特許第6644281号(P6644281)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6644281
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】正誤判定システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20200130BHJP
   G06Q 30/04 20120101ALI20200130BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20200130BHJP
【FI】
   G06Q50/10
   G06Q30/04
   G06N20/00 130
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-140259(P2018-140259)
(22)【出願日】2018年7月26日
(65)【公開番号】特開2020-17112(P2020-17112A)
(43)【公開日】2020年1月30日
【審査請求日】2019年4月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515185898
【氏名又は名称】株式会社スカイディスク
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊介
【審査官】 牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−016310(JP,A)
【文献】 特開2017−045230(JP,A)
【文献】 特開2004−280712(JP,A)
【文献】 特開平06−215163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械学習を行うコンピュータに入力情報を与えたとき、所定の判断を行い、その結果を回答する判断装置を有する正誤判定システムであって、
前記判断装置は、各種情報を表示する表示部と、正誤の判断を行う判断部と、前記判断部の装置判断結果を記憶する記憶部と、前記判断装置の利用料金を算出する料金算出部とを備え、
前記表示部は、前記装置判断結果を表示する装置判断結果表示画面と、ユーザが行ったユーザ判断結果を入力するユーザ判断結果入力画面と、前記装置判断結果に対してユーザがその根拠を取得する判断根拠表示画面とを有し、
前記判断部は、前記装置判断結果と前記ユーザ判断結果とが一致するか否かを判定し、
前記記憶部は、前記装置判断結果と前記ユーザ判断結果との一致又は不一致の判定情報を記憶し、
前記料金算出部は、ユーザが取得した前記装置判断結果の根拠の正誤により、前記判断装置の利用料金を決定する重み付けを変更し、前記記憶部に記憶された前記判定情報に基づいて、前記判断装置の利用料金の値上げ幅を小さくする又は値下げすることを特徴とする正誤判定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の正誤判定システムにおいて、
前記判断部は、前記ユーザが前記ユーザ判断結果を入力しなかった場合に、一致の判定をすることを特徴とする正誤判定システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の正誤判定システムにおいて、
前記表示部は、前記判断装置が行う判断基準を決定する閾値を、ユーザが設定する判断閾値設定画面を有していることを特徴とする正誤判定システム。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の正誤判定システムにおいて、
前記表示部は、前記判断装置が行った判定が一致又は不一致とされた要因を、ユーザが記入する要因記入画面を有していることを特徴とする正誤判定システム。
【請求項5】
機械学習を行うコンピュータに入力情報を与えたとき、所定の判断を行い、その結果を回答する判断装置と、前記判断装置の利用料金を算出する料金算出装置とからなる正誤判定システムであって、
前記判断装置は、各種情報を表示する表示部と、正誤の判断を行う判断部と、前記判断部の装置判断結果を記憶する記憶部と、を備え、
前記表示部は、前記装置判断結果を表示する装置判断結果表示画面と、ユーザが行ったユーザ判断結果を入力するユーザ判断結果入力画面と、前記装置判断結果に対してユーザがその根拠を取得する判断根拠表示画面とを有し、
前記判断部は、前記装置判断結果と前記ユーザ判断結果とが一致するか否かを判定し、
前記記憶部は、前記装置判断結果と前記ユーザ判断結果との一致又は不一致の判定情報を記憶し、
前記料金算出装置は、ユーザが取得した前記装置判断結果の根拠の正誤により、前記判断装置の利用料金を決定する重み付けを変更し、前記判断装置の前記記憶部から提供された前記判定情報に基づいて、前記判断装置の利用料金の値上げ幅を小さくする又は値下げすることを特徴とする正誤判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータが行う正誤判定の精度を向上させることができる正誤判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、人工知能を有するコンピュータに学習モデルを提供し、機械学習によってコンピュータが下す判断や予測の精度を高めた検査装置が知られている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1の画像処理装置は、ユーザ入力部と、画像特徴ラベル学習部と、画像特徴ラベル学習パラメータ記憶部と、画像特徴量抽出部と、病変疑い領域悪性度学習部と、病変疑い領域悪性度推定パラメータ記憶部と、病変疑い領域悪性度推定部と、画像特徴ラベル学習更新部と、病変疑い領域悪性度学習更新部と、表示部とから構成されている。
【0004】
画像特徴ラベル学習部は、医用画像DBから病変疑い領域画像とそれに対応する画像特徴ラベルの情報を受け取り、画像特徴ラベルを分類するための機械学習(CNN法)を行い、その学習パラメータを生成する。その後、画像特徴量抽出部は、診断用画像と病変疑い領域画像を受け取り、さらに画像特徴ラベル学習パラメータ記憶部から画像特徴ラベル学習パラメータを受け取って、CNNネットワークを用いて入力の病変疑い領域画像の画像特徴量を抽出する。最終的に、表示部は、診断用画像と病変疑い領域画像及びそれに対応する病変疑い領域悪性度を受け取り、画像処理装置の診断結果として表示する。
【0005】
また、病変疑い領域悪性度学習更新部は、ユーザ入力部からユーザが入力した表示の病変疑い領域画像に対応する悪性度の正誤情報を受け取り、新しい病変疑い領域悪性度推定パラメータを算出するために機械学習(再学習)を行う。これにより、病変疑い領域悪性度推定部は、病変疑い領域悪性度学習更新部により更新された病変疑い領域悪性度推定パラメータを用いて、病変疑い領域画像に関する病変疑い領域の悪性度を改めて推定して、表示することができる(段落0019,0029〜0035、図1図9)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018−61771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の画像処理装置においては、ユーザにとって正誤情報の入力は煩雑であり、かつ、ユーザが正誤情報の入力を行わなくても使用することができるため、未入力が繰り返される可能性がある。その場合、画像処理装置では、ユーザの正誤情報に基づく機械学習が行われなくなり、正誤判定の精度が向上しないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、コンピュータが下す正誤判定の精度を向上させることができる正誤判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明は、機械学習を行うコンピュータに入力情報を与えたとき、所定の判断を行い、その結果を回答する判断装置を有する正誤判定システムであって、前記判断装置は、各種情報を表示する表示部と、正誤の判断を行う判断部と、前記判断部の装置判断結果を記憶する記憶部と、前記判断装置の利用料金を算出する料金算出部とを備え、前記表示部は、前記装置判断結果を表示する装置判断結果表示画面と、ユーザが行ったユーザ判断結果を入力するユーザ判断結果入力画面と、前記装置判断結果に対してユーザがその根拠を取得する判断根拠表示画面とを有し、前記判断部は、前記装置判断結果と前記ユーザ判断結果とが一致するか否かを判定し、前記記憶部は、前記装置判断結果と前記ユーザ判断結果との一致又は不一致の判定情報を記憶し、前記料金算出部は、ユーザが取得した前記装置判断結果の根拠の正誤により、前記判断装置の利用料金を決定する重み付けを変更し、前記記憶部に記憶された前記判定情報に基づいて、前記判断装置の利用料金の値上げ幅を小さくする又は値下げすることを特徴とする。
【0010】
本発明では、判断装置が行った装置判断結果が装置判断結果表示画面に表示される。さらに、ユーザがユーザ判断結果をユーザ判断結果入力画面に入力すれば、判断部が装置判断結果とユーザ判断結果との一致を判定するので、判断装置は、装置判断結果とユーザの判断結果とが一致したか否かが分かる。装置判断結果と判断結果の一致又は不一致の判定情報は、判断装置の記憶部に記憶される。
【0011】
そして、判断装置の料金算出部は、例えば、不一致の判定情報に基づいて、判断装置の利用料金の値上げ幅を小さくする(上げ幅ゼロを含む)か、値下げをする。そこで、表示部に表示された装置判断結果に対して同意できない場合、ユーザには、不一致となるユーザ判断結果を積極的に入力しようとするインセンティブが生じる。以上の通り、本発明の正誤判定システムによれば、判断装置が判定情報に基づく機械学習を確実に行えるようになるので、正誤判定の精度を向上させることができる。
基本的に、判断装置の料金算出部は、一致、不一致に関わらず、判定情報に基づいて、判断装置の利用料金の値上げ幅を小さくする(上げ幅ゼロを含む)か、値下げをする。例えば、ユーザがユーザ判断結果を入力する程、利用料金を値下げする場合、ユーザには、装置判断結果に同意する場合であっても積極的に入力しようとするインセンティブが生じる。判断装置は、ユーザの入力により判定情報が得られ、その判定情報に基づいて機械学習が進むので、判定精度を向上させることができる。
また、表示部が判断根拠表示画面を有しており、ユーザは、判断装置が行った装置判断結果の根拠を確認することができる。このため、装置判断結果が適切か否かを容易に把握することができ、不適切と思われる判断に対しては、ユーザ判断結果を採用する等の対応をとることができる。
さらに、ユーザは、判断根拠表示画面から装置判断結果の根拠の正誤を確認し、装置判断結果の根拠が実際と同じ(正)であれば、判断装置の判断が優れていることになり、装置判断結果の根拠が実際とは異なる(誤)のであれば、仮に一致、不一致の判定が正しい場合でも、評価されないことになる。このような情報を元に、料金算出部が判断装置の利用料金を決定する重み付けを変更することで、適切な利用料金を決定することができる。
【0012】
第1発明の正誤判定システムにおいて、前記判定部は、前記ユーザが前記ユーザ判断結果を入力しなかった場合に、一致の判定をすることが好ましい。
【0013】
表示部に表示された装置判断結果に対して同意する場合、利用料金の引き下げが望めないため、ユーザには、入力しようとするインセンティブは働かない。しかし、この種の正誤判定システムは、判定精度が高い方がユーザにとって望ましいため、判定精度を低下させる虚偽のユーザ判断結果をあえて入力する可能性は低い。そのため、ユーザ判断結果が入力されなかった場合には、一致、不一致に関わらず、装置判断結果とユーザ判断結果とは一致したものと積極的にみなして判定情報を処理することができる。これにより、判断装置は、ユーザ判断結果が入力されなかった場合においても、判定情報に基づく機械学習を行うことができる。
【0018】
また、第1発明の正誤判定システムにおいて、前記表示部は、前記判断装置が行う判断基準を決定する閾値を、ユーザが設定する判断閾値設定画面を有していることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、ユーザは、判断閾値入力画面により判断装置が行う判断の閾値を設定することができる。ユーザは、閾値の高低によって、判断を厳しめに又は緩めに設定して、目的に応じて使い分けることができる。
【0020】
また、第1発明の正誤判定システムにおいて、前記表示部は、前記判断装置が行った判定が一致又は不一致とされた要因を、ユーザが記入する要因記入画面を有していることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、ユーザは一致、不一致の判定情報を受けて、要因記入画面からその要因を記入する。これにより、今回の正誤判定に関する判定結果データが補強されるので、判定結果に基づいて機械学習をさせて、判断装置の判定精度を向上させることができる。
【0025】
第2発明は、機械学習を行うコンピュータに入力情報を与えたとき、所定の判断を行い、その結果を回答する判断装置と、前記判断装置の利用料金を算出する料金算出装置とからなる正誤判定システムであって、前記判断装置は、各種情報を表示する表示部と、正誤の判断を行う判断部と、前記判断部の装置判断結果を記憶する記憶部と、を備え、前記表示部は、前記装置判断結果を表示する装置判断結果表示画面と、ユーザが行ったユーザ判断結果を入力するユーザ判断結果入力画面と、前記装置判断結果に対してユーザがその根拠を取得する判断根拠表示画面とを有し、前記判断部は、前記装置判断結果と前記ユーザ判断結果とが一致するか否かを判定し、前記記憶部は、前記装置判断結果と前記ユーザ判断結果との一致又は不一致の判定情報を記憶し、前記料金算出装置は、ユーザが取得した前記装置判断結果の根拠の正誤により、前記判断装置の利用料金を決定する重み付けを変更し、前記判断装置の前記記憶部から提供された前記判定情報に基づいて、前記判断装置の利用料金の値上げ幅を小さくする又は値下げすることを特徴とする。
【0026】
本発明の正誤判定システムは、料金算出装置が判断装置とは別個の構成であるため、判断装置の判断部で一致が判断され、記憶部に判定情報が記憶され、その判定情報が料金算出装置に提供される。
【0027】
料金算出装置は、例えば、不一致の判定情報に基づいて判断装置の利用料金を算出するが、利用料金の値上げ幅を小さくするか(上げ幅ゼロを含む)、値下げをする。このとき、ユーザが装置判断結果に対して同意できない場合、ユーザには、不一致のユーザ判断結果を積極的に入力しようとするインセンティブが生じる。これにより、本発明の正誤判定システムは、判断装置が判定情報に基づく機械学習を確実に行えるようになり、正誤判定の精度を向上させることができる。
【0030】
基本的に、料金算出装置は、判断装置から提供された一致、不一致に関わらない判定情報に基づいて、判断装置の利用料金の値上げ幅を小さくするか(上げ幅ゼロを含む)、値下げをする。例えば、ユーザがユーザ判断結果を入力する程、利用料金を値下げする場合、ユーザには、装置判断結果に同意する場合であっても積極的に入力しようとするインセンティブが生じる。判断装置は、ユーザの入力により判定情報が得られ、その判定情報に基づいて機械学習が進むので、判定精度を向上させることができる。
また、表示部が判断根拠表示画面を有しており、ユーザは、判断装置が行った装置判断結果の根拠を確認することができる。このため、装置判断結果が適切か否かを容易に把握することができ、不適切と思われる判断に対しては、ユーザ判断結果を採用する等の対応をとることができる。
さらに、ユーザは、判断根拠表示画面から装置判断結果の根拠の正誤を確認し、装置判断結果の根拠が実際と同じ(正)であれば、判断装置の判断が優れていることになり、装置判断結果の根拠が実際とは異なる(誤)のであれば、仮に一致、不一致の判定が正しい場合でも、評価されないことになる。このような情報を元に、料金算出装置が判断装置の利用料金を決定する重み付けを変更することで、適切な利用料金を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1実施形態の正誤判定システムの概略図。
図2】判断装置のハードウェア構成を説明する図(第1実施形態)。
図3】正誤判定処理のフローチャート。
図4】判断結果表示画面とユーザ判断入力画面の例。
図5】判断閾値設定画面の例。
図6】判断結果一覧画面の例。
図7】判断根拠表示画面の例。
図8】要因記入画面の例。
図9】本発明の第2実施形態の正誤判定システムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、本発明の正誤判定システムの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0033】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の正誤判定システム1の概略図を示している。正誤判定システム1では、人工知能(本発明の「コンピュータ」)を搭載し、正誤判定を行うアプリケーションがインストールされた判断装置2が主体となる。
【0034】
以下では、クレーン車、ショベルカー又はフォークリフト等の建設機器(以下、建機という)を貸し出すレンタル業者において、建機が返却された際に行われる判断を例に、正誤判定システム1を説明する。判断装置2は、建機が返却された際、「修理」又は「廃棄」(「異常なし」を含んでもよい)の判断を行う。
【0035】
詳細は後述するが、判断装置2の記憶部2aには、学習モデルDB(データベース)、建機情報DBが記憶されている。判断装置2(制御部2b)は、初期段階で備えている過去の結果情報等が蓄積された学習モデルDBを利用して、「修理」又は「廃棄」の判断を行う。その際、建機情報DBに格納された建機の使用期間や修理歴等も参考にする。判断装置2は導入時からある程度の判定精度を有しているが、ユーザの利用によって結果情報が蓄積され、以下に述べる機械学習を行うことで判定精度が向上する。
【0036】
ある建機(例えば、建機A等)が返却され、判断装置2に返却リストLの情報が入力された場合、判断装置2は「修理」又は「廃棄」の判断を行い、その判断結果が表示部2cに表示される(表示X)。また、レンタル業者の社員であるユーザPは、判断装置2とは独立して同じ事象の判断を行い、判断結果を入力する。ここで、ユーザPは、建機に関する知識や情報があり、判断能力を有する者であることを前提とする。
【0037】
他方、ユーザPは、判断装置2と独立して同じ判断を行い、判断結果を入力すると、このユーザPの判断結果についても、表示部2cに表示される(表示Y)。なお、図1では、判断装置2の判断結果とユーザPの判断結果とを同じ画面に表示しているが、ユーザPが判断装置2の判断結果に影響されないように、別画面としてもよい。
【0038】
判断装置2は、装置の判断結果とユーザPの判断結果とが一致した場合は「正解」と判定し、一致しなかった場合は「不正解」と判定する。「正解」、「不正解」の判定結果は、判断装置2の記憶部2a(後述する判定結果DB)に記憶され、後に学習モデルDBに組み込まれ、機械学習のためのデータとなる。
【0039】
判断装置2の機械学習が進むことによって、上述の一連の処理により正誤の判定精度が向上した結果(例えば、90%から95%)、判断装置2の利用料金が値上げされることがある(例えば、10万円/月から12万円/月)。この点、利用料金は高くなるものの、必ずしも毎回、熟練者に判断を担当させる必要がなくなり、負担が軽減されるため、レンタル業者の利点も大きい。このように、判断装置2の判定精度に基づいて、料金表Mが定期的に見直される。
【0040】
しかしながら、以上の機械学習は、ユーザPが判断結果を積極的に入力することに基づいて行われるものである。特に、判断装置2の判断結果とユーザPの判断結果とが一致しなかった場合(「不正解」)には、判断装置2に再学習(反復の機械学習)をさせる必要性が高い。そのため、ユーザPが判断装置2の判断結果と一致しない判断結果を入力して、判定精度の向上に協力している場合には、利用料金の値上げ幅を小さくする(例えば、10万円/月から11万円/月)、あるいは利用料金を値下げする。なお、利用料金の値上げ幅を小さくすることには、値上げ幅をゼロ、すなわち、利用料金を据え置きにすることも含まれる。
【0041】
次に、図2を参照して、判断装置2のハードウェア構成を説明する。
【0042】
図示するように、判断装置2は、記憶部2aと、制御部2bと、表示部2cとで構成されている。記憶部2aは、ROM、RAM等の記憶装置であるが、少なくとも学習モデルDB21と、建機情報DB22と、判定結果DB23とを含んでいる。なお、記憶部2aは、判断装置2とは独立した外付けハードディスク等の記憶装置であってもよい。
【0043】
学習モデルDB21は、基本的な正誤の判断基準と、過去の判定結果データや関連情報が格納されており、後述する機械学習部25に機械学習のための各種情報を提供する。機械学習により、判断装置2の正誤の判定精度は徐々に高まっていく。
【0044】
建機情報DB22は、レンタル業者が所有する全ての建機の使用期間、修理歴等のデータが格納されている。これらのデータは、建機が返却されて、判断装置2が「修理」又は「廃棄」の判断を行う際に参照される。
【0045】
判定結果DB23は、判断装置2が行った判断結果(本発明の「装置判断結果」)の他、その判断結果とユーザPが行った判断結果(本発明の「ユーザ判断結果」)との一致、不一致の判定結果データが格納されている。判定結果データは、後に学習モデルDB21に取り込まれ、判断装置2の機械学習に利用される。
【0046】
次に、制御部2bは、主に判断装置2のCPUであり、機械学習部25と、判断部26と、表示制御部27と、判断閾値設定部28と、ユーザ判断受付部29と、正誤要因受付部30と、料金算出部31と、警報部32とで構成されている。
【0047】
機械学習部25は、学習モデルDB21と建機情報DB21の情報が入力されると、判断のための機械学習を行う。機械学習部25は、入力と正しい出力がセットとなったデータを予め用意して、新たな入力が与えられたとき正しい判断が行えるように学習させる「教師あり学習」を行う。なお、入力のみを与えて、データ中のパターンやルールを抽出しながら学習する「教師なし学習」を行ってもよい。
【0048】
判断部26は、新たな入力データ(図1の返却リストL)が与えられたとき、所定の判断を行う。本実施形態では、判断部26が、返却された建機について「修理」又は「廃棄」の判断を行う。判断の閾値(厳しめに判断するか、緩めに判断するか)については、ユーザPが設定することができるため、判断閾値設定部28の情報が判断部26に入力される。
【0049】
また、判断部26は、判断装置2の判断結果とユーザPの判断結果とを比較し、両者が一致していた場合には「正解」と判定し、両者が一致していなかった場合には「不正解」と判定する。一致か否かの結果(判定結果データ)は、判定結果DB23に保存、蓄積される。
【0050】
表示制御部27は、判断部26から結果を提供され、表示部2cにその表示を行う制御信号を出力する。また、表示制御部27は、ユーザ判断受付部29からユーザPの判断結果を提供され、表示部2cにその表示を行う制御信号を出力する。これにより、表示部2cに、判断装置2の判断結果とユーザPの判断結果とを表示することができる。
【0051】
表示制御部27は、正誤要因受付部30からも情報を受け取り、表示部2cにその情報の表示を行う制御信号を出力する。なお、正誤要因受付部30は、ユーザPが記入する判定結果の正解、不正解の要因(正誤要因)データを受け付ける。
【0052】
料金算出部31は、判定結果DB23の判定結果データに基づいて判断装置2の料金を算出する。料金の算出は、例えば、10〜20回分の判定結果データから判定精度を考慮して行ってもよいし、3〜6カ月分の判定結果データをまとめた上、判定精度に基づいて行ってもよい。
【0053】
警報部32は、特に、正誤判定で「不正解」となった場合に、音声や表示、ユーザPへのメール等でその内容を警告する。「不正解」の種類によって、音声や表示の内容を変更してもよい。
【0054】
最後に、表示部2cは、判断装置2の液晶ディスプレイである。表示部2cでは、判断装置2にインストールされたアプリケーションの各種画面を表示する。表示画面の詳細については、後述する。
【0055】
以上では、オフィスに設置されたデスクトップPCの判断装置2を想定して説明したが、ノート型PC、タブレット端末、スマートフォン等の携帯端末でも同様の正誤判定を行うことができる。このような場合、学習モデルDB21等は、クラウドサーバに保存することが好ましい。
【0056】
次に、図3を参照して、正誤判定システム1の正誤判定処理のフローチャートを説明する。また、フローチャートの説明の中で適宜、図4図6を参照して、アプリケーションの各種画面について説明する。
【0057】
まず、判断装置2に入力データを提供する(ステップS01)。本実施形態において、入力データは建機の返却リストLであり(図1参照)、例えば、ユーザPが返却された建機の名称を入力する。その後、ステップS02に進む。
【0058】
ステップS02では、判断処理が行われる。これは、上述の判断装置2の判断部26により、返却された建機が「修理」、「廃棄」の何れに該当するかを判定する処理である。図4は、判断部26による装置判断結果表示画面Xを含んでおり、建機Aについて、「〇(廃棄)」と判断している。その後、ステップS03に進む。
【0059】
ここで、判断装置2の判断を厳しめにするか、緩めにするかについて、ユーザPが予め設定することができる。図5は、ユーザPが判断装置2の判断閾値を決定する画面の例である。判断閾値設定画面Zにおいて、縦軸Pは判断基準を示している。
【0060】
例えば、判断装置2の「〇(廃棄)」には、確率40%の「○」もあれば、確率80%の「○」もある。現在、閾値が「0.6」に設定されているので、判断装置2は、確率60%以上の「○」を「廃棄」とし、確率60%未満の「○」であれば「△(修理)」と判断する。ユーザPは、判断閾値設定画面Zにおいて、閾値バーbをドラッグすることで、判断閾値を変更することができる。
【0061】
次に、ステップS03では、ユーザの正誤判定結果が入力される。図4に示すユーザ判断結果入力画面YにはプルダウンメニューY’が用意されており、「修理」又は「廃棄」を選択できるようになっている。判断結果は、ユーザが「決定」ボタンを操作することで確定する。その後、ステップS04に進む。
【0062】
ステップS04では、両判断が一致したか否かが判断される。これは、上述の判断部26により、判断装置2の判定結果とユーザの判定結果とが一致しているか否かを判定する処理である。両判断が一致していた場合にはステップS05に進み、先の判定が「正解」としてカウントされる。一方、両判断が一致していなかった場合にはステップS06に進み、先の判定が「不正解」としてカウントされる。その後、ステップS07に進む。
【0063】
ステップS07では、判定結果データを記憶する。具体的には、判定結果DB23に先の判定結果を記憶する。図6に示す判定結果一覧画面R(2018年5月)では、本処理により記憶された「返却物」と「判定」とが一覧表示されている。なお、判定日時や判定に関する付加情報を併せて表示してもよい。その後、ステップS08に進む。
【0064】
ステップS08では、学習モデルDBを更新する。具体的には、ステップS07で追加された判定結果DB23の判定結果を学習モデルDB21に移行することで、学習モデルDB21を更新する。この処理は、新たな判定結果が追加される度に行う必要はなく、10〜20の判定結果が蓄積されたとき、又は一月分の判定結果をまとめて行ってもよい。その後、ステップS09に進む。
【0065】
ステップS09では、正答率(判定精度)が算出される。なお、図6の判定結果一覧画面Rは、月毎に判定結果が管理される例であるが、判定結果が追加される度に正答率が算出されて、月末に最終的な正答率が決定する。その後、ステップS10に進む。
【0066】
最後に、ステップS10では、正答率に基づいて利用料金の見直しを行う。この処理についても、新たな判定結果が追加される度に行う必要はないが、概要は次のようになる。例えば、判断装置2の先月(2018年4月)の正答率が90%であり、今月の正答率が92%となった場合(図6参照)、判断装置2の利用料金は値上げされることがあるが、レンタル業者(ユーザP)の負担は軽減される。
【0067】
他方、ユーザPが「不正解」の判断結果を入力して、判定精度の向上に協力している場合には、利用料金の値上げ幅を小さくする。また、判断装置2の利用料金を値下げする場合もある。このように、判断装置2の正答率に基づいて、利用料金(料金表M)が毎回又は定期的に見直される。その後、正誤判定処理を終了する。
【0068】
正誤判定処理においては、ユーザPが判断結果を入力しない場合も考えられる。この場合、所定時間が経過したとき、例えば、正誤判定システム1にログインしたユーザPに報知するようにしてもよい。それでも、ユーザPが判断結果を入力しない場合には、正誤判定処理のそれ以降の処理を進める。
【0069】
特に、ユーザPが表示部2cに表示された判断装置2の判断結果に対して同意する場合には、利用料金の引き下げが望めないため、ユーザPに入力しようとするインセンティブが働かない。しかし、正誤判定システム1は判定精度が高い方が望ましいため、ユーザPが判定精度を低下させる虚偽の判断結果をあえて入力する可能性は低い。そのため、ユーザPが判断結果が入力しなかった場合は、一致、不一致に関わらず、判定結果を「一致(正解)」とする。これにより、ユーザPが判断結果を入力しない場合であっても今回の判定結果データが得られ、判定結果DB23が更新される。
【0070】
また、正誤判定処理において、判定結果が「不正解」となるケースには、2つのパターンがある。1つ目は、判断装置2が「修理」と判断し、ユーザPが「廃棄」と判断するような、ユーザPの方がネガティブな判断を下すパターンである。仮に、ユーザPが判断結果を入力せず、後に「廃棄」と判断した場合、判断装置2の判断が採用されているので、建機は処分されることなく残っている。「廃棄」は後からでも行うことができるので、このケースでは、大きな問題は生じない。
【0071】
もう1つは、判断装置2が「廃棄」と判断し、ユーザPが「修理」と判断するような、判断装置2の方がネガティブな判断を下すパターンである。仮に、ユーザPが判断結果を入力せず、後に「修理」と判断した場合、判断装置2の判断が採用されて、建機が既に処分されている可能性がある。このケースは、取り返しのつかない可能性も生じ得るため、上述の警報部32により警報を行う。
【0072】
また、判断閾値設定画面Z(図4参照)において、閾値を比較的低い値(例えば、「0.5」以下)に設定した場合、判断装置2が厳しめに判断して、ネガティブな判断を下すことが多い。従って、閾値は、「0.6」〜「0.8」の間の値に設定することが好ましい。
【0073】
閾値を適切な値に設定しても、判断装置2の方がネガティブな判断を下して「不正解」となった場合には、判定結果データを判定結果DB23に記憶する際に、重み付けを変更するようにしてもよい。そして、正答率(判定精度)に加えて、重み付けを考慮した判定結果データに基づいて利用料金を見直すこともできる。
【0074】
正誤判定システム1の判断装置2は、以下のような機能も備えている。図7は、判断装置2が行った判断結果に対して、ユーザPがその根拠を取得するための判断根拠表示画面Sを示している。
【0075】
ユーザPは、判断装置2の判断結果に興味があるとき、又は判断装置2が何をもってその判断をしたのかを確認したいとき、表示部2cに判断根拠表示画面Sを表示させる。判断根拠表示画面Sでは、返却された「建機B」について、「廃棄」又は「修理」の判断を行った根拠となる資料が表示される。
【0076】
具体的には、「建機B」の使用期間、稼働時間、市場価格、市況状況、修理歴等が表示される。例えば、使用期間が比較的短いが、ある部分の修理歴が記録されていれば、判断装置2が「修理」の判断をしたとき、ユーザPは、同じ部分の修理を疑うことになる。
【0077】
そして、判断装置2が「修理」と判断したパーツが、実際に修理すべきパーツと一致していれば、判断装置2の判断は、非常に優れているという結果になる。他方、判断装置2が「修理」と判断したパーツが、実際に修理すべきパーツと不一致であれば、偶然に判定結果が「正解」となっただけである。
【0078】
このような情報についても、判定結果データと併せて判定結果DB23に記憶され、その際、重み付けを変更するようにしてもよい。そして、この重み付けが利用料金に影響するようにすることもできる。このように、ユーザPは、判断装置2の判断結果の根拠を取得することができるので、判断装置2の判断が本当に正しいか否かを検証することができる。
【0079】
また、図8は、判断装置2が行った判定が正解又は不正解とされた要因を、ユーザPが記入する要因記入画面Tを示している。
【0080】
要因記入画面Tは、返却物の情報とテキスト入力ウィンドウとの組み合せで構成されている。「建機A」、「建機B」は、判定結果が「正解」の場合であり、ユーザPが正解となった要因をテキスト入力ウィンドウに記入する。ユーザPのコメントは、判定結果データと併せて判定結果DB23に記憶される。なお、判定結果が「正解」の場合は、記入する事項がほとんどないこともあり、テキスト入力ウィンドウは小さめに作られている。
【0081】
また、「建機C」は、例えば、判断装置2が「修理」と判断し、ユーザPが「廃棄」と判断して、判定結果が「不正解」となった場合である。この場合、ユーザPは、自身が「廃棄」と判断した根拠を記入する。判定結果が「不正解」の場合は、原因究明等の観点から記入する記載事項は多く、テキスト入力ウィンドウは大きめに作られている。「建機C」の最終的な処分をどのようにしたかの情報を、併せて記入してもよい。
【0082】
このように、今回の正誤判定に関する判定結果データが補強され、そのような情報も、最終的に学習モデルDB21に取り込まれて、機械学習に役立てることができる。これにより、判断装置2の判定精度を向上させることができる。
【0083】
以上で説明したように、本発明の第1実施形態の正誤判定システム1において、判断装置2は、各種情報を表示する表示部2cと、正誤の判断を行う判断部26と、装置判断結果と判定結果を記憶する判定結果DB23と、利用料金を算出する料金算出部31とを備えている。表示部2cは、判断装置2が行った装置判断結果を表示する装置判断結果表示画面Xと、ユーザPが行ったユーザ判断結果を入力するユーザ判定結果入力画面Yとを有する。そして、料金算出部31は、判定結果DB23に記憶された不一致の判定情報に基づいて、判断装置2の利用料金の値上げ幅を小さくする又は値下げする。このように、ユーザPに判断結果を入力するインセンティブを与えて、判断装置2が行う判断の精度を向上させることができる。
【0084】
判断装置2は、継続使用すると徐々に判定精度が高くなり、長期的にみれば利用料金が上昇すると考えられる。そこで、利用料金の上昇を抑えるため、料金算出部31は、判定結果DB23に記憶された一致、不一致に関わらない判定情報に基づいて、利用料金の値上げ幅を小さくするか、値下げをするようにしてもよい。
【0085】
例えば、ユーザPが「正解」、「不正解」に関わらず入力に協力している場合、利用料金を値下げする。利用料金の値下げは、ユーザPが入力を行う強力なインセンティブとなるため、判断装置2の精度向上により利用料金の上昇分があっても、ユーザPの入力により利用料金が抑えられるシステムが実現可能となる。
【0086】
また、ユーザPが入力を行うと判定情報が生まれ、判断装置2の機械学習が進んで判定精度が向上する。ユーザPが判断装置2の装置判定結果に同意して「正解」を入力した場合は、判断装置2が下した判断の正確性が証明されるという点でも意義はある。
【0087】
[第2実施形態]
図9は、本発明の第2実施形態の正誤判定システム10の概略図を示している。なお、以下では、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
【0088】
正誤判定システム10は、人工知能を搭載し、正誤判定を行うアプリケーションがインストールされた判断装置20と、料金算出装置5とで構成される。料金算出装置5は、判断装置20と別個の装置であるので、建機のレンタル業者に設置される必要はない。
【0089】
図示するように、判断装置2は、記憶部2aと、制御部2b’と、表示部2cとで構成されている。記憶部2aは、ROM、RAM等の記憶装置であるが、少なくとも学習モデルDB21と、建機情報DB22と、判定結果DB23とを含んでいる。
【0090】
次に、制御部2b’は、主に判断装置2のCPUであり、機械学習部25と、判断部26と、表示制御部27と、判断閾値設定部28と、ユーザ判断受付部29と、正誤要因受付部30と、警報部32とで構成されている。
【0091】
判断部26は、判断装置20の判断結果とユーザPの判断結果とを比較し、両者が一致していた場合には「正解」と判定し、両者が一致していなかった場合には「不正解」と判定する。一致か否かの結果(判定結果データ)は、判定結果DB23に保存、蓄積される。
【0092】
料金算出装置5は、判断装置20の判定結果DB23から判定結果データを提供され、判定結果データに基づいて判断装置20の料金を算出するコンピュータである。判断装置20はコンピュータであるから、電気通信回線等により料金算出装置5に対して判定結果データの提供することができる。
【0093】
ここでは、判断装置20が建機のレンタル会社に設置され、料金算出装置5が判断装置20を貸し出した装置貸出業者に設置されているとする。このとき、建機のレンタル会社からポータブルハードディスク等の記憶媒体を通じて、判定結果DB23の判定結果データを装置貸出業者の料金算出装置5に移行することができる。また、判定結果データをクラウドサーバに保存するようにして、料金算出装置5がクラウドサーバにアクセスして判定結果データを取得するようにしてもよい。
【0094】
例えば、10〜20回分、又は3〜6カ月分の判定結果データをまとめた上、判断装置20から料金算出装置5に判定結果データを自動送信し、料金算出装置5が利用料金の算出を行うようにしてもよい。なお、料金の算出結果や改訂版の料金表については、料金算出装置5から判断装置20へ電子メール等で連絡する。
【0095】
以上で説明したように、本発明の第2実施形態の正誤判定システム10は、判断装置20と料金算出装置5とで構成される。判断装置20は、各種情報を表示する表示部2cと、正誤の判断を行う判断部26と、装置判断結果と判定結果を記憶する判定結果DB23とを備え、表示部2cは、判断装置20が行った装置判断結果を表示する装置判断結果表示画面Xと、ユーザPが行ったユーザ判断結果を入力するユーザ判定結果入力画面Yとを有する。そして、料金算出装置5は、判定結果DB23から提供された不一致の判定情報に基づいて、判断装置20の利用料金の値上げ幅を小さくする又は値下げする。このように、ユーザPに判断結果を入力するインセンティブを与えて、判断装置20が行う判断の精度を向上させることができる。
【0096】
上記の説明は、本発明の実施形態の一部であり、これ以外にも種々な実施形態が考えられる。第2実施形態の正誤判定システム10において、料金算出装置5は、判定結果DB23から提供された一致、不一致に関わらない判定情報に基づいて、判断装置20の利用料金の値上げ幅を小さくするか、値下げをすることができる。これにより、ユーザPが入力に協力する程、利用料金が抑えられるシステムも実現可能となる。
【0097】
また、利用料金(料金表M)の見直しは、正答率(判定精度)の他に、様々な要素を加えることができる。例えば、建機が返却されて判断装置2が「修理」の判断を下したとき、修理の見積額が算出され、表示部2cに修理する建機の修理見積画面が表示される。その後、ユーザPも「修理」の判断を下せば、実際にその建機が修理される。ここで、判断装置2の見積額と実際の見積額とを比較して重み付けを変更し、この重み付けが利用料金に影響するようにする。このような方法によっても、判断装置2の適切な利用料金を決定することができる。
【0098】
正誤判定処理(図3参照)においては、判断装置2の判断処理の後、ユーザPが同じ事象の判断をする順番であったが、これに限られない。ユーザPが判断装置2の判断処理より先に判断結果を入力してもよい。また、ユーザPが判断結果を入力する際、装置判断結果表示画面Xが見えていなくてもよい。これにより、ユーザPは、判断装置2の判断結果に影響されることなく、公正な判断を行うことができる。
【符号の説明】
【0099】
1,10…正誤判定システム、2,20…判断装置、2a…記憶部、2b,2b’…制御部、2c…表示部、5…料金算出装置、21…学習モデルDB、22…建機情報DB、23…判定結果DB、25…機械学習部、26…判断部、27…表示制御部、28…判断閾値設定部、29…ユーザ判断受付部、30…正誤要因受付部、31…料金算出部、32…警報部、L…返却リスト、M…料金表、P…ユーザ、R…判断結果一覧画面、S…判断根拠表示画面、T…要因記入画面、X…装置判断結果表示画面、Y…ユーザ判断結果入力画面、Z…判断閾値設定画面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9