(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
過去の入園希望者が入園を希望する希望保育所に関する参照用希望保育所情報と当該入園希望者の家庭環境をデータ化した参照用家庭環境情報との組み合わせと、実際に入園した保育所との関係を取得した場合には、これを上記連関度に反映させることで更新する更新ステップを有すること
を特徴とする請求項1記載の保育所割当プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した保育所割当プログラムについて、図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0015】
図1は、本発明を適用した保育所割当プログラムが実装される保育所割当システム1の全体構成を示すブロック図である。保育所割当システム1は、情報取得部9と、情報取得部9に接続された判別装置2と、判別装置2に接続されたデータベース3とを備えている。
【0016】
情報取得部9は、本システムを活用する者が各種コマンドや情報を入力するためのデバイスであり、具体的にはキーボードやボタン、タッチパネル、マウス、スイッチ等により構成される。情報取得部9は、テキスト情報を入力するためのデバイスに限定されるものではなく、マイクロフォン等のような音声を検知してこれをテキスト情報に変換可能なデバイスで構成されていてもよい。また情報取得部9は、カメラ等の画像を撮影可能な撮像装置として構成されていてもよい。情報取得部9は、紙媒体の書類から文字列を認識できる機能を備えたスキャナで構成されていてもよい。また情報取得部9は、後述する判別装置2と一体化されていてもよい。情報取得部9は、検知した情報を判別装置2へと出力する。
【0017】
データベース3は、過去において、行政官庁、役所、その他民間企業において行われた、保育所への入園希望者の入園可能性判断に使用された情報が蓄積されている。実際に、管轄市区町村内の保育所毎に、その入園可能性を判断する上で参照した資料は、その入園可能性の判断結果は勿論であるが、その入園可能性の判断を行う上で決め手になった資料や情報もこれらに関連付けられて記録されていてもよい。
【0018】
判別装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。ユーザは、この判別装置2による探索解を得ることにより、その入園希望者の保育所への入園可能性の判断結果を得ることができる。
【0019】
図2は、判別装置2の具体的な構成例を示している。この判別装置2は、判別装置2全体を制御するための制御部24と、操作ボタンやキーボード等を介して各種制御用の指令を入力するための操作部25と、有線通信又は無線通信を行うための通信部26と、各種判断を行う判断部27と、ハードディスク等に代表され、実行すべき検索を行うためのプログラムを格納するための記憶部28とが内部バス21にそれぞれ接続されている。さらに、この内部バス21には、実際に情報を表示するモニタとしての表示部23が接続されている。
【0020】
制御部24は、内部バス21を介して制御信号を送信することにより、判別装置2内に実装された各構成要素を制御するためのいわゆる中央制御ユニットである。また、この制御部24は、操作部25を介した操作に応じて各種制御用の指令を内部バス21を介して伝達する。
【0021】
操作部25は、キーボードやタッチパネルにより具現化され、プログラムを実行するための実行命令がユーザから入力される。この操作部25は、上記実行命令がユーザから入力された場合には、これを制御部24に通知する。この通知を受けた制御部24は、判断部27を始め、各構成要素と協調させて所望の処理動作を実行していくこととなる。この操作部25は、前述した情報取得部9として具現化されるものであってもよい。
【0022】
判断部27は、入園希望者の保育所への割り当てを担う。この判断部27は、推定動作を実行するに当たり、必要な情報として記憶部28に記憶されている各種情報や、データベース3に記憶されている各種情報を読み出す。この判断部27は、人工知能により制御されるものであってもよい。この人工知能はいかなる周知の人工知能技術に基づくものであってもよい。
【0023】
表示部23は、制御部24による制御に基づいて表示画像を作り出すグラフィックコントローラにより構成されている。この表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等によって実現される。
【0024】
記憶部28は、ハードディスクで構成される場合において、制御部24による制御に基づき、各アドレスに対して所定の情報が書き込まれるとともに、必要に応じてこれが読み出される。また、この記憶部28には、本発明を実行するためのプログラムが格納されている。このプログラムは制御部24により読み出されて実行されることになる。
【0025】
上述した構成からなる保育所割当システム1における動作について説明をする。
【0026】
保育所割当システム1では、例えば
図3に示すように、参照用希望保育所情報と、参照用家庭環境情報との組み合わせが形成されていることが前提となる。参照用希望保育所情報とは、保育所への入園希望者(幼児)が、数ある保育所のうち、何れの保育所への入園を希望しているかに関するあらゆる情報を含む。実際に入園する幼児がどの保育所への入所を希望するかの意思決定を行う場合は稀なので、ここでいう参照用希望保育所情報
は、その入園希望者の保護者が自分の子供をいかなる保育所への入園を希望しているかに関する情報も含む概念である。この参照用希望保育所情報は、第1志望の保育所のみで構成されていてもよいが、これに限定されるものではなく、第2志望、第3志望の保育所もこれに含まれるものであってもよい。
【0027】
参照用家庭環境情報は、入園希望者としての幼児の家庭環境に関するあらゆる情報を含むものである。例えば入園希望者の幼児の母が妊娠中、保護者が障害や病気を追っている、祖父母と同居しているか否か、被介護者が自宅に居るか否か、被災しているか否か、DVや虐待の有無や程度、両親が離婚しているか否か、所得(世帯収入)、生活保護の有無、兄弟姉妹の有無及びその年齢構成等である。これらは何れも各家庭からの申告や提出文書を通じて得られるものであり、実際に本プログラムを実施する上では、これらの参照用家庭環境情報は電子データ化されていることが前提となる。
【0028】
入力データとしては、このような参照用希望保育所情報と、参照用家庭環境情報が並んでいる。このような入力データとしての、参照用希望保育所情報に対して、参照用家庭環境情報が組み合わさったものが、
図3に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、割り当て対象の保育所が、パーセンテージとして表示されている。
【0029】
参照用希望保育所情報と参照用家庭環境情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、保育所に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用希望保育所情報と参照用家庭環境情報がこの連関度を介して左側に配列し、各保育所(保育所A、B、C、D、E、・・・)が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用希望保育所情報と参照用家庭環境情報に対して、何れの保育所と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用希望保育所情報と参照用家庭環境情報が、いかなる保育所に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用希望保育所情報と参照用家庭環境情報からその入園希望者にとって最も相応しい保育園を選択する上での的確性を示すものである。
図3の例では、連関度としてw13〜w22が示されている。このw13〜w22は以下の表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力としての保育所と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力としての保育所と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0031】
判別装置2は、このような
図3に示す3段階以上の連関度w13〜w22を予め取得しておく。つまり判別装置2は、実際の保育所の選定を行う上で、参照用希望保育所情報と参照用家庭環境情報、並びにその場合の保育所がどの程度であったかのデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図3に示す連関度を作り上げておく。
【0032】
例えば、過去の入園希望者のデータから、どの保育所への入園を希望していたか、またその入園希望者の家庭環境を抽出した結果、その入園希望者がA保育所への入園を希望しており、その家庭環境が、「両親、4歳長女、2歳長男、祖父母と同居せず、世帯年収□□□万円」であったものとする。そのような家庭環境を持つ入園希望者がA保育所へ割り当てられているケースが高い場合には、そのノード61とA保育所の連関度が高くなり、逆にそのような家庭環境を持つ入園希望者がA保育所へ割り当てられているケースが低い場合には、そのノード61とA保育所の連関度が低くなり、逆にB保育所に割り当てられているケースが高いのであればB保育所との連関度が高くなる。
【0033】
実際に入園希望者がA保育所への入園を希望している場合には、参照用希望保育所情報P11となり、その家庭環境が、「両親、4歳長女、2歳長男、祖父母と同居せず、世帯年収□□□万円」である場合には、参照用家庭環境情報P16に該当するがこれらの組み合わせに相当する中間ノード61aは、w13が連関度“7”であり、w14が連関度“2”である。つまりこのようなケースでは過去においてA保育所に選ばれているケースが高いことから、このようなw13、w14の連関度となる。逆にB保育所に選ばれているケースが高い場合にはw13<w14の連関度となっていることは言うまでもない。
【0034】
このようにして過去の入園者のデータを分析することにより、上述した連関度を作り上げていくこととなる。
【0035】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば照用希望保育所情報P11で、かつ参照用家庭環境情報P16である場合に、実際にどの保育所に割り当てられたかを過去のデータから分析する。そして割り当てられる頻度の高い保育所ほど当該保育所の連関度をより高く設定し、割り当てられる頻度の低い保育所ほど当該保育所の連関度をより低く設定する。
【0036】
また、この
図3に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードの出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0037】
図3に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用希望保育所情報P11(A保育所)に対して、参照用家庭環境情報P14(両親、8歳長男、4歳次男、祖父母と同居、世帯年収〇〇〇万円)の組み合わせのノードであり、C保育所への連関度がw15、E保育所への連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用希望保育所情報P12に対して、参照用家庭環境情報P15、又はP17の組み合わせのノードであり、B保育所がの連関度がw17、D保育所の連関度がw18となっている。
【0038】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに保育所に入園を希望する入園希望者に保育所を割り当てる際において、上述した学習済みデータを利用して判別することとなる。かかる場合には、その入園希望者から希望する保育所に関する希望保育所情報と、その入園希望者の家庭環境に関する家庭環境情報を取得する。
【0039】
新たに取得する希望保育所情報と家庭環境情報は、入園希望者(又はその保護者)が作成した紙媒体の書類をスキャナ等による自動読み込み又は手入力を通じて電子データ化したデータとして取得することが前提となる。
【0040】
このようにして新たに取得した希望保育所情報と、家庭環境情報に基づいて、実際にその新たに入園希望者へ割り当てる保育所を求める。かかる場合には、予め取得した
図3(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した希望保育所情報がP12とである場合であって、家庭環境情報がP17である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、C保育所がw19、D保育所が連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高いC保育所を最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められるD保育所を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0041】
また、入力から伸びている連関度w1〜w12の例を以下の表2に示す。
【0043】
この入力から伸びている連関度w1〜w12に基づいて中間ノード61が選択されていてもよい。つまり連関度w1〜w12が大きいほど、中間ノード61の選択における重みづけを重くしてもよい。しかし、この連関度w1〜w12は何れも同じ値としてもよく、中間ノード61の選択における重みづけは何れも全て同一とされていてもよい。
【0044】
なお、本発明においては、新たな入園希望者が多数いる場合において、各入園希望者からそれぞれ希望保育所情報、家庭環境情報を取得して、連関度を参照しながら保育所を順次割り当てていくことになる。かかる場合において各保育所につき受け入れ可能人数(定員)が決まっているときには、入園希望者を連関度の高い順から優先的に割り当てるようにしてもよい。
【0045】
図4の例では、入力データとしては、このような参照用希望保育所情報、参照用就労情報が並んでいる。このような入力データとしての、参照用希望保育所情報に対して、参照用就労情報が組み合わさったものが、
図4に示す中間ノード61である。各中間ノード61は、更に出力に連結している。
【0046】
参照用希望保育所情報、参照用就労情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。
【0047】
判別装置2は、このような
図4に示す3段階以上の連関度w13〜w22を予め取得しておく。つまり判別装置2は、実際に保育所を割り当てる上で、参照用希望保育所情報と、参照用就労情報、並びにその場合における過去の割り当てた保育所のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図4に示す連関度を作り上げておく。
【0048】
例えば、過去、保育所を割り当てた一つの事例に着目したとき、参照用希望保育所情報P11で、かつ参照用就労情報P16であるものとしたときに、以前にどの保育所に割り当てられたかを抽出する。この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用希望保育所情報P11で、かつ参照用就労情報P16である場合に、以前にどの保育所に割り当てられたかを過去のデータから分析する。このようなケースで割り当てられた頻度の高い保育所ほど連関度をより高く設定する。参照用希望保育所情報P11で、かつ参照用就労情報P16である場合においてリンクする中間ノード61aの例では、A保育所、とB保育所の出力にリンクしているが、以前の事例からA保育所に割り当てられる頻度が高かったことから、w13の連関度を7点に、w14の連関度を2点に設定している。
【0049】
また、この
図4に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力としての重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0050】
図4に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用希望保育所情報P11に対して、参照用就労情報P14の組み合わせのノードであり、C保育所の連関度がw15、E保育所の連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用希望保育所情報P12に対して、参照用就労情報P15、P17の組み合わせのノードであり、B保育所の連関度がw17、D保育所の連関度がw18となっている。
【0051】
参照用就労情報と、入園可能性判定との間で連関度が形成されていることが前提となる。参照用就労情報は、入園希望者としての幼児の保護者の就労状況に関するあらゆる情報を含むものである。参照用就労情報は、例えば世帯主の職業、単身赴任か否か、現在求職中か、あるいは勤務の曜日や時間帯、職場の住所、通勤経路等である。これらは何れも各家庭からの申告や提出文書を通じて得られるものであり、実際に本プログラムを実施する上では、これらの参照用就労情報は電子データ化されていることが前提となる。
【0052】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに保育所を割り当てる際において、上述した学習済みデータを利用してどの保育所に割り当てるかを判別することとなる。かかる場合には、入園希望者から入園を希望する保育所に関する希望保育所情報を新たに取得するとともに、保育所への入園希望者の保護者の就労情報を取得する。希望保育所情報は参照用希望保育所情報に対応し、就労情報は、参照用就労情報に対応する。
【0053】
このようにして新たに取得した希望保育所情報と、就労情報に基づいて、実際に出力解を求める。かかる場合には、予め取得した
図4(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した希望保育所情報がP12である場合であって、取得した就労情報がP17である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、C保育所がw19、D保育所が連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高いC保育所を最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められるD保育所を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0054】
このようにしてこれらの最適解の選択は、
図4に示す学習済みモデルを利用し、実際に解を求めたい入力データ(希望保育所情報と、就労情報)を入力すると出力解(割り当てる保育所)が出力される人工知能を通じて実現することができる。しかし、本発明は人工知能を活用することは必須ではなく、参照用希望保育所情報と、参照用就労情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する入園可能性との3段階以上の連関度を利用するものであればいかなる形態で実現されるものであってもよい。
【0055】
図5の例では、入力データとしては、このような参照用希望保育所情報、参照用滞納情報が並んでいる。このような入力データとしての、参照用希望保育所情報に対して、参照用滞納情報が組み合わさったものが、
図5に示す中間ノード61である。各中間ノード61は、更に出力に連結している。
【0056】
参照用希望保育所情報、参照用滞納情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。
【0057】
参照用滞納情報とは、過去の入園者の保育料の滞納状況を示すものである。過去の入園者(兄、姉)の弟又は妹が入園希望しているとき、その滞納状況が入園可能性の判断に影響を及ぼしたものであれば、その滞納状況と入園可能性判断の影響の程度を予め取得して、連関度に反映される。仮に過去の入園者(兄、姉)の保育料を2年間で1回滞納したが支払いまで3か月かかった場合、その弟又は妹の入園可能性判断に悪影響が及び、ポイントが下がったのであれば、それに応じた連関度を設定する。
【0058】
判別装置2は、このような
図5に示す3段階以上の連関度w13〜w22を予め取得しておく。つまり判別装置2は、実際に保育所を割り当てる上で、参照用希望保育所情報と、参照用滞納情報、並びにその場合における過去の割り当てた保育所のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図5に示す連関度を作り上げておく。
【0059】
例えば、過去、保育所を割り当てた一つの事例に着目したとき、参照用希望保育所情報P11で、かつ参照用滞納情報P16であるものとしたときに、以前にどの保育所に割り当てられたかを抽出する。この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用希望保育所情報P11で、かつ参照用滞納情報P16である場合に、以前にどの保育所に割り当てられたかを過去のデータから分析する。このようなケースで割り当てられた頻度の高い保育所ほど連関度をより高く設定する。参照用希望保育所情報P11で、かつ参照用滞納情報P16である場合においてリンクする中間ノード61aの例では、A保育所、とB保育所の出力にリンクしているが、以前の事例からA保育所に割り当てられる頻度が高かったことから、w13の連関度を7点に、w14の連関度を2点に設定している。
【0060】
図5に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用希望保育所情報P11に対して、参照用滞納情報P14の組み合わせのノードであり、C保育所の連関度がw15、E保育所の連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用希望保育所情報P12に対して、参照用滞納情報P15、P17の組み合わせのノードであり、B保育所の連関度がw17、D保育所の連関度がw18となっている。
【0061】
次に新たな入園希望者から取得した希望保育所情報と、住所情報に基づいて、実際に出力解を求める。かかる場合には、予め取得した
図5(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した希望保育所情報がP12である場合であって、取得した滞納情報がP17である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、C保育所がw19、D保育所が連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高いC保育所を最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められるD保育所を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0062】
図6の例では、入力データとしては、このような参照用希望保育所情報、参照用入園実績情報が並んでいる。このような入力データとしての、参照用希望保育所情報に対して、参照用入園実績情報が組み合わさったものが、
図6に示す中間ノード61である。各中間ノード61は、更に出力に連結している。
【0063】
参照用希望保育所情報、参照用入園実績情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。
参照用入園実績情報とは、過去の入園者の実績を示すものである。入園希望者の兄、姉が入園した実績がある場合に、それが入園可能性の判断に影響を及ぼしたものであれば、その入園実績と入園可能性判断の影響の程度を予め取得して、連関度に反映される。仮に過去の入園者(兄、姉)が入園したときに、その弟又は妹の保育所割り当て判断を行う上でプラスに査定し、ポイントが上がったのであれば、それに応じた連関度を設定する。
【0064】
判別装置2は、このような
図6に示す3段階以上の連関度w13〜w22を予め取得しておく。つまり判別装置2は、実際に保育所を割り当てる上で、参照用希望保育所情報と、参照用入園実績情報、並びにその場合における過去の割り当てた保育所のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図6に示す連関度を作り上げておく。
【0065】
例えば、過去、保育所を割り当てた一つの事例に着目したとき、参照用希望保育所情報P11で、かつ参照用入園実績情報P16であるものとしたときに、以前にどの保育所に割り当てられたかを抽出する。この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用希望保育所情報P11で、かつ参照用入園実績情報P16である場合に、以前にどの保育所に割り当てられたかを過去のデータから分析する。このようなケースで割り当てられた頻度の高い保育所ほど連関度をより高く設定する。参照用希望保育所情報P11で、かつ参照用入園実績情報P16である場合においてリンクする中間ノード61aの例では、A保育所、とB保育所の出力にリンクしているが、以前の事例からA保育所に割り当てられる頻度が高かったことから、w13の連関度を7点に、w14の連関度を2点に設定している。
【0066】
図6に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用希望保育所情報P11に対して、入園実績情報P14の組み合わせのノードであり、C保育所の連関度がw15、E保育所の連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用希望保育所情報P12に対して、参照用入園実績情報P15、P17の組み合わせのノードであり、B保育所の連関度がw17、D保育所の連関度がw18となっている。
【0067】
次に新たな入園希望者から取得した希望保育所情報と、住所情報に基づいて、実際に出力解を求める。かかる場合には、予め取得した
図6(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した希望保育所情報がP12である場合であって、取得した入園実績情報がP17である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、C保育所がw19、D保育所が連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高いC保育所を最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められるD保育所を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0068】
図7の例では、入力データとしては、このような参照用希望保育所情報、参照用住所情報が並んでいる。このような入力データとしての、参照用希望保育所情報に対して、参照用住所情報が組み合わさったものが、
図7に示す中間ノード61である。各中間ノード61は、更に出力に連結している。
【0069】
参照用希望保育所情報、参照用住所情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。
【0070】
参照用住所情報とは、その保育所への入園希望者の住所を示すものである。保育所の住所が既知であるとして、入園希望者の住所(●●町5丁目3番地等)が分かれば、その住所が保育所と近いか否か、通えるか、スクールバスのバス停に近いか等を判別することができ、保育所割り当ての参考にすることができる。このような住所情報に基づいて保育所を選定したことがあれば、それに応じた連関度を設定する。
【0071】
判別装置2は、このような
図7に示す3段階以上の連関度w13〜w22を予め取得しておく。つまり判別装置2は、実際に保育所を割り当てる上で、参照用希望保育所情報と、参照用住所情報、並びにその場合における過去の割り当てた保育所のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図7に示す連関度を作り上げておく。
【0072】
例えば、過去、保育所を割り当てた一つの事例に着目したとき、参照用希望保育所情報P11で、かつ参照用住所情報P16であるものとしたときに、以前にどの保育所に割り当てられたかを抽出する。この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用希望保育所情報P11で、かつ参照用住所情報P16である場合に、以前にどの保育所に割り当てられたかを過去のデータから分析する。このようなケースで割り当てられた頻度の高い保育所ほど連関度をより高く設定する。参照用希望保育所情報P11で、かつ参照用住所情報P16である場合においてリンクする中間ノード61aの例では、A保育所、とB保育所の出力にリンクしているが、以前の事例からA保育所に割り当てられる頻度が高かったことから、w13の連関度を7点に、w14の連関度を2点に設定している。
【0073】
図7に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用希望保育所情報P11に対して、参照用住所情報P14の組み合わせのノードであり、C保育所の連関度がw15、E保育所の連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用希望保育所情報P12に対して、参照用住所情報P15、P17の組み合わせのノードであり、B保育所の連関度がw17、D保育所の連関度がw18となっている。
【0074】
次に新たな入園希望者から取得した希望保育所情報と、住所情報に基づいて、実際に出力解を求める。かかる場合には、予め取得した
図7(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した希望保育所情報がP12である場合であって、取得した住所情報がP17である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、C保育所がw19、D保育所が連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高いC保育所を最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められるD保育所を最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0075】
図8は、参照用希望保育所情報と参照用家庭環境情報と参照用就労情報との組み合わせに対する保育所の連関度を形成する例である。
【0076】
かかる場合において、連関度は、
図8に示すように、参照用希望保育所情報と参照用家庭環境情報と参照用就労情報の組み合わせの集合が上述と同様に中間ノードのノード61a〜61eとして表現されることとなる。
【0077】
このような連関度が設定されている場合も同様に、新たに取得した希望保育所情報と、家庭環境情報と、就労情報に基づいて、実際に割り当てるべき保育所を探索する。
【0078】
この割り当てるべき保育所を探索する上で予め取得した
図8に示す連関度を参照する。例えば、取得した希望保育所情報がP12で、家庭環境情報がP15で、就労情報がP17である場合、その組み合わせはノード61cが関連付けられており、このノード61cは、B保育所が連関度w17で、またD保育所が連関度w18で関連付けられている。このような連関度の結果、w17、w18に基づいて、実際に保育所を割り当てていくことになる。
本発明において規定する連関度は、上述した実施の形態に限らず、参照用希望保育所情報を含むものであれば、これと参照用家庭環境情報、参照用就労情報、参照用滞納情報、参照用入園実績情報、参照用住所情報の何れか1以上の組み合わせを含むもので構成されるものであればいかなるものであってもよい。
【0079】
上述した構成からなる本発明によれば、保育所への入園希望者への保育所の選定判断を、特段の熟練を要することなく、少ない労力で容易に行うことが可能となる。また本発明によれば、この保育所選定を、人間が行うよりも高精度に行うことが可能となる。更に、上述した連関度を人工知能(ニューラルネットワーク等)で構成することにより、これを学習させることでその判別精度を更に向上させることが可能となる。
【0080】
また、本発明によれば、3段階以上に設定されている連関度を介して最適な物性や生成機構の探索を行う点に特徴がある。連関度は、上述した5段階以外に、例えば0〜100%までの数値で記述することができるが、これに限定されるものではなく3段階以上の数値で記述できるものであればいかなる段階で構成されていてもよい。
【0081】
このような3段階以上の数値で表される連関度に基づいて最も確からしい保育所の判断を探索することで、保育所の候補として複数考えられる状況下において、当該連関度の高い順に探索して表示することも可能となる。このように連関度の高い順にユーザに表示できれば、より確からしい入園可能性の判断を優先的に表示することも可能となる。
【0082】
これに加えて、本発明によれば、連関度が1%のような極めて低い出力の判別結果も見逃すことなく判断することができる。連関度が極めて低い出力の判別結果であっても僅かな兆候として繋がっているものであり、何十回、何百回に一度は、その判別結果として役に立つ場合もあることをユーザに対して注意喚起することができる。
【0083】
更に本発明によれば、このような3段階以上の連関度に基づいて探索を行うことにより、閾値の設定の仕方で、探索方針を決めることができるメリットがある。閾値を低くすれば、上述した連関度が1%のものであっても漏れなく拾うことができる反面、より適切な判別結果を好適に検出できる可能性が低く、ノイズを沢山拾ってしまう場合もある。一方、閾値を高くすれば、最適な入園可能性の判断を高確率で検出できる可能性が高い反面、通常は連関度は低くてスルーされるものの何十回、何百回に一度は出てくる好適な解を見落としてしまう場合もある。いずれに重きを置くかは、ユーザ側、システム側の考え方に基づいて決めることが可能となるが、このような重点を置くポイントを選ぶ自由度を高くすることが可能となる。
【0084】
更に本発明では、上述した連関度を更新させるようにしてもよい。この更新は、例えば毎年入園応募者に対して保育所の選定判断を行う都度、そのデータを蓄積しておき、これを連関度に反映させるようにしてもよい。取得した、参照用希望保育所情報、参照用家庭環境情報、参照用住所情報、参照用就労情報、参照用滞納情報、参照用入園実績情報等に基づいて、入力パラメータと、出力解(入園可能性の判断)との関係性について新たな知見が発見された場合には、当該知見に応じて連関度を上昇させ、或いは下降させる。
【0085】
つまり、この更新は、人工知能でいうところの学習に相当する。新たなデータを取得し、これを学習済みデータに反映させることを行っているため、学習行為といえるものである。
【0086】
また学習済モデルを最初に作り上げる過程、及び上述した更新は、教師あり学習のみならず、教師なし学習、ディープラーニング、強化学習等を用いるようにしてもよい。教師なし学習の場合には、入力データと出力データのデータセットを読み込ませて学習させる代わりに、入力データに相当する情報(参照用希望保育所情報、参照用家庭環境情報、参照用住所情報、参照用就労情報、参照用滞納情報、参照用入園実績情報等)を読み込ませて学習させ、そこから出力データに関連する連関度を自己形成させるようにしてもよい。
【0087】
この連関度の更新は、公衆通信網から取得可能な情報に基づく場合以外に、専門家による研究データや論文、学会発表や、新聞記事、書籍等の内容に基づいてシステム側又はユーザ側が人為的に、又は自動的に更新するようにしてもよい。これらの更新処理においては人工知能を活用するようにしてもよい。
【解決手段】入園希望者を各保育所へ割り当てる保育所割当プログラムは、過去の入園希望者が入園を希望していた希望保育所に関する参照用希望保育所情報と当該入園希望者の家庭環境をデータ化した参照用家庭環境情報との組み合わせと、各保育所との3段階以上の連関度を予め取得する連関度取得ステップと、新たな入園希望者が入園を希望する希望保育所に関する希望保育所情報と、その入園希望者の家庭環境をデータ化した家庭環境情報を取得する情報取得ステップと、上記連関度取得ステップにおいて取得した連関度を参照し、上記情報取得ステップを介して取得した各入園希望者の希望保育所情報と家庭環境情報とに基づき、入園すべき保育所を割り当てる割当ステップとをコンピュータに実行させる。