり、ウレタン結合を有する。また、特定複合体4について分析したところ、複数の熱膨張性マイクロカプセルは線状、帯状又は房状に連結していた。
【0074】
〔高分子微粒子1の製造〕
加水分解性シリル基末端ポリプロピレングリコール(S−2410、旭硝子社製)100gに、プロセスオイル(ダイアナプロセスオイルPS−32、出光興産社製)75gと液状ポリイソプレン(LIR30、数平均分子量:28,000、(株)クラレ製)75g、蒸留水0.3gとポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(レオドールTW−0320V、花王社製)5.0gとオクチル錫化合物(ネオスタンS−1、日東化成社製)1gとを投入し、80℃で3時間撹拌し、やや白濁したペースト状生成物を調製した。得られたペースト状生成物について、レーザー顕微鏡VK−8710(株式会社キーエンス製)を用いて観察したところ、平均粒子径10〜30μmの三次元架橋した高分子微粒子(骨格:ポリオキシプロピレン(ポリプロピレングリコール),架橋:シロキサン結合)(高分子微粒子1とする)であることが確認された。また、この画像を画像処理し、3Dプロファイリングした結果、ペースト状生成物中の高分子微粒子1の含有量(質量%)は約33%であった。
【0075】
〔タイヤ用ゴム組成物の調製〕
下記表1に示す成分を、同表に示す割合(質量部)で配合した。具体的には、まず硫黄及び加硫促進剤を除く成分を、1.7リットルの密閉型ミキサーで5分間混練し、150℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。次に、得られたマスターバッチに硫黄及び加硫促進剤をオープンロールで混練し、タイヤ用ゴム組成物を得た。
なお、下記表1の特定複合体の欄において、カッコ内の数字は左から、熱膨張性マイクロカプセルの質量部、アクリルニトリルブタジエン共重合体の架橋体(被覆層)の質量部、特定複合体に含まれる非イオン性界面活性剤の質量部、液状ポリブタジエンの質量部を表す。例えば、特定複合体1であれば、特定複合体1(15質量部)のうち特定複合体1の正味の質量部は12質量部(熱膨張性マイクロカプセル5質量部+被覆層6質量部+非イオン性界面活性剤1質量部)であり、残りの3質量部は液状ポリブタジエンである。また、下記表1の比較複合体の欄において、カッコ内の数字は左から、熱膨張性マイクロカプセルの質量部、セルロース繊維及びポリアクリル酸の合計の質量部を表す。また、下記表1の高分子微粒子1の欄において、カッコ内の数字は高分子微粒子の正味の質量部を表す。
【0076】
〔加硫ゴムシートの作製〕
得られたタイヤ用ゴム組成物をランボーン摩耗用金型(直径63.5mm、厚さ5mmの円板状)中で加硫して(170℃、15分間)、加硫ゴムシートを作製した。
【0077】
〔評価〕
得られた加硫ゴムシートについて以下のとおり評価を行った。
【0078】
<氷上性能>
得られた加硫ゴムシートを偏平円柱状の台ゴムに貼り付け、インサイドドラム型氷上摩擦試験機にて氷上摩擦係数を測定した。測定温度は−1.5℃とし、荷重5.5g/cm、ドラム回転速度25km/時とした。
結果を表1に示す。結果は比較例1を100とする指数で表した。指数が大きいほど氷上摩擦力が大きく、氷上性能に優れることを意味する。実用上、指数は108以上であることが好ましい。
【0079】
<耐摩耗性能>
得られた加硫ゴムシートについて、JIS K6264−1、2:2005に準拠し、ランボーン摩耗試験機(岩本製作所製)を用いて、温度20℃、スリップ率50%の条件で摩耗量を測定した。そして下記式から指数を算出した。
結果を表1に示す。指数が大きいほど摩耗量が小さく、耐摩耗性能に優れることを意味する。実用上、指数は105以上であることが好ましい。
指数=(比較例1の摩耗量/各加硫ゴムシートの摩耗量)×100
【0080】
【表1】
【0081】
上記表1に示される各成分の詳細は以下のとおりである。
なお、特定複合体1〜4は、1以上の熱膨張性マイクロカプセルとそれを覆うアクリルニトリルブタジエン共重合体の架橋体とを含む熱膨張性マイクロカプセル複合体であるため、上述した特定複合体に該当する。一方、比較複合体は、熱膨張性マイクロカプセル複合体がアクリルニトリルブタジエン共重合体及び/又はその架橋体によって覆われていないため、上述した特定複合体に該当しない。
また、高分子微粒子1は、平均粒子径1〜200μmの三次元架橋した高分子微粒子であるため、上述した特定微粒子に該当する。
また、NR及びBRはいずれも数平均分子量が50,000以上である。
・NR:天然ゴム(STR20、ガラス転移温度:−65℃、ボンバンディット社製)
・BR:ブタジエンゴム(Nipol BR1220、ガラス転移温度:−110℃、日本ゼオン社製)
・カーボンブラック:ショウブラックN339(NSA:88m/g、キャボットジャパン社製)
・シリカ:ULTRASIL VN3(エボニック・デグッサ社製)
・熱膨張性マイクロカプセル:マツモトマイクロスフェアーF(松本油脂製薬社製)
・比較複合体:上述のとおり製造された比較複合体
・特定複合体1〜4:上述のとおり製造された特定複合体1〜4(液状ポリブタジエンを含む)
・高分子微粒子1:上述のとおり製造された高分子微粒子1を含むペースト状生成物
・酸化亜鉛:酸化亜鉛3種(正同化学社製)
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸YR(日本油脂社製)
・老化防止剤:アミン系老化防止剤(サントフレックス 6PPD、フレクシス社製)
・ワックス:パラフィンワックス(大内新興化学社製)
・オイル:アロマオイル(エクストラクト4号S、昭和シェル石油社製)
・硫黄:5%油処理硫黄(細井化学社製)
・加硫促進剤:スルフェンアミド系加硫促進剤(サンセラーCM−G、三新化学社製)
【0082】
表1から分かるように、特定複合体を含有する実施例1〜5は、優れた氷上性能及び耐摩耗性能を示した。なかでも、さらに特定微粒子を含有する実施例5は、より優れた氷上性能を示した。
実施例1と4との対比(特定複合体が含む非イオン性界面活性剤の種類のみが異なる態様同士の対比)から、上記非イオン性界面活性剤がアミド基を有する非イオン性界面活性剤である実施例1は、さらに優れた氷上性能を示した。
実施例1〜3の対比(特定複合体がさらにアミド基を有する非イオン性界面活性剤を含む態様同士の対比)から、特定複合体の被覆層が分子量3,200以上であるカルボキシ基を有するアクリロニトリルブタジエン共重合体とイソシアネートとの架橋体である実施例1は、より優れた氷上性能を示した。
実施例1〜2の対比(特定複合体がさらにアミド基を有する非イオン性界面活性剤を含み、特定複合体の被覆層がカルボキシ基を有するアクリロニトリルブタジエン共重合体とイソシアネートとの架橋体である態様同士の対比)から、特定複合体の被覆層が分子量3,200未満であるカルボキシ基を有するアクリロニトリルブタジエン共重合体とイソシアネートとの架橋体である実施例2は、より優れた耐摩耗性能を示した。
【0083】
一方、特定複合体を含有しない比較例1〜3は、氷上摩耗性能及び耐摩耗性能が不十分であった。
【符号の説明】
【0084】
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション
図1
図2