特許第6644306号(P6644306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6644306
(24)【登録日】2020年1月10日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】ドローンの安全飛行装置
(51)【国際特許分類】
   B61B 7/00 20060101AFI20200130BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20200130BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20200130BHJP
   B64F 3/00 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   B61B7/00 A
   B64C39/02
   B64C27/08
   B64F3/00
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-122213(P2019-122213)
(22)【出願日】2019年6月28日
【審査請求日】2019年7月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592158969
【氏名又は名称】西武建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】516163796
【氏名又は名称】有限会社エム・エイ・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】伊尾木 浩二
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−052429(JP,A)
【文献】 特開2018−095394(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2017−0088540(KR,A)
【文献】 特開2017−024573(JP,A)
【文献】 特許第6484910(JP,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0096623(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 39/02
B64F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状に配置され、ドローンが移動可能に装着された第1のガイドラインと、この第1のガイドラインと略直交するように配置され、かつ、前記第1のガイドラインの各端部がそれぞれ移動可能に取り付けられた一対の平行な第2のガイドラインと、それぞれの第2のガイドラインの両端部が移動自在に取り付けられ、この第2のガイドラインおよび前記第1のガイドラインと略直交するように配置された第3のガイドラインを備えていることを特徴とするドローンの安全飛行装置。
【請求項2】
前記第2のガイドラインのそれぞれに、その長さ方向に沿って移動自在なスライダが装着され、これらのスライダ間に前記第1のガイドラインが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のドローンの安全飛行装置。
【請求項3】
前記第3のガイドラインのそれぞれに、その長さ方向に沿って移動自在なスライダが装着され、これらのスライダ間に前記第2のガイドラインが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のドローンの安全飛行装置。
【請求項4】
前記第1のガイドラインが水平方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載のドローンの安全飛行装置。
【請求項5】
前記第1のガイドラインが鉛直方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載のドローンの安全飛行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドローンの飛行軌跡を規制して、設定された飛行領域以外の領域への飛行を防止するためのドローンの安全飛行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遠隔操作や自動制御によって飛行するドローンが普及し、このドローンにカメラを搭載して、人間が近づくことが困難な箇所を空撮することが行なわれている。
【0003】
ところで、何らかの原因で、ドローンを設定した領域以外の領域に飛行させてしまうことが想定される。
【0004】
このような事象が生じると、ドローンの紛失や構造物との接触や衝突による破損等を招くおそれがあり、その対策が要望されている。
【0005】
そして、このような要望への対応を目的とした従来の技術が、例えば、特許文献1において提案されている。
【0006】
この技術は、所定間隔をおいて設置された一対の固定構造物間にワイヤ等のガイドラインを張設しておき、このガイドラインにドローンを移動可能に連結したものである。
【0007】
そして、ドローンの飛行軌跡をガイドラインに沿った軌跡に規制して、ドローンの、設定外の領域への飛行を防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2017−218142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述した従来の技術においては、ドローンの飛行軌跡がガイドラインに沿った直線状の軌道に制限されてしまうという不具合がある。
【0010】
本発明は、前述した従来技術における不具合を解消すべくなされたもので、ドローンの飛行領域を三次元の空間内に規制するドローンの安全飛行装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のドローンの安全飛行装置は、直線状に配置され、ドローンが移動可能に装着された第1のガイドラインと、この第1のガイドラインと略直交するように配置され、かつ、前記第1のガイドラインの各端部がそれぞれ移動可能に取り付けられた一対の平行な第2のガイドラインと、それぞれの第2のガイドラインの両端部が移動自在に取り付けられ、この第2のガイドラインおよび前記第1のガイドラインと略直交するように配置された第3ガイドラインを備えていることを特徴としている。
【0012】
このように構成されたドローンの安全飛行装置では、ドローンは、第1のガイドラインによって形成される直線状の軌道(X方向とする)に沿って拘束された直線状の飛行軌跡で飛行させられる。
【0013】
また、第1のガイドラインが、この第1のガイドラインと直交して配置された一対の第2のガイドラインによって、この第2のガイドラインの長さ方向(Y方向とする)に移動可能に連結されていることにより、第1のガイドラインが第2のガイドラインに沿って平行移動可能となされている。
【0014】
これによって、ドローンが第1のガイドラインとともに、第2のガイドラインの長さ方向、すなわち、X方向と直交するY方向へ移動可能となされる。
【0015】
さらに、第2のガイドラインが、この第2のガイドラインおよび前記第1のガイドラインと直交する第3のガイドラインによって、この第3のガイドラインの長さ方向(Z方向とする)に移動可能に連結されていることにより、第2のガイドラインが第3のガイドラインに沿って平行移動可能となされている。
【0016】
これによって、ドローンが第1のガイドラインおよび第2ガイドラインとともに、第3のガイドラインの長さ方向、すなわち、X方向およびY方向と直交するZ方向へ移動可能となされる。
【0017】
したがって、ドローンの飛行可能領域が、相互に直交する3方向に三次元空間となり、その飛行軌跡が規制された状態で広い飛行可能領域を確保することができる。
【0018】
ここで、第1のガイドラインと第2のガイドライン、第2のガイドラインと第3のガイドラインとを、それぞれ、第2のガイドラインおよび第3のガイドラインにその長さ方向に沿って移動自在に装着されたスライダを介して連結した構成とすることができる。
【0019】
このような構成とすることにより、第1のガイドラインの平行移動を円滑にすることができる。
すなわち、ドローンの飛行を円滑にすることができる。
【0020】
前記第1のガイドラインは水平方向あるいは鉛直方向に沿って配置することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ドローンの飛行可能領域を三次元空間に拡大することができるドローンの安全飛行装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に用いられるドローンの斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に用いられるスライダを示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図4】本発明に用いられるスライダの変形例を示すもので、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
図5図4に示すスライダの作用説明図である。
図6図4に示すスライダの変形例を示す正面図である。
図7】本発明に用いられるスライダのさらに他の変形例を示すもので、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1において、符号1は、本実施形態のドローンの安全飛行装置(以下、安全飛行装置と略称する)を示し、符号2はドローンを示す。
【0024】
この安全飛行装置1は、平行な一対の支柱3を一組として、その二組を水平方向に間隔をおいて立設しておき、これら4本の支柱3で取り囲まれる空間に設置される。
【0025】
本実施形態の安全飛行装置1は、ドローン2が移動可能に装着された第1のガイドライン4と、この第1のガイドライン4と略直交するように配置され、かつ、前記第1のガイドライン4の各端部がそれぞれ移動可能に取り付けられた一対の平行な第2のガイドライン5と、それぞれの第2のガイドライン5の両端部が移動自在に取り付けられ、この第2のガイドライン5および前記第1のガイドライン4と略直交するように配置された第3ガイドライン6を備えている。
【0026】
前記第3のガイドライン6は、各組み毎の支柱3間において、水平方向(図1中のY方向)に張設させられている。
【0027】
すなわち、各組のそれぞれの支柱3の上端部間に張設された上部の第3ガイドライン6と、各組のそれぞれの支柱3の下端部間に張設された下部の第3ガイドライン6との4本によって構成されている。
【0028】
そして、それぞれの第3のガイドライン6には、スライダ7が、第3のガイドライン6の長さ方向(Y方向)に移動自在に装着されている。
【0029】
前記第2のガイドライン5は、上下に配置された一対の第3のガイドライン6に装着されているスライダ7間に、鉛直方向(Z方向)に沿うように張設されており、この第3のガイドライン6の長さ方向、すなわち、Y方向に平行移動可能となされている。
【0030】
そして、第2のガイドライン5は、各組みの一対の第3のガイドライン6間にそれぞれ取り付けられている。
【0031】
また、各第2のガイドライン5には、スライダ7が、第2のガイドライン5の長さ方向(Z方向)に移動自在に装着されている。
【0032】
前記第1のガイドライン4は、前記一対の第2のガイドライン5のそれぞれに装着されたスライダ7間に、第3のガイドライン6の長さ方向(Y方向)および第2のガイドライン5の長さ方向(Z方向)と直交する方向(X方向)に沿うように張設されて、Z方向に平行移動可能となされている。
【0033】
前記ドローン2は、第1のガイドライン4にその長さ方向に沿って移動自在に装着されたスライダ7の下部に垂設されておりこのスライダ7とともにX方向に移動可能となされている。
【0034】
前記ドローン2は、図2に示すように、本体2aと、この本体2aの上部に装着された4個のプロペラ2bと、本体2aの下部に取り付けられた一対の脚2cを備え、本体2aの下部の脚2c間に、図示しないカメラが装着されている。
【0035】
前記スライダ7は、図3に示すように、ケーシング8と、このケーシング8に回転自在に装着され、第1のガイドライン4に転動自在に当接させられる6個のガイドローラ9によって構成されている。
【0036】
ガイドローラ9は3個一組として、それぞれの組が、第1のガイドライン4の長さ方向に間隔を置くように配置されている。
各組の3個のガイドローラ9は第1のガイドライン4の周方向に等間隔で配置されている。
【0037】
このように構成された本実施形態の安全飛行装置1においては、ドローン2は、第1のガイドライン4によって形成されている水平面内のX方向の軌道によって規制された飛行軌跡で飛行する。
【0038】
また、ドローン2の水平面内のX方向と直交するY方向への移動が、第1のガイドライン4が取り付けられている第2のガイドライン5が、第3のガイドライン6の長さ方向(Y方向)に平行移動させられることにより行なわれる。
【0039】
さらに、ドローン2の鉛直方向、すなわち、Z方向への移動が、第1のガイドライン4が第2のガイドライン5の長さ方向(Z方向)に平行移動させられることによって行なわれる。
【0040】
このように、ドローン2を、第1のガイドライン4、第2のガイドライン5、および、第3のガイドライン6によって規制された三次元空間内で飛行させることができ、その飛行領域を拡大することができる。
【0041】
また、ドローン2が、第1のガイドライン4、第2のガイドライン5、および、第3のガイドライン6によって常時拘束されていることにより、前述した三次元空間以外への飛行が阻止される。
【0042】
さらに、ドローン2が何らかの原因で飛行不能となった場合でも、前述した領域内に降下する。
したがって、ドローン2を見失うような不具合は生じなく安全な飛行を行なわせることができる。
【0043】
なお、前記各実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等、あるいは、適用する対象物は一例であって必要に応じ適宜変更可能である。
【0044】
たとえば、前記実施形態においては、第1のガイドライン4を水平方向に沿うように配置した例について示したが、この第1ガイドライン4を鉛直方向に沿わせるような構成とすることもできる。
【0045】
また、第1ないし第3のガイドライン4・5・6が長くなると、その自重によって撓みが生じることが想定される。
あるいは、第1ないし第3のガイドライン4・5・6を湾曲又は屈曲させて(90度以上の鈍角で)設置することも想定される。
【0046】
このような場合、第1あるいは第2のガイドライン4・5の途中を支持ロッドあるいは支持ライン等の固定部材によって固定構造物に連結することにより、撓みを無くしたり、また、湾曲形状に保持したりすることが考えられる。
【0047】
ところで、前述した固定部材を第1ないし第3のガイドライン4・5・6に固定すると、この固定部材が、第1ないし第3のガイドライン4・5・6に装着されているスライダ7の移動を阻害する。
【0048】
このような不具合を解消するために、図4に示すようなスライダ20を用いることができる。
【0049】
このスライダ20は、ドローン2か装着される基台21に、第1のガイドライン4が挿通されるガイド溝21aを形成するとともに、このガイド溝21aを外部へ連通させるための開口21bを形成し、かつ、この開口21bの両側部に、この開口21bを覆うようにして配置され、第1のガイドライン4の離脱を阻止する係止部材22を回転自在に装着し、さらに、これらの係止部材22に、第1のガイドライン3の途中を支持する固定部材23を通過させる凹部22aをそれぞれ設けた構成としたものである。
【0050】
前記両係止部材22は略円盤状に形成され、基台21に、相互に同一面内において近接するように配置されている。
【0051】
そして、各係止部材22の外周縁部に、中心へ向かって窪む前記凹部22aが周方向に連続して多数形成されている。
【0052】
各係止部材22に形成されている凹部22a同士が対向させられた状態において、固定部材23を両側から挟み込むように位置させられるようになっている。
【0053】
このスライダ20は、第1のガイドライン4が、基台21のガイド溝21aと両係止部材22によって形成される空間に挿通されることによって第1のガイドライン4に装着される。
ここで、ガイド溝21aの開口21bの上方には一対の係止部材22が位置させられていることにより、これらの係止部材22によって第1のガイドライン4がガイド溝21aから離脱することが防止されている。
【0054】
ドローン2の移動にも伴ってスライダ20も第1のガイドライン4に沿って移動し、このスライダ20が固定部材23に当接する位置に到達する。
【0055】
ここで、前記固定部材23は、図5(a)に示すように、両係止部材22の凹部22aに入り込む。
【0056】
スライダ20がさらに移動すると、図5(b)ないし図5(d)に示すように、各係止部材22が回転することによって、固定部材23が対峙する凹部22a間に挟み込まれた状態で移動し、図5(e)に示すように、両係止部材22間を通過する。
【0057】
これによって、スライダ20が固定部材23を通り越すようにして移動することができる。
【0058】
一方、前述したスライダ20を、図6に示すように、支持プレート24に所定間隔をおいて一対取り付け、この支持プレート24にドローン2を装着する構成とすることができる。
【0059】
このような構成とすることにより、第1のガイドライン4に対するスライダ20の姿勢を安定させることができる。
【0060】
なお、前述した例では、スライダ20を第1のガイドライン4に装着した例について示したが、第2あるいは第3のガイドライン5・6に装着することもできる。
【0061】
さらに、係止部材を、図7に符号30で示す係止部材のような形状とするすることもできる。
【0062】
この係止部材30は放射状に複数の羽根31を設けたものであり、かつ、一対設けられる係止部材30を、図7(b)に示すように、それぞれの羽根31が基台21の開口21bの上部において重畳するように配置するようにしたものである。
【0063】
このような構成とすることにより、一対の係止部材30それぞれの羽根31間に形成される空間部に固定部材23を引き込むことにより、その通過を可能とする。
【符号の説明】
【0064】
1 (ドローンの)安全飛行装置
2 ドローン
2a 本体
2b プロペラ
2c 脚
3 支柱
4 第1のガイドライン
5 第2のガイドライン
6 第3のガイドライン
7 スライダ
8 ケーシング
9 ガイドローラ
20 スライダ
21 基台
21a ガイド溝
21b 開口
22 係止部材
22a 凹部
23 固定部材
24 支持プレート
30 係止部材
31 羽根

【要約】
【課題】ドローンの飛行可能領域を、直線から三次元に拡大することができるドローンの安全飛行装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ドローン2が移動可能に装着された第1のガイドライン4と、この第1のガイドライン4と略直交するように配置され、かつ、前記第1のガイドライン4の各端部がそれぞれ移動可能に取り付けられた一対の平行な第2のガイドライン5と、それぞれの第2のガイドライン5の両端部が移動自在に取り付けられ、この第2のガイドライン5および前記第1のガイドライン4と略直交するように配置された第3ガイドライン6を備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7